ケロロ軍曹達の活躍によりキルルは再び封印され、ペコポンに平和が戻った。  
それから数日後、再び壺の中で封印されることになったキルルとミララは二人  
そろって原因不明の体調不良を訴えていた。  
顔に熱がこもり、動悸が速く、そわそわして落ち着かないのだ。  
生まれて初めての事態に、二人は戸惑いを隠せない。  
幸い症状は一晩寝ると治まったが、いつまた発症するか分からない。  
そこでミララは壺の中に昔から置かれていた自分達の取扱説明書、マニュアル  
を調べることにした。  
「ふ〜、やっと本棚から取り出せましたね、キルル。」  
「・・・キル。」  
キルルとミララが二人がかりで取り出したマニュアルはとにかく分厚くて大きい。  
高さは二人の身長の倍くらいはある。  
「これだけいと大きいと、昨日の症状についての記述を探すのも一苦労ですね・・・。」  
ミララは大きくため息をつくも、まずは目次を調べようと思い、分厚い表紙をめくった。  
が、めくると同時に表紙が目がくらむほどのまばゆい閃光に包まれた。  
突然の出来事に、ミララはあたふたと慌ててしまう。  
「え!?え!?わわわ私、何もしてませんよ!?た、ただ本をめくっただけでそれでそれで!」  
「キルキルキル・・・」  
「落ち着けって言ったって・・・、も〜!どうしてキルルはいつもそういと冷静なんですか〜!」  
ミララが騒いでいる間に表紙の光は次第に弱くなり、最後には消滅した。  
二人が表紙を覗き込むと、めくった時は真っ白だった表紙にびっしりと文字が現れていた。  
「これは・・・古代ケロン文字ですね。しかも手書きですよ、キルル。」  
「・・・キル。」  
「え〜と、この表紙は特殊なアンチバリアで覆われている。  
 キルル、ミララ、もしお前達がこれを読めているなら、強き友情と信頼の心を  
 持つ者達によってキルルが封印されたということだろう。  
 私は自動判別型究極侵略兵器キルミラを開発したケロン軍の・・・これはもしかして  
 ・・・いえ間違いなく・・・博士の書いたものですよ!  
 キルルも覚えてますよね!?私達を作って、私達の面倒をいと見てくれた、あの人ですよ!」  
キルルは無表情のまま、いや、ほんのわずか表情を緩めて頷いた。  
・・・遥か昔、兵器としてキルルとミララを生み出したケロン人の科学者。  
彼は二人を兵器としてでなく、ケロン人として、我が子のように可愛がってくれた。  
二人が(特にミララが)兵器らしからぬほど自我が強いのもその影響がある。  
「懐かしいですね・・・あれからいと永い年月が・・・経ちました・・・。」  
目にたまり始めていた涙をぬぐって、ミララは文章の続きを読み始めた。  
「・・・ケロン軍の科学者だ。  
 私がキルミラを作った理由は、もちろん軍上層部の命令だったからだが、何より  
 私自身がこの宇宙に失望していたからだ。  
 学術調査のため星を訪れるたびに決まって目にするのは負の心に支配され、争い合う者達・・・。  
 私は彼らから発生するマイナスの心をエネルギーとして成長する兵器を考案した。  
 自分達の負の心の化身に滅ぼされるなら本望だろう、という考えで・・・。  
 だが、私はまだ心のどこかで信じていたのかもしれない。  
 この宇宙のどこかに、人々が真に信頼し助け合う、かけがえの無い星があるということを・・・。  
 キルル、ミララ、ここから先はお前達にとってとても重要な話だ。  
 心して聞いて欲しい。  
 ・・・私達にとって、いと重要な話・・・。」  
「・・・。」  
「続き・・・読みますね。」  
「・・・キル。」  
キルルは静かに頷き、ミララは続きを読み始めた。  
 
「私は実行する者としてキルルを、審判を下す者としてミララを開発し、上層部にその成果を報告した。  
 だが私はその後、極秘に第三の存在・・・守護する者を開発したのだ。  
 守護する者は人々の信頼、友情といったプラスの心をエネルギーとして成長する  
 究極の防御兵器。  
 人々が正の心を持ち続ける限り、星の守護者としていかなる脅威からもその星  
 を護る存在となるだろう。  
 しかしそんなことがケロン軍に知られては、守護する者は役目を果たす前に破壊されてしまう。  
 そこで私はこの守護する者のデータを二つに分け、とある場所に隠した。   
 その場所は・・・キルル、ミララ、お前達の遺伝子の中だ。  
 キルルとミララが肉体的に交われば・・・ミララは・・・キャーーーーー!!!」  
ミララは真っ赤になった顔を手で覆い、スゴいスピードで飛び去っていった。  
あまりにも衝撃的な事実を知ったことと、何よりその手の事にあまり耐性のなかった  
ことで混乱状態になってしまったのだ。  
それからしばらくどこを目指すでもなく飛び続け、やがてバテたのか地べたに  
仰向けに倒れこんでしまった。  
「ハァハァ・・・い、いとありえないです・・・私とキルルが・・・そ、そのような  
 事をするなんて・・・。  
 私、キルルをそういうふうに見たこと・・・無いのに・・・。」  
息を荒げ、天井を呆然と見つめるミララの顔はどこか悲しげだった。  
もし仮に自分がキルルをそういう対象として見たことがあったとしても、それは  
博士が守護する者を生み出すために組み込んだ、プログラムされた想いにすぎなかった  
のではないか・・・と。   
 
それからしばらく寝そべったまま考え込むうちに、体力と冷静さを取り戻したミララは本のところに戻ることにした。  
本をまだ最後まで読んでいないことと、何よりキルルをほったらかしにしてしまったことに気づいたからだ。  
しかし本のところに戻ってもキルルの姿が見えない。  
周りを見回してもどこにもいない。  
仕方が無いので、自分一人で本の続きを読むことにした。  
「ま、まだ私達の体の異常の原因をしらべていませんもんね。  
 今度はちゃんといと冷静に、キルルを見習って・・・。」  
ミララは心の中で何度も自分に言い聞かせ、本の続きを読み始めた。  
「肉体的に交わればミララは守護する者を身籠るだろう。  
 だがこのシステムには一つ、大きな問題点があった。  
 もしプラスの心、エネルギーの少ない星でキルルとミララとの間に恋愛感情  
 が芽生えたら、生まれてきた守護する者は栄養失調で死んでしまうのだ。  
 それを防ぐため、私はキルルとミララの思考回路にプロテクトをかけ、互いが  
 互いに恋愛感情を持たないようにした。  
 このプロテクトが解除されるための条件はこの表紙の文と同じ、つまりキルル  
 が正の心に満ち溢れた者達によって封印されることだ。  
 負の心の化身であるキルルを打ち倒せる者達の住む星なら、守護する者は健やかに成長できるだろう。  
 今二人が顔のほてりや心拍数の上昇等の体の異変を感じているなら、それがプロテクトが解除された証だ。  
 今まで意識されていなかった想いが一気に込み上げて来ているのだ。  
 もしかしたら、その想いは私が無理矢理組み込んだ物だと思ったかもしれない。  
 だがそれは断じて違う。  
 その想いはまぎれもなく本物・・・キルルとミララだけの想いだ。  
 生まれてくる守護する者は、私のこの宇宙への希望であり、その星に生きる  
 者達の想いの結晶であり、何よりもキルルとミララの実の子供、愛の結晶  
 であるということを忘れないでくれ。  
 生まれてきた子供にはぜひともいい名前を付けてやって欲しい。  
 最後に・・・これがいつの日か、二人に読んでもらえることを心から願っている・・・。」  
本を読み終えたミララの顔は赤くほてり、心拍数も上昇していた。  
まさに今悩んでいて、そしてこの本に書いてあった通りの症状だ。  
 
「博士・・・私、お、思い出しました。  
 私は・・・私は・・・。」  
ミララは思い立ったように立ち上がると、空からキルルを探し始めた。  
この壺はそんなに広くないので、割と簡単にミララはキルルを見つけられた。  
キルルは壁際で額を壁に押し付けるかのようにしてうなだれていた。  
ミララはキルルの背後に静かに着地し、様子のおかしいキルルを心配しながら話しかけた。  
「あ、あの・・・キルル・・・、さっきの本の続き・・・ですけど・・・、」  
「・・・キル、キルキル。」  
「え、もう読んだ?そ、そうでしたよね。キルルも古代ケロン文字、読めますもんね・・・。  
 あの・・・よかったらこちらを向いて話を・・・あ!いや、別にイヤならいいんですよイヤなら!  
 このままでも会話は出来ますし、会話もできますものね!・・・ってあぁ!  
 同じことを二回も言ってしまいました!わ、わたしいとおかしいです!」  
例の症状のせいでミララの思考回路は大きく混乱していた。(元からか?)  
ミララが一人でオロオロしている間にキルルはうなだれていた頭を持ち上げ、  
ゆっくりとミララの方に体を向けた。  
ドキン  
キルルの顔を見た瞬間、心臓がまるで頭に瞬間移動したかのような気がした。  
キルルの顔も、今のミララと同じように、いや、それ以上に赤くほてっていたのだ。  
息遣いも荒く、いつもの無表情の仮面も苦悶の表情で歪んでいる。  
「あ、あの・・・キルル・・・私、思い出したんです・・・。  
 ずっとずっと昔、研究所にいたころから私は・・・キルルにいと憧れてたんです。  
 キルルは私と違っていつも冷静沈着で落ち着いていて・・・。  
 きっと博士はそのことを知っていたから・・・あのシステムを・・・。」  
「・・・キルキル、キル・・・キル。」  
「確かに・・・私達は相反する存在ですからお互いに引かれ合うのは当然かもしれません。  
 それでも・・・それでも私は・・・!」  
この時、ミララは地面にうつむいて話していたため気づけなかった。  
キルルが自分の方に歩み寄って来ていることに。  
そして・・・、  
「・・・え・・・?」  
キルルが自分を・・・抱き締めていることに。  
「キル・・・キルル・・・。」  
キルルがミララの耳元で何かをささやく。  
その言葉を耳にして、ミララは驚いたように眼を見開き、涙を浮かべながらゆっくりと眼を閉じた。  
「私も・・・キルルのこと・・・好きです・・・。」  
ミララは両腕をキルルの背中に回し、優しく抱き返した。  
 
数万年の付き合いといえど、こうして抱き合ったことなど今まで一度も無かった。  
初めて間近で感じる相方の温もり、息遣い、そして匂い・・・。  
二人は顔を見合わせると、引かれ合うように顔を近づけ・・・静かに口付けた。  
ただ触れ合うだけの優しいキス・・・。  
ここまで来てしまったらもう止められない。  
数万年の間に積もりに積もった想いが一気に燃え上がり、二人の理性を飲み込んでいった・・・。  
 
二人は体を重ね合わせた・・・。  
ミララを下にして、キルルが上から覆いかぶさる。  
キルルが、ミララの桜色の着物をわきの下の切れ込みから上にまくし上げると、  
ミララの艶やかで美しい体が現れた。  
恥ずかしさに顔をしかめ、眼をきつくつむるミララを尻目に、キルルはミララの体に舌を這わす。  
特に、眼をこらさなければ見えないほど小さな乳首を取り分け攻め立てた。  
「はぁ・・・ん・・・。」  
ミララが快感にあえぐ間にも、キルルの舌は段々下半身へと向かい、そして・・・、  
「!ひゃッ!あ、あ、キル・・・うぅ!」  
・・・ミララの秘所へと達した。  
そこを優しく、じっくりと、丁寧に舐め上げ、溢れ出る蜜をこぼさないよう、きれいに舐め取って行く。  
「は・・・ぁっ!キル・・・ル!わ、たし・・・もう・・・っ!」  
着物の袖を強く握り締めながら、ミララは絶頂に達した。  
キルルは舐め取れなかった蜜で口元を汚しながらも、一心不乱にそこを舐め続ける。  
やがて蜜の出は止まり、ミララは息を切らしながら余韻に浸る。  
キルルは口の周りについた蜜を指でぬぐい取り、それを味わいながら立ち上がる。  
「・・・キル、キルキルル・・・?」  
「・・・はい・・・いと・・・よかったです・・・キルル・・・。」  
息を切らしながらミララが上半身を起こすと、キルルの体にある変化が起こっていることに気づいた。  
キルルの白い体、白い足の付け根から、赤くて細長くて小さい物体が顔を出していることに。  
それを見てミララはクスリ、と笑った。  
「私だけ気持ちよくなっていてはいと不公平ですよね・・・キルル。」  
ミララはキルルの両足を素早く掴むと、その赤い物体を迷うことなく口に含んだ。  
 
「!?キッ、ギ・・・ルゥ!」  
いきなりのミララの行動にキルルは驚きの声を上げ、ミララの頭を股間から離そうとする。  
が、すでに遅かった。  
ミララの攻めがキルルの力を全身から奪っていく。  
と言ってもミララはこの手のことについての知識をあまり持っていないため、その舌使いは拙い。  
しかしそれでもキルルには十分だった。  
永い間無意識の中で想い続けていた者が、自分の性欲の象徴を口に含み舌を這わせている・・・。  
その事実がキルルを舌使い以上に強く攻め立てた。  
眼を強くつむり、顔をしかめ、歯を食い縛り、膝をがたつかせながらも必死に絶頂をこらえる。  
もはやキルルの無表情の仮面は完全に崩れ去っていた・・・。  
そんなキルルの様子を上目遣いで眺めながら、ミララは攻めを続ける。  
やがて、キルルにも限界が訪れようとしていた。  
「キ、キ、キル・・・ギ!ギ!ギルゥ!!」  
キルルの雄叫びと同時に、キルルの精液がミララの口内に勢い良く注ぎ込まれた。  
ミララは自身の口内に流れ込んでくる熱い液体に少し戸惑いながらも、外に漏らさない  
ようにキルルの性器を強くくわえこんだ。  
最大まで大きくなっていてもキルルの性器はあまり大きくないので、ミララでも  
うまくくわえこむことができた。  
ミララの小さな口内を、思い人の精液が満たしていく・・・。  
その間でもミララはキルルの表情を、キルルの、射精による恍惚と苦悶の入り混じった表情を眺めていた。  
やがて精液の流れは弱くなり、とうとう止まった。  
全てを出し尽くしたことでキルルは息を荒げ、肩を上下させながら余韻に浸る。  
そんなキルルの様子を眺めていたミララは、何を思いついたのか、いたずらっ子な  
笑みを浮かべると、未だ自らの口内にある縮んだキルルの性器を一舐めした。  
 
「!ギッギルゥ!!」  
出したばかりで敏感になっていた性器を舐められ、キルルは悲鳴にも似た呻き声を上げる。  
そんなキルルを見て、ミララは楽しそうに顔だけで笑う。  
しかしキルルからすればこれ以上やられてはたまらない。  
キルルは後ろに下がってミララの口から性器を出そうとする。  
ミララも、これ以上やるのはさすがに可愛そうだと思ったので、両足から手を離し、キルルを解放してあげた。  
縮んだ性器から精液を滴らせ、息を切らせ、よろめきながら数歩後ろに下がったキルル。  
いつものキルルからは想像できないほど弱りきったその姿に、ミララは楽しそうに、  
そしてやはり声を出さずに顔だけで笑った。  
声を出したくても出せないのだ。  
なぜなら、ミララの口内はまだキルルの精液でいっぱいなのだから。  
初めてのミララには、受け止めながら飲み込むという芸当は出来なかったのだ。  
それでもがんばって、まず一口だけ飲み込んでみた。  
「うっ!ゲホッ!ゲホッ!ケホッ!ケホッ・・・!」  
しかし初めて味わう精液の味と風味。  
ミララは思い切りむせこみ、口内の精液を全て吐き出してしまった。  
「キ、キル・・・?」  
キルルが心配そうにミララに近づく。  
「ケホ・・・い、いと大丈夫です。  
 ごめんなさい・・・こんなにいと汚してしまいました・・・。  
 あ、でも・・・キルルの・・・その・・・美味しかった・・・ですよ・・・。」  
口元と着物を自らの欲望で白く汚し、足元から見上げるように、はにかみながら微笑む思い人・・・。  
キルルの沈静化していた性欲が再び燃え上がった。  
縮んでいた性器に再び力が戻る。  
キルルはミララをその場に押し倒し、そのまま強引に口付けた。  
さっきの触れ合うだけのキスとは違い、自らの舌をミララの口内に押し込め、ミララの舌と絡ませる。  
ミララは突然のことに驚くも、すぐに自分からも舌を絡ませた。  
時には貪るように、時には口を離し小さなキスを数回交わし、時には優しく味わいあう・・・。  
二人の唇が離れると、それを拒むかのように銀色の糸が張った。  
「ハァ・・・ハァ・・・するならすると、言って下さいよ、キルル・・・。」  
「・・・キル・・・キルル・・・。」  
「フフッ・・・そうですね。私もいと人のこと言えませんね。」  
ミララはクスクスと可笑しそうに笑う。  
と、この時ミララは自分の内股の辺りに何かが接触しているのを感じた。  
 
覗き込むと、キルルの性器がさっき以上の大きさになって自分の内股に接触しているのが見えた。  
ミララはこれから起こることを理解し、何かを強く決意した顔つきになる。  
「キルル・・・私・・・いと、産み・・・たいんです・・・。  
 博士の、お父様のこの宇宙への希望を・・・。  
 ケロロさんや冬樹さん達、このペコポンに生きる人たちの想いの結晶を・・・。  
 そして・・・私の憧れの人の・・・大好きな人の・・・キルルの子供を・・・産みたいんです・・・。  
 だから・・・だから・・・私を・・・抱いて、下さい・・・っ!」  
恥ずかしさに顔を赤らめ、涙をにじませ、しかし真っすぐな瞳で懇願するミララにキルルは圧倒される。  
やがてキルルは首を振った。  
・・・縦に。  
 
キルルは自身の性器をミララの秘所にあてがった。  
「・・・キル、ル・・・?」  
「はい・・・、来て、下さい・・・!」  
キルルはゆっくりと腰を下ろし、ミララの中に自身を埋め込んでいく。  
初めて味わう感覚にキルルもミララも、悲鳴にも似た声を上げた。  
それでも懸命に、歯を食い縛って埋め込み、ついに根元まで収まった。  
最大まで大きくなったと言っても、キルルの性器は元が小さいのでミララの体に  
あまり負担をかけずに済んだ。  
「な、なんとか入りましたね、キルル・・・。」  
「キ、キル・・・。」  
顔をしかめ、汗だくの状態で二人は顔を見合わせる。  
その表情通り、今二人はかなりのところまで来てしまっている。  
初めて味わう、自らの体内に炎のように熱い物体が差し込まれる感覚。  
初めて味わう、自らの性器がきつくきつく締め上げられる感覚。  
少しでも気を抜けばすぐにでもいってしまうほどの快感が二人を襲っていた。  
 
それでもキルルは懸命に性器を半分ほど引き抜くと、再びミララの中に押し込んだ。  
二人は悲鳴を上げた。  
たった一往復しただけでも、初めての二人には十分すぎた。  
強烈な快感に、二人はいとも容易く同時に達してしまった。  
さっきよりもずっと多くの精液がミララの中に注ぎ込まれる。  
ミララは自分の中が熱い熱い液体で満たされていく感覚に、  
キルルは口でしてもらうのとはケタ違いの快感と精液を搾り取られるかのような感覚に、  
それぞれ声にならない悲鳴を上げ続ける。  
 
やがて永い永い射精が終わると、キルルの体重を支えていた両腕の力が抜け、  
ミララの胸に倒れこんでしまった。  
ともに息を荒げ、胸を上下させ、絶頂後の余韻に浸る・・・。  
そんな中、最初に口を開いたのはミララの方だった。  
「キルル・・・ありがとう、ございました・・・すごく・・・いと、よかったです・・・。」  
キルルは未だ息を荒げながらも首をわずかに縦に振り、ミララに応える。  
そんな時、ミララが何かに気づいたようにハッとし、それに続いてクスクスと笑い出した。  
何事かと思い、キルルはミララの顔を覗き込む。  
「あ、ゴメンなさい。  
 実はその・・・さっきし、してる・・・時に私、いと眼をつむってしまって・・・  
 見れなかったんです。キルルの顔・・・。」  
キルルには何のことやらさっぱり分からない。  
眼をパチクリさせている。  
「今まで・・・この数万年、無表情と寝顔しか見たことありませんでしたから、キルルがあんなに  
 いと気持ちよさそうな顔をしてくれるのが珍しくて・・・嬉しくて・・・、  
 だからもっといと見ておきたかった・・・んです。」  
頬を赤らめ照れくさそうに笑うミララに、キルルは呆れたようにため息をつく。  
と、何の前触れもなくミララにキスした。  
キスと言ってもほんの一瞬触れるだけのキス。  
この時のキルルの顔はいつもの無表情であったが、ミララには少し微笑んでいるように見えた。  
「キルキルキル、キルル・・・。」  
キルルはそう言うとミララを抱きしめ、ミララもキルルの背中に腕を回して優しく抱き返した。  
「はい・・・!   
 これからもずっと、ずっと・・・!」  
ミララは嬉し涙と満面の笑みでキルルに応えた・・・。  
これからもずっと一緒・・・。  
これからもずっと二人で・・・。  
 
・・・いや・・・違う。  
 
 
 
・・・いつ寝てしまったんだろう?  
ミララは仰向けの姿勢で目が覚めた。  
眠たそうに目をこすりながら、半身を起こす。  
「・・・私、何でこんな地べたで寝ちゃったんだろ・・・?」  
う〜ん、と起き立ての頭を使って思い出そうとする。  
その理由は案外早く思い出せた。  
思い出したとたん、ミララの顔はまるでトマトのように赤くなる。  
「そ、そうだ・・・私はキルルと・・・キルルと・・・っ!」  
さらにその後の事も思い出した。  
あの後、汚れてしまった体をお互い舐めあってきれいにし、そのまま寝てしまったのだ。  
あまりの出来事に、もしかしたら全て夢だったのではないか?という疑念が頭をよぎる。  
が、それもすぐに違うと分かった。  
なぜなら・・・  
「キルル・・・。」  
・・・ミララのすぐ隣で、キルルが自分に寄り添うようにして眠っていたから・・・。  
だがそれ以上にあの出来事が事実であることを裏付ける証拠があった。  
 
感じるのだ。  
 
自分と、キルル以外の命の気配をこの壺の中に。  
それはとても、とても近い場所から感じる。  
ミララはそっと左の手の平を、着物の上から自分のお腹の上にのせた・・・。  
頬をひとすじの涙が伝う。  
その顔は、例えるなら・・・母親が我が子を見るときのような、優しさと愛情に満ちていた。  
ミララはゆっくりと、天を見上げた・・・。  
「お父様・・・この星、ペコポンにはいと不思議な人達がいるんです。  
 その人達は遠い星の人同士、侵略する側とされる側、敵同士なのに、いと強き絆で結ばれているんです。  
 本当に、本当に不思議な人達・・・。  
 彼らなら多分・・・いえきっとお父様が夢見た、この子が健やかに生きていける星を築けると思うんです。  
 だから・・・どこかで見守っていて下さい・・・。  
 いつかきっと・・・大人になったこの子を紹介しますから・・・!」  
 
これからもずっと一緒・・・。  
これからもずっと二人で・・・。  
・・・いや・・・違う。  
もう二人では・・・二人ぼっちではないのだ。  
この宇宙に強き信頼と友情で結ばれた人達がいる限り・・・。  
 
                             −おしまい−   
 
−おまけ−  
 
「ところでキルル、お腹の中にいるこの子の名前はどうしましょうか?」  
「・・・。」  
「キルルとミララの子供ですから、キルミラはどうですか?・・・ってそれ私達の名前ですね。」  
「・・・。」  
「じゃあミルルというのは・・・牛乳の名前みたいですね。」  
「・・・。」  
「キララ・・・まぶしそうですね。」  
「・・・。」  
「・・・。」  
「・・・。」  
「・・・見てからじゃないと決められませんね。」  
「・・・キル。」  
 
                          −本当におしまい−  
    

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