『それじゃ、放課後に、いつもの場所で。』  
 
 栗生恵は一人、理科室に向かっていた。  
(今日こそあいつをとっつかまえて、相原君を悪の道から救い出すんだから)  
 最近、同じクラスの相原光一は、B組の二見瑛理子と一緒にいることが多い。  
 風紀委員の恵にとって、校則違反の常習者である瑛理子は、目の敵ともいえる存在だ。その瑛理子と相原が一緒にいるだけで、他人に影響を受けやすい彼が悪の道に染まってしまうかどうか心配なのに。  
(……校内で、あんなみだらなことをしているとしたら、大問題だわ。)  
 昼休みに耳にした会話を思い出し、恵は人知れず顔を赤らめる。  
 
『昨日の実験、とっても気持ちよかったわね』  
『あなたがあんなに激しいなんて、思いもよらなかったわ』  
『ねぇ……今日もいいでしょ。実験に付き合いなさい』  
『それじゃ、放課後に、いつもの場所で』  
 
 瑛理子が『実験』と称することが、本来理科実験室で行うものとはかけ離れたものであることは、話の内容から明らかだった。  
おそらく不純異性交遊。それも、かなり質の悪いものであることは予想できた。  
 問題は、取り締まる側である恵自身、その「かなり質の悪い」「不純異性交遊」というものに対し、かなり奥手ということだった。  
 今からその行為を取り締まるわけだが、もし仮に、その現場に直面してしまったら。  
 そう思うと恵は、不安と緊張を隠せなかった。  
 
 足音を忍ばせ、理科準備室に入る。ここから先は二見瑛理子の縄張りだ。  
 万が一の時のことを考え、ポケットに忍ばせたデジタルカメラを握る手が汗ばむ。  
(……誰も、いない?)  
 だが、理科準備室の中はもぬけの殻だった。  
 瑛理子が普段使っている一昔前の実験机の上にも、彼女のいた形跡はまだ、ない。  
(来るのが早すぎたのかしら……)  
 ホームルームが終わればすぐに来ているだろうと考えていた恵は拍子抜けした。ひょっとすると掃除当番だったのかも知れない。  
相原はともかく、瑛理子が真面目に掃除をしている姿など、あまり想像できなかったが。  
 瑛理子も相原もいないと分かると、恵は持ち前の強気を取り戻し、机の上を物色する。  
瑛理子のことだ、なにかしら校則違反に繋がるものがあるに違いない。  
そう思って、実験机の上を見ると、一枚の白い布が真っ先に目に入った。  
 わざとらしく広げられた状態で置かれたその布は、明らかに、女物のパンツだった。  
(えっ、えええっ)  
 飾り気のない木綿のパンツ。  
 探すまでもなく、目的の証拠品に限りなく近い物を発見した恵はしかし、大いに動揺していた。  
(どうして……パンティが? こんな所に?)  
 
 このパンツの持ち主はいったい誰なのか。そして何故実験室に。ここにあるということは、やはりここで不純異性交遊が行われていたのか。  
そして何故、置き去りにされているのか。これは替えのパンツなのか。そうでないとすれば、持ち主は今、どんな状態で過ごしているのか。  
ひょっとして今、瑛理子と相原は、ここではないどこかで、そういう行為の真っ最中なのではないか。  
 妄想が恵の頭の中でぐるぐると回り、やがてそれは瑛理子と相原の痴態という具体的な想像になって。  
恵は慌ててそのイメージを追い出そうとしたが、免疫のなさが災いしてうまくいかない。  
妄想はとどまるところを知らず、顔どころか体中が熱くなり、熱に浮かされたように頭の中がぼんやりする。  
 恵はそのパンツを確かめようと、体を伸ばした。  
 机の中心にある布に手を伸ばそうとして、いかなる偶然からか、股の部分が机の縁に強く押しつけられる格好になる。  
(あっ……)  
 思ったときには遅かった。  
 女の体の敏感な部分を圧迫され、小さいながらも鋭い快感が、体を駆けめぐる。  
恵は必死にその波に抵抗しようとしたが、タイミングがあまりに悪すぎた。思考も、体も、追いつめられた所での一撃。  
しかも都合がいいか悪いか、部屋には誰もいない。  
(いけない……風紀委員の私が、こんなこと……でも……誰も見ていないし……今なら……)  
 そして彼女は誘惑に負けた。  
 実験机の角に立ち、そっと自分の体をそっと押しつける。実験机は彼女の腰の高さにあり、机の角が下腹部に当たった。  
(くっ……)  
 先程よりも強い刺激に、体が震える。刺激を求めて、二度、三度と体を押しつける。  
下腹部では物足りず、机に手を置き、身をのりだすようにして、机の角に彼女の一番敏感な部分を押しつける。  
(くふっ、ふあぁぁっ)  
 快感の余り出そうになる言葉を、残った理性で必死に飲み込む。  
(これが……オナニー、なの……? なんて、気持ちいい……いやらしい……)  
 生まれて初めての自慰行為。その快楽と背徳感に、恵はあっという間に飲み込まれてしまった。  
誰もいない理科準備室で荒い息を吐きながら、つま先立ちの状態で腰を振る。  
(はっ、はっ、はっ)  
ただ腰をこすりつけるだけでなく、角度を変え、強さを変えることで、より深い快感を得られる。  
そのことを学習し、実戦する恵の腰の動きは、単調な物から、くねくねと、みだらで悩ましげな動きに変わる。  
(気持ちいい……気持ちいいよぉ……)  
 スカートの中が熱い。  
 彼女の中心が興奮し、みだらな液を分泌している。恵は既に、パンツの底布が彼女が流したものによって汚れていることを感じていた。  
それでも、腰の動きは止まらない。恵は初めての快楽に溺れ、ただ夢中に腰を動かし、実験机の角から性の悦びを引き出すことに夢中になっていた。  
 
「ふうん、とんでもない大物が釣れたみたいね」  
「ひっ」  
 
 だから。  
 誰もいないはずだった実験準備室に、もう一つの影が入り込んでいたことに。  
 その影がずっと、彼女のみだらな行為を観察していたことに。  
 気付くのが致命的に、遅れてしまった。   
 
 
「お堅い風紀委員様が、こんなところで、何をしていたのかしら?」  
 二見瑛理子は、冷ややかに告げる。  
 一番見られたくない相手に、一番見られてはいけない行為を見られてしまった。  
恵は口をぱくぱくさせたまま、何も答えることができない。  
 その隙を瑛理子は見逃さず、いきなり先手を繰り出した。背後からスカートの中、恵の股に手を差し込み、彼女の敏感な部分を股布越しに探る。  
「ひっ、イヤっ」  
「あら、栗生さん。よっぽど角マ×が気持ちよかったのかしら。パンツの底がもうぐっしょりよ」  
 瑛理子の指が恵の股間を乱暴にかき回し、静かな理科実験室に粘液質の音を響かせる。  
「やっ、止めなさい! やめないと、ひどいわよ!」  
 しかし、敏感な部分を弄られた状態では、頼りない声しか出すことができない。  
そこにさらに、瑛理子が追い打ちをかける。  
「あら。大きな声を出すのはまずいんじゃない?  
 風紀委員様が理科準備室で一人ヨガって、パンツを濡らしていたなんて、私はともかく他の人に知られたらどんなことになるかしら?」  
 恵は慌てて口をつぐむ。  
「そうそう。それでいいの。栗生さんは物わかりがいいわね。じゃあ、ご褒美をあげなくちゃね。」  
 瑛理子はそう言うと、恵の秘所を弄る手をより激しくした。  
「うっ、ふっ、ふあっ、イヤっ、止めてっ!」  
「あらあら。黙ってないと、外に聞こえちゃうわよ」  
 快楽を導く目的でなく、飽くまで恵を辱めることだけを目的とした、乱暴な愛撫。しかし、全てが初めての体験である恵には、そんなことは分からない。  
押し寄せる激しい波に飲まれ、息もできない。声を出してはいけないのは百も承知だが、悦ぶ体はそんな理屈など全く無視している。  
「ひっ、ひっ、ひゃん、ひやっ」  
「良く鳴くのね。しょうがないから、これでもしゃぶってなさい。」  
 瑛理子は、もう片方の手を彼女の口に当て、三本の指を口内にねじ込んだ。  
「ふひゅっ! ひゃめれっ!」  
 股間の指と同時に、口の中の指も乱暴に動かされ、舌や粘膜を弄られる。息が苦しく、涙が出てくる。それでも瑛理子が指を止めることはない。  
 股間の指はさらにエスカレートし、下着越しに彼女のスリットを執拗に撫で、開き、布ごと指を進入させようと押し込んでくる。  
かと思うと、スリットの上のより敏感な部分を探り当て、執拗に刺激し、時に爪を立ててつまもうとする。  
パンツの底布はすでに恵の流した液で全面が濡れそぼり、布地で吸収しきれない愛液が内股に伝っている。  
「ふふふっ。とってもイヤらしいわよ。上と下のお口で一緒におしゃぶりなんて。素敵な風紀委員。」  
 しかし恵にはもう、瑛理子の皮肉に答えるだけの余裕はなかった。既に息苦しささえ快感となり、頭の中がもやでもかかったように白一色に染まっている。  
気がつかないうちに恵は、尻を突き出し、積極的に瑛理子の指を受け入れようと腰を使っていた。  
「ひっ、ひっひゃう、ひっひゃう」  
「何? いっちゃうの? 風紀委員が学校で、いやらしいヨダレを上からもしたからも流しながら、イっちゃうんだ!」  
 瑛理子の声も心なしかうわずっている。彼女はさらに指の動きを荒げ、恵を快楽の谷に突き落とす。  
「ほぉら、イっちゃいなさい! 上と下のお口、女の子の指で犯されて、イっちゃいなさい!」  
「ひゅ、ひゃふ、ふひゃぁぁ!」  
 その瞬間、恵は体をこわばらせ、指でふさがれた口からみっともない悲鳴を上げて達してしまった。  
 机の上に突っ伏す恵を見下ろし、瑛理子は満足げに、指についた恵のヨダレをすする。  
 
「ふふふ。今日の実験は楽しくなりそうね。」  
 
 
 
 生まれて初めて快楽の頂点を味わった恵は、ずるずると膝をつき、実験机にもたれかかっていた。肩で荒い呼吸をし、焦点の定まらない目は何も映してはいない。  
 混濁した意識では、何故今、自分がこんな状況になっているのか、恵には理解できていなかった。  
そして、その状況がまだ終わっていないことも。  
「さぁ栗生さん、実験はこれからよ」  
 瑛理子は恵の体を引きずり、乱暴に地面に転がした。  
 リノリウムの床の上に押しつけた頬は、半開きの口から流れる唾液で濡れ、ぬるぬると不快な感触がする。  
(よだれ……気持ち悪い……)  
「そうね……まず、体を固定させてもらおうかしら」  
 糸の切れた操り人形のように、力の入らない手足を無理矢理うごかされる。手首と膝に何か締め付けられるような感覚があり、ぱちん、ぱちんと二つ、乾いた音がした。  
「……何?」  
 鈍い意識のまま、体を動かそうとする。  
 だが、腕も足も自由に動かせない。動かそうとするたび、手足に細いものが食い込み、その痛みでようやく恵は正気に戻った。  
「な……何なのよ、これ?」  
 彼女は、顔を床に押しつけ、立てた膝をだらしなく開き、腰だけ浮かせるような恥ずかしい体勢で俯せになっていた。  
慌てて起きあがろうとするが、手首と膝が離れない。  
「ようやく気がついたのね。あんまり動くと、あざになっちゃうから、大人しくしていた方がいいわよ。」  
 後ろから瑛理子の声がする。不自由な体勢のまま、顔を後ろに向けてみるが、瑛理子の姿は見えない。  
その代わりに見えたのは、自分の左手首と左の膝を縛っている、細いバンドだった。  
何とか外そうと手足を動かしてみるが、肉に食い込み、痛みが走るばかりで緩む気配はない。  
「使い捨ての簡易手錠ですって。ネットだと何でも手に入って便利よね」  
 かちゃかちゃと何かの物音がする。どうやら瑛理子は何かの準備をしているようで、すぐ側にはいないらしい。  
 何とかここから逃げ出さないと。  
 恵は不自由な体を動かし、床の上をはいつくばって部屋を出ようとする。  
だが理科室はおろか、実験準備室の出口にさえ届かないところで、彼女は再び、瑛理子の手に捕らえられた。  
足のあたりを無理矢理引きずられ、引き戻されるばかりか、作業をしやすいよう体の向きを変えられる。  
顔と膝が床にこすれ、痛みが走る。  
「何をするの! 離しなさい!」  
 その痛みで意識を奮い立たせ、できるだけ大きな声を上げる。相手を威圧することは無理でも、外にいる誰かに気付いて貰うことはできる。  
「ふうん、お尻丸出しで、たいそうな口を利くのね」  
 息を飲み、顔を動かして後ろを振り返る。  
スカートをまくり上げられ、上を向いて突き出された、薄暗い蛍光灯に照らされて白く光る自分の臀部が見えた。  
 先程引きずられた時に掴まれたのが、自分の下着であったことに、ようやく気がつく。  
「いっ……嫌あぁぁぁっ!」  
 今度の大声は羞恥心によるものだった。慌てて隠そうとするが、このような体勢で動いても、誘うように腰を振っているようにしか見えない。  
「さっきから言ってるでしょ? あんまり大きな声を出すと、誰かが来ちゃうわよ?」  
 恵には声しか聞こえないが、瑛理子が楽しそうに微笑む様子が目に見えるようだった。  
「そうね……その布切れ、邪魔だから最初に切っちゃいましょうか。」  
 瑛理子はそう言うと、ハサミを取り出し、恵の背後でわざとらしく音を聞かせる。  
その『布切れ』が、膝の中程で引き延ばされている、自分の下着の事であることは明らかだった。  
「やっ……やめて! お願いだから、下着は切らないで!」  
 先程とは違い抑えた声で、恵は瑛理子に哀願する。  
「下着? それじゃわからないわ。もうちょっと詳しく言ってみなさい」  
「うっ……しょ、ショーツを切るのは、やめてください」  
 屈辱と羞恥心、怒り、そんな感情がない交ぜになった声で、恵は瑛理子に頼む。  
 ショーツねぇ……。瑛理子は恵の返答にやや不満の様子だったが、  
「いいわ。汚れるから先に取り除いた方がいいと思ったけど、そこまで言うならつけたまま実験してあげる。」  
 汚れるから?  
 実験?  
「大丈夫よ。私は、痛くしたり、傷をつけたりするような実験はしないから、安心なさい。  
 ……でも、そうね。気持ちよすぎてさっきみたいに声を出しちゃうことはあるかもしれないけど。」  
 瑛理子は、剥き出しになった恵の尻を丁寧に撫でた。ぞわりと泡肌が立ち、恵は体を硬直させる。  
 これから自分がされる予想もできない行為に、恵はただ恐怖した。  
 
 
「そうね……まず、そのだらしなくヨダレを流している、前のお口に栓をしましょうか」  
 瑛理子は宣言すると、恵の目の前で一本の試験管を振って見せた。  
「な、何をするつもり?」  
「舐めなさい。私が舐めてあげてもいいんだけど、それだと加減がわからないから。」  
 瑛理子は質問に答えることなく、試験管を恵の口に押しつける。口を背けて抵抗するが、  
「抵抗するの? あんまり駄々をこねると、乾いたままで押し込むけど……それでもいいのかしら?」  
「……!」  
 前の口という言葉を、てっきり自分の口内のことだと思っていた恵は、その本当の意味を知って慄然とした。  
「嘘……嘘でしょ! こんなものが、私の……」 私の。ヴァギナに。  
「入れるのよ。少しでも楽にしてほしかったら、自分でちゃんと舐めておきなさい」  
 瑛理子は冷たく微笑んでいたが、それは冗談を言う顔ではなかった。  
 恵は敗北を受け入れ、まだキスも知らないその唇に、試験管を受け入れた。  
不自然な体勢で、なかなかうまく加えることができない。顔をひねり、舌を伸ばし、なんとか自分の唾液を冷たいガラスの棒にまぶそうとする。  
これから起こる屈辱を思うと、涙が止まらなかった。  
「そのくらいでいいわ。」  
 そう言って瑛理子は試験管を取り上げ、恵の視界から消える。  
「できるだけ力を抜いておきなさい。もっとも、あなたのお×ン×はもうガバガバで、そんな心配もないかもしれないけど」  
 言い放つが早いか、恵の股間に、冷たいものが押しつけられる感覚が走った。目を閉じ、歯を食いしばって、これから起こる出来事に備える。  
「……こんなにぴったり閉じられたら、入る物も入らないわね……。困った子」  
 むしろ楽しそうな口調で瑛理子は言うと、恵の入り口からガラスの棒を離した。恵がほっと力を抜いた瞬間。  
「ひっ、あああっ!」  
 ガラスの棒は無慈悲にも、恵のヴァギナに押し入ってきた。  
「やぁぁっ、嫌っ、嫌っ、やめてぇぇ」  
 恐怖に混乱し、顔を振り乱して全身で抵抗する恵。  
「あ、ああぁっ……、そ、そんな、やめて、お願いッ…!」  
「あまり暴れない方がいいわ。その試験管が割れたりしたら、あなた、一生使い物にならないわよ」  
 その言葉に、恵の動きが止まった。  
「言ったでしょう。痛くしたり、傷をつけたりするのは私の趣味じゃないって。大丈夫よ。相原の物を受け入れてるあなたのお×ン×なら、こんなもの、楽に入るわ。」  
 恵は、とっさにその言葉の意味が理解できなかった。  
 瑛理子は反応が止まったのを好機と捕らえたのか、力を入れてガラス棒をさらに押し入れてくる。  
しかし、恵は大人しくなったものの、彼女のヴァギナは未体験の恐怖に怯え、力を込めて異物を排除しようとする。  
 力押しでは無理と判断したのか、瑛理子は無理矢理押し込むのを諦め、円を描くようにガラス棒を動かし、同時に空いた手で彼女の入り口をマッサージし始めた。  
「あっ、あひっ」  
 恐怖で忘れていた先程の甘い感覚が呼び起こされ、恵の固く食いしばった歯の間から、熱い吐息が漏れるようになる。乾いていた彼女の唇はほどなく潤い、さらなる甘い刺激を求めて充血していく。  
「そ、そんな……、どうして……こんな……っ!? あっ、あぁっ」  
 自分の体の変化に戸惑う恵。  
「ふふ、ずいぶん可愛い声で鳴くのね。相原にも、そうやって鳴いて見せたの?」  
「………」  
 また、相原の名前が出てくる。恵にはわけがわからない。  
「さぁ、栗生さんの大好きなモノをあげるわよ。しっかりくわえこみなさい」  
 瑛理子は入り口への愛撫を続けながら、再びヴァギナへの進入を再開した。  
今度は無理に押し込むことはせず、優しく、中をほぐすように動かしながら、ガラス棒を進めていく。  
「ふぅ……ふぅ……はぁ……」  
 恵も観念したのか、それとも快楽に再び飲まれてしまったのか、抵抗する気も起こらず、進入を受け入れる。  
 だが、ある一部分でその進入がとまった。  
「あら……」  
 瑛理子の顔に、かすかなとまどいが浮かぶ。しかし、それを振り払うように、彼女はガラス棒に力を入れた。  
「ひっ、痛ッ……」  
 恵の口からかすかに悲鳴が漏れる。しかし、さほどの抵抗もなく、ガラス棒は進入を再開した。  
(思い過ごしよね)  
瑛理子は疑念を振り払い、恵の愛撫とガラス棒の進行に集中する。  
彼女の顔も心なしか上気し、恵の中でガラス棒を回すたび、瑛理子の体もゆらゆらと動いていた。  
 一方。  
「あぁっ……」  
 恵は、快楽の沼地へとゆっくり沈んでいきながら、残された理性で先程の痛みの意味を知り、目尻に涙を浮かべていた。  
 
 
 やがて無情にも、ガラスの棒は恵のヴァギナに全て飲み込まれた。  
 差し込まれたガラス棒の口から恵の愛液が、ぽたり、ぽたりと膝の布地へと落ちていく。  
「ふふふ。ご苦労様」  
 ぱしゃり。不意に背後で光った閃光に、恵はぼんやりと後ろを向く。瑛理子が手にしていたのは、恵のデジカメだった。  
「こんな記録機具まで持ってくるなんて、ほんと準備がいいわね」  
 鋭い光が、彼女の痴態を浮き上がらせる。  
「あ……」  
 だが恵にはもう、反抗する気力は残されていなかった。腹の中の異物感に耐え、受け入れることだけで精一杯だ。  
「……あら、この程度でもうダウンなの? もう少し楽しませてくれると思ったんだけど……」  
 瑛理子は残念そうにしゃがみ込み、恵の涙を拭い、目元にキスをする。  
(……えっ?)  
 不可解な優しさに何事かと彼女を見上げると。そこに、意外なものが見えた。  
 下から見上げたスカートの奥。そこに秘所を覆う布地はなく、薄いひとつまみの陰毛と、濡れそぼった肉のスリットが見えた。  
「え……どうして?」  
「ふふふ。言ったでしょう。私は気持ちいい実験が好きだって」  
 自分の秘所を恵の視線に晒しながら、そこに自分の手を導く。  
「ん……はっ……はぁん……」  
 スリットに指を滑らし、左右の肉をこねまわし、二本の指で割れ目を開く。  
「見て……あなたのいやらしい鳴き声で……私のお×ン×も、こんなになってるの……」  
 ゆらゆらと腰を動かし、さらに秘所を弄る瑛理子。  
「ねぇ……もっと鳴いてよ。相原に聞かせてるみたいに、いっぱい鳴いて聞かせて……」  
 また相原。瑛理子が何を勘違いしているのかは知らなかったが、それが相原がらみであることは理解できた。  
 彼の優柔不断な顔を思い出し、恵は一瞬、自分の置かれている状況を忘れ、激怒した。  
 
「何よこの変態女! そんなに相原がいいなら、奴に見せつけてやればいいじゃない!」  
 
 瑛理子の動きが一瞬止まる。次の瞬間、瑛理子は、  
「ふふふ……あはは! そうよ、そうでないとね。このままじゃ面白くないもの」  
珍しく、声を上げて笑った。  
 瑛理子は立ち上がり、恵の視界の外に消える。  
「あなたが見つけた私の下着、わかるでしょう? あなたがオ×ニーのオカズにしていたアレ。  
 あれね、本当は相原を捕まえるための罠だったの。相原を捕まえて、コレを使って実験するはずだったんだけど……」  
 瑛理子が再び恵の視界に戻ってくる。その手には、僅かに色の付いた液体の入ったビーカーと、先の丸い注射器があった。  
「罠にかかったのはあなただったっていう訳。準備も無駄になるかと思ったけど、まだ続けられそうね」  
「……何よ、それ」  
 恵の言葉に先程の力はない。再び体を蝕もうとしているものへの恐怖だけ。  
「グリセリンよ。他にも少しアレンジがしてあるけど、全部市販薬だから安心しなさい」  
 恵には、それが何のための薬なのか解らない。  
「……そ、そんな物使って、何をする気?」  
「安心しなさい。健康にもいいモノだから。ところで……」  
 あなた、お通じは順調? 瑛理子は恵に、そう尋ねた。  
 
「ふっふぁぁぁぁぁっ! やめて、お願い、やめれぇぇ」  
 何度目かの異物の侵入に、恵はろれつの回らない口で弱々しい叫びを上げる。  
「我慢しなさい。これで最後よ」  
 楽しそうな声で応えるのは瑛理子。彼女は先端の丸い注射器を恵の菊門に突き立て、シリンダーを押し込んでいく。  
「ひゃっ、おれがい、入れないで……もう、駄目、入らない……」  
 自分の腸内をなま温かい液体が逆流し、お腹の中で大腸の形がわかるような錯覚に陥る。腹はひどい便秘を起こしたときのようにふくらみ、あまりの圧迫感に顔には脂汗が滲む。  
「ふふふ、全部入ったわ。これで栓をしておしまいね」  
「ひっ? ひぃっ!」  
 注射器を抜かれ、代わりになにかザラザラした太く短いものが、彼女の菊門を塞いだ。浣腸液の注入という責め苦から解放され、恵はようやく、体の力を抜いた。……それが束の間の休息とも知らず。  
「どうかしら? 前のお口も、後ろのお口も、栓をされた気分は?」  
 恵はもう何も答えられない。ただ、浅く短い息を繰り返す。お腹の圧迫感がひどく、深い息をすることができない。  
 瑛理子は答えを促すことはせず、ただ恵の下腹部を優しくなで続ける。やがて恵の体に、瑛理子の期待通りの変化が起きる。  
「ひっ……」  
 ぐるぐるぐる。鈍い雷のような音が理科準備室に響く。  
 恵の大腸が蠕動し、排便を求める音だった。  
 
「ひっ……」  
 襲い来る排泄欲に、恵はパニックに陥った。なんとか体をよじり、一番楽な体勢を探そうとするが、体の身動きも叶わない。  
「どうしたの? 顔色が悪いわよ」  
 瑛理子は恵の前にしゃがみ、艶容な笑みを浮かべて見下ろす。あきらかに彼女の苦悶を楽しんでいる。その息は熱く、恵の痴態に劣情を催しているのは明らかだった。  
「お願い……トイレに……行かせて……」  
 できるだけ腹に力を入れまいと、浅い呼吸で助けを求める。  
 もう、なりふり構ってはいられない。今まで身に降り注いだ数々の羞恥も耐え難いものだったが、排泄を他人に見られるというのはそれとは次元の違う、人間の尊厳に関わる恥辱だ。  
「駄目よ。言ったでしょう? これは実験なのよ。結果を確認しないと、意味がないじゃない。」  
 フラッシュが走り、苦悶の表情に顔をゆがめる恵のあられもない姿を記録する。  
「お願い……許して……」  
「大丈夫よ。聞いた話だけど、出る瞬間は病みつきになるくらいの快感だそうだから。」  
 でも、私の部屋を汚されるのは困るわね……。瑛理子はそう言って部屋を見回し。  
「そうね。この中に出しなさい」  
 彼女は恵の股の間に、金属製のバット(深盆)を差し出した。  
「そんな……」  
 しかし、それはまだ、最悪の事態ではなかった。  
 
「二見さん、遅くなってごめん……く、栗生さん!?」  
 遅れてきた男は、最悪のタイミングで登場した。  
「あら、相原。遅かったのね。でも、クライマックスには間に合ったみたいよ。」  
「あ、相原……」  
 恵は頭の中が真っ白になった。  
「い、嫌ぁぁぁ! 見ないでっ! 見ないでぇぇぇっ!」  
 精一杯の声を上げて叫ぶ。体を隠そうと必死にもがくが、尻を淫らに振ることしか許されない。  
「二見さん……」  
 相原はじっと瑛理子を見る。その目に、普段の穏和な面影はなく、あるのは明らかな怒りのみ。  
 固い表情に、瑛理子の目に怯えの色が走る。  
「あ、あなたが悪いのよ。あなたが来なかったから……きゃっ」  
 相原は言い訳を聞かず、彼女を押しのけた。予想外の行動に、瑛理子はしりもちをついたまま動くことができない。  
 相原は恵の状態を見て、まず実験机の上にあったハサミをとり、彼女の手足の戒めを解いた。  
「あ……」  
 手足の自由を取り戻した恵は、しかし、もう何も考えられないほどに精神的に追いつめられていた。起きあがることもできず、今までとおなじ体勢のまま、犬のようにだらしなく、短い呼吸を繰り返すだけだ。  
「栗生さん……ごめん」  
 一言あやまり、相原は目を逸らしながら、恵の股間に手を伸ばし、彼女のヴァギナに入れられたガラス棒をつかもうとする。  
濡れた表面に二度、三度と手が滑り、そのたびに恵は悲鳴を上げる。  
「ぁっ、ひっ、イイっ、駄目っ」  
 拒絶と悦楽の入り交じる甘い声に、相原は顔をしかめる。ようやくの事でガラス棒を掴むと、それを慎重に引き抜いた。  
「ぁぁ……抜ける……お×ン×……抜けるぅぅ」  
 若干でも腹部への圧迫感が減ったのか、恵は安堵の声を上げた。だが、次に菊門の栓に手をかけられ、  
「だっ、駄目ッ、お願い、止めてっ」  
 失いかけた理性がよみがえり、弱々しい動きではあるがはっきりと抵抗した。  
「……栗生さん?」  
「駄目なの……と、トイレ……お願い……連れて行って……」  
 恵は弱々しい声で相原にすがりつき、助けを求める。その言葉で、相原は状況をなんとか理解した。彼女の手をとり、起きあがらせようとする。しかし、  
「……駄目……もう動けない……どうしよう……」  
 恵はもう、体を起こすことで精一杯だった。じっと耐えながら、これから起こる悲劇にただ泣いて待つことしかできない。  
 異性に、それも少しでも好意を抱いていた相手に、人間として一番見られたくない行為を目の当たりにされる。  
軽蔑され、嫌われ、もう二度と口もきいてもらえないに違いない。  
死んでしまいたいほどの恥辱と絶望。こんなことなら、瑛理子に見られる方がまだましだった。  
「栗生さん」  
 だが、相原は泣きじゃくる恵を、優しく抱きしめた。涙を拭い、髪を撫でる。  
「僕のことは気にしなくていいから。何があっても、絶対誰にも言わない。だから……」  
 そう言って恵の目尻にキスをする。恵は、黙ってこくんとうなずいた。  
「いい?」  
 相原はそう言うと、恵の尻に手を伸ばし、彼女の尻を塞ぐガラス栓を抜いた。  
 
 
 尻をティッシュで拭き、排泄物の入ったバットにとりあえず蓋をして目にとまらないところに隠す。  
 相原の動きはあくまで事務的で、それが恵には有り難かった。  
 恵は排泄のショックで放心状態だった。相原はそれを、あまりの恥辱故と思っていたが、実際にはそうではない。  
 快楽ゆえの放心。瑛理子のいった言葉は嘘ではなく、我慢に我慢を重ねた後の行為は恐ろしいほどの快感を呼び起こした。  
相原の腕の中で彼女の体は、排泄と二度目の絶頂を同時に迎え、幸せに包まれて失神していた。  
「栗生さん、立てる? ……保健室、行こう」  
 差し出された手を握って起きあがろうとするが、腰が抜けて立ち上がることもできない。  
 そんな彼女を、相原は抱きかかえるようにして支え、理科準備室を出て行こうとした。  
 
「待ちなさいよ」  
 瑛理子は、そんな相原を呼び止めた。  
「……栗生さんを連れて行ったら、また戻ってくるよ」相原はしかし、瑛理子を振り返らない。  
「そう? いいのかしら、こんな大事な物を忘れて」  
 背中からフラッシュを焚かれて、相原は立ち止まる。瑛理子はデジカメを構えて、二人を睨みつけていた。  
「栗生さんならわかるわよね。この中に何が入っているか。」  
 恵は一気に現実に引き戻さた。  
 いままで繰り広げられた恥辱の数々。その全てがあのカメラの中に収められている。  
「この画像がばらまかれたらどうなるかしらね? お堅い風紀委員様の淫らな趣味? 風紀委員自ら率先して学校で変態オナニーショー?」  
 瑛理子はヒステリックに言い続ける。恵の顔色が青ざめる。その様子で、相原もまた、カメラの中に何が収められているのかを察した。  
「学校中の話題を独り占めね。ひょっとしたら、性欲を持てあました男子生徒がおつきあいを申し込んでくれるかも。よかったわね、当分くわえるチ×ポには困らないわ……!」  
 相原の鋭い視線に気圧されて、まくし立てていた瑛理子の言葉が止まる。  
 ごめん、栗生さん。ちょっと待ってて。  
 そう言って、相原は静かに、瑛理子に歩み寄った。  
「な……何よ! 相原が私を脅そうなんて、笑えるわね」  
 だが、強気な言葉とは裏腹に瑛理子は怯え、相原が近づくたびに後ずさる。  
 ついに相原は瑛理子を壁際まで追いつめ、言った。  
「……どうすればいい?」  
 瑛理子は、そして恵も、その言葉にあっけにとられた。  
「僕で良ければ、何でもする。だからそのカメラを返して欲しい。どうすればいい?」  
 低く、怒り込めた言葉ではあったが、その内容は飽くまで瑛理子への哀願だった。  
だが、その言葉が、余計に瑛理子の自尊心を傷つける。  
「……なんで」  
 瑛理子は今にも泣きそうだった。  
「なんでそんな女のために、そこまでできるのよ! 規則でがんじがらめのいい子ちゃんがそんなに可愛いの!?  
 堅物女のお×ン×がそんなに気持ちよかったの!? だったら私のも試してみればいいじゃない!!」  
 恵はそこでようやく、瑛理子の勘違いに気がついた。  
 瑛理子は、恵が相原の女であると思いこんでいる。恵に嫉妬し、恵をいたぶることで、倒錯した性欲を感じていたのか。  
 だが、暴走を始めた瑛理子は止まらない。  
「そうね。どうしてもカメラを返して欲しいなら、相原、その女の前で私のことをレイプしなさい。口止めにもなって一石二鳥ね。もっとも、そんなことがあなたにできるとも思わないけど」  
 怒りと怯え、命令と哀願。そんな負の感情がごちゃまぜになって、瑛理子は不条理な要求を突きつけた。  
 瑛理子の要求も無茶なら、相原の答えもまた無茶苦茶だった。  
 相原は瑛理子の手を引き、乱暴に彼女を床に転がす。その上に覆い被さり、手足を押さえ、上から彼女を見下ろした。  
「……これで、いいんだな」  
 望み通りの答えのはずだが、あくまで従順な相原の態度が瑛理子を激昂させる。  
「は! 彼女のためなら自分から汚れ役でも引き受けるって訳! 大した忠犬ぶりね! それとも、風紀委員の尻でも見て発情した? このオス犬!  
 そう、そうよ、ほんとは前から私のことヤりたかったんでしょ!? そういう目で私のこと見てたものね! いいわよ、望み通りヤらせてあげるわよ! さっさと……」  
 そこで彼女の言葉は途切れる。  
 相原の口が、瑛理子の口を強引に塞いでいた。  
 突然のキスに呆然とする瑛理子に、相原は言った。  
「黙って犯されろ、この雌豚」  
 
「栗生さん……悪いけど、そこにいて。口止めだから」  
 恵はただ黙ってうなずくことしかできない。相原のあまりの豹変ぶりが信じられない。と同時に、  
(……やだ……どうして)  
こんな相原に乱暴に抱かれたい。そんな淫らな欲求が頭の中をよぎった。  
 
 相原は、組み敷いた瑛理子の胸を、制服の上から乱暴に掴んだ。  
「いっ、痛っ!」  
 瑛理子が悲鳴を上げるが、気にせずそのまま揉み続ける。肉体的には苦痛しか感じないはずの愛撫に、しかし瑛理子は興奮していた。  
 胸を離すと、相原はスカートの中に手を入れる。そこには剥き出しの女性器しかない。  
「……なんだ、サカっているのはお前の方かよ。下着も履かずに、こんなに濡らして。犯されたいのはお前の方だろう、この雌豚」  
「……そうよ! ずっとあなたに犯されたかったのよ! そんなことにも気がつかずに、堅物女に尻尾振ってた駄犬のくせに! ……あっ、ひぁっ!」  
 スカートの中で相原の手が激しく動き、入り口を責め立てる。あまりの刺激に手足をばたつかせ、口を開いても声もだせない瑛理子の姿に、恵の視線は釘付けになっている。  
 やがて瑛理子は何度か体を痙攣させて、大人しくなった。  
 相原は無言で自分の服を脱ぐ。意外にたくましい体と、前技の必要も無いほど固くそりかえった男性器に、恵は自分の中心が甘い蜜を吐くのを止められなかった。  
 瑛理子もまた相原の裸身に、恐れと、それ以上に自分の劣情が刺激されるのを感じていた。  
「尻を出せ」  
 それだけの言葉で、瑛理子は素直に四つん這いになり、尻を振ってしまう。  
「さぁ……犯したいんでしょ? さっさと大好きなお×ン×に突っ込みなさいよ」  
 だが、相原は瑛理子の精一杯の挑発を無視し、先端を濡れそぼった花弁にこすりつけるだけだった。  
「な……なにしてるの……ぁふっ……さっさと……くぅ」  
 相原は何も言わない。ただひたすら瑛理子をじらしている。  
「さっ……さと……いひっ……入れ……な……」  
「言ってみろよ。入れて欲しいんだろ。」  
「いっ……入れ……て……お……おねがい……」  
「入れてくださいご主人様」  
 いったいどこでそんな言葉を知ったのか。  
 相原は二人の立場を決定づける言葉を、瑛理子に要求した。  
「入れて……ください……ご、ごしゅじん……さま……あひぃぃっ」  
 願いはすぐさま聞き届けられ、瑛理子の穴に、相原の怒張が容赦なく突き込まれた。  
「いっ! 痛っ! 痛いっ!」  
「ふ、二見さん……」  
 意外な反応に恵は思わず声を上げた。  
 相原もまた荒々しさが一転、驚きの表情を浮かべている。  
「な……何よ。処女で悪かったわね。今更哀れもうなんて、もう遅いんだから」  
 瑛理子は背後の相川を睨みつける。黒髪に隠れて見えないが、その声は涙混じりのものだった。  
「……わかった」  
 相川は短く答えると、腰を動かし始める。  
「ふっ……くっ……ひっ……」最初は、相手を思いやるような静かな動きで。  
「いっ……! ひたっ……! くは……! ぎっ……! いやっ……!」しかし、動きは次第に荒々しいものになり、  
「痛っ……! 痛い……! おねがい……! やめて……! いや……! やめないで……!」そして瑛理子の悲鳴や涙声でさえ楽しむかのような、乱暴な動きになった。  
 相原の腰と瑛理子の尻が激しくぶつかり、ぱんぱんとリズミカルな音を立てる。  
 瑛理子の腰を掴み、乱暴に動かす相原。そのたびに彼女の黒髪が揺れる。  
 相原は瑛理子の体を自由にできる快感に酔いしれ、瑛理子もまた、自分が相原の道具として扱われていることに倒錯した快感を得ていた。  
「くっ……もうっ……」  
「……さっさと……出しなさい……よっ……! 中……中にッ!」  
 やがて相原は野獣のような声を上げ、大量の精液を瑛理子の中に放った。  
 行為の終わりを知って、瑛理子はぐったりと床に伸びる。  
 相原もまた、しばらくは荒い息を整えるので精一杯だった。  
「はっ……はっ……二見……?」  
「……心配? 孕ませるのが」  
「……」  
「……大丈夫よ……私、まだだから……」  
「えっ……?」  
「あなたの犯したのは、生理もまだの処女お×ン×だったって事よ。納得した?」  
 顔を背けたまま、瑛理子は答えた。  
「……何だよそれ。納得なんかできるかよ……」  
「……じゃぁ、これから時間をかけて納得させてあげるわ、ご主人様」  
 それきり、瑛理子は床に伏して、束の間の眠りに落ちた。  
 
 
「相原君……」  
「……栗生さん。ごめん、こんな事に付き合わせて……」  
相原は瑛理子を気遣いながらも立ち上がり、服を着ようとする。だが、恵はそんな彼に近づくと、その裸身に抱きついた。  
「く、栗生さん?」  
「……ごめんなさい、相原君……」 相原の胸に顔を埋め、恵は話す。温かな息が直接肌に触れる。  
「いや……これは、僕のせいでもあるから……」  
「ううん、違うの……いえ、それもあるけど……」 恵はもじもじと、相原の胸の中で躊躇する。  
「私も……してほしい……」  
「えっ?」  
「私も……相原君に……犯してほしいの」 言ってしまってから、あまりの恥ずかしさに恵は耳まで赤くなる。  
「い、いやらしいお願いで、軽蔑されてもしかたないけど……その、我慢、できないの……それにっ」  
恵は相原の顔を下から見上げ、必死に哀願した。  
「しょ……処女を奪われたのが、その……試験管とか、女子相手とかって……悲しすぎるから……」  
 お願い、私を犯してください。 恵はうつむいて、でもはっきりとそう口にした。  
 
 
 数週間後。  
「はっ、はっ、はっ、イイよぉ、気持ちイイよぉ!」  
 体を上下に弾ませながら、恵は淫らな叫び声を上げていた。彼女は相原の体にまたがり、その体内に彼の怒張をくわえ込んでいる。  
「淫乱な風紀委員だな! お×ン×突かれるのがそんなに気持ちいいのかよ!」  
「そ、そうなのっ! 私、エッチ大好きな淫乱風紀委員なのぉっ!」 恵は言葉によってさらに高ぶり、より多くの快楽を得ようと自らの粘膜で貪欲に怒張を擦り立てる。  
「好き、相原好きっ! 相原に犯されるの大好きッ!」  
 
 免疫の全くない状態であまりにアブノーマルな性体験をしてしまった恵は、その後、瞬く間に性欲の虜となってしまった。  
 二日に一度は必ず相原の体を求め、新たに仕入れたテクニックやインモラルな行為の試験に付き合わせている。  
その他にも、オナニーや瑛理子とのレズプレイなど、およそ性欲をもたらす行為すべてに貪欲で、今や相原も瑛理子も、彼女の淫乱ぶりを持てあまし気味だった。  
 それでいて、表向きはちゃんと風紀委員として校内の綱紀粛正に取り組んでいるから不思議だが、恵に言わせると「その落差が気持ちいい」のだそうだ。  
 
 騎上位で腰を使う恵に、瑛理子は背後から近づき、その菊門に指を当てる。  
「ひっ、ひやっ」  
「ほら、メス犬! いちいち相原に射精させたんじゃ続かないんだから、さっさとお尻でイっちゃいなさい!」  
恵の菊門は瑛理子の中指を簡単に飲み込んでしまう。  
「いひっ、オシリ、気持ちいいっ! チ×ポと指がゴリゴリいって、気持ちイイっ!」  
恵の腰使いはますます激しくなり、瑛理子もまた、指を乱暴に動かし腸内を刺激する。  
「イクっ、お×ン×とお尻、いっぺんに犯されてイっちゃうよぉっ!」  
卑猥な鳴き声を上げながら、程なく恵は絶頂を迎える。  
「……次は私よ。さっさとお×ン×犯しなさい、このスケベご主人」  
 放心している恵を押しのけ、瑛理子は相原に尻を振った。  
 
 瑛理子はあれ以来、相原を「ご主人様」と呼ぶようになった。しかしその上下関係は微妙で、互いに相手を罵りあって気持ちを高めるという奇妙なプレイが成立している。  
温厚で優柔不断な相原を怒らせ無理矢理犯される、というのが瑛理子の理想らしいが、成功例はいまのところ最初の一回しかない。  
そんなわけで、怒る「ふり」無理矢理犯す「ふり」で我慢している瑛理子だが、いかにして相原の理性を壊すか、彼女の実験は続いている。  
 
「あっ、あっ、あっ、もっと、乱暴にッ! 壊れるぐらいっ!」  
「くっ、口数の減らない、雌豚だなッ!」  
 尻と腰を打ち合わせる音を響かせながら、二人は互いに激しく腰を使う。  
「そうね……文句の多い口は、こうやって塞ぎましょうか」  
「ふっ、ふぐっ!」  
 いつの間にか回復していた恵が、瑛理子の頭を自分の股間に押しつけた。  
「ほら、舌を使ってご奉仕なさい、雌豚ちゃん!」  
「ふっ、ひっ、ひっ、ひぐぅっ!」  
 恵が顔面奉仕にうっとりとする中、羞恥心と息苦しさがスパイスとなったのか、ほどなく瑛理子も絶頂を迎えてしまう。  
「まだ、僕、イってないんだけどなぁ……」  
 一人生殺しのまま取り残される相原。一番強い立場のようで、二人の性欲処理の為にいいように使われている感がある。  
 ふてくされる彼を恵が押し倒し、負けじと瑛理子も体を寄せる。  
「心配しなくても、十分楽しませてあげるからね、相原」  
「そう、後になって泣いて謝っても許さないから、ご主人様」  
 

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