『Dreaming sergeant Part-01 "夢"』  
 
 
 
ケロロ軍曹…彼はガマ星雲第58番惑星宇宙侵攻軍特殊先行工作部隊隊長であるが、それは周知の事実  
だろう。では、もしそのケロロが男ではなく、女性だったとしたら…?  
この設定はこのパロのみの話ではあるが裏付けも無くはなく、ケロロのアニメでの声優さんが渡辺久  
美子氏という時点で勘がいい人は何かおかしい事に気付いていたかもしれない。ケロロと同年代で同  
性であるはずのギロロやドロロがあのような無骨な声なのに、ケロロだけがどこかガキっぽい女のよ  
うな声というのは甚だ不自然である  
それに、回想シーン等で彼女が出てくる時の声を聞いたら、まず男とは思えないぐらいの声だと認識  
するだろう。一応タママはまだ子供だから小桜エツ子氏の声もピッタリではあるだろうし、ギロロの  
幼少時の声も声変わりをして変わったとすればそこは合点がいく  
 
ケロロが女性…この事実は小隊の皆には勿論、冬樹や夏美にも秘密な彼女だけの秘め事である。それ  
を隠す事は簡単だ。外見だけなら女性も男性もほとんど大差の無いケロン人ゆえの特徴を利用すれば  
いい。だが、例えばもしモアが彼女を女性だと気付けば、どうなると思うだろうか?無論ケロロを男  
性として慕ってくれている以上、相応のショックを伴う事は火を見るよりも明らかだ。それは小隊の  
皆も同じように、こんな事実が知れたら、今までの平穏な生活も何もかもが崩壊してしまうだろう  
…性別云々の話題はこのくらいにして、ここからは真剣な話だ  
彼女はこの星に来てからというものの、遅々として進まぬ侵略に気長に構える一方で、もう一つ気に  
なっている事柄があったのだ。それは冬樹の事だ。ケロロは曲がりなりにも一人の女性であるから、  
もちろん異性のことを考える時もあるであり…………つまりはそういうことだ  
でも、だからといってケロロと冬樹はいまだ親友の段階…それに彼女はケロン人で冬樹はペコポン人  
なのだし、なによりも冬樹の気持ちも知らずして、こんな事を打ち明けたらどうなるものかも解る  
「ちょ、ボケガエルっ!?」  
「へ?…あ、ああ〜〜!!!」  
 
そうだった。このナレーションのような事を彼女は考えていたが、いまケロロは日課の選択の真っ最  
中であったのだ。洗濯機から何やら不穏な黒い煙と不自然な泡が大量に吹き出てきている  
「なにやってんのよ!早く電源止めて!」  
「ヒィーーーヤァーーー!!夏美殿、これには深い訳がありましてッ!!」  
「言い訳は後でいいわよ!それより早くしないと洗濯物がぜんぶ駄目になっちゃう!」  
ケロロと夏美は大急ぎで暴れる洗濯機と格闘したでありますが、どうにか無事に生還させた洗濯物は  
全体の3分の1…あとはスクリューに絡まってズタズタになったものとか、ビショビショになって糸  
がほつれてしまったものも……ケロロ、我輩一世一代の大失敗だ  
「ボ〜ケ〜ガ〜エ〜ル〜!」  
「ヒヒヒィーーーー!!」  
夏美の怒りはいつもの3倍増しだ  
こういうとき自分はどう対処すればいいのかわからず、見えない助け舟を求めた  
「あれ、姉ちゃんどうしたの?」  
「あ…冬樹、帰ってきたの」  
すると、本当に助け舟が現れた。ケロロはこれは助かったと思って冬樹に泣きすがり、この場を切り  
抜けるための打開策を講じるのだが…  
「ダメじゃないか軍曹、きちんと家事はこなさないと」  
「エエエー!?冬樹殿ぉーー!!」  
「冬樹の言うとおりね。大体こうしてあんたが家事のオーバーワークを求めてきたのは、お小遣いを  
前借してまでガンプラ買ったのが発端なんだし、最後までちゃんとするって言ったのはアンタじゃな  
いの!」  
「うぐぅ…」  
確かに言いだしっぺはケロロのため、反論する事はままならないというか出来ない状況ではあったが  
、少しは冬樹殿も擁護したっていいじゃない!と彼女も心の内で嘆いていたという…  
 
その後、余分に家事が追加されたのは言うまでもないが、ケロロは本当に疲れてもう動けなかった  
こうやってTV見ながらだらりと横になってはいるが、実際は地下の自室に戻るのもしんどい気さえ  
していて、そのうち自然に睡魔に襲われていった…  
…ん?  
何だか枕のような感触がケロロの頭に当たっている  
それも微妙に柔らかいような感じがするのだが…??  
「あ、軍曹起きた?」  
「えッ!?」  
ケロロはしゅびっと身を起こし、その眼前にいる人物に視線を定めた。もちろんそこにいたのは冬樹  
であり、彼はケロロを膝枕していたのだ  
「ふ、冬樹殿!?」  
「どうしたの軍曹、顔が赤いみたいだけど?」  
「う、これは…その……な、ナンデモないであります!」  
「あっ、軍曹!」  
ケロロは、いくらなんでも寝ている自分に膝枕してくれるなんて、サービス良すぎであります!!と  
言いそうだったが、そこはぐっと押さえた。ともかく…これで眼も覚めたので、彼女は恥ずかしくっ  
て大急ぎで自室へと駆け出してしまった  
こんなに赤くなった自分の顔を冬樹に見られたら…ケロロは思わず羞恥心で押し潰されそうであった  
 
息も絶え絶えに、逃げ込むように部屋へと帰ってきたケロロは、座椅子にその疲弊した身を預ける  
横になって部屋のTVの電源を付けようとした時、ふと部屋の隅の鏡が視界に飛び込んできた  
「…」  
不意に、普段使わないような鏡に彼女は近づいた  
そこには緑色のペコポンで云う爬虫類っぽい体をした自分の姿が写っている  
だが、冬樹はペコポンで云う哺乳類の部類に入るホモサピエンス…人間である  
種族間・異星間での結婚は、宇宙的に見ても決して珍しい事ではない  
しかし、この話はちょっと話が違う…相手はそんな宇宙のことなんて露ほども知らないのだ  
「どうして…」  
鏡に手をかけると、同じように鏡の向こうの自分も手を合わせて動かした。それは鏡に写っている姿  
が紛れも無く自分であるという事実を突きつけている事である  
 
…ケロロは、自分がケロン人である事を呪っていた  
いや、自分のケロン人という姿を呪っていたのだろう  
人間に似ている宇宙人は多く、細部は違っていてもその姿形はほぼ同じという種族は多い  
この手の種族は宇宙間のレベルで人気があり、かつてヴァイパーが小雪を売り飛ばそうとしていた時  
に「ペコポンの女は高く売れる」と言った言葉からしても、それは確かだ  
前述したとおり、冬樹はそんな宇宙の都合は知らないし、姿の違う種族間の恋愛なんて彼でさえも常  
識の範疇外だろう  
だったら…もしケロロが自分は女でつきあって欲しいと告白したとしても、冬樹にその言葉は突っぱ  
ねられる可能性は限りなく高い。ケロロはその事実に失望していたのだ  
「どうしてなんで…ありますか!!」  
ケロロはその大きな黒い瞳に涙を浮かべ、闇雲に鏡に拳を叩き付けた  
殴るたびに鏡は割れ、彼女の手は傷付き鮮血が飛び散った…が、それは今のケロロの心情そのままを  
表しているかのようだった  
 
どれ位そうしていたのだろう…うなだれたまま、血だらけの手を割れた鏡にめりこませた状態で、ケ  
ロロは静止していた。無残にも突きつけられた現実に耐え切れず、啼いてしまった自分…これは所詮  
諦めるべき想いなのか  
「ぐ、軍曹!?」  
「?」  
そこに、彼女を夕食に呼ぼうとやって来た冬樹が現れた  
驚いている彼を見てきょとんとするケロロだが、すっかり自分の血濡れの手の事を忘れていたのだ  
「どうしたんだよ軍曹!早くその手をなんとかしないと!!」  
「フユキ、ドノ…」  
その代わり、ケロロは先程まで頭の中を席巻していた想いが溢れそうだった  
自然に涙が溢れ出し、胸を何度も焦がしていた想いを口にしそうにしてしまう  
"我輩は冬樹殿の事が好き"…と  
「わッ、なにしてんのよボケガエル!?」  
「ゲロッ!?」  
…だが、そこに冬樹と一緒にやって来た夏美も登場し、ケロロは一気に冷静さを取り戻した  
あたふたと納得のいかない言い訳を並べるが、夏美は険しい顔で近づいてくる  
またお仕置きでもされるのかと顔を伏せるケロロだったが、夏美は彼女の手を取った  
「ごめん、ボケガエル!」  
「ハヒィ〜!夏美殿許しッ……え?」  
「さっきのあたしの事でしょ?ごめん、あれからあたしも言い過ぎたって思ってたから…」  
側にあったティッシュで手の血を拭うと、夏美はとても申し訳無さそうな顔でこうべを垂れる  
予想外の反応に驚いていたケロロだが、夏美の表情を見て自分まで申し訳ない気分になってしまった  
「夏美殿、我輩は気にしてないであります…少しワタクシ事で悩んでただけでありますから」  
元気付けようと笑顔を作ったケロロだが、その笑みも元気の無いものになっていた  
だが、それで夏美の気分を立ち直らせるには十分だ  
「う…うん、ボケガエルがそう言うなら…」  
「さぁ、姉ちゃんも軍曹も晩ご飯だよ。早く行こう」  
不安そうな顔で見守っていた冬樹の声にも明るさが戻り、夏美とケロロがそれに続いた  
 
 
この平穏はずっと続いてほしい  
でも、この事実を告げてしまえば全てが崩れ去ってしまう  
伝えなければ、自分の心が腐っていくだけで済むが…  
ケロロは、いま究極の選択を迫られていた  
 
 
ある日、ケロロは思い立ってクルルのところに行ってみることにした  
きっと奴の事だから、こちらの性別の秘密まで見透かしているだろう  
それがネックで今まである依頼を彼にしなかったのだが、以前の一件で決心は付いた  
「クルルー、いる?」  
いつもの能天気な声を装うとして、変な高さの声でクルルズ・ラボに声を飛ばす  
すると重い扉が開き、そこから何故か逆行を浴びつつ黄色いアイツが姿を現した  
また徹夜をしたらしいが、そのメガネの眼光はいつもどおりの鋭さだ  
「何だ隊長…今ちょっと眠くてな、」  
「作ってほしいものがあります!」  
クルルの弁解も聞かないで、ケロロは開口一番自分の願いを優先した  
思いっきり不機嫌な顔をするクルルだが、次の注文は彼の発明意欲を刺激するものだ  
「ペコポン人になる武器を作ってほしいであります!」  
…この言葉に、クルルは少し思慮した  
確か、以前動物をペコポン人に変える銃を作ったが、あれは身体的な構造が単純(クルル基準)だっ  
たからできたものであり、逆に複雑な作りのケロン人からペコポン人になるのは結構…いや、かなり  
難しい  
前に使用したクルル子だって、その問題があって実現せずペコポン人スーツで間に合わせたのだ。そ  
うそう"銃で一発、ハイできました"というわけにはいかないのだ。しかし、それなら体外からの影響  
で変化させるのではなく、体内からの効果で変身させる事ができれば…?  
 
「ワカった、じゃあ3日後にな…隊長」  
「あ、アレ?」  
ケロロは、またクルルがネチネチ確信をつく言葉を言ってくるのかと構えていたが、こうしてあっさ  
りOKが出るとは、少し拍子抜けしてしまった  
しかし、つまりはややこしい交渉などせずに済んだということもあるので、再びラボに戻るクルルを  
見送ったケロロは、足取り軽く自室へと引き返していった  
「(ゲロゲロリ♪あのクルルが不問で我輩のワガママを聞いてくれるなんて!…でも、かえって心配  
でもありますケド)」  
 
どさっとクッションに身を預け、ケロロはあと少しで叶う"夢"のことを考えていた  
"夢"…それは、冬樹と同じ姿になって、いろんなことをする夢のことだ  
まず、冬樹を抱きしめたい。それから次はいっしょにガンプラを買いたい。映画に行ったり、食事を  
したり、そして最後は…  
「あッ」  
こうしてその"夢"を考えながら、股間の秘裂に何度慰みの快楽を求めたのだろう  
クッションに顔を埋め、声を殺してなんどもこうして…自分を…  
「ふ…ゆき……どのぉ…」  
小さくて可愛らしい足の間に手を這わせると、くぷっ…と指を挿入した  
ペコポン人とケロン人では快楽の度合も、感度の具合もぜんぜん違うはずだ  
だから、できるだけペコポン人と同じ部位で感じるように、今までの自慰でそうしてきた  
乳房は無いが相当する場所をぷにぷにと触り、クリトリスはケロン人に存在しないが同じような場所  
を何度も刺激する  
こうして自分の肉体を思うように改造…とは大袈裟な言い方だが、そうしてきたのだ  
「はッ…、きもち……いいでありま、あっ!!」  
大きな瞳から零れる涙は、みんなクッションに吸い取られていく  
動悸はまるで梅雨のときのような高ぶりようを見せ、つるんとしたしっぽはヒクヒクと震え出す  
息苦しさに喘ぎ、ケロロは伏せていたクッションから一旦離れ、今度は仰向けになった  
緑の肌は桃色に染まり、口からは無意識に想い人の名前が漏れ出し始めた  
「ふ、冬樹どのぉ…すき…すき…ひあぁッ!!」  
二本目の指が膣内に入り込み、びくんと背中が浮いた  
愛液が股を濡らし、絶頂の開放を求めて身体が暴れるが、意識は快楽に飲み込まれていく  
「ひゃ、あッ!や……イ、駄目であります…う゛ぅあっ!!」  
帽子の端を口に含んで必死に自分を保とうとするものの、限界は容赦なく迫りつつあった  
水分に敏感なケロン人の体は発汗作用が著しく、身を預けていたクッションやマットはベトベトだ  
嬌声をこれ以上押さえ込むことはできない…ケロロは三本目の指を挿入して、最後の加速に入った  
「……ッ、んぐぅう…んっ、うああ…!あっ、ひぎぃいいッ…………!!!!」  
瞼を強く閉じ、歯を噛み締め、絶頂の快感が身体から抜けきるまでの間、ケロロは全身を強張らせる  
やがて押し寄せる気だるさでさえ快感にも感じ、かくりと力が抜けた体をマットに任せた  
「は、あぁ…んう……く…!」  
揺れる視界の中で、ケロロは嬉々としていた  
この快感を、もしかしたら冬樹と共有できるチャンスがあるかもしれない、と  
 
 
ケロロはこの三日間、クルルに頼んでおいたものができるのを楽しみにしていた  
早く人間になりたい…とは某妖怪人間の弁だが、このときのケロロの気持ちも似たようなものだった  
「なんか上機嫌なのよね〜、ここんところのボケガエル」  
食事の席で夏美に指摘され、ケロロは少しだけ動揺した  
確かに最近家事をやってる最中に鼻歌が聞こえてきたり、いつもより洗濯が上手に終わってたり…  
「軍曹、何かいい事でもあったの?」  
冬樹の言葉に、ケロロはただニヤけて何も言わなかった  
あまりにスマイリーなケロロに不信感を抱いた夏美は、すぐさまクギを刺す  
「まーた地球侵略のことでしょ!?」  
「ふふん♪違うでありますよ!」  
「う゛…」  
屈託の無い笑顔で返されたので、返答に困った夏美はそれ以上突っ込んだ言い回しはしなかった  
 
ケロロは夕食もそそくさと終わらせ、真っ直ぐにクルルの元へと向かった  
早くペコポン人の体になって、そしてその姿だったら冬樹にも納得してもらえるかも…  
ささやかで儚かったはずのこの"夢"が、今やっと実現する  
気付いたときにはクルルズ・ラボの前に立ち、その門を叩いているときだった  
「クルル〜?例のアレ、完成したでありますか〜?」  
だが、別に騒ぎ立てる必要は無いので、ケロロは落ち着いてクルルを呼ぶ  
案の定、クルルは前とは違って達成感を湛えた笑みで現れた  
「何の用だい、隊長?」  
「何の用…って、トボけないでよ!あのサ、前頼んだアレだってばアレ!」  
若干慌てた素振りのケロロを見て、さらにクルルは卑しい笑みを増す  
「ク〜ックックック…ま、そう慌てるなってーの」  
クルルは指でOKサインを出した  
その合図で本当にあの発明が完成しているという事実に、ケロロはまた一段とテンションを上げる  
決して発明の多くを語ろうとしないクルルは、「言うより見たほうが早い」と言ってラボに通した  
だがケロロがラボ中を見渡してその発明を探しても、どこにもそれが見当たらない…?  
「えと、クルル…どこ?」  
「何を探してる?これだゼ」  
ふと、クルルが指差す先には小さな黒いケースが置かれていた  
てっきりなんとか銃とかを作ってくると予想したが、これはかなり意外なものができてしまった  
ケースを開けると、そこにはまるで宝石のような8つの赤い錠剤が収められている  
「おお!つまりコレを服用すると、たちどころに…なに〜、その〜ンフフフ」  
「そのとおり…と、言いたいところだが、世の中そんなに甘くは無いんだぜ」  
クルルは真剣な顔で、これだけは絶対に忘れるなと念を押した  
 
…ラボから出てきたケロロは、そのケースを帽子の中に隠して自室へと帰っていく  
だがその足取りは、ようやく夢の薬を手に入れにしては事のほか重い  
それは、さっきクルルが説明したこの薬の取り扱いについてのものだった  
何度でも知る事ができるようにクルルからメモ書きを預かってきたので、それを再び読み返した  
 
 1、この薬は全部同じ効果があるが、連続しての服用はできないこと  
 2、ペコポン人化して元に戻るのは5時間後で、すぐに戻りたいときはもう一錠服用すること  
 3、この薬は精製が特殊なため、これ以上の製造は不可能であること  
 4、一回で複数の薬を服用すると二度とケロン人に戻れず、その逆もまたしかりであること  
 
「な、なんだか…色々とヘビーな設定目白押しでありますなぁ…」  
ケロロはメモ書きを帽子に戻すと、まず薬の効果を試すべく自室に駆け足で向かうのだった  
 
戸締りを確認し、冬樹や夏美が来ないようにスケジュール合わせも完璧  
あとは薬の効果を確かめるのみだが、ここにきてケロロはある重大な事実に気が付いた  
それは自分がペコポン人化した際、年齢はどのくらいで構築されるかという事だ  
地球人とケロン人では年齢などで大きな差があり、そもそも種族が違う固体に変身するわけだから、  
これが地球人に換算されるとどうなるのか…ここらへんの計算はややこしく、とてもケロロの頭では  
処理し切れる問題ではなかったので、やってみるまでどうなるかわからないのだ  
「これはこれで…ちょっとした度胸試しであります」  
ケロロは次なる現実と闘わなければならなくなった…それも、今度は絶対に避けられない現実だ  
もしペコポン人化しておばあさんや熟女だったらどうしようもないだろう  
だが、あるいはロリ幼女や年上のおねえさんという可能性も捨てられたわけではない  
緊張を解きほぐすためにケロロは大きく深呼吸をして、真剣な眼差しで薬を見つめた  
「…」  
覚悟を決め、ケロロはそのまま無言でそれを口に運んだ  
こくりと喉が鳴り、だんだん体が内部から熱くなってくるのが解った。続いて、動悸が爆発するかの  
ように激しさを増し、四肢に激痛が走り始めた。体は発熱し、信じられないほど汗が吹き出ている  
「うあぁっ…!!」  
大気中からはペコポン人化したケロロの服を具現化するために大きな流動が始まり、全身の骨格や内  
臓に各種器官、そして外見の順番で大変化が進む。耐え難い苦しみに喘ぐケロロだが、この苦しみを  
越えてこそ、冬樹と実現させる"夢"がある…気の遠くなるような痛みの中で、意識だけは飛ばさまい  
と、ケロロは必死で耐え続けたのだった  
 
 
「ん…」  
ずっと続くかと思っていた激痛は、いつのまにか治まっていた  
なんとか最後まで気絶せずに意識を保てたケロロは、重い体を起こして這うように鏡へと向かった  
少し見るのが怖かったが、それでも目を背けてはいけないと思い、この前壊してテープで修理した鏡  
を手に取った  
「我輩の…姿は………?」  
恐る恐る目を開いてみると…  
 
…そこには緑髪の若い女性が、不安そうな面持ちで映っていた  
ケロロが右手を頬に当てようとすると、鏡の中の女性も右手で頬に手を当てる。ケロロが左の目を瞑  
ると、鏡の中の女性も左の目を瞑る。そして、頭に手を当てると豊かな長髪が指に絡みついた  
瞳は深い深緑、目はとろんとした大きなもので、年齢は夏美よりも上で秋よりも下といった風体だ  
服装は迷彩柄の軍服で、首や胸の周りなど上半身の露出が目立つが、ケロロの嗜好には合っていた  
胸は思ったよりも豊かで、手のひらで覆っても少し余るぐらいのサイズだ。ヘソ出しルックの軍服と  
はどうかと思われるかもしれないが、腰はほどよく括れてとても魅力的である。尻は小ぶりだがハリ  
があり、Gパン生地のズボンもピチピチだ  
 
全身をくまなく嘗め回すように鏡や自分の目で確かめ、ようやくケロロは自分が無事にペコポン人化  
した事実を認識した  
「…ヤベェ、ヤベェよ我輩!これって勝ち組ってヤツ!?」  
人間になってもあいかわらずのリアクションで、ケロロは歓喜と共にベタベタと自分の体を触った  
爬虫類のようなツルツルの体じゃないスベスベの人間の肌、やわらかい胸や頬や腿…これこそケロロ  
が待ちに待っていた憧れの身体だったのだ  
身だしなみにはそんなに執着しないケロロは、それよりももっと気になっていた人間の女性の身体を  
堪能すべく、ちゃっちゃと服を脱ぎ散らかす  
「さぁて…知識としてはネットでバッチリでありますが、聞くとヤルとでは違うでありますから…」  
下着姿になったケロロは、まずは胸を開放してみることにした。ブラを外すと、ぽよんと二つの玉の  
ような乳房が全貌を現した。まじまじと見つめ、握ってみるとたわわな胸は柔らい感触と共に形を変  
える  
面白がって触りまくっていると、さすがに少し痛くなってきたので次に先端を弄んでみた  
健康的な桃色は抓ると刺激を感じ、ぺろっと嘗めると変な感じだ  
続いてケロロが一番気になっていた下半身の探求に移行する  
 
薄いショーツをたどたどしく脱ぐと、そこには僅かな茂みと熟れた秘所が姿を現した  
「ふわぁ…こうなってるでありますか……」  
今までやってきた自慰行為でケロン人のものは見慣れているが、こうして人間のは見たことがない  
かつての自慰のときの要領で、ケロン人の時の何倍も長い人間の指で、股間をなぞってみる  
すると、さらっと触っただけでくすぐったいような感覚を受けた  
予想よりも敏感な人間の身体に戸惑いつつも、ケロロはもう少しだけ触り続けた  
「ん……はぁ…ぁ……」  
別に花弁を刺激してはいないものの、既に性的快楽はケロロの体を蝕み始めていたのだ  
やがてその手は自然に胸に届き、たわわなその肉塊を手に包む  
親指と人差指で先端部に少し力を入れると、さっきよりも大きい刺激が体を振るわせた  
「こ、こうしたら…んっ、ペコポンのメスは……ひッ!!」  
事前に仕入れた知識でどうやれば感じるのかは解っていたが、実際これほどまでとは思わなかった  
そもそも、この地球という星に住むニンゲン…ペコポン人の環境には娯楽や享楽、快楽が多い  
それはひとえにペコポン人が欲に忠実な種族だという事もあるが、ケロン人と人間で決定的に違って  
いたのは、身体の仕組みはもとよりケロン人に比して人間のほうが性感帯が多いという事にあった  
ケロロはこの事に関して人間を見くびっていたようだが、今はそれを嫌というほど思い知っている  
「そんな…ぁ………っく、気持ち…イイであります……ッ」  
身体をヌメヌメと汗で光らせ、ケロロは堪らず床にへたりと座り込んでしまった  
股間を弄る指は肉壁をかき分けて膣内を蹂躙し、乳房は嬲られトップが淫らに勃起している  
成熟した身体はさらなる肉欲を求めて快感に打ち震え、さらに激しく乱れていく  
妖艶な吐息を吐き出し、ケロロはぐぐっと体を伸ばした  
「これで…冬樹殿と…んっ!…冬樹殿と我輩は……わがはいは…ひゃうッ!!」  
ケロロは髪を振り乱し、恍惚の表情で一心不乱に自らを貪った  
冬樹と結ばれる事ができるのと新たな快楽の悦びの発見で、彼女は垂涎の至福に包まれていた  
――その想いが日向家を、小隊を、大切な人々を巻き込んだ大事件に発展してしまう事も知らず…  
 
ケロン人でいたときよりも加速度的に増していく快感は、ケロロの限界を早々に促すものだった  
じわじわとこみ上げてくる絶頂…それは彼女にとって、知っているようで全くの未知なる感覚だ  
へこたれている膝の間からは、愛液によって作られた小さな沼が顔を出している  
何本もの指が暴れ回り、膣内から分泌される粘液は限界によって生ずる決壊を比喩していた  
「ひぅッ!あ、ああ、…っ!ひ………」  
もはや声が外に漏れ聞こえるとか気にしている場合ではない。指は膣内を掻き乱して、溢れる快楽は  
我慢の範疇を超えている  
しかしどんなに抵抗しようとも、やがて限界は自然にやってくるものだ  
ずっとこの快感を味わいたかったケロロだが、しかし絶頂には抗えない  
「ああ゛、ひッ…ぃ……んううううぅッ!!!」  
眉根を寄せ、肩がガクガクと震えたと思った瞬間、ケロロの全身をえもいわれぬ感覚が突っ走った  
目は焦点を失い、溢れ出る潮はそのまま彼女の感じた快楽を表すかのように垂れ流されている  
 
ケロロは背中を丸めて絶頂を感じていたが、余韻に浸りつつも事後の事は忘れていない  
「ふ…はぁ、はぁ…ヤバ、床濡らしちゃった…で、あります…ん…」  
とろんと潤んだ目は涙を溜めているが、それを拭って後始末を開始した  
淫らに汗ばんだ肉体は艶やかな湿り気を帯びていたので、まずは震える身体の洗浄にかかった  
タオルを引き出しから持ち出し、火照った身体に冷たい洗礼を与える  
「ふぅ………イヤ、凄かったであります」  
何とか冷静さを取り戻しつつあるケロロは、いま自分が堪能した人間の性的快感に心底驚いていた  
今まで同じ行為を続けていたにもかかわらず、この自慰で感じた感覚はそれを凌駕している  
こんな調子で、もし冬樹と"する"時になったらどうなるかわかったものではない  
「…ま、なんとかなるでありますな」  
床に溜まった愛液をクリーナーで吸い取りつつ、常に前向き思考なケロロらしい台詞が飛び出した  
とりあえず服も着て、あとの時間は自分の体を理解するのに使おうか…そう考えていたときだった  
部屋の扉をノックする音が聞こえてきたのだ  
 
「〜〜〜〜〜〜ッ!!?」  
ケロロは心臓が止まるかと思うぐらい驚いたが、ギリギリで声までは出さなかった  
この姿を見せたら自分が女性である事が解ってしまうため、そういうわけにはいかない  
内心バクバクしつつも、気分を無理矢理落ち着かせて返答したが、思わず声が裏返ってしまった  
「あ、あのォ〜…どちら様でアリマスカ??」  
「…あたし」  
返ってきた声は夏美だった  
心なしか声がくぐもっているようだが、構わず話を続けていく  
「あ、あのさ、ちょっと中に入ってもいいかな…?」  
「え゛!?」  
いきなり核心を突く質問にケロロは驚いたが、この姿のままでは中に通す事はできない  
どうしようとうろたえるケロロは、さっき人間になるときに仕様した薬の説明書を思い出した  
確かすぐに戻りたいときはもう一錠服用すればなんとかなるとあったが、それを使ってしまえば貴重  
な1回分の変身ができなくなってしまうことになる  
「ボケガエル、ちょっと聞いてる?」  
「う、ああハイハイ!!」  
だがこの状況では背に腹は変えられない。覚悟を決めてケロロはケースに手を伸ばした…  
 
 
 
【to be Continued】  
(薬の数…残り7錠)  
 

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