るろうに剣心  

仲間との別れから一週間。  
神谷道場での二人の生活も落ち着いてきた。  
「結局また二人になっちゃったね。」  
「そうでござるな。」  
穏やかに流れていく時間。  
度重なる死闘の末に勝ち取った安息。  
剣心の胸の内はこれまでに無いくらい満ち足りていた。  
しかし薫はまだ少しつっかかるところがあった。  
剣心の物憂げな表情を帰ってから何度も目にした。  
今にも消え入ってしまいそうなその表情。  
いつも気丈で明るい薫も、この表情を見ると不安になる。  
(何度も見たはずなのにな、この表情・・・。)  
家に来てからというもの、自分ひとりで何でも背負い込もうと  
する剣心は、こういった表情をしながらいつも一人で考えこんでいた。  
今までの半年間で、いろんなことがあった。  
何度も別れ、引き離され、心休まる時などほとんど無かった。  
それに比べて今はこの上ないくらい幸せなはずなのに・・・。  
薫の心は晴れなかった。  

丸い月が空にかかっている。  
風の音の他には何も聞こえなかった。  
薫は昼間考えていたことを引きずって、なかなか眠れないでいた。  
(水でも飲んでこよう・・・)  
起き上がって廊下に出ると奥の方で剣心が腰かけてい月を眺めていた。  
ーあの物憂げな表情で。  
ためらったが声をかけずにはいられなかった。  
「剣心。」  
それに気づいた剣心が振り向いた。  
「・・・薫殿?どうしたのでござるか?」  
いつもの剣心。  
ずっと気にかかっていたこと、今なら・・・  
「ねえ、一体何を考えてたの?」  
「・・・?どうしたのでござるか?」  
「あのね・・・」  
薫は全てを話した。剣心の表情で不安になること、  
幸せなはずなのになぜか心が晴れないこと・・・。  

「そうでござったか・・・」  
剣心が優しくささやいた。  
「拙者はただこれまでのことを思い出していただけでござるよ。」  
「どんなことを?」  
「ここ半年のことをでござる。思えばいろんなことがあって、  
 その度に薫殿の存在に助けられた・・・」  
薫は目を丸くした。  
「私が?」  
「ああ・・・今まで勝てたのは薫殿がいたからでござるよ。  
 そして今も・・・薫殿と一緒にいられるだけで拙者は幸せでござる。」  
この言葉で、薫の心は軽くなった。  
もう不安も迷いも無い。  
「ねえ剣心、これからは勝手にいなくなったりしないで。  
 ずっと一緒にいてね。」  
剣心も微笑みながら言った。  
「ああ・・・ずっとそばにいるよ。」  
「嬉しい・・・」  
明るい月明かりの元で、二人は唇を重ねあった。  

「ねえ・・・お願いがあるの。」  
「なんでござるか?」  
「今日は剣心の部屋で寝ていい?」  
剣心は少し驚いたようだがまた微笑んで言った。  
「ああ・・・おいで。」  
剣心は手のひらを差し出した。薫はその手をとった。  

剣心の部屋までの距離はずいぶん長く感じた。  
心臓の高鳴りが激しくて、剣心に聞こえてしまいそうだった。  
剣心の部屋の障子が開いた。もう布団が敷かれていた。  
剣心は薫にもう一度を接吻した。  
今度は激しくて強い。  
薫は急に体が熱くなり、その場で崩れてしまった。  
剣心は優しく薫を抱き起こし布団の上に座らせた。  
剣心も戸を閉めてかをるの向かいに座った。  
「本当に良いのでござるか?」  
「うん。」  
薫ははにかみながら答えた。  
剣心は薫を抱き寄せ優しい口付けをした。  
体中が徐々に熱を帯びていく。息苦しいけどこれまでに無いくらい  
幸せな気持ちになれた。  
薫を強く抱きしめていた右手ほどけ、指が首筋をつたい始めた。  
くすぐったいが、それとは違う別の感覚を感じた。  
その指が少しずつ下っていく。項、鎖骨。  
指に着物が触れると、剣心はそっと着物をずらした。  
崩れた着物はずり下がり、薫の上半身があらわになった。  
障子の隙間から差し込む光で薫の体は暗い室内にくっきりと  
浮かび上がった。  
ようやく唇が離れた。薫は冷たい夜の空気を荒く吸った。  
剣心は首筋をなぞった。今までは苦しくて気づかなかったが  
剣心も自分と同じくらい体が熱い。  
剣心の唇は肩から肘、それから手首へと移り、手の甲で止まった。  
それだけで薫の熱がさらに上がり、少しずつ思考が働かなく  
なっていった。  
ゆっくりと胸を撫で上げられると、胸の芯がしびれた。  
「あっ・・・・」  
どうやったら出るのかわからないような声が体の奥から響いてくる。  
もっと触れて欲しくてたまらない。  
無意識に薫の両腕が剣心にしがみついた。  
剣心も察しがついたようだった。今度は乳首で胸をこすり始めた。  
体が勝手に反り返ってしまう。  
「あんっ・・ああっ・・・んんっ!」  
静かな寝室に喘ぐ声が響いた。  
乳首をつままれると痛みにも似たものがはしった。  
甘い痺れ。そのまま舌先でくすぐられると、快感とともに  
じれったさを感じた。  
局部がだんだん熱を帯びていくのがわかる。  
剣心の指がゆっくりと腹をつたって下に動いていく。  
邪魔な帯をほどき、薫はいまや完全な裸になった。  
剣心は薫を仰向けに寝かせた。  
陰毛を掻き分ける指が次第に下り、敏感な部分に触れた。  
その小さな突起を優しく擦ると、声をあげながら  
身悶えした。さすがに恥ずかしくて手で顔を覆った。  
剣心はそんな薫の姿を愛しく思った。  
「剣心・・・見ないで・・・」  
「可愛いよ、薫殿・・・」  
薫の手をどけると、額にそっと口付けをした。  
体のこわばりが嘘のように消えた。  
「続けるよ・・・」  
今度は割れ目を押し広げて少しずつ指を入れていく。  
そして激しく内側を擦り始めた。  
指を突き上げられ、薫はなにも考えられなくなった。  
何度も何度も突かれ、透明な蜜が溢れ始めた。  
同時に淫靡な音がひびきはじめる。  
クチュ・・・くち  
さすがの薫も腰をくねらせながら耐えるしか無かった。  
熱くて、痛くて、気持ちいい・・・。  
「もうだめっ・・・剣心っ!」  
ついに薫は絶頂をむかえた。  
それに気づいた剣心はゆっくりと指を引き抜いた。  
それからしばらく薫は何も考えることが出来なかった。  
剣心は薫を気遣って言った。  
「今日はもう止めにしておこうか。」  
しかし薫は拒んだ。  
「このまま最後までしよう。私は剣心に抱かれたい。  
 ひとつになってあなたを受け入れたい・・・」  
剣心は薫を強く抱きしめた。  
「・・・続けよう。」  
剣心も着物を脱いだ。  
そしてゆっくりと重なり合った  
剣心は薫に優しい口付けをし、薫の足を開いた。  
しばらくの間見つめあった。  
「辛かったら言って。無理することは無いでござるよ。」  
「うん。来て・・・さあ」  
入り口に熱いものが触れた。  
そしてゆっくりと中を進み始めた。  
痛い。これまでに無いくらいの痛み。  
「あっ・・・イッ・・・」  
中が熱い。ゆっくりと何かが進んでいるのがわかる。  
「剣・・・心・・・」  
動きが止まった。  
「全部入ったの?」  
「ああ・・・動かすでござるよ。本当に無理はしないで。」  
「うん。」  
今、自分は剣心と一つになっている。  
そう思うと痛み以上の喜びが湧き上がってくる。  
剣心がゆっくり動き始めた。  

痛みは予想以上だった鈍い痛みを何とか耐えながら  
薫は夢中になって剣心にしがみついた。  
痛みと快楽の中で時折目を開けると、剣心は  
薫の中で切なげに悶えていた。その憂いた瞳が  
この世のものとは思えないくらい綺麗だった。  
動きがどんどんと速まっていく。  
もう終わりに近いことがわかる。  
「・・・っつ・・・あ!」  
剣心が始めて喘ぎ声をだした。  
その瞬間に薫の中に熱い液体が放たれた。  
剣心は薫の上に崩れた。  
そしてもう一度接吻をした。  
なんて幸せなんだろう。  
「これからは・・・ずっと一緒にいようね」  
照れながらもう一度言った。  
「ああ・・」  
剣心も微笑んでいた。  

空にかかる月が2人をやさしく照らしていた。  

 

もうどの位経っただろうか。木の葉の音だけが夜空に響いている。  
剣心は薫を腕に抱きながら浅い寝息を立てている。  
薫は下腹部の痛みと止まない鼓動で眠れずにいた。  
しかし、満ち足りた幸福が薫の心を包んでいた。  
ふと見上げると剣心はこれまでに無いくらい安らかな顔  
をしていた。  
いつもどこか悲しげだった表情が嘘のようだった。  
――たまらなく愛しい。  
そっと顔の手を伸ばした。頬に少し指が触れた。  
剣心の目が開いた。  
「眠れないのでござるか?」  
優しい声が聞こえた。  
「うん…何だか信じられなくて…」  
「何がでござるか?」  
「こうして一緒にいられることが。だって今までいろんな  
 ことがあって、その度に離れ離れになっちゃったから…  
 今はすごく幸せよ…。」  
剣心も幸せそうな笑顔を浮かべた。  

剣心も語り始めた。  
「拙者もでござる。今までいろんなことしてきたから、  
 どんな不幸に見舞われることも覚悟してきた。  
 だから薫殿とこうしていることがまだ信じ難いでござるよ。  
 ――幸せすぎて…」  
剣心の言葉が胸に響いた。また表情に憂いが混じった気がした。  
今度は薫が剣心を抱きしめた。  
「剣心はもう十分苦しんだよだからこれからはその分幸せになろう」  
剣心の表情が戻った。薫が笑った。剣心も笑った。  
そしてもう一度熱い口付けを交わした。  

深い絶望に捕らわれているこの人に明るい光をもたらす。  
孤独から解き放ち、沢山の安息と愛を与える。  
そんな自分でいられたらいい―――…  
      
               終わり。  

 
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