「お前、抜刀斎に愛されてはいないようだな」
孤島での夜。
いつものように夕食を運びに来た薫に縁が話かけて来た。
「!!なっ!!それどういう意味よ!」
怪しい笑みを浮かべながら、無神経な言葉を言われた薫は当然怒鳴る。
「わからないのか?昼間、黒星から聞いただろ。抜刀斎が復活したと。
つまり、お前の死体を見ても悩んだ挙げ句、開き直る。自分のせいで巻き込まれた
者をそっちのけにして、自己完結。
道徳的な正義しか言えない奴がお前を愛するのは無理だったようだな」
「そ、そんなのあなたの勝手なこじつけじゃない!」
(剣心は……私の為だけじゃなくみんなの為にも……
――――――――――………みんな……?)
「自分が本当に愛されているとでも思ったか?
抜刀斎は確実に姉さんのコトを今だに引きずっている。」
淡々と楽しそうに且つ、まるでからかうように語る縁。
薫は困惑する。
確信を迫られている。
こんなこと今まで考えたことはなかった。いや、考えたくはなかった。
剣心に人の命の重さを刻み込まれた巴惨殺の一件。
このコトを聞いた瞬間、悲しみと不安が薫の中では過っていた。
そして、只々、剣心を流浪人へと変えた巴の存在の大きさに少なからず嫉妬
していた自分を改めて確認させられた。
(私は愛されていると勝手に自惚れていたの……?)
「抜刀斎にとってお前の存在など、姉さんの足下にも及ばない。
本当に愛しているのなら、悲しみと自分の腑甲斐無さを責めて生きる気力も
なくなる筈だ」
「やっ…ヤだぁ…」
「そんなこと言っても、体は正直だな」
差し込んだ指が、流れ出る潤みを絡みとってゆく。指が動くたびにでるはしたない
水音が、薫の耳にも届いた。
「お前もまた、抜刀斎でなくてもいいんだ。女はより良いものを選ぶ…ただ、現れた
強い男が抜刀斎だっただけ」
「ちがうっ…私は剣心が好きなの!!あんたなんかにっ…」
「じゃあ、これはなんだ?」
薫の中に入っていた指が慎重に引き抜かれ目の前に突き出された。
そこにはたっぷりとてらてら光るものが絡み付いていた。
「そ…それは…」
「言い訳できまい」
縁は勝ち誇ったように笑った。
「ひやふっ…ひやっ(いやっ)!!」
そのぬめる指先が、薫の口内に押し込まれた。口の中に広がる自分の愛液の味と嘲笑が、
薫の顔を屈辱の色で染め上げる。
「いい顔をするじゃないか…」
悔しさで、涙がにじんでくる。それがいっそう、縁の被虐心を煽るのだ。
(さあ…このことを知ったあの男がどんな顔をするか…あらん限りの手で辱めなくては…)
そう考えると、縁の脳裏に、淫猥な考えが浮かんだ。
「さあ、この部屋を出るぞ」
そういうなり目隠しをされ、手も足も縛られて抱えあげられた。
目隠しを取られた薫は恐る恐る目を開けた。
真上は、蝋燭のつたない明かりが照らした煉瓦の天井。重苦しい空気。
(何ここ…地下?)
続いて見下ろした真正面の鏡には、見るのも恥ずかしいあられもない自分の姿があった。
椅子の上に載せられ股を割り開かれて固定されているため、その恥ずかしい部分を隠すことのできない。
猿轡をかまされ、真っ裸の肌には太い縄が幾重にも食い込んでいる。
「よく似合っているゾ」
「ん…んん!!」
どうにか口を開こうとするが、猿轡が邪魔をして声を出すこともできない。
(嫌…いやっ!!!)
「ああ…震えているな。心配するな、すぐ良くなる…」
弄ぶ言葉と共に、縁の指先が薫の肌に伸びる。豊満な胸の頂をつまみ上げると、
薫の体がびくりとはねた。
「ほう…娘の割には敏感だな。なかなか楽しめそうだ」
胸を撫で、唾液をねっとりと絡みつけられる感覚は、鳥肌が立つほどにおぞましい。
なのに、それなのに、蕾からは絶えず愛液があふれた。
「もうグチョグチョじゃないか…ここに来てから抜刀斎を想っていじったりしていたのか?」
卑猥な言葉を浴びせ掛けながら、縁は再び指を薫の中へ納めた。
「ん…!」
びくりと体が硬直し、乳首がそそり立つ。雪白の肌の上に映える桜色のそれを縁は思いっきり強く噛んだ。
「んぐっ!!」
どうにかしようともがく度に荒縄は肌に食い込み小さな掠り傷をつける。
今や涙で顔は崩れ、自分に立ち向かった時の凛とした美しさも完全に失せ、淫らな姿が有るばかりである。
赤子の手を捻るように簡単に堕ちて行く姿が、縁には愉快でならなかった。