ここは日向家の居間である。その部屋で、二人の男女が恋愛ドラマを視聴していた。  
同じソファで隣同士に座っている二人は、仲の良い家族のように見える。  
 一人は、目を輝かせてマジマジと画面を見つめる少女、アンゴル=モア。話の行方を  
心配しているのか、両手を前で組んでハラハラとした様子だ。その事からドラマを十分に  
楽しんでいる事が窺える。  
 一方もう一人は、始めの部分を見てしまって引くに引けなくなった男、ケロロ軍曹であった。  
『僕は…君の事が……』  
 今は、ヘタレ系主人公の男が、少女に想いを告白する場面に差し掛かった所である。  
『ずっと…、ずっと君とこうしたかった……』  
「そっ、そんな事を言うなんて…。てゆーか大胆不敵?」  
「…バリバリ」  
 一つのシーンが映し出される度に一喜一憂するモア。それとは対照的に、ケロロは  
せんべいを食べながら、黙々とテレビを見ていた。  
 想いを確かめ合った男女が寄り添った所で、感動的な音楽と共にスタッフロールが  
流れ始める。ドラマを十分に堪能したと言うべきモアは、ウットリとした表情で呟いた。  
「ああ…、私もこんな素敵な恋愛をしたいです…。てゆーか恋愛願望?」  
 鑑賞中に菓子を口に運びすぎてさすがに食べ疲れたのか、ケロロは口の中の物を  
やや強引に飲み干してからそれに答える。  
「モア殿には、まだ早いと思うのでありますが……」  
 そうケロロの言葉を聞くと、モアはどこか不満げな様子だった。モアがケロロと地球で  
出会ってからも、二人の間には恋愛と言う物の雰囲気は感じられなかったのだ。昔から  
知る仲とは言っても、やはりケロロは自分の事を年下の子供くらいにしか思っていないかと、  
ひどく動揺してしまう。  
 しかし、これまで少女が諦める事はなかった。それはきっと、これからも……。  
「あ、あのぉ…、おじさまっ……」  
 今がチャンスと見たモアは、自分を奮い立たせるようにして深く頷くと、隣に座っていた  
ケロロに身体を少しずつ寄せていく。  
「モア殿?」  
「あ、あの…その…、少し私とお話しして頂けませんか……?」  
 
「いいでありますよ。吾輩とモア殿の間柄、そんなにかしこまる必要はないであります」  
 別に断る理由もないと、ケロロは笑顔でそう答える。自分に向けられるその優しさが、  
恋愛とは直結していないものであることが、モアには辛かった。  
 モアは自分がこれまでケロロを見てきた気持ちを伝えようと、遠回しな言葉ではあったが  
語り始めた。地球に来た時、ケロロとまた会えて凄く嬉しかった事や、地球侵略作戦で  
行動を共にした時の思い出話など…。  
「そうでありますなぁ…。こうしてみると、モア殿も随分成長したように思うであります…」  
 そうだろうか。ケロロはそう言っているものの、モアの中では、やはり自分はまだまだ  
子供のように見られていると感じていた。  
 そうだ。自分はもう、ケロロに甘えていた子供の頃とは違うはず…。大人の女性に近付く  
ために、そしてケロロにもそう見てもらえるように…。そう決心した少女は、隣に座った  
ケロロの顔に手を近付けると、指先でその頬に優しく触れた。  
「モ、モ、モア殿!?」  
 妖しげな行為をしながら見つめてくるモアに驚いたケロロが、ビクッと身体を震わせて  
そう叫んだ。隣を見上げると、モアの視線が自分に向かって痛いほどに降り注がれている。  
その目は絶対に逸らそうとしない。  
「私…、もうおじさまが思ってるほど子供じゃないんですよ……」  
 モアはそう囁くと、さらにずいっと身を寄せる。向き合うと、二人の吐息が肌に感じられる  
ほどだ。キラキラと輝く瞳で見つめられたケロロは、思わず顔が赤くなるのを感じていた。  
「ケロォ――ッッ!? そっ、そうだ。今日は新作ガンプラの発売日だったであります!!  
ちょ、ちょっと出掛けてくるでありますぅ〜っ!!」  
「あっ!? おじさまぁっ!!」  
 ケロロがそう叫んで脱兎の如く部屋を飛び出すと、玄関のドアが閉まる音がした。どうやら  
外に出ていってしまったらしい。  
 そうして、居間にはポツンとモアだけが残されたのだった。  
「私はおじさまと一緒に居たいのにナ…。てゆーか雲散霧消……?」  
 モアは力無くうなだれると、涙目になって頭を抱えてしまう。そんな少女の姿を、陰から  
見つめている者がいた。  
 
「クックック、なかなかのラブコメだったが…。隊長も女心がわかっちゃいないねェ……」  
 今、日向家の者はみんな出払っており、ケロロとモアが二人きりで恋愛ドラマを見ていたのだ。  
こんな面白そうな構図に、クルルが黙って何もしない訳がない。居間に隠しカメラを設置し、  
そこから送られてくる映像を研究室で視聴していたのだった。  
「はぁぅ〜……」  
 モアは悩みに苦しみながら呻き声を上げて、居間で沈んでいる。それを見たクルルは、何やら  
考えていた。  
「ククク…。そうだな…、アレを使うか……」  
 そう考えて椅子から立ち上がろうとした時、クルルははたと動きを止めた。もしかして自分は、  
これから人助けをしようなどと考えているのではないか、と。  
「…チッ、俺は何考えてやがる。丁度いい所に実験台が見つかっただけじゃねえか…、ク〜ッ  
クックック……」  
 余計な事を考えた自分を叱咤するようにして舌打ちをするクルル。一際大きい笑い声を上げると、  
氷の入ったグラスにたっぷりと注いでいたアイスコーヒーをグイッと飲み干した。  
「クルル曹長…、行くぜェ……」  
 そしてゆっくりと立ち上がり、自分の創り出した新発明を取り出すと、その場を後にするのだった。  
 
「お困りのようですな…、クックック……」  
「クルルさん…?」  
 張り巡らされたギミックにより、クルルの移動は一瞬で行われた。モアは余程思い詰めて  
いるのか、表情にいつもの明るさは無い。しかしクルルにとっては、むしろ好都合と言えるだろう。  
「いやなに。新しい発明をしていたら、ちょうど実験だ…もとい役立ちそうな人を見たもんでね……」  
 クルルは努めて善良な意志を装い、何食わぬ顔でそう話し始める。  
「発明…ですか?」  
「ククク…、これだ」  
 郵便で送られてくる時のような梱包が施された大きな箱が、モアの目の前に差し出される。  
「うわぁ…。でも、これは……?」  
 包みが透明である訳もなく、大きめな箱に入れられたそれが何であるかは見当が付かない。  
「クックック…、お届けの際には中身がわからないようにするのが基本なんでねェ……」  
「はあ……」  
 よくわからないと言う感じで首を傾げるモアだったが、人を疑わない純粋な性格もあってそれを  
快く受け取った。  
「まあ、開けてのお楽しみってとこだな…。早速使ってみるかい?」  
「はい!」  
 モアがいつもの元気を取り戻したようにして、梱包をガサガサと解き始める。程なくして紐を  
解き終わり包みを外すと、いよいよ箱へと手を掛けていった。  
「何が入ってるのかナ…♪」  
(そんな悩みなんてブッ飛ぶほどの物をプレゼントしてやるよ…。ク〜ックックック……)  
 心の中でしめしめと笑うクルルの事など知る由もなく、モアはワクワクとした気持ちに顔を  
ほころばせて、ゆっくりと箱の蓋を開ける。すると……  
 シュッ!!  
 箱の中から、素早い動きで何かが飛び出してきた。それに驚いたかと思うと、あっという間に  
身体に絡み付かれる。  
「えっ、ええっ!?」  
 うろたえながらも何とかその正体を確かめようと、視線を自分の身体に向ける。すると、以前見た  
触手系生物をもっと変質させたようなものが、服の上を這いながら身体に絡み付いていくのだ。  
 
「てゆーか宇宙生物…? ク、クルルさぁん…、これはどういう……?」  
「クックック…、俺が宇宙生物を健康用に改良して創った奴さ…。こいつに任せれば、  
身も心もスッキリする事を保証するぜェ……」  
 そう会話をしている間にも、表面を粘液で覆った棒状の触手が、ズルズルと動き回って  
いる。始めはやさしくゆっくりと動いていたが、モアとの接点が増えていくにつれて力を  
強めていき、服にはだんだんとシワが作られていく。そんな触手によって、服越しに身体を  
ジワジワとかすめられるモアは、ムズムズとした感覚に眉を寄せていた。  
「で、でも…、ん…ふぁ…ぁ…っ…、ちょっと…くすぐったいですぅっ……」  
「そうかい? まあ、こいつは頭もいいんでねェ……」  
 クルルがそう言うと、大きく口を開けた触手の一本がモアの首筋をピチャピチャと舐め始める。  
「ふひゃぁぁっ!? やぁ…、そんな所舐めないでくださぁい…。ぁぅぅぅ……」  
 クルルが言った事は本当だった。単なる宇宙生物とは思えないほどの巧みな舌使いで、  
確実にモアを感じさせようとする意図が感じられる。そこから伝えられる感覚によるモアの  
反応を見て、きちんとした思考を組み立てながら責めてくるのだった。  
 その時、モアが首筋にチクリとした痛みを感じる。驚いて確かめると、触手が首筋に  
噛み付いていたのだ。  
「い…や…、何か…入ってきてますぅ……」  
 そこから温かい「何か」が、自分の中に流し込まれている。その不慣れな感覚に、急速に  
不安が込み上がっていった。  
「クックック、毒じゃねえから安心しな…。新陳代謝を良くするための成分が入ってるがなぁ。  
少ししたら身体が熱くなってくるはずだぜェ。これでくすぐったいってことはなくなるだろうよ……」  
 
「う…んぅぅ…はぁぁ……」  
 モアはゆっくりと舐めて慣らされたためか、噛み付かれた場所からはそれほど痛みを  
感じなかった。そしてゆっくりと歯が抜かれると、鮮血がつうっと垂れてくる。触手はそれを  
舌で絡め取るようにしてすくいとると、傷口を癒すように優しく舐めるのだった。  
 ピチャ…ピチャ…ツプ…チュプゥ……  
「ぁ…ぁっ! くぅぅ…やっ…そこ敏感に……ひゃううぅっ……!!」  
 首筋を這うようにして敏感な噛み跡を目指してきた触手が、丹念にそこをなぜる。周りの  
敏感な首肌を含めてなぞられ、痛みと快楽が共鳴した刺激となってモアを襲っていた。  
「ぁ…ん…いやぁっ…、首…そんな…に……んぅぅっ…! てゆーか集中攻撃…?」  
 舌を出した触手に気をとられているうちに、別の長い触手が首にグルッと巻き付いてくる。  
モアは首を絞められるのではないかと恐怖して、顔を引きつらせた。  
「ククク、安心しろって…。こいつには、お前を傷付けたり苦しませようって意志はねえよ……」  
「んぅぅ…、で…でもぉっ……。ぁ…はっ……!!」  
 巻き付いた触手がズルズルと首周りを這うと、鳥肌が立つような快感が頭へと突き上がっていく。  
吹き出た汗が触手の粘液と混ざり合い、トロトロとした湿気がモアを淫猥な世界へと誘うのだった。  
「本当に対象者が嫌がっていたら、こいつは自ら行動を停止する…。それが無いって事は……」  
 舌を出した触手が、軽くかすめるように耳たぶをなぞり上げる。  
「ふぁぁぁっ!!?」  
 瞬間、モアは2カ所から同時に責められて、ガクガクと膝を震わせた。強い快感が通り過ぎた後も  
その興奮から来る甘美な吐息は抑えられず、無垢な少女がジワジワと淫蕩な色に染まっていくのが  
クルルには見て取れた。  
「お前がこいつの行為にいい反応を見せてるって事だろ? ク〜ックックック……」  
 妖艶な色を全面に押し出してきたモアの可愛らしい顔を覗くと、その目には快感の涙がうっすらと  
浮かんでいた。そんな少女の様子を見て、宇宙生物もその動きを強めていく。  
 
「は…ぁっ! そ…んなぁ…、ダメ…です…。気持ちよくなっちゃいますからぁ……」  
「おいおい、そんな顔すんなって。こいつは健康用なんだぜェ…? 気持ちよくなってるなら、  
役に立ってる証拠じゃねえか…。クックック……」  
 クルルはワザと知らない風にして、モアにそう語り掛ける。確かにこの宇宙生物には、健康に  
良い成分が多く含まれてはいた。  
「ち…、違うんです…。そうじゃなくてぇ…ひぁっ!? …こっ、これされると、エッチな気持ちに  
なっちゃうんですぅ……」  
 そう言うモアの身体は、この快楽を受け入れ始めていた。男性器を模したような棒状の触手が、  
モアの肢体へ複雑に絡み付いていく。上着の袖の隙間から入り込んだものが腕へと絡み付いて  
いくと、別のものが脚部にも伸びていき、ムッチリとした腿へ巻き付いていく。そして膝裏をかすめて  
ソックスの中までも滑り込む。それはふくらはぎの肉付きを味わうようにして、つま先まで犯そうかと  
言わんばかりに突き進んでいった。  
 ズル…ヌルゥッ…ズルゥ…ズルズルゥ……  
「はぁ…はぁ…はぁぅ……きゃっ!? ひぅぅぅっ……。ダメぇ…、ヌルヌルして……」  
 四肢を滑る生々しい感触に、モアはグッと力が入る。込み上がってくるいけない感覚を必死に  
振り払うかのように、小さい身体を震わせていた。  
「その粘液で、肌もツルツルになるぜェ…。たっぷり塗り込んでもらいな……」  
 
 ヌチュ…グチュ…ヌチュウッ……  
「く…は……っ…、んぅぅーっ……! はぁー……はぁー……」  
 甘い吐息を快楽の証明としているモアの身体…。服の中に滑り込んだ無数の触手が絡み付き、  
ウニュウニュと蠢いている。時折敏感な場所をかすめると、ビクッと顔を上向かせて声を漏らし、  
クルルを楽しませた。  
 宇宙生物の眼力は秀逸で、モアの快感の波が落ち着くかと思うと、それを見計らうようにして  
動きを強め、高みからなかなか降ろそうとしない。その的確かつ効率の良い動きで、モアの肢体を  
ジワジワと這っていく。  
「ふ…ぁぁ…ダメぇ…おかしくなっちゃうぅ……。てゆーか快楽地獄……?」  
「おいおい、俺がどうしてお前にこれをやったか思い出せよ……」  
「ふ…ぇ…? それはぁ…私が悩んでいたのを見て心配してくれたから…です……」  
 快感で朦朧としてきた意識で、モアがそう答える。  
「そうだ…。今のお前は、そのことを考えて苦しんでるのか? 違うだろ?」  
 そう言うクルルに、モアが必死に焦点を合わせて答える。  
「はいぃ…。今の私はぁ…、気持ちいいだけですぅ……」  
「そうだ。だから地獄じゃなくて天国なんだよ……。このままイッちまいなぁ。クックック……」  
 クルルはサディスティックな笑いを浮かべてそう言った。しかし、その眼鏡のレンズの向こう側には、  
こんな方法でモアを慰めている自分を哀れむような、悲しい瞳が佇んでいた…。  
 
 そうやってクルルがモアに意識を集中していた時、突然何かが高速で飛んでくるのが目に入る。  
「クッ…!?」  
 瞬間の反応で、何とかそれを交わすクルル。しかし、それはわずかに避けられるよう加減された  
物であるように感じられた。クルルは壁に突き刺さった物が何であるかを確かめる。  
(手裏剣…? って事は……)  
 クルルは、それが飛んできた方向をゆっくりと見やる。  
「これはどういう事でござるか? クルル曹長……」  
「お邪魔してま〜す♪」  
 そこにいたのは忍二人…、ドロロと小雪だった。度々日向家には訪れていた二人だったが、  
よりによってこんな時に…と、クルルは舌を鳴らす。  
(チッ…、空気読めよ……。どうやら話してわかるって状況じゃねえみてえだな……)  
 ドロロの表情は、過激な地球侵略作戦に異を唱える時のものか、あるいはそれ以上だった。  
(かと言って、こいつら二人を相手にするのは……)  
 話し合いでの解決は難しく、バトルでも二人の相手を同時にするのは苦しいと判断したクルルが、  
咄嗟にスイッチを取り出す。そのボタンを押し、地下へと続くギミックを使って逃走を図るのだった。  
「戦略的撤退だ…。あばよ……!!」  
「待つでござる!!」  
 クルルがそこに入り込むとすぐに入り口が閉じられようとするが、一瞬だけドロロが到達するのが  
早かった。二人は、どこへ続くともしれぬ穴へと消えていく。  
 そうして場にはモアと宇宙生物…、そして小雪が残されたのだった。  
 
「さぁて…と、今度は私の番ね……」  
 小雪が宇宙生物の方を向き、小刀を鞘から抜いて構えをとる。鋭い視線で相手を  
睨み付けるその姿からは、いつ斬り掛かってもおかしくないように見えた。  
「こ、小雪さぁん……」  
 モアが弱々しい声で小雪の名を呼ぶ。助けを求めているのか、それとも止めてと  
言いたいのかはわからなかったが……。  
「な〜んちゃって……♪」  
 小雪が刃物を鞘に収める。そして何も持たずに、モアと宇宙生物の所へと歩み寄って  
いった。  
 シュルシュル……  
 そして、そんな触手を一本引き寄せ手で掴むと、その感触を確かめる。  
「すごぉい…、こんなにビクビクしてる……♪」  
「えっとぉ…。小雪さん、一体これは……?」  
 まるで戦う気の無いような小雪に、モアが疑問の声で問い掛ける。  
「実は…、さっきの話聞いてたんですよ。まあ、ドロロには言ってないけど……」  
 どうやら小雪は、モアとクルルの話をこっそりと聞いていたらしい。続けてこう言う。  
「あんな態度だけど、きっとクルル君も心配だったんだと思う…。それに……」  
 小雪は目の前にいる宇宙生物の触手を優しく撫でた。  
「この触手君も、悪い子じゃないですよ…。私にはわかる」  
「ですけど、何で小雪さんまで……」  
 そう問い掛けられた小雪は、真剣な表情を解いてクスリと笑みをこぼす。  
「エヘヘ…。実は最近、夏美さんがつれなくて……。少しの間だけ私の悩みも忘れさせて  
貰おうかなぁ…と」  
 今日も夏美に会いに来たのだろう。もっとも夏美だって、小雪の事が嫌いで避けている  
訳ではなかった。当然、小雪が必要以上に「スキンシップ」を求めてくる事に対する抵抗は  
あっただろうが。  
「だから…ね?」  
 小雪がモアの背中に腕を回して、抱き付くような体勢をとる。  
「小雪…さん」  
「一緒に気持ちよくなろ…♪」  
 これからすることへの期待で濡れた小雪の瞳が、どんどんとモアに近付いてくる。モアは  
それに呑まれるようにして、小さく声を漏らしたのだった。  
 
「は…ぅ……」  
 小雪の唇がモアの唇へと優しく触れられた。小雪はそのプリプリとした感触を味わうように、  
キスのノックを繰り返す。二人の赤い唇肉がぶつかりあって、繊細な摩擦と陶酔的な悦楽が  
モアの身体に浸透していく。  
「ぁ…ぅぅ……」  
 それが通じたのか、モアが少しずつ口を開き始めた。すかさず小雪が舌を滑り込ませ、  
口腔の浅い所から舌先で丹念にいじっていく。  
「う…むぅ…んんっ……ひゃ…ぁぁっ……」  
 小雪に弄ばれる口腔をモゴモゴと動かして、モアは悦びのさえずりを漏らす。くノ一少女の  
幼い見掛けに似合わぬ卓越した舌捌きが、モアを快楽の淵へと追いやっていくのだった。  
(あ…うぅんっ…。頭…ポーッとしてきて……。てゆーか、小雪さん上手過ぎますよぉ…)  
「んっ…ぴちゃ……、あ…むっ……ちゅくちゅぷっ…、ちろちろ……、ふぁっ……。ふふっ…、  
もっと気持ちよくなって下さいねぇ…♪」  
 妖しい声でそう囁く小雪は、モアの全身を甘い視線で見つめている。モアはその視線の  
先に居る自分が、見えない紐に絡み付かれていくような感覚に囚われた。  
「はぁ…はぁー……私…小雪さんに…見られ…て……」  
 自らの感じている姿を、こんなに近い距離で小雪に見つめられて、羞恥心が沸々と  
湧き上がってくる。それまでの性的な衝動を食い止めるようにしてきた理性が、小雪の  
熱い視線によってゆっくりと溶かされていく。宇宙生物と小雪の手で送り込まれるこの快感に、  
己の身を任せてしまいたいという欲求が、頭をかすめ始めていた。  
(ふ…ぁぁ……、私…このままじゃエッチな娘になっちゃいますぅ……)  
 
 二人の行為に魅入るようにして動きを止めていた宇宙生物が行動を再開し、またモアの  
身体を這いずり始めた。ソックスの中まで入り込んだ触手が、途中で細かく分離して足指の  
一本一本を丹念に舐める。真っ白なソックスが清楚さをかもし出すはずの足先は、妖しく  
盛り上がって蠢いていた。宇宙生物はその指の間を綺麗にしようと、電動歯ブラシのような  
微細な振動を起こして接触してくる。  
 ヴィィィィィン……  
「ひぃうぅっ…ぁ…そんな…ぁっ……。指の間…お掃除されてますぅ…。はぁ…はぁぁ……、  
んっ…くぅぅん……」  
 この上なく淫靡な方法で、宇宙生物はモアの汚れをジックリと落としていく。くすぐったいような  
むず痒いような、そんな感覚。やがてそこから一歩踏み出した、ジンワリと熱い想いが込み上げる  
ような不思議な感覚が、少女に興奮を与えていった。  
 次々と襲ってくる刺激に戸惑いながら、花開く前の蕾のような身体は少しずつ開発されていく。  
「凄く、気持ちよさそう…。だってこんなに…、こんなにエッチな顔してるんだもん……」  
 小雪はモアの頬に手を添えて、あやすようにゆっくりと撫でた。快感に身を翻弄されそうに  
なっているモアが、それにすがるようにして甘えてくる。  
「モアちゃん…、こうされると安心します…?」  
 モアはそれにコクンと頷いた。そして色付いた吐息を漏らしながら、小動物のように顔を  
ゴロゴロと擦り寄せてくる。  
(かっ、可愛い…。私も触手君に負けないように頑張らなくちゃ……♪)  
 モアの汚れのない真っ白な――そんな綺麗な心が印象付けられる。清廉な少女の姿を見て、  
小雪の胸の鼓動も高鳴っていった。救いを求めるようなモアの可憐な仕草に答えるようにして、  
紅潮した頬に触れた掌を動かし、そこを優しく撫でてあげる。  
「んんっ…ふ…ぁっ、はぁぅぅぅ……」  
 そうしてあげるとモアは可愛い声を漏らし、少し安心したように表情を緩めた。  
 
 しかし、モアが自分を繋ぎ止めるように頼っていた小雪の温かい掌は、無情にも  
引き離されていく。自分を慰めてくれていたその手はスルスルと下方へと滑っていき、  
臀部へと到達した。オロオロとするモアに嗜虐心を煽られたのか、小雪はその手を  
そこでゆっくりと動かし、スカートの上から尻肉の淫靡な感触を味わっていく。  
 サワ…サワサワ……  
「はぅ…、ぁぁっ!? お尻撫でちゃ…くぅんっ…。イヤ…、そんなに触っちゃイヤですよぉ……」  
 あっけなく淫虐の世界に戻されたモアが悲鳴を漏らすと、追い打ちを掛けるようにして  
触手が動き回ってくる。  
 そうやって身体中に絡み付く触手の動きに気をとられると、小雪が不意打ちのように  
尻を撫で上げ、キスをしてくるのだ。しかし小雪と目を合わせていると、今度は触手が  
ズルズルと這う感触に我慢が効かなくなってしまう。  
 ゆっくりと――そして確実に責め立てられていったモア。そのうちにグッタリと力が  
抜けてしまい、小雪の胸へと寄り掛かるようになってしまう。  
「そんなになっちゃうほど気持ちいいですか…? じゃあ、もっと強くしてあげますよぉ♪」  
 サワサワッ、ナデナデ……  
「ふぁっ…ぁぅぅ……」  
 小雪に密着すると、桃尻を撫でる力が強められた。モアが自分の負担を軽くしようとして  
本能的にした事が、結果としてさらなる快感をもたらす。  
(こ…んな…。お尻…、感じちゃいますぅ……)  
 どうしようもないほど気持ちよくなっていく自分を、改めて意識させられたモア。このまま  
快感に身を任せれば楽になれる…と、心の中の悪魔が囁き始めていた。  
 ズルチュ…ヌリュウッ……  
 一体何本あるのかという触手は、脚の愛撫を続けながらもモアの手首から入り込んだ  
ものが、ズルズルと肘や二の腕を刺激していく。淫行に震える褐色の肌は、身体中で  
グチュグチュにヌメらされていた。  
 
 スルスルゥ……  
 触手がモアの襟元からゆっくりと中へ侵入し、鎖骨や肩を刺激する。と、モアの身体が  
ピクンと震え、その後も小刻みに肩を震わせている。その様子は、明らかに先程までとは  
違っていた。  
「モアちゃん、おっぱいいじられてる……?」  
 見れば、モアの服の中に入り込んでいる触手が胸の辺りでモゾモゾと動いていた。  
おそらくはその衣服の中で、まだ青い果実をグニグニと弄ばれているのであろう。  
「ぁ…ぁっ…!? あぅぅぅっ……。そっ、そうなんですぅ……」  
 モアの服の中では、発達中の美乳がブラの上からやや強引にこね回されていた。  
棒の先端で突っつくように刺激していた触手が、揉みやすいように手のような形に変態し、  
成長中の双丘を丹念に揉みほぐしていく。  
 ギュッ…グニュ…グニュウッ……  
「ひ…ぅっ…、私…おっぱい…揉まれて…う…んんぅっっ……!? これ…さっきと  
違いますぅっ……。てゆーか変幻自在……?」  
 未熟な身体のあちこちをジワジワといじされたモアは、今までで最も敏感な部位を  
刺激されていた。ゆっくりと性的に変化させられたその身体は、溶けてしまいそうなほどの  
快楽で埋め尽くされていく。  
「んっ!? ぁ…ぅ…ふぁぁぁぁ……。身体…熱くて…、気持ち…いい……。はぁー…  
はぁー……、私…、もうっ……」  
「触手君はモアちゃんの事が気に入ったのかな…? 私の方には来ないもん……」  
 小雪はそう言って、目の前で悶える少女を羨ましそうに見つめる。そもそも小雪は  
乱入的にここにいるため、宇宙生物の予定には入ってないのだろう。  
「私も…、して欲しいなぁ……」  
 本体を上目遣いに見つめ、妖艶な口調でそう呟く。人間でないにせよ賢いのであるならば、  
今の小雪の男を引き込むような誘惑の術が効かない訳ではなかった。そんな小雪の誘いに  
食い付いたのか、一本の触手が近付いていく。  
 
「あは…、やっと来てくれた……」  
 小雪のうなじを通り、服の隙間からスルスルと背中へ入っていく。そのまま背骨のラインに  
沿って、白肌をなぞり上げた。  
 ズ…ズッ…、ヌルヌル、ヌリュゥ……  
「んっ…!? はぁぁ…、ゾクゾクしちゃう…♪」  
 いったん食い付けば、ほっそりとした身体をむしゃぶるようにどんどん絡み付いてくる。  
背中側に入り込んでいた触手が、脇腹を通って回り込むようにして小雪の前部にも侵入し、  
腹部からヘソにかけてをズルズルと這う。  
「あ…ぁぁん…。これ…気持ちいいよぉ……」  
 無駄な肉の付いていない幼い身体を這われた小雪は、歓喜の声で鳴いた。人肌とは  
違う感触のそれが、身体の内部へダイレクトに伝わってくるような快感を送り込んでくる。  
 向かい合わせに喘いでいるモアを覗くと、胸に集まっていた触手は下にずれて、小雪と  
同じようにヘソ周りの腹部や背中のラインに沿って動いていた。  
「あ…んん…ぁぅっ……!? モアちゃんと私…はぁっ…、一緒の所…いじられてますよ……」  
「ダ…メぇ…ぁぅっ!? そこ触られるとビクビクしちゃ…ぅぅんんっ!!」  
 快感に耐えようと必死なモアは、同じ責めを受けている小雪に抱き付いていた。モアの  
熱く火照る柔肌を感じた小雪が、愛撫を逃れたばかりのその胸部を、服の上からムニュッと掴む。  
「ひううっ!? 小雪…さぁん……」  
「モア…ちゃん…。私のも触ってぇ……」  
 小雪がモアの方へと胸を突き出す。何が何だかわからなくなってきたモアは、その願い出を  
受け入れ、小さいけれども感度の良さそうな小雪の胸をこね始めた。  
 グ…ニュッ…、プニ…ムニュウ…ムニュムニュ……  
 触手に身体を弄ばれる二人の少女が、その中心でお互いの胸を触り合っている。創り出された  
淫猥な世界が二人の興奮をさらに高め、乳肉を貪る手付きも遠慮の無いものになっていった。  
 
 カップがずれたモアの乳房の頂点に、ポッチリとした膨らみが見て取れる。小雪はその敏感な  
尖塔に狙いを付けると、指で挟んでクニュクニュと弄んだ。  
「くはぁぁぁぁっ!!」  
「乳首…もっといじってあげますよぉ……」  
「いっ…はぁっ…そこ弱っ……あぅぅぅっ!?」  
 小雪が膨らんできたその桜蕾を遠慮無く摘むと、モアの中で火花が弾ける。続けざまにクリクリと  
そこを転がされると、淫らな電撃が幼い身体を駆け巡っていった。必死に行為の制止を試みる  
モアだが、気持ちよくて言葉が続けられない。ようやく言葉を発したのは、その強すぎる責めが  
おさまってからだった。  
「うぁぁぁっ…! はぁ…はぁっ……。私…もうっ……、おっぱいも…お腹も…背中も…みんな  
気持ちいいぃ……」  
 涙で濡れた頬も、涎で濡れた口元も…。その表情を見るだけでも、モアの言葉を証明するには  
十分だった。しかし一方の小雪は、さらなる快感の到来を予感している。  
「まだですよぉ…。まだ一番気持ちいい所いじってもらってないもん……」  
 小雪がそう言うや否や、触手が二人のスカートの中へと滑り込んでいく。それが最も敏感な場所を  
目指しているのは明らかだった。  
「ひっ…!?」  
 太ももの付け根辺りに触手を感じ、モアが咄嗟にスカートの上からそこを守ろうとする。  
「ここ…だけは…、許して…下さいぃ……」  
 グッタリとした身体の力を振り絞って、何とか抵抗しようとするモアだったが、これだけの量の触手を  
防ぎきるのは難しい。触手の一本がその防御をかいくぐり、ショーツを盛り上げている肉土手を、  
布越しに擦り上げた。  
「っ…!? あああっ!!」  
 快感を受け入れやすくなっているモアの身体に、淫猥な刺激が襲い掛かる。快楽に貶められた  
少女は、かぶりを振り上げて全身をビクつかせた。  
「ダ…メェ……。気持ちよくてぇ…、力がぁ…入りませぇん……」  
 モアの股間を押さえる力が抜けていく。すると次々と陰部付近への触手の侵入を許してしまい、  
今や大事な所からショーツの生地一枚だけを隔てた所には、淫肉のダンスが行われているように  
感じられるほど、多くの触手が集まっていた。  
 
 ズチュ…、グプッ…、ズリュ…ズリュウッ……  
 モアは、敏感な丘を容赦なく擦り上げられる。聞こえてくる淫らな水音は、自分から脈々と湧き出る  
恥液であった。  
「は…ぁっ…う…ぁぁぁっ!? こ…こんなの……、こんなのおかしいですよぉ……」  
「エッチな所擦られると…、気持ち…いいですよね……。私…も……くぅぅっ…!!」  
 二人の少女の股間を擦り上げ、乱れさせる肉触手。捲り上がったスカートの前部から顔を出した  
その先端からは、液体をトロトロと溢れ出させていた。  
「は…ぁ…っ…、男の人と同じで…気持ちよくなると出てくるのかな……?」  
 小雪はそう考えると、柔らかい身体を屈伸させ、その先端の液を舌で舐めとってみる。  
「あむ…んっ…ぴちゃぴちゃ……。あまぁい……」  
 蜂蜜とも練乳とも似付かない不思議な味だ。一口味わうともう一口舐めたくなるような味だが、  
これも身体には良いものなのだろう。  
「もっと舐めさせてぇ…。ん…ちろちろ……、は…むぅ……ちゅっ…ぺろぺろ……おいひいよぉ……  
じゅっ…じゅぷっ……」  
 小雪はたっぷりとそれを味わい、身体を起こす。目の前にいた少女は視線を空虚にさせながら、  
ただひたすらに喘ぎ悶えている。どうやら小雪の様子を見ている余裕はなかったらしい。  
「モアちゃんにも舐めさせてあげますね……。はい、あ〜んして…♪」  
 しかし、一々それに反応する事もままならないと言った感じなので、半開きになったモアの口に  
触手液を入れた自分の口を付けると、その中に蜜を流し込んでいく。  
「ん…んむっ…どう…おいひいれしょ……?」  
 ゆっくりと…それを口移しながら、モアにそう尋ねる。  
「ん…んん……。あまい…の…、あまふて…おいひいでふぅ……」  
 そう答えるモアに小雪は微笑むと、その味を擦り込ませるようにして味蕾を舐めたくる。  
 グ…チュ……ヌチュッ…ピチャッ……  
「んむぅぅっ……!! はひぃっ…、らめぇ…らめなのぉっ……!!」  
 舌をなぞり上げられたモアの瞳は、溶けてしまいそうなほど淫らに澱んでいた。発せられる  
言葉からも、快感の頂点が近い事を感じさせる。一方の小雪も、秘部を執拗になぶり続けられ、  
快感のボルテージがうなぎ登りに上がっていった。  
 
「う…ううんっ…・! ふ…ぁ……、もっと…気持ちよくなりたい…。モアちゃんも…、イキたく  
なってきましたよね…?」  
「え…? そ…んな……、で…も…、でもぉっ……」  
 モアは迷っているようだった。そんな少女に小雪が追い打ちをかける。  
「頭が真っ白になって…、凄く気持ちいいですよぉ…♪」  
 モアがハッとしたように表情を動かした。続けざまに小雪がモアの秘部へと手を伸ばし、  
手際よく陰核を探り出すと、そこを指先でとんとんとノックして快楽を呼び出そうとする。  
「はぅぅぅっ!? そんな…とこ…突っついちゃ……ぁぁぁっ……!!」  
「そ〜れ♪ とんとん、とんとん……」  
 小雪は指先に当たる肉豆の感触を楽しむように、叩くのとタイミングを合わせてそう口ずさむ。  
敏感な豆をノックされ続けたモアの迷いは、いつしか絶頂への期待に押し流されていた。  
「ほらほらどうですかぁ? モアちゃんがイキそうになったら、キュッてつねってあげますからぁ…♪  
私も、もうイキそうで…ふ…ぁぁっ…!!」  
 宇宙生物は自分の快楽を求めるようにして、肉触手を秘部の膨らみへと、今まで以上に強く  
擦り付けてくる。ショーツはすでにグッショリと濡れ、ほとんど素肌をなぞられているようなものだ。  
むしろ下着との摩擦が、余計に快楽を生み出していた。  
「はぁー……、はぁー……」  
 モアは、ただひたすらに熱い吐息を漏らす。  
 淫らな溝の往復を繰り返す触手が、小刻みに振動し始めた。肉バイブと化した触手が恥丘を  
なぞりあげると、摩擦と振動が合わさりあった強烈な刺激が与えられる。  
「ひぅっ…震えてっ……!? ぅ…ぁぁぅっ!? そこ…そんなに虐め…ないでぇっ…、ふぁぁぁっ!!」  
(す…ごい…、感じ過ぎちゃうぅ……。イキ…たい…。気持ちよく…なりたいのぉ……)  
 たっぷりと擦り続けられた少女の陰部からは、淫猥なメスの匂いが立ち込めている。頭で考えると  
言うよりは、物欲しげに震えている赤い秘肉が、イキたいと悲鳴を上げているような…、そんな気が  
していた。  
 
「私…イキたい…です……」  
 最早、何もかもが限界だった。モアはついに、その言葉を搾り出すような声で発した  
のであった。  
 小雪はモアの口からその言葉を聞くと、安心したように顔をほころばせた。  
「う…ん…。じゃあ…私達も…触手君に合わせて腰を動かしますよ…。太ももで締め付ける  
ようにして…、ねっ…?」  
「は…い……」  
 ある意味一方通行だった宇宙生物の動きと息を合わせて、二人の少女が動き始めた。  
太ももで肉触手を圧迫するように刺激しながら、秘裂の位置に添えられて動いているそれを  
自らの動きと共にして擦り合っていく。宇宙生物の方も絶頂が近いのか、棒触手が苦しそうに  
ピクピクと震えている。  
「あ…はっ…、触手君もイキそうなんだって……モアちゃん…は……?」  
「うっ…んん…ふ…ぁっ……!! 何か…何か来てますぅ……」  
 身体の内から込み上げてくる何か。頭は真っ白で快楽の事しか考えられず、秘裂からは  
恥ずかしい蜜をダラダラと漏らすばかりだ。モアは、自分の全てを爆発させて絶頂を迎えようと  
していた。  
「じゃあ…、イッちゃえ〜っ♪」  
 小雪はそう言うと、モアの淫豆に添えた指を締めて、突起をきつく摘み上げる。瞬間、モアの  
全身を凄まじい電流が駆け巡り、頭の中で快感の火花が弾けた。  
「っぁ……!! イッ…ふぁ…あああああああああっっっっ!!!!」  
 モアのどんな想いも言葉にはならず、絶頂の叫びを高らかに上げるのだった。  
 ビクッ、ビクビクゥ!! ビクンビクン……  
 淫らに震える褐色の肢体。快楽の最高点に達したモアは、小さい身体の全てで、その気持ち  
よさを表現しているようだった。  
 プ…シャアアアアアッ…………  
 絶頂の放心状態にあるモアの股間から、温かい液体が射出されていく。溢れ出る液は瞬く間に  
ショーツへ浸透し、防ぎきれないものは太ももへと伝っていった。  
「あ…は……、わたし…おもらし…しちゃいましたぁ……」  
 
「うぅっ…。ふふ……、モアちゃんのイッた時凄かったですよ…。私もついつられて  
イッちゃいましたぁ…♪」  
 小雪の震える腕がモアに回され、絶頂後の温かいまどろみの中にいる少女達が  
抱き締め合う。と、そんな二人に突然熱い液体が振り掛けられた。  
 ビュクビュクゥッ!! ドプッ…ドプゥッ……  
「ひぁぁ…!? 小雪さぁん…。これ…、何ですかぁ……?」  
「凄く…エッチな匂いですよぉ……」  
 見れば、股間を擦り上げていた触手達が絶頂に震えて、先端から白く濁った液体を  
吹き出していた。人間の精液に例えるにしては、あまりに量が多すぎる。遠慮無く  
射出されるそれが、少女達の身体にまんべんなく白化粧を施していった。  
「はぅぅ…、ドロドロですぅ……。てゆーか粘性液体…?」  
「ん…ぺろ……。あはっ…、濃くておいしいですよぉ…♪ モアちゃんも舐めてみません……?」  
「ほ、本当ですかぁ…? てゆーか疑心暗鬼…?」  
 モアはそう言いながらも、口周りに付いたそれを舌で絡め取った。  
「んっ…ぺろぺろ……。あぁっ…、本当ですぅ…。さっきのよりもずっと甘くておいしいのぉ……」  
 ピチャピチャ……  
「ひっ…!? 小雪…さん……?」  
「せっかく触手君がこんなに一杯出してくれたのに、残したらもったいないですよぉ…。だから、  
舐め舐めしましょ……♪」  
「ああっ…、小雪さぁん……」  
 ピチャピチャと淫靡な音が響き渡る。二人はお互いを毛繕いする可愛い動物のように、  
身体に付いた淫液を舐め取り合うのだった…。  
 
 その後――  
「いい加減に観念するでござる!!」  
「チッ、しつけェな……」  
 クルルとドロロ、二人の追い掛けごっこはまだ続いていた。いつしか地下から日向家  
地上エリアへと舞い戻り、廊下をドタドタと走り回っている。  
「ストーップ!! ドロロ、もう追わなくていいのよ」  
 騒ぎに気付いたか、小雪が現れてドロロをそう制止する。  
「小雪殿…、どういう事でござるか?」  
「クックック…、何だそういうことかよ……」  
「クルル曹長?」  
 状況が呑み込めないドロロは、やや慌てた様子でそう尋ねていた。  
「見てみな、相棒の身体を……」  
 クルルにそう言われて、ドロロは小雪の身体を凝視した。  
「こっ、これは――!?」  
 輝く白い肌、内から滲み出てくるようなオーラ、凄まじい気が感じられる。  
「あ……」  
 モアがフラッと廊下に歩んできた。そこにいたクルルと、バッタリ目が合う。  
 モアはきっと自分の事を恨んでいるだろうとクルルは考えていた。そして、この雰囲気が  
とても不快であった。他人の恨みを買う事など日常茶飯事だったはずだが、今は何故か  
心苦しい。  
「チッ…、言いたい事があるなら……」  
 そんな雰囲気に耐えきれず、珍しく自分から話し出したクルルだったが、それはモアの  
言葉で遮られる。  
「あのっ…、ありがとうございました……」  
「…何?」  
 モアの思いもしない言葉に、拍子抜けしたようなクルルであった。  
「……」  
 クルルは黙ってモアをジッと見つめた。身体はピカピカになっていたが、それで悩んでいる  
原因であったケロロとの関係が変わる訳ではない。  
 
「チッ……」  
 クルルは居間に転がっているコンパクト化した宇宙生物を拾い上げ、箱に入れ直す。  
「あ…あのぉ…、クルルさん……?」  
 箱を持って、その場からそそくさと立ち去ろうとするクルルを、モアが呼び止めようと  
声を掛けた。  
「失敗だったみてェだからな……。俺とした事がよぉ…、クックック……」  
「そっ、そんな事ありません! クルルさん…あのっ……」  
 なおもクルルを引き止めようとするモアの肩に、小雪が手を置いた。  
「そっとしておいてあげましょう…。きっと、照れてるんですよ♪」  
(チッ、聞こえてるぜ…?)  
「そうですか…。あの…、実は小雪さんにちょっとお願いがあるんですけど……」  
「ん、何ですか?」  
「え…えとその…、何と言ったらよろしいのでしょうか……」  
「私で良かったら、何でも聞いてあげますよぉ♪」  
 体の調子が良くて余程機嫌がいいのか、小雪はあっけらかんとそう言い放つ。  
「えっと…、あのですね……。その…、エッチな事…教えて欲しいんです……」  
「え!?」  
(隊長との関係のために、性技の指南を申し入れ…か。クックック、面白くなってきた  
じゃねえか……)  
 クルルはそこまで話を聞いた所で、研究室へ向かってゆっくりと歩いていく。トラブルや  
アクシデントは俺の身上、と公言するほど面白そうな事には目がないクルルだが、  
この時は自分でも何故かと思うほどに表情が暗かった。  
 
 それからさらにしばらくして――  
「最近のガンプラを侮っていたら、いい意味で予想を裏切られたであります……」  
 出掛けていたケロロが玄関を開け、家へと帰ってきた。アンチバリアに頼っての外出  
だったため購入には至らなかったが、次回への確かな手応えを感じていた。  
「お小遣いを貰い次第、早々と買いに行くであります!!」  
 そんな独り言を呟きながら、何気なく台所へと辿り着いた。  
「おおっ、こんな所にバナナが。ちょうど小腹が空いていたのであります」  
 勝手に取るにしても、天敵である夏美は現在外出中だ。何の抵抗もなくそれを房から  
一本ちぎると、上機嫌に居間へと歩いていった。  
「あ…ふぁ……、ん…むぅ……」  
(ムッ…、この声は?)  
 聞き慣れぬ謎の声色に警戒しながら、ケロロはゆっくりとそこを覗き込んだ。  
(モア殿……? ケロ――ッ!? そう言えば……)  
 自分が家を飛び出した事を、すっかりと忘れていたケロロ。いつもなら気兼ねなく  
声を掛けている所だが、今ばかりはそれも気まずかった。  
「ふ…ぁ…はむぅ……ぴちゅっ……」  
(モア殿もバナナを食べているのでありますか……?)  
 しかしどこか違和感を感じた。先程からバナナの面積が一つも減らないのだ。よく見ると、  
モアはバナナを噛まずにペロペロと舐めている。  
「ふぅぅ…ん…ちゅぷちゅぷ……おいひぃでふぅ……」  
(おいしい…? これはもしや、バナナの新しい食べ方なのでありますかっ!?)  
 物は試しにと、ケロロは自分の手に持ったバナナを、ペロペロと舐めて味わってみる。  
(ぐ…。あまり効果的とは思えないであります……)  
 
「ん…んっ…! はぁー…、は…ぅ……」  
 モアは、剥いたバナナの幹に沿って舌を滑らせる。それを愛で…、そして慈しむようにしながら  
丁寧に舐めていた。  
「はぁ…はぁ…。これで…いいんでしょうか……? はむっ…んっ、んっ……! ぴちゃぴちゃ…、  
ぁ…ふぅぅっ……」  
(モア殿、辛そうであります…。一体、そうまでしながら舐めて食べる理由とは……?)  
 その時モアが大きく口を開き、バナナを中程まで口内に含んだ。そしてモゴモゴと口腔を  
動かしている。  
「ん…んぅーっ……、う…むぅ…んっ!?」  
 さすがに強引に詰め込みすぎたのか、モアは苦しそうな声を上げて前のめった。  
「んんぅ…もぐもぐ……。はぅぅ…真っ二つになっちゃいましたぁ……。てゆーか一刀両断…?」  
 モアは、口内に残ったバナナを飲み干すと、そう語った。やはり苦しかったのか、目には  
涙が滲んでいる。  
「モア殿――っ! 大丈夫でありますかっ!?」  
「え…、おじさま……?」  
 ケロロは素早く、モアの元へと駆け寄った。うずくまるモアの肩を掴んで問い掛ける。  
「無茶な食べ方をするからであります…。そんなにお腹が空いていたのでありますか?」  
「えっ、あっ、あのっ、そっ、そうなんですよ〜。さすがおじさま! てゆーか頭脳明晰?」  
 モアは恥ずかしそうにしながら、残りのバナナをモグモグと食べていた。  
「あっ、そうですっ!! おじさま…、これを食べ終わったら、また一緒にテレビでも見ませんか……?」  
「ふむ、そうでありますな…。ならば善は急げであります!!」  
「はいっ!」  
 モアはニッコリと微笑んだ。実はさっきの行為が、奉仕の練習だったというのは内緒だ。  
 ケロロとの関係は、まだまだ先が長いかもしれない。しかし、前のように悩んでいる様子はなかった。  
それは小雪の助けもあったのだろうが、何より彼女の明るさを取り戻させたのは……  
「チッ…、あんな風に感謝されるのは慣れてねえんだよ……」  
 モアのお礼の言葉を頭の中で反芻させながら、研究室でそう呟くクルルであった。  
 
                                      −完−  
 

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