「大門寺君」打倒から始まった、兼一の武術修行。  
ラグナレクの次は「拳聖」ときて、今度の相手は「闇の勢力」だ。  
敵の幾何級数的巨大化は、さらなる勢いを増している。  
これぞ、まさしく少年マンガの古典的ストーリー展開。  
「ケンイチ」のモデルとして有名な「熱笑!! 花沢高校」(※)と同じコースをまっしぐら。  
おそらく、話の結末も、週毎人気曲線も、ほぼ同一の道を歩むのであろう。  
 
(※どおくまんプロ。怪作であり名作でもある。)  
 
それはさておき。  
巨大なる敵の出現に、修行への傾倒をいっそう強める兼一クン。  
異能な師匠たちのくりだす、これまた異能な修行に、困惑しながら汗を流す日々を送っていた。  
その日は、秋雨が新たな修行道具をもちこんできた。  
 
「兼一君、これが「投げられ地蔵デラックススペシャル・しぐれバージョン」だ。」  
 
驚愕する兼一のまえに、横たえられていたもの。  
それは、しぐれと寸分たがわぬ「投げられ地蔵」だった。  
 
端正な顔立ち。  
ドン・キュッ・ドンの見事なバディ。  
着ている衣装はむろんのこと、草履にいたるまで。  
全てが、リアルに再現されていた。   
「デラックス投げられ地蔵1号」と記されたタグが首からぶらさがっていなければ、  
まさしく、しぐれそのものであった。  
 
「こ…これが人形なんですか!?  
 どーみても、ホンモノのしぐれさんみたいですけど…」  
 
待ってました、とばかりに秋雨は説明を始めた。  
「ウム、身長・体重に質感、重量バランスも、ホンモノのしぐれ君と同一だ。  
 というか、しぐれ君の協力をえて、本人から型をとったからね。  
 外見上は、まったくしぐれ君と同じと思って欲しい。  
 試しに、触ってみたまえ。」   
 
兼一は、おそるおそるしぐれ地蔵の肌に触ってみた。  
 
ムニュ。  
 
伸ばした手が、反射的にひっこんだ。  
「師匠っ!!この地蔵、生きてます!!  
 暖かいですっ!!柔らかいですっ!!  
 まさか、ホンモノのしぐれさんでは!?」  
パニくる兼一をよそに、秋雨は淡々とした様子だった。  
 
「あわてることはないよ、兼一君。  
 よくみたまえ、目がまばたきをしていないだろう?」  
 
みれば、しぐれ人形の目は、見開かれたまま。  
何秒待っても、目をつぶる気配もない。  
よくよく見てみると、呼吸をしている形跡もみあたらない。  
しかし、さっき触った感触は、血の通った人間の感触だ。  
 
「でも、触ったときは…暖かくて…やわらかくて…まるで…」  
 
困惑する兼一に、秋雨はしたり顔だった。  
 
「それは私の発明した甲越寺式人工皮膚だよ。  
 体温、質感すべてが、人間と同一でね。  
 国立極地研究所や海上自衛隊から引き合いが来ている程の精巧さだ。  
 何の用途に使うのかは、聞かなかったがね…フフフ。」  
 
さすがは、甲越寺秋雨。  
造形の天才であり、医学の心得もあるから、人工皮膚すらも開発できるのであろう。  
本人と寸分たがわぬしぐれ地蔵も作れるのだろう。  
しかし、不思議である。  
ダッチ用に使えるほどの素材や技術を、たかが投げられ地蔵に投じるのか?  
いぶかしく思った兼一は、秋雨に尋ねてみた。  
 
「でも、なぜ師匠は、リアルな投げられ地蔵を作ったのですか?  
 どうせ消耗品だし、石で作ってもいいじゃないですか?  
 今までも石だったんだし。」  
 
尋ねる兼一に、秋雨は厳しい表情で言い放った。  
 
「それは君のためだよ、兼一君。  
 君の欠点を克服するために、わざわざ作ったんだよ。  
 しぐれ君に協力をお願いしてまでもね。  
 こうでもしなければ、対女性武術家戦の練習ができないだろう?  
 悪癖が直らないだろう?  
 直立可能だから、存分に投げ技の練習に使えるからね。」  
 
女性武術家と戦えないのが、数ある兼一の欠点のひとつ。  
対フレイア戦で舐めた苦汁は、兼一の記憶にも新しい。  
とはいえ、だからといって、自分のポリシーを変えるのは、兼一の流儀ではない。  
オポチュニスト人格の常として、兼一はつまらない部分で頑迷固陋だった。  
 
「わざわざボクのために、しぐれ人形を作っていただいたことは、感謝します。  
 ですが、だからといって、ボクは考えを変えようとは思いません。  
 ボクはぜったいに、女性に手をあげたくはないのです!!」  
 
いかにもエセ・ヒューマニストらしい、兼一の言い分。  
理屈もヘッタクレもない。  
いつものコトとはいえ、これには秋雨もあきれ気味。  
ヤレヤレといわんばかりに、ため息をついた。  
 
「では好きにしたまえ。  
 ただし、地蔵相手なら君もかまわないだろう。  
 女性の姿形をしていても、けっして女性ではないからね。  
 修行の肥やしと思って、投げ技の練習を始めたまえ。  
 私が外出から戻るまでに1000回、はじめっ!!」  
 
ここまで言われれば、是非もない。  
不承不承。  
兼一は、しぐれ人形相手に稽古を始めていった。  
 
**************************  
 
誰も居ない、梁山泊の庭で。  
しぐれ人形を相手に、ひとり柔術の稽古にはげむ兼一。  
投げるのが人形、とは分かっている。  
けれど姿形が、しぐれそのものなのだ。  
投げるにしても、ドスンと投げきるにはためらいがあった。  
ケガをさせてはいけないと、人形相手にいらない心配をしてしまうのだ。  
 
地面には、叩きつけられない。  
一回一回、投げるたびに、そっと地面に下ろすのだ。  
ひどく手間がかかるし、重力を活用できない分、疲れもたまる。  
これに、兼一ならではの注意散漫症候群、つまり病的な飽きっぽさが、拍車をかけた。  
「あー、もー疲れた!!  
 やってらんないよっ!!こんな稽古っ!!  
 休憩っ!!休憩っーい!!」  
稽古開始から、わずか30分。兼一は、休憩をとることにした。  
 
フゥと一息。  
呼吸が収まってくると、やはりしぐれ人形が気になってきた。  
「よく出来ているなあ…ホント、しぐれさんソックリ…。」  
しげしげと見ていると、もっと詳細に調べたくなるのが、人情である。  
いったい、どこまでリアルにしぐれが、再現されているのだろうか?  
服の下はどうなっているのか?  
思春期童貞の兼一としては、気になって仕方がなかった。  
 
「ちょっと失礼して…」  
 
兼一は、しぐれ人形の胸元をあけてみた。  
まず見えたのは、ズッシリ重い鎖帷子。  
「どうりで重いはずだよ…」とここまでは兼一の想定内。  
けれど、鎖帷子の内側には、想定外のものが存在していた。  
「うわっ!!!」  
それは、乳房からツンと突き出た桜色の物体。  
乳首であった。  
指で触ってみるに、硬くしこっている。  
 
「本人から型をとったということは、これはしぐれさんの乳首と…」  
 
しぐれの乳房をみるのは、兼一も初めてではない。  
着物の胸元からみえる深い谷間に、エロい視線を走らせたのは、一度や二度ではない。  
ふだん隠されている部分も、ある程度は知っている。  
馬剣星の盗撮写真で、みたことがあった。  
けれど乳首をみるのは、初めてだった。  
 
上品な桜色。  
予想よりも大きめの乳輪。  
鼻を近づけると、人形のクセして、なにやらいい香りがしていたりもする。  
「しぐれさんは、こういうオッパイをしているんだ…」  
無意識のうちに兼一の手が、乳房にのびていった。  
吸い付くようなモチ肌に、わしづかみにした指が沈んでいく。  
触ってみて、あらためて知るのは、しぐれのバストのボリュームだ。  
 
「大きいや…母さんのよりずっと大きい…」  
 
今まで兼一が触ったことがある乳房といえば、母・さおりの乳房のみ。  
妹・ほのかとお医者さんゴッコをしたことはある。  
けれどこの場合、ほのかは参考にならない。  
イヤ、問題にならない。  
「もう、ほのかとお医者さんゴッコなんか、つまんなくて出来ないや。」  
とにかく、兼一にとって、未曾有の大きさの乳房だった。  
この巨乳で、デブではないのだから、しぐれのバディはすばらしい。  
色といい、形といい、弾力といい、全てがカンペキだ。  
熟した40女の胸や、中学生の未熟胸など、しぐれ乳に比べれば、論外である。  
 
「谷間なんか…すっごく深くって…まるで顔が全部埋まりそうだ…」  
 
誘われるようにして、しぐれ人形の深い谷間に近づいていく兼一の顔。  
豊かな二つの乳房にはさまれた途端。  
兼一は、しぐれ人形にムシャぶりついていった。  
「しぐれさ〜ん、すごいですぅ〜!!すごいですぅ〜!!」  
人形相手にも、「さん」づけ。  
というか、兼一は人形を相手にしていることを忘れていた。  
 
***********************  
それから、しばらくして。  
しぐれ人形の巨乳が、兼一のヨダレまみれのキスマークまみれになり、  
オマケに吸われ続けた乳首が、ギンギンに充血し始めたころ。  
兼一は、ふと気がついた。  
 
「なんか、人形が微妙に熱くなっているような…?」  
 
熱をもっているのだろうか。  
人形全体が、少々紅くなっているようにも見える。  
「おかしいな。ボクの体温が移ったかな?」  
不思議に思う兼一。  
けれど、注意散漫なうえ、あまり物事を深く考えないのが、兼一の性格だ。  
まさか、ホンモノのしぐれさんではあるまいか?  
と、考えなかったワケでもない。  
しかし、だからといって、行為を止めようとはしない。  
あるいは、なぜしぐれが、人形のフリをしているのか?  
立ち止まって、考え込むようなこともしない。  
 
基本的に、兼一は希望的観測だけで生きている人物。  
都合の悪いことや、メンドなことは、無意識のうちに忘却するクセをつけているのだ。  
さもなければ、兼一がココ梁山泊で修行することじたい、ありえなかっただろう。  
イジメられっ子人生に耐えられず、自殺していたのかもしれない。  
 
かくして、兼一は、しぐれ地蔵の微妙な変化を黙殺した。  
そんな些細なことよりも、たいせつなことがある。  
オッパイを堪能したのちは、股間である。  
股間というか、股の付け根というか、要するにアソコである。  
 
「さぁて、コッチの方はどうなっているのかな?」  
ヨイショとしぐれ地蔵の腿をひらき、覗きこむ。  
フンドシ着用は、またまた兼一の想定内。  
今回想定外だったのは、純白のフンドシに大きなシミがついていたことであった。  
触ってみると、粘っこい液体がベットリと。  
フンドシは、分泌液のような汁で、グッショグショのヌレヌレであった。  
 
何とはなく、ある種の予感が、兼一の脳裏をよぎる。  
(マン汁を垂れ流す人形って、あるのかな…?)  
が、その予感はよぎっただけ。  
速やかに記憶の奥底へと封印されていく。  
「あれ、液漏れかな?ちょっと乱暴に扱いすぎたかな…エヘヘヘ」  
と、わざわざ声に出して、自分に言い聞かせたりもした。  
目の前で発情している物体は、あくまで「リアル投げられ地蔵」であると。  
 
兼一は、はやる気持ちを抑えて、慎重にフンドシをほどいていった。  
スルリとフンドシが解けたあと。  
そこに現れるのは、しぐれのオンナの部分である。  
隠されたしぐれの秘密の園は、驚異に満ちた世界であった。  
あんがい薄い体毛。  
体毛の直下で皮を被っているのは、クリトリスだろうか。  
脇のビラは意外と大きく広い。  
 
「マンビラが大きい女の人は、クリトリスも大きいって大学館の本に書いてあったっけ…」  
 
好奇心に駆られて、とりあえず、皮を剥いてみる。  
たちまちピンク色の繊細な部分が、兼一の視線に晒された。  
が、経験に著しく欠けた兼一だ。  
女性のクリトリスの大小を評価することなど、できやしない。  
しっとりと。  
潤いを増していく秘所を前に、ただただ、感嘆の声をあげるばかり。  
 
「よく出来ているなぁ…こんなところまで、リアルに再現するとは。  
 さすがは秋雨師匠だなぁ。  
 凝り性というか、完全主義者というか。」  
 
自分に言い聞かせるように、兼一は呟いた。  
 
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さてさて。  
トロトロのマン肉を目の前に、女体の神秘を実験観察すること十数分。  
童貞ならではのエロ心と探求心には、女体の尊厳に対する慎みが欠けていた。  
クリトリスをつまむ。  
グチョグチョに重なり合ったビラを開く。  
尿道に指を差し込む。  
ボルチオ性感帯を、探し当てようとまでした。  
 
かのように、徹底的に、しかも粘っこく。  
イジクリまわされた、しぐれ地蔵のマン肉は、タイヘンなことになっていた。  
潤んだ肉ヒダの重なりは、グッチャグチャのヌルヌルだ。  
包皮を乱暴に剥かれた女の芯は、赤くパンパンに膨れあがっていた。  
いろいろな意味で、収まりがつかない様相だった。  
 
ついでに兼一もまた、収まりがつかなくなっていた。  
むろん、このようなしぐれ地蔵の変化を目の当たりにしたのだ。  
先刻よりも、いっそう強くイケナイ予感を感じてはいた。  
取り返しのつかないことをしている。  
希望的観測だけで生きている兼一にせよ、そんな感慨を感じないわけではなかった。  
 
が、兼一のイチモツは、すでにエネルギー充填120パーセント。  
発射しなければ、イチモツが納得しまい。  
それも、しぐれ地蔵の中に。  
目の前で、誘うようにヒクつく、マン肉が兼一の理性をゆるやかにトロかしつつあった。  
 
「まっ、投げられ地蔵相手だもんね。  
 オナニーしているようなものだから、かまわないよね。」  
 
いくらリアル投げられ地蔵でも、アソコが、ヒクついたりするものなのだろうか?  
体液を分泌したりするのだろうか?  
わずかにせよ、ハメやすいように、脚を開く人形が、この世のいったいどこにあるというのか。  
兼一の頭のなかでわきあがる疑問は、数知れない。  
が、そこは一人上手な兼一である。  
そうした疑念は、いつものように、心の奥深くに閉じ込める。  
ガチャンと鍵をかけて、邪魔をさせないのだ。  
 
それに、もうココまでやってしまったのだ。  
いまさら、後には引けない。  
むろんわずかだが、いまだ、ためらいは残っている。  
が、しぐれ地蔵から香ってくる淫靡なフェロモン臭が、兼一の背中を押した。  
 
「ええーいっ、ままよっ!!  
 しぐれ地蔵さん、いきますよっ!!」  
 
あとは、あっという間だった。  
小兵なイチモツをネジこんで、わずか三秒。  
兼一は、熱いエキスをドクドクと放出していた。  
ブザマといえばあまりにブザマすぎる、持続時間。  
それでも兼一は満足であった。  
 
「やっぱり、地蔵でも処女だったら、気の毒だもんね。」  
 
毒が抜け、満ち足りた表情で微笑む兼一。  
その視線の先には、大きく口を開けたしぐれ地蔵。  
可憐な口もとは、兼一特製のホルモンエキスでいっぱいだった。  
しぐれ「人形」のアソコではなく、おクチに口内発射。  
大きく広げられたまま放置された股間が、ひどく空しく寂しげだ。  
けれど、これが兼一せいイッパイのリスク対処であった。  
 
そうこうしているうちに、秋雨が戻ってくる時間が迫ってきた。  
下半身スッポンポンの兼一に、えらく着衣が乱れたしぐれ「地蔵」。  
こんな光景を秋雨にみられるワケにはいかない。  
 
「いけない、早く片付けなきゃ!!」  
 
兼一は大あわてで、現場回復に勤しんだ。  
着衣を直し、汚れはふき取り、全てを元通りにする。  
大急ぎの作業の最中、ふと、しぐれ地蔵に背中を向けたとき。  
後ろから、ピチャピチャと舌を鳴らす音が、兼一の耳に入ってきた。  
「ゴクリ」と何かを飲み込むような音も、明瞭に聞き取れた。  
振り返り見ると、ベットリと顔に発射したハズの白濁液が、みあたらなかった。  
まるで舐め取られたように、全部キレイになくなっていた。  
 
「きっと、気のせいさ」、そう言って兼一は自分を納得させた。  
 
=====================================  
 
その夜、馬剣星と秋雨は密談をしていた。  
 
「いやー、しぐれどんが発情しちゃったときは、おいちゃんも焦ったね。  
 てっきり、兼ちゃんにバレちゃうんじゃないかと思ったね。」  
「剣星、だからいっただろう?  
 兼一君の性格から言って、露見する恐れはまったくない、と。  
 どんなに、証拠があっても、都合の悪いことは、ぜんぶ見てないふり。  
 さいしょから無かったコトに、してしまうのだな。兼一君は。」  
「さすがは秋雨どんね。人間観察が鋭すぎるね。  
 今回ばかりは、おいちゃんの負けね。」  
 
やはり長年の友人関係がモノをいうのだろう。  
密談ではあっても、二人の会話は和気藹々としたものだった。  
ひとしきり、馬剣星のお上手が終わると、いよいよ密談は本題にはいった。  
 
「秋雨どん、今度の件はムリ言って悪かったね。  
 もっとイイ手があれば良かったんだけど…  
 だんだんしぐれどんが、煮詰まってきちゃっていてね。」  
 
珍しく恐縮する馬剣星に、秋雨は朗らかな笑顔をむけた。  
 
「なあに、気に病む必要はないよ。  
 私も、兼一君にはオンナの味を知ってもらいたかったからね。  
 あれは、私の修行計画にとっても良い機会だったのだよ。」  
 
秋雨の仰天アイデアには、慣れたつもりの馬剣星。  
だが、オンナの味が修行に役立つというのは、あまりに奇想天外だ。  
馬剣星は、あきれたような顔をした。  
 
「ホウ、セックスが修行に役立つ…。  
 秋雨どんは、そういう考えをもっているのかね?」  
 
「いや、そういうワケじゃないんだ。」  
   
秋雨は、苦笑しながら馬剣星に論をといた。  
 
「兼一君には是非ともオンナを知ってもらいたいと思ってね。  
 剣星も知っているだろう?兼一君が女性と戦えないのは。  
 あれは、彼が童貞だからなんだ。」  
 
やはり長年の友人関係がモノをいうのだろう。  
密談ではあっても、二人の会話は和気藹々としたものだった。  
ひとしきり、馬剣星のお上手が終わると、いよいよ密談は本題にはいった。  
 
「秋雨どん、今度の件はムリ言って悪かったね。  
 もっとイイ手があれば良かったんだけど…  
 だんだんしぐれどんが、煮詰まってきちゃっていてね。」  
 
珍しく恐縮する馬剣星に、秋雨は朗らかな笑顔をむけた。  
 
「なあに、気に病む必要はないよ。  
 私も、兼一君にはオンナの味を知ってもらいたかったからね。  
 あれは、私の修行計画にとっても良い機会だったのだよ。」  
 
秋雨の仰天アイデアには、慣れたつもりの馬剣星。  
だが、オンナの味が修行に役立つというのは、あまりに奇想天外だ。  
馬剣星は、あきれたような顔をした。  
 
「ホウ、セックスが修行に役立つ…。  
 秋雨どんは、そういう考えをもっているのかね?」  
 
「いや、そういうワケじゃないんだ。」  
   
秋雨は、苦笑しながら馬剣星に論をといた。  
 
「兼一君には是非ともオンナを知ってもらいたいと思ってね。  
 剣星も知っているだろう?兼一君が女性と戦えないのは。  
 あれは、彼が童貞だからなんだ。」  
 
秋雨の説によれば、童貞は女性を過度に崇拝してしまう、とのこと。  
オコチャマだから、母性への希求とエロ衝動が、渾然一体になっているという。  
兼一の「フェミニズム」の根源は、母性への憧憬をベースにした女性崇拝マゾヒズム。  
そして母性とエロとをを分離するのが、ずばりセックス。  
 
「女性が、肉欲まみれの肉穴であることを身をもって知れば、兼一君の考えも変わるはずだ!!  
 童貞喪失こそ、いまの兼一君にもっとも必要なものなのだよ!!  
 今回は失敗したが、方向性は間違っていなかった。  
 次回は、カンペキな成功を期したい!!」  
ナンノコッチャ、聞いている側はよく分からない。(ついでに書いている本人自身まるで意味不明だ。)  
力説する秋雨は、いつものように自信満々だった。  
ともあれ、分かったような分からないような、この理屈。  
要するに秋雨お得意の煙幕論法である。  
 
もちろん、かくもトンデモな理屈に、真っ向から反論する馬剣星ではない。  
「秋雨どんが、そういうのなら、そうなのかもしれないね…。」  
 
付き合いが長い馬剣星は、秋雨に反論する愚を知っていた。  
それに、今の馬剣星にとって大切なのは、「最強の弟子養成」ウンヌンではない。  
第一の関心事は、あくまで兼一としぐれの関係だ。  
口内発射のみとはいえ、肉の交わりをもったあの二人。  
今回の一件で、二人の関係が望ましからざるものになりはしないか。  
馬剣星は、心配でたまらなかった。  
話を進めてしまった責任が、痛切に感じられてならなかった。  
 
うかない表情の馬剣星に、秋雨はやさしく語りかけた。  
「剣星よ、安心したまえ。  
 二人がおかしなコトにならないよう、  
 あらかじめ対策はたててある。  
 バランスをとるために、じつはもう一体、投げられ地蔵を準備しておいたんだ。」  
秋雨が、指を鳴らすと、静かに背後にある「地蔵部屋」の戸が開いた。  
出てきたのは「投げられ地蔵デラックス2号」のタグをつけた若い女。  
期待に頬を紅く染めた風林寺美羽だった。  
 
(秋雨どんは、何も分かっていない…。)  
馬剣星は、心の中で嘆息した。  
 
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おそまつ。  
 

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