逆鬼至緒の泡の国探訪記。  
 
「…ヨォッ、しぐれ!どうだ景気は?  
せっかく指名してやったんだから、有り難く思えよ!  
…あ〜、いいよいいよ。そんな床に這いつくばるな。  
そんな挨拶されたらコッチが困らぁ。」  
 
「…エッ?お客さんに丁寧に挨拶するのは店の方針?  
 そんな堅苦しいことをいうなよ。  
 やめろ!やめろ!  
 ったく、そんなかしこまってお辞儀されたら、俺のほうが照れるじゃねえか!」  
 
「…そうか…てめえの方針でもあるのか。  
 わかった。それならイイだろう。  
 プロにはプロのポリシーってヤツがあるからな!  
 しかし、ここはいい店だぜ。  
 俺のいつも行く高級店ほどじゃないが、内装もコジャレてるし、掃除も行き届いてる。  
 風俗は清潔がいちばんだからな!  
 …でマットはあれか…やっぱりエアマットなのか?」  
 
「…いやっ、そんなことは、俺でも知ってるぞ。百も承知だ!  
 ただ…俺の愛用する高級店では、エアマットじゃなくて…。  
イヤ、そんなコトはどーでもいいッ!  
まあ店には店のやりかたがあるってこったな!  
あーっ面倒臭え!もう始めるぞ!」  
 
「…ああそうか、すまん、すまん。服なら今脱ぐところだ。  
いや待てよ。たった今、気づいたのだけど、何でお前は普段着姿なんだ?」  
 
「…あ、なるほど。その着物モドキは仕事着兼用だったのか…。  
さすがの俺も、そこまでは気がつかなかったぜ。  
でもその格好で出勤してるんだろ?恥ずかしくないのか?」  
 
「…なに?出勤時のときは、上からコートを羽織ってるから大丈夫だぁ?!  
 おめえってヤツは、ホント変わっていやがる。  
しかし面倒くさいから着替えないというのも、何かヘンだぜ!  
 やっぱこう、おめえもプロなら…。」  
 
「…もういいよ。  
 面倒だから、いまさら着替えんでも…」  
 
「…そうかぁ…店の方針なら仕方が無いな…。  
 じゃあとりあえず、スチュワーデスのを頼むぜ!  
 イヤ違う。ワンピースのヤツじゃない。  
 ツーピースで、帽子とスカーフがセットになってるヤツな。」  
 
・・・(資料不足および経験不足により中略)・・・  
 
「…ウッ…ウム…これが潜望鏡ってヤツか…。  
 しかし…こんな荒業もあるとは…思いもよらなかったぜ…。  
 ウウ…普通・・・潜望鏡ってやつは…こんなんじゃ…オオゥ・・・。  
俺が…いつも行ってる…高級店では…クハッ…こんなのは…ウウッ。  
 さすがは…しぐれだぜ…水中は…お得意…か…ウウム…。」  
 
・・・(資料不足および経験不足により中略)・・・  
 
「…いやぁ、出すモン出して、体の毒が消えたぜ。ありがとな!しぐれ!  
 また今度も指名してやるからな!」  
 
「…おい、何だよ?その手は?  
 入浴料ならさっきフロントで払ったぜ。  
 まさかオマエ、ボッタクリ店で働いてるんじゃないだろうな?  
 ボッタクリなら、俺は払わないぜ!」  
 
「…エッ?サービス料と入浴料は別?  
 フロントでまず入浴料を払い、終わったあと泡姫にサービス料を払うのが普通…って…  
 馬 鹿 野 郎−っ!!俺だってそれぐらいは知ってるぜ!!  
 いつも行く高級店とは、システムが違ったので、戸惑ってただけなんだよッ!  
 それ丁度今、払おうと思ってたとこだったんだ!。  
 まったく気が早い野郎だな、おめえは。…で、幾らなんだ?」  
 
「…ナニッ?サービス料は入浴料金の さ ん ば い?  
 だって情報誌には2万8千円って…。  
 …いや電話でもフロントでも総額の確認なんてしなかったけど・・・。  
…確かにキャバクラでも・・・だが…なるほど…。  
………  
しぐれ…五万ほど…立て替えてくれないか?なんとか今週中には…。」  
 
逆鬼至緒のソープ修行はまだまだ始まったばかりのようであった。  
 
おそまつ。  
 

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