蝉の鳴き声も響き渡る夏の夕暮れ時…、冬樹と桃華は、二人で楽しく喋りなが  
ら下校の道を歩いていた。  
「じゃあ、今日はここで。西澤さん…、明後日はよろしくね」  
「は、はいっ……、さようならっ!!」  
 休日のお誘いを冬樹に快く受け入れてもらって、桃華が興奮しながら冬樹と道  
を別れる。  
「くぅ〜っ! これってデートだよな……? うおおおっ、興奮してきたぜぇーっ!!」  
 桃華が歓喜の叫び声を上げている時…、その油断を狙ったのか怪しい黒服の  
男達に桃華が囲まれる。  
「んんっ…!!」  
 桃華がそれに気付くや否や、睡眠薬の付いた布を顔に押し付けられ、意識を失  
ってしまう。  
「捕らえたらさっさと運び出せ…、遅れれば我々に危険が及ぶぞ……」  
 その中のリーダー格と思われる男が部下達に指示し、桃華を車に乗せ込む。  
「ククク…、お前の言う通りにしたらこんなにうまくいくとはな……」  
「このくらいは余裕ですよ……」  
 そして、車は素早くその場から走り去っていった。  
 
「ぐ、軍曹さん、大変ですぅ〜!!」  
「うおっ!? タママ、そんなに慌ててどうしたでありますか?」  
 タママは超空間移動で、ケロロに事件の報告をしに来たのだった。その後すぐ  
に、現在日向家にいる全員が集められる。  
 
「軍曹っ! 西澤さんがさらわれたって!?」  
「タママの報告によると、今日学校からの帰り道に家の近くまで来たところでさら  
われたそうであります……」  
「下校途中だって…? 僕と別れたすぐ後か……」  
「西澤グループの情報網でもう相手の居場所はわかってるんですぅ…。多分モモ  
ッチもそこに……」  
「あれだけの私兵がいるのだから、さっさと乗り込んで奪還すれば良いではないか?」  
 戦闘員らしい攻撃的な発想をギロロが言う。  
「ポールさんが言ってたですぅ…。相手も素人じゃない。正面から全面抗戦すれ  
ば犠牲者が出るのは避けられないだろうし、そうなれば自分のために犠牲が出た  
ことを桃華様は深く悲しみなさるだろう、って……」  
「クックック…、そこで俺達ケロロ小隊の出番って訳か……」  
 クルルが己の発明品を手に、不気味に笑っている。久しぶりのまともな任務に、  
やる気満々のようだった。  
「…で、どうするんだ? 俺は隊長命令に従うぞ」  
 ギロロが珍しくケロロに判断を任せる。と言うのも答えがわかりきっているからで  
あるが。  
「勿論、助けに行くであります! 総員、出撃準備せよっ!!」  
「ハイですぅ!!」  
「クックック…、腕が鳴るぜ……」  
「フン、期待外れでなければ良いがな……」  
「西澤さん……」  
 こうしてケロロ達は、桃華救出へと向かったのだった。  
 
 その頃桃華はと言うと……  
「う〜ん。ここは……、どこですの?」  
 桃華が目を覚まして辺りを見渡すと、薄暗い空間に閉じ込められているようだっ  
た。両手は頭の上方で手首の辺りをクロスさせられるようにして部屋の中央から  
吊された頑丈そうな鎖で縛られており、両足首には見るからに重そうな鉄球がつ  
いた鎖が装着されている。桃華の動きは著しく制限されていた。  
 すると誰かが扉を開けて中に入ってくる。桃華は性格を裏返してその人物に  
言葉を浴びせた。  
「おいっ、何だこれは!? さっさと外しやがれ……!!」  
「うーん、相変わらず激しいなぁ……」  
 桃華がその人物の声に聞き覚えを感じる。そして近づいてくるとその姿が明らか  
になってきた。  
「なっ…、お前は……!?」  
 忍者装束に身を包み、長い髪を縛ったポニーテールをなびかせている。その  
人物が覆面を外し顔が露わになると、いつもとは雰囲気が違ったが、明らかに  
小雪であるとわかった。  
「ごめんねぇ…。ちょっと悪いかなぁとは思ったんだけど、これも地球のためだから…。それに先にそっちがしてきたわけだし……。ここは大人しく私たちの言う通りにしてくれないかな?」  
 桃華は小雪が何を言っているのかわからなかったが、ともかく今の自分にとっては敵であると認識した。  
「はっ!! 何の事だか知らねえが、私がこんなマネされて大人しく言うことを聞くとでも思ってんのか?」  
 この状況では、どう考えても友好的な話し合いはないだろう。そう思い、桃華は小雪の提案をあっさりと拒否するのであった。  
 
「そう言うと思った…。じゃあ仕方ないか……」  
 小雪が拘束されている桃華に近づいてくると、身体全体を舐めまわすようにジロジロと  
見始めた。  
「なっ、何のつもりだよっ!?」  
 その様子に身の危険を感じた桃華が尋ねる。  
「私は忍だから、あなたみたいな人に言うことを聞かせるようにするのもお手の物……。  
大丈夫、痛くはしないから……」  
 すると桃華の夏服で露わになっている腕の、拘束されている手首の辺りから肘の方へ  
と小雪は指を滑らせる。  
「ふうっ!? 何…を……」  
 くすぐったいのとは少し違う不思議な感覚が桃華を襲う。それを見て小雪がかすかに  
笑みをこぼしたかと思うと、そのまま二の腕を通って肩の方へと指を滑らせた。  
「くっ! そ…、そういう…つもりかよ……」  
 その感覚に耐えるようにしながら桃華が喋る。  
「くふふ……、あなたみたいな強気な娘が快感で悶えるのが楽しみ♪」  
 小雪は、夏服の隙間から指を滑り込ませて桃華の肩をさすりながら、耳元でそう囁いた  
のだった。  
「へっ、やれるもんならやって…ひゃっ!?」  
 桃華はそれでも強気な言葉を発するが、それも途中で遮られる。小雪が桃華の耳に  
息を吹きかけたのである。  
「じっくりと…、そして確実におとしていってあ・げ・る……」  
 小雪は精神的に優位に立とうと、桃華の耳元で暗示をかけるように語りかけていった。  
 
 そして、その可愛い猫口から舌を出すと桃華の耳たぶに這わせていく。  
「はうっ…、なっ、舐めるなぁ……」  
 小雪は桃華を焦らすようにしてゆっくりゆっくりと…そして優しく、舌で耳たぶをなぞって  
いった。  
「ん…、んんっ…! はあっ…はあっ……」  
 桃華も喘ぎ声を上げるのは何とか耐えていたようだったが、徐々に吐息が荒くなって  
きていた。そこを小雪に突かれる。  
「その必死に我慢してる姿も可愛い♪」  
「だ、誰がっ……、んううっ!!」  
 小雪は少し話しただけで、休む間もなく責めを再開した。  
「我慢してると切なくなってくるでしょ……? 声、出していいんだよ……」  
 そして耳元は、愛撫の他にも小雪の妖しい語りかけで責められる。  
(ダ、ダメだっ……。そんな風にされるとっ――――)  
 何とか耐えている桃華だが、耳元に意識を集中させられて普通より余計に感じてしまう。  
小雪の舌が耳を一舐めする度に、快感が理性という名の堤防を乗り越えんとして、波の  
ように打ち寄せてくるのだった……。しかし、これにも桃華は何とか耐えていく。  
 
「ホントに強情ねぇ……」  
「へ、へっ……、この程度で…どうにかなる私じゃ…ねえんだ…よっ……!」  
 何とか快感の世界に呑まれないよう、自分を現実に繋ぎ止めるためにも虚勢を張る  
桃華であった。  
「ふーん…。ま、いいか。感度は上がってきたようだし……」  
 それを知ってか知らずか、小雪が新たな動きを加える。舐める動きの他に、耳を甘噛み  
し始めたのである。  
「はうううんっ!!? やっ…、噛むなっ、やめろぉっ……」  
 それまでの愛撫で真っ赤になった耳をカプカプと噛まれて、桃華の理性も決壊寸前  
にまで追い込まれる。  
「ぺろ…、んっ、はむはむっ…、ぷはっ…、ねえ…、もう正直になったら……? ホントは  
気持ちよくてしょうがないんでしょ? だって身体が震えてるんだもん……」  
 小雪が囁いたことは本当であった。今の桃華は、耳に刺激を与えられる度にゾクゾクと  
快感が走り、身体をビクビクと震わせていたのだ。  
(ああっ!? そんな…、この私が感じさせられてるってのか……)  
「こんなに身体をビクビクさせて……、気持ちいいんでしょ? もう我慢できないんでしょう?」  
 桃華も何とか快感から気を逸らそうとするが、小雪に呪文のように責めの言葉を囁かれ続け、  
それも許されない。むしろその言葉で、自分の身体の反応を相手に見せつけていることを思い  
知らされて、精神的にも小雪に掌握されつつあった。  
 
「このまま続けるのもいいんだけど……」  
 小雪はそう言うと耳への愛撫を止め、何やら手に意識を集中し始める。桃華が、  
快感でポーッとしてきた思考を振り絞って何とかそれを見る。  
(こ、今度は何するってんだよ……)  
 そう桃華が不安がっているところに、小雪が手を伸ばしてきた。  
「はっ!!」  
 小雪が大きく掛け声を上げたかと思うと、桃華が自分の身体に違和感を感じる。  
小雪の手を見ると、そこには桃華が身に付けていた下着のシャツとブラジャーと  
パンティがぶら下げられていた。  
「なっ…、こらぁ…返しやがれっ……」  
 すでに桃華の反論も弱々しい。  
「う〜ん、可愛い下着。やっぱり乙女は白よねぇ……♪」  
 小雪は、桃華の羞恥心を煽るようにその下着類に頬擦りした。  
「あぁ…。やめてくれ……」  
 小雪はそう言われると、本当にやめた。しかし、その後に桃華の身体をじっと見  
つめる。  
「な、なんだよ……」  
「あなた、もう夏服の下には何も着てないんだよ? いやらしいと思わな〜い?」  
 そう言われると桃華も意識してしまう。まだ上下の制服が残っているので直に裸  
を見られているわけではないのだが、身に付ける物が少なくなった自分の身体を  
ジロジロと視姦されると、まるで自分の身体の隅々まで見透かされている気がして、  
何とも言えない恥ずかしさを桃華は感じさせられていた。  
「ふふふ……、だいぶ大人しくなってきたようねぇ〜〜」  
 
 小雪はたっぷりと桃華を視姦した後、再び近づいてくる。そして快感によって漏れた  
唾液で濡れている唇を指で一撫でした。  
「こんなに濡れ濡れだよ……」  
 そう言って、そのまま口内へと指を挿れていく。小雪は桃華の口内へと指を侵入させ  
ると、まずは口壁を擦るようにして愛撫した。  
「んむぅっ…!? ん…ん…んんっ!!」  
 桃華の小さい口の中で、小雪の指が繊細に動き回る。さらに壁をなぞるだけでは飽き  
たらず、歯茎など敏感な部分にも手を着け始め、ついに最も狙っていたと思われる  
味覚の器官に指を触れる。  
「うふふ……、もうここでも感じるようになってるんじゃないかな?」  
 すると、小雪が舌の表面のザラザラしたところを前後に擦り始める。  
「うむぅっ!!? んんっ!! んんっ――!!!?」  
 そこから伝わってくる思わぬ快感に桃華が呻く。  
「いい顔になってきたよぉ……」  
 小雪が桃華の首筋へと舌を伸ばすと、その敏感なところをなぞるように舐め始めた。  
桃華は口腔と首筋を同時にいじられて、倍の刺激を受けることになる。  
「むうんんっ!!!? んっ! んっ! んんんっ……!!」  
(やめろぉ…、やめてくれぇ……、口と首…そんな風にいじられたら…、凄く感じちまうっ……)  
 桃華の思考が淫猥なものに浸食されていく。それまで保ってきた理性が音もなく崩れ、  
もっと強くして欲しい、もっと気持ちいい所を責めて欲しい、と言うような本能的な欲求で  
埋め尽くされていった。  
(ダメだっ……、このままじゃ本当におとされる……)  
 
「そろそろいいかな〜?」  
 小雪はそう言うと行為をストップし、小さな鏡を取り出すと桃華の方へと向けた。  
「誰かが見えるよね〜? さ〜て、ここに見えるのは誰でしょう?」  
(え……?)  
 桃華が鏡を見ると、顔を真っ赤にしてトロンとした目からは涙をこぼし、口の端  
からはだらしなく涎をこぼしている、とても気持ちよさそうな拘束された少女が  
映っていた。  
「うわああああっ!!?」  
 桃華が思わず叫び声を上げる。その少女は紛れもなく桃華自身だった。自分の  
よがる姿を小雪からの視点で見せつけられて、激しい羞恥心と絶望感に襲われた  
のである。  
(もう限界です…。無理はしないでっ……!!)  
 その時、桃華の心の悲鳴を聞きつけてか、表の人格が裏に語りかけてくる。  
(うるせえっ! テメエみたいな甘ちゃんにこの状況が耐えられるってのかよ!?  
大人しくそこにいりゃあいいんだよっ!!)  
 さっきから表が出てこないのは、裏桃華がずっと表を庇うようにしているからなのだ。  
表が出ていこうとしても、裏の強い意志で食い止められる。裏桃華が表の桃華を  
思いやる気持ちが確かにそこにはあった。  
 さらに小雪の責めは続く。  
「ね、凄くエッチな表情してるでしょ……?」  
 そう小雪に言われても、桃華は甘い吐息を漏らすばかりだ。  
「もう反論も出来ないほど…か。ねえ…、そろそろ降参する気にならない? 私たちの  
言うことを聞いてくれれば、これ以上はしないって約束するよ?」  
 小雪が再び桃華へそれを提案してくる。  
「い…や…だ……」  
 桃華も自分がピンク色に染まっていく中で、もう最後の意地でそれを断っているよう  
だった。それを見て小雪がまた間合いを詰めてくる。  
「ここまで強情とはねぇ…。私、あなたのこと気に入っちゃったかも……」  
 
 そして小雪は、桃華の夏服の中へと手を滑り込ませる。下着類はもう脱がされて  
その中には何も身に付けていないので、そこに手を這わせれば桃華のみずみずしい  
肌の感触が小雪に伝わってくる。  
「こうなったら、こっちも意地になっておとしちゃうよ♪」  
 小雪は滑り込ませた手を服の中でモゾモゾと動かし、目標の地点を目指した。  
そして片手はヘソ、もう片手は太股へと辿り着く。  
「それっ! ここならもう我慢できないでしょっ!?」  
 そして小雪が両手を同時に動かし始める。      
「ふああっ!? あっ…、あんっ! くうんんっ!!」  
 ついに桃華も、大きな喘ぎ声を上げるまでに快感を高められた。いくら耐えようと  
思っても、その甘い刺激が伝わると、小雪の愛撫による気持ちよさを証明してそれを  
褒め称えるような嬌声が喉から出てきてしまう。  
「やっと可愛い声出してくれた……。嬉しいな〜♪」  
 嬉しくなった小雪は指をヘソにグリグリと押し込み、太股を撫でる手も表面をなぞる  
だけではなく、ムチムチした肉に食い込むような強さに変えた。  
「んんっ…、やめっ…!! そこ…グリグリするなぁっ!! …つっ…ふああぁぁ……」  
 今まで我慢していた影響もあるのか、自分の愛撫に素直に身体を反応させてくれる  
桃華が愛おしくて、小雪の興奮も高まっていった。小雪が早く次の行動へ移ろうと、  
ここへの愛撫もそこそこに、いったん手を離す。  
「ふ…う…、あぁ…んんっ……、はぁ…はぁ……」  
 小雪が手を離しても愛撫の余韻が残っているのか、桃華は甘い声を漏らし続けた。  
 
 次に小雪は、桃華の後ろに回り込む。そして下着を履いていない桃華の臀部を  
スカート越しに撫で始めた。  
「くふふっ…、気持ちいいんでしょ……?」  
 痴漢の真似事か、小雪はかわいいお尻を撫でながら耳元で責め言葉を放つと、  
ゆっくりゆっくりと快感を与えていく。  
「ああっ!? そんな……。ん…、はぁ…はぁ…、はあっ……!!」  
 ジワジワと感じさせる小雪の痴漢的な愛撫に、桃華はもどかしい気持ちが込み  
上がってくる。もっと強い愛撫が欲しいという気持ちが強くなって、拘束された身体を  
くねらせながら快感をその身に受けていた。  
 小雪はお尻を撫で回して堪能すると、そのまま後方から腕を伸ばす。それは桃華の  
鎖によって持ち上げられている腕の下…、腋の辺りを通過して桃華の前の方へと進ん  
でいく。ここまでくれば桃華も小雪が何を目指しているかわかった。  
「いやだぁっ…。胸は…やめろぉっ……」  
「ふっふ〜ん。そんなこと言っちゃって♪」  
 小雪が桃華の制服を引っ張って、肌にピッタリとくっつける。  
「ほら、やっぱり〜♪」  
「あ…あ……」  
 桃華が羞恥心で絶句する。張り詰めた制服の胸部には、桃華のビンビンに勃った  
乳首がクッキリと浮き上がって見て取れた。  
「う〜ん、苦しそう…。今、いじってあげるからね……」  
 すると小雪は、服の中からピクピクと愛撫を求めるように震えている二つの蕾を、  
衣服越しにクリクリといじってあげた。  
「ふああぁぁっ!!? やめっ…、やめろおっ!! そんな風にいじられたらおかしく…  
ひううっ!!」  
 服越しに敏感な乳首をこね回される度に、桃華は全身に電撃が走るような快感を  
味わい、激しく身体をビクつかせた。  
 
小雪はそのまま胸全体へと愛撫の範囲を広げ、桃華の双乳を徹底的に蹂躙していく。  
 もみもみ……、ぎゅっ、ぎゅっ…、ぐにぐにっ……、きゅっ…、こりこり…、ぎゅうぎゅうっ!!  
「はああぁぁっ…!? あっ! あんっ…、きゃっ…、あぁっ……ふううっ!!!!?」  
「あなたのおっぱい可愛い……♪」  
 服越しでも手に感じる乳肉の柔らかさが小雪を楽しませ、より執拗な愛撫を誘う。  
「あっ! ふっ…はああっ!! きっ、気にしてるのにぃっ……」  
 どうやら桃華は、自分の胸が小さいことを揶揄されたのかと思ったらしい。  
「そういう意味で言ったんじゃないんだけど……」  
 そしてまだ青い果実を存分に揉みたくると、最後に力を込めて乳肉を握りつぶす。  
 ぷに…、ぎゅうううっっ!!!!  
「くあああああっっ!!!!??」  
 凄まじい快感と痛みが桃華に襲いかかった。その後、桃華は力無くダランとしてしまう。  
 
 小雪が、桃華の前に戻ってくる。そして視線を上から下へと移していったかと思うと、ふいに桃華の太股の辺りを指ですくう。桃華が何かと思っていると……  
「ねえ、これなんだかわかる……?」  
 桃華が小雪の指を見る…。そこには透明の液体がたっぷりとついていた。  
「ま、まさか……」  
 小雪が答えるまでもなくそれは桃華の愛液だった。激しい愛撫をその身に  
受け、それは太股の辺りまで滴り落ちていくほどにこぼれだしていたのである。  
「こんなに濡れちゃって…、凄くエッチ……」  
 小雪は再び指で愛液をすくってたっぷりとつけると、それを桃華の口内へと  
持っていって動かし、強制的に味わわせる。  
「んん――――っっ!!!? ふぅっ…ぴちゃ…くちゃ…、ぐちゅうっ、じゅぷうっ!!  
ぷはっ!! はあっ…はあっ…」  
 ようやく指を引き抜かれ、それから解放されたかと思っていると、小雪が休まず  
股間へと手を伸ばしてくる。小雪は制服のスカートの上から秘部の辺りを狙って、  
優しく愛撫を始めるのだった。  
「ふあああっ……!! そこはっ……」  
「すごぉい…、スカート越しからでも濡れてるのがハッキリわかるよ……」  
 小雪はスカートを押し付けるようにしながら衣類越しに愛撫しているので、スカートの  
秘部の辺りに愛液で濡れて出来たシミがだんだんと作られていく。小雪はどんどん  
擦っていった。  
 すりすり…、しゅっ、しゅっ…、ちゅぷ、ちゅくっ! じゅっ、じゅっ!  
「はああぁぁん……、擦るなぁっ…、擦ったら出ちゃうっ……」  
 小雪が秘部に刺激を与えると自分の膣道からどんどん愛液が出て、ずっと立って  
愛撫を受けているので、重力に従いどんどん外に出ていくのがわかる。小雪はそれでも  
なお続け、スカートを膣道の中に少し入る辺りまで侵入させるほどの強さで、衣類越しに  
責めていった。さらには敏感な突起物も指を這わせながら捜索し、見つけるとスカート越しに  
いじってあげた。  
「ああああっ!!!? すごっ…強すぎるぅっ……、スカートがザラザラしてっ…きゃううっ!?  
そこ摘むなぁっ……!!」  
 
「はぁはぁ…、あなた凄くいやらしい……。私まで気持ちよくなって来ちゃった……」  
 小雪は自分で責めながらも、自身の秘部が濡れてきているのを感じていた。  
あれほど強気だった娘が、今や淫らに目を潤ませ、自分の指の動き一つで嬌声を  
上げ、快感を表現してくれる。そういう桃華の姿がとても刺激的だったのであろう。  
 しかし、自分までこの世界にのめり込んでしまいそうになったところで、小雪が気を  
引き締める。すると、まさに快感のピークを迎えようとしていた桃華から手を離した。  
「ふあっ……?」  
 桃華が拍子抜けしたような声を出して、小雪の方を見る。絶妙なところで止められて、  
かなりつらそうだ。  
「危ない危ない…。本来の目的を忘れるところだったわ……。その状態…、かなり辛いと  
思うけど、もし私たちの言う通りにしてくれれば、あなたのそこをグチャグチャにいじって、  
イカせてあげる……。どう?」  
 桃華は考えた…。今回は今までとは状況が違う。もし断れば、このまま絶頂寸前で  
止められて放置されると言うことだ。それを考えただけで絶望感が漂う。  
「う…あぁ……」  
 そうしている間にも愛液はどんどん生成され、ついにはポタポタと膣口から真下に落ちて  
いく。床に出来ていく愛液のシミが、小雪に密壺が快感を待ちわびていることを伝えている  
ようだった。  
(ダ…メ……だ。屈服なんて出来ない…。あ…、でもそれだと気持ちよくなれないのか……。  
ははっ、どうしようかなぁ…………)  
 桃華は朦朧とした意識の中で必死に考えた。そして何かを呟いたかと思った瞬間、  
ガクッと顔が下へ向けられる。  
「どうしたのっ!?」  
 小雪が驚いて近寄って見ると、どうやら桃華は気絶してしまったようだった。  
「ふう…、ちょっとやり過ぎちゃったかな……」  
 
 一方ケロロ達は…  
「何者かが施設内に破壊活動をしながら侵入!! 各自レベルMAXで警備しろっ!!」  
 正面切っての突撃というわけではなかったが、さすがに深部に近づくと気付かれてしまう。  
しかしアンチバリアを駆使して、何とか先に進んでいくのだった。  
「オラァ――ッ!! どけってんだよぉっ!! タママインパクト2倍っっ!!!!」  
「前方から高エネルギー急接近中!!」  
「なっ!? 一体どこから……ぐわああああああっ!!!!」  
 ズドォォォォォォ――――ン!!!!!!!!  
「おいっ、タママっ!! 殺しは無しだぞっ!?」  
 ギロロが、タママに注意を促す。  
「大丈夫……、峰打ちですぅ〜」  
 タママの目が怪しく光る。  
「くそぉっ、敵はステルスを使ってるのかもしれん!! 高エネルギー発射地点へ  
機銃掃射開始っ!!!!」  
「なっ、やばいぞっ!!!!」  
「先輩…、ここは俺に任せな……」  
 色々な新発明品を持ってきていたクルルが、満を持してそれを手に取る。一つ目は  
マントのような……というか、どう見てもマントにしか見えない物を取り出した。  
「打て――――っっ!!!!!!!!」  
 幾多もの弾丸がクルルの方へと襲いかかってくる。  
「無駄無駄無駄ぁ――――――――っっ!!!!」  
 クルルがそのマントをヒラリとなびかせると……  
「全弾……跳ね返ってきます!!?」  
「何ぃ――――――――っっ!!!!?」  
 見事にそのマントが全ての攻撃を跳ね返し、逆に撃った者達へと向かっていった。  
「ぎゃああああああああああっ!!!!!」  
「だから、殺しは無しだと……」  
「先輩、安心してくれよ…。ちゃんと急所は外してあるぜェ…、ク〜ックックック……」  
 衝撃の影響で吹いてくる風で、マントが鮮やかになびいている……。  
 
「ところでクルル…、何なんだそのマントは……?」  
 ギロロが、クルルの変わった発明に興味を示して質問する。  
「クックック…、俺は独学だけじゃなくてちゃんと回りの情報も取り入れますからなぁ……。  
この前やってたテレビ番組の中で出てきた物を、俺なりにアレンジして作らせてもらいまし  
たぜェ……」  
「それはもしかしてパクリと言うことではないのか?」  
「……」  
 ギロロに痛いところを突かれ、クルルは黙ってしまう。  
「二人とも何してるですかっ!! さっさと行くですぅ〜!!」  
 タママに促され、二人も急いで先へと向かうのだった。  
「おい…、ちょっと待て。そう言えばケロロはどうしたんだ?」  
 奥へと進みながらギロロが尋ねる。  
「確か、二手に分かれる作戦で、ポールやフッキーと一緒に行動するって言ってたですぅ…」  
「…まさかケロロの奴、最前線に出るのが嫌でそうしてるんじゃないだろうな……」  
「……」  
「……」  
 タママとクルルは何も言わない。3人はしばらく無言のまま、奥へ奥へと進んでいった。  
 
 一方、桃華のいる部屋では、リーダー格と思われる中年の男が、部屋に入って  
きて小雪に現状を聞いていた。  
「どうだ、うまくいきそうか…?」  
「大体うまくいったわ……、今は眠ってるけど、多分起きたらもう言うこと聞いてくれ  
ると思う……」  
「ククク…、そうかい……」  
「!?」  
 小雪が、とっさにその男との間合いをとる。その男が隠し持っていたナイフで斬り  
つけてきたのである。  
「どういうつもり……?」  
 小雪がそう言うと男は顔を手で押さえたかと思うと大声で笑い始める。  
「はっはっはっ!! まだ気付いてないのか…? お前は騙されたんだよ……」  
「騙された……?」  
 小雪が、男の動きに警戒しながら聞き返す。  
「まあ、その話は後はゆっくりと聞かせてやる。アレを見ろ」  
 小雪がその指差した方向を見ると、その男の部下が眠っている桃華にナイフを  
突きつけていた。  
「お前が変なマネをしたらこいつの顔に傷が付くぜ…? ひっひっひ……」  
 部下が下品な笑い声を上げながら、ナイフを桃華に近づける。  
「やめて! その娘は傷付けないって約束でしょ!?」  
 それに男が笑いながら返答する。  
「ははは……。まだそんなことを言ってるのか。まあいい…、まずは服を脱げ。  
全部だ。どこに武器を隠してるかわかったもんじゃないからな……」  
「なんですって…?」  
「おっと、こいつがどうなってもいいのか?」  
「くっ…」  
 小雪は桃華を人質に取られ抵抗が出来ないでいた。実力は自分の方が上だろうが、  
部下は桃華にナイフを突きつけた者以外にもいて、数の面で不利だ。小雪は仕方なく  
命令に従うことにする。  
 
 小雪が一枚また一枚と服を脱いでいくと、その度に男から感心の声が上がる。  
全ての衣服を脱ぎ去り武器も回収されて、小雪は文字通り丸裸にされた。  
「脱いだわ……」  
 そして男が小雪の白い肌を鑑賞していると、桃華が目を覚ましてきていた。  
「う…ん。あれ、私……?」  
 目を覚ました表の桃華…。責められすぎて、裏の性格はしばらく出て来れない  
であろう。  
「え…、これは……」  
 目の前には裸で男の前に立っている小雪の姿があった。さらによく見ると自分に  
ナイフが突きつけられている。  
「可愛い顔を傷付けられたくなかったら、あんまり動くなよ……」  
 部下の男に脅しをいれられる。  
「ねえリーダー。俺もう我慢できないんですけどやっちゃっていいすか?」  
 小雪がよく見ると、周りの部下達が下劣な笑いを浮かべて股間の辺りを押さえて  
いる。どうやら美少女二人をどうにか出来るだろうという下心がみんなにあったらしく、  
期待に胸ではなく股間を膨らませていたようだ。  
「待って…、その娘には手を付けないで……」  
 小雪がそう言うと自分の秘部へと手を持っていき、膣口を開くようにして男達に  
密壷を見せつける。  
「そ、その…、実はあの娘に色々していくうちに私も感じてきちゃって……、もう  
我慢できないの……」  
 小雪の秘部はもう濡れてビチョビチョになっていた。  
 
「くくく…、いいだろう」  
 男は小雪の誘いに乗ると、愛撫もなしにいきなり挿入を開始する。  
「はうっ…!! そんなぁ、いきなりっ……」  
 そして、力任せに腰を突き上げて小雪の子宮口を激しく突っついていた。  
「あ、あんっ…!! 太い…、太くて大きいよぉ……、はああっ!!!!」  
「くうっ…、さすがに凄い締まりだっ……。すぐにイっちまいそうだぜ……」  
「あ、あの〜、リーダー?」  
 それを見ている部下達がもう辛抱たまらんといった感じで近寄ってきた。すでに  
イキそうになっていた男も、自分が休んでいる間にさせるのもいいだろうと思って、  
それを承諾したのだった。  
「くくく…、じゃあ一発目イクぞ……」  
 そしてフィニッシュに男は一際大きく腰を突き上げ、小雪の奥に差し込むとそこで  
熱い精を放出した。  
「ふああっ…深いよっ!! あっ……、出てる…。熱いのが…たくさん……」  
 そして男が小雪の中で出し終わると、すぐさまその部下達が小雪を犯しにやってきた。  
膣に挿入するだけではなく、口や両手などでも同時に奉仕し、胸を揉まれながら背中に  
ペニスを擦り付けたりする者もいて、小雪は体中を同時に犯されていた。しかし、  
それでも数人の部下は余ってしまう。  
「くそっ…、もう我慢できねえよっ……。[手]を付けなきゃいいんだろっ!!?」  
 我慢できなくなった一人の部下が、桃華の前でズボンのファスナーを下げ己の肉棒を  
しごき始める。それにならって他の余り者達も一斉に桃華をオカズにしてしごき始めた。  
 桃華はなぜ自分の前でこんな事が行われているのかわからず混乱していたが、  
ノーブラノーパンの制服姿で、その上、先程された行為により身体のあちこちから  
男共を惑わす匂いをプンプンさせている。オカズとしての要素は十分であった。  
 
(ああっ…、みんな、一生懸命しごいてる……)  
 桃華は、目の前で自分をオカズにしてオナニーを繰り広げている光景を見せ  
つけられて、戸惑っていた。  
「うっ! 俺もうイキそうだっ!!」  
 そのうちの一人が早くも限界が来たことをアピールする。それにつられるように  
他の者達も一斉にスパートへと入った。  
「はぁはぁ…、全部かけてあげるからね……」  
「えっ…、かけるって……」  
 桃華は何のことを言ってるのかわからなかったが、すぐにその意味は理解する  
こととなる。  
「くっ、イクっ!!」  
 男が溜めていた精子を物凄い勢いで桃華に向けて発射する。  
「きゃあっ!? な、何?」  
 他の男達も次々と絶頂の呻き声を上げる。白い液体が桃華目指して発射され、  
髪に、顔に、制服にと飛んでいき、白い化粧を施していく。  
「やっ!? ドロドロしてっ……くっ、臭い……ううっ…ひ、ひどいです……」  
 しかし男達との饗宴は終わらない。小雪と桃華を入れ替わり立ち替わり、思いの  
ままに精を放出していくのであった。  
 
「軍曹〜、こんなにゆっくり進んでていいの?」  
「ケロッ…、大丈夫であります。ギロロ達が先陣を切る作戦でありますので……」  
「ケロロ殿…、まさか自分だけ楽をしようというわけではないのでしょうな……?」  
 あまりにも自分たちが何もしていないのに不審を抱いたポールが、疑いの目で  
ケロロを見て言う。  
「そっ、そんなことはないでありますよ……」  
「そうですか。それならば良いのですが……」  
 先発隊の活躍により、ケロロ達は危険な目に遭うことなく最深部まで辿り着いた。  
「このあたりに桃華様がいらっしゃるはずなのですが……」  
 ポールが辺りの様子を窺う。  
「あれは…タママ殿!?」  
 ポールの言った方向を向くと、先発隊の3人が部屋の入り口で突っ立っているのを  
見つける。ケロロ達はすぐにそこへと向かった。  
「どうしたであります。そんなところで固まって……なっ!!?」  
 部屋の中からは異様な匂いが漂い、多くの男達が倒れている。そして何やら奥で  
人影が動いていた。  
「や、やめてくれ……もう無理…だ……」  
「何…? 私はまだまだ大丈夫なんだけど? 人を騙した罪がこんなもので許されると  
思ってるのカナ…?」  
 そう言って男を見る目はまるで淫魔のようなものだった。男達の精を吸い取り、最後に  
残ったリーダー一人を片付けようとして、小雪が男ににじり寄る。  
「ひいっ…、殺される……」  
 男が本能的な危険を感じて逃げようとする…、が腰が立たなくてどうにも出来ない。  
「忍の武器が手裏剣だけだとでも思った……? 大丈夫、痛くはしないカラ……」  
「だっ、誰か助けてくれぇっ!!」  
 そんな光景が、部屋では繰り広げられていた。  
「ケロッ!? まさかあれは……こっ、小雪殿……?」  
 ケロロはみんなが突入できない理由がわかった気がした。  
 
「桃華様っ…!!」  
 しかし、そんなケロロ達はおいといて、桃華を発見したポールが部屋の中へと走っていく。  
そして小雪もようやくみんなが来ていたことに気付いたようだ。  
「あ、あれ…みんな来てたの? テヘッ♪」  
 小雪がいつもの無邪気な笑みを浮かべる顔に戻ると、他のみんなも続々と中に入っていった。  
「うっ…ポール……?」  
「桃華様…、こんなお姿に……」  
 桃華は全身精液まみれにされ、見るからにひどい状況だった。だが、最後まで外からかけ  
られただけではあったらしく、服の中は以外に綺麗であった。  
「お前がポールか……」  
 先程まで小雪に怯えていた男が話しかけてくる。  
「くくく……、ご主人様がひどい目にあって災難だったなぁ… で、俺を消すか……?」  
 最早、精神的にも自暴自棄になっている男が、わざわざポールの神経を逆なでするような  
言葉を放つ。  
 ポールは、その挑発を受けて一瞬戦士の目になったが、すぐにいつもの顔に戻った。  
「いえ…。どうやら、私が手を下す必要はなさそうです」  
 ポールがチラッと桃華の方を見ると、そこには冬樹の姿が…  
「西澤さん…」  
「ひ、日向君…、私っ、こんなことされてっ……」  
 桃華は冬樹に抱きついて泣き崩れてしまう。そして異変が感じられたのはその直後だった。  
「こんなことするなんてひどい……」  
 冬樹が主犯格であろうリーダーの男の方へと歩み寄っていく。  
「なっ、なんだこのガキ……」  
 冬樹から溢れ出る威圧感に、ただならぬ者を感じた男がうろたえる。  
「許せないよ……」  
 そして、冬樹が男の頭を掴む。  
「ひっ、何をっ……ぎぃやああああああああぁぁぁぁ――――――――!!!!!!!!」  
 し  ば  ら  く  お  待  ち  下  さ  い  。  
「モウシマセンカラユルシテクダサイ…モウシマセンカラユルシテクダサイ…モウシマセ……」  
 しばらくした後、そこには機械人形のように同じ言葉を繰り返すだけの、変わり果てた男の  
姿があった。  
 
「あわわ……。ふ、冬樹殿…、もう気は済んだでありますか……?」  
 すると、冬樹がケロロを睨み付ける。  
「ひいっ……」  
「気が済んだなんて言えないよ…。だって、みんながひどい目に……」  
 小雪と桃華の姿を見ながら冬樹が呟く。  
「…そこで俺の新発明の出番ってわけだ……」  
 クルルが新しい発明品を取り出す。それはまるで風呂敷のようなものだった。  
「クックック…、これをかけるとだな……」  
 それを桃華にかぶせたかと思うと、すぐに離す。すると…  
「あ…、これは……!?」  
 濡れたり乱れたりした服も、ここに連れてこられる前のものに戻っていた。  
「クックック…、これもテレビを参考にさせてもらったぜェ……。まあ、結構アレンジ  
入ってるがなぁ……」  
 続けてそれを小雪にも使う。結局、味方側は大した被害もなく桃華奪還に成功  
したことになるが、そうは思ってない者もいた。その小雪が、すでに拘束は解かれ  
ている桃華に近付いてくる。  
「本っ当にごめんなさいっ!! あなたは何にも悪くなかったのにあんな事しちゃって……」  
 小雪が地面を割らんばかりの勢いでおでこを床につけ、土下座して桃華に謝罪する。  
「いっ、いいんですよ。本当ならあんな事はしないのはわかってますから……」  
 元に戻ったこともあり、桃華もあまり気にしてないようだ。  
 その頃、遠くの方で声が鳴り響いていた。どうやら西澤グループの兵士達がアジトを  
完全に制圧、破壊するために乗り込んできたようだ。最早、士気のある敵や戦える敵も  
残っていないだろう。完全勝利は目前だった。  
「まあ、なぜこんな事になったかは、後ほどこの男に聞くことにいたしましょう……」  
 ポールが、恐怖でまだブツブツ独り言を言っている男に目をやる。  
「クックック…、立ち直ってくれればいいですがなぁ……」  
 
 アジトのことは兵士達に任せ、みんなはその場を後にした。  
 その後は結局、男も立ち直り、小雪も立ち会って尋問を行うことになった。  
 事の発端は、土地を巡るトラブルだったらしい。しかし西澤グループ側に何の  
落ち度もあったわけではなく、完全な逆恨みのようであった。  
 荒れ地に緑を復活させようと西澤グループが計画を進める中、何とかそれを  
やめさせようと、小雪を利用して誘拐作戦を決行することになった。小雪は西澤  
グループが自然を破壊してその土地を開発していると吹き込まれたらしい。  
以前の小雪であれば事前に気付いていたかもしれないが、都会の生活にも  
慣れてきたという思いからきた慢心と、相手がプロの詐欺師だったこともあって、  
まんまと騙されてしまったようだ。  
 
 二日後……。  
 クルルのおかげで、桃華も事件後特に尾を引くことはなかったので、予定通り  
デートをすることになった。ただ、敢えて変わったことがあるとすれば……  
「西澤さん、おはよう…」  
「あ、ああ、おはよう……」  
 そこで冬樹を待っていたのが、いつもの桃華ではなく裏の桃華であることであった。  
「ここなんだ…。西澤グループが計画を進めている森林公園が出来る場所は……」  
「そ、そうだけど…。なあ、驚かないのか……?」  
 裏桃華は、冬樹は表の桃華が待っていると思っていたはずなのに、なぜ驚かない  
のかと不思議だった。  
「うん。あのね…、実は昨日もう一人の君から連絡があったんだ……。それで、今回の  
事件で君がずっと庇ってくれてたのに、今日自分だけが楽しむのは申し訳ないって……」  
 表の桃華が裏桃華を思いやる気持ちが確かにそこにはあった。  
「それで表の奴、今日は朝からずっと出て来なかったってのか…。へっ…、カッコつけやがって……」  
 裏桃華は、内にいる表の桃華に感謝するように、自分の胸元に手を当てて呟いた。  
 冬樹が辺りを見渡す。植林されてその体裁を持っている樹木なども多くあったが、まだ  
植えられたばかりの樹や花の赤ん坊も多い。公園全体としてはもうだいぶ完成してきたようで、  
それを見て回るための通路等はすでに整っているようだった。  
「西澤さん…、今日はそこの道を通って見ていくのかな?」  
 冬樹が一つの道を指差して桃華に尋ねる。  
「ああ。そうだな…」  
 
 桃華はそう言ったかと思うと、冬樹の腕を自分に抱き寄せた。薄い夏服から  
桃華の胸の感触が冬樹に伝わってくる。  
「ににに、西澤さんっ!!!?」  
 冬樹は突然のことに驚いて、桃華を振り払ってしまう。  
「あっ……」  
 桃華はそう言葉を発すると、自分が余計なことをしてしまったのではないかと  
不安そうな顔になる。  
「ダメ…か…?」  
 そして、普段の威勢のいい桃華とは思えない弱々しい声で、叱られた子犬の  
ように泣きそうな瞳で冬樹をじっと見つめてきた。  
(うっ…、そんな目をされたら断れないよ……)  
「い、いや、ちょっと驚いただけだから……。でも歩くのゆっくりになっちゃうけど……いい?」  
「ホントか!? …ゆっくりでも大丈夫……、どうせまだ開園前で貸し切りさ……」  
 そして、桃華がとても嬉しそうに冬樹の腕を抱きながら、二人は歩みを進めていく。  
「5年後10年後……、ここはどうなってるんだろうね?」  
 その道中、冬樹が桃華に話しかける。  
(5年後10年後……)  
 桃華はしばらく何かを考えているようだったが、その内に顔が赤くなっていく。  
「西澤さん?」  
 冬樹が桃華の顔を覗き込む。  
「わっ!? 驚かすなよ!!」  
 そして桃華は深呼吸して気持ちを整えるようにすると、こう言った。  
「先のことはわからないけど…、また一緒に見に来ような」  
「…うん。約束するよ」  
 冬樹はそう答える。  
 二人はまたゆっくりと歩みを始めるのだ。その行く先は――――  
 
                         −完−  
 

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