「クー・・・クー・・・」  
ベッドの中で、菜々はお気に入りのカエルの人形を抱いてぐっすり寝付いている。  
摩央姉ちゃんと遊ぶ時は、大体いつもそうだ。  
元気一杯な摩央姉ちゃんに散々振り回されて、まず最初に菜々が脱落する。  
結局僕が、最後まで摩央姉ちゃんに付き合わされて、ヘトヘトになってしまう。  
今日もそうだった。  
菜々はベッドで眠り、僕もベッドの側の壁にもたれかかってウトウトしてしまっていた。  
「もう!こーいちまで寝ることないじゃな〜い!」  
「だってぇ。摩央姉ちゃんと遊ぶと疲れるんだもん。」  
「男の子なのに・・・だらしないなぁ〜!」  
相変わらず元気だ、摩央姉ちゃんは。  
「菜々ちゃんも寝ちゃったし、ここから先はオトナの時間だね。」  
「オトナって・・・。摩央姉ちゃんだってまだ小学生じゃないかぁ。」  
「気分よ、気分。」  
そう言うと、いきなり僕の右腕にしがみついてきた。  
「ま、摩央姉ちゃん・・・!」  
「ウフフ。こうしてると、何かオトナな感じがするね。」  
「え?う、うん・・・」  
僕は良くわかんないけど、摩央姉ちゃんは何かそんな「オトナ」な感じを妙に楽しんでるっぽかった。  
「こーいち・・・」  
そう言うと、摩央姉ちゃんは僕の膝の上に乗っかってきた。  
 
「!?」  
僕が考える間もなく、摩央姉ちゃんは両手で僕の頭を抱え、そのまま自分の胸に僕の顔を押し付けるようにギュッと抱きしめてきた。  
「ま、摩央姉ちゃん・・・」  
「こーいち・・・」  
柔らかい胸のふくらみが僕の顔全体を覆う。  
摩央姉ちゃんの汗の臭いが、今は何故かいい香りに感じた。  
「ねぇ、こーいち・・・。」  
摩央姉ちゃんは一旦僕から体を離すと、僕の顔を覗き込んできた。  
「女の子の体・・・触った事ある・・・?」  
「え!?」  
いきなり突拍子もない事を聞かれて、僕の頭の中はちょっとしたパニックになってしまった。  
「あ、菜々と一緒にお風呂入って洗ってあげたことはあるけど・・・」  
「そんなんじゃなくて!菜々ちゃん以外の女の子の体・・・。」  
「あ・・・う、ううん・・・」  
「そう・・・」  
妙に悪戯っぽい笑みを浮かべると、摩央姉ちゃんはいきなり僕の右手を握って、自分の胸に押し当ててきた。  
「!!」  
突然の事に、頭の中は真っ白になった。  
ただ、右手に感じるフワフワとした柔らかい感触だけが、ハッキリと伝わってきた。  
「フフフ。こーいち、顔赤くなっちゃって・・・。カワイイ。」  
「ま、摩央姉ちゃん・・・」  
「私、クラスの子の中じゃおっぱい大きい方なんだよ。」  
「そ、そうなの・・・?」  
他の女の子と比べた事無いからわかんないけど、確かに菜々よりは全然大きかった。  
「ねぇ、こーいち・・・。」  
「?」  
「・・・・・・見たい・・・?」  
 
「!!??」  
いきなりそんなことを聞かれて、僕は目を白黒させて驚いてしまった。  
「え!え、あ、あの・・・それは・・・・・・」  
「見たくないのぉ・・・?」  
摩央姉ちゃんは、僕の目を覗き込んでそう聞いてきた。  
「あ、あの・・・見たいとか見たくないとかそんなんじゃなくて・・・。ほ、ほら、菜々が起きちゃったらマズいじゃないか。」  
「大丈夫よぉ。菜々ちゃん、一辺寝ちゃったらよっぽどじゃないと起きないじゃん。こーいちもよく知ってるでしょ。」  
「あ・・・、それはそうだけど・・・。でも・・・。やっぱこれって・・・。」  
「見たいんだ。」  
「あ・・・」  
たまに摩央姉ちゃんは、僕の心を見透かしてくる。  
こうなると、もう何を言っても無駄だ。  
僕は、もう素直に答えるしか無かった。  
「う・・・うん・・・。見たい・・・。摩央姉ちゃんのおっぱい・・・・・・。」  
「フフフ・・・。うん、素直でよろしい!」  
そう言うと、摩央姉ちゃんはワンピースの前ボタンの真ん中を1個開けて、そのまま横に引っ張った。  
ボタンの開き口から、摩央姉ちゃんの白い肌と、その中心にあるピンク色の突起が覗いた。  
「摩央姉ちゃん・・・」  
僕は、ボタンの間から覗く摩央姉ちゃんのおっぱいを、夢中になって見つめた。  
さっきまで僕の手が触れてた柔らさの正体・・・。  
そこは、想像以上に白くて、大きくて、鮮やかだった。  
「こーいち・・・」  
「何・・・?」  
「おっぱい・・・吸ってみたい・・・?」  
「え!い、いや、あの・・・」  
だけど、ここで取り繕ったところで、どうせ摩央姉ちゃんは僕の心を見透かしてるはずだ。  
だから、素直に従った。  
 
「・・・うん・・・」  
「フフ・・・いいよ、こーいち・・・」  
僕は、摩央姉ちゃんの胸にゆっくりと顔を近づけた。  
目の前に、摩央姉ちゃんのおっぱいの先端の、ピンク色の部分が迫ってきた。  
「摩央姉ちゃん・・・」  
そのまま、僕は摩央姉ちゃんのおっぱいの先を口に含んだ。  
「ん・・・」  
摩央姉ちゃんの体が、ほんの少しピクッと震えた。  
ワンピースのボタンが口に少しあたってちょっと邪魔だったけど、そんな事はほとんど気にならなかった。  
僕は夢中で、口の中に含んだ摩央姉ちゃんのおっぱいを吸った。  
「んあ・・・こーいち・・・。あんま強くすると痛いよ・・・。」  
「ご、ごめん・・・」  
僕は、一旦吸うのを止めると、そのまま口の中で先端をペロペロと舐めた。  
舌が当る度、摩央姉ちゃんの先端が少しずつ硬くなっていくのが分った。  
「んは・・・!あぁ・・・っ・・・」  
僕は、ふと摩央姉ちゃんの顔を見上げた。  
目を瞑って、顔を真っ赤にさせて、汗びっしょりになって、口から出る声を必死で押し殺そうとしている摩央姉ちゃんの顔がそこにあった。  
今まで僕が見てきた摩央姉ちゃんとは全然違う。  
こんな摩央姉ちゃん、初めて見る。  
(摩央姉ちゃん・・・可愛い・・・)  
心から、そう思った。  
僕は摩央姉ちゃんの背中に手を回し、シッカリと抱きしめた。  
「あ・・・こーいち・・・」  
摩央姉ちゃんも、両手で僕の頭を抱えて、ギュッと抱きしめた。  
何だろう、この気持ち・・・。  
こういう時、僕はどうしたらいいんだろう。  
・・・そうだ、キスだ。  
テレビとかで見るキスシーンって、こうやって男女が抱き合ってたじゃないか。  
 
「摩央姉ちゃん・・・」  
僕はおっぱいから口を離して、摩央姉ちゃんに顔を近づけた。  
ゆっくり、ゆっくりと、僕は摩央姉ちゃんの唇に近づいていった。  
摩央姉ちゃんの口から漏れる激しい吐息が、僕の頬に当たってくる。  
と・・・。  
「あ、ダメ・・・!」  
摩央姉ちゃんは、僕の口を手で塞いだ。  
「え?で、でも・・・」  
「今はダメ・・・。私たち、まだコドモだし・・・」  
さっきまで「オトナ」とか言ってたくせに。  
やっぱり摩央姉ちゃんは気まぐれだ。  
「いつか・・・。いつかこーいちが大きくなって、ステキな男の子になった時・・・。その時は、私のキスをあげる・・・。」  
「摩央姉ちゃん・・・」  
「だから、今はまだお預け。ねっ。」  
「・・・・・・うん・・・」  
「ゴメンね、こーいち。」  
そのまま摩央姉ちゃんは、僕をギュッと抱きしめた。  
僕も、摩央姉ちゃんの体に手を回して、そのまま抱きしめた。  
しばらく、このまま2人抱き合いながら時を過ごした・・・・・・。  
 
あれから、摩央姉ちゃんは中学に入り、勉強勉強の日々を送っていた。  
僕も、何となく摩央姉ちゃんには声を掛けづらかった。  
こんな事は、あの日以来1度もしなかった。  
少しずつ、摩央姉ちゃんとの距離が離れていっているのを感じた。  
 
そして、摩央姉ちゃんと同じ高校に入り、食堂とかで見かけても、やっぱり声を掛けることは出来なかった。  
小学生や中学生の時から比べて、遥かに魅力的な女性に生まれ変わった摩央姉ちゃんに、物凄い気後れを感じてしまっていた。  
 
その日、やっぱり昼休みに食堂で見かけた時もそうだった。  
いつものように、さっさと通り過ぎてしまおうとしたその時・・・  
「ちょっとちょっと光一!黙って通り過ぎることないじゃない、つれないんだからぁ!」  
突然、そう呼び止められた。  
びっくりした。  
「あ、摩央姉ちゃん・・・」  
「「あ、摩央姉ちゃん」じゃないわよもう!」  
良かった。  
昔と変わらないじゃないか。  
見た目は魅力的になっても、やっぱり摩央姉ちゃんは摩央姉ちゃんだ。  
嬉しくなった。  
またいつか、昔みたいに仲良くなりたい。  
心の底からそう思った。  
 
摩央姉ちゃんは覚えてるだろうか。  
いつか、僕がステキな男になった時、その時は、キスしてくれるって・・・。  
キスしたい!  
こんなに摩央姉ちゃんの事が大好きだから!  
 
 
だから、頑張ろうと思った。  
いつか、摩央姉ちゃんが振り向いてくれるような、ステキな男になるために・・・・・・。  
 
<完>  
 

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