「ギニャー!」  
 深夜三時、日向家地下のケロロの部屋に悲鳴がこだました。  
 股間のぬめりと生臭い血液の臭いに違和感を感じたケロロがふと目覚めてみると、  
布団が血塗れになっていたのである。いくら軍人とは言え、平時の自分の出血には  
弱い様であった。辺りを見回しても怪我をする刃物等も無く、一体どこから出血  
しているのかすら判らない。痛みと言えば鈍く重い腹痛と腰痛程度しか感じられず、  
ケロロはうろたえながら腰にタオルを巻き、  
 「冬樹殿〜、夏美殿〜、助けてであります〜!」  
と二階まで急いで駆け上がり、二人を叩き起こした。  
 「ふあぁ〜、どうしたの軍曹…?」  
 「どうしたっていうのよボケガエル…、今何時だかわかってんの?」  
 二人が同時に部屋のドアを開けケロロを見下ろすと、床に点々と滴り落ちた血液が  
足跡の様に付着しており、冬樹はともかく夏美は何が起こっているのか瞬時に理解した。  
 「ちょ…ちょっとボケガエル、あんた雌だったの!?…冬樹、ここはあたしが何とか  
するから、あんたは早くコンビニでオムツ買って来て!」  
 「え?軍曹が雌って姉ちゃんどういう事?オムツって?」  
 「いいから早く!」  
 夏美に急かされ、着替えを早々に済ませた冬樹が玄関から出ると、夏美はケロロに  
 「あんた大丈夫?怪我じゃ無い事位判るわよ…。」  
と珍しく優しい口調で語り掛けた。  
 「オロロ〜ン!夏美殿〜!我輩何か重い病気でありますか!?助からないので  
ありますか〜!」  
 「馬鹿ね、あんたが雌なら病気じゃ無いわ。とにかく冬樹が帰って来るまであんたは  
自分の部屋に居なさい。あ、出来ればクルルにお腹を検査してもらってて。それまでに  
あたしは血を掃除しといてあげるから。」  
 「な、なんか夏美殿優しいでありますな…。もしや本当に我輩病気…?」  
 ケロロが涙ぐみながら夏美を見上げると、夏美は苦笑しつつ  
 「馬鹿ね、女なら毎月の事よ。あんたが雌になってたらだけどね。」  
とケロロの頭にそっと手を置いた。  
 
 ケロロはクルルを呼び、夏美が来るまでメディカル・チェックを受ける事になった。  
丁度クルルが趣味のネットサーフィンをしていた時間帯だったので、クルルはぶつくさ  
言いながら比較的早く体内スキャンを行った。  
 「ク〜クックック…隊長、ビンゴだぜぇ…!アンタ、子宮が出来ちまってる。  
おまけに目出度い事に、丁度月経とやらが始まっちまったみてぇだな…。」  
 「…と言う事は、我輩の小粒ながらピリリと辛いアレも無くなったのでありますか!?」  
 「ああ、そういうこった。俺様が何とか男に戻す為の道具を作ってやっても良いが、  
最低でも月経が終わってからじゃねぇと使えねぇ。俺達ケロン人でも男女の仕組みは  
厄介なんでね…ま、元に戻る迄女を満喫してみな。悪くねぇかもな…ク〜クックック…。」  
 クルルがいつもの陰険な笑い声を上げている最中に、血痕の掃除を終えた夏美がつかつかと  
やって来てクルルの頭をぶん殴り、踏み付けながら  
 「女の苦しみが判って無い様ね…!毎月大変なんだから!」  
と凄むと、クルルはもがきながら  
 「あ、済みません、やめてやめて。」  
等と言い、夏美の脚が頭から外れるとそそくさとラボに戻って行った。  
 「まったくもう…!それはそうとボケガエル、冬樹が帰って来る前にこれ飲んでおいて。」  
 「これは牛乳と…何の薬でありますか?」  
 「あたしが毎月飲んでる鎮痛剤よ。始まった頃に飲んどくと楽になるわ。先に牛乳で胃に  
膜を張って、後から水で飲むと胃もたれも防げるからね。朝食には御赤飯炊いてあげる。」  
 夏美が珍しくケロロに優しげに微笑みかけ、牛乳と鎮痛剤を手渡した。  
 「夏美殿、有難うであります…。」  
 「何よ、しおらしくなっちゃって!こんなのは女だったら毎月の事よ。一週間もすれば  
終わるから、心配する必要無いわ。」  
 「それと、オムツは何に使うのでありますか?」  
 「普通はナプキンとかタンポンとか使うんだけど、冬樹に買わせる訳にはいかないでしょ?  
朝になったらあたしがタンポン買って来てあげるから、今晩はオムツで代用すんのよ。それまで  
オムツで我慢して貰うわ。」  
 「…勉強になるであります。」  
 
 冬樹が購入してきたオムツを着けた後、何故かケロロは眠れずネットで性教育の情報を  
観ながら溜息を吐いた。  
 「夏美殿の言っていたナプキンとやらがオムツと同じ素材で外側で血液を吸収するのに、  
タンポンとやらは体内に埋め込むインプラント方式なのがちぃとも理解出来ないであります!  
大体アプリケーターって何よ!そんなモン入れる場所が…あ、今の我輩にはあったでありますな…。」  
等と股間をオムツ越しに擦りながら泣き言をブツブツとこぼしている。腹痛は夏美が渡した  
鎮痛剤が効いて多少治まってはいたが、出血する際のおぞましい感覚にケロロは泣きたくなっていた。  
 しかし月経時には性欲が湧き上がる事がある。ケロロは今、女の性欲の強さを自分自身の身体で  
実感していた。が、女になった自分の身体をどう扱って良いのか判らずムラムラと膨れ上がる  
欲求に自身で答える事が出来なかった。  
 
 「ボケガエル、調子はどう?」  
 夏美が多少心配そうに様子を覗きに来た頃、ケロロは鎮痛剤の効果が切れた状態で腹痛と腰痛に  
悩まされていた。  
 「な、夏美殿…痛いであります…!こんな痛み、夏美殿は毎月我慢してるのでありますか!?」  
 「あたしはそこまで酷くないけど、クラスには貧血で倒れる子もいるわねー。でも病気じゃないから  
皆頑張ってるわよ。そうそう、コンビニに行ってタンポン買って来たから。オムツやナプキンよりは  
目立たないわよ。使い方は説明書に書いてあるから、きちんと読んで使いなさい。きちんと出来たら  
朝御飯にするから、キッチンに来なさいよ。」  
 ケロロは夏美から渡された紙袋を開け、ジュニア用のアプリケーター付きタンポンを手に取った。  
 「ゲロ…こんな長いのを全部入れるのでありますか!?…何々、入る長さは大した事無さそう…。  
リラックスした体勢で挿入…ふむふむ。」  
 ケロロはガンプラの組み立て説明書を読む時と同じ位真剣に説明書を読み、風呂場に移動し  
バスチェアーに片足を掛けて挿入を試みた。  
 「えーっと、入口、入口…あった。ここにこう…深く…。ん!完璧であります!」  
 初めてにしては上手く装着が出来、ケロロは御満悦な表情で使用済みのオムツとアプリケーターを  
トイレの汚物入れに捨てた後、手を洗ってキッチンの席に着いた。  
 「ねえ、姉ちゃーん、朝から赤飯なんてどうしたの?何か記念日だったっけ?」  
 冬樹が能天気に質問したが、夏美とケロロが珍しくアイコンタクトを取りながら  
 「ん、まあ、そんなモンね。」  
 「そうそう冬樹殿、大した事では…。」  
と語尾を濁しながら答える事しか出来なかった。  
 
 「今日はガンプラも作りたくないでありますな…。」  
 ケロロがだるい身体で家事を済ませた後、自室でボンヤリと横たわってぐったりしていると、天井が  
一部開いてドロロが現れた。  
 「隊長殿、この部屋の血の臭いはどうしたでござる!拙者が日向家の近場まで来た時点から血液の臭いが  
漂って心配になって来てみれば、この部屋が最も臭いが濃密ではござらぬか!」  
 ドロロが慌てた様子で天井から降り、ケロロの元へ近寄って来た。ケロロはまさか自分が女になって  
月経を迎えてしまったとも言えず  
 「あー、ドロロ、これにはちょっと理由が…。」  
と口籠っていると、ドロロは何を勘違いしたのか  
 「怪我でござるか!?これ程の臭いだと深手ではござらぬか!拙者に傷口を見せて頂きたい!」  
と言いながらケロロににじり寄って行く。  
 その時ケロロのパソコンが自動的に立ち上がり、音声のみであったが陰湿な声が  
 「隊長さんは女になっちまったんだよ…雌の臭いがプンプンするだろぉ…。あんたが見たい傷口は  
両足おっ拡げさせりゃあ出てくるぜぇ…クーックックック…。」  
と『何か』を示唆せんばかりにスピーカーから流れ、ぷつりと切れた。  
 余りの衝撃に頭が真っ白になったドロロがケロロの両足を強引に開かせ確認すると、見覚えのある筈の  
器官が異性のそれへと変化しており、そこから捻れた一対の糸が垂れ下がっていた。  
 「ケ…ケロロ君、君本当に女になっちゃったの…!」  
 「いきなり変なトコ見るなー!触るなー!」  
 ケロロはジタバタと足掻いてドロロから逃れようとしたが、ドロロの腕にグッと力が込められ抗えなかった。  
 「ぼ、僕明るい場所で、こんなに間近で見るの初めてだよケロロ君…。」  
 「何いきなりカムアウトしてんだよ!我輩は元々は男だってば!はーなーせー!!」  
 ケロン人の女性器をくっきりはっきり見てしまったドロロが思考回路をショートさせ、口元でタンポンの  
糸を咥えて中身をゆっくりと引きずり出していく。ずるりとした感触がケロロを襲い、抜き取られる瞬間に  
 「あっ…。」  
と妙に色気のある声を上げてしまい、ドロロを加速させる引き金を引いてしまっていた。  
 
 「頼むからや〜め〜て〜!」  
 ケロロが叫ぶが、ドロロは今しがた迄タンポンが挿入されていたケロロの膣内に自分の中指を挿入し、  
経血でぬめる状態を楽しんでいた。指で掻き回す毎に経血とは違うねっとりとした体液が分泌され、  
ケロロが反応している事に気付きながらわざと指を動かす速度を遅くし、焦らし立てる。明け方に  
湧いていたケロロの性欲に火が付き、焦らされる度知らず知らずケロロは腰を使ってドロロの指を貪っていた。  
 「うっ…、ドロロもう勘弁…!我輩いきたいであります…!意地悪は止めて…!」  
 「僕を受け入れてくれるならいかせてあげるけど…?」  
 「…!!」  
 普段禁欲状態にあるドロロも実際は早く自分の欲求をケロロの中に注ぎ込みたかった。だが、ここでは  
自分の存在を強烈にケロロに植え付ける為に敢えて取引を持ち掛けた。プライドが勝つか、快楽が勝つか――。  
 
 答えは、明白であった。  
 
 ケロロはそっと脚を開き、横を向いて瞳を閉じた。ドロロは暗黙のルールで何も言葉を発せず、ケロロの  
身体に覆い被さりながらタンポンよりも何回りも太い性器を膣口に押し当て、ゆっくりと貫こうとしていた。  
 「い、痛い、ちょっと待って、痛い!」  
 ドロロの柔らかな中指で慣らされていたとは言え、破瓜の痛みにケロロが叫んだ。だがドロロは躊躇いも  
容赦も無くケロロを抉じ開けていく。だがそれと同時にケロロの陰核を親指で転がす様に弄び、多少なりとも  
ケロロに快感を与える様にしていった。  
 「あっ…そこ、凄い…!熱い感じが…!ああっ!」  
 「ケロロ君、もっと身体の力を抜いて…。もう少しで全部入るから…。」  
 ドロロは一気にケロロの中に、完全に侵入した。繋がり合っている互いの性器が蠢きを始めるには大した  
時間は掛からなかった。ケロロはドロロの律動に身を任せ、ドロロはケロロの内壁を穿つ。  
 先に限界を訴え、迎えたのはケロロであった。腹の底から湧き立つ、強烈な女としての絶頂がケロロの  
身体を包み込み、ケロロは無意識にドロロにしがみ付きながら  
 「もう駄目!ああぁぁ!あーっっ!」  
と腰を震わせた。その反応に導かれ、ドロロもケロロの奥深い場所に先端を突き当て欲望を噴き出した。  
 
 「我輩…汚されちゃった…。」  
 半ば強引に純潔を奪われたケロロがしくしくと泣いていると、ドロロが妙にすっきりとした顔で  
 「そんな事言いながら、隊長殿も燃えておられたではござらぬか。」  
等と勝手な男の言い分を繰り出すが、ケロロも負けじと  
 「そんな言い訳通用したら、レイプなんて犯罪無いであります!女になった初日に貞操を奪われたなんて  
災難聞いた事が無いであります!」  
と怒りを露にした。  
 「し、しかしいきなり女性になってしまうのは変だと思わぬでござらぬか?それに拙者を焚き付けたあの陰湿な  
声のタイミングといい、妙でござる…。」  
 「確かにその意見は正しい…けどねドロロ、我輩をレイプした事は変わらないでありますよ!」  
 論点の摩り替えに失敗したドロロがむくれるケロロを宥め、二人は事の真相を探りにクルルズ・ラボに向かう  
事にした。  
 
 二人がラボに到着すると、中から陰湿な笑い声と共に先程の二人の痴態の音声が聞こえて来た。  
 「ク〜クックック、全く編集も楽じゃないぜぇ…これのタイトルは『女性上官・レイプ願望』ってとこか。  
どの程度のマニア層に受けるか判らねぇ所がミソだよなぁ…!」  
等とクルルが二人に気付かず映像の編集作業を行っていた。  
 「ク〜ル〜ル!」  
 「クルル殿!」  
 二人が両脇からクルルの肩をポンと叩き、振り返った瞬間ドロロがクルルを手近にあったケーブルで縛り上げ、  
ケロロがその隙に保存されていたデータをどこから取り出したか判らない鉈でハードごと叩き壊しながら  
 「言い残す事はあるかね、クルル曹長…!」  
と鬼神の様な表情で睨み付けると、クルルはケロロの発するただならぬ殺気に怯えて早々に失神してしまった。  
 「ま、まあこれでクルル殿も懲りたでござろう。後は隊長殿の肉体を男に戻して貰って…。」  
 「その前にドロロ、我輩に謝罪の言葉すらないの?」  
 「や、その、あの…ケロロ君…御免なさい…。」  
 ケロロは怒りで、ドロロは済まなさと怯えで脂汗を額に滲ませていた。  
 
 因みに月経が終わり男に戻る迄の間、毎日ドロロがやって来て平謝りに謝ったがケロロは許しませんでしたとさ。  
 

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