とある日の午後、神凪の巫女姫は。  
「ん…はぁカズマぁ…」  
自室で自慰にふけっていた。しかも…  
「ハァ…熱くて固くて気持いい…」  
炎雷覇を使って。  
「本当はこんな事に使っちゃ駄目なのに」  
わかっていながらも若い体の熱りは一向に静まらない。その原因は彼女の思い人に有るのだが。  
「あぁ…カズマ、カズマぁ…」  
今日も彼に抱かれる事を想像して事に及んでいたが…  
 
普段は入口をいじる程度なのだが、今日はいささか激しすぎたのか力が入りすぎ…  
「!!!」  
刀の柄の部分が中に入ってしまった。  
「痛っ…」  
鈍い痛みに襲われる綾乃だが、幸い血は流れておらず処女膜は無事のようだった。  
「私いったい何してんだろ…」  
ようやく我に返り自分の行いを恥じ赤面する綾乃。  
以前はこの様な事をする週間などなかった。しかし、カズマに出会ってからは、ほぼ毎日のように自分を慰めた。  
最初は指で軽くいじる程度だったが、次第にエスカレートし、ついには炎雷覇まで使ってしまった。  
 
「なんでアイツのことなんか…」  
もし彼にこんな事をしてるのが知れたらどうなるだろうか。と考えてみる。  
呆れるだろうか、馬鹿にするだろうか、それともいやらしい女だと軽蔑するだろうか…  
不意にカズマの馬鹿にしたような顔が頭をよぎる。  
「あー!なんで私がカズマなんかのせいで悩まなくちゃなんないのよ!」  
やめた、やめたと頭を振りカズマの顔を頭から一蹴する。  
「ふぅ」と溜め息をつくと、ようやく自分に刺さりっぱなしの炎雷覇に気付く。  
『我ながら馬鹿な事をした』と恥じながら、手を伸ばし引き抜こうとするが…  
「ん?」と違和感に襲われた。炎雷覇がピクリとも動かない。  
『まさか』最悪の結果が綾乃の頭の中を駆け巡る。  
「ぬ、抜けない…」  
綾乃の顔はたちまち青ざめていった。  
 
(どうしよう、どうしよう…)  
もしこんな姿を他人に見られたら神凪末代までの恥である。  
汗だくになりながら必死に頭をフル回転させるも、時間は無情にも過ぎて行く。  
その時…  
「ねーさまー!」  
ドアの向こうから聞こえた声に綾乃の心臓が跳ね上がった。  
「れ、煉どうしたの?」  
聞こえてきた弟分の声に焦りながら返事を返す。  
「姉様?なんか声が上擦ってますけど?」  
「そ、そ、そんなことないわよ!」  
「そうですか?」  
「そ、それより煉、何の用?」  
明らかに不自然な綾乃の態度に煉は疑問を感じながらも用件を伝える。  
「昼食が出来たので呼びに来たんです」  
「今はいいわ!お腹空いてないから!」  
今は昼食など食べれる場合じゃない、と言うか食べれない。  
 
「ええっ!」  
煉は綾乃の言葉に驚愕した。  
あの食い意地のはった綾乃が昼食を食べないなど前代未聞の出来事だったからだ。  
「姉様!どこか体の調子でも悪いんですか!!」  
煉は大慌てで部屋のドアを叩き始めた。  
「煉!落ち着きなさい!」  
必死で煉を落ち着かせる。もし、このままドアを開けられでもしたら一貫の終りである。  
「だ、大丈夫だからアンタは早くご飯食べてきなさい!!」  
「でも…」  
「いいから早く行けー!」  
なんとか大声で煉を追い返す。  
・  
・  
・  
「ふぅ…」  
大声を出したおかげか綾乃の頭はいくらか冷静になっていた。  
(このままじゃいつか誰かにバレる…)  
でもいったいどうすれば?  
助けを呼ぶか?呼ぶにしても誰を?  
(きっとお父様なら…)  
愛娘のこんな姿を見たら卒倒するだろう。  
(無理ね…でも他に…)  
他にこの状況を打破できる人。それは今一番会いたくない人。  
(背に腹は変えられないわね…)  
渋々、綾乃は携帯に手を伸ばした…  
 
 
都内のホテルの一室。最上階のワンフロワに一人の男が宿泊していた。  
都内ホテルの最上階ともあるだけあり家具の一つ一つからは高級感が溢れ。さらに、窓からは周囲の景色を一望でき夜になればさぞかしロマンチックな雰囲気を演出してくれるであろうと思われた。  
だが部屋の主はそんな事を気にもかけず、もう昼になるというのにひたすら惰眠を貪っていた。  
 
PiPiPi…  
 
その時、男の惰眠を妨げるように携帯がなり響いた。  
男は最初、無視を決め込んでいたが携帯に鳴りやむ気配はない。  
 
PiPiPiPiPiPi〜  
 
無機質な音にすっかり睡魔を削がれ、男はようやく携帯に手を伸ばした。  
「もしもし…」  
まるで相手に自分が不機嫌である事を伝えるが如く電話にでる。  
「もしもし!カズマ!?」  
 
ブチッ  
 
カズマと呼ばれた男は電話の声を聞くなり通話を切った。  
 
『さて、もう一眠りするか』と再び意識を睡魔に任せようとしていると、また携帯が鳴り始めた。  
カズマは「はぁ…」と溜め息をつくと渋々電話にでた。  
「もしも…」  
「なんでいきなり切るのよ!!」  
カズマが言い終わる前に電話の向こう側から聞き慣れた声が飛んで来た。  
「ジョークだよジョーク」  
本当はただ面倒臭かっただけなのだが、綾乃の機嫌を損ねると後が面倒なので適当に合わせようとしてみるが…  
「はぁ?なんでいちいちそんな事すんのよ!」  
どうやら綾乃の機嫌は既に悪いようである。  
『触らぬ綾乃に祟り無し』綾乃の扱いが板に付いてきたカズマは心の中でそう思い、自分に八つ当たりされてはかなわないと話題を変える。  
「そんなことより、どうした?お前から電話なんて珍しい」  
どうせ飯を奢れだ何だと自分にたかるつもりだろうと思っていると。  
「え、えっと…その、ちょっと頼みたい事があって…」  
さっきまでの強気な態度が嘘のように急に弱々しい声になる綾乃。  
これには流石にカズマも変に思い聞いてみる。  
「どうした?拾い食いでもしたか?駄目だろ幾ら食い意地がはってるからって…」  
「するかぁ!んなこと!!」  
 
『全くこの兄弟は自分を何だと思っているのだろうか』  
先ほどの煉といいカズマといい、まるで自分が食い意地がはっている様な物言いである(事実)  
「冗談に決まってるだろ。あ、でもお前ならやりかねん…」  
「カズマァ!!!」  
カズマの更なる挑発に自分が遊ばれているとも知らず、怒りに我を忘れていると。  
「で?今日は何の用なんだ」  
カズマがようやく本題を尋ねてきた。その声に『はっ!』となり、ようやく本題を言う。  
「あ、あの今から家に来て欲しいんだけど…」  
先ほどと同じように消え入りそうな声で話す綾乃にカズマは再び疑問を抱く。  
「なんだ?また護衛の仕事か?」  
カズマは自分が宗家に行く理由なんて綾乃の護衛位しか思い付かない。  
「きょ、今日は違うの!」  
「じゃあ何だ?」  
「それは…その…」  
まさか、抜けないから助けてなんて言えるはずもなく、黙り込んでしまう。  
・  
・  
・  
「お〜い。もしも〜し」  
いつまでも返答のない綾乃にカズマが呼び掛けると綾乃は。  
「と、とにかく、すぐに来なさい!いいわね!!」  
そう言うと一方的に電話を切ってしまった。  
 
 
綾乃の電話から一時間ほどたった時。カズマは神凪の宗家の前にいた。  
かつて自分を無能と罵り蔑み続けた一族。  
二度と足を踏み入れないと思っていたのに、日本に帰国してからは週一で顔を出している。  
「何の因果かね…」  
カズマが宗家の前で哀愁に浸っていた時…  
「にーさまー!」  
玄関から満面の笑みを浮かべながら一人の少年が走り寄って来た。  
「よお、元気にしてたか煉?」  
そう言うとカズマま寄って来た煉の頭をクシャクシャと撫でる。  
「兄様くすぐったいです♪」  
煉はまるで少女のような笑顔で微笑んだ。  
「それで、兄様今日はどうしたんです?お仕事ですか?」  
「いや、綾乃に呼ばれてな」  
「姉様に?」  
先ほどの綾乃の様子を思い出し煉の表情は暗くなっていった。  
「どうした?綾乃に何かあったのか?」  
そんな煉の表情を見てカズマは綾乃に何かあったのかと思い聞いてみた。  
「姉様、なんだか体の調子が悪いみたいなんです…昼食もいらないって…」  
「昼食を?それは変だな…」  
この兄弟の綾乃の健康ステータスは食事らしい。  
 
「姉様大丈夫でしょうか…もし悪い病気とかだったら!」  
不安が募りますます表情が暗くなっていく。  
「煉、そんな顔をするな」  
「でも…」  
「俺が何とかしてやる」  
カズマがそう言うと煉の表情はたちまち元に戻っていった。  
「本当ですか兄様!」  
「あぁ、だからお前は気にするな」  
相変わらず煉には甘いカズマである。  
「それじゃあ兄様!姉様のこと宜しくお願いします!」  
ペコリと頭を下げる煉の頭を再度撫でた後、カズマは家の中へと入って行った。  
・  
・  
・  
(さて、どうしようか…)  
綾乃の部屋に向かう途中カズマは安易に引き受けた事を少し後悔した。  
(流石に病気を治せるような芸当は出来んしな…)  
そんな事を考えている間に綾乃の部屋の前に着いた。  
(まあ、何とかなるか)  
そう思うとカズマは部屋のドアをノックした。  
 
コンコン…  
 
「だ、誰!」  
聞こえてきたノックの音に綾乃は身を震わせる。  
「俺だよカズマだ」  
ドアの向こうに居るのがカズマだと解ると綾乃は少し胸を撫で下ろした。  
「来るのが遅いわよ!何やってたのよ!!」  
カズマにしてみれば早く来た方だったのだが、綾乃にしてみれば一時間以上こんな状態で耐えていたのだから仕方ないのかもしれない。  
「悪かったよ、だから早く鍵を開けてくれ」  
カズマはここで反論して綾乃を怒らせると面倒なので、素直に謝っておく。  
「め、珍しく素直ね…」  
いつもと違うカズマの様子に少し戸惑う綾乃。  
「鍵開けても、いいって言うまで入っちゃ駄目だからね!」  
「はいはい…」  
立ち上がる事が出来ない綾乃は這い付くばりながらドアに近付く。  
(んっ…!)  
その度に床に擦れる炎雷覇から微弱な振動が秘部に伝わり思わず感じてしまう。  
(だめっ!カズマが居るのに!)  
思わず声を上げそうになるのを抑えながらドアの前にたどり着く。  
(や、やっと着いた…)  
実際はほんの数十秒なのだが、今の綾乃には長すぎる時間だった。  
「まだか〜?」  
ドアの前で待たされ続けるカズマから催促の声が聞こえる。  
「もう少し待ちなさいよ!」  
カズマの声に再びビクつきながら鍵を開ける。  
そして、鍵を開けた後は同じ様に這いながら元の位置に戻る。  
もちろん行きと同じ様な振動が伝わるけで…  
(なんで私がこんな目に…)  
半ベソをかきながら、何とか帰る事が出来た。  
(な、長かった…)  
合計数分に及ぶ綾乃の戦いはひとまず終わりを告げた。  
(でも問題はここからね…)  
綾乃は大きく深呼吸をすると腹を括った。  
(よしっ!)  
「も、もう良いわよ!」  
綾乃がそう言うとガチャっとドアが開かれた。  
 

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