愛する妻と結婚して、もうすぐ10年になる。
初めて彼女と出会ってから今まで、本当にいろいろなことがあった。
彼女との初めての出逢いは、高校2年の初秋。あの時僕は、音楽室から流れる流麗な音色に誘われて、彼女の元へとやって来た。
彼女のピアノの調べ。今思えば、それは魔性の音色だったのかもしれない。
その時、ピアノの前に座っていたのは、一人の華奢な、しかし可憐な少女だった。
後に妻となる少女との、運命の出逢い。
だが、彼女と歩む道は、深い茨に覆われた、苦難の道だった。
僕は、普通の男子高校生。だが、彼女は、大資産家の令嬢。そこには、厳然たる身分の差があった。
更に、彼女の父親の定めた、婚約者という存在。
それは、あまりにも高い壁であった。でも、僕の燃え上がる心は、彼女を諦めることなどできなかった。
僕は・・・・・・彼女のことが好き。だから、彼女が他の男のものになってしまうなど、黙って見過ごせるわけがない。
僕は何度も、彼女にアプローチを続けた。
心の底から、貴女を愛していること。そして、貴女を、本当に、大切に想っていること。
そして、貴女を幸せにできるのは、僕だけであるということ。
本当は、そこまでの自信はない。でも、それを彼女にアピールしなければ、彼女は僕には付いてこないだろう。
僕は祈るような思いで、彼女の返事を待った。
そして、奇跡は起きた。
彼女は、僕と共に歩む道を、選んだのだ。
今、僕の隣に、愛しい妻がすやすやと寝息を立てている。
僕はそっと、彼女の頬に手を伸ばした。そして、その頬を優しく撫でる。
思えば、彼女には、可哀想なことをした。
資産家の令嬢である彼女を、僕が庶民の生活へと引きずり込んでしまったのだ。
もし、僕と出逢わなければ、今頃は、何不自由ない、裕福な生活を送れていたかもしれない。
もちろん、今の僕には、仕事があるし、稼ぎもあるから、今の生活が、酷いという訳ではない。
だが、セレブの優雅な生活に比べれば、一段も二段も落ちるはずだ。
子育てにしても、屋敷のメイドたちに任せて、自分は好きなことに没頭できたかもしれない。
だが、今、僕の家に、メイドを雇える金など、あるわけない。だから、彼女は今、2人の子育てに大忙し。
妻の向こうには、5歳の長男、そして、その向こうには、3歳の次男が寝ている。
彼女は日々、てんてこ舞いになりながら、必死に子育てをしている。
毎日が、本当に大変。
もちろん、僕も家事を手伝っている。それでも、この腕白坊主どものお守りは、とんでもない激務だった。
僕はそっと、彼女の髪をさする。
高校のときから変わってない、あのおかっぱ頭。さらさらの髪が、僕の指にこぼれる。その感触は、とても心地よかった。
「深月、髪型は変えないのかい?」
僕がそう聞くと、彼女は決まってこう答える。
「だって、貴方の一番好きな髪型ですもの。」
確かに、この髪型は、彼女によく似合っている。だが僕は、髪型が好きなのではない。深月が好きなのだ。
だから、どんな髪型であっても、深月は深月。僕の、最も愛しい妻。
僕はそっと、妻の頬から首筋、そしてうなじにかけて、優しく撫でる。
その時、妻の目が、少しずつ開いてきた。そして妻は、むくっと上体を起こした。
「ムニャムニャ・・・・・・あなた、どうなさったのですか?」
眠い目をこすって、妻は僕を見る。
「起こしてしまったようだね、ごめん。」
すると妻は、そっと僕の顔を覗き込んだ。
「また、同じことを考えてらしたのですか?」
僕は以前にも、同じような悩みを持っていたことがある。はたして、今の自分が、愛する妻を、幸せにできているだろうか?
貧乏というわけではないけれど、あの裕福な生活とはかけ離れた、庶民の生活。妻をその世界に引きずり込んだのは、紛れもなく僕である。
すると妻は、僕の方を向いて、穏やかな表情で答える。
「私は、あなたと一緒にいられて、とても幸せです。」
「でも、今の生活は、とても裕福とは・・・」
すると妻は、そういいかけた僕の口を、人差し指でチョンと押さえた。
「裕福だからと言って、それが幸せであるとは限りません。私はむしろ、あなたと、子供たちに囲まれた今のほうが、幸せなのです。」
そう言って妻は、にっこりと微笑む。穏やかな、妻の微笑みは、昔から変わっていない。
優しくて、美しくて、そして可愛い妻の、愛情溢れる微笑。
この彼女の微笑みの前では、どんな男も、忽ちのうちに、イチコロになってしまうだろう。
だが、この微笑みは、決して他人へ向けられることはない。僕専用なのだ。
今、僕と妻は、瞳で語り合っている。
「愛しています」
僕はそっと、妻を抱きしめる。
初めて妻を抱いたあのときに比べて、妻は随分と変わった。
初めて僕に抱かれた妻は、まだ少女だった。
ところどころに女らしさは見え隠れするものの、まだ子供っぽさを残していたように思う。
だが今の彼女は、たおやかな大人の女の色香に包まれている。
本当に、いい女になった。
身体のサイズは、ほとんど変わっていない(驚くことに、高校時代の制服を、妻は今でも着れるのだ。)のに、今の妻は、当時とは比べ物にならないくらい、妖艶な雰囲気を醸し出している。
その妻の耳元で、僕は囁く。
「深月、3人目は、女の子がいいな。」
その言葉に、妻は一瞬驚いた。
「えっ!?・・・・・・もう、あなたったら・・・・・・♥」
妻は一瞬、恥らう。だが、妻は拒否はしなかった。
もう一人増えても増えなくても一緒。それなら、多い方が賑やかで楽しいと、妻は言う。
「あなた・・・・・・♥」
妻は僕の顔を見て、こくっと頷いた。そしてパジャマのボタンに、手をかける。
だが僕は、その妻の手を握り、彼女の手を、パジャマのボタンから離させた。
「深月・・・・・・、今日は、僕が脱がせてあげよう。」
「あ・・・あなた・・・」
妻は一瞬恥らうと、そのまま布団の上に仰向けになった。彼女の両腕は、胴の横にすらりと伸びている。あなたに、全てを任せるという、意思表示。
僕は早速、妻のボタンを一つずつ外してゆく・・・・・・そして、僕は、ごくりと息を飲んだ。
そしてパジャマの下も脱がすと、そこに現れたのは・・・・・・愛する妻の、あられもない姿。
匂い立つような女の色香。そして、母性溢れるふくよかな身体。
僕は彼女の身体を見ながら、高校の頃のことを思い出していた。
あの時・・・・・・僕は生まれて初めて、女を知った。そしてそれは、妻が初めて男を知った時でもあった。
夕暮れの体育倉庫。
マットの上に仰向けになる彼女の上に、僕が覆い被さるように抱きついていた。
一見すると、無理やり犯しているようにも見える。だが、僕と彼女は、お互いに瞳を見つめ合って、頷きあっている。
僕たちは、まだ若かった。まだ付き合い始めたばかりの二人。だが、そこに、彼女の父親の猛烈な反対と、妨害が襲い掛かる。
あくまでも僕たちの仲を認めない父親に対し、僕たちはこう考えたのだ。
『既成事実を、作ってしまえばいい』
僕たちは浅墓にも、そう考えたのだ。
そう、僕たちは、双方合意の上だった。赤ん坊を作ってしまえば、父親も諦めざるを得ない。
僕は真下の彼女の顔をじっと見つめた。彼女も、僕をじっと見つめている。
「いいね?」
僕がそう言うと、彼女は無言で頷いた。
次の瞬間、彼女の純潔が、激しい痛みと共に、もろくも崩れ去った・・・・・・
目の前の少女の裸体を、めちゃくちゃに犯した、あの時。
子供を作るのが目的だったから、コンドームなどは、当然してない。だから、僕と彼女は、ゴム一枚の隔たりもなく、生で繋がっていたのだ。
そしてそれは、僕の欲望の前に、彼女の子宮、そして卵巣が、むき出しになっている状態。壁などは、何もなかった。
射精すれば、子宮を通って、僕の精は彼女の卵巣まで届く。
そして、僕は、何のためらいもなく、彼女の膣の中に射精した。
その瞬間、彼女は瞳を閉じた。
次の瞬間、彼女の瞳から、涙が溢れ出てくる。
「お父様、ごめんなさい・・・・・・」
彼女はそっと、誰に言うでもなくつぶやいた。
だが、彼女は妊娠しなかった。
結局、彼女が最初に子供を産んだのは、結婚してから5年目のことだった。
あのときの事を思うと、背中から冷や汗が流れる。
今思えば、何て無謀な行為をやっていたのだろう。あのとき妊娠しなかったのは、運がよかったのかもしれない。
若気の至りと言ってしまえば、それまでであるが、それにしても、若さというものは、時に恐ろしい。
もちろん、あの時のことは、僕と深月の、二人だけの秘密。
そして今、目の前に、現在の深月の裸体。
体型自体は、ほとんど変わらない。手足も、胸も、お腹も、お尻も、あの時とは、それほど変わっていない。
だが、その身体から発するオーラみたいなものが、明らかに違う。
彼女は、少女ではない。女だ。
僕は思わず息を呑む。年を重ねるごとに、深月は、女になってゆくのだ。
あの頃にはなかった、深い味わい。そして、女としての、艶やかさ。
そんな彼女の身体でも、特に魅力的な乳房。決して大きくはないが、彼女はこの胸で、二人の子供を養ってきたのだ。
「どんな味がするのかな〜」
その赤く咲く乳首を吸うと、とんでもなく甘ったるい液体が、僕の口に溢れる。
「あ、甘い・・・・・・」
そんな僕の顔を見て、妻はふふっと微笑む。
「あ、笑ったなあっ!」
お返しにと、僕は自分の陽根を彼女の口元に押し付けた。すると彼女は自分から、その陽根を舐め始める。
ぺろぺろ。彼女の舌が、僕の亀頭を程よく刺激する。それによって僕の亀頭は、彼女の舌の上に、真っ白な粘液を吐き出した。
途端に彼女は、しかめっ面をした。濃くて生臭い、僕の精液が、彼女の舌の上に溜まっている。
だが彼女は、すぐに舌を口の中に引っ込めると、そのまま彼女は目をつぶった。そして・・・・・・
ごっくん。
「後味が・・・・・・すごいです・・・・・・」
妻はいまだ、しかめっ面をしている。あんなに濃くて苦いものを飲み込んでしまったのだから、それも当然である。
だが、妻は、僕のモノを再び握ると、性懲りもなく舐め始めた。
「おいおい、深月・・・」
「だって、早く元気になってもらわないと・・・・・・うふふ。」
彼女の笑みが、悪戯っぽい笑みに変わる。
「言ったなあ!こいつめっ!」
僕は一瞬、彼女を組み伏せ、その陰部に己の陽根を突き立てる。
「んっ!んんっ!!!」
能登麻美子の声で、彼女は唸った。今、僕の陽根が、彼女の膣の奥に埋まっている。
そして彼女の膣は、僕を迎え入れた悦びに、きゅっと締まる。
思えば、初めてのあの時の彼女の身体は、どこか抵抗感があったように思う。まだ少女だったので、それは仕方ないのかもしれない。
だが、今の彼女の身体は、僕の身体に、すっかり馴染んでいる。僕の性感帯を、彼女の身体は知り尽くしていた。
だから彼女の身体は、僕が気持ちよくなるように、いろいろな動きをする。僕の身体を、貪り尽くすかのような、彼女の身体。
だが、彼女自身が己の意思で動いているかどうかはわからない。それは、無意識のうちの動きかもしれないのだ。
彼女は、その本能で、僕の身体を貪る。そして、僕も、彼女の身体を、本能の命ずるままに、むしゃぶりつくす。
「あっ・・・はあ・・・ああ・・・」
彼女と僕の喘ぎ声が、ぴったりと重なった。初めて出会ってから、今まで、何度も愛し合ってきた。
だが、肌を合わせるたびに、彼女は妖艶な色香を漂わせていく。
(何て、いい女なんだ・・・)
僕は本気でそう思う。今、彼女を妻に迎えて、僕は最高に幸せな気分。
妻は今、僕の動きに、甘くて熱い吐息で答えている。
「あああっ!あんんんっ!んんんっふん!」
僕は、とても気持ちいい。だが、彼女はどうだろうか?僕のことを、気持ちよく感じてくれているだろうか?
僕は妻に聞いてみる、すると妻は、喘ぎ声を交えながら答えた。
「んんっ!・・・は・・・はい・・・んんくっ!・・・・・・すごく・・・・・・」
僕は本能的に感じた。彼女も・・・・・・絶頂が近い。
僕と妻は、お互いの身体を知り尽くしている。
高校のときの、初めてのあの時は、まだ互いに未熟で、わからないことも多かった。
彼女は、後に「ただ痛かっただけ」と回想したし、僕も、射精はしたが、とても満足という気分ではなかった。
でも今は・・・・・・
今、妻は、瞳を閉じた。
この、目まぐるしい快楽の中で、僕の感触を、心ゆくまで味わおう。そう思っているかのように。
「んんっ!んふうううっ!はああああっ!」
途端に、彼女の喘ぎが激しくなる。それに伴い、彼女の全身が、びくびくと震える。
「くっ・・・・・・!す、すごい・・・・・・!!!」
あの頃には味わえなかった、この感触。急激に、彼女の膣が締まる。そう、彼女の身体は、僕に、射精を促しているのだ。
僕は、何も考えられなかった。ただ、本能のみで、動いている。
「深月・・・・・・!!!」
「ああっ!あなたっ!!!」
僕の熱い精を、お腹の奥に感じて、彼女の絶頂はクライマックスに達した。
二度の射精に疲れ果てて、僕はそのまま彼女の横にごろんと寝転がる。
妻も、絶頂の余韻に浸りながら、横たわっている。
荒い息のまま、彼女はほんのり顔を赤く染めた。
やはり、いくつになっても、自分の乱れ姿を見られるというのは、恥ずかしいものなのだろう。
「さあ、深月、身体を拭こうか。」
僕は大きなタオルを持ってきて、彼女の汗を拭いてやる。
あんなにも激しい行為の後で、妻はやはり、たくさん汗をかいていた。そして、股間の辺りは、特に・・・・・・汗ではない液で濡れている。
「は、恥ずかしいわ・・・・・・」
「さあ、拭き終わったよ。」
僕と妻は、再びパジャマを着て、布団の中に入った。
「おやすみなさい。」
翌朝。
「おはようございます、あなた。朝ですよ〜」
愛しい妻の明るい声に、僕は目を覚ました。妻はすでに、私服に着替え、エプロン姿である。
「裸エプロン。」
僕がぼそっとつぶやくと、彼女は僕の顔をじっと見つめて言った。
「もう、子供たちもいるんですからね!」
そうだな。もう子供もいるんだったよな。裸エプロンは、子供がいないときに、楽しむことにしよう。
居間に降りると、長男と次男が、取っ組み合いの喧嘩をしていた。
「こらお前たち!喧嘩はやめなさい!」
僕が止めようとすると、長男は怒って答えた。
「ええ〜っ!僕たち、喧嘩してないよ〜」
「じゃあ、何してるんだ?」
見ると、長男は次男の上に跨ってはいるが、叩いたりしている様子はない。ただ、腰を振っているだけだ。
「んっとね、パパとママの真似。おらっ!おらっ!おらっ!」
「あん!あん!あん!」
二人のしぐさに、妻は顔を赤らめる。
「や、やだ!見てたの!?」
「こ、こら!お前たち!そうゆうこともやめなさい!」
こうして、またいつもの、明るくて忙しい日常が始まる。
この日常の喧騒の中で、妻はそっと僕に囁く。
「私、すっごく幸せです♥」
おしまい