「隊長・・、ちょっといいかい・・?」  
右手を口に当てて嫌な笑い方をするクルル曹長が珍しく自分から声をかけてきた。  
うわぁ、イヤナヨカーンとかケロロは思ったりしたがとりあえず口に出すのはやめておいた。  
「何でありますか? クルル曹長・・」  
「やっと五人目がそろったよなぁ・・、それでちょっとばかりデータが取りたいんだが・・」  
「ほほう、データといいますとゼロrじゃなかったドロロのでありますか?しかし、それならば合流したときにいただいたはずでありますが・・・?」  
ケロロは不振げに首をかしげる。  
それを見越したようにクルルは例の嫌な笑いをする。  
「いやなに・・、どうやら戦術レベルやらなにやらが上昇してるみたいなんでねぇ・・、新しく作りてぇんだよ・・、ク〜ックック」  
「はぁ・・、そうでありますか、わかったでありまする!・・・でもなぁ、来てくれるかなぁドロロの奴・・・・・・」  
ケロボールをまるで電話のように持ち、ドロロに連絡を取り始める。  
「あ、もしもしドロロ?あのさぁ、ちょっと用があるから家まで来てくんない?え、OK?そりゃよかったぁ!!んじゃぁ〇〇時に我輩の基地に・・・」  
 
「ク〜ックック・・・、じゃあ、五人目が来たら俺のラボにくるように言ってくれよな、隊長・・」  
 
「わかったであります!」  
クルルが怪しい笑、もといいつもの表情でラボの方へ消えていった。  
それから、ケロロがのんびりガンプラを作っていると約束の時間になった。  
その瞬間一陣の風が通る。その後にぶれて見える青い物体・・。  
「おお、ドロロ、来てくれたんでありますな!」  
「ケロロく・・、隊長殿のお願いでござる、侵略の手伝いでなければ拙者はいくらでもお手伝いするでござるよ」  
「ん〜ん、後半が我輩的に納得しかねるんだけどなぁ、まぁいっか〜☆」  
あごに手をあてながら、どう考えても部下に使う口調ではない口調で話しかけた。  
本当はよくない。この場にギロロがいたらケロロは間違いなく消し炭になっていただろう。  
幸い外に出払っていて今はいない。  
「まぁ、積もる話は後に、今日はクルルがドロロに用があるみたいなんでありますよ。  
というわけでクルルのラボに至急行ってほしいのであります」  
「心得たでござる、では!」  
その返事を最後に、一瞬にしてドロロの姿はケロロの前から消えた。  
「はぁ〜、忍者ってのは便利なもんだなぁ〜」  
などと、感心しながら再びガン○ムの歌を歌いつつケロロは製作途中のガンプラに取り掛かった。  
 
暗い部屋にやたら自己主張の激しい建造物、INクルルズ・ラボ。  
「ここでござるか・・」  
この異様な建造物に表情一つ変えないのは流石は特殊活動兵といったところだろうか。  
様々な環境に適することが出来るのは、尊敬に値する。  
はじめてコレを見るものはかるく吐き気がするだろう。  
なにか、得体の知れない生き物の鳴き声を彷彿とさせるインターホンを押す。  
返事はないが、入り口の扉が開く、促される様にドロロは中へ入って入った。  
「いよぅ・・、よく来たな・・」  
コンソールの前に座ったクルルが首だけ向けて話しかける。  
「クルル曹長殿、して御用とは何でござるか?」  
「ああ・・、ちょいとばかりデータを取らせてもらうだけさ・・」  
そういうとクルルはコンソールにある赤いボタンを押した。  
刹那、ドロロの四方八方から触手のようなものが襲い掛かった、しかしあっという間にドロロはそれを斬り落とした。  
「反射神経はいいねぇ・・、ク〜ックック」  
「これ位の事で判断するのでござるか?」  
「いや・・、一つお前に質問するぜぇ」  
「?なんなりと」  
「おまぇ・・雌だろう・・?」  
「ッ!!?」  
いつも無表情に近いドロロの表情が一変した、あきらかにうろたえている。  
「クックックッ、やっぱりなぁ・・」  
「なっ、何を証拠に、拙者は・・」  
「まぁ・・、落ち着けよ・・あまちゃん・・」  
「なっ!?」  
ドロロの両腕両足と絡みつく触手のようなもの・・、先ほど斬りおとしたはずの物がまだ生きていたのだった。  
触手のようなものは完全にドロロの自由を奪っていた、もはや切り裂き脱出することは不可能だった。  
「ただ斬りおとすだけで機能が止まったと思うのは危険だぜぇ・・?」  
理性に絡み付いてくるような嫌な声はますます嫌さをました。  
「まぁ、お前が雄か雌かなんて・・コレを使えば分かるがな・・ク〜ックックック」  
クルルはどこからともなく、銃型の装置を取り出した。  
いつぞや、夏美をラ○化したり、日向家母を子供にしたりした銃にそっくりだ。  
「こいつは開発途中でねぇ、ちょうど試してみたかった所だ・・」  
「・・・・その銃はいったい・・?」  
ドロロは恐る恐る聞いた、クルルの発明のことは聞いているからいったいどんな奇怪なものかと生唾をのんだ。  
「なぁにちょっと細胞の状態を変えて俺らケロン人を地球人みてぇな姿にするだけの代物さ・・」  
「なんとっ!!」  
「で、この銃をお前に使うとどうなるかってことだな・・・・・」  
クルルはためらいなく引き金を引いた、その瞬間ドロロに向けて怪しい光が放たれる。  
「・・・・?」  
もわもわと立ち込める煙がはれた時にはそこにドロロの姿はなく、  
そのかわり、四肢を絡め取られ、身を守るものなど一切身に付けていない碧眼の少女がいた。  
恥らいか、白いほほは赤く染まっている。  
「やっぱりなぁ、雌じゃねぇか・・くっくっく」  
「・・・っ」  
ドロロは何も言うことが出来なかった、今まで隠してきたはずの事が簡単にばれてしまったのだから。  
元が裸なので前が丸見えなのも気にせずクルルを睨み付ける。  
「まぁ、そう怖い顔するな・・、かわりに気分よくしてやるからよ・・」  
「あっ!?」  
背後の妙な違和感にドロロは思わず悲鳴を上げた。  
「ん?前のからの方がよかったかい?」  
「!!???ぽっ地球人は、こっこんなことするの・・でござるか!!?」  
クルルは少し考えているようだったが、少しして平然とうなずく。  
・・・、僕の知らないことが地球は多すぎるよお母様・・・半分泣き顔になりながら故郷の母を思ったドロロだった。  
 

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