「あいてて……すみませーん、消毒薬と絆創膏ありますかー」  
 
 昼間の保健室は、明るい光に照らされてべったりと白一色に塗りつぶされて気味が悪い。  
 秋の球技大会。練習もろくにしてないくせに彼女の前で格好つけようとした僕は、案の定滑って転んで戦線離脱、一人さみしく保健室に引き上げていた。  
「誰もいないのか……校庭にテント張ってあったから、そっち行った方が早かったかなぁ」  
 独り言を口に出して言うのは悪い癖だが、誰も聞いていなければそれも問題はない。僕はとりあえず消毒薬を探し始めた。  
 膝の傷は「皮膚がずるむけになってる」という奴で、傷は浅いが範囲が広い。  
血が出ているわけではないのだが体の内側が表に露出しているのはあまり気分が良くないので、とりあえず雑菌の侵入だけは抑えておきたい。  
 
『えーと、消毒薬、消毒薬……どこにあるんだ?』  
 保健室のベッドで横になっていた私は、はた迷惑な独り言で目を覚ました。  
 どうやらどこかの馬鹿が怪我をして、薬を探しているらしい。  
(全く、探すなら黙って探しなさいよ)  
 今日は球技大会。うちの学校は何故か受験真っ盛りのこの時期に、三年生の参加を義務づけている。  
というか大会は主に学年対抗で、相手は元気だけは有り余っている一年生とか、三年生に恨み辛みを抱いている二年生であったりして、面倒なことこの上ない。  
 そんなどたばた騒ぎに巻き込まれるのも面倒なので、わたしは体操服には着替えたものの、持病の低血圧を理由に今日は一日、ここでごろごろと過ごすつもりだった。ちょうど受験勉強で昨日は徹夜だったから、いくらでも眠れる。  
 私ははた迷惑な独り言を切り離すため、布団を頭からかぶって再び眠りの縁に落ちていった。  
 
 
「ご主人様? いらっしゃいますか?」  
 私が保健室にはいると、体操服姿のご主人様は四つん這いになって一番下の棚を探しているところだった。  
「あぁ、深月さん。どうしたの……って、僕のこと見に来てくれたのか」  
「はい。心配で……お怪我は大丈夫なのですか?」  
「まぁ、そんなにたいしたことはないんだけど。保険の先生がいなくて、消毒薬が見つからないんだ」  
 ご主人様は棚から顔を出して、軽く埃を払う。見ると、右膝の部分の皮膚が向けて、血こそ出ていないものの少し痛々しい。  
「あの、消毒薬と絆創膏でしたら私が持ってきたので……」  
「本当? ありがとう、助かるよ」  
「それじゃ、そのイスに座ってくださいな」  
 ご主人様は素直にイスに座り、私はしゃがんで膝の様子を確かめる。怪我のことはよく分からないが、とりあえず消毒して、一番大きい絆創膏を貼っておけばどうにかなると思った。  
「それじゃ、少し痛みますよ」  
 ご主人様はあまりぞっとしないという表情をしている。  
「大丈夫ですよ。ご主人様は男の子ですから」  
「女性の方が痛みには強いっていう話しも聞くけどね……っ」  
 傷口に消毒薬を吹きかけると、ご主人様は痛みに顔をしかめた。無意識に私の肩を握る手に力を込める。  
「……はい、終わりましたよ。よく頑張りましたね」  
「……はは、ありがとう」  
 ふと見ると、反対側の膝にもかすり傷ができて、血が滲んでいる。  
「あぁ、転んだときにそっちも怪我したのかな……でも、こっちの方はツバでもつけておけば治るよ」  
「ツバ……ですか?」  
 たいしたことのない傷のたとえであることは分かっていたが、それを聞いてなんとなく意地悪をしたくなってしまった。  
 おもむろにご主人様の傷口に唇をつけ、優しく舌で消毒する。  
「……! み、深月さん?」  
 ディープキスの要領で、唾液をまぶし、傷口の周りを舌で消毒する。ときどき、傷口そのものに舌で触れてきちんと消毒をする。口の中にご主人様の血の味が広がり、少し興奮する。  
「……ふふふ。これでちゃんと治りますね」  
 こちらにも絆創膏を貼って、治療は終了。  
「あら?」  
 かと思うと、ご主人様は赤い顔をして、体操服のズボンの前を大きく腫らしていらっしゃった。  
「……ご主人様、ひょっとしてこちらの方も痛いのですか?」  
 私はわざとらしく、大きく腫れた体操服の前に指を這わせる。  
「う……深月さんの消毒が、ちょっと気持ちよくて……うはっ」  
 ご主人様は腰を引いて逃れようとするが、私がそれを許さない。体操服の上からご主人様の敏感な突起をつまみ、後ろに逃げさせないようにする。  
「腫れは早いうちに治療しておかないと、お体に毒です」  
「……お願いしていいの? 深月さん」  
 私はにっこりと笑って答える。  
「もちろんです、ご主人様……。わたしはご主人様が喜ぶことが大好きですから」  
 
 ご主人様のズボンとトランクスを一緒に脱がされて、空いているベッドに横にさせられる。  
 深月は僕の足の間に座り、かがみ込む形で僕の股間に「ご奉仕」するつもりらしかった。  
「……どうして今日は、僕が下になるの?」  
「ふふふ、たまには上からご主人様の悦ぶ顔をみせていただきたいのです」  
 深月は妖艶に笑って、僕の突起に挨拶のキスをする。その刺激に突起はぴくりと反応する。  
 彼女は僕の突起に、螺旋状に下を這わせ、一度下まで持って行く。そしてまず、陰嚢を舌で刺激し始めた。  
「うぁっ、いきなりソコから?」  
「そうれふ……ごひゅりんさまのせいえきがはいっれるろころから、きもひよくひてさしあげまふ……」  
 陰嚢に唾液をまぶし舌を這わせ、唇で吸い込み口に含んで転がしながら答える。その声は普段のお嬢様然とした口調からは信じられないくらい淫らで、そのギャップだけで股間が熱くなる。  
 陰嚢奉仕であるていど堅くなった突起に対し、今度は舌先だけを押しつけ、茎の裏側、尿道の通り道を焦らすように上へと刺激する。  
「くぁ……気持ち良すぎる……」  
「ご主人様は、ここと、尿道口が一番お感じになるんですよね」  
 そう言いながら、深月はカリ首の裏側を舌で重点的に愛撫しつつ、唾液で濡れた右手の指先で尿道口の上をなぞる。その間も左手は陰嚢や陰茎を動き回り、絶え間ない刺激を与え続けている。  
「くぁ……気持ちいい……」  
「出したくなったらいつでも仰ってくださいね、ご主人様」  
 深月さんはいよいよ、屹立した股間を小さな口の中に収め、本格的な奉仕を始める。舌で亀頭をぺろぺろと舐めながら、唾液を満たした口内を吸い込み、口の中の粘膜全体をつかって陰茎を刺激する。  
「ふあっ、いいよ……最高だ」  
「うひゅひゅ、うれひいでふ、ごひゅりんさま」  
 陰茎を口に含んだまま返事をされて、その振動がさらなる刺激に繋がる。  
 深月さんの口の中で上下に粘膜を擦られつつ、右手と左手で陰茎や陰嚢はおろか、腹部や内股といった所の性感帯まで刺激される。早くも射精感が込み上がってきてしまう。  
「ほひゅりんさまの、おっひくなってきれまふ……」  
「……深月さん、もうすぐ出ちゃうかも」  
 深月さんは僕の陰茎を口にくわえたまま、こくんとうなずいた。口内でのストロークの感覚を狭め、深く、強く刺激を始める。  
 亀頭が彼女の喉の奥に届くたび、深月さんは苦しそうに目に涙を浮かべる。しかし彼女の咽頭に亀頭が触れるたび、温かな刺激が伝わり、かつその表情が僕の嗜虐心を刺激して気持ちをさらに高ぶらせる。  
「うっ、いっ、イキそう……だっ」  
「いっへくらはい。みふきのおくひおまんほのなはに、せいえひをいっはいいれれくらはい」  
 口腔奉仕をやめることなく、射精を促す深月さん。  
「くっ、くぁぁっ!」  
 最後の瞬間、僕は深月さんの顔を思い切り股間に押し込み、彼女の喉の奥に熱い精液を大量に注いだ。  
 
「けほっ、けほっ」  
 深月さんはむせ帰りながら、なんとか精液を口の中に押しとどめ、唾液と混ぜ合わせて少しづつ嚥下する。  
「……無理に飲まなくてもいいんだよ」  
「いえ、私が飲みたいんです……ご主人様の精液ですから……」  
 そういって、うつむき加減で顔を赤らめる。先程まで卑猥な言葉を口にして大胆な奉仕を行っていたかと思うとこれで、このギャップが反則すれすれに愛らしい。  
 口の中の精液を飲み終えると、今度は僕のしなびた突起を再び口に含み、尿道に残った精液を吸い出しつつ、舌で表面を綺麗にしてくれる。敏感な部分に受けるアフターサービスによって、突起はすぐに固さを回復した。  
「深月さん……僕ばかり気持ちよくなってももうしけないから……」  
「……はい。私も、体が火照ってまいりました……」  
 彼女は顔を赤らめ、おもむろに体操服のブルマーに手をかけた。  
 ブルマーと一緒に下ろされたパンティの股布には粘性の液がついて変色しており、さらに股布が彼女の股間から離れるとき、その間には粘糸の橋が何本か架かったのを僕は見落とさなかった。  
「……僕のを舐めていて、もう興奮しちゃってた?」  
「……はい。ご主人様のオチ×チ×を舐めながら、私、お×ン×を濡らしていました……私ははしたない女です」  
 意地悪な質問に、素直にしかも過激にこたえる。  
 これが、互いに僕らの気持ちを高めあう方法だった。  
 
 体を入れ替え、こんどは僕が深月の上になる。  
 まず、深月がやったように、僕も彼女の股間に顔を埋め、彼女のつぼみを優しく舌で愛撫する。  
「ひゅ、ひゅあん……」  
 保健室という環境からか、いつもなら大げさに反応する深月の声が、今日は少し抑え気味だ。こんな声を聞くと、意地でも大きな声を出させたく鳴ってしまう。  
 舌先で割れ目をなぞり、割れ目の横の柔肉を刺激する。次第に緩み、充血し、奥からは卑しい汁をあふれさせ始めたスリットの隙間に舌を割り込ませ、さらに中の肉襞をかき回す。  
「ひゅっ、ふひゅっ、ひゃん……ご、ご主人様ぁ……」  
 深月の腰が淫らに動き始める。さらなる刺激を与えるため、一度舌を抜き、スリットの上部、肉の鞘に隠れた小さな突起を舌で優しく露出させる。  
「ひぁっ! そ、そこは……あひゃっ!」  
 敏感なスイッチを刺激されて、深月の体がびくんびくんと跳ねる。  
「そこは……ダメですぅ。強すぎます……くひぃ!」  
 深月の体は全身が熱くなり、汗でしめった肌が芳香を放つ。舌先で股間の花びらを弄りながら、指を滑らせ、彼女の体の敏感な部分を刺激していく。  
「ご、ご主人様……もう私、耐えられません……」  
 だらしなく股間を開き、彼女はついに音を上げた。  
「ご主人様のおチ×チ×を、くださいませ……」  
 了解の挨拶の代わりに、口元が愛液で濡れた唇を、彼女の唇にあわせる。深月はそんな口周りを、丁寧に舐めて清めてくれる。  
「今日は……生で大丈夫かい?」  
「いえ……申し訳ありません。コンドームをつけさせて頂きますね」  
 そう言うと、脱ぎ捨てたブルマの隠しポケットから、深月は薄いフィルムを取り出した。封を切り、赤いゴムを口にすると、僕のいきり立った股間に顔を近づける。  
 口先にくわえたコンドームを、堅い突起にかぶせていく。最初に肌を合わせたときに冗談交じりに要求したのだが、深月はこの行為がいたく気に入ってしまったようで、毎回こうして口で装着させてくれる。  
 ゴムで覆われた男性器に唾液を混じり、彼女名残惜しそうに股間から離れた。  
「今日は……どのように、愛して頂けますか?」  
 ベッドの上に三つ指を突いて、下から見上げるように僕の表情を伺う。  
「今日は深月さんが優しくしてくれたから、深月さんの一番すきなのでいいよ」  
 彼女はぱっと顔を明るくするが、残念そうに言った。  
「でも……それでは、膝の傷が痛んでしまいます……」  
 深月さんが一番好きな体位は対面座位で、正座した僕の上に深月さんが正面から抱かれるものだ。確かに、この足で正座はちょっときつい。  
「じゃぁ……こうしようか」  
 僕はベッドから下りると、机の丸イスをカーテンの陰まで持ってきて、その上に座った。  
「これでどうかな……深月さん、おいで?」  
「はい……」  
 イスの上で元気よく上を向く男性器をまたごうとするが、なかなかうまくいかない。  
「それじゃ……一度ベッドに仰向けになって。入れた後に、抱き起こそう」  
「はい、そうですね……よろしくお願いいたします」  
 言われたとおり、ベッドの縁に横になり、自分から足を広げて花びらを剥き出しにし、  
「ご主人様……お願いいたします」  
 改めておねだりされる。その可愛らしい声を聞くだけで、股間に血が集まるのを抑えることができない。  
 右手で性器を握り、うまく彼女の入り口に導いて、思い切り良く突き込む。  
「ひぁぁぁぁっ」  
 深い挿入感に、深月は声を上げて悦ぶ。まだ準備段階だというのに、彼女の中はすっかり潤って、幾重にも僕の陰茎を締め上げてくる。  
 快感に歯を食いしばって耐えながら、彼女の体の下に腕を入れる。深月もまた、僕の首に腕を伸ばし、首の後ろでしっかりと手を握る。  
「いくよ」  
 短いかけ声と共に、一気に彼女の体を抱き起こし、そのままイスの上に座る。  
「ふっ、深い……深いですぅ……」  
 男根をくわえ込んだまま僕の膝の上におんぶされるような形になった深月は、挿入の深さに甘い悦びの声を上げた。両足が床に着かず、股間と腕だけで体重を支えるような形になっている。  
 僕と深月はこの体勢のまましばらく抱き合って、時々キスを交わしながら互いの体温を楽しんだ。  
 
 そのうち安寧に耐えられなくなり、深月が腰を動かし始める。  
 体全体をゆらゆらと動かすようにして、彼女の内壁に体重をかけて刺激をはじめる。  
「……そろそろ、始めようか?」  
「申し訳ありません、もう我慢ができなくて……お願いいたします、ご主人様」  
 その言葉を合図に、僕も腰を動かし始める。深月の運動が緩やかな縁運動なら、僕の動きは強い縦運動。腰のバネを利用して、深月を跳ね上げ、また引きずり落とす。  
「あっ、あっ、あっ、あひっ」  
 乱暴な上下運動で彼女の一番奥の入り口を強く刺激され、深月は痛みと悦びの混じった鳴き声をリズミカルに発する。  
 深月の中の道は、狭い割にからみつき、途中何度か強く締め付ける部分がある。彼女が快楽を感じるたび、その道はきつくしまり、中に入った剛直に複雑に絡み、締め付け、快感を絞り出す。  
 この体位は互いの表情を目の前でみることができ、快感に顔をゆがめる彼女を観察しているだけで自然と股間に熱が籠もる。  
 清楚なお嬢様が見せる破廉恥な痴態。自分の前だけで見せるその淫らな姿に、肉体はもとより、精神的にも高ぶっていく。  
「いい、イイっ。ごひゅりんさま! きもちいいれふぅ!」  
 ろれつの回らない口から、我を忘れた快楽の言葉が口に出る。よだれさえ垂らしそうなしまりのない口を、自分の唇で塞ぎ、唾液を吸う。彼女もまた下を差し出して絡ませてくる。  
 膝の上でおもちゃのようにぽんぽんと跳ねる彼女の体を、体操服の下のささやかな胸に手を当ててバランスを取る。やがて刺激が限界を超えたのか、  
「ごひゅりんさま、ごひゅりんさまぁぁ」  
 深月さんは腕の後ろの手を離し、バンザイをした体勢で後ろに倒れていった。あわてて腕に力を込め、彼女の体を支える。  
 その、半分後ろに倒れた状態が、彼女の股間に加わる刺激がいちばん強くなることを僕たちは今までの経験でしっていた。だから、腰をさらに打ち付けて、一気にラストスパートをかける。  
「ひっ、ひっ、おマ×コ、きもひいい、きもひいいれふぅ……!」  
 一度放出した僕はまだ我慢する余裕があったが、折角なので彼女と一緒に達することにする。  
「ひっ、ひっ、イク、イクぅ……」  
 二度、三度、彼女は体を震わせ、あられもない鳴き声を上げながら絶頂を迎えた。  
 それとともに彼女の道は急激に狭まり、男根から子種を搾り取ろうと蠕動運動を開始する。  
 その流れに乗り、僕は二度目の射精を迎えた。  
 
 汗をかいて目を覚ます。なにやら淫らな夢を見ていたような気がして、すこし体が重い。  
 なんだかよく知っている声の男が、女性と交わっている夢だったようだ。  
(……保健室でこんな夢みるなんて、欲求不満なのかしら……)  
 そっと、体操服のブルマーの中に指を入れてみる。  
 下着に包まれたその部分は熱い熱を持っていて、少し押してみると粘液質の音が聞こえてきそうだった。  
(まいったなぁ……)  
 そっと毒づく。試験勉強続きで、少し溜まっていたのかも知れない。  
『ひっ、ひっ、おマ×コ、きもひいい、きもひいいれふぅ……!』  
 だから、隣から淫らな声が聞こえてきたとき、それが幻聴なのか現実なのか、摩央には区別がつかなかった。  
『ひっ、ひっ、イク、イクぅ……』  
(えっ、えぇっ!?)  
 続けて起こる二、三度の鳴き声。男性の吠えるようなうなり声。  
 そこではじめて、彼女は隣で起こっていることに気がついた。  
 しばらく二人の荒い息が続く。摩央は、息を潜めて隣の様子をうかがった。  
『ご主人様……』  
『深月さん……気持ちよかった?』  
 がん、と頭を殴られたような衝撃を受ける。  
 隣で交わっていたのは、彼女の幼なじみである相原光一と、つい先日そのフィアンセとなった祇条深月のようだ。  
『……ご主人様、もしよろしければこのまま続けて……』  
『ふふ、深月さんは欲張りだなぁ……』  
 唇の粘膜のふれ合う音が、こちらまで聞こえてくる。  
 一波乱の末、婚約者として光一から紹介された祇条深月という女の子は、育ちの良さそうなお嬢様タイプで、まさか学校内でこんな事をする子だとは思わなかった。  
 幼い頃からにくからず思っていた光一を奪われたことで複雑だった思いが、さらに混乱していく。  
 それとは裏腹に、摩央の体は二人の声に敏感に反応し、体全体、特にお腹の真ん中が刺激を求めてうずき始める。  
 タイミング悪く、ブルマに差し込まれた指先は股間の一番敏感な部分に触れており、いけないこととは知りながら、自らの手で入り口を刺激してしまう。  
(ん……んぁっ)  
 彼女の道の奥から、温かな粘液があふれ出したのが、下着の上からでも感じられた。  
 
 
『後ろから……責めて頂けますか?』  
『……うん。じゃあベッドに……こうして……』  
『ひゃ、ひゃう……私の中で……回って……こすれて……』  
 隣のベッドでは、なおも二人の行為が続けられている。その行いは収まるどころか、ますます激しさを増しているように思える。  
『……いくよ、深月さん』  
『はい……あっ、あぁっ! あふぁっ!』  
 普段は大人しい少女のあられもない嬌声、潤った粘膜のこすれあう音、濡れた皮膚がぶつかり、肉がはじける音が保健室中に響き渡る。二人は既に快楽に飲まれ行為に没頭し、誰かに見つかりはしないかという事はまるで気にしていないようだった。  
 隣のベッドの私はというと、隣の二人の心配をする余裕もなく  
(ふっ……くふっ、くひぃ)  
 淫らな音を聞きながら、自らを慰める行為に没頭していた。  
 既に下着は粘液で濡れそぼり、吸収しきれない愛液がブルマをも濡らしている。布越しの刺激では耐えられなくなった私はブルマと共に下着をずりおろし、掛け布団の下で自分の秘所を直接、指で触っていた。  
(はぁ……駄目なのに……保健室で……こんな事……)  
 左右の肉をこね回し、充血した襞が僅かに顔を覗かせたスリットの上を擦り、入り口に指を入れて内壁を刺激する。左の指を悲鳴を抑えるために口の中にくわえ、刺激を求めて腰が無意識に左右にくねる。  
入り口からは淫らな粘液がとめどなく流れ、草地は水を吸って沼地となり、内股にまで流れ出し、お尻を伝ってシーツを濡らしている。  
 受験のストレス、光一を取られた嫉妬、学校という環境の禁忌、そういったものがないまぜとなって刺激を演出するスパイスとなり、私は普段したことのないような大胆な自慰行為に溺れていった。  
『深月さん……気持ちいい?』  
『はい……きもちいいれふ……ごひゅりんさまのおチ×チ×が私の子宮の入り口を叩いていまふ……』  
(私も……気持ちいいよぉ……もっと、気持ちよくなりたいよぅ……)  
 満ち足りたお嬢様の言葉とは裏腹に、私の欲望は満たされぬまま際限なく体を蝕んでいく。  
 今のままでは耐えられなくなった私は、体を俯せにして布団の中で尻を突き出すような体勢になり、両手の指を使って淫らに充血した花弁を弄る。  
(はぁ……はぁ……気持ちいい……もっと気持ちよくなりたい……)  
 いま光一にこの姿を見られたらなんと言われるだろう。  
 蔑んだ視線で私の痴態を見下すのだろうか。  
 彼女と同じように私のことも弄んでくれるだろうか。  
 そして、わたしの中心に、彼の男性器を入れてくれるだろうか……  
 そんな淫らな思考の中、私は布団の中で誘うように腰を高く突き上げ、両手で花びらを開き、想像の中で彼に見られている様を思い描く。  
(見て……光一、わたしのおマ×コ、見て……)  
 両腕で寄せられた乳房がシーツにこすれ、充血した乳首が刺激される。しまりのない口から漏れだしたよだれが、ベッドの枕を濡らす。  
『深月さん、そろそろ、いくよ……』  
『はい、ごひゅりんさまぁ……あぁっ、あっ、あっ、あっ』  
 二人は頂点に向かって走り出し、お嬢様の淫らな鳴き声と、肉のぶつかる音がシンクロしたまま間隔を短く刻んでいく。  
 私もまた、自分が後ろから責められている様を想像し、腰を振り、二本の指を男性器に見立てて入り口を擦った。  
(はっ、はっ、はっ、光一、こういちっ)  
『うっ……もうすぐ……』  
『はい、わっ、私も、もうすぐ、イけます、イッ、イッちゃいますっ!』  
(駄目……私はまだだよぅ……)  
 腰を振り、秘所の入り口を乱暴に弄り、それでも足りず、充血した乳首を思い切りつねる。  
 瞬間、今までになかった快楽が電流のように全身に流れた。  
(ち、乳首、いたくて、きもちいい……おマ×コも……ちくびも……イイ……イイよぉ……)  
 普段の自慰では優しく指先で転がすだけだった乳首に、強烈な刺激を与えることで、私は絶頂へと駆け上がる足場を手に入れた。  
『み、深月さん、深月ッ、みつきィィッ』  
『ご主人様ぁっ、イク、イッってしまいますぅぅぅっ!』  
 二人が快楽の絶叫を叫ぶ中、私も秘所と乳首を強くしごき、絶頂に達する。  
「こ、こういちッ、コウイチィッ。イク、イク、イクゥッ」  
 その瞬間、目の間に火花が飛ぶ。  
 今までに感じたことのないほどの快楽が全身を駆けめぐり、私の意識は一瞬遠のいた。  
 心地よい脱力感と、一人で全てを済ませてしまったという空しさ。  
 ぼんやりとした意識の中、わたしは尻を突き出したままの状態で、枕に顔を埋めた。  
 
『……誰か、いるのか?』  
 全身が凍り付く。  
 その時初めて、最後の瞬間、自分が声を上げていたことに気がついた。   
 
 
「み、深月さん、深月ッ、みつきィィッ」  
「ご主人様ぁっ、イク、イッってしまいますぅぅぅっ!」  
 私はご主人様の熱い塊に後ろから貫かれ、再び絶頂に達した。  
 薄いゴム一枚を隔てて、再び熱い液体がほとばしるのを感じ、一緒に悦びを迎えられた幸せと、ご主人様の子種を受け止められない少しの寂しさを感じる。  
 だが、その直後。  
『こ、こういちッ、コウイチィッ。イク、イク、イクゥッ』  
 隣のベッドから聞こえてきた悲鳴に、私達は凍り付いた。  
 達した後の満足感に浸る間もなく、とりあえず形だけの身繕いをする。  
「……誰か、いるのか?」  
 ご主人様が問いかけるが、カーテンの向こうから返事はない。  
 恐る恐る、隣のカーテンを開ける。  
 ベッドの上には、私達に背中を向けて女性が一人、横たわっていた。  
 特徴のある癖毛と、頭の両脇で結わえた三つ編み。  
「ま……摩央姉ちゃん?」  
 観念したかのように、三つ編みの女性……三年の水澤先輩は、布団をかぶったままこちらを向いた。  
 三人とも、向かい合ったまましばらく言葉が出ない。  
 
「あ、あんた達……」  
 しばらくの沈黙の後、最初に口を開いたのは水澤先輩だった。  
「とりあえず、服をなんとかしなさいよっ!」  
 言われて気がつけば、ご主人様も私も、上は体操服のまま、下は素裸のままだった。慌てて私は体操服を引っ張って局部を隠し、ご主人様はシーツを腰に巻いてごまかす。  
「……誰もいないと思って、昼間からなにいやらしいことやってるのよ! しかも保健室で! ちょっとは恥じらいってものを考えなさいよ!」  
 水澤先輩は一気にまくし立てる。  
「全く、聞いてる方が恥ずかしかったわよ。気持ちいいだの、イっちゃうだの……。光一も光一だけど、お嬢様もたいしたもんよね。あんな恥ずかしい台詞をぽんぽん口にできるんだから」  
 矛先が私に向くと、ご主人様はむっとしたような顔をなさった。この方はご自身のことなら何でも受け止められるが、周りの女の子のことになると見境がつかなくなる悪い癖がある。  
「でも、水澤先輩のお声も、なかなか素敵でしたよ」  
 このまま口喧嘩にするわけにもいかないので、私が矛先を先輩に向けることにする。  
 やましいところを突かれ、水澤先輩は口ごもった。  
「ご主人様の名前を叫びながら、一体何をなさってたんですか? 先輩」  
「う……そ、そんなこと関係ないでしょ!」  
「そうはいきません。たとえ想像の中であっても、勝手にご主人様のことを思われては困りますもの」  
 私はそういって、おもむろに水澤先輩の掛け布団の中に足元から潜り込んだ。  
「ちょ、ちょっと! 何するのよ! 嫌っ! やめてっ!」  
 お尻が剥き出しのままなのが少し心許ないが、強引に布団の中を進んでいく。先輩は脚で私を妨害しょうとしているが、膝の途中で何かが邪魔をして、脚を自由に動かせないようだ。  
 やがて私は目標のものに到達した。つい先程まで弄られていた形跡のある蜜壷に指を入れ、そこに溜まった粘液をすくい取る。  
「やっ、ひゃっ」  
 私は布団を引きはがし、ご主人様に水澤先輩のあられもない姿を披露した。  
 シーツの上には大きなお漏らしの後のシミが残り、水澤先輩自身も、ブルマとパンティを膝の中ほどまでずらしたままだ。これがあるから、先輩は布団をかぶったままだったのだ。  
「ご主人様、ご覧ください。水澤先輩のお×ン×、こんなになっていました」  
 蜜をすくった指をこれみよがしに開いてみせる。指の間には何本もの架け橋ができ、先輩の興奮が並大抵の物ではなかったことを示している。  
「嫌っ、光一! 見ないでっ!」  
 あらわになった局部を、体操服を伸ばして隠しながら、水澤先輩は顔を真っ赤にしてうつむいている。  
「先輩は、私とご主人様の営みを盗み聞きして、ご自身でお体を慰めていらっしゃったんですよね……」  
 先輩の太股に、指の蜜をなすりつけていく。  
 普段は勝ち気な先輩の恥じらいを見るにつれ、私の中で不思議な情欲の炎が灯るのを感じた。  
 
「先輩……。先輩は、ご主人様に、どんなことをされたいのですか?」  
 私は先輩に後ろから近づき、剥き出しの太股に手を這わせていった。  
「ちょ、ちょっと! 何するつもり!」  
 そのまま手を上に忍ばせ、先輩の濡れた沼地に手を差し込む。慌てて股が閉じられるが、既に蜜で潤った股間の三角地帯は滑りが良く、指の進入を妨げることはできない。  
「こうやって……ご主人様の指で、直接触って頂きたかったのですか?」  
 自分でもどうしてこんないやらしい声がでるのか分からない。  
 私は、先輩の秘所を指でいじりながら、耳元でいやらしい言葉を囁き続ける。  
「やっ! 止めて! お願い光一、止めさせてっ!」  
 水澤先輩はご主人様に哀願する。しかし、突然目の前ではじまった女同士の痴態にご主人様は目を奪われ、何も行動することができない。  
「先輩……ほら、先輩のお×ン×、私の指で弄られてエッチな蜜がいっぱいこぼれてますよ……」  
「あっ、いっ、やっ、止めて! お願いだから……」  
「本当に嫌ですか……? 先輩の腰、ご自分で動いてもっともっとエッチなことして欲しいっておねだりしてますよ……?」  
 責めているのは自分なのに、なぜか体中が熱くなってくる。私の中心もまた、新たな刺激を求めて震え、いやらしいよだれを流し続けている。  
「先輩……いえ、ご主人様のお姉様ですから、私にとってもお義姉様ですよね……。」  
「祇条さん! いい加減にしないと……ひゃっ!」  
「深月と呼んでください……。お義姉様もご主人様に、ずっと愛されたかったのですよね……」  
 私は空いた手を摩央お義姉様の背中に回し、ブラのホックを外した。ぶるん、という音を立てそうな勢いで、体操服に包まれたたわわな胸が弾ける。その間も股間の指の動きは止めない。  
「あっ……嫌っ……光一……見ないで……」  
 お義姉様の抵抗はもはや形だけの物になり、ご主人様への言葉もすすり泣くような哀願に変わっている。  
 私はさらに追い打ちをかけるべく、手のひらに収まりきらないほどの乳房を、体操服の上から揉みしだいた。  
「お義姉様……ご主人様はお優しい方ですから、お義姉様がどんなにいやらしい女性でもきっと許してくれますよ……」  
「あっ……あぁっ……あふぅ……」  
「ご主人様にお願いしてみたらいかがですか……? お義姉様の体も、ご主人様にいっぱい愛してくださいと」  
「……でも……祇条さんが……あひっ」  
 お義姉様は胸が極度に弱いらしく、片胸だけの愛撫でもう息も絶え絶えという様子だった。股間に入れた右腕はすでに、手首の辺りまでびしょ濡れになっている。  
「深月の事は構わないのですよ……ご主人様の大切なお姉様ですもの。ご一緒に愛されて光栄です……」  
 そう言うと私は、お義姉様の唇を無理矢理奪った。  
 唇を割り、舌を差し込んで乱暴にお姉様の口の中を犯していく。唾液の混じるぴちゃぴちゃという音をわざと響かせ、お姉様の理性をも舌でとろかせていく。  
 とろけているのは私の中心も同じで、二度も達した後だというのに、先程から刺激を求めて震えが止まない。既にお尻の下のシーツはぐしょぬれになり、お姉様の体に局部をすり寄せ、少しでも刺激を得ようといやらしい動きを繰り返していた。  
「こ、光一……こ、こんないやらしいお姉ちゃんでも、許してくれる……? 光一のこと考えて、おマ×コぐじょぐじょにしてるいやらしい摩央姉ちゃんのこと、愛してくれる……?」  
 ついに欲望が理性を突き崩し、お義姉様はご主人様にいやらしいおねだりを始めた。  
 ご主人様は同意を求めるように、私の顔を見た。私は優しくうなずく。  
「あぁ、いいよ。……どんなにいやらしくてはしたなくても、僕は摩央姉ちゃんのこと、大好きだよ」  
「あぁ……光一、コウイチっ!」  
 その言葉を聞いた喜びからか、お義姉様は体を震わせ、軽い絶頂に達してしまった様子だった。  
 
 力の抜けたお義姉様の脚から、ブルマと下着を引き抜き、ご主人様が上着とブラを外す。全裸になった摩央お義姉様は、女の私が見ても欲情するぐらいいやらしい体つきだった。  
 ご主人様はまず、愛液の沼地と化している股間に顔を寄せ、たまりにたまった蜜を口で拭い始めた。  
「や……光一ぃ……そんなところ、汚いよぅ……」  
 摩央お義姉様は、力の抜けた声で子供のようにいやいやをする。  
「いいんだよ、摩央姉ちゃん。僕が舐めたいんだ。」  
 優しい言葉に嫉妬して、私は再び摩央お義姉様の口をディープキスで責めた。  
「ふぐ……くちゅ……はむ……ふひゅ……」  
 長いキスを終えると、私と摩央お義姉様の唇の間に、唾液の橋がかかる。  
「ご主人様……私も我慢できません……。ご主人様の指で……弄って頂けますか?」  
 わたしは剥き出しのお尻を突き出し、なおもお義姉様の股間を舐め続けるご主人様におねだりをした。  
 ご主人様は望み通り、私の秘所に三本の指を入れて、私の中を乱暴にかき回してくださった。  
「はっ、はっ、イイッ。気持ちいいですぅっ!」  
 弄られながらも、お義姉様の乳房を舐め、乳首を吸う。  
「はぁッ……おっぱい……気持ちいい……。深月ちゃんのお口……とっても気持ちいい……」  
 お義姉様は私の頭を撫で、さらなる刺激を求めて頭を乳房に押しつける。  
 豊かな胸に押しつけられた息苦しさと、ご主人様の指の刺激で、我慢に我慢を重ねていた私の蜜壷はあっという間に軽い頂点に達した。  
 
 

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