ばさ、という軽い布ずれの音で、ギロロは目を覚ました。  
視界の端で、何かが揺れる。  
思考が遅れた頭を動かすと、狭い自室の入り口に屈み込んで、彼女がこっちを見つめていた。  
 
 
 
夢のしずく  
 
 
 
月影が照らす深夜の日向家は静まり返っていた。  
桃華の家に遊びに行き、豪華なベットで寝たいと駄々をこねたケロロと、どさくさで付き合うこととなった冬樹とモアがいない、というだけで、周りの寂しさがいっそう引き立つ。  
無論、秋も徹夜のため帰っては来ない。  
数少ない残りの住民も、既に床について・・・いた、はずだった。  
 
 
「・・・?」  
カサカサ、と庭の草が擦れる音がした。  
サンダルのような、底の軽い靴が石ころを踏みつけているようだ。  
直後、唐突に赤いテントの垂れ布がめくられ、冷たい風が中の主に容赦なく襲いかかる。  
ぼんやりと暗い視界の中、ギロロは丸まっていた毛布を跳ね除け、左手を枕元の銃に手を伸ばしながら、入ってきた人物を見とめて・・・絶句した。  
 
「なっ・・・夏、美・・・?」  
 
いやそれはまさしく。実はギロロが就寝前に思いを馳せていた―――というか、アレコレと妄想していた、その人で。  
薄オレンジの長袖パジャマ一枚という、この時期にしては寒すぎるのではと言いたくなる格好で、じっと目の前の赤い宇宙人を見つめていた。  
無言で見つめ返せば、何を言い出すでもなく、じりじりと四つん這いのまま近寄って来る。  
興奮やら感動やら、色んな意味で、ギロロの体温が一気に上昇した。  
「・・・夏美?こんな夜更けに、一体どうし―――」  
 
 
言葉は一瞬で遮られた。  
理解が現実に追いついた時には、視界の全てが夏美の顔で埋まっている。  
頬を両手で挟まれ。柔らかく暖かい温度が口を塞ぎ。  
何秒だか分からない刻の後、ゆっくりと唇は離された。  
 
 
「ちょッ・・・な、なつ、みッ!?」  
突然の出来事に動揺し、ギロロが慌てて口を抑えると、たった今、目前の相手のファーストキスを奪ったばかりの夏美が、その腕を引っぺがして再び顔を寄せた。  
後ろの棚に寄りかかせられ、半分夏美押し倒された体勢に、ギロロが情けない悲鳴を上げる。  
ぼーっとしたような潤んだ瞳が、大きな半月眼を見据え、やがて囁いた。  
 
 
「ねぇ・・・アレ、しよっか」  
 
「!はあぁぁぁっ!?」  
言葉の意味を瞬時に察したギロロが素っ頓狂な声を上げ―――否、それも途中から叫びに変わった。  
投げ出していた足を手前に引かれ、ずるっと滑って仰向けに寝転がされた身体の上に、夏美が覆いかぶさる。  
胸元に手を伸ばし、あたかも素肌を見せ付けるかのようにいくつかボタンを外した。  
「・・・っ!バカなことは止めろ!」  
「いやよ」  
「いや、じゃない!」  
払いのけようと抵抗するも腕を押さえつけられ、身動きのとれぬまま、キツい視線のみを向けた。  
「ここ、アンタたちにもあるんでしょ・・・?ね、気持ちよくしてあげるから・・・?」  
「・・・おい!」  
ギロロの声を無視し、するり、と白い腹を撫で、ベルトの冷たい金属部分を上にずらす。  
普段はつるっとして素っ気無い下腹部に手を添え、脚の間の一点を引っ掻くように刺激すると、一瞬ビクリと深紅の四肢が跳ねた。  
己の意思に反して従順に、じわじわと熱いものが集中してくる感覚に、またもやギロロが叫んだ。  
「や・・・止めろッ、夏美!それ、は・・・マズい・・・・・・!」  
「何で?」  
「何っ・・・あ、当たり前だろう!何でこんなところで、お前と性行為をしなきゃならんのだ!」  
「・・・」  
ぴた、と動きを止めた夏美に、ギロロはほっと胸を撫で下ろす。  
 
 
危ない。  
あやうく理性を失うところだった。  
ただでさえ、さっき夏美と、き、き、キ・・・だああああっ!どういうことだこれは!  
夢?・・・にしてはリアルすぎる。  
第一普段の夏美ならば、こんなことはするはずがない。何か変な薬でも飲んだのか?  
―――正直なところ、嫌な気はしないが・・・―――いや!ダメだダメだダメだ!いくら何でも、夏美と身体を重ねるというのは・・・っ!  
 
 
「―――そっか」  
納得したように一人、夏美が頷いた。  
微かに冷や汗をかいているギロロは、立ち上がる夏美の気配に、助かったとばかりに息を吐く。  
 
・・・が。  
 
 
不意に足元の床から身体が浮き、気づけばギロロは白い腕の中にいた。  
抱えたものをそのまま胸に押し込めて、バックでテントの外に這い出ると、どこか浮ついた足どりで日向家のリビングへと通じる窓のサッシを開ける。  
「ま、待て!どこへ、行くつもりだっ!?」  
「私の、部屋」  
「は」  
「だって・・・言ったでしょ・・・?『こんなところで』って」  
「・・・っ!」  
 
しまったと思っても後の祭り。  
反論しようとした口をも夏美に塞がれ。モゴモゴともがくままに、赤い影は二階へと拉致されていった。  
 
「ちょっと・・・ちょっと待て!夏美っ!!もし、こんなところをケロロたちに見つかったら・・・」  
「だ、か、ら!早く私の部屋に入らなきゃ・・・ね?」  
「うむむむ・・・」  
 
夏美はその高い身体能力を遺憾なく発揮して、約5.5kgのギロロを胸元に大切に抱いたまま、トントントン!という足取りも軽く、  
二階への階段を上がって行く。  
 
「はい、到着〜!」  
 
器用に自室のドアを開けて素早く入室した夏美は、茹で上げた蛸のように赤い上にも更に真っ赤になり果てているギロロを、まるでお気に入りの縫いぐるみのようにベッドの上にてんと据えて自分はそのすぐとなりに座った。  
その重みでベッドがへこんだせいで、ギロロの身体がペタリと夏美の腕にくっ付いてしまう。  
 
「な・・・夏美」  
「アンタさ・・・この星で女の子と仲良くするの、初めてなんでしょ?」  
「いや・・・それは・・・」  
「へえ!?じゃ、地球に来てから、経験あるんだ」  
「何を言う!俺は、お前の他にそんな!!」  
 
ついさっきまで狼狽する内心をそのまま映してうろうろと宙を彷徨っていたギロロの視線が、  
自分の顔を覗きこんでいる夏美の美しいガーネットの瞳の奥を、キリリッと射抜く。  
そう。ギロロにとって、夏美という存在は自分の命以上の存在なのだ。  
 
「ふうん・・・」  
 
そんな純情一途なケロン人の表情を確かめながら、夏美が意地悪く畳み掛ける。  
 
「私の他に・・・何?」  
「あ!!・・・いや、それはだな・・・」  
 
またまた“しまった!”と後悔するのも間に合わず、  
『戦場の赤い悪魔』の面影もなく最早借りてきた猫同然のギロロは、顔面ばかりか全身くまなく蛍光ピンクになってしまった。  
 
「アンタ、私の事が好きなのよね?」  
「おおお、おい!夏美!!さっきから一体、どうしたというのだ!?」  
「違うの?」  
「まさか・・・お前、クルルのヤツに妙な薬でも飲まされて・・・」  
 
先ほどから気になっていた疑問をとうとう口に出してしまったギロロを、今度は夏美が睨み付けた。  
 
「私は正気よ!」  
「ならば、何故、いきなりそんな・・・」  
「いいから!私の事が、好きか、嫌いか・・・答えなさい!!」  
 
夏美の口調は、何時も聞き慣れたケロロに悪巧みを白状させる時のそれそのままだったが、  
しかしその腕は、そっとそっとギロロの身体に絡み付き始めていた。  
 
「・・・俺と、お前は・・・、敵同士であってだな・・・」  
「じゃあ、私の事が嫌いなのね?」  
「いや!そういう・・・そういうわけでは・・・」  
「どっちなの?はっきりしなさい!!」  
 
夏美が正気を保った状態でここまで言うということは、ただ事ではない何かがあったのだと、ギロロは考えざるを得なかった。  
 
「す・・・好きだ・・・」  
「嬉しいっ!!」  
 
ギロロが、自分の身体を抱き寄せようとする夏美の白く細い腕を少しだけ押し退けて、  
見上げた夏美の目をしっかりと見据えながら大事な言葉を呟いた瞬間、その身体は、一瞬の内に夏美の胸元に抱き締められてしまった。  
 
「どうした・・・夏美。何があったんだ?」  
「別に・・・何も・・・」  
 
息苦しくなるほどの抱擁から解放されたギロロは、夏美の顔をもう一度見上げて慎重に尋ねるが、  
その愛しい女からの返事に嘘が混じっていることは明らかだった。  
 
「俺で力になれる事があるなら、何だってする・・・」  
「・・・」  
「俺では、力不足なのか?」  
「・・・ううん」  
 
プライドの高い夏美のことだ。何か余程言いたくない訳があるに違いない。  
ギロロは、大切な女の心を傷つけないように細心の注意を払いながら問題の核心を聞き出そうと試みる。  
 
「実は・・・」  
 
夏美は、再び抱き締め直したギロロの身体に覆い被さるように上半身をクイッと捻ったかと思うと、  
そのままギロロもろともベッドへと倒れ込んだ。  
二人の体重でボフッと押し潰された掛け布団から溢れだした夏美の匂いが、すぐにギロロの全身を柔らかく包んでいく。  
 
「おい・・・!?夏美」  
「あのね・・・。ううん・・・後で・・・」  
 
その理由を聞き返す暇も、今までに一度も感じた事のない大好きな女の濃い匂いを鼻腔に満たす暇も、ギロロにはなかった。  
夏美のほんのりと温かくて柔らかい唇が、自分の唇の全てを塞ぐように押し付けられてきたのだ。  
 
「んんっ・・・ん!?」  
 
そんな乱暴な口付けでこの自分の息を詰まらせている夏美が、着ていたトレーナーをもぞもぞと脱ぎ始めた事に気が付いたギロロは、  
一度は夏美の身体を押し退けようとしたものの、逆にその白い腕に再び優しく押さえ込まれてしまい、あっけなく抵抗を止めた。   
 
「ギロロ・・・」  
 
顔の前をトレーナーの襟が通る一瞬だけ切なくギロロの名を呼んだ夏美がぐいっと上げた腋に、冬の間は手入れをしないのか、  
ほんの一撮みほどの美しい緋色の腋毛が恥ずかしげに生えているのが先ずギロロの目に入り、一瞬置いてから、  
そこから漂ってくる濃い汗の匂いが、その鼻先を擽った。  
 
「!」  
 
ギロロがその恥ずかしい毛に気が付いた事に夏美もすぐに気が付いたが、しかし、それを更に見せ付けるように肘をぐっと張った夏美は、  
自らブラジャーを毟り取ると、その下から現われた年の割には発育の良いたわわな胸元をギロロの身体にふにふにと押し付け始める。  
 
「・・・夏美!本当に、どうしたんだ!?」  
 
息が続かなくなったギロロが必死に腕を突っ張って何とか夏美の上半身を起こしたものの、そのままベッドから起き上がった夏美は、  
今度はハーフパンツとパンティーをもどかしそうに脱ぎ捨ててベッドの上に上がって膝立ちになると、  
一瞬置いて、その両方の膝小僧の距離をぐっと広げた。  
 
「お!おまえ!!」  
 
ベッドに仰向けに寝そべったままのギロロとしては、両の瞼をしっかりと閉じなければならないのだという事はわかってはいるが、  
しかし、その大きな釣り目は、初めて間近に見上げる地球人の、  
それも好きで好きで仕方がない女の豊かな乳肉と秘密の部分の真実を確かめたいという誘惑にはどうしても抗えなかった。  
 
「初めて見るんでしょ?女の子の、ここ」  
「・・・」  
 
そこに視線を集中させて絶句し続けるギロロに、夏美は自らの指先で、熱く潤み始めている自らの秘花をそっと開いて見せ付ける。  
 
「いやだ・・・。もう・・・こんなになってる・・・」  
 
淫蜜がヌルリと指先に絡み付く感触に、夏美は、ふぅ・・・と小さく艶かしい溜め息を一つつくと、  
その濡れ光る指先をギロロの唇にきゅっと軽く捻じ込んだ。  
 
「ここも、ここも・・・、全部アンタのものよ・・・」  
 
ギロロが淫蜜をすっかり舐めとったのを確認した夏美は指をそっと引き抜き、その指先を再び淫花に差し込みながら、  
もう一方の掌で自らの乳房を弄び始める。  
 
もう、限界だった。  
 
ベッドの上にすっくと立ち上がったギロロは、甘い熱に潤む夏美のガーネットの瞳をじっと見詰めたかと思うと、次の瞬間、  
自分の全身を静かに夏美の身体にぐいっとばかり全て預け、それを合図に夏美はすっと腰を落として、  
二人は共々、ベッドの上に倒れ込むようにして寝転がった。  
 
「あっ・・・」  
「むぐ・・・」  
 
上手い具合にギロロを組み敷いた夏美は、その両頬を掌で挟むようにして固定すると、その唇を乱暴に奪いに掛かる。  
だが、あっという間に、自分から押し付けた唇の隙間から侵入したギロロの舌先に、前歯の表面をなぞられてしまう。  
 
「はぁ・・・」  
「んッ!」  
 
そんな夏美の筋肉質の背中に腕に回してきゅっと抱き締めたギロロは、  
そのまま寝返りを打つようにして愛しい地球人の身体に圧し掛かると、唇を出発点にして、頬、耳、首筋・・・、と、  
その若い肌をしっとりと光らせる汗を舐めとるようにしながら舌先を縦横に這わせ始めた。  
 
「ああ・・・」  
 
その唇に喉仏をしゃぶられ、鎖骨を舌先でなぞられる夏美の口元から熱い喘ぎが漏れ始めるが、  
更にギロロは、先ほど迂闊にも思わず意識してしまった縮れ毛に濃い汗が絡んでいる夏美の腋を露わにすると、  
そこに顔を埋め、ショリショリと舌先で毛を掻き分けてはそのコクのある塩味を夢中で吸い取りながら、  
片方の手で、まだ芯に硬さが残っている豊かな乳房を鷲掴みに握り潰しては、その赤くし凝り尖る天辺をクリクリと摘み上げる。  
 
「あッ!ああん!!」  
 
頭の位置を胸元に移して掌と唇で本格的に両の乳房を攻め立て始めたギロロの頭を、  
夏美の掌が、そこへと更にグイグイと押し付けては愛しげに掻き毟るように撫で回す。  
 
「いいか?」  
「・・・」  
 
胸元から一旦顔を上げて、  
地球の女戦士の鍛え抜かれた腹筋の上に追いた手を、その臍の先へと前進させる了解をとろうとする生真面目な異星の戦士に、  
夏美は返事をする代わり、ほんの少しだけ両足の間をそっと開けてみせた。  
 
「触るぞ・・・」  
「ひゃッ!」  
 
もう既に十分濡れそぼっている夏美の秘所は、ギロロの優しい指使いに感度よく反応し、  
夏美は、あっという間に、熱く甘く息を弾ませながら切なげに腰をくねらせるまでに追い詰められてしまう。  
 
「どうだ?」  
「はぁ・・・、はぁ・・・」  
 
この自分の淫液に塗れた秘花を、ぎこちなく、だがとても優しく弄り続けるギロロからの問い掛けに、  
地球の女戦士は、ぐっと上げた顎先を複雑に振り立てながら、まだ降参はしないという意向を何とか伝える。  
 
「力を・・・抜いてみろ・・・」  
 
ふわっと外側へと緩んだ夏美の両膝の先を、ギロロがゆっくりと両側へ開いていく。  
 
「ああッ・・・」  
 
夏美が、開ききった股間の感覚に恥ずかしげな吐息を漏らせば、ギロロの前に露わになったその女の中心は、  
今までに漏れ溢れさせた淫液によって秘色の縮れ毛が張り付いた大きな花びらに縁取られて、  
若い雌の匂いをぷんぷんと艶かしく漂い昇らせながら、真っ赤に腫れてヒクついてはヌルヌルと妖しく光っていた。  
 
「ひ・・・ッ、あ・・・、ああ・・・」  
 
そこに纏わり付く淫蜜を全てくまなく舐めとられた上に、  
硬く深紅に痼り起つ秘芽までも舌先で絡めとられそうになった挙げ句、  
それを執拗に吸い立てられてしまった夏美は、両太股でギロロの頭をぎゅっと挟みつけながら、  
自分の両の乳房を捏ねるように揉んでは腰をくねらせて、途切れ途切れの嬌声を上げるのが精一杯だった。  
 
「いくぞ!」  
 
頃合いも良しと見たギロロが、再びそっと押し開いた夏美の股座の前で膝立ちになり、  
夏美の両の太股の付け根近くを下から支えるように持ち上げてその腰の位置を調節すると、  
既に下腹部から姿を現して逞しく脈打ちながらいきり立っている自らの牡を、  
それを待ち侘びるかのように淫蜜を溢れさせながらヒクついている肉穴に一息に差し入れ、そのまま腰をグイと押し付けた。  
 
「あう・・・ッ!!」  
 
のたうつようにくねる夏美の細い腰を、優しく、だががっしりと両手で押さえつつ、  
ギロロは、その凶暴なまでに張り詰めた先端で、  
ドロドロと熱く蕩けながらまるで一個の独立した生き物のように複雑に締め付けては蠢き廻るその襞肉を、  
今度は浅く、次は深く、と緩急も自在に押し遣っては引き付けながら慎重に探り、  
「ここ」と見当を付けた所を、プチュ、クチャッ、と淫靡な水音を立てながら容赦なく突き、捏ね、抉りまわしていく。  
 
「あ・・・、・・・ッ!ひ・・・、あ・・・ッ、ああッ!」  
 
夏美は、厭らしい濃い桜色に染め上げた全身の肌にキラキラと汗を浮かせ、  
息を継げぬほどキリキリと締め上げるような全身の筋肉の気持ちの良い強張りにその細い喉元を詰まらせて、  
身体を細かく震わせながらも只ひたすらにその腰をギロロの動きに必死に合わせ続ける。  
 
「うッ!んッ!くう・・・ッ!!んんッ!!うあッッ!!」  
「あ・・・!ああ・・・、あ・・・ッ!ああッ!!ああああッッッ!!!」  
 
胸元を合わせた一頻りのパン!パン!パン!パン!という激しい腰の打ち付け合いが納まると同時に、  
夏美は、両の乳房の間に埋まっているギロロの頭をを抱き締めながら、その腰を何度も何度もびくんびくんと大きく痙攣させた。  
 
「ごめんね、ギロロ・・・。いきなりびっくりしたでしょ?」  
「い・・・いや。俺の方こそ、我慢出来ずに、すまなかった・・・」  
「ううん。いいの・・・」  
 
ベッドの上でしばし呆けていた二人は、お互いのさっきの狂乱振りを思い出して、苦笑いを交し合った。  
 
「で、お前、何か気にかかる事があるんだろ?話してみろ」  
「でも・・・」  
「大丈夫だ!俺たちはもう、他人じゃないんだからな」  
「ギロロ・・・」  
 
ギロロに優しく促され、夏美は恥ずかしそうに話し始めた。  
 
「あのね、アンタたちに借りてる『パワードスーツ』なんだけど・・・」  
 
聞いてみれば、パワードスーツを装着すると、決まってその数時間から数日後に“とてもHな気持ち”になってしまうのだそうだ。  
そういえば、夏美は先日、サブローと小雪の仲を疑って、ギロロが渡した強化型のパワードスーツを起動させてしまっていたのだった。  
 
『なるほどな・・・』  
『でも、パワードスーツは、ボケガエルたちの悪巧みを止めるのにこれからも必要だから使わない訳にも返す訳にはいかないのよ・・・』  
『それは・・・』  
『でもね、こんなことボケガエルたちに知られたら、とくにクルルに分かっちゃったら何されるか分かったもんじゃないわ。  
何とか、ギロロの力で、パワードスーツを着てもヘンな気持ちにならないように出来ないかな・・・?』  
『う〜む・・・』  
 
「おいおい隊長、どうするよ・・・」  
「夏美殿とギロロが・・・。こりゃあ困ったでありますな・・・」  
 
クルルズラボでは、モニター画面に映し出されていた夏美の部屋のベッドの上での一部始終を観察していたケロロばかりか、  
クルルまでもが困り果てていた。  
 
「実はよぉ・・・」  
「どうしたでありますか?」  
「この画像、本部の『日向夏美ファンクラブ』のゴールド会員向け特典用にと思って、今、音声付で録画してるんだが・・・」  
「な!なんですと!!すぐにレコーダーを止めるであります!早く早く!!」  
「ま、それが賢明だろうな・・・」  
 
ラボの中の二人の意見は早々に一致したが、しかし・・・  
 
『ね、ギロロ。お願い!』  
『だが、パワードスーツは一応我が軍の制式装備なのだ。それに地球人用のチューンアップを施すというのは・・・』  
『え〜!私の事、好きなんでしょ?』  
『うっ!』  
『だったら、いいじゃないの?ね!お、ね、が、い、よ!ギロロッ!』  
『うむむむ・・・』  
 
モニター画面の中では、もう一度身体を重ねようとギロロと夏美が互いに腕を絡め合い始めていたが、  
残念ながら、その意見と立場は依然として食い違ったままなのであった。  
 
END  
 

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