先程よりも更に大きく怒張した陽根が、再び薫の菊門に押し付けられる。  
薫は『なにか』を精一杯睨みつけ、吐き捨てる様に言った。  
「…好き…に…しなさい……よ…!」  
「イイ覚悟ダ」  
その言葉が終わるか終わらないかの内に、薫の菊門の中に陽根が物凄い勢いをつけて突き進んできた。  
 まるで布を引き裂く様な音が菊門のあたりから響いたと同時に、薫はあまりの激痛に絶叫した。  
「ひぎぃああああぁぁぁぁぁ!!!!」  
 全く濡れていない固く閉じた菊門は、巨大な陽根が力づくで侵入することによって、内に外に幾重もの恐ろしい裂傷を生んだ。  
 その侵入の衝撃に薫は全身の筋肉を硬直させ、弓なりに仰反り、びくんびくんと大きく震えだした。  
薫と『なにか』の繋ぎ目からは、後から後から鮮血が吹き出ている。  
『なにか』は何の遠慮も無しに、狭い薫の中で激しい律動を繰り返す。  
「…ひぐうぅぅ…うぐぅ…ぎいぃ…」  
薫は気が狂いそうな激痛の中、断続的にかすれた悲鳴を絞り出していた。  
やがて流れる鮮血で滑りやすくなった為か、律動が目に見えて速く強くなっていき、『なにか』は薫の顔のすぐ上で野獣の唸り声をあげている。  
そんな地獄の責め苦が続く中、薫は固く眼を閉じて必死に悲鳴を抑え、自分の愛しい人の名を呼び続けた。  
「…あ…おし…さ…ま、…蒼紫…さ…ま…、蒼紫…様…、蒼紫様…」  
『なにか』では無い、蒼紫の背中に腕を回して抱き締めたいと思ったが、両腕が折れていて動かないのでもどかしさが増してしまった。  
しかし、薫は諦めずに身体中の力を振り絞って頭を持ち上げると、蒼紫の頬に自分の頬をぴたとくっつけた。  
そうすることによって例え痛みが増そうとも、蒼紫と頬を擦り合わせている方が痛みを忘れられると、薫は信じていた。  
「…あ、蒼紫様…蒼紫様……大好き…です……」  
未来永劫に続きそうな苦痛とほんの少しの幸せを感じつつ、薫は薄れゆく意識の中で、野獣の咆哮を聞いた様な気がした…  
 

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