都内の一角…寂れた廃ビルに、一人の少女が向かっている。
「ここね」
泪は携帯の画面を確認した。
GPS機能によって、零の携帯の場所が示されている。
特殊機能により、地下室にいる事も分かった。
「零…待ってて」
画面を閉じると、ビルに足を踏み入れた。
地下へと続く階段は、薄暗い照明のせいか不気味な雰囲気を漂わせている。
周囲を警戒しながら降りて行くと、突き当たりにドアが現れた。
「零…」
泪は胸の辺りで携帯を握り締めると、一層警戒心を強めてドアの向こう側に意識を集中する。
何かが規則的に揺れている。同時に液体らしきものがぶつかる音も聞こえる。
(何…?)
全く想像が出来ない。
泪は決心し、渾身の力でドアを開け放った。
「…えっ…?」
目に飛び込んできた画に、一瞬、時が止まった。
階段と同じく薄暗い照明の下、部屋の真ん中に零が居た。
数人の男たちに囲まれ、一糸纏わぬ姿で四つんばいになり、前と後ろから貫かれている。
悦楽の表情を浮かべる彼女は、もはや一匹の牝に堕ちていた。
「零…!?」
やっと状況を把握し、駆け寄ろうとした泪は、目の前に違和感を感じた。
「これは…防弾ガラス…?」
そして、目の前の情景も、プツッと消えた。
罠と気付いた時には既に遅く、部屋を出る一歩手前でドアが閉まり、ロックが掛かってしまった。
自分の判断ミスだが、それを後悔する時間は泪には無かった。
催眠ガスが部屋に立ち込め、彼女の意識は、あっという間に意識の底に沈んで行った…。