「ハイハイ!! カットカット――――ッ」  
 と、折角いい雰囲気になったところに、ケロロが割り込んできた。  
「そろそろ時間だ…。おじさんと行こうねェ〜〜〜〜」  
 そしてこう言うと、夏美の手を引っぱってどこかへ連れて行こうとする。  
「ちょっと! どこ連れてく気よ!?」  
 そう言いながらも、夏美はケロロの勢いに反抗しきれずに連れて行かれるのだった。  
「な、夏美……」  
 その場に一人取り残されたギロロが呟く。  
(ケロロ…、あのバカ野郎……!! い、いや、落ち着け…。大人気ないぞ……)  
 夏美と大人二人だけという状況もあってか、ギロロは殺気だった自分を何とかなだめながら次の手を考え出した……。  
「…そうだ。何かうまい食物でも買ってきてやろう。確かあっちに店があったな……」  
 ギロロはどうせ夏美はすぐ戻ってくるだろうと考え、後を追わずに買い物に向かったのだった。  
 そして、買い物に向かう途中でクルルと出会う。  
「ああ、先輩…。どうだい? 地球人の姿で来る海は……」  
「フン…。まあまあだな……」  
 クルルはそう言うギロロの表情を読みとると、こう切り返した。  
「クックック…、折角二人きりなんだからこの機を逃す手はないぜぇ?」  
「なっ、何を言う! 俺は大人が二人しかいないから仕方無く付き合ってるだけだ!!」  
「仕方無くねぇ…、クックックック……」  
 クルルは慌てふためくギロロの様子を見ながら、いつもの笑いを起こしていた。  
「あ、そうそう……。なんか面白そうなイベントにその彼女が参加しているようですが?」  
「何っ! 夏美がかっ!?」  
 それを聞いたギロロは、クルルの嫌味を気に留める間もなく、その会場へと走っていった。  
「クックック…、ベタベタですなぁ……」  
 
 その頃会場では、村が再起を期して開催した水着美女コンテストが行われていた。  
 次々と水着の美女が現れ、そのたびに男共から興奮と歓喜の声が沸き起こる。  
 そして次はいよいよ夏美の番だった。  
「おおおおおおっ!!!!」  
 夏美がセットの裏からゆっくりとステージに姿を現すと、会場から凄まじい歓声が沸き起こった。  
 セクシーな白いビキニからは、それに収まりきらない大きく実った双丘がこぼれ出ている。それは  
夏美が動くとユッサユッサと揺られ、見る者を興奮させる。  
 下に目をやると、申し訳程度の面積である水着で隠された魅惑の秘所や、スラリと伸びた思わず  
撫で回したくなるような脚が美しく、男の欲情をそそる。  
 真夏の太陽に照らされた鮮やかな赤髪は、頭の上でかわいく結ばれながらも美しく伸びて、海か  
らの涼しい風に撫でなれれば艶やかになびき、風がやめば、その舌なめずりするようなうなじから  
背中の美しいラインを包み込むようにかかり、夏美の美しさをより一層引き立たせていた。  
 普段の思考ではない夏美は、前屈みになり二の腕を寄せて男を惑わす魅惑の乳肉を激しく強調  
するポーズや、座って股を開き股間を強調するポーズなどでアピールする。  
 それは、見とれている男共を全員前屈みにさせるほどのエロティシズムで、会場は大変な騒ぎとなっていた。  
 
「すげぇ…、すげぇ反響だよ……。洗脳してまで出させた甲斐があったってもんであります……」  
 商品欲しさにわざわざ片田舎まで来た成果が実った、と勝利を確信したケロロが感動を迎えていると……。  
「ほう…。アイツらしくないとは思ったが、そう言うことだったとはな……」  
 ギロロが会場に辿り着き、ケロロのいるところにやって来て話しかけてきた。  
 その手に握られた銃をケロロの後頭部に突きつけている。  
「あ、あれー? ギ、ギロロ君?」  
 ケロロは冷や汗をダラダラ流しながら応対する。  
「このふざけたマネをいますぐやめさせろ……。でなければ……」  
 ギロロが引き金に手をかけながら、銃をケロロに強く押し付ける。  
「ひいっ……。早まるなでありますっ!! これには深いワケが……」  
「クックック……」  
 そこへクルルがゆっくりと歩み寄ってくる。続けてこう言った。  
「先輩…、どうやらもう洗脳は解けてるみたいですぜェ……」  
「何だと……?」  
 クルルの思いもよらぬ発言に、ギロロはもう一度夏美のいるステージの方を見やる。  
 すると夏美の目がいつものものに戻っているような気がした。  
(夏美…、どういうことなんだ……?)  
 いてもたってもいられなくなったギロロは、ステージ上の夏美に直接尋ねに向かった。  
「夏美っ!!」  
「え? ギ、ギロロ!?」  
 突然ステージに上がってきたギロロに、夏美は驚いた表情を見せていた。ギロロがすぐさま尋ねる。  
「どうした? お前は洗脳されていたんだ……。もうこんなところにいないでさっさと行くぞ」  
 そしてギロロが夏美の腕を掴み引っ張り出そうとすると……  
「なんだお前は――!! 引っ込め――!!!」  
「そうだそうだ!!」  
「見えねえだろうがっ! どきやがれ――っ!!!」  
 突然乱入してきたギロロに、会場の男共からブーイングの嵐が巻き起こる。  
 そのうち物も飛んでくるなど殺伐とした雰囲気になってきた。  
 
「きっ、貴様らぁ……」  
 それに対して、ついに我慢の限界が来たギロロが、隠し持っていた銃に手を掛け、  
取り出そうとすると……  
「ギロロ……待って」  
 それを夏美が制した。ギロロは納得できないといった感じで聞き返す。  
「夏美、いいのか!? あのような変態地球人共の見せ物になるなど……」  
「ここまで来て今更退場するのも格好悪いでしょ? それにこんな体になったからには  
何か一つぐらいやっておかないと気が済まないのよね……」  
 どうやら夏美も完全に開き直って、目指すは優勝と言った感じになっている。  
「夏美…、しかし俺は……」  
 ギロロが何か言いたそうに夏美を見つめる。  
「ギロロ…、ありがと。でもやるからには負けないわ」  
(…やれやれ、こうなった夏美はもう止められんな……)  
 ギロロはそう考えると説得をやめ、ステージから去っていった。  
 途中、男連中からの野次を浴びたが、会場全体を睨み付けるとシーンと静まりかえり、  
程なくしてギロロが現れる前の雰囲気に戻った。  
(夏美…、お前がその気ならば俺も黙って応援しよう。この反応ならば……)  
 ギロロはケロロ達のいる場所に戻り、静かにステージ上の夏美を見守る。  
 そして、誰もが夏美の優勝に決まったと思った……その時。  
「そうはいかないよ!」  
 ケロロ達の所に突如623が現れ、そう言う。  
「へっへ〜、俺一応芸能人だからネ。コネで強力な助っ人呼んできたんだ!」  
「な、なんですとぉー!?」  
 それを聞いて、商品ゲットを確信していたケロロも動揺する。ステージを見やると……  
「なんと…、この土井中村の海辺にUSA・セクシートップスター、M・ハニーさんが現れた――!!!」  
 
 

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