メールで示された場所は確かにこの洋館だった。ホラー映画にでも出てきそうな不気味な佇まいを見上げながら、零は頬に指を当てて首を  
かしげる。  
「S……H……I……レレレ? シバタ? どこかで聞いたような……」  
 半開きになった正門の表札には確かに『SHIBATA』とアルファベットの表札が出ていた。いったいどういうつもりで愛はこんな奇妙な建物に  
来るよう指示したんだろう。肝試しならともかく、とてもパーティを開くような場所には思えなかった。  
 今日は神無島署から久々に長女の愛が帰省してくる日だ。滅多に揃わない四姉妹が全員集合ということで、零はもちろん泪も舞もこの日が  
来るのを楽しみにしていた。当然、歓迎パーティくらいはしようということで計画を練っていた矢先、愛からこの洋館に来るようメールが入ったわ  
けだが……。  
「泪お姉ちゃまと舞お姉ちゃまはもう来てるのかな」  
 まだ中学生の零は他の二人とは校舎が違う。とにかく考え込んでいても仕方ないだろう。マウンテンバイクから降りた零は、落ち葉を踏みしめ  
ながら慎重に門を通っていった。全く手入れのされていない庭を抜け、一応ノックしてからこげ茶色のドアをゆっくり開いていく。人気が無い割に  
は門にもドアにも鍵がかかっていないし、微かだが落ち葉を踏んだような跡もある。誰かが中にいるのは間違いない。  
 玄関ホールには赤い絨毯が敷き詰められていた。天井には水晶のような煌びやかなシャンデリア。弧を描いて左右に伸びる二つの階段は、  
吹き抜けの二階へと連なっており、その二階のテラスには壁画のような大きさの肖像画が掲げられていた。いずれも分厚い埃が積もっている  
ものの、その豪奢な空気は微塵も失われていない。絨毯についた足跡を確認しながら零はホールの中央へと進み出た。  
「……っていうかあの肖像画……。柴田さん?」  
「いや、あれは僕のお父上。柴田総一郎だよ」  
 突然の声に思わず悲鳴を上げる。慌てて振り向くと、いつの間にやら柴田太郎が彼女の背後にすっくと立っているではないか。警視庁の  
鑑識課にして謎の多いおじさん。事件の捜査には欠かせない存在であるが、今日の柴田は黒いマントに身を包んだ異様な風体だった。ポマードで  
整えた髪に縁の細い眼鏡は、あの肖像画と全く同じ。柴田太郎に間違いないはずだが……。  
「な、なんで柴田さんがここに?」  
「ここは柴田家の母屋なんだよ。お父上はここで柴田兄弟430億人を生み育てた」  
「それ公式設定じゃないと思うんだけど……ていうか、もろこし村は?」  
「そして僕は今ここを、新たに『柴田姉妹の館』として再生させることを誓う」  
「聞いてないし」  
 弟だけじゃなく妹までいるというのか。少なくとも柴田に二郎という弟がいることは舞から聞いていた。しかし『柴田姉妹の館』とはどういうこと  
だろう。  
「この僕、柴田太郎と婚姻した女性は姓を『柴田』に変えることができる。そして仮に複数の女性が僕と婚姻し、かつその女性が姉妹であるなら  
ば、すなわち彼女らは柴田姉妹と呼ばれることになるだろう。たとえ婚姻前が別の姓……例えば『銭形』姉妹と呼ばれていたとしても!」  
 ばさりとマントを翻して柴田が天を仰ぐ。マントの下はやっぱりいつもの鑑識の制服だ。悦に入った様子で恍惚と語る柴田に、零は引きつった  
笑みを浮かべて後ずさりした。  
「え、えーっと……増せり、悪の数字?」  
「どこへ行くんだい零ちゃん」  
「ごめんなさい、その、特殊関数におけるスツルム・リウヴィルの固有値問題に関する証明が途中だったんで……失礼しまーす!」  
 どうやら長居は無用のようだ。柴田と一定の距離を保ちつつ、入ってきたばかりのドアめがけてダッシュする。とにかく早く安全な場所に逃げ  
よう。ここは雰囲気が危険すぎる。きっと愛のメールは何かの間違いだったんだ。……愛の、メール?  
 何かが頭に引っかかった時、零の行く手を阻むかのように一枚のコインが足元に突き刺さった。赤いワイヤーで繋がれた、和同開珎を模した  
古銭のストラップ。『携帯刑事』の四文字が刻まれた特注のストラップだ。これを持っているのは世界でただ一人のはず――。零は足を止めて  
ワイヤーの繋がった先を見た。  
 
「柴田さんを無視してどこに行くつもり、零?」  
 古時計の陰から姿を現したのは、零と同じく美しいロングヘアの少女。銭形四姉妹の長女・愛である。やっぱり愛の送ったメールは間違いなく  
この洋館を指定していたんだ。ということはつまり愛と柴田がグルということなのか? しかも愛は神無島署の署長に就任したはずなのに、なぜか今  
着ている服は青葉台学園のブレザーだった。ネクタイの色が青であることを除けば零の制服と全く変わらない。いやもう一つ……愛は首に赤い革の  
首輪を身につけていた。もちろんそんな物は青葉台学園の制服には含まれていないのだが……。  
「女子高生の制服姿は中年の永遠の憧れ。これ基本」  
 零の疑問に答えるかのように柴田がマントを翻す。  
「そして婚姻した女性はマリッジリングを身に着ける。これも基本」  
「マリッジって……。結婚指輪?」  
「そう。一般的に結婚指輪は左手の薬指にはめられる。これはその指に心臓へ繋がる愛の血管が通っているから、というのが良く知られた説だね。  
ならばもっと太く確実に心臓へ繋がる血管、例えば頚動脈などにリングを通せば、二人の愛もより硬く結ばれるというもの。そうだろう?」  
「そうだろうって言われても。まさか柴田さんも着けてるんですか、首輪?」  
「見たいかい?」  
 柴田の怪しい笑みに思わず全力で首を振る零。いくらなんでもそれは遠慮したいところだ。とにかくこれで愛と柴田が仲間であるという、どういう  
経緯か不明だが非常にまずい事態であることがハッキリした。ここから逃げるには愛と戦わなければいけないのだから。  
「もうわかるわよね、零。柴田さんのプロポーズを断るというのなら……私を倒してみせなさい」  
 愛がケータイを振ってワイヤーに繋がれたストラップを回収する。  
「あれプロポーズだったんだ……。い、いくら愛お姉ちゃまの命令でも、柴田さんと結婚なんてさすがにちょっとありえない!」  
 零もブレザーのポケットからケータイを取り出し、右手でストラップを引っ張った。数字の『0』を象ったリングと、長いチェーンが出現する。ストラップは  
本来なら犯人を捕縛するための強力な武器になるはずなのだが……まさかケータイ刑事同士で戦うことになろうとは。埃の積もった絨毯を踏み締め、  
両者は慎重に間合いを詰める。  
「……わらわの暗算、解いてみよ!」  
 目いっぱい踏み込んだ零がゼロのリングを投げ飛ばした。しかし愛は眉一つ動かさずにストラップの和同開珎を振るう。ゼロとコイン、二つの  
ストラップが中空で激突し、火花を散らして持ち主の元へと戻っていく。  
「さすが愛お姉ちゃま……。あんな小さなストラップでゼロを押し戻すなんて」  
「ふふ……そこら辺のギャルと一緒にすると、ヤケドするよ!」  
「でも一撃をかわせばきっと捕縛できる!」  
 一度捕まえてしまえば、あとはコマのように高速回転させて愛をダウンさせてしまえばいい。その隙にこの館を脱出して、泪と舞に事情を話して、  
何とか事態を打開しよう。とにかく脱出が先だ。零はコンピューターのように正確な頭脳をフル回転させた。  
(肩の筋肉の動きと関節の角度、手首のスナップに指の曲げ具合……。正確に観察すればストラップの軌道は計算できる。ゼロの軌道を邪魔され  
ないように投げればいいんだから、極座標の応用でr=θの時、角度が増えると半径も長くなってアルキメデスの螺旋となるわけで……よし、いける!)  
 一瞬にして複雑な計算をこなした零がゼロを構える。再び両者のストラップが空気を切り裂いた。精密に設定されたコースを正確になぞっていくゼロは、  
見事愛のストラップをかいくぐり、彼女の身体を拘束せんと牙をむく。ケータイを巧みに振るって和同開珎を操る愛だが、さすがに零の緻密な計算  
で弾き出された軌道を予測することはできなかったようだ。今さら放ったコインを呼び戻しても間に合わない。  
(やった!)  
 心の中で零がガッツポーズした時、不意に彼女の足首が引っ張られた。  
「レレレ?」  
 思わぬ応力にバランスを崩し、零は埃の舞う絨毯に突っ伏してしまう。当然ケータイに繋がっているゼロもバランスを崩し、あと一歩というところで愛に  
そのリングの拘束をかわされてしまった。身体を起こした零が足首を見ると、そこには真っ赤なリボンが巻きつけられている。リボンの先に揺れているのは、  
これまた和同開珎。まさか……。  
 
「犯人は一人とは限らないのよ、零?」  
「そ、そんなぁ……舞お姉ちゃままで……」  
 リボンの繋がった先、階段の踊り場に立っていたのは、銭形四姉妹の三女・舞だった。零と同じく赤いネクタイの青葉台学園の制服。そしてやはり  
首には革の首輪が繋がれている。  
「正義の舞さまステップ、受けてみな!」  
 舞がリボンを引っ張ると、零の身体は足首からぐるぐる回転させられ、まさにいま自分が愛にやろうとしたように床にダウンさせられてしまった。  
白手袋で眼鏡の位置を直しながら、柴田が舞のそばに立つ。  
「愛ちゃんだけじゃなく、舞ちゃんも僕と永遠の誓いを結んでくれたんだよ」  
「えー、だって最終回でプロポーズ断ったはず……」  
「古人曰く、女心と秋の空。まだ少女だったために僕の魅力に気づかなかった舞ちゃんが、大人の階段を一つ上ることで自らの過ちに気づくのは  
むしろ自然。零ちゃんもそのうちわかるようになるよ。なにせ、銭形四姉妹で僕と誓いを立てていないのはもう零ちゃんだけなんだから」  
「私、だけ?」  
 嫌な予感に顔をしかめる零。その顔に一粒しずくが垂れかかり、頭上から赤いネットが降り注いで彼女の身体を絡め取っていった。  
「お姉ちゃまたちに勝とうなんて十年早いんだからね!」  
 そう言ってテラスの上から誇らしげにネットを引っ張るのは、ポニーテールが愛らしい次女の泪。もちろんその首には赤い首輪が光っている。  
愛どころか、泪も舞も柴田とグルになっていたのだ。これではいくら零でも太刀打ちできるはずが無かった。  
「まさか第一話の鑑識メモが現実になるなんて……」  
「私の泪で溺れなさい!」  
 ただでさえ舞のリボンでグロッキーになっていた零は、泪のネットに引っ張られて完全に目を回されてしまった。リボンとネットを外されても、もう  
立ち上がる気力は残っていない。愛、泪、舞の三人がホールに集合して零を取り囲んだ。  
「お姉ちゃまにストラップを向けるなんて悪い子ね!」  
「まずは私たちの手でしっかりお仕置きして躾とかないと」  
「よし、二階に連行!」  
 愛が指をパチンと叩くと、泪と舞が両脇から零を抱え込んで立ち上がらせる。  
「お、お姉ちゃまぁ……どこに連れて行くつもりなの?」  
「言ったでしょう? しっかりお仕置きしないと、ってね」  
 不安げな零の瞳を覗き込み、愛が小悪魔っぽい笑みを浮かべた。  
 
            ※  
 
 零が連れ込まれた一室は、そこだけ丁寧に掃除されていて、どうも寝室として使われている部屋のようだった。小さなタンスと机の他は、中央にある  
大きなダブルベッドくらいしか家具がない。そのベッドの上に投げ出され、零の小さな身体がスプリングで飛び跳ねる。  
「さて、それじゃまず邪魔なものを取っちゃおうか。埃ですっかり汚れちゃったし」  
「邪魔なものって……じょ、冗談でしょ泪お姉ちゃま?」  
「動くと危ないわよ。綺麗な肌に傷がついちゃう」  
 ベッドに膝を乗せた泪がケータイを構えた。人差し指と中指でストラップのコインを挟んでいる。冗談にしてはタチが悪すぎるだろう……部屋の中には  
柴田もいて、隅の椅子に腰掛けながらワインを味わっているのだ。泪の目論見を悟った零は思わず後ずさるが、同じくベッドに乗り上げた舞が壁となって  
行く手を阻んだ。後ろに回していた両手をがっちりと押さえつけられてしまう。  
 次の瞬間、ケータイを握った泪の手が素早く上下左右に空間を切り裂いた。思わず目を閉じる零。  
「お見事。また腕を上げたんじゃない、銭斬り?」  
 パチパチと愛が拍手をするが、目を開けてみると零の制服には何の変化も見られなかった。変だな? ストラップのコインで制服を切り裂くつもりなのかと  
思ってたのに……。  
「ま、これくらいはケータイ刑事の基礎技能だから」  
 そう言って泪が指を鳴らす。途端に零の制服に亀裂が走り、一瞬にしてバラバラの端切れとなって飛び散っていった。  
「きゃぁぁぁっ?」  
 なんていう切れ味……斬られたことにさえ一瞬気づかないなんて。ブレザーもブラウスもスカートも粉みじんに吹き飛び、零の身に着けている物は僅かに  
上下の下着だけになってしまった。身体を隠そうにも舞が腕を押さえつけているからどうしようもない。零は顔を真っ赤にして必死に抵抗した。  
 
「は、離して……やだ、舞お姉ちゃま、こんなのいやぁ!」  
「何よ、そんなに恥ずかしがること無いでしょう? 同じ姉妹なんだし」  
「だって柴田さんが……」  
 柴田は窓の外を見ながらワインを口に運んでいるが、チラチラと零の下着姿を目に焼き付けているのはあからさまにわかることだった。  
「なに言ってるの。零は柴田さんのお嫁さんになるのよ。見られて喜ぶくらいじゃないとダメなんだから」  
 愛もベッドに上がって零の下着姿を間近から観察する。  
「一張羅の制服だったのにぃ」  
「後で衣装の高橋さんに新しいの用意してもらうから」  
「ていうか柴田さんが好きなのってお姉ちゃまたち三人だけでしょ? 零はまだ子供だから、恋をしてしまうって設定は無しにしたってマニアルブックでも  
金剛地さんが言ってたし」  
「あら、本当に子供なのかしらね?」  
「……ひゃん!」  
 背筋を貫く痺れに零が身を硬くした。愛が慣れた手つきで零の股間に指を這わせたのだ。巧みなタッチでスリットを上下にさすり、ショーツの繊維越しに  
肉芽を爪弾く。  
「ほーら、もう湿ってきてるじゃない。まだ中学生のくせに、いやらしい子」  
「そ、そんなこと……」  
「素直になりなさい。ほら、ほーら?」  
 緩急をつけた巧みな指さばきはさすが長女の貫禄といったところだろう。つい一年前までランドセルを背負っていた零が太刀打ちできる相手では  
なかった。いくら口では否定しても、秘唇から滲み出る蜜は誤魔化しようが無いし、喉を突く歓喜の悲鳴も呑み込めない。瞬く間に股間は熱く潤い、  
ショーツに恥ずかしい染みを浮かび上がらせていった。  
「さぁ、自分がエッチな女の子だって認めなさい、零?」  
「そんなこと……ないもん!」  
 耳たぶを甘噛みする愛のテクニックに負けじと、零は頬を火照らせながらもよりいっそう激しく抵抗して身体を捻った。膝で愛の身体を押し返す。  
「もう、強情な子ね」  
「愛お姉ちゃま、仕方ないから縛っちゃおうか?」  
「あ、それいい。私に任せて」  
 背中から零を拘束していた舞がパッと手を離した。チャンスとばかりにベッドから降りようとする零だが、もちろんそんな隙を与えるほど舞は甘くない。  
すかさずケータイを振るい、そのストラップのリボンで零を縛り上げ、さらに天井のシャンデリアに通して吊り下げてしまった。M字開脚の姿勢で  
固定された挙句、真上に掲げた両腕から身体全体を引っ張られている格好だ。お尻はかろうじてベッドに触れているものの、身動きの取れないかなり  
苦しい体勢であることは間違いなかった。もう完全に零は抵抗することができない。  
「さーて、それじゃ三人いっぺんに零を可愛がってあげましょう? いつまで強情張れるか、楽しみね」  
 愛の提案で、泪も舞も嬉々として縛られた零の身体に纏わりついた。真っ先に頬に手を回したのは泪だ。背後から零の耳に熱い吐息を吹きかけ、  
その半開きの口に自らの唇を重ね合わせる。  
「あ、だめ……んんっ!」  
 油断していた零は易々と舌の侵入を許し、その咥内を思う存分泪に蹂躙されてしまった。唾液が交じり合って彼女の意識を溶かしていく。さすが四姉妹いち  
食欲旺盛な泪だけあって唇の味わい方も執拗だ。  
「んふ……零の唾液、美味しい。蜂蜜より甘いよ」  
 いったん離れた唇から水あめのような糸が伸びる。  
「ひ、ひどいよ泪お姉ちゃま……。零、初めてのキスだったのに」  
「あら? ファーストキスの相手がお姉ちゃまじゃ、お嫌?」  
「え……」  
 見下ろす泪の瞳と視線が絡み合った。気恥ずかしさに目をそむけた零は、しばらく逡巡した後、視線を泳がせたままポツリと呟く。  
「嫌じゃ……ない、けど……」  
 耳たぶまで真っ赤にしたその仕草は姉たちのハートをくすぐるには十分すぎたようだ。たまらず泪がまた唇に吸い付いてくる。  
「可愛いーっ! 反則並みの可愛さじゃない、零ったら!」  
「あん、ずるいよ泪お姉ちゃま! 私にも零とキスさせて」  
「ちょっとちょっと、長女を差し置いてどういうつもり?」  
 泪に続いて舞も愛も次々と零と唇を重ねていった。舌と舌が捻り合い、歯の裏から歯茎、果ては顎や鼻の先まで執拗に舐められる。それはキスと言うより  
唇を使った愛撫だろう。四姉妹の大量の唾液が零の咥内で一つに溶け、喉の奥へと流れ込んでいく。  
 
 やがてキスに飽きた舞が、次なるターゲットを零の胸に定めた。小柄で華奢な身体の割りに意外と大きなバストだ。実際に手で覆ってみると、  
その驚くような量感が伝わってくる。  
「ちょっと零、あなたずいぶん胸が大きいんじゃない? まだ中学生でしょ? どういうこと」  
「どういうことって……」  
 キスの雨をかいくぐって応える零だが、別に特別なことなどしていない。身体が勝手に成長しただけなんだから、どういうことも何もあったもの  
じゃないんだが……。  
「さては、私たちに黙って一人で焼き芋食べてたのね!」  
「はい?」  
「家計の計算を任されている立場を利用してコッソリ焼き芋を独り占めするなんて……この舞さまが絶対許さない!」  
「いや焼き芋関係ないし!」  
 必死に弁解するものの、焼き芋を食べてオッパイ大きくをモットーにしている舞が聞く耳を持つはずも無い。リボンの先をつまんだ舞はストラップで  
零のブラジャーを一閃の元に切断した。そこだけ拘束から開放されたバストが右に左に果実のごとく揺れ動く。  
「ち、中学生のくせに! 何よ、大きければいいってもんじゃないんだから!」  
 相当コンプレックスを刺激されたらしく、頬を膨らませた舞が乱暴に乳房を揉みしだいた。乳首を指でつまみあげる。  
「や、痛い!」  
「痛い方がいいんでしょ? 乳首尖らせちゃって……ほんといやらしいんだから。エロ中学生!」  
「な、なによぅ……舞お姉ちゃまが胸小さいからって、私には関係ないよ!」  
「なんですってぇ?」  
 いくら本当のことでも言って良い事と悪い事がある。しかもまずい事に胸の大きさを気にしているのは舞一人ではなかった。実のところ、愛も泪も  
盆地のような胸しか持ち合わせていなかったのである。三人は顔を見合わせて頷き合った。お仕置き決定、だ。  
「やっぱり零って生意気」  
「これはキツくお灸を据えてあげなきゃね」  
「よーし、じゃあちょっと痛い思いしてもらおうかな」  
 口元を邪悪に歪ませた舞が、楽しそうにストラップのコインを零の鼻先に突きつけた。制服すら一瞬で切り裂く切れ味を持った脅威のストラップだ。  
それを彼女の乳首に押し当てる。  
「ひゃっ、何? 何するの舞お姉ちゃま……?」  
「ふふ、この出っ張りを斬っちゃおうと思って。これだけ大きい胸だと邪魔でしょ? ちょっと血が出るかもしれないけど、これもお姉ちゃまの思いやり  
だから」  
 ひんやりとしたコインの感触が敏感な乳首を刺激する。  
「うそ……や、そんなのやめて……。お願い、怖いよ舞お姉ちゃま……」  
「覚悟はいーい?」  
「ごめん、ごめんなさい! 謝るから! 許してお姉ちゃまぁ!」  
 舞が意地悪く微笑んでストラップをグッと乳首に押し付けた。木っ端微塵になった制服のイメージが脳裏をよぎり、零の表情が凍りつく。もしあんなもので  
身体を斬り刻まれたら……その苦痛は計り知れない。あまりに強烈過ぎる恐怖。それは幼い零に耐えられるものではなかった。次の瞬間、チョロチョロ  
という不自然な水音がベッドから寝室内へと響き渡る。  
「な、何この音……ひゃ?」  
「ああ……いやぁ、見ないでぇ! 見ちゃダメお姉ちゃまぁ……」  
 なんと零は恐ろしさのあまり失禁してしまったのだ。決壊した下半身からあふれ出た黄金水は、ショーツを突き抜けてベッドカバーに染みを作っていく。  
アンモニアの鼻を突く匂いが充満していった。あまりに唐突な展開に、さすがの銭形姉妹もみんな呆然だ。  
 やがて零が放尿を終えると、愛も泪も舞もようやく事の次第を悟り、もう一度顔を見合わせた。誰からとも無くプッと笑いが飛び出す。  
「ふふ、あはは……、なに、そんなに怖かった零?」  
「冗談に決まってるじゃない。本当に斬っちゃうわけ無いでしょ?」  
「でも中学生にもなってお漏らしなんて……やだもう、情けないわねぇ」  
 三人の姉たちの嘲笑が零を羞恥の谷底に突き落とした。いくら胸が大きくても所詮はまだ子供。そんな勝ち誇ったような視線が零の心を貫いていく。  
「う……うっ、だって……だってぇ……ホントに怖かったんだもん……!」  
 ポロポロ涙をこぼして嗚咽を漏らす様は、まさにお漏らしして泣きじゃくる幼児のようだった。泪と舞は腹を抱えて笑い、ニヤニヤと笑みを浮かべる愛が  
まだ湯気の立つ股間に顔を近づける。  
「零ちゃんはまだオムツが必要みたいでちゅねー? お姉ちゃまがパンツ脱がせてあげまちゅからねー?」  
 尿で透けたショーツは蜜のあふれた陰唇の形をはっきりと写し出していた。生え始めた陰毛まで鮮明に見て取れる。愛は言葉とは裏腹に、ショーツを  
左右からつまみ上げ、クロッチの部分を目一杯スリットに食い込ませた。  
 
「やだ、やめて愛お姉ちゃま!」  
「あらー? お漏らししちゃう子供のくせに、ここはちゃーんと毛が生えてるのね? ほら、こうやってショーツを引っ張ると……こんなに毛がはみ  
出してくるじゃない」  
 引き絞られたショーツの左右から、尿に濡れたいやらしい陰毛が飛び出していた。幼さの残る顔立ちに大きな胸というのもアンバランスだが、  
あどけない顔をしてしっかりと陰毛が生え揃っているのもまた倒錯的な卑猥さがあった。  
「高村さんにも教えてあげようか? 零はもうちゃーんと生えてますよって」  
「でもまだお漏らししちゃう子供だけどね」  
「そういうお子ちゃまはね、こんなお洒落なショーツじゃなくて紙オムツでも履いてなさい。捜査中にお漏らししたら犯人に笑われちゃうわよ?」  
 ケータイを握った愛が、ストラップのコインで湿ったショーツを切り裂く。もう零には悲鳴を上げる気力もない。アンモニア臭の染み付いた下着を  
剥ぎ取られ、とうとう零はその生まれたままの姿を姉たちの前にさらけ出してしまった。しかも彼女たちはちゃんと制服を身につけ、ボタン一つ外して  
いないのだ。狭い寝室の中で自分だけが丸裸にされて見下ろされている。しかも異性の柴田もいる前で。こんな屈辱的なことは無かった。  
 歳の割りに大きな胸も、生え揃った陰毛も、尿と愛液に濡れる性器も、全てを見られてしまった。本当に子供だった頃は姉たちと一緒にお風呂に  
入ったこともあったが、中学生になってまでそんなことはしない。まさかこの歳で姉たちにオールヌードを……しかも大股を開いた破廉恥な姿を見られる  
ことになるなんて。  
 愛が再び唇を重ねてきても、零はもう全く抵抗しなかった。彼女が唇を吸いながら乳房をなでると、下半身にもぐりこんだ泪が性器を舐め始める。  
小便に濡れた異臭を放つ秘唇も泪にとってはこの上ない御馳走なのだ。そして背後に回った舞は、性器より見られて恥ずかしい肛門へと舌を回して  
いった。予想だにしたかった場所を舐め上げられ、さすがに零が身を硬くする。  
「や、そこ違うよ舞お姉ちゃま……」  
「違わないよ。零のうんちの穴、美味しい」  
「汚いよぅ……お願い、そんなところ見ないで……」  
「汚くなんか無いってば。ほら、お尻を拭いたトイレットペーパーのカスがまだ残ってるもん。残念、今日うんちしちゃったんなら、大きい方のお漏らしは  
見られないなぁ」  
 そう言って舞は躊躇無く零の肛門に唾液をまぶし、すみれ色の窄まりに舌をねじ込んでいった。異物感と嫌悪感はすぐに消し飛んでいく。お尻の穴を  
ほじられる零が不思議な快感に気づくのにはそう時間がかからなかった。  
 よってたかって丸裸にされ、目の前で放尿させられ、三人がかりで徹底的に愛撫されたのだ。もはや零は身も心も蕩け、正確な判断力も冷静な理性も  
失われていた。リボンによる拘束を解かれてももう逃げることは無かった。ベッドの上で三人の姉たちに好きなように弄ばれる。  
「さぁ、そろそろ仕上げね」  
 愛の言葉を合図に、待ちかねたように柴田が席を立った。  
「い、いよいよ僕の出番だね愛ちゃん」  
「お待たせ柴田さん。たっぷり零を可愛がってあげてね」  
 泪と舞は左右から零の身体を抱き起こす。目の前に柴田がいるというのに、零はもう身体を隠すことも無く、はしたなく両足を広げて熱く熟した性器を  
剥き出しにしていた。柴田は動揺を抑えきれず、震える白手袋で眼鏡の位置を直した。  
「新たなる柴田家繁栄のため……き、協力してもらうよ零ちゃん」  
 愛が放心状態の零の顔を覗き込んだ。  
「ついに零もお嫁さんになって、一人前の女の子になるのよ。心の準備はいい?」  
「お嫁……さん?」  
「そうよ。お嫁さんになるんでしょ、零?」  
 姉の言葉にぼんやりと頷く。その反応は予想通りだ。しかし次に零の口から飛び出した言葉は、愛も泪も舞も、もちろん柴田さえ想像さえしていない  
意外なものだった。  
「うん……なるよ。零、お嫁さんになる。お姉ちゃまたちの……」  
「え?」  
 思わず目を丸くする三人。  
「ちょっと、零? 何を」  
「お姉ちゃまたちの言うこと、何でも聞くぅ……。零、とってもエッチな子なの。だからお願いお姉ちゃま、もっとしてぇ!」  
 どうやらお仕置きついでに可愛がったつもりが、可愛がりすぎてしまったようだ。すっかり性の快感の虜になった零は、まるで鳥類や哺乳類のインプリン  
ティング現象の如く、最初に快楽を与えた三人の姉に特別な感情を持ってしまったわけである。これは予想外の誤算だった。  
 
「……でも、まぁいいか」  
「私たちのお嫁さんになるなら結局同じことだし」  
「三人で零を一生可愛がってあげましょ」  
 愛と、泪と、舞は、視線を合わせて一斉に微笑み合った。  
「え? いや、あの、その……僕の立場は……」  
 一人取り残されたのは柴田である。愛は悪戯っぽく微笑んで、彼の背中を押しながら寝室の外まで追いやってしまった。  
「ちょっとちょっと、愛ちゃん?」  
「また柴田さんにもさせてあげるから。せっかくなんだし、初夜は私たちだけで、ね?」  
「いや、それかなりひどくない?」  
「やっぱり柴田さんにはこういうオチがつかないと駄目なんじゃないかな、キャラ的に。じゃあまた後で!」  
 さっさと追い出してドアに鍵をかけてしまう。恐るべき銭形姉妹の、あまりにも無情な仕打ちであった。その間に泪と舞はタンスから三本の双頭  
バイブを引っ張り出し、制服を脱いで全裸になると、自らの股間にバイブをうずめていった。もちろん愛も加わり、三人の姉は零と同じくオールヌードと  
なって再びベッドに戻っていく。  
「お待たせ、さぁ一緒に楽しみましょう、零?」  
 末の妹を弄んでいる間、もちろん三人も興奮して股間を熱く滴らせていたのだ。するりと呑み込まれたバイブは天を仰ぐ肉棒となり、零の汚れ無き  
身体を貫く喜びに震えている。まずは長女の愛が股間の間に割って入った。  
「こういうのはやっぱり年長者優先よね。前の処女は私のもの」  
 愛のバイブが零の濡れそぼった秘唇を貫く。  
「いいよー、それじゃ私は後ろを貰っちゃうから」  
 それならばと背後に回った泪は、垂れ流れた愛液と唾液でほぐれた窄まりに狙いを定めた。初体験だというのに前と後ろ、同時挿入という容赦の無さだ。  
想像を絶する圧力に零が悲鳴を上げる。とはいえ解れきった媚肉は、姉たちの卓越したテクニックもあってすぐにバイブを柔らかく包み込み、痛みだけ  
でなく快感と歓喜を零に伝えていった。強張っていた表情もすぐに溶け出していく。  
「ああ、いいよぅ……お姉ちゃまのおちんちん、すごい……」  
「やだもう、零ったら本当にエッチ」  
「可愛いよ、零」  
 泪は唇を重ねようと手を回すが、一人あぶれた舞がそれを許さなかった。よだれを垂れ流すいやらしい唇に自分のペニスをねじ込んでいく。  
「もう、お姉ちゃまたちだけずるいよ。零のお口は舞さまのものだからね!」  
 そう言って自分の口を尖らせる。とはいえ零が夢中になって舞の肉棒に唾液を絡めてくれるおかげで、秘唇を貫く双頭バイブはフェラチオの振動だけでも  
十分な快感を与えてくれた。三つの穴を全て塞がれて、しかもどの穴も貪欲にバイブを咥え込んでいるのだ。いやらしい零の表情はとても初めてとは  
思えないエロティックなものだった。  
「……ああ、そうだ。これをつけなきゃお嫁さんにならないよね」  
 夢中で腰を振っていた愛が、脱ぎ捨てたブレザーから首輪を取り出す。三人の姉が首に着けている真っ赤な革製の首輪。マリッジリングだ。金具から  
ベルトを外し、夢中になっておしゃぶりしているふしだらな零の首に赤い彩りを添えていった。  
「これで零は私たちと一生結ばれたのよ」  
「たっぷり可愛がってあげるからね、零」  
「幸せにしてあげるわよ」  
 愛と、泪と、舞に微笑まれ、零は首輪を指でなぞりながら、歓喜の声を上げる。  
「嬉しぃ……零、エッチな女の子なのぉ。いっぱいいっぱい奉仕するから、もっともっといやらしい事してぇ!」  
 焦点の定まっていない目で、再びペニスにしゃぶりついていった。  
 

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