「岬越寺師匠、医は武に通ずると聞きます。  
よろしければ教えていただけないでしょうか?」  
岬越寺師匠に、かしこまってお願いした。  
 
「馬師父、あってはならない事ですが、友が傷ついたりした時のための  
止血や簡易麻酔の方法を教えていただけないでしょうか?」  
針を専門とする馬師父にもお願いした。  
 
「しぐれさん、飛び道具に対処するには己で使ってみるのが一番だと思います。」  
吹き矢も使ってみたかったのだが、基本となるクナイ投げを教えてもらうことになった。  
 
 
それが数ヶ月前  
 
 
そして数週間前には、それぞれの師匠より  
まだまだだけど、十分実践で使えるレベルというお墨付きをもらった。  
 
十分実践で使えるのならばと、  
一悶着あったが馬師父にツボの秘伝書を借りれることになった。  
 
気づかれずに下地は済んだ。  
後は実践で使うだけだ。  
だが実際に使えるのかどうか今ひとつ心配である。  
テストを行っておきたいが・・・。  
 
町を歩いていると20号に遭遇した。  
新白連合対ラグナレクは廃工場において終結してはいるが  
ロキとの件があるので相手がこちらに気づくと同時に険悪な顔をする。  
これは好機と心の中で思った。  
誘うように路地裏へと移動する。  
後ろからゆっくりと移動してくる雰囲気が感じ取れた。  
奥へと入り込んだ瞬間に物陰へと体をすべりこまして、  
懐から2本針を取り出す。  
追ってきた20号を確認して、、  
一本は体の動きを止めるツボへ、もう一本は声を封じるツボへと順に投じた。  
 
20号は刺さったという事を気づいてはいないが  
自分の体に違和感を感じたのか戸惑っている表情を見せる。  
しかし既にどうすることもできないようだ。  
 
裏路地ではあるが、人が来る可能性もある。  
数本20号に針を刺し、実験体となってもらった。  
結果だけを確認すると20号の体より針を抜き取りその場を後にした。  
 
 
連華編(上)  
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テストの結果は十分満足のいくものだった。  
 
これからが本番だ。  
だが「達人」であるしぐれと常に「達人」の目がある美羽はまだ手を出さない。  
危険を冒してまでする必要がないからだ。  
気づかれなければチャンスは必ず来る。  
一緒に住んでいるのだから。  
 
ハウトゥーシリーズ「女の子の上手な扱い方」に挟んである一枚の紙を抜き出した。  
 
風林寺美羽 香坂しぐれ 南條キサラ  
泉優香 鷹島千尋 小野杏子 20号 フレイヤ  
・・・  
 
名前のリストから獲物を探していく。  
リスクが少なくて且つ最初なのでうまみのある奴がいい。  
 
馬連華に目が止まった。  
他の奴とは異なり、住んでいる地域が異なる。  
気をつけなければならないのは馬師父だけだが、  
馬師父自身は連華を避けている節がある。  
リストを本の中に挟みなおした時に、  
自分の口が笑っているのに気づいた。  
 
「連華さん、もう少しで新しい技を身につけれそうなのですが、  
美羽さんでは行き詰まってしまって・・・。  
手伝ってもらえませんか?」  
逆鱗飯店で中華料理を食べながらウエイトレスとなっている連華に話しかける。  
「美羽」という言葉に対抗意識を燃やしたのかあっさりとOKが出る。  
「兼一、仕事が終わったらすぐ行くからここで待ってて」  
と地図と鍵をもらった。  
 
地図の場所に言ってみると連華の住んでいるアパートだった。  
タンスの中をあさってみようかとも葛藤したが、  
天使兼一の「ここで失敗を冒すのはまずい」との案に敗れ、  
秘伝書の反芻やイメージトレーニングを行った。  
 
「流石兼一ね」  
座って集中している兼一の背中から連華の声がした。  
勘違いしているだろうが、訂正するつもりはない。  
「そんなことは・・・」  
照れた風に立ち上がり、何食わぬ感じで連華に近づく。  
左手の服の袖から針を取り出し連華の体へと刺しこみ直に抜く。  
微笑みかけると気づかれた様子もなく照れながら顔を背ける連華。  
 
「どうしたのですか?」  
無理やりこちらを振り向かせようと肩に触れた瞬間、  
連華の髪(?)がぴくんと跳ね上がった。  
 
「兼一・・・」  
体温が上がっている感じになってはいるが、  
恐らく自覚して居ないのだろう。  
連華の頬に右手を添えてみる。  
体が震えている。  
先ほど刺したツボは「性欲を増大させるツボ」  
そして今から刺すのは「感度を上げるツボ」  
「連華さん・・・」  
右手は連華の頬に触れたまま、ゆっくりと顔を連華に近づける。  
拒否する様子もなく、それどころか震える唇とゆっくりと閉じられるまぶた。  
キスをするのとほぼ同時に左手の針が体の中へと沈んでゆく。  
舌を使い連華の唇を開かせる。  
兼一の意図を読んだのか同様に舌を出してくる。  
お互いの舌が絡まった瞬間、連華は膝から砕け落ちる。  
既に針を抜き取った左手で連華を支える。  
支えながらも強引に口の中を舌で蹂躙していく。  
 
時間にして数分程度・・・しかし連華の口内ほぼ全てに舌を這わすには十分な時間。  
既に自力で立つ事すら困難になっている。  
唇を離したとき、連華の唇から吐息が漏れる。  
 
連華の右手の下に入っていた左手を奥へと押し込み  
頬に置かれていた右手を連華の膝裏に入れて、  
一気に持ち上げる。  
目が合ったので微笑むと、潤んだ瞳で答えてくれた。  
 
ベットの上にそっと置くとそのまま首元を捕まれ、  
連華からキスをしてきた。  
むさぼる様にキスをしてくる。  
 
ここまではイメージ通り。  
今度は右手の袖より針を取り出し「性欲を解き放つツボ」へと刺す。  
 
連華は未だにむさぼる様に兼一へとキスをしてくるが、  
取り合わない兼一に対し震える声で  
「兼一・・・」  
と問い掛ける。  
「連華さんがあまりにも可愛かったからついキスをしちゃった。  
けど・・・」  
「お願い・・・」  
ぎりぎりの所で耐えているのだろう。  
「まだ誰が本当に好きなのかもわからないから」  
兼一の首を逃がさないように持ったまま、いやいやをする連華。  
じっと連華の瞳を見つめる。  
右手の奥で連華の下半身が何かを探すように動いているのは既に気づいている。  
「遊びでも、オモチャでもいいからして・・・」  
耐えかねた連華がもらした言葉。  
しかし欲しい答えはそれではない。  
連華の表情を見つめる。  
時折連華の唇から漏れる吐息が、少しの衣擦れでも感じている証拠だろう。  
助けるように兼一が連華に問い掛ける。  
「本当に好きな人とならしたい。でもそれは今はまだ誰かというのがわからない。  
遊びなどではお互い傷つくだけだし・・・。相手が奴隷とかなら別だけどね」  
はっとした表情を浮かべる。  
だがその表情も一瞬のうちに上気した顔へと戻る。  
「奴隷でもいい。だからお願い」  
とっくに限界を迎えている連華に選択の余地はなかった。  
 
落ちた。だがまだ・・・。  
 
意地が悪そうな表情で連華へと問い掛ける。  
「奴隷になるの?じゃあ言葉使いからなおして欲しいな」  
 
 

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