ここケロン小隊地下基地には、スクリーンに映し出された金属性の怪しげな物体をみつめるケロロ軍曹・ギロロ伍長・タママ二等兵の姿があった。クルル曹長の説明が続く。  
「相手の脳に直接作用して、あとはクークックックックッ」  
「つまり、この機械がポコペン人には理想の男性に見えてしまい、性行為に溺れてしまうということでありますな。」  
たまらずケロロが答えを出した。クルルが頷く。  
「そのとーりだぜぇ、好きな奴とSEXできるんだから誰にもメーワクかかんねぇし、ポコペン女は骨抜きになって、侵略はラクラクすすむってこった。」  
「なんで男の人用はないんですかぁ」  
「そっちは誰もみたかねぇんだよクックッ」  
タママの問いには即効答えがかえってくる。  
「・・くだらんな・・・ところで、なんで俺だけ縛られているんだ?」  
ひとり、椅子に鎖でグルグル巻きにされたギロロがやっと声を出した。  
「それはねぇ・・」  
顔を見合わせるケロロ・タママ・クルル。  
「ママ殿は残業」  
「フッキーは補習で学校からの帰りが遅くなるです。」  
「つまり、日向家には夏美ひとり、いい実験ができると思わねぇかい?」  
「やめろー。夏美に手を出すな。」  
ギロロが必死の形相でもがくが鎖は簡単には外れない。クルルがそんなギロロの肩をポンと軽く叩いた。  
「安心しなよオッサン、あっちに興味がなかったら、ただの金属の塊が目の前に現れただけですむんだからよ。」  
「いよいよ始まるでありますよ」  
「楽しみですぅ」  
スクリーンに夏美の姿が映し出される。そして、金属塊と対峙した彼女はギロロが聞きたくない名前を口にするのだった。  
「623さん!ど、どうしたんですか突然?」  
 
「クルルは地下だと思うんですけど・・」  
「今日は君に会いたくて来たんだよ。夏美ちゃん」623が優しく微笑んだ。  
「えっ・・えー?」夏美の顔は真っ赤になった。  
 
「うーん・・・機械が何を言っているのか、わからないのがいまいち面白みにかけるですぅ」  
「夏美の脳内にしか伝わらねぇからな」  
「夏美殿にはアレが623殿に見えていることは間違いないでありますな。」  
スクリーンに没頭する3人を尻目にギロロは脱出を試みようとするが、夏美の声が「623さん」と嬉しそうにはずむのが聴こえると、集中力が衰えてしまうのだった。  
 
「お茶、どうぞ」  
リビングのテーブルに夏美は紅茶を置く。カップとソーサーがカタカタと音をたて、手が震えていることがわかる。ソファに腰掛ける623の前と対面の席になんとかソーサーを置くことができたその手に623の手が被せられた。  
「隣に座ってほしいな。」  
夏美は言われるまま、ヘナヘナとソファに座り込んだ。623の綺麗な瞳に見詰められた夏美はその魅力的な誘いに抗うことはできなかった。  
(これって、恋人同士みたい・・)夏美は、はにかんで俯いた。右の半身に623の体温を感じる。  
「あ、あの、623さん、」  
623の表情を伺おうと、夏美が上目使いに視線を向けた時だった。  
夏美の身体は強い力で623の胸に引き寄せられ、反動で反り返りつき出された唇に623の唇が重ねられた。間髪をおかず舌が夏美の歯の間から押し入ってきた。623の舌が夏美の口腔内を探る。  
(初めてのキス、憧れのキス・・・それが、こんな大人のキスだなんて)お約束の{目を閉じる}も忘れて、夏美は呆然としていた。  
 
「これはいわゆるキッスですかぁ」  
「いやぁ、金属が口の中に入っただけだから、スプーン舐めてるのと同じじゃね?」  
金属の塊が夏美にへばりつき、その一部を夏美が口の中に入れている、地下基地のスクリーンにはそんな画像が展開されていた。  
金属の塊は夏美とともにソファの上に転がった。夏美に金属が覆い被さる。呆然としていた夏美の表情がくずれ、節目がちの真っ赤な顔になった。  
「ちっ、失敗だな。こんな画じゃ売れやしねぇ」  
 
623の手が服の下に入ってくる。ブラを押し上げ乳房を掴み上げると、その手は開閉を繰り返しながら上下に運動を始めた。  
「あ、あぁ・・」夏美は恍惚な吐息を漏らした。憧れの初体験が、ファーストキスと同時にやってきてしまうとは。  
乳房を掴んでいた手が、肋骨から臍へとカーブを描いてゆっくりと降下してくる。下着の中に入ってきた指が恥丘の上に辿り着いた。  
夏美は大腿に力をいれて、ギュッツと閉じた。心拍数が上がり、胃が締め付けられる。623の細く長い中指は難なく進入してくる。そして夏美の隆起したものを捕らえると円を描くように動きはじめた。  
623の愛撫に大腿の力が抜けていく。下腹部はヒクヒクと波打ち液が溢れてくる。  
相手は623、その時を想像し、何度か悪戯をしたこともあった。クラスメイトでもすすんだグループが情報交換をしていることが耳に入り、ちょっと羨ましかった。  
(でも、いいの?ホントにこうしたいの?ホントに623さんなの?)  
623の残った手が夏美の大腿を押し開き、膝が間につき立てられた。  
「やぱっり、だめ!」  
夏美は思いっきり623の身体を突き飛ばした。623の身体は大きく揺さぶられ、ジジッと怪しい音をたてた。  
「ごめんなさい、623さん。・・えっ?」  
綺麗な623はいなかった。人のような金属の塊が夏美の目の前でユラユラと揺れている。  
 
「あーあ、壊しちまった。デリケートなんだ、丁寧にあつかってくれよな。」リビングにクルルの声が響いた。  
「またあんた達ね。出てらっしゃいボケガエル!なんなのよこれは!?」隠されているカメラを探すように、夏美が怒りの形相で室内を見回した。  
それが、油断だった。夏美の身体は再びソファに押し付けられ、金属の塊がその上に覆い被さった。  
623の時とは全然違っていた。夏美の四肢は金属に絡めとられ、狭いソファに無理やり貼り付けられた。人の形は崩れ、何の形容もできない形の塊は多くの枝や尾や紐のようになって夏美の上を這いまわりはじめた。  
「好きな相手に姿を変えてSEXしてくれるっていう、優れた機械だったんだぜ。今の衝撃で暴走しちまったな」クルルの遅い返答が聴こえる。  
夏美は何か言い返そうと口を開けたが、その口は忽ち金属の進入で塞がれてしまった。  
服の下に入った金属は乳房締め上げる。乳頭の先端をヘラ状になったものが嘗め回す。金属は大腿の間に押し入り夏美の下着の中に流れ込み、何かを探すように蠢く。  
 
「なんか、やばくね?」  
「やばいかもしれないですぅ」  
ケロロとタママは顔を見合わせた。そして、思い出したように、ゆっくりと後で縛られているはずのギロロの方に視線をむけた。しかし、そこには誰もいなかった。無残に引きちぎられた鎖が床に転がっている。  
「さ、流石ギロロ伍長、既に助けに向かっているでありますな。」  
「もう、安心ですよね。」  
「邪魔されないように、イロイロ、トラップ仕掛けただろ、なかなか辿り着かないいじゃないの?」  
「実は我輩、ギロロが気の毒になって、鎖に少し鑢をかけてやったのであります。これで、一歩早く辿り着くと思うのであります。」  
「軍曹さん、心優しいです。」  
 
夏美の下着の中で蠢いていた金属は彼女の真ん中の孔を見つけると、強引に押し入ろうと会陰部を開く。冷たい感触が恐怖を高め、夏美の頬を涙が伝う。  
こんな時だが623に化けた金属との初体験を拒否させた原因が心中で具体化されてきた。  
(・・助けて、ギロロ)金属に塞がれた口からは声はでない。  
 
フッと身体が軽くなった。ゴホッと咳とともに声が出た。夏美の身体は開放されていた。  
引き剥がされた金属は、投げつけられ、壁にうちあたり、床に転がった。  
夏美が助けを求めようとした赤いケロン人がソファの上に立っていた。  
「大丈夫か、夏美」  
ギロロの声に夏美はゆっくりと身体を起こした。恥じるように乱れた衣服を整える。まだ、振るえが止まらない。(やっぱり助けに来てくれた。)夏美はギロロを見詰めた。涙が溢れ出してくる。ギロロも夏美に視線を向けた。  
「痛むのか?」  
優しい声だった。優しい瞳だった。  
夏美はソロソロとギロロに近寄った。  
「ありがとう。・・ギ」  
 
銃声が響いた。  
ギロロの身体は無数の銃弾を浴びて弾け跳び、623だった金属の上に折り重なるように落下した。そして、同じ金属の塊と姿を変え、沈黙した。  
「なにやってんだ、おまえは。二度も同じ手に引っかかるとは!」  
入り口には銃を構えたギロロが立っていた。  
目を真ん丸くしたまま凍てついていた夏美はドアの前のギロロとギロロだった金属を交互に見比べた。  
「・・・あんたは、本物、よね?」  
「当たり前だ」  
ギロロは明らかに怒っているようだった。ソファに蹲る夏美に視線も向けず、横を通り過ぎると、金属の塊に向かった。  
「そんなことでは、戦士として失格だ」  
ギロロは金属が完全に停止していることを確認すると、夏美に背を向けたまま、金属を片付け始めた。  
「最初は623、次はどこの二枚目やら・・」  
(あっ・・)夏美はクルルの言葉を思い出した{好きな相手に姿を変えて}。  
(えーーー!?あたし、うそっ)耳まで真っ赤になった夏美は慌ててギロロを振り返った。名前は呼んでいなかった。  
「テ、テレビなんかに出てくるヒーローよ。・・外見はアレだけど、いつもあたしを・・助けてくれるわ・・」  
「ふん、ヒーローね」ギロロは呆れたというサインを両手を上げて示してみせた。後姿なので表情は見えない。  
「なによ、お礼は言わないからね!・・・さっき、あんたの偽者に言っちゃったんだから・・・」  
夏美の最後の言葉は片付ける金属の音にかき消され、ギロロの耳には届かなかった。  
 
 
「ちっ、ラブコメかよ。」クルルはつまらなそうに呟いた。  
「やっぱ、ダミだねー、ギロロは。もう少しで歓喜の名前が聞けたかもしれないのに。一歩早いんだよね。」  
スクリーンをみていたケロロは目を線にして、首を横に振った。  
(その一歩を作ったのは軍曹さんですぅ。)とタママは思ったが口には出さなかった。  
 
おしまい  

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