「お留守番…ですか?」  
「そう、モアちゃんにしか頼めないの!」  
ここは日向家のリビング  
1人で来るようにと夏美に呼び出されたアンゴル・モアは、そこで日向家一同と顔を会わせていた  
曰く、おばあちゃんの知り合いの法事に列席する為、今日から3日ほど家を空けなければならないというのだ  
「本当ならケロちゃんたちも連れて行きたいんだけど、今回ばかりはちょっと…ね」  
「でも、お留守番のことならおじさまにも言った方がいいんじゃないですか?」  
「それだけは絶対駄目なの!私たちがいないと、調子に乗ってまた変なことをしでかしかねないし…」  
「それでモアちゃんにこの家のことを頼みたいんだ。いいかな…?」  
とはいえ、モアがケロロの無茶を止められる抑止力として足りえるかどうかは、正直言って微妙だ  
もしかするとケロロに言いくるめられ、まんまと乗せられてしまうかもしれない  
だが、この無垢と純粋さを絵に描いたような少女が、この頼みを聞かぬ筈が無かった  
「わかりました!ナッチーさんたちが帰ってくるまで、モア頑張ります!」  
 
「留守番…ですかぁ?」  
「その通りであります、タママ二等」  
ここは地下基地の会議室  
ケロロに呼ばれたタママ二等兵は、そこでケロロ小隊一同と顔を会わせていた  
曰く、ケロン軍の別小隊との会合に出席するべく、今日から3日ほど基地を空けなければならないというのだ  
「ホントなら全員で出なきゃならない集まりなんだけどさ、ちょっと…ね」  
「ちょっと…ねって何なんですか?ていうか僕も一緒に行きたいですぅ!」  
「ク〜ックックック…実は会合の後に二次会があるんだが、それで行く場所がお子様厳禁の歓楽街でねェ」  
「それに、この基地を空っぽにしてしまったら敵性種族の襲撃に遭うとも限らんからな…悪いが残ってもらいたい」  
とはいえ、タママはかつて留守番していた母船を落とされたという前科があり、この任務に適するかは微妙だ  
もしかすると自分本位なタママの事だ、更に混乱した事態を招くかもしれない  
だが、この邪悪と傲慢さを絵に描いたような少年が、想い人からの頼みを聞かぬ筈が無かった  
「あーもーメンドっちいですぅ…どうして僕が留守番なんか……ブツブツ」  
…かもしれない  
 
こうして当人たちの知らぬ間に、世にも奇妙な組み合わせによる留守番が始まろうとしていた  
しかも、犬猿の仲とも言うべき最悪の組み合わせで…  
 
 
 
『一つ屋根の下で』  
 
 
 
正午を過ぎた頃、タママは日向家の台所へとやって来た  
1人で基地の留守番をするという事は、同時に不在となるケロロの仕事もしなければいけないという事である  
ケロロたちが出発した後でその事に気付いたタママは、嫌々ながらも家事をするため、ここへと来たのだが  
「…あれ?」  
足取り重く台所へ入ったタママが見たものは、既に食器洗いを始めているモアの姿だった  
タママが来た事に気付いたモアは、いつものように天使の如き微笑みを彼へと向けた  
「あっ、タママさんこんにちは♪」  
(チッ…このアマいつの間に…)  
一方、タママは自分がすべき仕事を奪われたことで、悪鬼の如き形相をモアに向けた  
「…何やってるんですか?」  
「実は、今日からナッチーさんたちがお出かけするので、私がこの家のことをしなきゃならないんです…てゆーか重大任務?」  
「ふ〜ん…―――――……えっ!?」  
何か思わぬ事を聞いてしまった気がして、タママはぎくりとした  
夏美たちが留守…?ということは…ということは…!?  
「ところで、おじさまはどちらか知りませんか?」  
「ぐ…軍曹さんたちも、今日から3日ぐらい留守ですぅ…」  
「えっ!それじゃあ……!」  
今、この家にはモアとタママの2人だけ…  
よもやこんなことになろうとは、どちらも留守を預かった時は予想もしなかっただろう  
モアはケロロがいなくなった事に衝撃を受けているようだが、彼女の事なのですぐ立ち直るはずである  
しかし反対に、タママは大きなショックを受けていた  
ただでさえモアといるだけでも嫌なのに、このうえ一つ屋根の下で数日間暮らさなければいけないのだ  
タママにとって耐えがたい苦痛の日々となるのは目に見えていた  
その時、ここでタママにある名案が閃いた  
ケロロ小隊のオペレーターとしてモアは日夜活動している  
だがケロン軍人としての階級を持たぬ彼女は、広義で解釈するとケロロ小隊全員の部下であると言える  
現時点の日向家で最も上の階級は二等兵のタママで、理屈では階級の無いモアはその下に位置する訳だ  
よって、タママがモアに好き勝手命令を下す事も不可能ではない  
(よ〜し…この女をこき使って、どっちが格上かハッキリさせてやるですぅ!)  
沈んでいた表情を卑しい笑いで明るくしたタママは、さっそくモアにどんな事をしてやろうかと算段を始めた  
ところが、突然モアからバケツを渡されて、タママは大きな眼を丸くした  
「えっ?」  
「タママさんは、それで階段と廊下のお掃除をお願いします」  
「な…」  
「私はこれが終わったらお洗濯とお買い物をしてくるので、頑張ってくださいね!」  
「ちょ…ちょっと待つですぅ!いまは僕が一番偉いから、上司の命令に―――」  
「分担してお掃除すれば、夕方までには綺麗になると思います…てゆーか超大掃除?」  
「うぐぅ…」  
何故か妙に押しの強いモアを前にして、結局タママは主導権を明け渡す結果となった  
実はモアは、今までケロロの家事手伝いをサポートした(というか、ケロロがサボりたいから代わりにやらせた)経験が幾度かある  
掃除にうるさいケロロの元、たびたび家事をこなしていたモアは、家事に関するスキルを知らず知らずのうちに得ていたのだ  
結果、タママはモアの指示通り掃除に従事する羽目になったのだが、尊敬するケロロの影響が巡り巡ってタママに行き着いたのは、皮肉としか言い様が無い  
ともあれ、2人のお留守番生活は先陣をモアが制する形で幕を開いたのだった  
 
元来、タママは掃除など全く苦にしないほどの体力を持ち合わせていた  
その気になれば1人で全てをこなす事もできるのだが、あくまで彼の体力は自己の鍛錬の為に作り上げられたものだ  
普段から西澤家でメイドに雑務を任せているタママからすれば、今すぐにでも放り出してポテチの袋でも空けたい気分だったに違いない  
しかもそれらの作業がモアに強いられているとなれば、尚更フラストレーションが溜まる一方だった  
「はぁ…何だかすっげぇダルいですぅ………」  
とはいえ、元々ケロロの代わりにやら無ければならなかった事である  
仕方が無いと自分に言い聞かせながら、タママはダラダラと掃除を進めていくのだった  
「それじゃあいってきます!てゆーか横浜買出し?」  
そうしてタママがちんたらやっている一方で、モアは的確に自分の仕事をこなしている  
掃除も洗濯もお手の物、モアはさらっと用事を片付けると、夕飯の買出しへと出かけていった  
もしモアが将来結婚したなら、確実に良妻賢母となる事だけは確かな筈だ  
ぶつくさ文句を言いながらも惰性で掃除を続けるタママと、夕飯の準備の為に奔走するモア  
2人の仕事が一段楽したのは、夕飯時を少し過ぎた午後の7時ごろであった  
 
「あーあ、やっと終わったですぅ。それにしてもあの女ァ……」  
雑巾や箒を片付けながらタママは反撃の機会を伺っていた  
モアに屈したままである今の状況を、タママのプライドが許すはずが無かったのだ  
そろそろ夕飯の時間なので、恐らくはモアの作った料理が振舞われるはず  
そしたら無理矢理難癖を付けて、少しでも自分の優位性をモアに思い知らせてやらなければ…  
どう説き伏せようかと算段を重ねがら、食卓へとタママは向かう  
しかし扉を開いたその時、えもいわれぬ匂いが彼の鼻孔を突く  
ハッとして嫉妬モードから我に返ったタママは、それがカレーの匂いである事に気付いた  
「あっ、タママさんご苦労様です!てゆーか勤労感謝?」  
「こ…この匂いは…?」  
「これは前にクルルさんから教えてもらった、秘伝のカレーを私がアレンジしたものです♪」  
モア曰く、ケロロの代行で家事手伝いをしていた際、ふらりと現れたクルルが「なっちゃいねぇな」とか言いながら伝授してくれた物らしい  
クルルのカレーという事で表情を濁らせるタママだが、腹が減っているので仕方なく食卓へ着いた  
豊潤な香り、食欲をそそられる情景…傍目から見るだけではごく普通のカレーだ  
スプーンを手に取ると、本能のままタママはカレーを口にしようとした…が、そこでモアの視線に気付いた  
両手で頬杖を付いたモアが、こちらをじっと見つめているのだ  
「ナニ見てるんですぅ」  
「タママさんのお口に合うか気になって…てゆーか至高究極?」  
この時に至って、タママの嫉妬心が再び燻り始めた  
(この女…クレームを投げかけてくると先読みして先手を打つとは、中々したたかなアマですぅ)  
「さっ、食べてください!」  
無論、モアがそんな事を考えている訳がないのだが、勝手に1人でタママは嫉妬心を燃焼させていく  
目に物見せてやるですぅ!と心の中で叫んだタママは、口に運んでいる途中だったカレーへ一気にかぶり付いた  
完璧な料理なんてあるはずが無い、絶対どこかに欠点が…  
まるでハイエナのように粗探しをするタママだったが、吟味していく中で次第に変化が見られた  
「っ…」  
モアの作ったそれは、無作為に調味料で労したり具材を変えたりしない、至極真っ当なカレーだった  
桃華の元でいつも高級料理を口にしているが、このシンプルで包み込むような味は、タママにとって新鮮な衝撃を与えていた  
「……おいしい…」  
「ほ、本当ですか!」  
「あっ!……いや、これは…!」  
「タママさんのためにいっぱい作りましたから、どんどん食べてくださいねっ!てゆーか満貫全席?」  
思わず素直な感想を口にしてしまい、タママは大いに焦った  
一方、モアはタママに満足してもらった事で、目尻に涙まで浮かべて喜びを露わにしている  
彼女は今日からしばらく一緒に暮らすタママの為に、あれこれと気を配っていた  
タママは大食漢だから量も多めに作り、味も辛すぎず甘すぎず…その研鑽の末にこのカレーが出来上がったのだ  
自分の発言を訂正しようとしたタママはその様子を見て、嫉妬心を鞘に戻す事にした  
(ふん…今回は引き分けということにしておいてやるですぅ)  
そう思いつつ、タママは早くも3皿目のおかわりをモアに頼んだ  
 
それからは至ってスムーズに事は運んでいった  
食後の後片付けを終え、それぞれ風呂を済ませ、そして就寝へと進む  
日向家を空き家にするわけにはいかないので、モアは夏美の部屋に、タママは冬樹の部屋で枕を借りる事となった  
「…」  
時刻は既に夜の10時を回っているが、タママの脳裏には夕飯でのやりとりが印象深く焼きついていた  
包み込むような優しい味…そしてモアの心からの笑顔…思い出すだけでも不思議な、あの感覚  
タママはそれを振り払うかのように頭を横に振ると、ぐっと拳を握り締めて抱負を口にした  
「でも、明日こそはあの女をギャフンと言わせてやるですぅ!………?」  
決意に満ちた表情のタママだが、不意に何かの視線を感じて言葉を詰まらせた  
目を向けると、そこには冬樹のオーパーツコレクションの1つである奇妙な石像のレプリカが、じっとこちらを見ている  
暗闇の中に浮かぶ異形の像に怖くなったタママは、別の方向へと目を逸らす  
すると今度は、冬樹のUMAコレクションの1つである雪男のポスターが飛び込んできた  
異様な悪寒に襲われたタママは周囲を見渡してみると、そこかしこにUMAやオーパーツや宇宙人のフィギュア等がある  
冬樹にとっては大好きなコレクションに囲まれて最高の立地条件なのだろうが、タママにしてみれば恐怖の対象でしかない  
「ううぅっ……!!」  
恐怖で布団に包まるタママ  
しかし周りのオーパーツ達は、容赦なくベッドのタママへ視線を送り続けるのだった  
 
モアとタママの共同生活、二日目の朝  
目覚ましの音で目を覚ましたのは、夏美の部屋で眠りについていたモアだった  
綺麗に整われた夏美の部屋は寝心地抜群で、モアは安心して眠りについていたのだが…  
「んん…夏美さんの部屋ってとてもいい匂いがしますねぇ」  
寝惚け眼をドカンと開けたモアは、いつまでも寝てる場合じゃないとばかりにタママの元へ向かった  
案の定タママはまだ起きていないようで、扉をノックしても応答が無い  
そっと戸を開けると、モアはタママの気分を損ねないように静かに部屋へと足を踏み入れた  
タママは頭まで布団を被って寝ており、近くで呼びかけても反応を示さない  
そこでモアは、思い切って布団を引き剥がしにかかった  
「タママさん起きて下さ……ひゃあっ!?」  
「何……ですかぁ……?」  
ところが布団を退けたモアは、眼の下に巨大な隈をこしらえたタママの顔を見て、仰け反るほど驚いてしまった  
実は昨晩、タママはミステリーグッズに囲まれて一睡も出来なかったのだ  
起き上がってもフラフラしたまま歩く事さえ困難なタママを、モアは優しく抱きかかえる  
「フッキー…あんなトコでよく平気で眠れます……ぅ」  
「タママさん、しっかりして下さい!」  
とりあえずリビングまで連れて下りると、モアは眠気覚ましにと朝食の準備を始めた  
トーストと暖かい牛乳とハムエッグを手早く調理すると、モアはタママの元へと急ぐ  
だが、ソファーに座っていたタママは朝食が作られる間に、すっかり眠りの中へと落ちていた  
モアはタママの前の台に朝食を置くと、冬樹の部屋に戻って一枚のシーツを持ってきた  
それをタママに被せてその横に座り、ようやくモアは自分の朝食へと手を伸ばすのだった  
 
「……ふぅ、ご馳走様でした」  
ひとり朝食を済ませたモアは、自分の傍らに眠るタママへと眼を向ける  
ぐっすりと眠るタママの寝顔はとても可愛らしく、いつもの嫉妬に駆られた悪鬼のような形相など想像できない  
思えば、モアはいつもタママに嫉妬の念を向けられていたが、彼女自身はほとんど意に介していなかった  
「…タママさん」  
しかし流石にあれだけしつこく迫られていれば、純粋なモアといえども引け目を感じてしまう時も少なからずあった  
―――タママに対する、ほんの少しのとっつきにくさ  
普通の人なら些細な事だと流してしまうかもしれないが、博愛的な思想を持つモアにとってはどうしても解消したい靄であった  
今回タママと2人きりでいられるということは、互いの溝を埋められるチャンスでもある  
これを機会に、もっとタママに近付きたいとモアは思っていた  
対するタママが嫉妬に任せて、モアを遠ざけたいと思っている事も知らずに  
「…」  
寝息を立てるタママの頬を、モアはそっと撫でた  
柔らかな弾力が心地良く、以前ケロロのお腹を撫でさせてもらった時とはまた違う感触だ  
むにゃむにゃと子供らしい姿を見せるタママに微笑むと、モアは洗濯物を片付けに浴室へと向かった  
 
モアが離れて暫くの後、9時に差し掛かろうかという所でタママが目を覚ました  
首をポキポキと鳴らしながら起き上がったタママは、目の前に朝食が置かれているのに気付く  
「…?」  
まどろんだ思考で何がどうなっているのか考えるも、空腹に抗えず温くなった牛乳に口を付ける  
そのままテレビのリモコンを手に取ると、何の気なしにチャンネルのつまみ食いを始めた  
忙しなく選局を続ける中、不意にあるチャンネルでタママの指が止まった  
「あ〜…これって確か軍曹さんが好きな超精神ジャバライザーですぅ」  
時刻は8時58分…タママが見たのは、前番組が終わって挿入される次の番組のCMだ  
それを見て、不意にタママはある事を思い出した  
確か、ケロロたちが出発する前に何か頼み事をしていったような気が…  
すっかりそのことを忘れていたタママは、時計の針が9時を指そうというところで、ようやく"それ"に気が付いた  
「!…あ、ちょっとストップですぅ!」  
タママは大慌てで側にあった空のDVD-Rをデッキへ突っ込み、急いで録画ボタンを押した  
その次の瞬間、ケレンの効いた曲と共にジャバライザーのオープニングが幕を開く  
これこそ、タママがケロロたちに頼まれていた言伝の1つだった  
 
それは昨日の事、輸送船に乗り込んでケロロたちが会合に向かう前の話  
しばし地球から離れなければならなくなったケロロたちは、残留するタママに各々の要務を伝えていた  
ケロロはジャバライザーの録画を、ギロロは武器の整備を、クルルは基地の警備システムの更新を、ドロロは公園の花壇への水やりをタママに頼んだのだ  
昨日はモアの対応で日が暮れてしまったが、こればっかりは流石にサボることはできない  
朝食を口に詰め込み牛乳で流し込んだタママは、すぐさま他の言伝をクリアするために立ち上がった  
「はぁ……ほんとあの人たちはどうしようもないですぅ…だるー…」  
あの、話が進まないので早く立ち上がって下さい…  
 
まずタママはギロロの武器整備から事を進めた  
銃を分解し、弾薬を整頓し、装備の点呼をし…とにかくこれが面倒臭いこと極まりない  
こういう地味な作業が大嫌いなタママは、銃は外面だけ磨き、弾薬は大体の数でまとめ、装備もチラッと見ただけで切り上げてしまった  
次に残ったのはクルルとドロロの言伝だが、いちいち外に出て行う作業を面倒臭いと断じたタママは、クルルの件を優先させる事にした  
「とは言っても、クルル先輩のラボに行くのもちょっと気持ち悪いですぅ」  
足取り重くクルルズ・ラボに到着したタママは、扉の前に警備システムの更新手順を記したメモを見つけた  
メモといっても一冊の本ぐらいの厚さで、その手順に関してもかなり複雑だ  
しかし、ケロロ小隊はクルル以外の面々でもメカに強いという特性を持ち合わせている  
ケロロはもとより、夏美のパワードスーツを作ったギロロ、ケロロロボの操縦で最も燃え上がっていたドロロ、そしてこのタママも例外ではなかった  
かつては西澤家邸宅でトレーニング施設を建造した他、現在でもケロロが使用しているペコポン人スーツを作ったのは他ならぬタママなのだ  
少々複雑とはいえ、このぐらいなら頑張ればタママでもどうにかなる作業だった  
「でも、流石に二日分も更新が溜まってるとややこしくって堪んないですぅ」  
なお、本来なら更新作業はコンピュータが自動で行うのだが、クルルがワザとマニュアル手順のメモを置いていった事に、タママが気づく事は無かった  
 
「タママさん?」  
お昼過ぎになって、モアはソファーで寝ていたタママがいなくなっているのに気付いた  
朝食を食べた形跡があるので起きているのは解るが、彼がクルルズ・ラボで作業している事までは流石に知らないようである  
そろそろ昼飯を一緒に食べようかと思っていたモアは、タママを探して地下基地に降り立った  
ところがそこには噴煙が立ち込め、一部の壁が倒壊しているではないか  
「えっ…?」  
まさかタママがこんな事をするはずが無い…という事は…?  
異様な雰囲気を察知したモアは、ケータイを構えていつでも擬態を解除できるようにしながら基地内を進む  
いくつかの区画には大穴が開いている箇所まであり、気付かないうちにただならぬ事態になっていたことを物語っている  
「いったい誰がこんな事を…?てゆーか侵入…――――――ッ!」  
 
その頃、クルルのクセのある字を読み解き、難しい用語の羅列に四苦八苦しながらタママは作業を進めていた  
ところがあるポイントで足止めを食らい、痺れを切らしてコンソールをゴンゴン叩いている  
「あーもう!何で止まらないんですかぁ!!」  
先程、更新の全工程を終えようかという時に、突然地下基地の出入り口付近にある警報が鳴り出したのだ  
誤作動かと思ったタママは、それを止めようとあれこれメモを読み返しているのだが、対処法が全然わからない  
もはやお手上げ状態で疲弊していたが、そのとき後でラボの扉が開く音が聞こえた  
モアが来たのだと思ったタママは、不機嫌な顔をしながらそちらへと振り向く  
「あ、丁度いいところに来たですぅ。実は……………」  
その瞬間、タママは硬直した  
なぜならそこに立っていたのがモアだけではなかったからだ  
モアの腕を取って自由を奪い、こちらを嘲笑しているその男は、もはや見慣れた感も漂うヴァイパー(の父の弟の穴兄弟のセフレの息子)だった  
「ヴァ…ヴァイパー?!」  
「おっと動くなよ?こいつがどうなってもいいんなら話は別だがな」  
「…タママ…さん……」  
ヴァイパーは、モアの頭にサイコガンを押し付けるとこちらに向かって凄んだ  
たじろぐタママに、ヴァイパーはやれやれといった様子で溜息をつく  
「しかし、本当にお前らが俺たちの同胞を何人も倒してきたとは、俺には到底信じられねェな」  
「そんなことは無いですぅ!これまで僕たちは何人ものヴァイパーを…」  
「警備は手薄で居るのは女子供の2人だけ。オマケにこうして基地制圧に5分とかからないんじゃ、歯応えが無さ過ぎてあくびが出るってもんだ」  
「ぐ、軍曹さんやギロロ伍長たちがいれば、お前なんか一網打尽ですぅ!」  
「そこまで言うならやってみろよ、お前1人でな!」  
「っ…」  
余裕綽々のヴァイパーは、モアの首根っこを掴むとタママにむかって突き出した  
モアは首を圧迫されて苦悶の表情を浮かべている  
思いもよらぬピンチに遭遇し、タママは握り拳から血の混じった汗を垂らした  
 
突然現れたヴァイパーによりモアが捕縛され、敵は基地の破壊とケロロ小隊の壊滅を目論んでいる  
絶望的な状況下に立たされたタママは、今まさに窮地へと追い込まれていた  
「さて…まずはこの中枢施設からぶっ壊すとするか。言わなくても解ってんだろうが、手出しすりゃあ人質の命はねぇぜ」  
「タママさんっ…」  
自分が人質になったせいでタママを追い込んでしまったことを、モアは深く悔いていた  
せめて地下基地に下りてきた時、もっと注意して行動していれば…  
このままタママの重荷になる事を拒んだモアは、むせながらも彼に向かって叫んだ  
「タママさん、私はどうなっても構いません!だからヴァイパーを…タママさん!」  
「チッ…少しは黙れ!」  
その様子を怪訝に思ったヴァイパーは、モアを拘束していた腕を前に回し、羽交い締めをするような姿勢に移った  
「しかし、このままぶっ壊すだけじゃあ物足りねぇな」  
「…っ!」  
「この基地とそこの小僧を始末して、お前を喰らうというのも悪くはないな…」  
ヴァイパーはモアの服をまくり上げると、卑しくもその中へと手を突っ込んだ  
服の上からでも、彼女の乳房が鷲掴みにされている様がよく解る  
しかし、この羞恥的な仕打ちに貧してもなお、モアは一切の泣き言を口にする事はなかった  
一方、一連の流れを凝視していたタママは、未だに静観を保っている  
もしもこの時、普段のタママであればモアの言葉にそのまま従っていたことだろう  
憎き恋敵であるモアを合法的に亡き者に出来る絶好のチャンス  
過失を相手に擦り付ければどうにでもできる最高の機会  
…だが、今のタママは違っていた  
「?」  
ふと、モアはタママが何かに向かって目線を移していることに気付いた  
タママの視線が追う先は、ヴァイパーが弄ぶために解放させたモアの右手…の中にある物を指している  
それを見てタママの意図を解したモアは、そっと指を動かした  
「…それじゃ、お言葉に甘えて思う存分殺っちゃうですぅ!」  
「はい、モアごとヴァイパーを吹き飛ばしちゃって下さい♪てゆーか一蓮托生?」  
「は…?」  
「決してこの尊い犠牲は忘れないですぅ〜」  
「お、おいちょっと待て!この女がどうなってもいいってのか!?」  
「それではみなさんさようなら〜。てゆーか……」  
「!?」  
「てゆーか擬態解除?」  
2人の支離滅裂な会話に相手が動揺したその刹那、モアは手中にしていたケータイを起動させ、その場で擬態を解除した  
ヴァイパーはまばゆい光に視界を遮られ、思わず力を緩めてモアを放してしまう  
その間にエネルギーをチャージしていたタママは、モアが脱出すると同時に最大出力のタママインパクトをヴァイパーへ打ち込んだ  
衝撃でラボからたたき出されたヴァイパーへ、今度はモアのハルマゲドン100万分の1が脳天を貫く  
ピッタリと息のあった連携攻撃には、流石のヴァイパーもフラフラだ  
駄目押しとばかりに、タママとモアは嫉妬玉とハルマゲドン10万分の1を放った  
「があああああああああああっ!!!」  
防御する事さえままならないまま、ヴァイパーは断末魔と共に爆発の中へと姿を消したのだった  
 
爆風で吹き飛ばされた2人は、衝撃で打ち付けた腰をさすりながら身を起こした  
爆破地点の近くにいたタママは、アフロヘアになってしまった頭を気にしているようだ  
「うう…ヴァイパーはどうなったですぅ?」  
頭が元に戻った事を確認しつつ、タママはヴァイパーが仁王立ちしていた方を向いた  
そこには硝煙と瓦礫しか残っておらず、衝撃でめくれ上がった床などから、ヴァイパーが消し飛んでしまった事が解る  
ここに至って勝利を確信したタママは、満面の笑みでモアの懐に飛び込んだ  
「や、やったですぅ!僕たち基地を死守できたんですぅ!」  
モアもタママの体に腕を回し、しばし2人は勝利の抱擁を交わした  
しかし3分も経たない内に、タママはハッとして我に返った  
「ふ…ふんっ!元はといえばお前が敵に捕まるからこんなことになっちゃんたんですぅ!」  
素の表情を見せた事への照れ隠しで、意地っ張りな行動を取るタママ  
そのままタママは腕の中から離れようとするが、何故かモアは抱きしめて離さない  
それどころか、ぐいぐいと押し付けられて窮屈極まりなく、タママは強引に腕を退けようとする  
「ちょっ…いい加減放すですぅ!」  
「…よかっ…た」  
「?」  
「タママさんが…無事……で…」  
俯き加減のモアから漏れた言葉に、タママは抵抗する手を止めた  
見ると、モアの頬には大粒の涙が伝い落ちている  
恐らくは緊張の糸が切れ、一気に恐怖心や安堵感が噴き出したのだろう  
しかしモアの口から紡がれる台詞は、皆タママを気遣う言葉ばかりだ  
「…この期に及んでも人の心配をしてるなんて……ほんとに莫迦な女ですぅ」  
口ではそう言うタママだったが、彼はそのままモアに自らを委ねた  
…それからモアが泣き止むまでに少々の時間を要したが、それまでタママはモアから離れようとはしなかったという  
 
結局、この日は襲撃事件の後片付けに1日の大半を割く結果となった  
基地を元通りに再建し、途中になっていたコンピュータのチェックを終えると、今度は日向家の用事が待っている  
タママとモアは2人でこれらの作業を分担して進めたが、ようやく全ての仕事が終わったのは、夜の11時になろうかという頃だった  
食事を用意する時間も無さそうだったので、仕方なく夕食はレトルト食品と昨日の残り物が中心となり、後片付けも手早く済ませた  
「ふぅ…」  
まるで流れるように去っていった、今日という日  
その疲れを落とそうと、タママはモアより先に風呂へ浸かっていた  
先の騒ぎで負った擦り傷がちくちくするが、暖かい湯がなんとも心地良い  
心地良いのだが、どうしても彼には不可解な事が1つだけあった  
「なんであんなこと…しちゃったんだろ……?」  
自分の身を顧みず、戦えと言ってくれたモア  
それに奮起してタママは勝利を得たが、あの戦い方は彼の得意とするがむしゃらな戦法ではなかった  
そして何よりも、最後の最後でモアと抱擁を成した自分の行動に、タママは疑問を感じていたのだ  
例えどんなことがあろうとも、アンゴル・モアなんて女に心を許していいはずが無い  
ずっとタママはそう念頭に置いて行動していた  
なのに、どうしてあの時あんな事を…?  
と、その時である  
「タママさん、お湯加減は如何ですか?」  
「!」  
突如、モアがバスタオル一枚という姿で浴室に姿を見せた  
これにはタママも驚いて湯船に沈みそうになったが、モアはあまり気にしていないようだ  
そういえば、前に冬樹とケロロが風呂に入っていたとき、今回と同じ格好でモアも混浴しようとした事があった  
その時の彼女は恥らう様子を見せていなかったが、混浴に関しては抵抗が無いのだろうか?  
ともかくこのままでは不味いと判断したタママは(具体的に何が不味いのかは解らなかったが)、浴槽の端っこへと退避  
モアは開いたスペースに浸かると、ふうっ…と小さく息を吐き出した  
「暖かいですね…てゆーか二番風呂?」  
「な、何でお前が入ってくるんですぅ!」  
「実はタママさんにお礼がしたくて、いても立ってもいられなかったんです」  
「お礼?」  
はい…と言うと、モアは離れていたタママに近付き、背中合わせに居座った  
この状況で"お礼"などという言葉が出れば、誰も邪な想像をせずにはいられないだろう  
タママとて例外ではなく、暖かいモアの体の感触に思わず喉を鳴らしてしまったほどだ  
「お礼って…まさか…」  
「はいっ、お背中を流しますからこちらにどうぞっ♪」  
「…へ?」  
不安とごく僅かの期待で振り向いたタママだったが、モアが提示した"お礼"とは"体を洗う"という単純な事柄だった  
考えようによっては素晴らしいご褒美だが、タママはこれに安心とごく僅かの残念さで肩を落とした  
 
そんな訳で、タママはモアに背中や腕などを洗ってもらう事となった  
最初こそ肩透かしを食らった気になっていたタママも、しばらくしてこの背徳的な状況を楽しみ始めていた  
(ふふん…こうやってこの女をドレイみたいにこき使うのも、悪くはないですぅ)  
「どうですかタママさん?」  
「うむ、それじゃあ次は腕を洗うですぅ」  
「はいっ!」  
殿様気分で命令を下すタママに対し、モアはテキパキと指示に従っている  
支配者願望がとても強いタママにとっては、ここまでの奉仕だけでも十分満足だったのだが、事はこの後に起こった  
次にお腹まわりを洗うようにと言われたモアは、階級マークに至るまでピカピカに洗っていた  
その手が、ふとタママの股間に近い部分に触れた  
これにはタママもぴくりと反応してしまい、咄嗟に側にあったタオルで下腹部を隠した  
「タママさん?」  
「あ…な、なんでもないですぅ」  
恋敵に対して反応しているところを見せるわけにはいかないと、タママは前かがみ気味になってそれを隠し通そうとする  
だが、その後もモアの細い指はちらちらと微妙な部分に触れ続け、次第にタママはボーっとなっていく奇妙な感覚に苛まれた  
「…ぁ……ん…」  
「気持ち良い…ですか?」  
「いい……ですぅ…」  
「…あの、こちらはどうですか?」  
「ひゃっ!?」  
その刹那、タママが被せたタオルの向こう側へと、モアの手がするりと入り込んでしまったのだ  
びっくりしてモアの腕を放させようとするが、自らの物に指で触れられ、タママは女の子のような嬌声を発した  
「ちょっ…や……やめる…ですぅ…!」  
「大丈夫ですよタママさん、私に任せて下さい」  
そう言うと、モアはタママのそれをそっと扱き始めた  
ぎこちない手付きではあるが、タママの防御を解くのには十分すぎる攻めだ  
いつしかタオルはタイル敷きの床へと落ち、完全に晒されたタママの雄はひくひくと勃起している  
タママの背中越しにそれを扱いていたモアは、彼の前に回ると更なる攻めを繰り出す  
「男の方のこれって、こうなっているんですね…」  
「んっ!…は……ああっ!!」  
「あの、舌も使って宜しいでしょうか?てゆーか事前承諾?」  
「ぁ…ぁあ……やぁ…う…」  
「…では、行きますね」  
「ひぁっ!あ…う……んくっ!」  
モアは雄を扱きながら、竿を嘗めたり、時に亀頭から咥えたりと、引っ切り無しに濃厚な奉仕を続けた  
一方のタママはというと、もはやその喘ぎ声は完全に少女のそれであり、絶頂は目前に迫っていた  
それに呼応するかのようにモアは扱く速度を速め、優しくエスコートしていく  
そして彼の腰がぎくぎくと震えたかと思ったその時、びゅくっ…とモアの顔に向かって、タママは爆ぜてしまった  
 
「っはぁ!あっ!ぁ…!ん……!」  
「凄い…こ、こんなに濃いなんて……タママ…さん」  
なおも溢れ出る精液を、モアは苦にすることもなくしげしげと見つめていた  
それどころか、自らの顔や髪に降りかかったそれを口に含もうとさえしている  
なんとか呼吸を整えたタママは、やっとこさモアの奇行についての質問を投げかけた  
「な…っ…なん…で……こん…な…?」  
「…私、タママさんとお留守番になるって解った時、とても嬉しかったんです」  
「え…?」  
「ずっと前から、私はタママさんに近付きたかったんです…だから、この二日間はとても幸せでした」  
「お前…」  
「私のカレーを食べてくださった時、タママさんは美味しいと仰ってくれました。そして今日、タママさんは命がけで私を守ってくださいました」  
「…」  
「なので私は、お返しをしたかったんです…てゆーか、……てゆーか…その……はい」  
このときタママは、この留守番の中で感じ続けてきた不思議な感覚を、再び…そして最も色濃く感じていた  
どうしてなのか全く解らなかったが、照れているモアの表情を見れば見るほど、その感覚は自分の中に広がっていく…  
「……お返しはやってもいいけど、ひとつだけ約束して欲しいですぅ」  
「は、はい…」  
「…このことは、軍曹さんには内緒ですぅ」  
タママはその感覚に任せ、思ったことをそのまま口に出した  
モアはケロロの名前を出されて一瞬戸惑ったようだが、すぐににっこりと笑顔を取り戻し、こう返した  
「では、私からもお約束して欲しいのですが…このことは、おじさまには内緒ですよ」  
「わかってるですぅ」  
ぎこちない笑みで応えたタママは、そっとモアの唇へと口を付けた  
 
双方とも、互いにこれがファーストキスだとは知らない  
しかしタママもモアも、この時はキスという行為に驚くほど抵抗感を感じなかった  
まるで今まで何度も体を重ねあった者同士のように、キスがスムーズに交わされていく  
正座して身を乗り出すモアと、台座から背を伸ばして求めるタママ  
しばしの間隔を置き、口を離した二人はシャワーの栓を回す  
暖かなシャワーが降り注ぐ中、モアはバスタオルを解き放ち、肢体でその場に体を横たえた  
タママはモアの元へ寄り添うと、再びのキスを繰り返す  
そこから手を伸ばし、胸元へと向かった腕はモアの乳房に辿り着く  
ゆっくりと撫で回しながら、タママは口内でモアの舌を舌で絡め取った  
モアもこれに従い、ふたりの口の中で二枚の舌が捏ね繰り回された  
それと同時に乳房へ伸びた手の方も、先端を刺激しながら愛撫が続けられている  
「っ…ん……ぅ…」  
まどろんだ瞳を開いたタママは、至近距離でモアと見つめあった  
かつては視線を合わせることさえ苦痛だったというのに、今はどうした事だろうか  
だが、現在のタママにそんなことは問題ではなかった  
体を起こしたモアは壁に背を着けると、タママが胸を攻めやすい体勢を取る  
タママが体に跨る形になり、それはまるで母親が乳飲み子に乳を与えているかのような光景だった  
「きもちいいですよ…タママ……さん…っ」  
「じゃあ…こっちはどうですぅ?」  
「んっ…」  
くにくにと乳首をこねるように愛撫され、モアはくすぐったい快感を感じた  
その快感は喘ぎとなってモアの口から奏でられたが、今度はタママが奏でる番だ  
次にタママがごろりと寝転び、四つん這いになったモアが上からのしかかるような姿勢となった  
「さ、今度は私の番ですよ…」  
「一体何をするんですぅ?」  
「今にわかりますよ…♪」  
言うが早いか、モアは自らの体をタママの体に押し付け、ゆっくりと前後運動を開始した  
その都度、タママの体にはモアの乳房・腹部・陰部が擦り付けられていく  
この柔らかな感触には、先ほど手コキで達したばかりのタママでも堪らない  
汗やシャワーが潤滑油の役割を果たし、擦れるたびに2人の肌の間で、ぐちゅぐちゅと淫らな水音が響いた  
「はぁ…これ、結構いい感じ…ですぅ」  
「気に入っていただけてモアも嬉しいです…でも」  
「?」  
いきなりモアの温もりが消え、タママは上体を起こした  
そこではふたたび寝転んだモアが、こちらを物欲しそうな目で見ている  
「でも、そろそろこちらでもいいでしょうか?」  
「…っっ」  
「あの…タママさんって、もしかして女の人のを見るのは初めてなんですか?」  
「あっ、当たり前ですぅ!」  
「それなら私も同じです。タママさんは心配なさらなくても大丈夫ですので…さぁ、どうぞ……」  
既にモアは足の力を抜いており、いつでも受け入れOKの姿勢で待機している  
心臓が爆発しそうなぐらいにドキドキしながら、そっとタママはモアの脚を開いていった  
今までの行為でタママは陰部への攻めを行っていなかったのだが、それでもそこはとろとろに濡れていた  
僅かに生えた陰毛と、ひくつきながら蜜を垂れ流す、まだ汚れを知らない蕾  
自らの唾さえ飲み込めぬほどに渇いた喉もそのままに、タママはゆっくりと接近を試みた  
 
ぎこちない手付きで柔肉を押し広げると、桃色の襞と膣口が顔を見せる  
くぱぁ…と開いた状態のまま、タママは陰部に指を伝わせた  
その感触はまるで暖かな泥土のようで、指先にはねっとりとした愛液が絡みつく  
初めて目にする女体の淫核を興味深げに凝視するタママだが、モアは弄られるたびに身を捩じらせていた  
「んっ………あぁ……」  
触れれば触れるほど潤うその箇所に対し、次にタママは軽く口で触れてみる  
すると、先程までとはまた違ったモアの反応が見て取れた  
好奇心を芽吹かせたタママは、思い切ってモアの割目に口を付けると、強引に啜り始めた  
「ひぁっ!た、タママさ…そこッ…」  
「っく…ん………ん…ん……」  
「駄目です…そんなところに舌を…っ……う…あっ…!!」  
柔肉を押しのけ、もっと奥へ進もうとするタママの舌  
途中で薄い膜のようなものに阻まれたが、それでも届く範囲でモアの内部を蹂躙していく  
徐々に絶頂へと突き上げられていく中で、モアは今までに感じた事の無いような快感に犯されていた  
何かが自分の体の奥底から押し上げてくるような、とても切迫した巨大な感覚  
やがてそれは絶頂となって彼女の体を駆け巡り、あっという間にその視界を真っ白に染め上げてしまった  
「――――――ッッッッ!!!!」  
「っ……!?」  
大きく体を仰け反らせたと同時に、塞がれていたモアの花弁から濃厚な密が溢れ出る  
潮となって吹き出たそれに驚いたタママは、口を離すとその淫らな光景を呆然と見つめた  
「あっ!ああああっ!!ああっ!………ぁ……あ…」  
「…イっちゃった…ですぅ?」  
「ぁ………う…ぅ…」  
男女間の交わりで初めて達し、モアは快楽の余韻に酔っていた  
どうにか呼吸を整えて意識を持ち直したところで、彼女は蕩けた笑顔でタママに囁いた  
「タママさん…はぁ……っ…こちらに挿入して…下さい…」  
「こ、ここでいいですか…?」  
「はい………私はまだ…処女ですけど…タママさんは構わずに、私を楽しんでほしいんです…てゆーか……処女…開通……?」  
「…そういうことなら僕だってまだドーテーですぅ」  
赤面しつつそう返答したタママは、モアの秘所へ自身を宛がうと、ゆっくりと腰を沈め始めた  
ぬるりとタママの陰茎がモアへと食い込むが、半分ほど進んだところで処女膜に足止めを食らった  
しかしモアは自らタママの背に手を回し、喜んで迎え入れる意思を示している  
覚悟を決したタママは、体重を掛けて一気に奥へと押し込んだ  
「ぐっ…ぁ…!!…!…あうぅッ!!」  
ぴったりと押し付けられた、モアとタママの腰と腰  
繋ぎ目からは彼女が女となった証が垂れ、紅い筋となって流れていく  
モアは破瓜の痛みで、タママは膣内の快感で、それぞれ身動きを取ることができない  
2人はしばらく言葉も交わせぬまま、抱き合った姿勢の状態を余儀なくされるのだった  
 
(思ったほどでは無かったですけど、やっぱり痛いものは……痛い…ですね…)  
交わりを成して幾分かした頃、なんとかモアは落ち着きを取り戻しつつあった  
破瓜に対してそれなりに覚悟はしていたようだが、膣内にじくじくと燻る痛みに涙を流している  
呼吸を整えながら顔を上げた彼女は、顔を真赤にして踏ん張っているタママの様子に気付いた  
さっきから開通の痛みでモアの膣内は激しく締め付けてきており、射精してしまわないようにとタママは耐えていたのだ  
必死に頑張っているタママを見たモアは、彼の額にそっとキスをする  
「ふぇ…?」  
「もう大丈夫ですよ、タママさん」  
「これって…もう挿入ってるですぅ?」  
「はい。私のおなかの中が…タママさんでいっぱいになってますよ」  
「…気持ちいい、ですぅ」  
「ありがとうございます♪」  
「えっと、それじゃあ…もうそろそろ動いていい…ですか?」  
「出来ればゆっくり目で、お願いします…」  
「了解ですぅ」  
互いに恥ずかしがりながら行われる、初々しい会話の数々  
この2人を見て、ほんの数日前までは敵対関係だったなどと、誰が信じられるであろうか  
タママはモアの様子を伺いながら、スローペースで動き出した  
愛液が糸を引き、腰を戻すたびにぬちゃぬちゃとするが、もはや2人にとっては慣れた音だ  
ぴりつく痛みと若干の気持ちよさを感じつつ、モアもまた腰を動かした  
「だいぶ…痛みは引いてきたみたいですね…」  
「はぁ…んっ……う…」  
「タママさんのが…奥まで届いてるのが……よく解ります」  
「ん…いい……っ…」  
モアは大きく息を吐き出しながら、窮屈になり過ぎないようにと力を抜いてタママを迎えていた  
そうしているうちに自然と動作は速さを増し、2人の言葉も快楽の前にまどろんでいく  
"夢見心地"  
今の2人の思考を表すのなら、この言葉が最も適当だろう  
「ボク…もう、ダメかもしんない…ですぅ」  
「んんっ……はぁ…あ……あ…」  
「そろそろ…で…出ちゃう、かも……」  
「…私も、おおかた楽になってきましたので…いくらか乱暴になさっても……っ…宜しいかと……」  
「ッッ…う……ああっ!」  
ついさっきまで射精寸前に追い詰められていたこともあってか、タママは急かし気味にスパートを掛けた  
この攻勢にモアは戸惑ったが、それらの思いは快楽によって押し流されていく  
徐々に増していく高揚感と快感に押され、タママはモアに自ら口付けを交わした  
全てがひとつになった2人は来るべき瞬間に向かい、ひたすら深い繋がりを求め続けた  
その間隙の最中、子宮口を強く突かれたモアは一際大きく震えると、弓なりに体を引き攣らせる  
タママが限界に達し、抑え込んでいた白濁を吐き出したのは、それとほぼ同時の瞬間であった  
「くッ!…あああああああああああッッ!!!」  
「っっ…―――!!あ…ぁあ……あ…!…あ……!!」  
意識を手放しそうになりながらも、二人はお互いを強く抱きしめ合った  
隙間無く密着していたため、モアの子宮にはタママの熱が直接的に注がれていく…  
全てが吐き出された後も、タママとモアはひとつのままで居続けたのだった  
 
モアとタママの共同生活、三日目の夕方  
この日は日向家を留守にしていた冬樹たちと、基地を留守にしていたケロロたちが帰ってくる日である  
一方の道からは、久しぶりに家族水入らずの時間を過ごすことができた日向家一行が見えた  
「…でも、軍曹たちは一体どうしているのかな?」  
「ケロちゃん達には、ちょっと悪い事をしちゃったかもね」  
「私はモアちゃんが心配だわ。ボケガエルがおかしなことをしてなきゃいいけど…!」  
そしてもう一方の道からは、土産物などを抱えたケロロたちがやって来た  
「にしてもさぁ、あーいうお水の娘に働いている理由を聞くなんて、ドロロもほんとKYでありますなぁ」  
「…そのことはもう止めて欲しいでござる……拙者、深く反省しているでござるゆえ…」  
「ギロロ先輩、指名しといて放置ってのはルール違反じゃねェのかい?…クククク」  
「黙れ!つくづく俺はああいう歓楽街や店は好かんのだ!」  
どうやらどちらのグループも、十分にこの数日間を楽しんできたようだ  
しかし、互いに家を空けていた事については冒頭でも触れたとおり、どちらも知らない訳である  
玄関に差し掛かったところで2つの団体は邂逅を果たしたが、もちろん混乱が起きるわけであり…  
「あれ?軍曹、どこかに旅行に行ってたの?」  
「そう言う冬樹殿こそ、どこかに出かけていたでありますか?」  
「モアちゃんから聞いてないの?私たちは3日前からお婆ちゃんちにいたのよ?」  
「そんな事は聞いとらんぞ。というか、俺たちも3日前から軍の行事で日向家を発っていたんだが…」  
「あらら、それじゃあモアちゃん1人を残してきたって事になるわね」  
「ククク…そういえば俺たちも、基地にタマちゃんを残留させてきたんだっけな」  
「「…え?」」  
無論、タママとモアが犬猿の仲であることは、ここにいる全ての関係者が知っている  
あの相反する2人が、2日あまりも一つ屋根の下で過ごしていたとすると…  
とんでもない状況になっているのではと思ったケロロと夏美は、急いで家へと駆け込んだ  
「タママ二等!早まっちゃダメであります!」  
「モアちゃん!ちょっと大丈夫!?」  
…と、ここでリビングに飛び込んだ2人が見たのは、一緒にゲームで遊んでいるタママとモアの楽しげな姿であった  
「あっ、みなさんおかえりなさい!てゆーか呉越同舟?」  
「軍曹さん、おかえりですぅ!」  
「あ…あれ?」  
予想を大きく外れ、和気藹々としていた両人に眼を丸くするケロロ  
夏美も同様の反応を見せているが、タママとモアはお構いなしに行動を続ける  
「そういえばもう夕暮れ時でしたね。タママさん、お夕飯の準備は出来ていますか?」  
「下準備はバッチリですから、あとは僕たちで盛り合わせればオッケーですぅ♪」  
「ではみなさんもお疲れでしょうから、用意は私たちだけでやっておきますね。てゆーか共同作業?」  
「それじゃあ軍曹さんもナッチーも、そっちで待ってて下さいですぅ」  
「…………どゆこと?」  
「…………あの2人って、あんなに仲が良かったっけ?」  
タママとモアを尻目に、ケロロと夏美はまったくもって状況が飲み込めずにいた  
恐らくはタママとモア自身も、互いの心境の変化には気付いていないのかもしれない  
だが、確実に…それでいて根本的な何かが、2人の中で変わっていることだけは確かなようである  
 
 
 
【THE・END】  
 
 
 
 
 
「…ところでタママ、録画は標準でやってくれないと画質がダメダメになっちゃうのに、何でよりによって3倍形式で録っちゃってるんでありますか!」  
「え〜?僕よくわかんないですぅ(テヘッ☆)」  
「おいタママ、なんだこの磨き方は!武器の整備に手を抜くということは、戦場で命取りとなるのだぞ!」  
「え〜?僕よくわかんないですぅ(ウゼぇ…)」  
「ククク…ま、一応合格って事にしといてやるよ。次に点検を頼む時にゃ、もっと面白いことにしてやるからな」  
「う…遠慮しとくですぅ」  
「それでタママ君、花壇の世話はちゃんとしてくれたでござるか?」  
「…………………………………………………………………………………………あ」  
 

テレワークならECナビ Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!
無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 海外旅行保険が無料! 海外ホテル