エロ本。18歳未満の所有、閲覧は禁止されている。  
それが、何故弟の部屋にあったかは分からない。ただ、偶然にも見つけてしまった。  
そして疼く好奇心を抑えきれず、気付いた時にはしっかりとその内容が脳に焼き付いて離れない。  
 
冬樹の部屋に勝手に入った事がまずよくなかった。  
はさみを借りるという些細な理由でも、家族間のプライバシーというものは大切だとしみじみ思う。  
文房具なら机の一番取り出しやすい引き出しに入れているものという偏見は間違いではなかったのだが、同時に何かを一時的に隠し、忘れてしまう場所でもあったようだ。  
引き出しを開けた途端に、どーん。と見せられたのは平面に描かれた女の子。  
前かがみのポーズに、両手を自らの股間にあて、頬は羞恥色に塗られ、口から唾液を垂らす、濃厚に塗られたイラストはいやらしさ満点だった。  
家族として、すぐに見なかった事にするのが一番良い対処なのだが、夏美の好奇心と外出したばかりの弟の帰宅時間の想定が『見てから見なかった事にしよう』という悪魔の囁きを支援した。  
開いてみればそれは漫画の短編集のようなもの。  
一人の部屋。誰もいない。えっちな事しても・・・ばれないよね?もし自分の大事なトコロを触られたら・・・。  
あ、あぁん。なんか自分で弄ったら気持ちいいよぉ。手が止まらない・・・!もっと気持ち良くなるには・・・あぁぁぁ!ココ弄ると気持ちいい!  
ぁ!お兄ちゃん勝手に部屋に入らな──えっちな事してるのバレちゃったぁ・・・でも、もう気持ちいいの止められないよぅ。  
ねぇお兄ちゃん、なんだかもっこりしてるよ?あ、お兄ちゃんもしかして・・・。ねぇ、お兄ちゃん私と───  
 
「夏美?居るのか?」  
「ななななにギロロ!?」  
 
突然の呼びかけに光の速さで本を元に戻す。片付けた直後、手には何も持っていないが、なんとなく背中で手を揉み解す。  
焼き芋の誘いに「た、食べる食べる」と応じてギロロより先に縁側に向かう。  
「・・・冬樹の部屋で何をしていたんだ?」「ち、ちょっとはさみを借りただけよ」「・・・そうか」となんだか挙動不審の夏美にとりあえずの形でギロロは納得。  
その後は1人と1匹縁側に並んでもぐもぐと焼き芋の甘さを堪能した。  
 
その日から、夏美は自分を慰める夜が始まる。  
あの漫画の女の子の痴態を見てからというもの、夜、ベッドに入ると、秘部に手を伸ばしてしまう。  
はじめは少し下着越しに擦るだけ。次の日は指先でクリクリと。その次の日は──。  
誰に犯されているだのの妄想は特にない。ただ、自身が誰にも言えないような事をしている背徳感。それでも手を伸ばしてしまう体の疼き。  
そんな淫らな自分に興奮して濡らしていたのかもしれない。  
慰めて、気付いたら腰を自らほんの少し浮かしていたり、そしてそれがこの快感をさらに高めてくれる事も発見した。  
快感を高めて、高めて、高めて・・・・・疼く体をベッドに丸めて朝を迎える日々。  
 
「クーックックック。今夜もオナニーか」  
 
大画面に映し出されるもぞもぞと動く毛布。枕に乗せた頭も映る表情は寝る前の余興に浸っている。  
クルルのラボではその映像が生中継されていた。  
日向家に取り付けた隠しカメラも、いつしかどんどん追加されていった。  
暇だし風呂でも覗くか。夏美の体が成長しているな、データでも取っておこう。着替えも覗いてブラジャーのサイズでもチェックするか。  
なんだ日に焼けた肌も結構綺麗だな。覗かれてるとも知らずなんとまぁ無邪気な寝顔。ローアングルもまた堪らないな。ついでにここにもつけとくか。  
気付けば机の上、枕の近く、床から天井への斜め目線と夏美の部屋のカメラだけが必要以上に増えていった。  
思春期かコノヤロー。と自分で自分に突っ込む。そんな自分の苛立ちをこの女が悪い。と八つ当たりに思っていた矢先のオナニー映像。  
───これ、イってんのか?  
ふとした疑問。やり始めの頃よりは腰を少し上げたりしてまぁ気持ちいいのだろうが、それにしてもオナニーの時間が短い。  
当人の体感では長く感じるのかもしれないが、実際3分としていない。  
しばらく思考して、腹の底が笑う。イイ事教えてやろうじゃないか。と。  
 
次の日。アンチバリアで見えなくなった状態でクルルはある物を持って夏美の部屋に潜む。  
夏美はいつものように一頻勉強に勤しむと、ベッドに腹ばいになり何やら雑誌を読み、あくびが出た所で電気を消して布団に潜り込んだ。  
布団に入ってから自慰行為に至るまでにしばしの時間があるのは、少女の理性と本能の葛藤。  
やがて本能が勝ると、横に向き直りもぞもぞもぞもぞ。  
──さて。楽しませてくれよ。  
事前に部屋から音が漏れないバリアを張った今、準備は完了している。  
手に持っているのは、スイッチをオンにするとちょっぴり煩い振動音を立ててぶるぶる震えるアレ。  
 
「お楽しみだな」  
「へ? え、えぇ!? ちょ、ななななな」  
 
突然の出現に目を丸くし、途端顔を真っ赤になる夏美。  
とりあえず飛び起きベッドに座るが、クルルとより多く距離をとるため壁に背中をくっつける。  
一呼吸置いて「何しにきたのよ。覗きなんて悪趣味よ」とは言うが真っ最中だった彼女の未だ朱に染まっている顔には特に凄みもない。  
さらに事前に拘束用として待機させていたニョロロに合図を送る。ひょこり、と姿を見せたニョロロに夏美に嫌な予感を過ぎらせる。  
 
「まさか・・・──いやぁぁぁぁ!」  
 
夏美は抵抗から逃亡への作戦変更も虚しく、後ろ手にされ足を引っ張られバランスを崩す。  
うつ伏せで足元にいるついでとばかりに下半身を露出させられる。  
即座に使命をまっとうし、想像以上の働きのニョロロに満足するクルル。  
お尻をよく観察できる位置に移動すると彼はアレのスイッチをオンにした。  
ヴヴヴヴヴヴという変な音に、驚き振り向こうとするがうつ伏せではなかなか首の自由がきかない。  
 
「な、何よソレ! 今なら許してあげるからやめ──」  
「上から言える状況じゃねーだろ淫乱女。クーックックックク」  
「い、淫乱じゃ──っ!」  
「オナニーでこんなに濡れてやがる。何想像してたんだかな」  
 
尻を上げさせて性器に触れやすい体制にさせて、さっそくそこに触れると愛液が手につく。  
誰を想像していたか予想は出来るがそれが妙に頭にくる。苛立ちついでに先ほどからヴヴヴと煩いやつを性器にあてる。  
ビクッと夏美の体が驚く。  
 
「何──ぁん──っ! や・・・ぁ!」  
「淫乱には丁度いい玩具だろ?ククク」  
「やめ、てぇ・・・・・・あぁ・・・やっ・・・」  
「ここを自分で弄ってたんだろ?」  
 
クリトリスに強く押し付けると、夏美は一層高い声を上げた。  
びくびくと震える腰。初めての快感に体がついてきていないようだ。  
問いかけに否定しないのは肯定の意。否定したとしても事実だ。  
今、クルルの力加減一つで彼女は微弱の振動に足を震わせ、大きな波に体を反らせる。  
──なんか楽しくねぇ?  
おもむろにスイッチを『強』にする。  
 
「ふぇぁ! ──あぁ! はぁ、んっ! あ、あぁぁぁぁぁぁ!!」  
 
動ける範囲を腰が逃げ回る。  
勿論たいした移動が出来ないその場所を逃がすはずもなく、動きに合わせて玩具もついてまわる。  
 
「おねが──っ! だ、めぇ! 変、なる──っ、ぁぁ!」  
「ほーれ、ほーれ」  
「やだぁ! もう、だ───ん、あ、あぁぁぁぁぁ!」  
 
──おもらし?いや、これが潮吹きってやつか。  
しつこくに攻めすぎた。予想以上にシーツの上に滴る水分を見るとちょっと焦る。  
大丈夫なのかコレ。一度スイッチをオフにする。  
びくん、びくんと最後の波を受けると夏美は息を整える事に専念していた。  
 
「は・・・ぁ、はぁ。くる、クルルぅー・・・あんた──」  
「なんだまだ元気だな。クーックックック」  
「え、ちょっと! 無理に決まって──!」  
 
──今絶対生意気な事口走ろうとしやがった。  
喋れるなら元気。そう断定してスイッチをオン。  
一度イって敏感になったクリトリスはもはや刺激が強かろうが弱かろうが関係なく、未知の快感を夏美に与える。  
勿論、強く的確な場所への刺激はそれ相応の快感となる。  
 
「あ・・・・はっ──だめ! も、だめ、だ、って──あぁ、はぁ! あぁぁぁ!」  
 
しばらくして、また、びくん、と大きく震え、掠れるような声が聞こえたのを機に、スイッチをオフにする。  
今度は何か言う様子がない。動かない。  
否、酸素を求めて肩が動いている。ニョロロが離れると布団に埋もれる。  
──気絶?  
まだ楽しむ予定だったのに。と手の玩具を持て余す。  
快楽に困惑する顔を見ておけばよかったと少々の後悔はあった。  
が、今度大きい玩具で処女喪失の痛みに耐える顔を見よう。その次は快楽に溺れていくのを堪能しよう。  
さらにその次は・・・──先の予定を考えてクルルは一頻いつもの笑いを木霊させた。  
笑い済んだらちょいちょいと汚れを始末して夏美を温かくして寝かせた。  
 
〜fin〜  

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