無防備な背中を撫ぜる『何か』
「ひぎゃあっ!!!」
・・・・・・なんだ、雑草か
「ふぅ・・・」
落ち着け、落ち着け、と心に念じて再び隠密行動に戻る
夜の闇に紛れ、こっそりと、誰にも見られていない事を確認し、正面入り口から建物内部に忍び込む
周囲に気を配りながら、入り口をくぐった瞬間、視界の隅に、壁の裏に隠れていた旗持ちの男の姿を確認する
しまった・・・見張りか、ダメだ、見つかった・・・こちらに気付いた旗持ちが手を上げて─
「あ、お疲れ様でーす」
「・・・(ぺこり)」
『フフフ、バーカバーカ』
見つかった時の為に作業服に着替えておいたのが功を奏した
どうやらこの建物は改築中のようで、作業員が度々出入りしている
変装して作業員に紛れ込めれば、と考えたのだ
暫く建物を見回って、大体の間取りは把握した
罠や監視カメラが異常に多く、また効果的に配置されている
あの変態男、方法は分からないが貨物船の時に自力で脱出してたし意外と実力派なのかも・・・
『おろ?』
【新白連合関係者以外立ち入り禁止】
その看板の後ろには階段が、しかも一階だというのに下に向かって
『地下まで手を伸ばしてるとは・・・』
どうする?危険だ・・・新白連合の関係者以外入れない、ということは作業員だと言い訳をすることも難しいかもしれない
しかしそれだけにリターンも大きい
欲しいのはこんな間取りだとかいう情報だけじゃない、もっと中枢の機密情報だ
このまま帰ったって手ぶらに近い・・・この先に行けば間違いなく何か分かる・・・だったら
『すぐ逃げれるように・・・』
煙球をポケットから取り出し、何かあったらすぐ使えるように・・・
誰も見ていない事を確かめて階段に足を向ける
「同士諸君よ、よくぞここまで作ってくれた、この部屋は新白連合の大きな力となるであろう
俺様は今、心の底から感動している、諸君のたゆまぬ努力によって、新白連合は今、更なる発展を遂げ─」
地下にはすぐにドアに行き当たり、中からはあの宇宙人の演説染みた声が響いている
何かが完成・・・したのかな、そんな内容だ
『ちょっとだけ・・・』
ドアノブを・・・静かに、少しずつ下ろし、音を立てないように、ほんの少し開けて、中腰で中を覗き見る
『・・・?』
なんだろう、黒い・・・真っ黒・・・で・・・あれ?制服?
視線を少し上に上げると、そこには、口が耳まで裂けたような笑いを顔に張り付かせた宇宙人がこちらを見下ろしていた
「お客さん、中を見たいなら入ったらどうだ?」
「っ!!」
即、煙球を地面に投げつけ、場を離脱する
『見つかったー、見つかったー!!見つかっちゃったー!!』
捕まったら・・・自分も船で・・・否、あの宇宙人ならその程度じゃ・・・
地下の廊下を全力で走る、走る、走る、今はとにかくここから生きて帰りたい帰らせてください神様
そしてカドをまがり、階段に一歩踏み出したところでフリーズした
「・・・・・・」
階段の上にローブのような珍装束の大男が・・・確かこの男は、裏切り者の拳豪・・・
待ち伏せ・・・されてた・・・
「ララァ〜ッ♪
ここは通しませんよお嬢さん」
しかし脱出口はここしかない、ここを通らなければ逃げられないのだ
「う、うわぁぁぁぁッ、この、コノォォッッ」
半ばヤケ、頭が真っ白なまま
電撃警棒を思いっきりこの男に叩き付け、男は真正面から警棒を食らって、私の記憶はそこで途切れた
「ララァ〜♪
窮鼠猫を噛む、の言葉どおり、必死の覚悟で向かってきたあなたの一撃、新たなメロディ〜がおりてきましたぁ〜っ」
煙の中から、ぞろぞろと宇宙人とその他大勢が出現する
「おい、やろうども、運べ、このネズミが見たがってた部屋を見せてやれ」
「ハッ」
変則カウンターによって倒された女は、今走ってきた道をまた戻る事になる
今度はドアの向こう側まで
泥のように眠っていた私が覚醒したのは・・・
「オラ、そろそろ起きろ首絞め女」
こんな声と一緒に浴びせかけられた冷水
「冷たっっっ」
目の前には青いプラスチックのバケツ、何が起きたか瞬時に理解する
それと同時に眠る前の記憶もまざまざと蘇る
文句の一つも言ってやろうかと思ったが・・・あれ?なんだろう、この気持ち悪さ不自然さ・・・
というかなんか・・・さかさまだ・・・
地面が上で・・・下に顔が見えてみんなの足が目の前に・・・
「・・・!?・・・!?
ち・・・血が・・・血が頭にのぼる〜・・・何よこれぇ〜・・・」
「ふはははは、どうだ気に入ったか?」
ガラガラガラ・・・という音と共に世界が逆転する・・・
うえ、目がまわる、吐き気がする・・・なんか肩の辺りが痛い痛い痛い痛い痛い痛い
そして、さっきは足しか見えなかった男達を見上げる形で、顔を確認する事ができた
「この変態宇宙人、何よコレ!!」
「変態・・・まだ自分の立場が分かっておらんようだな」
宇宙人の手がわたしの首に当てられ左に押すとそれに従ってガラガラガラと世界が・・・
「ぎゃ〜〜〜〜」
世界が一回転して元に戻る、その頃には私の頭はく〜るく〜ると・・・
視界の端っこに笹持ったウサギと蛙が・・・すぐに消えた
あー・・・なるほど・・・段々状況が飲み込めてきた
要するに今はクルクル回る丸い台座に縛り付けられてるみたい・・・
質感からして鉄か銅か・・・到底破壊できるような代物じゃないなぁ・・・
手は顔のすぐ横に、丁度どこかの映画で警官に「手を頭の後ろにあげろ」と言われたヤツがやるような形
足は大きくガニ股、ひざと股関節を思いっきりまげて大きく開いた形
手足全部に4〜5個の皮製ベルトできつめに縛ってある、滑り落ちる心配は無さそうだ
しかし全く腕や脚は動かせない 手や足の指を動かす程度なら問題ないが、体を揺する事すらできない
(んー・・・)
自力脱出:不可能
宇宙人:何をするか分からない
最低ライン:少なくとも貨物船に載せて密航させられる
結論:ゲームオーバー
(短い人生だった・・・)
また視界の隅に笹を持ったウサギと蛙が・・・
パタパタと触覚を揺らしながら新島が口を開く
「さて、小娘、まずは色々と唄ってもらおうか、今ロキはどこにいる」
・・・・・・・・・・・・
「知らないよっ、私はロキ様の手がかりがここにないか探しにきただけなの!」
次に来るあの回転、視界が回る責めを予想し目をギュっとつぶる
・・・・・・・・・・・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ あれ?
「そうか、知らないのか、んじゃあいいや」
・・・あれ?
やけにアッサリ引き下がったな・・・ここで何か色々情報を聞き出そうとかそういう事じゃないの?
このヘンな機械も喋らせるための道具でしょ?
首をかしげていると、宇宙人の口からキキキ・・・と含み笑いが漏れ出てくる
「んじゃあ野郎ども、本番だ」
その一言で、周りに待機していた親衛隊が、わたしの縛り付けられた台座の横から次々と何かを取り出していく
この位置からだと、カチャカチャという音は聞き取れてもそれが何なのか見えない
「えっ、えっ、本番って何!?何するの!?」
「くっくっく、野郎ども、かかれぇ!!」
新島の号令と共に、男達が群がってくる
「ひっ」
冷たい鉄の感触に思わず声が出る
そして胴体の辺りから聞こえてくる「ジャキン」「ジョキジョキ」という音・・・まさか・・・
「やめろっっ、何するんだっ、バカ、やめろっっ変態!!!コラ、変態、やめろってってるのが聞こえないの!!!」
必死で叫んでどうにか食い止めようとするものの、ムダな抵抗すら出来ないこの状況だ
ただジョキジョキ、という布を裂く音を、指をくわえて見ているしかない
「こらっ、胸に触るな・・・気持ち悪いんだよ・・・今すぐやめたら許すから・・・うぅ〜」
そういった魂の叫びを軽やかにスルーしながら作業は順調に進み
そして、男達が、皮の拘束具の下に挟まっていた布の残りを引き抜き、一連の作業を終えて離れると
そこには、パンツ一丁という格好で取り残されたわたしが・・・
「変態・・・これだから男なんて・・・男なんてぇ・・・グすッ」
ヤバい・・・恥ずかしさでちょっと涙声に・・・
「総督、武装解除作業完了しました」
「おう、ご苦労」
「ふざけないでよ・・・何が武装解除よ・・・服返してよぉ・・・もうお家帰るぅ・・・」
「切った服じゃ返してもらっても意味無いと思うぞ?まぁいいじゃないか、大反響だ」
「この心底嫌がってるのに隠せないところがいいな」
「はぁ・・・はぁ・・・十分オカズになる・・・いや・・・わしは神聖なる連合旗を持つ手を汚すわけには・・・」
「全部剥ぎ取るより一枚だけ残すってところが流石だよな総督」
「ヒョウ柄のパンティって・・・大阪のオバチャンか・・・?」
「いやまて、ありゃヒモパンじゃぞ、ヒモを解くだけで・・・」
あちらこちらから興奮し、下卑た声が聞こえる
「ほれ」
新島が見下しながらあざ笑う
「さて、いつだったか俺が捕まった時と同じ格好になってもらったわけだが、今の気分はどうかな?」
「あの時は自分で脱いだんじゃないか・・・『露出魔宇宙人』・・・」
ピキィィッッ・・・嘲り笑う笑顔が凍り付く新島
「ほぉ〜・・・」
「な、なによ・・・」
凶悪な悪人顔を目の前まで近づける宇宙人
そしてその手を、私の胸に伸ばして・・・
「も〜みもみもみもみもみもみもみもみもみもみ」
「〜〜〜〜〜〜〜ッッ」
「あの時」と同じ奇声をあげて、直に乳房を揉まれる
私はあまりの出来事に声をあげる事すら出来ず・・・暫く固まった後・・・ただ頭突きを繰り出していた
「ぶわぁっっっ!!」
顔を近づけ過ぎた新島に、ヘッドバットは見事にクリーンヒット、宇宙人は仰向けにひっくり返った
「大丈夫ですか、総督」「しっかりしてください」
第六拳豪とか取り巻きが新島の周りに集まっていく、ちょっと爽快な気分
「ぐぬぬぅ・・・」
しかし、新島の恨みがましい目を見た瞬間、私の冷静な部分が浮ついた部分をどこかへ吹き飛ばした
悪いのは100%あちらだ、そこだけは譲れない
しかし・・・やった事といえば火に油だ
「命が惜しくないと見えるな・・・小娘〜・・・」
「あ、あの・・・やっぱ今の・・・」
「じゃかーしー、黙れ黙れ黙りおろぉ〜う」
宇宙人は八つ当たり同然のように私のパンツを、むしりとった、力任せに剥ぎ取った
固結びにもしていない紐は、驚くほど非力な腕力でも呆気なく結びを緩め、秘所を晒す事になった
「ーーーーーーーーーーーッッ!!」
私の悲鳴が部屋中に響き渡る
しかし宇宙人の暴虐は、それだけでは終わらなかった
そのパンティを、あろうことか私の口の中に突っ込んだのだ
「ムグーッッ!!?」
悲鳴を上げていた私の口の中に、思いっきり侵入してきた布の異物
声を出そうとしてもくぐもった声がもれるだけだし、舌を動かして出そうにも、布の塊はとらえどころがなく、すぐに舌の方が疲れて音をあげた
もう、声すらも出せない
押しつぶされた蛙のような体勢のまま、本当に何一つできない
秘部を曝け出して、男の、舐めるような視線を全身に感じながら・・・
まだ怒り心頭の新島は、じっくり甚振るつもりだったが、少し予定を早める事にした
「ちょっとアレ持ってこい、確か2階の俺の部屋の冷蔵庫に入れてあるから、急ぎで」
取り巻きの一人が、小走りで部屋のドアの奥へ消えていった