「うわあああっ!!!?」  
 休日の日向家に、絶叫がこだまする。  
 ここは僕――冬樹の部屋。まだ昼間だけど、ベッドで横になって眠っていたのに気付く。  
「夢……・?」  
 あまり良い夢ではなかったような、そんな気がした。寝汗をかいた自分の身体を起こす。  
悪い夢を見た後で、精神的に疲れているようだ。深く溜め息をつくと、喉がカラカラに渇いて  
いる事に気付く。  
「水、飲んでこよう……」  
 ドアに手を掛けて開ける。すると、廊下を物凄いスピードで走っていく人物を見かけた。  
不意打ちを喰らったような僕は、思わず驚いてしまう。  
「あれは…、姉ちゃん? あんなに急いで、どこ行くんだろ……」  
 少し気になったけど、僕は特に干渉をする事もなく台所へと歩いていった。渇いた喉を  
潤そうと、コップを取り出し、蛇口を捻って水を注いでいく。  
「ゴクゴク……。ぷはぁーっ、生き返るよ」  
 なみなみと注いだ水を、僕はガブガブと飲み干した。もう一度水を注ぐと、そのコップを  
持って台所の椅子へと腰掛け、ふうっと一息つく。  
 僕はしばらくの間、そのままボーッとしながら時間を持て余していた。静かな空間で思いに  
耽っていると、先程の姉ちゃんの様子が妙に気に掛かる。僕はそろそろと立ち上がると、  
姉ちゃんの部屋に向かって歩き始めた。  
 
 家の中には人の気配が無く、シーンと静まりかえっている。そんな中、僕は姉ちゃんの  
部屋に近付いていった。  
「ん…ふ…ぁぁ……」  
(ん…? この声…何だろ……)  
 そうして姉ちゃんの部屋のすぐ前まで来た時、聞き慣れないような小さい声を耳にする。  
少し開かれていたドアの隙間から、部屋の中をそおっと覗き込んだ。  
「うむぅっ…はぁうぅ…、なっ、夏美ちゃぁん…大好き…、…っはあっ!」  
「はぁっ…はぁっ…はむぅう…、小雪ちゃん…、小雪ちゃん……!」  
(えええええっっ!!!?)  
 僕は思わず叫びを上げそうになるのをグッと堪えた。  
(ね…姉ちゃんと…小雪ちゃんが……)  
 僕は目を擦ってもう一度覗き込むが、それは見間違いではなかった。姉ちゃんと小雪ちゃんは  
抱き合って、お互いの唇を求めるように激しい口付けを行っている。  
 グチュッ…ヌチュ…ズチュッ……  
 唾液の擦れるいやらしい音がここまで聞こえてきて、僕は思わず唾を飲み込んだ。中から  
見つからないように身体を位置取らせる。  
 そうしてマジマジと見ていると、二人はさらに身体を求め合い、お互いの胸を揉むようにして  
快感を貪っていく。  
(こっ、こんなの…、見ちゃいけないのに……)  
 もし下手に動いたらバレてしまうかもしれない…という、言い訳じみた言葉を自分に語り掛ける。  
そして、僕はその行為を見続けた。  
 
 しばらく二人は互いの身体を撫で合っていた。やがて秘部をお互いに擦り付けるようにして  
動き始める。  
「はあっ、スゴい…スゴすぎるよぅ…。気持ち良すぎてぇ…夏美ちゃぁん…私…もうっ……!!」  
「ああんっ! はあっ…、小雪ちゃんスゴいエッチな顔して可愛いっ…あああっ! 私も…私もっ  
……!!」  
「夏美ちゃん、一緒にっ……!!」  
「小雪ちゃんっ……!!」  
 ビクッ……!! ビクン! ビクン! ビクン! ビクン…………  
 二人はきつく抱き締め合ってビクビクと震えていた……。  
(う、うわぁ……。イ、イッちゃった…のかな……?)  
 いつしか僕も興奮して、呼吸も荒くなっていた。そんな吐息を聞かれないように注意しながら  
ジッと覗き込む。  
 そして二人が衣服を身に着け終わると――  
 ギロ……!!  
 姉ちゃんが鋭い目つきで、部屋の外の方を睨み付けてくる。  
(ま、まずい!! 覗いてたの気付かれた!?)  
 僕は思わず、ドアと壁の間に隠れるようにして身を潜ませた。  
「あんにゃろ〜〜っっ!!!!」  
 でも姉ちゃんは僕に構わず、猛然と部屋の中から飛び出し、走ってどこかへ行ってしまった。  
(ふぅ……)  
 ホッとして、深く息を吐き出す。どうやら僕の事に気付いていた訳ではないらしい。そして長居は  
無用と、僕はこの場からそそくさと立ち去った…。  
 
 ガチャッ……  
 自分の部屋に入った僕は、フラフラとベッドに腰掛ける。そしてキョロキョロと落ち着かない  
様子で、不審な行動をとっていた。嫌でも先程の情事が思い出されて、高鳴る鼓動が抑え  
られない。  
「う…んん……」  
 そんな落ち着かない身体を持て余すように、ベッドへうつ伏せに転がった。こうなったら  
無の境地だ、と枕に顔を突っ伏すが、暗い視界の中で展開されるのは淫らな想像ばかり…。  
「ダメだ…。こんなの早く忘れないと……」  
 姉とその友達の事を考えて興奮している現実に、何とも罪の意識にさいなまれる。そんな  
苦しみに、ベッドの上でモゾモゾと動いていると、膨らんでしまった股間が圧迫されて、いけない  
感覚が伝わってきた。  
「ぅぁ…、マズっ……」  
 抑えよう抑えようと思っても、それに反してどんどん怒張は強まってしまう。手に汗が滲み、  
体温が上昇していく。僕はうわごとを呟くようにして、モソモソと起き上がった。どうしようもない  
衝動に、思わず額を手で覆う。  
「はぁ…はぁ……」  
 本当に溜まっている時の性的衝動である。その放出無しに抑えるのは容易な事じゃない。  
それでも、本当は抑えるべきだったと思う。でも理性が溜まりきった本能を制御しきれず、  
気付いた時には、ズボンのファスナーへと指を掛けていた。  
 ジィィィィッ……  
 静かな自室へと響く、自慰へのスタート合図。ごそごそと社会の窓を開くと、膨れ上がった  
亀頭の先が、下着をテントのように張らせていた。  
「ぅ…ぁぁ……」  
 その膨らみに手を重ねた所で、僕は動きを止めた。これをいじれば性的な快楽は得られる。  
だけど、そんな事が本当に許されるのだろうか…。  
「はぁぁ……」  
 僕はそれがなかなか決断出来ずに、そこで指を弱々しく動かすだけだった。いじらしい刺激が  
チリチリと伝わり、どうしようもなく切ない…。  
 
 ピトッ……  
「っ……!?」  
 その時、突然何か冷たい物が首筋に当てられるのを感じた。片腕が僕の背中の方から  
回されて、身体を掴まれる。そうして僕をガッシリと捕まえた後、その人物が語り掛けてきた。  
「冬樹君…、こんな所で何してるのかなぁ〜?」  
「こ…小雪ちゃん……」  
 迂闊だった。よく考えてみれば、あそこには姉ちゃんよりも気配に敏感そうな人が居た  
じゃないか…。あの後、もしすぐに僕の後を付けて部屋に入り込まれていたのならば、  
今までの僕の行動をずっと見られていたことになる。  
 でも、その恥ずかしさより前に、小雪ちゃんがいつも違うと感じの声色で囁いてくると、僕は  
ゾッとした。首に突き付けられた物が棒手裏剣であることに気付くと、さらに恐怖が高まる。  
「いつから見てたの……?」  
「ぼっ、僕は何も!!」  
「ふ〜ん……」  
 小雪ちゃんは僕の股付近をワザと凝視するように見つめた。そして、棒手裏剣の切っ先が  
首に当たる感覚が強くなっていく。どうやら僕に黙秘は許されないようだ。  
「あぁぁ…。そ、その…、ふ、二人が…、キ、キス…してた頃から……」  
「そう…。じゃあずっと覗いてたんだ……」  
 小雪ちゃんの低い声に僕は恐怖した。このままでは、何をされるかわかったものじゃない。  
「そ…そんなっ…。僕は偶然見ちゃっただけで、悪気は……」  
「でも見ちゃったのは一緒だよねぇ…?」  
「うぅ……」  
 何だかこう言われると、凄く悪い事をしてしまったような気がする。そうやって抵抗する気力を  
削がれると、小雪ちゃんと向かい合うような体勢になり、僕は舐め回すような視線で見つめられた。  
「ふふ…こんなに勃起させちゃって……、そんなに私達いやらしかった?」  
「え…あ、その……」  
 先程の情事が思い起こされる。女同士の淫靡な絡み合いが頭に浮かぶと、下半身に血が  
集まっていくのを感じた。  
 
「わぁ…またおっきく…。思い出しちゃったんだ……」  
 小雪ちゃんが楽しそうにそう言う。どうやら僕は、彼女の思惑通りの反応をしてしまったようだ。  
恥ずかしくて顔が赤くなってしまう。  
「そんなに恥ずかしがる事ないわ…。男の子なら、エッチな気持ちになるのは普通の事だもんね」  
 小雪ちゃんはそう言うと、自分のスカートの中へと手を差し入れる。そしてスルスルと下着を  
脱いでいった。  
「うわぁっ!? 何を……!?」  
 僕は目の前で魅惑の白パンティを見せられ、驚いて声を上げる。  
「ふふ…。脱ぎたてのパンツだよ……」  
 小雪ちゃんは妖しく微笑んだかと思うと、そのパンティを僕の鼻の辺りに押し付けてくる。  
「えっ!? んっ、むぐぅぅっ!!?」  
 突然下着を押し当てられ、僕の鼻腔にエッチな匂いが充満していく。先程あんな事をしていた  
ばかりだからか、その芳香は強烈なものだった。  
「ほらぁ…。私のエッチな匂い…嗅いで……」  
「ん、んぅ…んんんっ!!」  
 顔を背けようとするが、それを追い掛けるようにして下着を押し付けられる。僕はその攻撃から  
逃れられないでいた。  
(う…あ…、凄い…匂い…だ……)  
 女の香りが僕を支配し、とろけるような気持ちにさせる。そうして、僕がすっかりその匂いに  
当てられた後、小雪ちゃんがようやくその手を離していった。  
「ふ…ぁ…ぁ…はぁぁ……。こっ、小雪ちゃん、何するの……?」  
 僕がそう言うと、小雪ちゃんは僕の両肩に優しく手を乗せ、耳元でこう囁く。  
「ふふっ、わかってるクセにぃ…♪ さっき私達の事覗いてたんだもの、ダメなんて言わないわよ  
ねぇ…?」  
「あ…ぁ…そんな……」  
 小雪ちゃんは、その両手を僕の両肩から左右別に、スルスルと二の腕の方向へ滑らせていく。  
そのまま僕の肌を楽しむようにしてなぞり上げ、肘を優しくくすぐった。  
「ぅ…は…ぁぁっ……。やっ、やめ……」  
「そんなに緊張しないで……」  
 
 僕の腕を撫でさするしなやかな指は、スーッと手首を通過して、ついには僕の掌まで  
辿り着いた。小雪ちゃんはその指を、僕の指と強く絡ませてくる。  
「冬樹君は、さっきこの指で何をしようとしてたのかなぁ……?」  
「ぁ…ぅぅっ……、ごめん…なさ……」  
 痛い所を突かれた僕は、良心に責め立てられる。さらには、小雪ちゃんにそれを叱る  
ようにして掌を強く握られ、思わず泣きそうになってしまい声が途切れた。そうしてそのまま  
抵抗も出来ずに、小雪ちゃんの行為を受け入れていく。  
「あはっ…、またおっきくなった…♪」  
「え…? そん…な…、ウソだ……」  
 こんなにも苦しい気持ちになっているというのに、僕のペニスはおさまるどころか、さらに  
怒張を強めている。  
 最早、抵抗らしい抵抗は出来なかった。小雪ちゃんは僕のズボンをスルスルと脱がせて、  
下着一枚になった僕の股間を、絡め取るような視線で見つめてくる。  
「こんなにパンツ張らせちゃって、とっても苦しそう…。ふっふ〜♪ 覚悟はいい……?」  
 グリグリッ……  
「ひぅっ…!?」  
 僕はつい変な声を出してしまった。小雪ちゃんが、僕の股部の膨らみを掌でグリグリと  
圧迫してくるのだ。弄ばれるのを待ち構えるように屹立した性感器が待望の刺激を受けると、  
僕はジワジワと浸透してくる快感に、ギュウッと力が籠もる。  
「ぁっ…く…ぁぁっ…。そっ、そんなにグリグリしちゃっ……ひ…ぁっ」  
 小雪ちゃんの手の動きはどんどん活発になり、僕のモノは下着の上から遠慮無しに  
こね回されていた。  
「どう…? パンツ脱いで直にいじったら、もっと気持ちいいんだよ……?」  
 小雪ちゃんは色付いた妖しい声色でそう囁くと、間髪入れずに僕の下着をスルスルと  
下ろしていく。やがて肉の凶器と化した僕のモノが、ひょっこりと顔を出してきた。  
 
 間違いない――  
 小雪ちゃんは僕も共犯にしようとしている。それが先程の事を漏らさない策であることは  
明白だった。  
「きゃっ…、スゴ……♪」  
 下着を脱がされ怒張が露わになると、小雪ちゃんが喜び驚くような声を出す。こんな  
恥ずかしい状況だというのに、それは自分でも呆れてしまうくらいに肥大していた。  
「う…ぅ…、恥ずか…しい…よ……」  
「恥ずかしくなんかないって〜。私は大きいオチンチン好きだよ……」  
 小雪ちゃんは覆面を外した顔を近付けて、ジロジロと僕のモノを見つめている。恥ずかし  
すぎて、顔から火を噴いてしまいそうだ。  
「ほらほら、顔が真っ赤だよ♪ 可愛くても、やっぱりここは男の子なんだね……」  
 小雪ちゃんは妖しい声でそう囁くと、下着を持った右手を僕の肉棒に触れさせてくる。  
「んんっ…!? そんな…こと……」  
 そしてその手に力を込めて肉棒を握る。パンティの温もりと気持ちいい感触が、僕の  
肉棒を包み込んだ。  
「ふふ……。私が今日ずっと着けてた下着で、一杯気持ちよくしてあげる……♪」  
 さっきまで小雪ちゃんが履いていた物が、僕の性器に触れていることを考えるだけでも  
いやらしい。  
「こんな…の……」  
「あっ…、ピクピク震えてるよ……。この子も嬉しいって言ってくれてるみたい……」  
 小雪ちゃんはそう言うと、その手をゆっくりと動かし始める。  
 しゅこ…しゅこ……  
「ん…ふ…ぁっ……、そ…んな…下着でなんて……」  
 パンティをまとった小雪ちゃんの手で、僕の肉棒が優しく刺激される。手でそのまま  
擦るのとは違った感触が気持ちよくて、恥ずかしい声が漏れてしまうのだった。  
 
「どう…? 自分でするより気持ちいいでしょ〜♪ もっと擦ってあげるからねぇ……」  
 しゅっ…しゅうっ……  
「そんなぁ…っ……、ぅぅ…ぁぁ…っ…」  
 竿の根本からカリ首までが、小雪ちゃんの手で巧みにシゴかれていく。艶めかしい下着の  
感触で僕を翻弄するだけでなく、時折指を出して裏筋をなぞってくる。  
「ここ…、指でいじられると気持ちいいでしょ……?」  
「…ぅぅんっ!? う…ぁっ…感じちゃうぅ……」  
「ふふっ…。冬樹君ってば、女の子みたいな声出しちゃって可愛い♪」  
 子供をあやすようにして頭を撫でられる。僕は思わず、それに甘えるようにして小雪ちゃんの  
胸に顔を埋めていた。  
「あっ…そっ、その……」  
「よしよし、いいわよ…。もっとお姉さんに甘えちゃえっ♪」  
 そんな甘い雰囲気でも、下半身への責めは続けられる。パンティで竿全体を包み込むように  
すると、力を強めて大胆にシゴき始めた。  
 ぎゅっぎゅうっ…、しゅうっ…しゅこっしゅこっ!!  
「ぅぅんんっ……!! くぅぅ…ぁ…ぁぅっ……ダメ…だよ…声…出ちゃうからぁ…。ん…ぁ…ふ…  
ぅぅっ……」  
 さらには、必死な想いでかぶりを小さく振る僕の耳たぶに、小雪ちゃんは舌を這わせてくるのだ。  
そうして耳から首筋にかけてを舌先でなぞられると、それに応えるように喉から女の子みたいな  
声が飛び出してしまう。  
「ん…ふふっ…。ちゅぷちゅぷ……。そうねぇ…。確かに夏美ちゃんに聞こえたら大変かも」  
 そうだ。いくらドアが閉められた自室とは言え、いつ気付かれるかわかったものじゃない。自分で  
する時はこんなに声を出さないのだけど、小雪ちゃんの巧みな攻撃に、嬌声を漏らすのを抑え  
られないでいた。  
「んっ…んんっ…、ぁ…ぃっ、ふ…ぅぅ……っ」  
 他の人にバレるのが怖くなった僕は、何とか口を結んで声を抑えようと試みる。だけど、その声を  
出せない切なさは、僕をさらに高ぶらせていく…。  
 
「我慢しなくていいのにぃ…。私、冬樹君のエッチな声もっと聞きたいなぁ……」  
 それを許さないように、小雪ちゃんは手の動きを断続的に変化させ、僕を慣れさせないで  
いた。新鮮な刺激が絶えず肉棒を襲い、その度にゾクゾクと快感が走る。  
「先の方がうっすら濡れてきたよ……。元気元気♪」  
 尿道を先汁が走り、鈴口から溢れ出していくのがわかる。小雪ちゃんは顔をグイッと  
近付けて、それをマジマジと見つめるのだった。すると、小雪ちゃんの綺麗な髪が僕の  
肉棒の先端付近にサラサラと当たり、熱い吐息が吹き掛かってくる。  
「ふぅっ…!? そんなに…顔…、近付け…ないでぇ……」  
「うん? これ気持ちいい……? じゃあ、もっとやっちゃおーっと♪」  
 これを言ったのは失敗だった。今そんなことを言っても、自分がもっと弄ばれるだけ  
なのに…。案の定、小雪ちゃんは面白い物を見つけたように、髪の毛を亀頭に当てる  
ようにして覗き込みながら、息をいじらしく吹き掛けて刺激してくる。  
「ぅ…ぁ…んぅぅっ……!!」  
 手の動きも休まる事はない。僕は肉棒の根本から先端までを、丹念になぶられていた…。  
「あっ、そうだ……。じゃあ、こんなのはどう?」  
 小雪ちゃんは片手で竿への刺激を続けながら、もう片方の手で長く伸びたポニーテールを  
掴んで持ってくる。  
「えっ? ま、まさか……」  
「そのまさかかな〜♪」  
 大きくて可愛らしいリボンを揺るがし、小雪ちゃんはポニーテールの先の方で僕の亀頭を  
包み込む。そのまま手を動かし、束ねた髪で肉棒の先端付近を刺激するのだった。  
「ぅあ……!? こんなっ…こんなのぉっ……」  
「うふふ…♪ そっか〜、冬樹君はこういうのが好きなんだ〜♪」  
「そ…んな…違っ…、……っ、ふ…ぁっ……、くぅぅ……っっ」  
 こんな事で感じちゃいけないと思っていても、高ぶる気持ちが抑えられない。どんどん  
溢れ出していく先走りが、小雪ちゃんの髪にベットリと付着していく…。  
 
「ほらほらぁ…、ベトベトのお汁が一杯出てきたよ…? そろそろ出したいんだよね…? 白い  
精液、一杯出したいんでしょ…? 出したくなったら、私にかけちゃってもいいんだよ……♪」  
「ぅ…ぁ…くぅぅんっ……。ホントに出ちゃうから…や…め……ぅぅぅっ……!!」  
 淫らな欲が、今にも爆発してしまいそうだった。でも出す訳にはいかない。と言うか、女の人の  
目の前で出せる訳ない…。でも、そうして耐えている僕をあざ笑うかのように、小雪ちゃんは  
どんどんと責め立ててくる。  
「どぉ…? 私のパンツと髪に包まれて、イッちゃいそう……?」  
「ぅんんっ…!! ダ…メぇ…、ふぅぅ…は…ぁぁっ……!!」  
 そんな僕の反応を楽しむようにして、小雪ちゃんは髪でサラサラと亀頭をくすぐり、裏筋を  
指で丹念にいじるのだった。  
 気持ちよくて……切なくて――  
 いつしか僕は、ボロボロと涙をこぼして喘いでいた。  
「ふふっ…」  
 僕の表情を見た小雪ちゃんはそう微笑むと、肉棒を指でギュッと締め付ける。そして先端へと  
舌を伸ばしていった。  
「私の…、お口に出して……」  
 僕がその言葉に驚く間もなく、肉棒の先端が口内へと呑み込まれていく。温かい感触と  
内頬の粘膜が、僕をジリジリと興奮させていく。  
「んふふっ…。それひゃあ、うごかふからね……♪」  
 喉の辺りまで肉棒を呑み込んだ小雪ちゃんは、モゴモゴと口を動かして話し掛けてくる。  
その度に口が動き、僕は快感を送り込まれるのだった。  
「そんなっ…。僕…、イッちゃう…よぉ……」  
「ん…むっ…。らひて…、ふゆひくんろせーえひ…、おくひろなかれブチまへてぇ……」  
 その淫猥な言葉に誘われるように、性器は僕の意志に反して、着々と発射の準備を進めている。  
 もうダメだ…。そんな僕の思考が追い打ちを掛け、肉棒からの気持ちよすぎる快感が、背筋を  
震わせ、頭へと突き上がり、絶頂へのステップを歩ませられた。  
 
 粘ついた淫涎に包まれた口腔の中で、絡み付く舌に先端を面白いように弄ばれる。  
跪いて僕の目を見上げてくる小雪ちゃんの淫らな瞳は、どうしようもないほどに僕の  
劣情を煽るのだった。  
 グチュッ…ピチャピチャ……、チュパッ、ヌ…チュッ…、グチュ……レロレロ……  
「はぁぁ…ぅぅ…、出るぅ…出ちゃうぅ……!!」  
「んむっ…、は…むぅっ……。ふゆひくんろエッチらせーえひ、ぜーんむ飲んれあげる  
はらねぇ……」  
 小雪ちゃんは、ひたすらに淫靡な言葉を投げ掛けて、僕の射精を促す。その可愛い  
口の中に猛る想いをぶつけたいという僕の欲が、どんどんと高まっていった。股間から  
伝わるゾクゾクとした刺激が、僕の脚を震わせる。  
「んふふぅーっ、えーいっ♪」  
 肉棒を口一杯に含んだ小雪ちゃんがくぐもった声で笑うと、精液が駆け上がる肉棒の  
ラインを、その根本を中心として指の腹で丹念に往復させられ、それが飛び出していく  
鈴口の割れ目を、何度も何度も舌先で擦られた。その運動に導かれた肉棒にギューンと  
力が集まり、僕は性快楽の頂点に歓喜して、内なる欲を爆発させる。  
「くっ…ぅ…ぁっ…、ぁぁぁ――っ!!!!」  
 ビクビクゥッ!! ビュク、ビュクッビュクゥッ……  
 最後はもう五里霧中と言った感じで、小雪ちゃんの口の中に白濁液を出す事だけを  
考えていた。目の前の少女の赤らんだ両頬に手を当てて顔を引き寄せ、喉奥に一条の  
射出を打ち付ける。  
「んっ…ぅぅっ…!!」  
 小雪ちゃんは少し驚いたような声を出すが、口は離すことなく僕の肉棒を咥えていた。  
 
「はぁっ…、は…ぁっ……」  
 とてつもない絶頂に導かれた僕は、ただただ荒く息をするだけだった。小雪ちゃんは  
ウットリとした瞳で、精液の味を感じているようだ。やがてそれをゆっくりと喉に流していく。  
「んっ…ふぅ…、コクン…コクン……。ジュッ……ん…んっ…コクコク……」  
「は…ぁっ……、僕の…吸われっ……」  
 小雪ちゃんは尿道に残っていた精液をも飲み干そうと、口をすぼめては吸飲を行う。  
それは決して無理にではなく、僕を優しく気遣うようにして丁寧にしてくれていた。激しく  
弄ばれた後に行われる穏やかな後戯が、僕に心地よい爽快感を与えてくれる。小雪ちゃんは  
それを終えると、僕のモノからようやく口を離していくのだった。  
「んっ…ふぅ…っ……濃いの…。冬樹君のせーえきおいしー……。クセになっちゃいそぉ……♪」  
 褒め言葉と受け取っていいのかわからないけど、脱力しきった僕にはそんな事を考える  
余裕もあまり無かった。  
「うっ…、僕…疲れ…ちゃっ…て……」  
 今まで感じた事のない様な、絶頂後の疲弊感。つい身体をフラッと前のめらせた僕を、  
小雪ちゃんは両手で受け止めてくれた。そしてそのまま自らの胸元へ、僕の頭を抱き寄せる。  
「小雪…ちゃん……」  
「ここで…、休んでいいよ……」  
 一言だけ、僕にそう告げた。断る気力も残っていない僕は、恥ずかしながらそれに甘える  
形となる。柔らかい胸元に温かく包まれると、僕は自然と目を閉じて眠るように休んだ。  
 目を閉じれば、そこは暗い――何も見えない、そんな暗黒の空間。どうしてさっきこれが  
出来なかったのかなと可笑しくなってしまう。そこからは、ただ温もりと優しさだけが感じ取れた。  
 
「ん……」  
 どれくらい経っていたかはわからないけど、僕はゆっくりと顔を上げる。  
「あー。冬樹ったら、やっと起きたわね……」  
(あれ…? おかしいな。姉ちゃんがなんで……って――)  
 自分が下半身丸出しだったのに気付き、物凄い勢いで股部を手で隠す。  
「ね、姉ちゃんいつの間に!? そっ、それに小雪ちゃんはっ……?」  
「なーに言ってんのよ。ずっと私に抱き付いて眠ってたクセに……」  
「え…、え……?」  
 状況がよく呑み込めない。下半身に何も身に着けていない僕を前にして、姉ちゃんが  
何の動揺も見せていない事も、強い違和感を感じさせる。  
「ねぇ…冬樹……」  
 そして、いつもの姉ちゃんのものとは思えない、淫蕩に染まったような甘ったるい声で  
話し掛けてくる。僕はこの疑念を聞かずにはいられなくなった。  
「ね、姉ちゃん…どうしたの? ちょっとおかしいよ……」  
 僕がそう尋ねても、姉ちゃんは不思議そうに首を小さく傾げるだけで、特に返答は行わ  
なかった。先程の続きか、こう話してくる。  
「ずっと冬樹の眠ってる姿見てたら私…、したくなっちゃった……」  
「し、したくなったって、何を……?」  
 凄く嫌な予感がしたけど、僕は恐る恐るそう尋ねる。  
「そんなの…、エッチな事に決まってるでしょ……」  
 姉ちゃんの指が僕の股間に伸ばされ、そこをツツッ…と徘徊した。  
「や…、やっぱり……」  
 今日はこういう事の当たり日なのだろうか。驚くというよりは、むしろ予想が当たって  
しまった事への落胆の方が大きかった。  
「もう…、そんなにガッカリそうにしてぇ…。お姉ちゃんとじゃ、イヤなの…?」  
(うっ……)  
 弟の僕を従えるようないつもの強い姉ちゃんは、そこには居なかった。今の姉ちゃんは、  
泣きそうな瞳で保護欲を誘い、色付いた吐息を漏らすという、まるで別人のような姿を  
している。  
(こうして見ると、結構可愛い…かも)  
 僕は、姉という先入観抜きに、心の中でそう批評していた。  
 
「冬樹…、お姉ちゃんと…しよ……?」  
 そうやって油断しているうちに再度接近を許し、すぐ目の前でそう囁かれる。いつもとの  
あまりの相違に、この人は本当に姉ちゃんなのだろうかと疑念を抱くが、何度顔を見ても  
姉ちゃんには違いなかった。  
「あああ…、でも、それとこれとは話が…。姉弟でなんて、ダメだよ……」  
「私の言う事が聞けないの……?」  
 強く迫られた僕は一瞬たじろぐが、こればっかりは首を縦に振れない。姉ちゃんを強く  
見返す事は出来なかったけど、僕は目を合わせてその思いを訴えた。  
「そう…。無理矢理はイヤだったけど、仕方ないわね……」  
「えっ……!?」  
 姉ちゃんの不穏な言葉にドキッとすると、腕を掴まれて後ろに回される。そこをグルグルと、  
紐のようなもので結ばれているようだった。  
「あ、あの…姉ちゃん? これって……」  
 手首の辺りを拘束されたようで、腕が動かせない。目の前には、御馳走を前にした肉食獣の  
ような目の姉ちゃんがいて、急速に不安が強まっていく。  
「覚悟しなさいよぉ…。お姉ちゃんがたっぷり可愛がってあげるんだから……」  
「あ…あはは……」  
 僕は姉ちゃんを制止するのが無理だとわかって、苦しい笑いを浮かべるだけだった。  
姉ちゃんは、ジックリと獲物を追い込むように手を近付けてくる。そうして僕の肉棒を掴むと、  
自分の股部にそれを寄せていった。  
「ええっ!? 姉ちゃん、いくらなんでもそれはさすがにマズイよっ!!」  
「だーめっ…。私、もう我慢出来ないもん…」  
 マズイ、マズ過ぎる。姉ちゃんは短いスカートの下に何も履いておらず、濡れそぼった秘部が  
丸見えだ。その秘密の花園へと、僕のモノを導こうというのである…。  
「ぜーんぶ呑み込んであげる…。うふふ…、私の可愛い冬樹……」  
 優しさとかそんな感情を通り越したような笑みを浮かべ、姉ちゃんはゆっくりと腰を動かす。  
僕のモノとその入り口とが、いよいよぶつかろうとしていた。  
「ああっ…、そんなっ…、う…わあああっ!!!!」  
 その瞬間、僕の中で色々な感情が渦巻き、混乱を放つようにして絶叫した。  
 
「あ、あれ……?」  
 次の瞬間、姉ちゃんの姿は消え失せていた。周りの風景を確かめるが、ここは確かに  
自分の部屋だった。自分はベッドの上で布団を被って……  
 そんな混乱する思考の中で、僕の名を呼ぶ声が聞こえた。  
「冬樹ーっ! 冬樹ーっ! いるんでしょーっ!?」  
 ガチャッ!!  
 ドアが勢いよく開けられると、姉ちゃんが部屋へと入ってくる。  
「ねっ、姉ちゃんっ!? ほ、ほ、ほらっ、やっぱり姉弟でってのはおかしいと思うんだ。  
生物学的にも倫理に反してるし、その……」  
「はぁ? アンタ、何言ってんのよ……」  
「え…?」  
 冷静になってみる。自分をよく見ると、脱ぎ去っていたはずのズボンや下着もきちんと  
履いていて、特に性交渉の名残のようなものも感じられない。姉ちゃんの様子も、いつもの  
ものに戻っていた。  
「どーせ、また変な夢でも見てたんでしょ? 私、これから小雪ちゃんを送ってくるから、  
ちゃんと留守番してなさいよね?」  
 そう言う姉ちゃんの様子からは、僕に隠し事をしているようには感じられなかった。  
 
(そうか、夢……)  
 先程の事は全部、夢の中の出来事だったんだと納得して、ホッと胸を撫で下ろす。  
「冬樹君、おじゃましましたぁ〜♪」  
 隙間から小雪ちゃんがひょこっと顔を出し、無邪気な笑みで僕に挨拶してきた。  
あんな夢を見たせいか、どこか含みのある笑いに見えて仕方なかったけど…。  
「あ、うん…。じゃあね小雪ちゃん…」  
「じゃあ頼んだわよ。さ、小雪ちゃん行きましょ」  
 僕が小雪ちゃんに挨拶すると、姉ちゃん達がドアを閉めて玄関の方へと歩っていった。  
「…はぁ」  
 今日は眠っているだけなのに、何だかえらく疲れた感じだ。寝過ぎたせいか、二度寝  
する気にもならず、僕はもそもそとベッドから降り、自分の部屋から出ていく。  
「はぁ…、何だかお腹空いたな……」  
 起きて早々疲れを感じていた僕に、空腹感が襲い掛かる。何か食べるものはないかと、  
おぼつかない足取りで台所に歩いていった。  
「ふぅ…」  
 台所を見渡して、物色を開始する。  
「何か食べるものは…っと。ん…? えっ!?」  
 テーブルの上に置いてあった一つのコップ。何か見覚えがあるなと思った。記憶を  
辿ると……  
「ま、まさか……」  
 そう。「夢」の中で僕が水を飲んだコップ…。それが飲みかけのまま置いてあったのだ。  
僕が「夢」の中で腰掛けていた椅子も、その名残を留めて配置されている。  
 何だ――? まさかアレは夢の中の話ではなかったというのだろうか? でもそれを  
認めると、僕がされた行為が真実だという事になってしまう。それに自分以外の誰かが  
飲み残しを置いていったと考えても、別に不自然ではない。  
 
「そ、そうだよ。こんなの偶然――」  
 辺りを見渡すが、相変わらず人の気配は全く無い。賑やかな軍曹達もどこかへ  
遊びに行っているのか、全くここを訪れる気配は感じられなかった。あたかも  
「その水は間違いなくお前が飲んだものだ」と言い聞かされているように…。  
「は…、ははは……」  
 食欲など失くしてしまった僕は、来た道を戻って再び自室へと入る。そして力無く  
ベッドに腰を下ろした。  
(冷静に考えてみよう…。少なくとも僕が一度起きて台所に水を飲みに行ったのは、  
真実の可能性が高い…。とすると、姉ちゃんと小雪ちゃんがしていたのは本当  
なのかな…? でもさっきの二人から、そんな雰囲気は感じなかったけど…。  
その後僕がベッドに突っ伏して…、と言う事は小雪ちゃんとした事は夢の可能性も  
ある…? その後の姉ちゃんとは……ああ、もうわかんないよ……)  
 それに、こうやっていくら考えた所で、行われた事実が変わる訳でもない。  
 ドクン…ドクン――  
「ぁ…っ…、な…に……?」  
 そんな事を考えているうちに、僕は身体が熱くなり鼓動が高鳴る。思わず自分の  
胸に手を当てた。  
 淫靡な夢を見たせいか? それとも実際にあんな事をしてしまったせいか?  
真実はわからなかったけど、一つだけ確かな事があった。それは今の自分が、  
時に訪れるような、非常に強い性的な衝動に駆られている事…。  
「ぁぁ…、凄く…したい……」  
 僕は、おぼろげにそう呟く。  
 もしかしたら、これも夢なんじゃないか? 僕はそんな事を考えながら、自分の  
傍らに箱入りティッシュを置き、ズボンのファスナーへと手を掛けていった……。  
 
                                       −完−  
 

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