「こ、ここは……どこ?」  
 柴田純は目を覚ました。どうやら自分は今ベッドの上に寝ているようだ。  
「う、ううん」  
 
 身体を起こそうとしたが、起こせなかった。  
「な、何ですか、これは!」  
 彼女の両手首、両足首が紐で縛られている。そして両腕両脚を大きく広  
げた大の字の格好で、四本の紐がベッドの四隅にくくりつけられていた。  
 
 つまり柴田はベッドの上でハリツケにされた様に、四肢を完全に拘束さ  
れていたのである。  
「ちょっと〜、冗談じゃないですよ。わたしSMの趣味はないんです!」  
 うんうん呻きながら、逃れようとした。だが、ガッチリと縛り付けられ  
た紐は女の力ではビクともしない。  
 
 白のブラウスに茶色のジャケット、タータンチェックのスカート。幸い  
な事に着衣の乱れはない様だった。  
 どうして、こんな事になったのか必死で記憶の糸をたぐる。警視庁の資  
料保管室で朝倉に関する資料を調べている時だった。いきなり後ろから、  
頭をガンと殴りつけられたのだ。そして気を失った。その後、気がついた  
らこうなっていたのだ。  
 
――すると、わたしをこんな目に合わせたのは警察内部の人間?  
 そんな馬鹿な。一体誰なの? 柴田が考えを巡らせていると、ドアが開  
いて一人の男が入ってきた。  
 
「ようやくお目覚めのようだね、柴田君」  
 意外な男だった。捜査一課の早乙女管理官である。  
「さ、早乙女さん!」  
 
「フフ、君がそうやって磔にされてる姿、結構似合ってるよ」  
 早乙女はいつものように、エリート然とした皮肉っぽいポーズでそう言  
った。すると、早乙女の仕業なのか。  
 
「いやですよ〜。放して下さい。なんで、こんな事するんですか?」  
 天然の柴田らしく、いささか緊張感に欠ける口調の詰問だったが、管理  
官はそれには答えず、彼女の下半身の方に近づくと、いきなりスカートを  
めくり上げた。  
 
「きゃあっ!」  
 突然の蛮行に柴田が悲鳴を上げる。セクシーな赤いレースのパンティが  
露わになった。  
「ほほう、赤のパンティとは君のイメージとは違うな」  
 早乙女は、天然ボケのいつもの柴田のイメージと扇情的な赤いパンティ  
とのギャップを指摘した。  
 
「わたし、赤のパンツしか持ってないんです!」  
 柴田は顔を真っ赤にしてそう答えたが、相変わらず、話しぶりは事態の  
深刻さにそぐわなかった。  
 
「どうも、君と話してると調子が狂うな」  
 柴田のペースに巻き込まれていた早乙女の目がギラリと光った。  
「そろそろ、本番と行くか。柴田君、君は今から私にレイプされるんだよ。  
そう、真山の妹みたいにね」  
 
 柴田の顔が、ハッと引き締まった。  
――な、なんですって! やっとわかった。そうだったのか!  
「早乙女管理官、あなたが、あなたが朝倉だったのね!」  
 それまでとは違い、キッと早乙女を睨みつけ、鋭い口調で早乙女の正体  
を暴き出した。  
 
「フッ、さすが柴田君、正解だよ。ただし少し遅かったがね」  
「なんで、こんなマネをするのですか?」  
「ゲームだよ、ゲーム。もうすぐ、ここに真山が来ることになってる。君  
のカラダと真山の命を両方もらう。真山に、君が犯されるのを見ながら死  
んでもらう、というのも一興だな」  
 
 早乙女は、冷酷な内容の話を事も無げに言ってのけた。  
――ええっ! 真山さんがここに? 大変だ、きっと罠が仕掛けてあるに  
違いない。来てはダメ。でも、どうしたらいいの?  
「この卑怯者! 絶対許さない!」  
 珍しく柴田が度を失って、早乙女を罵った。  
 
「そんな事言ってる場合じゃないんだよ、柴田君。君って処女なんだろ、  
それを失くすかどうかの瀬戸際なのにさ」  
 早乙女は、そう言うと胸ポケットからナイフを取り出した。そして、柴  
田のジャケットに差し込んだ。ビリビリッと引き裂いていく。  
 
「いやっ! いやっ! やめてください!」  
 柴田は必死でわめき散らしたが、四肢を紐で拘束されている彼女には何  
の抵抗もできなかった。  
 
「ああっ!」  
 ジャケット、ブラウス、スカートとあっと言う間にズタズタにされ、ブ  
ラジャーとパンティしか身に着けていない姿にされてしまった。  
 
「ブラジャーは清楚な純白、パンティはセクシーかつ情熱的な赤、このギ  
ャップが最高だね」  
 と早乙女。下着二枚だけにされた柴田は意外にもグラマラスな肉体をし  
ていた。  
 
「柴田君、君って自分じゃあんまり自覚してないようだがすごい美人なん  
だよ。もっと化粧くらいきちんとしたまえ。みんな見違えるだろうに」  
「余計なお世話です!」  
 柴田はムクれた様に顔をそらした。  
 
「次はオッパイの大公開といくか」  
 そう言うと早乙女は、柴田の胸の谷間にナイフを差し入れる。真ん中で  
切り裂いた。  
 
「いやあっ!」  
 柴田の上半身は丸裸にされ、二つの乳房が露わになった。  
「なかなかいいオッパイしてるじゃないか」  
 早乙女の言うとおり、柴田の双乳はハリのある美乳であった。  
 
「見ないでっ! 見ないでください!」  
 屈辱と羞恥で柴田の白い肌は真っ赤に紅潮していた。自分がか弱い女に  
過ぎない事を思い知らされる。東大卒の経歴も、難事件を苦もなく解決す  
る明晰な頭脳も、この場ではまったく役に立たない。圧倒的な暴力の前で  
は屈服させられる弱い存在。  
 
「フフ、残りは最後の一枚だな」  
 柴田はパンティ一枚だけにされてしまった。ここで一休みが入る。早乙  
女の方はまだ上着すら脱いでいない。   
 
 そして、次に早乙女はベッドに上がり柴田の上に馬乗りになると胸を揉  
みはじめた。  
「ああっ! やめてっ!」  
 ゾクゾクする嫌悪感が全身を走る。もはや柴田は力で征服されるただの  
一人の女に過ぎなかった。  
 
 柴田の抗議も空しく、早乙女は彼女の乳房にしゃぶりついた。舌で乳首  
の辺りを舐めまわす。すると、どうしたことか、それまでの気持ち悪さが  
次第に、快感に変わっていくではないか。  
 
――こ、これはどういうことなの?  
 まだ、男と交わった事のない柴田が知らない女体の神秘。性感帯を責め  
られれば、たとえ嫌な相手でも感じてしまうのだ。  
 
「ア、アアッ、アアッ!」  
 上げさせられる声も、いつの間にか悲痛な悲鳴ではなく、官能の喘ぎ声  
に変わっていた。  
 
「ほうれ、いいぞ。感じてきただろう」  
 早乙女は胸にしゃぶり付きながら、体勢を変え右手を股間に伸ばした。  
そしてパンティの上から、秘部をまさぐり始めた。  
 
「アアアッ!」  
 柴田の喘ぎ声は一層大きくなった。  
「そら、濡れてきたぞ」  
 蜜壺からあふれ出した愛液がパンティを濡らしていた。  
 
――いやっ、犯されたくない! 真山さん、助けて!  
 柴田は心の中で、真山に必死に助けを求めた。  
「そろそろ、下も脱がせるか」  
 頃合いと見た早乙女が、柴田のパンティに手を掛けた時だった。  
 
「柴田!!」  
 真山が部屋に飛び込んできたのだった。  
「真山さん!」  
「真山か、少し早かったな」  
 
「早乙女、何してる!」  
 真山は早乙女を睨みつけた。  
「真山さん、この人が、こいつが朝倉です!」  
 柴田が力を振り絞って、真山に伝えた。  
 
「な、なんだって! なんで気づかなかったんだ。今のは本当か?」  
「そうだよ、私が朝倉だ」  
 早乙女はあっさりと認めた。  
「くそう、許さんぞ、朝倉!」  
 だが、真山が行動に出るよりも早く、早乙女の右手には拳銃が握られて  
いた。  
 
「死ね、ウジ虫!」  
 三発の銃声が鳴り響いた。  
「グワッ!」  
 銃弾は確実に真山の胸を捕らえ、身体はガックリと崩れ落ちた。  
「に、逃げるんだ、柴田……」  
 そういい残して、真山はバッタリと倒れた。  
 
「ふうん、壊れちゃった」  
 早乙女は、真山に近づくと何発か蹴りを入れた。真山の身体は動かない。  
「真山さーん!! 死んじゃいやあ!!」  
 柴田は絶叫した。目からは大粒の涙がこぼれ落ちる。だが、早乙女はそ  
んな彼女の悲しみなど、まるで意に介しなかった。  
 
「邪魔が入ったな。でもゴミは片付けた。続きをやろうぜ、柴田君の処女  
は、私がいただく」  
 人一人を撃ち殺しておきながら、まるで何事もないかのようだった。早  
乙女は再びベッドに上がってきた。柴田の唇を奪うつもりなのだ。  
 
「いやっ! いやです! 汚らわしい! 近づかないで!」  
 柴田は必死に拒んだ。そして、次の瞬間だった。  
「朝倉っ!!」  
 突然の大音声に、早乙女は、パッと体を起こし後ろを振り返った。そこ  
で目に入ってきたものに驚愕した。  
 
「真山!」  
「真山さん!」  
 柴田と早乙女が同時に叫んだ。死んだはずの真山が仁王立ちになり、こ  
ちらに向かって銃を向けているではないか。  
 
 先ほどの返礼とばかりに、銃の連射が早乙女に浴びせられる。血しぶき  
が飛んだ。  
「ど、どうして……死んだはずじゃなかったのか……」  
 
 真山が、スーツをパッとめくった。  
「防弾チョッキだ。頭を狙われてたら終わりだった」  
「フッ、俺としたことが、傷を確認しないとはうかつだった……」  
 とどめの弾丸が撃ち込まれる。  
「き、キモチいい……」  
 早乙女という男の身体を借りていた殺人鬼・朝倉は死んだのだった。  
 
「敵は討ったぜ、沙織」  
 真山は小さくつぶやいた。そのまま、しばし呆然と立ち尽くしていたが  
「真山さーん、助けてくださーい!」  
 柴田の声で我に帰った。早乙女が残したナイフで彼女を拘束していた紐  
が切られた。パンツ一枚の柴田は真山のスーツを着せてもらった。  
 
「大丈夫だったか? 柴田」  
 その言葉を聞いた柴田は、真山の胸に飛び込んだ。  
「怖かった。とっても怖かったですよー」  
 真山から優しく抱きしめられて、柴田は泣きじゃくった。  
 
「お前だって頑張ったよ。早乙女が朝倉だって教えてくれたろ」  
 グズグズと柴田は泣き続けた。  
「お前が、こんなに泣く女だったなんてな。普段からこんなにしおらしく  
しとけばいいのに。ま、いいか、好きなだけ泣けよ」  
 
 泣きやまない柴田を真山は黙って抱き続けた。やがて、ようやく柴田の  
涙も止まった。それにしても、真山がこんなに優しい男だったとは。柴田  
が初めて知った真山の知らない一面だった。二人の間に微妙な空気が流れ  
ていた。  
 
――この人なら、わたしの処女を捧げてもいい……  
 柴田は思い切って言ってみた。  
「真山さん、わたしを好きにしていいですよ」  
 
 ところが、真山は柴田を突き放すと頭をバシッと叩いた。  
「いた〜い! 何するんですか」  
「柴田、頭くせえぞ。オレに抱かれたいなら、シャワーくらい浴びとけ」  
「いやあああん、もう!」  
 最大の危機を危うく脱した柴田純・24歳。いまだ処女のままであった。  
 
 
 

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