「二見さん…居る?…」  
夕焼けの西日が差し込む理科準備室。  
放課後も遅くなった時間に相沢光一は一人、この場所にやってきた。  
昼休みに自分の机の中に見つけた手紙「放課後 準備室に来て」  
差出人の名前が無かった。  
でも、以前もこんなことがあった。光一は覚えている。  
それに、準備室に呼び出すのは彼女しか居ない。  
この場所で、二人で秘密の実験を繰り返した女の子。  
綺麗な黒髪と、整った顔立ちの娘。  
 
 
ガチャリ!  
 
不意に、光一の背後で鍵の閉まる音がした。  
呼んでも返事がないので、また寝ているのかと思い、光一が部屋の中に入り込んでいった矢先のことだった。  
光一が振り向くと、一人の少女が扉を後ろ手に押さえてこちらを見ている。  
薄い栗色の髪を、両側で三つ編に縛った女の子。  
「な、なんだ?摩央姉ちゃん。何してんの…」  
予想だにしていなかった人物の登場。  
そして、その不可解な行動に戸惑う光一。  
「光一…」  
光一の質問には答えずに、摩央は思い詰めた顔でゆっくりと近づいてくる。  
その只ならぬ表情に、光一は淡い怖れを抱いた。  
やがて、摩央は光一の目の前に辿り着き、立ち止まる。  
「…私…もう我慢できない!」  
言うが早いか、摩央は光一をその場に押し倒した。  
「なっ!やめろよ…摩央姉ちゃん、いったい何……んうっ!」  
光一の言葉を遮るように、摩央が光一の口を、自分の唇で塞いだ。  
そして、無遠慮に舌を侵入させてくる。  
「…んっ!…んっ!…んん…」  
光一の抵抗も虚しく、光一の口の中で、光一の舌が、摩央の舌に絡め取られていった。  
これが、いつか見せられた「さくらんぼ特訓」の成果なのだろうか。  
(そんな…僕…二見さん以外の人と…)  
女々しいことを言うつもりは無いが、  
それでも、彼女以外の女性に、しかも慕っていた相手にこのような形で無理矢理に唇を奪われてしまったのは、ショックであった。  
「…んん…はぁっ…ん…んん…」  
尚も口の中を、他人の意思が勝手に動き回る。  
それは不思議な感覚だった。  
 
まるで、頭の中が蕩けていくような感覚。  
意識がぼぅっとなっていく。  
「……ぷはっ…ふぅ…はぁぁ…」  
摩央がようやく口を離す。  
摩央と光一、二人の口の間には、二人の唾液が絡まり合って、糸となって伸びていく。  
光一の目の前に現れた摩央の顔は、頬が上気し、赤く染まっていた。  
かなり興奮しているようだ。  
「ふふ…どうしたの?…顔が赤いわよ…」  
しかし、自分では解らなかったが、光一の頬も赤く染まっていた。  
先刻の頭の中が蕩けていくような感覚。  
あれで、光一の身体も興奮してしまったのだろうか。  
「そんな…なんでこんな…うぁっ!」  
突然、摩央は光一の身体を裏返すと、いつの間にか手に持っていたロープで光一の両手を縛り始めた。  
「あなたが…光一が悪いのよ…あなたがあんな態度を取るから…」  
話をしながらも、手は休めない。  
雁字搦めに、後ろ手に縛られ、光一は身動きが取れなくなっていった。  
「くぅぅっ…」  
いとも簡単に上半身の動きを封じられてしまった光一。  
「何よ…あんな貧乳の娘が良いっての…」  
初めてのディープキスにより、力が抜けたところを狙われてしまった。  
普段の状態だったなら、男女の力の差、こうはいかなかったであろう。  
相沢光一の、未熟な、少年の部分が災いした。  
「くっ…何でこんなこと…そんなに僕の態度が気に喰わなかったのか!」  
「ふふふ…」  
光一が悪態をついている中、摩央は笑みを浮かべながら、うつ伏せにした光一の身体を、  
また仰向けにひっくり返していく。  
そして、そのまま光一の腰のベルトに手を掛けた。  
「……僕は、ホントに彼女のことを…二見さんのことを…」  
「まだ言うの…」  
「何でこんなことするんだよ!」  
カチャカチャとベルトを外している音がする。  
その音を聞いて、光一はようやく自分が何をされかかっているのか、おぼろげに理解し始めた。  
「ねぇ!やめてよ!何してるんだよ!摩央姉ちゃん!!」  
「だから!そういう生意気な態度がっ!!!」  
摩央はそう叫びながら、光一のズボンを一気に脱がせた。  
しかも、ズボンと一緒にトランクスまで巻き込んで、光一の下半身を露出させる。  
「あ…あぁぁ…摩央姉ちゃん何してるかわかってんの!」  
光一には摩央の感情が理解できなかった。  
ただ、自分の貞操が危機に瀕していることだけは理解できた。  
「…ふふふ…いいわ…何だかゾクゾクする…」  
そう言いながら、摩央はゆっくりと光一の股間に顔を埋めていく。  
 
「うぁぁぁ…」  
剥き出しの光一のペニスに、摩央の吐息が降り掛かる。  
普段感じたことのない、柔らかな風に晒され、光一の背スジに悪寒が走る。  
大声でついていた悪態も、もはや発することが出来なくなっていた。  
摩央はそんな行光一の様子を満足気に見つめながら、舌を突き出した。  
「あぅっ!」  
硬く尖らせた舌先がペニスに触れた瞬間、光一がさっきよりも1オクターブ高い声を上げた。  
その声が、また摩央を興奮させる。  
「ふふ…良かったまだ童貞のようね?…」  
「う…うるさい…」  
光一のその答えは、摩央の質問に対して肯定したも同じだった。  
そして、その瞬間、光一は極上のターゲットに変わった。  
摩央は興奮で震える身体を抑えながら、再びゆっくりと光一のペニスに顔を近付けていく。  
そして、柔らかい光一のペニスを舌で持ち上げ優しく口に含んだ。  
「あっ…そんな…あぁぁ…」  
フニャフニャで柔らかいペニスを、唇でモゴモゴと弄ぶ。  
口の中では、ゆっくりと舌を動かし、亀頭の先の裂け目を弄る。  
柔らかく暖かい女性の唇に包まれて、光一はかつて無い感覚に悶えていた。  
これが、快感というものなのだろうか。  
(ちがう…僕はこんな…こんなことされて気持ち良いわけじゃない…二見さん…)  
意識で否定しつつも、意識下ではまた別の感情が首を擡げ始めていた。  
もっと、もっとして欲しい。  
摩央の口の中で、光一のペニスが徐々に硬く、芯を持ち始めていた。  
 
摩央が静かに口を離す。  
「ふふふ…」  
そして、形が変化し始めたペニスを見つめ、また満足気に微笑むのだった。  
摩央の唾液に包まれ、準備室の鈍い光を反射している光一のペニス。  
それは、口に含まれる前と比べ、明らかに伸びていた。  
「…やめてよ…もうこれ以上は…うぅっ…」  
また、摩央の舌が光一のペニスに触れる。  
尖った舌先がペニスの裏スジに当たり、根元から先端に向かって、下から持ち上げるように這っていく。  
光一のペニスがピクンと震え、またペニスの角度が変わった。  
「ふふふ…どうしたの?段々立ち上がっていくようだわ…」  
そう言いながら、またペニスを口に含み、今度は竿に絡めるように舌を動かし、全体を舐めまわす。  
「そんな…そんなにするから…あぅう…」  
摩央の口の中で、光一のペニスがどうしようもないほどに伸び上がっていった。  
 
そして、快感の渦に曝されながら、光一は気づかなかった。もう一つの足音に。  
 
(続く)  
 
 

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