「え…今ここで、ですの?」
美羽は、兼一の唐突な要求に困り果てていた。
「でも、ここは学校ですし、私これから新体操部の部活がありますの…」
可愛い眉毛を八の字にして、困った顔をする美羽だったが、兼一はまるで意に介してはくれない。
むしろ美羽を困らせようとしているのか、いっそう執ように迫ってくるのである。
「え〜お願いしまちゅよ〜。
美羽しゃんの顔を見てたら、なんだかチンチンが大きくなってきちゃんたんでちゅ〜。
なんとかして欲しいにゃ。」
炸裂するのは、兼一お得意の幼児語攻撃。
おそらくは兼一本人も、アタマのどこかで後ろめたさを、感じているのであろう。
あるいは、美羽への甘えの意識もあるのかもしれない。
が、ともあれ理不尽なコトを言うときは、どういうワケか、コトバが幼児化してしまうのだ。
もちろんハタからみれば、いい歳した高校生の幼児語など、不気味そのもの。
一般に、そんなヤツは、人として足りないキモ野郎に他ならない。
けれども今の美羽は、そうは感じない。
不気味がるどころか、どうにも母性が刺激されてしまう。
幼児語を使わなければ言い出せない兼一の不器用さが、むしろ愛しくく思えてしまうのだ。
それに何といっても、愛しい兼一が自分を見て、欲情してくれているのだ。
コレはコレで、美羽のオンナ心をときめかせるモノがあった。
そしてむろん、心ときめくのと同時に、下半身がひどくウズいてくる。
日々家事と修行に精を出す美羽もまた、一皮むけば、青春まっさかりの思春期少女。
好奇心旺盛の遊びたい盛り、ハメたい盛りのお年頃なのである。
美羽は、兼一のエッチな要求を断ることができなかった。
「ふう、では仕方がないですわね。」
ワザと不機嫌そうに、美羽はタメ息をついた。
「もうレオタードを着ちゃいましたし、時間もありませんから…
その…あの…お口で…よろしいですわよね?」
少々、ぶっきらぼうな口調だったが、コレはもちろん美羽の照れ隠し。
けれども紅潮した顔の火照り具合は、隠しようがなかった。
真っ赤になった顔以上に正直なのは、美羽の下半身だ。
お気に入りの薄青スキャンティに、美羽がネットリと分泌してしまったオンナの汁。
この粘液は、いまやスキャンティからレオタードに染みだし始めていたのである。
幸い美羽のレオタードは濃色系だから、表面にシミができても、あまり目立たない。
けれども美羽は心配だった。
(レオタードの前に、少しシミができているかも…。
兼一さんにみられたら、恥ずかしいですわ…)
美羽にしてみれば、スケベ汁をタレ流している姿を、兼一にはみせたくない。
あの色キチ系な服装センスとは裏腹に、美羽はあんがい恥ずかしがり屋。
やや不自然だが、まぁこのあたりは、「少年サンデー的ご都合主義」といえよう。
「じゃあ兼一さん、前を失礼しますね」
グジュグジュと音を立てそうなレオタードを隠すように、美羽は急いでひざまづいた。
「美羽さん、早くぅ〜早くぅ〜、ぼくのチンチン立ってまちゅう〜」
せつない顔をして急かしたてる兼一が、美羽にはひどくかわいらしく思えた。
そこまでして、自分を愛そうとする兼一の気持ちが、うれしくてならなかった。
手早くズボンとパンツを脱がせると、でてきたイチモツは爆発寸前。
まさに燃料充填100パーセントだ。
(うれしい…兼一さん、もうビンビンですわ…)
兼一の欲情ぶりに胸を躍らせながら、美羽は兼一のカリに舌を這わせていった。
期待感だけで興奮してしまう兼一と美羽。
サカリのついたバカップルの典型と言えば、言いすぎであろうか。
まあここは、十代カップルにありがちな、ヤリハメ関係とでもしておこう。
ともあれ兼一が、実戦組手で美羽に圧勝してから、もう数週間。
それはハメまくりの数週間であった。
―力それ自体は、けっして正義ではない。
―武術とは、ほんらい力弱きものが、強者の暴威に対抗するための心得。
―いちばん大切なのは心の強さ。
そう信じて疑わない美羽。
いっけん、兼一と同じような、ある種の理想主義者にみえるが、じつはそうではない。
心の奥底において、美羽は力の信奉者である。
ただし、おそらく本人自身、このことに気がついていない。
どうかご想起いただきたい。
美羽の兼一に対する思いの高まりが、兼一の「最強弟子化」に比例していることを。
兼一が強くなればなるほど、美羽の思いも強くなっているのだ。
嫌がる兼一を、新白連合をめぐる「権力ごっこ」に、駆り立てているのは、新島ではない。
じつは美羽である。
ガンジーの非暴力無抵抗運動に傾倒していた兼一を、カンペキに洗脳。
マッチポンプ的に、バトルを強要している、と言っても過言ではなかろう。
要するに美羽は「強い男」が好きなのだ。
強力主義者・パワーフェチと言ってもよいだろう。
だが、単に「強いオトコが好き」というのでは、いささか都合が悪い。
そんな本能丸出しというか、社会生物学そのままの理屈は、「古風」な美羽には受け入れがたい。
そこで「武術=弱者の武器」というような、仰天論理が登場するトコロとなる。
長老や美羽が、どうみても「弱者」たりえないことは、むろん火を見るより明らかであろう。
ともあれ美羽の言う「正義」や「心の強さ」は、あくまで美羽本人が無意識のうちに作り上げた言い訳。
強力主義を正当化するために、美羽の深層心理が作り上げた、いわば「衣」に他ならないのである。
しかも兼一のような弱気君を、ゼロから時間をかけて、自分好みの強者に仕立て上げたのだ。
ひょっとすると、かなりの重症の権力フェチなのかもしれない。
ただし美羽の場合、権力フェチは、権力を愛するのではない。
権力者を愛する、ないしは権力にひざまずくことに、性的な興奮を覚えるのだ。
(注・あくまでネタなので、本気にしないように。)
だからこそ、いちど兼一が美羽を上回る実力を身につけると、コトは一挙に転回した。
「凛とした、憧れの人」転じて、「都合のいいオンナ」「断れないオンナ」。
身体を許すのはもちろん、美羽は、兼一のあらゆるセクシャル・ファンタジーを実現させたのである。
校内フェラ(レオタード着用)など、そのほんの一例にすぎない。
アナル舐め・ゴックン・ソーププレイ・アオカン・前立腺責め・パイズリ・野外露出などなど。
フツーのカノジョがやらないものも含め、美羽はあらゆる欲求にこたえた。
アナルこそいまだ処女だが、その喪失も時間の問題であろう。
その反面、美羽は、「普通のお嫁さん」を夢見るフツーの部分ももっている。
フェチ心とは別に、女の子らしい思いを兼一に抱いていることも、間違いない。
いかに力があっても、新島や逆鬼ではダメなのである。
わざわざ兼一を、弱気君から「学園のヒーロー」へと成長させたのだ。
果たして、フェチ心だけで、そんな偉業は達成できるモノだろうか?
いずれにせよ、権力フェチと兼一への女の子らしい慕情のミックスは、複合的に
美羽をして、「断れないオンナ」へと変えていったのである。
さてそろそろ、視点をもとに戻すことにしよう。
「ああ…美羽さん…出しますよ…」
幼児語を使う余裕はすでになかった。
フェラ開始からわずか三分、兼一は早めの絶頂をむかえつつあった。
むろん兼一が早いのはいつものことだが、今回はとくに早い。
兼一にしてみれば、レオタードは、美羽のいわば優等生的な部分の象徴。
そのレオタードを着た美羽の口を犯してみると、
手が届かない、いうなれば高嶺の花を、汚し犯しているような気持ちになるのだ。
どうにも背徳的で、普通のフェラよりもずっと興奮してしまう兼一だった。
まったくもって、救いがたいエロ野郎といえよう。
また校内ということもあってか、美羽がひどく恥ずかしがっているのもポイントだった。
(誰かに見つからないと、いいのですけど。)
(でも、もし見つかったらどうしましょう?)
想像しただけで、美羽はたまらない興奮をおぼえ、また欲情した。
そして美羽の興奮は兼一にも伝染する。
イチモツを熱心にシャブりながら、ひどく恥ずかしそうな上目づかいで、兼一のことを見上げる美羽。
羞恥の表情が、普通にフェラしているときよりも、だいぶ強い。
フンフンという美羽の鼻息すら、いつも荒いような錯覚にとらわれてしまう。
頬を真っ赤に染めた美羽の顔だけで、兼一は射精しそうだった。
兼一の好みは顔射ではなく、口内発射である。
もちろん兼一の発射スタイルを、身に染みて熟知している美羽だ。
だから発射が間近に迫ってくると、兼一から言われなくても、自分から目を閉じて口を大きくあける。
愛する兼一の精液を一滴も逃さないよう、はばかることなく、大口をあけるのだ。
ザー汁を、待ちかねたようにチロチロうごめく舌が、なんともイヤらしい。
そんな美羽の姿に、兼一は発射のたびに感動してしまう。
(ああ、あの凛とした美羽さんが、大口をあけてボクのスペルマを待っているなんて…)
兼一は、天にも昇るような幸福感に包まれながら射精した。