技の修行が始まって数ヶ月。
季節はめぐり、梁山泊にも冬が訪れた。
冬といえば雪。古風な母屋と庭園に降り積もった雪。
梁山泊の雪景色は実に見事なものだった。
(注・梁山泊の冬については、また別の機会にたちいって述べることにする。)
もちろん兼一に、そんな雪景色を鑑賞するゆとりは無い。
シベリア強制労働並みのハードな修行は、徹底的に兼一をシゴキあげたのであった。
寒さと疲労にあえぐ兼一だったが、シベリア俘虜と違って、幸い彼には救いがあった。
「では、ひさしぶりにコタツを出しますわね」と、
修行後、憔悴しきった兼一のために、美羽がコタツを出してくれたのである。
忙中閑あり。
カラダもココロも冷え切った兼一に、暖かいコタツはなによりのご馳走だ。
今まで張りつめた神経が、じょじょに緩んでいく。
しかも、その日の修行メニューはもうオシマイ。
だから安心感があったのだろう。
しばらくすると、兼一は、グゥと眠り込んでしまったのである。
眠りこむ兼一の肩に美羽は、いたわるようにそっと毛布をかけた。
**************
兼一がふと目を覚ますと、だいぶ時間がたっていた。
昨夜の修行の疲れがドッとでたのか?それともコタツの魔力にハマったのか?
いずれにせよ、どうやら、けっこうな昼寝をしてしまったらしい。
「こりゃ、いけない!」
あわてて、立ち上がろうとすると、突然馬剣星の声がとんだ。
「あ、兼ちゃん、しぐれどんを起こさないでね。」
「え?」
みれば、さっきまで美羽がいたコタツ対面には、しぐれが一匹。
スースーと安らかな顔で眠っていた。
「あれ?いつの間に…?」
「しぐれどんなら、さっき旅から帰ったばかりよ。
かなり疲れているみたいだから、そのままにしてやってね。」
少しの間をおいて、馬は付け加えた。
「もっとも旅帰りのしぐれどんは、ナニがあってもおきないけどね。
何をしているのか知らないけど、よっぽど疲れることをしているみたいね。
たぶん兼ちゃんが殴っても、まず起きないだろうね。」
馬の意味ありげなウィンクが、百万語を語っていた。
エロ師弟コンビならではの以心伝心。
こうなれば、眠気など何処へやら。
兼一の童貞的好奇心が、みるみるうちに呼びさまされた。
「美羽も、逆鬼どんも、秋雨どんも、とにかく、み〜んな外出中よ。
おいちゃんも出かけるから、しばらくは、しぐれどんと二人きりね。
あとね…」
馬は部屋の隅に積み重ねられた、武器の山に目を走らせた。
「いちおう武装解除しておいたから、安心ね。」
そうは言っても、兼一は不安だった。
根がチキンなせいか、こういう時だけは、異常なまでに細心な兼一である。
もっとも、寝ているとはいえ、相手は「剣と兵器の申し子」だ。
ほんの少しの手違いでも、命取りになりかねない。
「でも、本当に大丈夫でしょうか?」
根がチキンだけあって、こういうときの兼一は、異常なまでに慎重だ。
「ヤレヤレ、手がかかる弟子ね…。」
馬は懐から、愛用の中国針を取り出した。
狙いすまして突き立てる先は、しぐれの首筋。
「う!!」
しぐれの身体が、ビクンと痙攣した。
「寝るね!!」
ピンと針を弾くと、しぐれの身体はガクッと力を失った。
「これで、オッケーよ。
針麻酔をかけたから、突いても切っても、目を覚まさないね。」
恐るべき、中国針の秘技である。
「とにかく我弟子よ、幸運に後ろ髪はないからね。
じゃあ、あとはヨロシクね。」
そういい残すと、さっさと馬はでかけていってしまった。
************
「うーん、ほんとうに、大丈夫なのかな?
師父はああいったけど、ほんとうにしぐれさん、寝たままなのかな。」
あとに残された兼一は、考え込んでいた。
とりあえずは、安全策。
コタツに突っ伏しているしぐれの寝顔を拝むことにした。
「うーん、ほんとうに、大丈夫なのかな?
師父はああいったけど、ほんとうにしぐれさん、寝たままなのかな。」
あとに残された兼一は、考え込んでいた。
とりあえずは、安全策。
コタツに突っ伏しているしぐれの寝顔を拝むことにした。
「やっぱり、しぐれさんは、綺麗だなぁ。」
あらためて実感するのは、しぐれの美貌。
ジックリみる機会に恵まれないコトもあってか、しぐれは、ひどく美しくみえた。
確かに、あこがれの美羽も可愛い。
だが兼一が見るところ、あくまで美羽は「可愛い系」。
これに対して、しぐれの顔は、じっさいかなり端正で、まさしく綺麗そのものだ。
切れ長の目や、とおった鼻筋はやや冷たそうな印象を与える。
フェミニンな柔らかい顔の輪郭が、これを補っている。ほんの少しあいた唇は、ひどく愛らしい。
妖艶な美貌といって、間違いないだろう。
「スッピンでここまで綺麗なオンナの人は、滅多にいないな。
オシャレすれば、もっと綺麗になるのだろうなぁ…ちょっともったいない…。」
間近でみるしぐれの美貌に、兼一はタメ息をついた。
もちろん、しぐれには、抜き身の日本刀のような凄みがある。
ただ、クークーと寝入るその寝顔は、ひどくイノセントで、無防備だった。
「こう見ていると、『剣と兵器の申し子』だなんて、思えないや。」
兼一は、コタツから抜け出すと、おそるおそる、しぐれに近寄って言った。
伏せられた長い睫毛を見下ろしながら、兼一はしぐれの髪をなでてみた。
少し濡れた黒髪からは、風呂上りの香りがただよっていた。
このひどく清らかで暖かい香りが、兼一の心を誘惑した。
ここで、花を愛でるように、女性の美しさを満喫できる兼一ではない。
下半身から劣情が湧き出る劣情に、兼一は呟いた。
「少しだけなら…いいかな?」
兼一は、着物のうえから、そっとしぐれの胸をさわってみた。
プニュ…。
手のひらに感じる、柔らかい弾力。
「しぐれさん…鎖帷子を着ていない?!」
みれば、いつものサラシも見当たらない。
水着を「いやらしい布切れ」と嫌がるしぐれのことだ。
ブラをつけているとは、考えにくかった。
「どうしよう…」
まったく無謀なしぐれの胸元をまえに、兼一は考え込んだ。
すると、なんの前触れもなく、しぐれの身体が動いた。
突然おきる大アクビ。
「ふぅあ〜あ…。」
しぐれは、気持ちよさそうに、大きく身体を伸ばした。
とっさのことに、兼一は、凍りついたまま、声も出せない。
だが幸い、どういうワケか、しぐれは目を覚まさなかった。
後ろにいた兼一に寄りかかったまま、グウと再び眠りこんでしまったのである。
「あ…危なかった…」
羽のように軽い、しぐれの重みを感じながら、兼一は安堵の息をついた。
が、次の瞬間、身体が反り返ったはずみだろうか、
着物のあわせが、ゆるやかに開いていった。
もともと、しぐれのハチきれんばかりのバストを、かろうじて収めていたセクシー着物。
いちどあわせが、緩んでしまえば、もうどうにもならない。
プルンとこぼれ出してきたのは、雪のように白くてふくよかな、しぐれのオッパイだ。
細身の身体には、やや不釣合いなほど、大きい。
ボリュームにおいて、美羽のプリ乳を凌駕していることは、あきらかだった。
もちろんカップ型で、カタチもよい。
ツンと突きでる、うわむき加減の乳首が、ひどく挑発的だった。
普段、サラシの下に隠されていた巨乳に、兼一は感動した。
「ああ…しぐれさんのオッパイ…すごく大きくて綺麗だ…。」
露わになった、しぐれの豊かなバストに、おそるおそる兼一の手が伸びた。
その白い肌は、すいつくように、滑らかだった。
「すごく…柔らかい…」
突き出た乳首を軽く指でつまんでみる。
「あん…」
小さい吐息が、しぐれの口から漏れた。
「えっ!!」
兼一は、反射的に手を引っ込めた。
なにせ、しぐれは、手にしたモノすべてを凶器にかえる兵器の達人だ。
丸腰でも、まったく油断はできない。
しかし、何もおきない。
念のため、しぐれの寝顔を覗き込むが、これといった変化はみあたらない。
確かに少々、顔は上気しているようだった。
だが兼一は希望的観測で物事を考える人間だ。
「コタツが暑過ぎたかな?」と都合よく解釈してしまう。
温度調節をしたあとは、再びしぐれのオッパイに向き直った。
もちろん、心ゆくまで、イジリたおすためである。
片手では余るほど、まろやかに豊満なしぐれのオッパイ。
後ろ抱えるように、これを揉むのだ。
タプンと、感じる重みが、ひどく心地よい。
つまんだ乳首のシコリ具合が、兼一の官能を刺激する。
おそらくしぐれの身体も、かなり反応しているのだろう。
真っ白な乳房が、ほんのりと紅色がかってきた。
押し殺すようなとき息は、切なげに早かった。
ただし、兼一はこうしたしぐれの変化に気がつかない。
それどころではない、というのもあるだろう。
ただ兼一は、人間関係もセックスも、きわめて一方的なのである。
また一方的な人間の常として、兼一は飽きっぽかった。
手指だけでもてあそぶだけでは、飽き足りなくなってきたのだ。
しぐれの巨乳を、もっと味わいたくなったのだ
「ええーい、もどかしいぞ!!」
兼一は、突っ伏していたしぐれの上半身を、座布団のうえに寝かせた。
腰に添えられたしぐれの手が、グっと握り締められた。
「なんていい匂いがするんだろう…。」
兼一はしぐれのふくよかな胸の谷間に、顔を埋めていった。
細身のしなやかな身体に突き出た巨乳は、まさに桃源郷。
タップリとしたバストは、やさしく兼一の顔を迎えてくれた。
ワキあたりから分泌されるオンナの匂いが、兼一の緊張を解きほぐす。
世の女性のように、化粧品で痛められていないからだろう。
シミひとつない白い肌はスベスベで、さわった心地はバツグンだった。
しぐれの胸の奥から、かすかに響く心臓の鼓動が、ひどく心地よい。
こうなれば、男性独特の母性を憧憬する安楽な欲求が、兼一の心に忍び込む。
乳房を手でグイと引き寄せると、口は自然と乳首を求めていった。
「オッパイ…しぐれさんのオッパイ…」
夢心地のなかで、兼一の舌はしぐれの乳首をまさぐり求めた。
ネットリとした舌のうごき。
舌は、やや大き目の乳輪の輪郭をなぞり、そのまま乳首にまきついていく。
舐め、しゃぶり、そして吸う。
兼一は、赤ん坊に戻ったように、しぐれの乳首を吸った。
しぐれの華奢な身体を掴む兼一の手に、自然と力が入っていった。
もし兼一に、しぐれの表情をうかがう余裕があれば、きっと気がついただろう。
声を出さないよう耐え忍ぶ、しぐれの切ない表情に。
しかし、への字に結んだ口からは、熱い息が漏れていた。
腰にそえられていたハズの手も、少しずつも腿のほうへと動いていく。
スラッと長い脚はピッタリと閉じられたまま。
だがモジモジと落ち着きなく、震えていた。
***************
兼一が、しぐれの胸にムシャブリついてから、どれだけ時間がたったのだろう。
しぐれの白い肌に、無数についたキスマークが、経過の長さを物語っていた。
ようやく、オッパイに満足したのだろうか?
ヌラヌラと光るしぐれの胸から、兼一は顔をあげた。
「ぷふう…そろそろかな…。」
荒々しくズボンとパンツが脱ぎ捨てられた。
兼一の下半身に勇ましく立ち上がるのは、例のこぶりなイチモツ。
それもたぎりにたぎった、イチモツである。
いくら兼一が重度のオッパイ星人でも、胸だけでガマンできるハズがない。
やはり、射精が必要なのである。
だが、パンツのなかに出してしまうのは、あまりにみっともない。
適切なタイミングで、適切なトコロに、ブチまける必要がある。
兼一は、横たわるしぐれの妖艶な肢体を、舐めるように見渡した。
いかにも童貞らしく、長考すること、数分間。
本来ならば、考えるまえに、カラダのおもむくまま、行動すればよいはず。
だがアタマ優先の兼一だから、そうはいかない。
さまざまな期待に胸躍る数分間の末、兼一は決心した。
「しぐれさん…いきますよ!!」
コタツのなかで、しぐれの脚が、ゆっくりと開いていった。
胸の鼓動が、ヤケに大きく聞こえるなか、時間がひどくゆるやかに流れていく。
しかし、いっこうにコタツ布団ははがされない。
コタツのなかで放置されたしぐれの下半身は、むなしく開脚されたまま。
あたりをうかがおうと、薄目をあけたしぐれの眼前に、兼一のイチモツがあった。
「…!!」
熱くて濃いほとばしりを、しぐれは顔全体で感じた。
その大量の液体は、しぐれの顔をおおっていった。(←おおげさである。)
いわゆる、顔射である。
女性の美しい顔に、精液をかけるのは、ある種の征服行動。
膣内射精とややその趣を異にするが、これはこれで男性の夢である。
もっとも、一般に女性は、ブッカケそれ自体には、なんら性的興奮を感じない。
その意味からいえば、実に一方的な性行為。
ゆえに、まさしく「男性の夢」なのである。
ある種、兼一の性スタイルに、じつに適合的なプレイともいえよう。
けれども、実を言えば、女性でもブッカケに興奮する場合も、ときたま存在する。
たとえ深い性的満足を感じないにせよ…。
「ふう、もう少しで手遅れになるところだった…。」
精液まみれのしぐれの顔を、兼一は満足そうに眺めていた。
さぞ充実した発射だったのだろう。
狙いすましたように、しぐれの目もとから口もとは、大量のザー汁でベトベトだった。
しかし、それでも兼一には、まだ少々不満が残るらしい。
付着したザー汁を、指でしぐれの口のほうへとグイグイ寄せていく。
「本当は、口のなかに発射したかったのだけど…まぁいいか…。」
すると、しぐれの口がわずかにひらいた。
「ラッキー!!」
兼一は喜色満面だった。
まったくもって、どうにもならない男である。
ともあれ兼一はいそいそと、ザー汁をかき集めて、しぐれの口もとへと寄せていった。
スムーズにしぐれの口へと流し込まれていく、兼一のザー汁。
コクンコクンと飲み込んでいくしぐれの顔に、不快な表情はない。
顔についたエキスがほとんどなくなっても、口はうっすらとあけたままだった。
そのあいた口に、汁まみれの兼一の指がはいってきた。
ピチャ…
しぐれは、夢心地のなか、ゆっくりとではあったけれども、舌を動かした。
自分の思いを確認するように、味わい反芻するように、兼一の指を舐めたのである。
糸を引く唇が、不思議な淫靡をかもしだしていた。
ピチャ…ピチャ…ピチャ…ピチャ…。
その淫靡な光景を、兼一は大喜びで見つめていた。
「しぐれんが、ぼくのザーメンを飲んでくれている…なんだか、すごくいやらしいや…」
けれども兼一は、しぐれの思いに気がつかない。
天真爛漫というべきか、人として足りないというべきか。
しぐれの動きを、睡眠中の不随意運動と解しているから、始末に負えない。
まあ単純に、カンが鈍い人間なのかもしれないが。
「あれ、何か食べている夢でもみているのかな?
あんがい、しぐれさんも、アパチャイさんみたいに食いしん坊だったりして。」
知らないこととはいえ、かなり無神経な呟き。
だがそれでも、しぐれは舌を動かし続けた。
ピチャ…ピチャ…ピチャ…ピチャ…。
そこでタイミングよく、玄関のほうから、よくとおる明るい声が響いてきた。
「ただいまですわ〜。」
あれは、まぎれもなく美羽の声。
兼一の留守番を心配したのか、予定より早く帰ってきた美羽の声だった。
「あっ、美羽さん。
荷物が重いでしょ?今いきますね〜。」
兼一は、しぐれを放り出すと、あっという間に玄関のほうへと、走っていった。
と同時に、どこからともなく、馬が現れた。
「…しぐれどん、大丈夫?」
「…」
遠くから聞こえる、兼一と美羽のにぎやかな会話に、しぐれは耳を傾けていた。
だが何を考えているのか、その表情からはまったく読み取れない。
いつにもまして無表情なしぐれに、馬はかすかな懸念をいだいた。
「ねえ、しぐれどん…殺人はだめね。」
「美羽…あいつは…優しい、いい奴だ…。」
「そうね、そうそう。しぐれどんは偉いね。美羽を恨んじゃいけないね。」
ホット相好を崩した馬。
だが、しぐれの言葉の続きが、世慣れたこの拳法家を凍りつかせた。
「が…やむを得ない…か…」
**************
おそまつ。