「興味深い実験があるの…協力してくれる?」  
 
学園祭が終わって(と言ってもサボったが…)から1週間もした頃、昼休みに二見さんが2−Aの教室にやってきた。  
その学園祭の日、二人揃ってゲーセンでサボっていたことが補導員に見つかり、それが学校に伝わったことから、  
僕ら二人はあまり良くない意味で噂になっていた。  
補導員からはすぐに逃げたつもりだったが、二見さんは思いのほか有名人だったらしい。  
「…だから、放課後に…ね…いつもの場所で…」  
しかし、二見さんはそんな噂を気にするような人ではなかった。  
2−Aという、彼女のクラスではない扉が彼女の手で開けられたとき、部屋の中にいた誰もが彼女の方を見た。  
そして、ツカツカと僕の席に向かって歩いてくる間にも、ヒソヒソと小さく耳打つ声があちこちから漏れていたが、  
彼女は一向に気に留めた様子もなかった。  
「うん、わかったよ。いつもの場所でね」  
二見さんに影響されたのか、僕も随分と図太くなったものだ。  
周りに何と言われようが構わない。二見さんと一緒ならば。  
ただ、だからこそ  
『ね…いつもの場所で…』  
と言った時の二見さんが、微かに頬を赤らめたのが余計に気に掛かった。  
僕らの関係を何と言われようが、いままで全然気にしなかったはずなのに。  
 
 
放課後  
 
僕は、僕らにとっての『いつもの場所』、理科準備室へと向かった。  
「…っと…やぁ、二見さん」  
理科準備室に至る前、理科室の扉を開けた時点で彼女が目に入ってきた。  
片隅で、塞ぎこむようにして机に突っ伏している。  
「…どうしたの?ひょっとしてさっきのこと気にしてる?…ほら、ウチのクラスで…」  
「そんなこと、私が気にすると思う?」  
二見さんはそう言いながら机から顔を起こす。  
「今までずっと『変なヤツ』で認識されてるんだから、今更…」  
そう言って僕の方を向く。  
しかし、言葉とは裏腹に、その表情はやや固い。  
僕が怪訝に思っていることを察したのか、彼女は続けた。  
「…ただ、そう…強いて言うなら、ちょっと緊張してるからかな…今度の実験に…」  
「実験?…実験ってキスのこと…?」  
僕がそう言うと、彼女はガタリと椅子から立ち上がった。  
「いいえ、そうじゃないの…その段階は終わったと思うの…」  
「段階?」  
「いいから、こっちに来て…準備はしてあるから…」  
二見さんはそう言うと、ツカツカと準備室へ向かって歩き始める。  
心なしか早足で歩く二見さんに早足で追いつく僕。  
何だか二見さんは焦っているみたいだ。珍しい。  
 
ガラリ  
 
二見さんの手によって準備室の扉が開けられる。  
「……なにコレ…?」  
準備室の床の上に、ポツンとマットが一つ。  
体育館にあるアレだ。  
「もう、わかったかしら?」  
二見さんが言う。何だか覚悟を決めたような調子で。  
「いや、いまいち…」  
いや、ホントのところちょっとわかった。さっき二見さんが言った『その段階は終わった』という言葉。  
そして、彼女の思い詰めたような表情。そして、マット。  
ただ、僕の中ではそれでも「まさか…」という気持ちの方が強かった。  
二見さんは普通の人の考えのやや斜め上を行く人だから。基本的に。  
「ちょっと…まだわからないの」  
そんな僕の態度に、焦れた様な感じの二見さん。  
「え?…まさか、ホントに?」  
僕の中で「まさか…」の気持ちが薄れて行く。  
「…私達の実験は、『B』の段階に進むべきなのよ…」  
彼女が僕の方を向き直る。  
「え?『B』の段階って……どの段階?」  
彼女の顔を見つめる僕。僕の目の前で二見さんの顔が段々と赤くなっていく。  
「『B』と言ったら『B』よ、『A』の次よ!アルファベットぐらいわかるでしょ?」  
二見さん、何だかちょっとヤケ気味だ。  
「…いや、アルファベットくらいはわかるよ…でも…」  
「…『A』=『キス』と考えた場合の『B』よ」  
「え?それってまさか…」  
「『B』=『ペッティング』よ…これって常識なんじゃないの?」  
 
あぁー、なるほど、昔々、お父さんやお母さんの時代にそんなこと言ってたみたいだね。  
 
「……って…えぇえええええええええぇええーーーー!!!!!!!!!!」  
 
「な…何よ…大袈裟ね…」  
うろたえる二見さん。  
いや、それ以上に僕の方がうろたえまくりだ。  
「ど…どこからそんな(骨董品のような)知識を?」  
「ネットで…キスの次はどうしたらいいのか、検索してたら…」  
ふーん、なるほどね。ネットには古今東西いろんな知識が転がってるからね。  
「二見さん…」  
「な…なに?…」  
「『ペッティング』の意味わかってる?…」  
「『パートナー同士が互いの身体を刺激しあい、性的興奮を高めることである』…とWikiに書いてあったわ…」  
ふぅー……どうやら意味を取り違えてはいないようだ。  
「ここで…?」  
「そうよ?…だから、こうしてやりやすいようにマット用意したんじゃないの…」  
しゃがみこんで、マットをポンポンと叩く二見さん。  
「大変だったのよ、ここまで見つからずに持ってくるの…」  
うん、どうやら本気らしい。  
何か、珍しく努力してるし。  
 
「……では…順番は私からね…」  
二見さんはそう言うと、スックと立ち上がり、制服のスカートのホックに手を掛けた。  
「えぇっ!」  
そして、僕が驚く間もなく、スルリとスカートを落としていく。  
あ、パンツは白なんだ。意外に普通だなー。  
「…って!早い、早いよ二見さん!」  
慌てる僕を意に介さず、二見さんはその白い下着の端に手を掛けている。  
「何?…私何か手順間違ってる?」  
いや、手順とかそーいうのではなくて。  
「だ…誰か来たら…その…」  
慌ててしどろもどろになる僕。  
彼女はそんな僕を横目で見ながら「ふふっ…」と微笑む。  
二見さんには情けなく写ってるかもしれない。  
「この1ヶ月、この場所での私達の『実験』を、誰かに見られたことあったかしら?」  
「いや…その…それは…」  
無かった。それは無かった。1回たりとも…。  
「だから…大丈夫よ…」  
そう言いながら、二見さんはスルッと下着を降ろしていく。  
スラリとしたスレンダーなヒップラインが、僕の目の前で露になっていった。  
僕が真にうろたえていたのは、誰かが来るかも知れないとか、そういうことではなかった。  
 
「二見さん……」  
僕はうろたえながらも、自分の目の前で下へ降りて行く彼女の下着から目が離せなかった。  
二見さんは脛の辺りまで下着を降ろすと、先ず右足を上げ、次いで、左足を上げて、下着を足から抜き取っていった。  
ゴクリ と、自分が唾を飲み込む音が聞こえた。  
恐る恐る視線を上げて行くと、そこには上半身は制服、下半身はソックス以外丸裸という二見さんの姿があった。  
丸見えになった二見さんのお尻。  
肉付きは薄いけれども、運動が苦手と言っていた割にはキュッツと引き締まって綺麗な形をしている。  
薄暗い準備室の中で、二見さんの白いお尻は際立って見え、僕は食い入るようにそれを見つめていた。  
「あ…」  
そんな中、二見さんがゆっくりと体の正面をこちらに向けた。  
彼女の左手には、今抜き取った下着が、丸まった状態で握られている。  
しかし、彼女の大事な部分は、彼女自身の右手の平によって覆われ、隠されていた。  
やはり、さすがに恥ずかしいのだろうか。  
「…そんなにじろじろと見ないで…」  
彼女の言葉に、僕はハッと我に返って顔を背ける。  
「ご…ごめん…」  
彼女に言われて、余計に心臓がドキドキ鼓動するのが速くなっていった。  
でも、こっちを向いたときに垣間見えた二見さんの顔、頬がほんのりと赤くなっていた。  
やっぱり恥ずかしいんだ。  
 
「………」  
それから先、二見さんは何も喋らない。  
僕はまたゆっくりと視線を元に戻して行く。  
「………」  
そこには僕を睨むような二見さんの視線。  
頬を赤く染めたまま、怒ったような眼差しで僕の方を見つめている。  
あれ、でも、これって何だか理不尽だ。  
自分から『B』の実験するって言っておきながら、  
自分からさっさと脱ぎ始めておきながら、  
それでいて、やっぱり僕が裸を見つめたら恥ずかしがって怒るのか?  
「二見さん…やっぱり恥ずかしい?…止める?」  
僕は率直に訊いてみた。真っ直ぐに、彼女の瞳を見つめながら。  
そんな、僕の視線の中、二見さんの瞳は微かに泳いだように見えた。  
やっぱり緊張しているみたいだ。  
そして、  
「ふう…」  
と一息つくと、意を決したように目を瞑り、  
「…やっぱりダメね…」  
と一言漏らした。  
 
…どうやら、今回は思い止まったみたいだ。  
少し(少しか?)残念な気もするけど、突然のことで僕も覚悟が足りなかったし。  
勢いで臨んでみたけど、やっぱり怖くてできなかったってことはよくあるよね。  
特に、僕らの年頃ではよくあることだと思うよ。  
天才って言っても、やっぱり二見さんだって僕の同級生なわけだし、  
「…やっぱり、恥ずかしがってちゃダメなのよ」  
いやぁ、今日は二見さんの人間らしい一面が見れて……って…  
「そう…これは私達が前に進むためにどうしても必要な実験だから!」  
あれ?  
突然、二見さんは自分のパンツを握ったままの左手を上に掲げると、  
そのままクルリと身体を反転させて(あ、またお尻が見えた)、  
窓の方に向かって走った。  
「え?…何する気?」  
呆気に取られる僕。  
二見さんは勢いよくシャッ!とカーテンを開け、ガララッ!と窓を開け、  
「えい!」  
という可愛い掛け声とともに  
 
 
パンツを窓の外に投げ捨てた  
 
 
「……って…えぇえええええええええぇええーーーー!!!!!!!!!!」  
 
「大声を出さないで!人が来たら実験できなくなるでしょ」  
二見さんは勢いよくピシャーン!と窓を閉め、シャッ!とカーテンを引いた。  
そして、  
「ふふふ…これで、後戻りできないわね」  
と言いながら、ゆっくりと身体を僕の方に向けた。  
もう、手で隠したりはしていない。  
「うわ…」  
彼女の大事な部分が見え始めたところで、思わず声を漏らしてしまった。  
スレンダーな両足の付け根の真ん中に、縦スジが1本。  
ただ割れ目があるだけではなく、その周囲は緩やかに膨らんで、柔らかそうだ。  
上はしっかり服を着ているのに、下は穿いていないというのは、何だかとても卑猥に見える。  
いや、  
それでなくても、同年代の娘の性器を生で見るなんて初めてなんだ。  
否が応にも興奮してしまう。  
僕の身体が、特に一部分が熱くなってしまう。  
気が付くと、僕は二見さんの女性器を食い入るように見つめていた。  
さっき「じろじろと見ないで」と怒られたにもかかわらず、だ。  
仕方ないよ、僕だって男の子なんだ。  
 
けれど、彼女はもう隠したりはしない。  
「さあ、実験を始めるわよ」  
それどころか、自分から僕の方へ近づいてくる。  
僕はまた、唾を飲み込んだ。  
「ふ…二見さん…」  
あれ?  
近づいてくる彼女に興奮を隠せないながらも、僕はある違和感を感じていた。  
何だろう?  
二見さんのアソコって、何だかおかしい、何だか…  
有るべきものが無いような…  
 
あ…  
 
「二見さんって…生えてない?…」  
 
ビクッと身体を震わせ、二見さんが立ち止まる。  
「ち、違うわ!実験し易いように昨日自分で剃ってきたのよ」  
うわー、凄いや、さすが二見さん。  
 
「とにかく…始めるわよ」  
二見さんはそう言いながら僕のすぐそばまでやってきた。  
今、僕の目の前に彼女の顔がある。  
相変わらず整った綺麗な顔立ちだ。  
こんな美人な娘のアソコを今から触って…などと考えると、何だか不思議な気分だ。  
高校のうちに、自分が女の子とこんなことするなんて、思ってもいなかった。  
 
二見さんは僕の前でマットの上に座り込むと、そのまま仰向けに横たわった。  
そして、  
「来て…相原」  
と、立ったままの僕に向けて、両手を広げてみせる。  
何と言うか、受け入れのポーズ?  
「う……うん…」  
ここまで来たら、僕も覚悟を決めた。いつまでも恥ずかしがってても仕方ない。  
そうだよ、二見さんと結婚するって決めたんだろ。  
だったら、これくらい、どんなカップルだって経験してきてるはずだ。  
「よーし!」  
僕はおもむろに二見さんの足元に膝を突いた。  
彼女は完全に寝転んでいるわけではなく、両膝は折ったまま、大事な部分は微妙に隠れている。  
僕はその彼女の膝に手を掛け、開こうとする。  
すると、  
 
ガシッ  
 
「うっ!…」  
 
突然、僕の頭が二見さんの手によって鷲掴みにされた。  
「ち〜が〜う〜で〜しょー!」  
二見さんは思いっきり僕の髪の毛を上方向に引っ張っている。  
「いたた!痛い、痛い!ゴメン、ごめんなさい」  
いまいちよくわからなかったが、僕は何か間違えたらしい。  
何を間違えたのかわからない僕は、顔を上げて二見さんの顔を伺う。  
「おう、先ずはこっち!でしょ?」  
二見さんは頬を赤くしながら驚いたような、困ったような表情をしている。  
そして、僕の頭を掴んでいるのとは違う方の手の人差し指で、ちょいちょいと自分の口元を指し示している。  
 
あ、そうか  
 
どうやら、僕も随分と焦っていたようだ。  
僕らにとって最も大事な『実験』を忘れてしまうなんて。  
そうだ、それに、こういったことはムードが大事だって言うし…  
 
「ごめん…」  
僕は、二見さんの両肩の側に自分の両手を付く。ちょうど、二見さんの身体に覆い被さるような格好。  
自分でも大胆なことをしていると思う。  
でも、この場合、こういった体勢でするのがちょうど良いと思えた。  
「…相原……」  
今、自分の身体の下に、二見さんの身体がある。  
こうして見る彼女の瞳は、気のせいか、微かに潤んでいるように見えた。  
やっぱり、緊張しているのだろうか。  
「…二見さん……」  
僕は、よくわからなかったけど、スッと自分の両手を横たわっている二見さんの頭の後ろに回した。  
何だか、映画で見たような状況。  
「相原……」  
二見さんは静かに目を閉じる。  
僕は彼女の頭を軽く起こすと、その唇に向かって、自分の顔を近付けて行く。  
「ん・・・」  
そして、唇を重ねる。  
唇を通して、二見さんの体温が伝わってくる。いつもより熱い。  
いや、今日は唇だけじゃない。身体ごと重ねあっている。  
「ん・・・ぷは!……あ…ん…」  
息継ぎを挟んで、ぼくらはいつもより長い接吻を続けた。  
そして、  
「……━━━━━っ!!」  
次の瞬間、僕の背スジにゾクリと衝撃が走った。  
(二見さん…何処でこんなこと覚えて…)  
正直驚きでいっぱいだった。  
二見さんが、自分から僕の唇の中へ舌を入れてきたんだ。  
いけない。  
実際にこういった行為をしたのは初めてだけど、女の子の方からこういうことさせちゃいけない。  
そんな気がした。  
だって、二見さんの舌、震えてるし、唇だって震えてる。  
僕は、自分の舌を使って懸命に彼女の舌を押し戻すと、今度は自分の舌を彼女の口の中に入れた。  
「んんっ…んっ……」  
よくわからない。だって、こんなことは初めてだったから。  
二見さんとキスは何度もしたけど、ここまでは初めてだった。  
どうしたら良いか、よくわからないけど、僕はとにかく一生懸命、自分の舌を動かした。  
二見さんの口内を這い回るように、いろいろと動かしてみた。  
自分の舌を彼女の舌の上においたり、舌のまわりに巻きつけたりしてみた。  
「はぅ…んっ……」  
二見さんの頬がますます上気していく。  
これでいいのだろうか?このやり方で合ってるんだろうか…  
いや、正解なんてわからない。  
でも、二見さんは拒否してこない。それどころか、今度は自分から両手を僕の背中に回してきた。  
良いんだ。彼女が良いって言ってるから。  
 
(よし…!)  
 
僕も、随分と大胆な気分になっていた。  
彼女と付き合っていく以上、恥ずかしがってばかりじゃダメだ。  
自分から動かないと。  
僕は、片手で彼女の頭を支えたまま、もう片方の手を彼女の股間に向けて這わせていった。  
 
「んんっ━━━!ん……」  
 
僕の手が、彼女の内腿に触れたとき、二見さんの身体がビクン!と大きく震えた。  
でも、拒否はしてこない。  
僕は、そのまま手を進める。  
 
「んっ…ふぅっ……」  
 
柔らかい、柔らかい緩やかな双丘に僕の指が触れた時、僕の背中に回った二見さんの両手が、ギュッと握られていく。  
でも、ここからどうしたらいいんだろう。  
わからない、わからないけど、とにかくその形を確かめたくて、僕は自分の中指を彼女のワレメに這わせた。  
微かに湿り気を帯びているような気がする。  
「んっ……」  
二見さんの身体はまたビクン!と震え、キュッと目が固く閉じられた。  
これでいいのだろうか。僕は、そのまま2度、3度と彼女のワレメの上で中指を往復させた。  
 
「んんっ…!……ふ…ぷはっ!!」  
 
そんな中、二見さんは両手を使って力いっぱいに僕の上半身を自分から押し剥がした。  
「はぁ…はぁ…ん…」  
何度か、激しく息をつく二見さん。  
すっかり上気した頬。とても艶っぽく見える。  
そして、ゆっくりと目を開けると、その瞳は潤んでいた。  
「二見さん……ダメ…?」  
何かいけなかったのだろうか?  
この実験『B』は…難しい。  
「違うわ…」  
二見さんが、潤んだ瞳で僕の顔を真っ直ぐに見つめながら言った。  
やっぱりやり方が違うのか…  
「……ちゃんと私の顔を見ながら、やりなさい…」  
うぅっ…さすが二見さんだ。  
僕はまた、彼女の性器の上で、自分の手を動かし始めた。  
もっと、弄るように指を使ってみようか…  
 
 
(つづく)  
 

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