今日も静かに日が落ち、夕闇が辺りを包む  
そしてこの二人の忍も、夕ご飯の準備を整えていた  
「ドロロ、ご飯できたよ!」  
小雪が天井に向かって声を上げると、するりと蒼い影が降り立った  
ドロロは小太刀を脇に置くと正座し、小雪の運んでくる夕ご飯の香りを楽しんだ  
「今日は蕨の味噌汁でござるか…もう春なのでござるな」  
「うん、そうだね。ドロロと忍びの里で出会って、もう一年になるんだね〜」  
膳を注ぐと小雪はドロロと共に手を合わせ、天の恵みに合唱するのだった  
「今日はケロロ達、どうだった?」  
小雪は元気な声でドロロに質問を投げかけた  
当のドロロは口の中にまだ秋刀魚の塩焼きが残っていたので、しばらくして質問に答えた  
「今日は特別おかしな事は起こらなかったでござる」  
「な〜んだ、つまんないの」  
あっさりしたドロロの答えに、小雪は軽く舌を打った  
いつもいつもドロロと一緒という訳にはいかないから、夕ご飯時にドロロに今日なにがあったかと聞  
くのは小雪の日課となっていた  
「小雪殿は今日、学校は楽しかったでござるか?」  
そして、ドロロが相づちを打って返事を返すのもいつものことだった  
「そうそう、今日はまた夏美さんと一緒に下校できたんだよ♪はぁ…夏美さん」  
頬を赤く染め、小雪は明後日の方向を向いた  
「(汗)…とりあえずご飯を食べなければ…冷めてしまう出ござるよ」  
「あはは、そうだった」  
微笑ましきは二人のやりとり  
ずっとこんな日が続けばいい  
平和な日々とかそうじゃなくて、ドロロとずっと一緒に暮らしていける日々が…  
小雪はそんな思いを胸のうちに秘めていた  
なにしろ、忍びの里を出てから、はじめてできた親友でもあったからだ  
 
そんなある日だった、ドロロの様子がおかしかったのは  
 
 
『KOYUKI・前編』  
 
 
今日の夕食は鮭の塩焼きを副菜とし、質素なイメージでまとめられていた  
小雪はいつものように、ニコニコしながらドロロに質問を投げかけた  
「今日はどうだった?ドロロ」  
「…」  
ところが、いつもならばすぐに返ってきた返事が、今日はなかった  
そればかりか食も進まず、箸がそのまま食卓に置いてある  
異変を感じた小雪はドロロの傍に腰掛けた  
「ドロロ?もしかしてまた仲間はずれにされちゃった、とか?」  
「…違うでござる」  
元気のない答えが返された  
たしかに、もし仲間はずれにされていたら、ドロロの周りでトラウマな空気が散布されているはずだ  
心配している小雪を尻目に、ドロロは俯いたまま細々と喋りはじめた  
「小雪殿…拙者の話を聞いて欲しいでござる」  
「もっちろん!ドロロの事なら何でも聞いてあげるよ!」  
ドロロを元気付かせるため、小雪は自らの明るさを強調した  
「小雪殿」  
ドロロの声に、若干明るさが戻ったようだ  
小雪もそれに気付き、安心して笑顔を見せた  
改まり、ドロロは真剣な表情で切り出す  
「それでは聞いて欲しいでござる。少し…驚くかも知れないでござるが」  
「ドロロがしてくれる話に驚くなっていう方が大変だよ」  
「…」  
「ドロロ?」  
 
 
 
「もし、拙者が地球を離れることになったら…小雪殿は……どうするでござるか?」  
「え…?」  
 
 
 
ドロロの言葉の意味が、最初小雪にはわからなかった  
徐々にそれがどういう意味合いを含んでいるかを理解したが…  
「やだ」  
「小雪…殿?」  
消え入りそうな声で、小雪は一生懸命に首を横に振った  
ドロロは、小雪の肩に自分の小さな手を乗せた  
「やだよ」  
「小雪殿」  
「やだ…そんなの…」  
堰を切ったように、小雪の瞳から涙が溢れはじめた  
小雪は心のどこかで、いつかは別れの時が来る、とは思っていた  
忍びの里で仲の良かった骸との別離からくる経験もあったのだろう  
ドロロという最高の友人と出会ってから、小雪はとても幸せだった  
だから、別れるなんて不謹慎な考えは、自然と頭の片隅に追いやられていた  
それ故、信じたくないという気持ちが頭の中を席巻している  
「ドロロ…嘘だよね?離れるなんて…嘘だよね?」  
「…」  
ドロロも同じ気持ちだった  
この日、日向家地下基地で地球から撤退するという話を、ドロロは基地の天井から聞いた  
他の小隊の皆は三者三様の反応だったが、ショックだったのは全員同じだった  
おのおの最後の日を自分なりに精一杯過ごしていく中で、彼だけずっと小雪と会わなかった  
彼自身、不器用な性格が災いしてか、どうやって別れを告げればいいのかわからなかったからだ  
夕食時までたった一人…考えて、考えて、考え抜いた末に、ドロロは"ダイレクトに伝え、後は相手  
に任せる"という方法に行き着いた  
結果的にそれが良かったのかどうか  
今、目の前で泣き崩れている小雪を見て、もしかしたら何も告げずに去った方が利口だったのでは、  
とも思った  
「残念ながら…本当でござる」  
「そんな…」  
小雪の青ざめた表情…そんな悲しいものを見たくないドロロは、顔を背けた  
彼女がここまで悲嘆にくれる様子を見た事があっただろうか  
ドロロは今更ながらに、無神経な自分が腹立たしくなった  
 
泣きやんだ小雪とドロロは食事に手を付けていない事に気付き、そのまま気まずい空気の中で食事が  
仕切りなおされた  
通常ならば笑いと話の絶えない食卓であるはずだが、今の状況は重苦しい  
冷たくなったご飯が、さらに双方の心を凍り付かせた  
無言のまま、食事を終えた2人は片づけをはじめ、そのまま就寝へと、流れるように時間が過ぎて  
いった  
だが、そこに寝るのは小雪だけ…ドロロはもう行かねばならないのだ  
「…」  
「…」  
2人はあれから一言も口をきいていない  
だが、2人の心境は同じだった  
 
"このままお別れなんて、嫌だ"  
 
「小雪殿」  
ついにドロロが口を開いた  
しかしその口から漏れるのは、別れの言葉だ  
二度と会えないかも知れない、とこしえの別れの  
「…ん」  
小雪はかすかな返事を返すのみで、布団の中に潜り込んでいる  
ドロロは続けた  
「もし、忍びの里で小雪殿と出会わなければ、あのまま拙者は野犬に喰われたか、餓死したかのどち  
らか…いずれも死んでいた事は確かでござった」  
「…そだね」  
「拙者は、小雪殿と初めて会ったあの日、共に忍びの里を旅立ったあの日、この家で最初の一日を共  
にしたあの日…どれも何物にも代え難い、大切な日々でござる」  
「…そだね」  
「小雪殿…今だからこそ言える事でござるが……拙者は…」  
「ドロロ」  
ドロロが言葉に詰まったその時、小雪が上体を起こして布団の中から半分だけ顔を出した  
彼女の視線に入ったのは、身支度を済ませて縁側に佇むドロロだった  
月明かりを逆光に浴び、その姿は可愛くもあり、凛々しくもあった  
小雪は寝る時も忍者の姿だ…それは、いつ起こるか解らない有事を想定しての装備である  
「最後ぐらい…一緒に寝よ?」  
「え゙っ?」  
「最後は…ドロロと一緒にいたいの…」  
彼女の半分だけの顔が、端から見ても紅くなっているのは明白だった  
一瞬動揺したドロロだったが、そのまま小雪の言うとおり、彼女の布団へ潜り込んだ  
「暖かいでござる…」  
「うん…」  
いくら親しい間柄とはいえ、ここまで密着するような機会はなかった  
おまけに小雪がドロロを抱えるような姿勢になっているので、妙に気恥ずかしい  
布団の中で、2人は近距離で見つめ合っていた…お互いの吐息が顔に当たる  
「どうして、こんな…?」  
小雪にドロロは問いかけた  
その大きな瞳を見開き、小雪はさらにドロロへ接近する  
ドロロの視界には、小雪の顔しか見えなくなった  
「私が好きなのは夏美さん…って、前に言ったよね?」  
「そうでござる」  
「でもね、それって同性だから好きだった事なんだ…百合ってやつかな?」  
「ふむ…されば、異性で好きな殿方が、他にいるということでござるか?」  
「…うん」  
小雪の頬は桃色を帯び、息も荒くなっている  
それがこの布団の中の暑さから来るものではない事を、ドロロはまだ気付いていなかった  
 
ふいに、小雪がドロロを抱きしめた  
ぎゅっ…と、小雪の胸がドロロの顔に押し当てられる  
「〜〜〜〜〜!」  
突然の状況に、ドロロは思春期の中学生の如く動揺した  
小雪の胸の小さな膨らみが、ドロロの頬に当たっている  
「…」  
「こ…ゅ…k………くるし…」  
「え?あ、ごめんドロロ!」  
抱きしめられすぎて、ドロロはタップして小雪の腕から離れた  
ただでさえ息苦しい布団の中で、そんな事をされたら苦しいのは当然だ  
布団から顔を出して息を整えるドロロと一緒に、小雪も顔を覗かせた  
「ハァ…ハァ…」  
「ごめんねドロロ!突然こんなコトして」  
「い…いや、別に気にしては…」  
息つくドロロを心配そうに見つめる小雪は、そっと…ドロロの額に口づけをした  
ドロロは驚き、小雪を見上げる  
「!…こ、小雪殿?」  
「もうわかったでしょ?私が異性で好きな人…」  
瞳を滲ませ、小雪はいつもの元気な顔でにっこりと微笑んだ  
ドロロはようやく、一連の小雪の行動を理解した  
少し間をおいて、ドロロは目の前の少女へ、言葉を贈った  
「…小雪殿ならば、拙者も喜んで」  
「ドロロ…好き、だいすき………!!」  
あらたまってもう一度、ドロロと小雪は抱擁を交わした  
 
小雪はこの忍者の姿でいる時、目の部分のマスクを外す事はない  
忍者とは忍ぶ者…身分を割られては仕事にならないのだ  
それ故、入浴時にも外さない事もあった  
忍者の里が無くなってから事実上、忍者の存在も消えた事となっている  
だから小雪は、忍者である事は夏美たちにもオープンにしてるが、ポリシーとしては残っているのだ  
そんな彼女が今、ドロロの目の前でマスクを取り払った  
ドロロは静かに小雪を見つめている  
「服も…脱ぐよ?」  
常時元気な小雪からは想像できないような、怯えた雛鳥のような声で囁いた  
ドロロは小さく頷く  
小雪はドロロの視線を感じながら、そっと忍者装束の帯を解き、下のスカートも脱ぐ  
忍者装束の下は、敵の攻撃を通さないように網目状の帷子が覆っている  
普通の女の子であれば、こんなものを付けて動き回るなんて不可能なほどの装備だ  
帷子の下はもう下着…ジャラジャラと音を立て、帷子が小雪の体からはずされていった  
途中、帷子を脱ぐのに手間取り、ドロロの助けを得た  
「ご…ごめんねドロロ…」  
「誰でもこういう時は緊張するものでござるよ」  
ドロロのフォローを受け、小雪はようやく下着姿となった  
その身を包んでいるのは、サラシとパンツの二枚の布だけだ  
緊張からか、小雪の体が小刻みに震える  
「小雪殿、力を抜いて…」  
「な、なんだか変だよね?相手はドロロなのに、好きな人なのに……震えがとまらないよ…」  
「…それが普通でござる」  
しゅるっと、最後の布も小雪の体から落ちていった  
 
障子の間から、一筋の光が差し込んでいる  
満月の光が、小雪の幼い体を照らしているのだ  
小雪は立ち上がり、月明かりを背景にドロロへその体を見せた  
両手は後ろで組まれ、小雪の体を隠すものは何もない  
「ドロロ、これが…これが"私"だよ」  
「美しいでござる、小雪殿」  
目を細め、ドロロは小雪の肢体を眺めた  
年齢相応の微乳、産毛さえ生えていない秘所、うっすら筋肉が発達している体…  
そっちの趣味はなくとも、ドロロの視線を奪うには十分すぎるほど、綺麗な肢体だった  
「ドロロ、あのさ…はじめる前に一つだけ、私のお願い聞いていいかな?」  
「なんでござるか?」  
「わたし、裸だけど…ドロロも脱いでほしいの…頭巾を」  
それを聞いて、落ち着き払っていたドロロも顔色を変えた  
それもそのはず、今までずっとケロロたちにさえ秘密にしていたマスクを取れというのだからだ  
しかし、いま自分の目の前にいるのは想い人である  
躊躇する必要が、どこにあろうか  
「心得たでござる…」  
ドロロはいったん小雪に背を向け、後頭部の結び目を解いた  
「わ、笑わないでほしいでござる」  
「ドロロの素顔って初めてみるけど…どんな顔でもドロロはドロロだよ」  
小雪の言葉を受けて、ドロロは気づかれないように微笑んだ  
 
そして、自らの素顔を晒した  
その顔は、別に変わった様子はなかった  
どちらかというと、青いケロロといった感じだ  
いや、よく見ると口元だけ少し違う  
どっちかというと顔はケロロと同じだが、口元のみタママのようになっている  
ドロロは幼年期より病弱であり、ずっとマスクを着用していた  
そのため、青年体になっても口元だけはそのままになってしまったのだ  
だが、このことはケロロたちは勿論、親さえ知らない事実である  
アサシンになってからもずっとマスクを着用していたので、周囲にも悟られていなかったのだ  
「や…やっぱりおかしいでござるよ、拙者の顔…」  
恥ずかしいのは裸身を晒している小雪のほうなのに、ドロロもまた身を縮めて恥ずかしがった  
だが一方で、それを見て小雪は安心していた  
恥ずかしいのはこちらもドロロも同じだとわかったからだ  
「ドロロ」  
「こっ、小雪殿…うわっ!?」  
紅潮しているドロロに近づき、小雪はドロロをもう一回抱き上げた  
「小雪殿…」  
「もう私たちには、身を縛っているものはないよね?」  
「…双方、裸身でござる」  
「じゃ、ドロロ…来て」  
「…あいわかった」  
二人はそのままの体勢で、布団の上へと倒れこんだ  
 
「んちゅ…く……ちゅ…」  
「…ん……」  
「むぅ…ぅ………んぅ…」  
「ん…ッぷ……んん」  
ドロロと小雪は、お互いの唇にむしゃぶりついていた  
これが一緒に居れる最後の時ということなのか、それとも身を焦がすほどに互いを思う故なのか  
いずれにしろ、二人は貪欲なまでにお互いを貪っていた  
小雪の口内にドロロの小さい舌が侵入して、それに小雪の舌が捕まえる  
歯の裏や舌の裏を探り、さらには相手の唾液さえ啜り、歯と歯がぶつかりそうになるほど二人のキス  
は激しく絡みあった  
「くぷっ…ちゅ、んんんん……ッッ!!」  
「……ん!」  
突如、小雪が激しく震えて倒れた  
口から糸を引き、二人はようやく離れた  
心配して、ドロロは小雪の顔を覗き込んだ  
小雪は顔を耳まで真っ赤にして、息を荒げていた  
「ハァ…ハァ……」  
「もしかして小雪殿、接吻のみで達してしまったのでござるか…?」  
小雪は、こくんと頷いて返答した  
「…もう、欲しくて欲しくて堪らないのでござるね?」  
「う…ん」  
額の汗を拭い、ドロロは小雪の体の上に乗っかった  
ドロロの体の下には、小雪の胸から上が広がっている  
緊張して心拍数が上がっている小雪の心臓の鼓動が聞こえる  
アサシンの五感が敏感であるということもあるが、小雪がそれほど緊張しているという事の表れでも  
あった  
 
「…」  
「ド…ロロ、あたし……いいよ」  
「小雪殿は…処女でござるな?」  
「そ、そうだけど…?」  
「あちらの、性的な経験も無いのでござるな?」  
「知識だけは…あったんだけどね」  
そのことを確認すると、ドロロは深呼吸して手を組み構えた  
「な…なにするの?」  
「小雪殿がはじめてならば、こちらとしても小雪殿に悦んでもらうのが一番でござる」  
「私も、ドロロによろこんで欲しいよ…?」  
「もし痛がってしまったら、拙者も気兼ねしてしまうでござる…だから」  
「ちょっ…ドロロ?!」  
そう言うとドロロは印を結び、小雪の体に押し付けた  
動揺する小雪を尻目に、ドロロは術を施した  
「アサシン兵術…"金瓶梅"!」  
「ドロロってば…ぁ……あぁぁあああッ!!!」  
ドロロが術をかけた直後、小雪の体に電流の如く快感が駆け巡る  
そして、そのまま2回目の絶頂に誘われていった  
「…これで大丈夫でござる」  
「なに…したのぉ……??」  
ひくひくと痙攣しながら、何が起こったのかわからず混乱している小雪に、ドロロは説明した  
すなわち、いま小雪にかけたのは、快楽を増長させる術…いわゆる房中術だった  
文化や習慣は違えど、ある程度発達した種族の行き着く場所は、やはり性欲を司るすべなのだろうか  
「…つまるところ、これで小雪殿は破瓜してもある程度痛みを抑制することができる上、体も敏感に  
なっているということござる」  
けろりと言い切るドロロを見て、そろそろ小雪は怪しく思い始めていた  
というのも、あまりに淡々としていたからだ  
「も、もしかしてドロロ…こういうのってさ、ドロロは経験済みなの…?」  
小雪の問いかけに、ドロロは硬直した  
さっきと違ってかなりの動揺っぷりだ  
小雪は起き上がってドロロをジト目で凝視した  
「正直に答えてよ…ド〜ロ〜ロ〜??」  
「…(滝汗)」  
気まずくなったドロロは、小雪の胸の先端に指を運んだ  
「は…ひゃあっ!!」  
ぎくっと小雪の肩が笑った  
ドロロは無言で小雪の胸を刺激していった  
「そんなのッ…ズルいよドロロ…ぉ、くあぁッ!!」  
今度は先端をドロロが銜えた  
口内でドロロの舌が小雪のトップを弄ぶ…  
「なんなの…??うぁっ!ドロロ、これ…おかしいよぉ!」  
「本来なら微弱なものが、今の小雪殿には大きな快感の衝撃波となって襲っているので…ごさる」  
胸を刺激されつつも、小雪はちょっぴり悔しさを感じていた  
ドロロばっかり自分を弄くって、自分はただ感じて喘いでるだけだからだ  
そこで小雪は小悪魔的な考えを思いついた  
 
「こっ…小雪………どの!?」  
胸に集中していたドロロは、小雪が怪しい動きをしているのに気がつかなかった  
小雪はドロロの脳天を指で刺激し、ドロロの体の自由を奪った  
「はぁ……ふぅ」  
「こ、これじゃあ満足に動けないでござるよ!」  
「今押したのはね、私と声が同じ人から聞いたゲリツボだよ」  
「え?」  
今度は小雪が上になり、ドロロは枕を背に寝かされた  
たぶん小雪が言っているのは桃月学園の人だろう  
「だってさ、ドロロばっかり楽しんで…私だってドロロに良くなってほしいよ…」  
「と、というかゲリツボ…って?」  
「だからね、ドロロが大人しくしてくれたら、解除のツボ押してあげるから」  
ドロロの疑問もどこ吹く風、小雪は彼の股間部へ顔を沈めた  
ケロン人の生殖器は、その時になるまで顔を出さないものだ  
普段は股間部に収納されていて、年中発情期の我々人類とは根本的に違う仕組みになっている  
小雪は大体の勘でドロロの性器がある場所を探り当て、弄り始めた  
「こゆっ…駄目でござるよっ!!」  
「ここの盛り上がってる…この中かな?」  
「くぁっ!」  
性器が眠っている穴を見つけて、小雪はその中に指を押し込んだ  
まるで女性を相手にしているような感覚だが、ドロロはれっきとした男である  
指を根元近くまで潜り込ませたら、ようやく硬い何かに押し当たった  
人差し指と中指を器用に使い、小雪はそれを無理矢理引きずり出す  
「あうぅうッ!!!」  
「う、うわぁ…」  
形状や大きさは人間とさして変わらない  
しかし、それがケロン人の体とミスマッチであり、逆に淫靡な印象を抱かせるにいたった  
「み……見ないで…ござる」  
ふるふると女の子のように震えるドロロを見て、いまさら罪悪感が広がった小雪だが、それよりも  
好奇心が先走った  
「このままじゃゲリになっちゃって大変だよ?」  
「こゆきどの…ゆるし…て…」  
「最後なんだから、私もとことん楽しんじゃうからね!」  
小雪はぱくりとドロロの雄を口に含んだ  
決して大きくは無いが、小雪の口には余る物だった  
「そん…なぁ」  
「ちゅむっ…んぷ……ぷ」  
「こゆ…くぁっ!!」  
「(なんだかドロロ…女の子みたいで、可愛い♪)」  
さっきドロロが小雪にしたことを、今度はドロロが味わう  
こんな姿は長年一緒のケロロにさえ見られたことが無いのに  
親しき間柄であっても、ドロロは羞恥心でいっぱいだった  
そうこうしているうちに、小雪の巧みな舌遣いでドロロは達していくのだった  
「うあぁあああッッ!!」  
「んむっ…ぐ……う…」  
小雪の口内に白濁が放たれたが、彼女はそれを構わず飲み干した  
そればかりか、のこった尿道の分まで吸い上げて…  
「あああああッ!!」  
「…ふぅ、ごちそうさま、ドロロ」  
上機嫌で小雪はゲリツボ解除のツボを押し、ドロロを呪縛から開放した  
 
ドロロはようやく自由の身となり、改めて行為の開始と相成った  
ふたたび布団に小雪を寝かせると、ドロロは小雪の股の間へと移動した  
そこには茂み一つない、小雪の花弁が淫らに濡れていた  
「…素敵でござる」  
「そんなに見ないで…ドロロ」  
「…参る」  
そう一言置いてから、ドロロの口数が減った  
小雪の蕾に、ドロロの肉塊が迫る  
術を使ってもどうしても逃れられない痛みが、彼女の一番敏感な場所を劈く  
「あぐっ…いぃいいいっ!!!」  
「…」  
痛がる小雪を見ても、ドロロは進めていくのをやめなかった  
もしここで止めてしまえば、このまま一生後悔することになると危惧したからだ  
小雪も無意識にそれを悟っていた  
「ぐっ…」  
「痛ッ……ああぁあッ!!!」  
大きく小雪が仰け反った  
ずるりとドロロの体が前に倒れこむかのように潜った  
「…破瓜、でござるか」  
「はぁ…あ…うぅ……」  
必死で酸素を求め、苦しそうな小雪を気遣って、ドロロはしばらく静止した  
「血…出てるぅ……あ」  
「…小雪殿」  
「んーん…だいじょお…ぶ、だから…」  
ぎゅっと布団の端を引っ張り、どうにかこの痛みに耐えているようだ  
しばらく経過し、ドロロは小雪の安否を確かめた  
目は虚ろだが、こちらをジッと見ている  
その目は…ドロロにもう心配ないと訴えているかのようだった  
無論、こんな短時間に痛みが収まるはずがないが、小雪の思いを優先して、ドロロは再び動き始める  
「はっ…あぁあぁぁッ!!」  
「こ、小雪殿ッ…!」  
 
 切ない  
 痛みだけではない  
 心が痛む  
 これでもうドロロとは会えない  
 もうドロロとの日々は帰ってこない  
 最初で最後のドロロとの交情  
 ドロロのが出たり入ったりしていく  
 できるなら、そのままずっと入ったっきりになればいいのに  
 ずっと…ずっとドロロと一緒に居たかった  
 
 切ない  
 小雪殿を犯している事実がそう思わせているのではない  
 別離の話でござる  
 小雪殿は拙者とはじめてこの星で出会った親友  
 小雪殿は拙者のはじめての想い人  
 小雪殿…  
 まるで夫婦のような日々の生活の中  
 拙者は小雪殿がそこに居る事が当然だと思っていた  
 でも…小雪殿と拙者は…  
 
互いが同じ事を思っているなど、このときの二人には窺い知れなかっただろう  
多少の痛みは引いたとはいえ、不慣れな感覚の中で小雪は喘ぐだけで精一杯だった  
ドロロも、できるだけ小雪を労わるように動き、同時に自らの快感も吟味した  
望んでいたけど、ちょっぴり違うこの瞬間  
二人は高みに達しようとしていた  
 
「はあぁあぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!!!」  
「うあぁっ!!」  
小雪は絶頂に身を震わせ、ドロロも同時に膣内へ精を放った  
どくん…どくん…  
注ぎ込まれていくドロロの想い…受け止めていく小雪の想い  
それは白い液体として、布団に零れ落ちていった  
がくりと小雪は布団に身を落した  
雄を引き抜き、よろよろと小雪の元に近づいたドロロは、小雪の傍に寄った  
「こゆき…どの?」  
「…ん…」  
性交での絶頂を初めて味わった小雪は、その衝撃でそのまま眠りについていた  
まだ火照って上気したピンク色の頬が可愛らしい  
「小雪殿…」  
「どろ…ろ」  
小雪はすでに眠っている  
彼女は寝言でも、ドロロのことを呟く  
当のドロロは、術を使って小雪の着衣を纏わせ、荷物を背負った  
「…さらば」  
布団で眠りについている小雪を背に、ドロロは家を後にしていった  
 
「そんなことより、誰か忘れているような気がするんだが…」  
「ここにいるでござる」  
深夜、ドロロは仲間たちがいる公園へと到着した  
「おお!ドロロ…間に合ってよかったであります」  
「どうしてもペコポンを離れねばならぬのでござるか…?」  
ケロロが滑り台の上にいるドロロの所へ駆けてきた  
まだ本の一握り…未練の残った言葉を吐いた  
ドロロがそう言ったとき、頭上にケロンの宇宙船が現れた  
「どうやら…迎えが来たようであります」  
ケロロがいつになく真剣な面持ちで言ったが、それも無理のないことだろう  
眩しく輝く宇宙船の燐光を、万感の思いで見つめていた…そんな時だった  
 
「ドロロ!」  
 
ドロロは驚いて振り返る  
そこには、家で眠っていたはずの小雪の姿があった  
「小雪殿!どうして…」  
疲れてぐっすり眠っていた小雪だったが、彼女も忍者だ。自分の意志で寝る事も起きる事もできる  
急いで来たためか、小雪の顔にはいつものマスクがなかった  
「みんなと一緒に帰れてよかったね…」  
「小雪殿…」  
さっきまで嬌声をあげていたせいと、別離の涙のためか、小雪の声がいつもと違っていた  
「あたし…ドロロと暮らせてとっても楽しかったよ」  
「こゆきどのぉ…」  
二人の涙腺が決壊した  
絶対に離れたくない…しかし、とうとう別れのときが来た  
小雪とドロロは、抱擁を交わした  
「小雪殿!!」  
「ドロロ!あたし忘れないよ!!」  
強く…強く抱き合った  
名残惜しく、思い残さないように、ぎゅっと…ぎゅっと…  
「隊長…最後の任務が残ってるゼ」  
その傍で、皆は優しく二人の姿を見つめていたが、クルルが何か言い出した  
「このスイッチを押せば、ペコポン人の記憶と、俺たちがいた痕跡は全て消去される…。アンタの  
合図で俺はスイッチを押すぜ?」  
「へ!?我輩が…?」  
「ケロロ!」  
「軍曹さん!」  
そのやりとりを、ドロロも見逃さなかった  
ドロロは小雪から離れ、ケロロの元にはせ参じた  
ついさっき小雪が自分のことを忘れないと言ってくれた後だというのに、ドロロはその時点で初耳  
だったそれに賛成した  
「隊長殿!」  
ケロロが躊躇している…思えば、ケロロも冬樹や夏見といった、日向家の人々のことを思っていたの  
だろう  
今ならばまだ止めるすべはあった  
しかし…ドロロはしなかった  
脇で見ていた小雪が、笑顔でいたからだ  
「記憶…消去!!」  
「記憶消去…ポチッと」  
ケロロとクルルの声が響いた  
それと同時に、ドロロたちは宇宙船に吸い込まれていく  
じきに記憶は消える…なのに、小雪はずっとドロロのために手を振り続けた  
記憶のある限り、ずっと愛した人のために…  
 
小雪が見えなくなった後、ドロロたちは空中から、今まで暮らしてきた馴染みの場所が次々と消えて  
いく様子を見守った  
日向家の地下基地…西沢邸のタママの部屋…  
「これで…みんなの記憶が消えれば、任務は完了であります…」  
ケロロの言葉も揺らいでいた  
「……いやであります…」  
ケロロの声はさらに揺らいだ  
「さよならなんて…イヤであります…もっと一緒にいたいであります、離れたくないであります!」  
ドロロだけではない。ケロロの叫びで、皆それぞれ悲嘆に暮れていた  
ここからでは見えないが、おそらく小雪と共にすごした、あの家もどこか消えている場所があるに  
違いなかった  
 
 さようなら  
 
ケロロたちと一緒に、この星でドロロが言った最後の言葉だった  
 
 
 
【to be Continued】  
 

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