某日梁山泊は母屋、美羽の自室のまえ。  
美羽が自室に閉じこもってから、もう半日。  
閉ざされたドアの前で、兼一は頭を抱えて呻いていた。  
 
「こんなコトがほんとうにあるなんて…  
 こんなヒドイことが、美羽さんにおきるなんて…」」  
 
狼狽する兼一に、ある人物がやさしく声をかけてきた。  
 
「おいちゃん自身もね、いまだ信じられないよ。  
 漫画や映画の世界だけで起きることだと、思ってたからね…。  
 だけど、ほんとうに起きちゃったんだから、しかたがないね。  
 でも安心するね。  
 秋雨どんが言ってたよ。  
 あと三日ぐらいで、ぜんぶ元に戻るってね。」  
 
と、ナニヤラ不気味な日本語をしゃべるこの人物。  
じつは、馬剣星ではない。  
なんと美羽である。  
正確には、「美羽であった人物」と、言うべきか。  
秋雨によれば、その人物は、われらがヒロイン美羽の肉体に「憑依」した、馬剣星。  
要するに、外見は美羽だが、中身はあの中年エロオヤジなのである。  
 
***************  
 
説明しよう。  
コトの発端は、秋雨が発明した怪しげなマシンの実験だった。  
人格矯正機だったらしいが、正確なところはよくわからない。  
いずれにせよ、実験は失敗した。  
「なあに、百回失敗しても最後の一回に成功すればいいのさ。」  
そんな風に秋雨は平然としていたが、コラテラルダメージはあんがい深刻だった。  
いったい、どういうワケなのだろうか。  
実験台になっていた美羽と馬剣星の人格が、入れ替わってしまったのである。  
 
いまの美羽のナイスバディにやどっているのは、馬剣星の人格、というか精神。  
いっぽう、馬剣星の肉体のなかにあるのは、美羽の精神。  
要するに、両者のタマシイが、互いの肉体を交換してしまったのである。  
 
この肉体交換が、美羽にとってショックだったことは、マチガイなかろう。  
あの妖艶な容姿どころか、固有の性までもが奪われてしまったのだ。  
しかも、憑依した先は、よりによって馬剣星の肉体。  
タマシイを、ウス汚い中年オヤジの肉体に閉じ込められてしまったのだ。  
コレは、もはや悲惨としか言うほかない。  
じっさい美羽は、もう何時間も部屋に閉じこもったまま。  
おそらくは、変わり果てた自分の姿をみられたくないのだろう。  
ドアにカギをかけて、けっして外に出てこようとはしなかった。  
 
慰めようと、ドアごしに声をかけようとする兼一を、「美羽」はやさしく制止した。  
 
「兼ちゃん…美羽の気持ちも考えてあげるね…。  
いまの美羽がいちばん会いたくないのは、兼ちゃん自身よ。  
あと二三日で元に戻るのだから、それまでほっておいてあげて下さいね。  
お願いですわ。」  
 
そんなコトは、むろん百も承知の兼一である。  
事故のあと、秋雨が語ったセリフを、シッカリ覚えていた。  
「しょせんは機械のやったことさ、自然の摂理にはかなわないよ。  
 三日かそこらで、二人は元にもどるよ。」  
そう言われても、事態が事態だから、兼一の気持ちはおさまらなかった。  
 
「分かってます!分かってますよ!  
 でも、美羽さんのために、何かしてあげたいんですっ!!  
 あと師父、その美羽さんみたいなしゃべりかたは、やめて下さい!!!  
 美羽さんの姿で、美羽さんみたいな話かたをされると、ボクは…  
 その…なんだか、いたたまれないキモチになってしまうんです!!!!」  
 
「すまないね、愛弟子よ…。  
 でもコレも副作用だから仕方がないのですわ  
 …じゃなかった…仕方がないね…。」  
 
言われたばかりなのに、またまた美羽言葉になってしまう馬剣星。  
別にワザとやっているワケではない。  
秋雨によれば、コレも肉体交換の副作用とのコト。  
肉体がもともと有していた記憶が、憑依した人格に影響しているらしい。  
むろんこのことは、兼一も、再三再四、秋雨から説明を受けていた。  
 
だが、兼一にはどうにもガマンがならなかった。  
馬剣星が、美羽の声で、美羽のように話すというコト自体が、ガマンできない。  
というか、あこがれの美羽の肉体の中身が、中年エロオヤジの馬剣星、  
という事実そのものが、許しがたいのだ。  
―あこがれの美羽が冒涜されている、  
といったようなキモチになってしまうのである。  
 
こうしたやるせないキモチが、そのまま態度にでてくるのが、兼一君。  
いかにも小心者らしく、さっそく馬剣星への八つ当たりが始まった。  
 
「師父、それからですね!!ヘンにモジモジするのも、やめてもらえませんか!?」  
 
兼一はそういうけれど、「美羽」はただ立っていただけ。  
何もはしていない。   
要するに、イラだちにまぎれての言いがかり。  
師父の寛容さに甘えた八つ当たりにである。  
が、「美羽」というか馬剣星が何も言わない。  
コレをイイコトに、兼一はさらに図に乗った。  
 
「ったく師父は油断なりませんねぇ。  
 スキあらば、美羽さんのカラダにイタズラするつもりでしょう?」  
 
ジロジロと、兼一が無遠慮な視線を走らせるその先は、「美羽」の胸と下半身。  
普段は、美羽の「オーラ」に押されて、ジックリと見つめることが出来ない部分である。  
だが、いま美羽の中に入っているのは馬剣星。  
なんら遠慮するコトはない。  
小心者の常として、兼一には慎みというものが欠けていた。  
 
「いちおう聞きいておきますがね、師父…  
 美羽さんのカラダに何かヘンなコトをしてないでしょうね?」  
 
「へ…ヘンなコトって…兼一さん、じゃなかった…兼ちゃん…そんな…あの…」  
 
口ごもるトコロが妙にアヤシイ。  
兼一は怪訝に思った。  
馬剣星といえば、梁山泊きってのセクハラ野郎にして、ハード・オナニスト。  
そこで、ふと兼一の脳裏によみがえったのは、馬剣星ご自慢のグッズの数々。  
オナホールからローションにアナルビーズまで。  
そろえにそろえた師父お気に入りのオナニーアイテムの数々である。  
そう、エロ本愛好者にありがちなコトだが、馬剣星は一人エッチの求道者でもあるのだ。  
武術と同じく、貪欲にオナニー道を極める師父。  
カラダが入れ替わったのをイイコトに、何をするのか、わかったものではない。  
同じくオナニストの兼一には、師父の行動が、手に取るように予測できた。  
 
兼一は再び、馬剣星を問い詰めた。。  
「言っておきますがね、美羽さんの処女マンを頂くのはボクなんです!!  
 師父にも、コレだけは、ぜったいに譲れません!!  
 で、どうなんですか?  
 美羽さんは、まだ処女なんですか!?  
 バイブとかトビッコとか、使ってないでしょうね!!」  
 
***************  
 
「あこがれの女性」を、勝手に処女とキメつけるあたり、かなりキモい兼一君。  
まぁ、それだけ思い入れが強いというか、思い込みが強いタチなのだろう。  
ストーカー予備軍とは、まさに兼一のようなタイプである。  
それはともかく、「美羽」は顔を真っ赤にして否定した。  
 
「使っていませんですわっ!!そんなイヤらしいモノっ!!  
 …じゃなかった…おいちゃん、そんなエッチなモノなんか使ってないね!!」  
 
「えー?ホントですかぁ?」  
 
ムキになっているトコロが、じつにアヤシイ。  
それに、あのハード・オナニストの馬剣星が、大人のオモチャを不気味がっているのだ。  
コレには、どうにも納得できない。  
むしろ、ワザとらしいようにもみえる。  
兼一はイジ悪く、質問を重ねるコトにした。  
 
「じゃあ〜、美羽さんのアソコとかオッパイには、いっさい触ってないんですね?  
一人エッチは絶対にしていないんですね?  
そういうコトでイイんですね!!」  
 
「それは…その…  
 そんなコト…兼一さんに言う必要はありませんわ!  
 じゃなかった…兼ちゃんに、言う必要はないね!」  
 
「いいや、師父!!アナタには話す義務がある!  
 今のそのカラダは、あくまで美羽さんのもの。  
 いうなれば、借り物ですね。  
 レンタル期間中の事故は、全部報告するのが、社会人としての常識でしょう!!  
 違いますか!!」  
 
コレは秋雨直伝の尋問テクで、一種の錯覚論法。  
よく考えれば、理屈がおかしい。  
が、根が正直な人間にはとりわけ効果的である。  
じっさいこの場合も、なかなか効果的だったらしく、「美羽」は、ポツリとつぶやいた。  
 
「あの…少しだけ…」  
 
「師父、よく聞こえませんねッ!!  
 いじったんですかッ?いじってないんですかッ?  
 大きな声で、ハッキリ答えてください!!」  
 
兼一の勢いに、「美羽」は圧倒された。  
 
「さ…さわりましたですわっ…でもほんとうにちょっとだけ…  
 いじりまわすなんて、そんな、私…」  
 
「ああ…やっぱり!!  
 師父、あなたは鬼畜ですね!  
 憑依したのをイイコトに美羽さんのカラダにイタズラをするとはっ!!」  
 
やはり師父は信用ならない。  
こうなると、美羽に病的な思い入れを持つ兼一だ。  
美羽が処女が無事かどうか、ひどく心配になってきた。  
 
「で、ドコをどう触ったんですか!?  
 具体的に教えてください!!」  
ボクは、被害評価をしなければ、なりませんからね!!」  
 
鼻息も荒く、兼一は問いただした。  
   
***************  
   
「ですから…を…して…するの…ですわ…」  
 
「師父、それじゃ、ゼンゼン分かりませんね!!  
 もっと、詳しく、具体的に!!」  
 
顔を真っ赤にして、口ごもる「美羽」。  
兼一の語気に押されたものの、どうもにも言葉がハッキリでてこない様子だ。  
しかし、そんなアイマイな言い方を許す兼一ではない。  
何と言っても相手は、姿こそ愛しい美羽だが、中身は馬剣星。  
オナニー指南までしてくれた、あの馬剣星のハズだから、遠慮する必要はまるでない。  
 
「もっとハッキリしゃべって下さい。  
 イジった場所の名前も、キチンと言ってください。  
 さもないと、美羽さんの処女マンが健在かどうか、わかりません!!  
 それとも、もう美羽さんは、処女ではないのですかっ!!!」  
 
「もちろん、処女ですわっ!!」  
 
「では、教えてください。  
 どこをどうイジったのか、をね。  
 やましいコトがないのなら、言えるハズです!!」  
 
 
ココまで言われれば、もう逃げ道はない。  
「美羽」もハラを決めたようで、ポツリポツリと話し始めた。  
 
***********  
 
「で…ですから…と…のあいだを…する…のですわ…」  
 
恥ずかしそうに、頬を紅潮させる「美羽」。  
もはや、その言葉に、師父独特の中華ニッポン語は、カケラもない。  
確かに、肉体固有の記憶が、憑依した精神に影響してはいるのだろう。  
馬剣星の精神が、美羽化しているのかもしれない。  
とはいえ、目の前の「美羽」の仕草や口調は、まさにオリジナルの美羽そのもの。  
やはり、そこには馬剣星のサービス精神というか、演技力が加味されているに相違ない。  
 
兼一は、大いに喜び、また確信した。  
 
(やっぱり、師父はすごいや。  
 完全に「なりきり」の境地に達しているみたいだ。)  
 
一般にオナニストとは、美しい女性をオカズにするモノ。  
究極的には、美しい女性との自己統一をめざし、劣情をハキ出す。  
パン泥、女装の類はそうした究極オナニストの典型といえよう(注・本気にしないでね)。  
オナニストのひとりとして、兼一には、馬剣星の「なりきり」願望がよく理解できた。  
 
(ボクも週一回は、しぐれさんや美羽さんになったつもりで、オナニーするものね。  
 それにしても、師父は芸達者だなあ。ココまで美羽さんになりきれるとは…。)  
 
感心する兼一の股間は、すでに硬くなっていた。  
 
なるほど、目の前の「美羽」の中身は、エロオヤジの馬剣星のハズ。  
よくよく考えれば、かなり不気味なモノがあろう。  
しかし、モノホン美羽のように、話し、振る舞い、恥らっているのだ。  
コレはコレで、そそられるモノがある。  
もちろん節操のない兼一だから、ただ興奮しているだけでは、終わらない。  
「なりきり」を楽しむべく、よりエゲツない羞恥プレイへとのめりこんでいった。  
 
「美羽さん…じゃなかった師父、さっきも言ったでしょ?  
 具体的に言ってくださいって!!  
 触ったのはどこですか?チャンと触った場所の名前を言って下さい、名前をね!」  
 
「美羽」は、うつむきながら、かすれたような声をだした。  
 
「…ですわ。」  
「聞こえません!!もっとハッキリ、具体的に!!」  
 
「ク…クリトリスと…オシッコの穴のあいだを、その…さすりましたですわ…。  
 でも、ほんの少しだけ…それに滅多にそんなコトしてませんの!!」  
 
いかにも恥ずかしそうなオナニー告白に、兼一は、またまた大感動の大興奮。  
「特大バイブをマンコにあてて、グリグリコネコネ」  
などと言わないトコロが、じつに良い。  
これぞ、師父ならではの「リアルなりきり」なのか。  
「なりきりオナニー道」への並々ならぬ師父のコダワリが、兼一の胸を熱くする。  
淫語にしても、期待していたマンコを抜かして、一気にクリ・尿道へと大ワープ。  
いかにも美羽らしいボケ加減の再現に、大いに満足した兼一だった。  
 
調子にのった兼一は、さらなる命令を「美羽」につきつけた。  
 
「じゃあ、師父、いちおう確認したいので見せてください。  
 触ったところをですよ!!」  
 
兼一の瞳に燃える劣情の炎が、しだいに大きくなっていった。  
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