登校時に二見瑛理子の姿は見えなかった。理科準備室にもいなかったから、今日は遅れてくるのだろうと思った。  
案の定、一時間目の休憩時間のとき、花壇の横にある校舎裏にでかけると、イヤホンで音楽を聴いて座っている二見を見つけることができた。  
「また悪巧み?」  
「えっ?」  
光一の姿をみると、二見は音楽を止めた。  
「おはよう、二見さん。いま登校?」  
「おはよう、相原。今日の午前中の授業はおもしろみがなくてね」  
光一は二見のすぐ側に腰をおろした。  
「ねぇ、あなたの次の授業は何?」  
「うちは数学。順番だと、そろそろ指されそうなんだよ」  
「クス、いろいろ大変そうね」  
二見は微笑えんだ。  
「ね、相原、このまま一緒にズル休みしよう?」  
光一は少し間を空けて承諾した。二見は答えを聞くと、光一の腕と肩にもたれかかってきた。  
 
二時限目のチャイムが鳴り、校舎裏は人気がまったく無くなった。  
「静かだね」  
「そうね」  
二人で寄り添いあい、静寂を楽しんでいた。  
「私ね、昨日の晩、一人で実験したのよ」  
光一は考えうる限り、一番いやらしい答えを頭に浮かべた。  
「こうやって目を閉じているとね、あの時の恥ずかしさとか、顔を押しつけられた時の感触とか、きちんと思い出すことができるわ」  
二見は光一の目をみつめ、そのまま吸い込まれるように口付けをした。  
「……ん」  
二見は体を光一の正面に移動し、光一に体をあずけるように、ところどころへキスをする。  
首、ほほ、耳、あご、そして服の上から乳首の部分。  
「う……ア……」  
「感じる?男の人もここは敏感になるところなのね」  
肌に直接ふれていないとはいえ、光一はその唇の柔らかさに充分しびれた。  
やがて、二見は頭をさらに下げていき、光一のベルトを外し始めた。  
光一は制服の上からでも、盛り上がりがわかってしまうか心配だった。下着もずり下ろされ、光一の男が姿を表した。  
二見は髪を片手でかきあげ、根元を握りながら口に入れた。  
はじめは小さく、しだいに大きく上下にうごかし、上目遣いで光一の反応を確かめた。しかし、自分が思っていたのとは、まるで反対の表情を光一はうかべていた。  
 
「き、気持ちよくないの?」  
「う……うん」  
二見は、自分はどこが間違っていたのだろう、という表情をした。光一は、すぐさまそれを悟り、正直に言うことを決めた。  
「あのね、はじめは気持ちよかったんだけど、おんなじことがずっと続くから醒めちゃったんだ。だから、口を使うだけじゃなく、唇や舌とかをうまく使ってみたらどうかな?」  
はっと思い当たるところがあり、二見は再び股に顔を近づけた。  
今度は横からくわえるようにせまった。唇ではさみながら、舌をあてて動かす。  
「あ……」  
そして、さらに下へと向かい、根元の血管が浮かび上がっている部分を舌で刺激した。  
光一も、だんだんと自分が硬くなっていくのがわかった。それに比例して、体も熱くなっていった。  
がまんできず、右手を二見の腰まで伸ばし、手前に引き寄せてから下着の中に手を入れた。中はすでにあたたかく蒸れていた。  
二見も口だけでなく手を使うようになっていた。下のほうで手を動かし、先端の部分だけ包むようになり、その中では舌を積極的に使って光一に奉仕していた。  
「んむっ」  
光一が意識するよりもはやく、体が勝手に反応していた。  
「ご、ごめん。つい夢中になりすぎて」  
光一も経験のない感情の高ぶりだった。それは合図を出す余裕さえなかった。それは二見の献身の大きさも物語っていた。  
二見は口の周りを両手でおおっていた。やがて顔をおきあげ、涙目ながらも微笑を光一にむけた。  
「突然でびっくりしたけど、でも、気持ちよかったでしょう?」  
「うん、すごく」  
ただ、光一は二見の他の部分にも気づいていた。  
(二見さん、それって普通飲むもんじゃないんだよ……)  
教えるかどうか迷っていたが、結局、教えない方がいい、と決めた。なんだか妙にうれしかったからだ。  
 
  了  
 

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