「冬樹〜、肩こった〜。マッサージしてよ。」  
 日向家の本日のトラブルは、この言葉より始まった――。  
 
「冬樹〜?あ〜、そっか。今日はボケガエルとガンプラ買いに行くとか言ってたわ  
ね。」  
 彼女の名前は日向夏美。日向家の長女で、容姿端麗、成績優秀、運動神経抜群の  
3拍子揃った才女である。ところが最近、日向家に居着いてしまった数人の宇宙人  
から地球を守るという仕事(?)が加わり少々お疲れ気味の御様子。  
「はぁ〜、誰か肩揉んでくれないかな〜。」  
「お呼びですかぁ♪」  
「え・・・っ?」  
 気がつけば背後に忍の格好をした少女が立っていた。小雪である。  
「おじゃましてまーす♪」  
「あ、あはは・・・小雪ちゃん。またいつの間に・・・。」  
「気配を消すのは忍の常ですから〜♪」  
「う、うん。そ、そうね〜。(よく分かんないけど・・・)」  
「ささ、さっそく横になってくださぁ〜い♪」  
「?」  
「大丈夫です!整体術も心得てますから!」  
「い・・・いいよ。だ、大丈夫だから。」  
「我慢は体に毒ですよぉ♪遠慮なさらずに〜♪」  
 そう言うとすかさず夏美の上着を脱がし、ソファーにうつ伏せに寝かした、見事  
な早業である。  
「お客さ〜ん。こってますねぇ〜♪」  
 ゆっくりと両肩に手を置き、器用な手つきでほぐしていく。強くなく弱くもなく  
またたく間に夏美の表情が緩んでいく。  
(気持ちいい〜・・・。)  
 肩から背中、腰と少しずつ箇所を下げて行く。  
 
 

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