「すごい……」  
ナツミ城を案内してもらっている夏美とギロロのうち、夏美は感嘆としたため息をついている。  
メールとマールは、その姿を満足そうに見ていた。  
城の上空には逆さまの虹が天空へと伸び、無数の皿型のテラスは空中庭園、水上庭園になっている。  
その全ては夢の中の景色のように美しい。  
そして極めつけは最後に案内されたプリンセスルームだった。  
「お待ちしておりました。プリンセス、さあお入りください」  
部屋の前で待機していたマスターナイトメアが、自動ドアとなっている扉を開ける。  
「わあ……!」  
部屋に入った夏美は、感動のあまり声を上げてしまう。  
目を輝かせて広々とした室内を見回す。  
どんなファンタジー世界のお姫様でも、こんな素敵な部屋には住んでいないだろう。  
幻想的なだけでなく、部屋の隅にはテレビやコンポが設置され、  
小さな冷蔵庫には冷えた飲み物まで用意されており、夏美にとって実に理想的な部屋だった。  
「う〜ん。すてきね……」  
夏美は感心しきってそうつぶやいた。  
(ほんと、この子たちっていったい何者なのかしら……?)  
心の中では素敵な城にわくわくする気持ちと、逃げなきゃいけないという気持ちが入り混じっている。  
「フン……」  
しかしその光景を、既にケンプファーギロロ状態を解除しているギロロは面白くなさそうに見ていた。  
それを見たメールは、まるで勝ち誇ったかのような得意げな笑みを浮かべる。  
「どう? 気に入った?」  
メールは例の赤いボールの形をしたアイテムをかかげて見せ、反対側のマールが解説を始める。  
「あちらのメアボールを使えば、頭の中のイメージや記憶にあるものをなんでも実体化できるんです」  
「また、お前ばっかり喋って! 僕が説明しようと思ったのに!」  
「はっ。申し訳ありません、王子―――」  
かしこまっておじぎをするマールに、大人ぶった調子で、やれやれと首をふるメール。  
「まったく、マールはいつもこうなんだから……やんなっちゃうよ」  
夏美は二人の微笑ましい姿を見てクスッと笑う。  
「……ん?」  
気がつくと、メールがじっとこっちを見つめている。  
「ナツミ……」  
「えっ?」  
「こ、これに……」  
なんだか真剣な目をしながらメアボールを差し出すメール。  
よくわからないまま、夏美はボールに手を近づけるが―――メアボールがポワッと光を放つ。  
「「!?」」  
怖くて手を引っこめると、光はすぐに消えたが、ギロロは警戒の色を隠せない。  
「…………?」  
この時、マスターナイトメアの目の色が一瞬変わったのに、ギロロだけが気付いた。  
その光景を食い入るように見つめていたマールの方は、肩の力を抜いてホッとため息をついた後、  
たしなめるように言った。  
「王子、焦りは禁物です」  
「マール!」  
「あっ!」  
余計なことを! というように睨み付けるメールに対して、しまった、と口を塞ぐマール。  
「え、なに? なんなの?」  
わけがわからない夏美。  
「さっきの言葉はどういう意味だ? やはり何か隠しているな」  
メールの挙動不審な行動に、ギロロは疑惑の念を強める。  
「な、なんでもない! ……それよりさナツミ、街を探検しに行こうよ! ナツミの街を!」  
なんだか知らないが、とにかく夏美の気を引きたくてしょうがないらしいメール。  
(随分気に入られちゃったわね)  
夏美が心の中で呟いている内に、メアボールをしまったメールは、窓を開けてパッと外へ飛び出した。  
「あっ! ちょっと待ってよ!」  
思わず窓から乗り出して外をのぞくと、最初見た時より大きくなっている広大な市街地を一望できる。  
「ここだよナツミ!」  
窓の外からメールの声がしたと思うと、夏美の目の前に何かが浮かんできた。  
そこには移動用らしい、巨大な空飛ぶマンタ型ナイトメアの、広々とした背中に乗ったメールがいた。  
上に乗っているメールは、マンタの頭部から生えている二本の触角を手綱のように操っている。  
 
「それで飛んでいくの?」  
「大丈夫! 僕がいれば怖くないから!!」  
夏美はメールの手を握り締めておっかなびっくりマンタ型ナイトメアの背中に乗り込む。  
マールも後からいそいそと乗り込んできた。  
「ま、待て夏美! 俺も行く!」  
夏美を一人にしておけないとばかりに、最後にギロロが慌てて飛び乗る。  
「さあ行くよ!」  
メールが触角を引っぱると、それに従いマンタは街の賑やかそうな一画へ降下していった。  
「一筋縄でいかないのはわかっていた……。あの時封印したこれを使うのも考えておくべきだな……」  
一人残され呟くクジラ型ナイトメア、マスターナイトメアの手には怪しい、禍々しい壺があった。  
 
 
 
 
後ろへと飛び去ってゆくのは、人っ子一人いない、どこか古臭い街並み。  
「不思議―――」  
「どうした、夏美?」  
夏美の呟きに、街を観察していたギロロが彼女に視線を変えて聞いてくる。  
「なんだかとっても懐かしい感じがするの」  
「当然です。ここはプリンセスの記憶にある、プリンセスの大好きだった街なのですから」  
「私の大好きな街……ね」  
(本当かしら? 懐かしいって事は、記憶にある街なのかもしれないけど……)  
マールの返答に対して、どうもどこか引っ掛かるものを感じてしまう。  
「わあっ、あれはなんだ!?」  
メールの声に、夏美はハッと我に返った。  
彼の指さすものは、広告つきの気球が上がり、屋上に小さな観覧車も見える建物、デパート。  
「あそこに行ってみようよ!」  
メールが宣言すると、マンタ型ナイトメアはデパートへ進路を定めた。  
 
 
 
 
「うわ〜い!」  
歓声を上げて、メールはデパート内へ駆け出していった。  
「お待ちください王子―――!」  
エスカレーターに乗り込んだメールをマールが追いかける。  
「三人とも僕のそばから離れるな。迷子になっても知らないぞ!」  
たちまち二人の姿は上の階へと見えなくなった。  
 
 
 
 
「まったくもう! どこ行っちゃったのかしら、あの子達……」  
後を追ってエスカレーターで三階の家具売場まで上がった夏美は、ため息をつく。  
「夏美、今なら二人きりだ。邪魔な護衛もいない。逃げるなら今のうちだ」  
彼女と同行しているギロロが逃げる案を提案したところへ、マールが飛び込んできた。  
「プリンセス・ナツミ! 一大事です!」  
「ど、どうしたの?」  
「メール王子の姿が見えないのです! 恐らく迷子に…………どうか、どうか一緒に探してください」  
「……うん、まかせといて」  
「夏美!」  
これにはギロロが思わず声を荒げるが、  
「だって、あんな心配そうな顔されたらほっとけないじゃない」  
「…………わかった、俺も手伝おう」  
惚れた弱みというか、なんだかんだ言いながらも、夏美についてゆくギロロだった。  
その後三人がデパート内を捜索した結果、業務用エレベーターの中で泣いているメールを見つける。  
 
「いたいた。王子様発見〜」  
「ナツミ……」  
一人ぼっちで心細くてたまらなかった――そんな目でこっちを見つめるメール。  
「なになに? ドアの開け方がわからなかったの?」  
夏美が言い終わる前に―――メールは彼女に抱きつき、こらえきれずウッウッと泣き出した。  
迷子がお母さん、お父さんに再開した時のように、首にしがみついて、顔をこすりつけて。  
(あたしも迷子になって心細かった事があったなあ。あれは、いつだったけ? あの一人ぼっちの感覚。  
そう、たしか風船が……おっと! とにかく今はこの子を安心させてあげなきゃね)  
「もう大丈夫よ、メール」  
夏美は、しゃくりあげて震えている小さな身体をそっと抱きしめた。  
「まったく……。これからは勝手にうろつかないことだな」  
ギロロも、メールの頭に手を乗せ優しく撫でている。  
安心したのか、メールの身体から力が抜け、しゃっくりもおさまっていく。  
「……あっ!」  
夏美の後ろでマールが驚いているのに気づいたメールは、ギョッとしたように顔を上げた。  
彼は凄い速さで夏美から離れると、ごしごしと涙を拭いて、顔を真っ赤にしてマールに食ってかかった。  
「も、元はといえばマールのせいなんだからな! お前がちゃんとついてこないからいけないんだぞ!」  
「はっ、申し訳ありません、王子!」  
照れ隠しに怒鳴り散らしてプイッと飛び去っていくメールに、反射的にかしこまって平謝りするマール。  
夏美は、そんなマールに微笑みかけ、軽くウィンクしてみせる。  
「さ、今度はちゃんとあたしたち保護者同伴でデパートを探検してみましょうか?  
王子様がまた迷子にならないようにね」  
「はい!」  
嬉しそうにうなずいたマールは、こっそりと呟いた。  
「……よかった。プリンセスが、ナツミで……」  
 
 
 
 
「……母艦撃沈、てこずらせやがって」  
「こっちも片付いたよ」  
深海へと潜航中のロードランジャー内部、ケロロ達の目の前のモニターには、クルルの操艦と  
サブローの操るガンプラに破壊されたユーコン級潜水艦とザク・マリンタイプ部隊が映っている。  
「フィ〜、危なかったであります。まさかガンプラが敵になるとここまで手強いとは」  
ケロロは戦闘中の緊張感から解放されホッとしている。  
「でも、これで一安心〈ズガアァン!〉キャアッ!?」  
続いての桃華の言葉は、突然の衝撃によって途絶える。  
ロードランジャー後方から無数の魚雷が襲来、そのうちの一つが当たったのだ。  
「後方からの魚雷により、第三艦橋大破! 敵、第二派接近中! てゆーか油断大敵!?」  
コンソールを操作するモアによって、魚雷の来た方向の海域の画像が映し出される。  
「ゲロッ! 今度は種ネタまで!?」  
驚愕の表情を浮かべるケロロの見たものは、サブローのガンプラに襲い掛かり、次々と破壊していく  
ビグロ、カプール、グーン、ゾノ、そしてそれらの母艦であるマッドアングラー級潜水艦の姿だった。  
「また間違えてるよ〜! ビグロも宇宙用なのに〜ブツブツ……」  
ケロロは浜辺の時のようにガンプラ考察に入ってしまいそうになる。  
「おおかた海中用に改造してあるんだろ。マズイぜぇ〜。ガンプラもどきの攻撃で護衛が壊滅、丸裸だ。  
サブローに新しいのを書いてもらうにしても、船外に出すまでにこっちがやられちまう」  
「つーことは、僕達、大ピンチですか〜〜〜!?」  
クルルの返答にパニック状態になりかけるタママ、しかも敵は無情にも次なる攻撃を放つ。  
しかし迫りくる魚雷は、思いもよらない第三者の魚雷攻撃によって相殺された。  
「高速物体接近、速度100ノットを超えています! 正体はペコポンの、日本海軍の潜水艦です!」  
「確かにペコポンには100ノットを超える潜水艦があると聞いてあるでありますが、  
いくらなんでもこの深度まで潜れる性能はなかったはずであります」  
モアの解析により自分達を助けてくれた存在の正体は判明したが、ケロロはいまいち納得できない様子。  
そうこうしているうちに潜水艦の方から通信が入ってきた。  
『桃華お嬢様〜! ご無事ですか〜〜!?』  
「ポール!?」  
桃華の驚きの声と同時にモニターに映ったのは、西澤家執事ことポール。  
彼は軍とのコネを使って日本海軍保有の、核融合機関搭載電磁推進潜水艦を人員と一緒に拝借、  
桃華のピンチに深海まで駆けつけてきたのだ。  
 
『我々だけではここまで来る事は困難だったでしょう。しかしある方の協力によって可能となりました』  
するとセンサーがポールの乗艦している潜水艦とは別の、高速で接近する物体を察知しモニターに映す。  
『お久しぶりですね。ケロロ軍曹』  
物体の正体はケロン軍宇宙艇、乗っているのは―――ガルル中尉率いるガルル小隊。  
これにはケロロも驚きを隠せない。  
「ガルル中尉! 何でこんな所に!?」  
『たまたま第二のキルル覚醒の調査の際に出くわした敵を排除するだけです』  
『ホントはギロロ伍長が心配だからじゃないスか?』  
『ププ〜〜ペコポンの軍の潜水艦を改造しろって言ったのには驚いたけどこういう事とはね』  
『フン、公私混同だな』  
『フフッ、でもそれがガルル中尉のいいところじゃないかしら?』  
ガルル自身は真面目でも、彼の部下の反応のせいでどうもしまらないが。  
『『こちらが敵をひきつけます。その隙に行ってください』』  
宇宙艇はガンプラ、潜水艦はマッドアングラーへ攻撃を開始する。  
頼もしい援軍の到来によって気を取り直したケロロは命令を発する。  
「今の内であります。ポール殿とガルル中尉が敵を引き付けている間に敵陣へ突入を! クルル曹長!」  
「ク〜ックックッ、こいつの出力なら問題ねぇ」  
クルルはロードランジャーを更に加速させ、海底に展開されている巨大なドーム型バリアに突入させた。  
 
 
 
 
 
 
屋上にある遊園地の小さな観覧車―――。  
夏美とメールが乗り込んだゴンドラはすぐに一周してしまわないよう、ゆっくりと上がってゆく。  
観覧車自体は小さくても、ビルの屋上に設置されているため見晴らしは抜群だ。  
街の中央、霧の中から塔を突き出しているナツミ城もよく見える。  
向かいの席に窓の方を向いて座っているメールは、「びゅ〜ん」とか口で言いながら、  
デパートで夏美からもらったZガンダムをウェイブライダー形態に変形させて、飛ばして遊んでいる。  
ギロロとマールはすごく乗りたそうにしていたが、下で待っていた。  
ちなみに夏美とメールが二人きりになる時、一悶着あったのは言うまでもない。  
「あ〜あ。なにやってんだろあたし……あの時ギロロの言うとおり逃げるべきだったかな?」  
街を見下ろして、夏美はぼそりとつぶやく。  
逃げ出すところか、無人のデパートでメールとマールと遊び倒した上に、家具のベットで眠ってしまい、  
おまけにこんなところでメールとのんびりしてしまっている。  
(なんで? この街が妙に懐かしいから? 特にこのデパートが気になるの……。こんなに狭かったのね。  
あの頃は、あたしのほうが小さかったから広く感じたんだわ……ん? あの頃?)  
「ここって……なんだっけ……あれ?」  
奇妙なものを見つけて、夏美は思わず身を乗り出した。  
観覧車の下、フェンス付近の空間に赤い風船が浮かんだ状態で静止している。  
「あの風船は……」  
夏美は必死に記憶を呼び起こそうとし、何か思い出しかけたその時、突然メールが声を上げた。  
「あ、そうだ!」  
「どうしたの? もしかしてトイレ? んもう、だから乗る前に聞いたじゃ――」  
「ちがうよ」  
メールはメアボールを取り出すと、Zガンダムを大事そうに座席に置いた。  
「これのお返しに、僕からもプレゼントをあげる」  
「えっ?」  
夏美が驚いている間に、輝き出すメアボール。  
 
光は波のように伝わり、パーカーや水着までが光り出し、光の粒子となって消えようとしている。  
「ちょ、ちょっと……!」  
そう言いかけた瞬間、すうっと全身が涼しくなり、服が消え失せた。  
身に着けていたもの全てが、光と化してパッと弾け飛んだ瞬間、光の粒子は別の物質に変化していた。  
「こ……これって……!?」  
ようやく声を絞り出し、夏美は全身を眺め回した。  
透けたベールのついた髪飾り、可愛らしく肩の部分で膨らんだ袖、ヒラヒラでふっくらとして上品な  
透けているドレススカート……まさにプリンセス!  
それも、着ていたビキニのイメージを残した、人魚姫のような大胆なデザインだ。  
こちらを見上げたメールが、満足げな顔をする。  
「ねっ 素敵だろ? ナツミ」  
「う、うん」  
「プリンスの姿だって、君と同じように……」  
次の瞬間メールの全身が光に包まれ、光の塊となったシルエットが大きくなってゆく。  
光が収まった後にいたのは、夏美より少し年下、冬樹と同年代位の、地球人の姿となったメールだった。  
王子様の服を着ており、蒼い髪に整った顔立ちをしている。  
「ねっ、どう? こんな感じ? ナツミと同じような姿になってみたんだけど」  
地球人化したメールの容姿は美少年の類に属するものであり、異性を惹きつけてやまないだろう。  
「……う、うん……」  
しかし、夏美はそんなメールの姿を見てもときめかず、むしろここぞとばかり、  
(どうして? どうしてこんなに苦しいの? ……ギロロ…………)  
ギロロの姿が、地球人、ケロン人を問わずに浮かんできてしまい、思わず俯いてしまう。  
「……どうしたのナツミ? 大丈夫?」  
そう言って夏美の顔を覗き込もうとしたメールだが、  
「オンワァ〜〜〜!!! ナンジャコリャア!!!!!!???????」  
下から聞こえてきた大きな絶叫によってそれは適わない。  
観覧車から降りた夏美は思わず「ウッ」とひるんだ。  
目の前にいるものは、それほどまでに危険なオーラを放っていたのだから。  
他にマールの姿が見当たらない代わりに、見慣れない女の子がギロロの姿を見て青褪めた顔をしている。  
「おい……これはどういうことだ……」  
美しく黒く長い髪、十二単、手には扇……そう、ギロロは平安時代風の美人に……  
ああ、いや、ただ平安時代風のとだけ言うべきか。  
いくらギロロが地球人形態では美少年でも、「美人」と言うにはあまりに無茶なその姿。  
なにしろ顔に白塗り極太マユの、まるで志○けんのバカ殿のような化粧が施されているのだから。  
どうやら夏美がドレス姿になったと同時に、ギロロもこの姿にされたようだ。  
「ああ、ナツミにドレスをプレゼントしたついでに、ここの本で読んだので最も似合わそうなのを」  
ブチッ!!!!  
メールのなんの悪気も無いような答えに、ギロロの中で何かがキレた。  
「このガキィ〜〜〜もう許さん!!! またんかーーー!!!!!」  
「ヘヘーン。悔しかったら捕まえてみろよ〜」  
城の方向へ逃げるメール、それを追いかけるギロロ。  
ケンプファーギロロになって武器をぶっ放さないところを見ると、多少正気は残っているらしい。  
しかし着物姿で爆走する姿は……不気味以外の何者でもない。  
「メール王子! プリンセス、追いますので乗ってください!」  
「えと……あなたは……」  
「マールです。早く!」  
蒼い髪の少女、メールと同じく地球人の姿になったマールが手引きする。  
マールが言うには、メールが地球人化した際、自分もこの姿になったという。  
「ギロロ……! わかった」  
夏美とマールはマンタ型ナイトメアに乗り、壮絶な鬼ごっこをしているギロロとメールの後を追う。  
そして城に着いた二人の見たものは、  
 
「ほ〜れほれ! あはは! 本に載ってたコレ、やってみたかったんだ」  
「あぁ〜れぇぇぇぇ〜〜〜って、やめろ〜〜〜!!!」  
下帯をつかんだメールが、ギロロをグルグル回して着物を脱がしてゆく光景だった。  
メールはすっかりギロロを回す事に夢中になっている。  
「ギロロ……あんた、なにやってんのよ……」  
「こ、このガキ、思った以上に、素早くてぇぇ〜〜。一瞬の隙に帯を掴まれたと思ったらぁぁ〜〜〜」  
猛スピードで回されながらも、あきれている夏美のツッコミにかろうじて答えてみせるギロロ。  
「なんの、なんの、まだまだ、よいではないか〜!!」  
「あ〜れ〜ごかんべんを〜〜〜〜!!!!」  
ついついつき合って熱演を続けてしまうギロロ、だがまんざらでもないようなのは気のせいか?  
あっけにとられて、ぽかんと見ている夏美とマール。  
十二枚重ね着していて、現在三枚脱がしたから、後九回は続ける事ができる。  
その時、海底に作り出されたこの街の空にある天井を突き破り何かが落ちてきた。  
ギロロもメールも帯回しをやめ、夏美とマールと同じく落ちてくる物、ロードランジャーを見上げる。  
艦首からすさまじい勢いでテラスの池に着水したロードランジャーは、高潮のような水しぶきを上げた。  
そのまま逆立ち状態のロードランジャーのハッチが開き、まず最初にケロロが降り立つ。  
続いて冬樹、桃華、アリサ、サブロー、小雪、モア、タママ、クルル、ドロロが後に続く。  
ちなみにケロロ小隊メンバーは戦闘に備えて、全員それぞれのコスチュームに着替えていた。  
「またさっきのボケガエルですか。しかも今度は団体で……」  
やれやれと肩の力を抜くマール。  
「ギロロ伍長〜、夏美殿〜、助けにきたであります、って―――何やってんの……?」  
皆を意思を代弁するかのようにケロロが話そうとしたが、ギロロのあまりの姿に言葉を失ってしまう。  
夏美のドレス姿が霞んで見える程その衝撃は大きく、ケロロだけでなく他の皆も硬直状態に陥っていた。  
「し、しまった……この姿なの忘れてた……」  
ギロロも今更ながら自分の今の姿を再認識して、ガクッと項垂れてしまった。  
「と、とりあえずギロロの事は置いといて、夏美殿迎えに〈ビシッ!〉ヒイィッ!?」  
いち早く立ち直り夏美に近づこうとしたケロロの足下に銃創ができる。  
「困りますなあ。緑髪のお客人、貴方は当然の事、他の方々も招待した記憶はないのですが」  
声と共に城の中から現れたのはマスターナイトメアとジムの、ビームスプレーガンではなく  
ビームライフルを装備した大部隊、そのうち一体のビームライフルの銃口から煙が上がっている。  
ミイラ取りがミイラになる、夏美とギロロを助けるつもりが、逆にケロロ達が包囲されてしまった。  
 
 
 
 
to be continued……  
 

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