「はっ!!」  
 
気合と共に手にする炎の神剣 炎雷覇から金色の火球が放たれる。  
凄まじい浄化の炎を宿した金の炎は向かい来る影を焼き尽くし突き抜けた。  
 
「ふん! 見なさい軽いものよ」  
 
この世の理を乱す妖魔や悪霊を浄化、滅殺する使命を帯びた精霊術師。  
その中でも最強の攻撃力を有する炎術師・・・・それが少女 神凪 綾乃の正体だった。  
 
見た目まだ16,7の少女。  
栗色の髪を腰まで伸ばし、すらりとした四肢と女性としてまだ完熟はしていないとは言え充分に整ったプロポーションを学生服で包んでいる。  
目鼻立ちも整い、そのやや強すぎる嫌いはあるものの鋭く強い意思を宿した瞳。  
 
なによりその身体から立ち上る曇りも穢れも知らぬ眩いばかりの朱金の霊気が、霊視力など無い一般人にとってさえ、少女の魅力を引き立てていた。  
 
「ふん! 見なさい! 和麻なんていなくたってこのくらいの退魔、私だけで出来るんだから・・・・」  
『・・・・・ほう、なかなか大したものだ』  
 
不意に背後から声が沸く。  
なんの気配もなかったはずの背後の空間を慌てて睨みすえる。  
ソコに立つ黒衣の男  
 
(いつのまに・・・・?)  
 
ココまで接近を許すなど恥以外の何者でもない。  
 
「何者?」  
 
警戒を強めながら私はれきしを青眼に構える。  
判っている、アレは人ではない。  
あのような強い瘴気を放つ存在が人であるはずがない・・・・  
 
『我が名はダミヤン・・・・』  
黒衣の男が血のように赤く光る目を見開き答える。  
その口に覗く鋭い犬歯・・・・  
 
「貴方・・・・吸血鬼(ヴァンパイア)ね・・・・」  
 
夜の眷属、不死者・・・様々な異名を持つ妖魔の中でも最も力を持つ者の一つ  
 
(・・・・どういうこと?)  
 
私はココには簡単な雑霊退治の依頼できた。  
そこに吸血鬼(ヴァンパイア)の様な大物妖魔が出てくるなんて・・・・  
 
『我がココに汝を招いたのだよ、炎の姫巫女・・・・』  
「・・・・なんですって?」  
 
ニイッ・・・・と、男が笑う。  
その禍々しい笑みに綾乃の本能が背筋に冷たいものを走らせる。  
 
「・・・・どういう意味よ?」  
『ククク・・・・我ら夜の貴族が美しい処女を招く理由など簡単に想像が出来るだろう?』  
 
ゾッとした・・・・  
 
「私の血を飲むつもり・・・・?」  
 
首筋に手を当てる・・・・いや、もしかして・・・・  
 
さらにおぞましい想像が私の脳裏に浮かんだ。  
 
『美しき姫巫女よ・・・・汝を我が花嫁に迎えたい・・・・』  
 
吸血鬼(ヴァンパイア)は気に入った異性に特殊な儀式で血を飲み、血を与える事で自分の眷属に迎える・・・・すなわち吸血鬼の花嫁にする・・・・  
 
「な!! ふ、ふざけないで!」  
 
激昂した魔を祓うべき神凪の直系、神宝 炎雷覇の継承者である私が妖魔の花嫁になんて・・・・  
猛る感情をそのままに黄金の火球と化して目の前の男に叩きつける。  
衝撃と爆光  
黄金の火柱が男を包み込んだ。  
 
「ふん、口ほどにも無いわね」  
 
炎雷覇を振り祓う。  
だが、途端に金の炎が霧散した。  
 
「なっ!?」  
『たいした力だ、さすがは神凪の姫巫女・・・・だが、まだ未熟だな』  
 
そこから黒衣に焼け焦げひとつ見当たらない無傷の男が現れる。  
 
『その程度の炎では我を浄化する事は叶わぬ』  
「な、なら」  
 
再び炎雷覇を振りかぶる私の目の前に男が一瞬で間合いを詰めて、炎雷覇を握る私の手を止めた。  
 
『乱暴な巫女だ』  
「くっ、は、離しなさい!!」  
 
全身から金の炎を吹き上げる。  
並みの妖魔や霊なら一瞬で塵に変える浄化の炎に炙られながら男は薄ら笑いを浮かべる。  
 
『微温(ぬるい)いな・・・・だが正直、気に障る炎なので退散願おうか』  
 
男が指を鳴らすと私の全身を覆う炎が一瞬で掻き消えた。  
 
「え・・・・?」  
 
それどころか、周囲の炎の精霊の気配が一瞬で無くなる。  
 
「こ、これって・・・・」  
『邪魔な精霊どもには退散願った・・・・さあ我が花嫁よ』  
 
男の指が私の顎を持ち上げその赤い視線が私の目を見据える。  
 
「だ、誰が貴方の花嫁になんか・・・・っ」  
 
赤い眼光が輝きを増し、その禍々しい光が私の目を貫いた。  
全身が震える。か、身体に力が・・・・  
 
「な、なにを・・・」  
『フフフ、我が邪眼を受けてなお身体の自由を奪うに留まるか・・・・まあ良い』  
 
男が手を広げ、黒衣のマントがその裏生地である血の様な赤い面を見せ、そのマントで動けない私を包み込む。  
 
『さあ、我が屋敷に案内しよう・・・・炎の姫巫女』  
 
私の視界は暗転した。  
 
「・・・・ここは・・・・」  
 
私は天蓋付きの豪奢なベットの上で眼を覚ました。  
周りを見回すと部屋の調度品など全て特級品で飾られた一室であることがわかる。  
 
『眼を覚ましたかな?』  
 
部屋の中央のテーブルに黒衣の男が腰掛けている。  
そのテーブルの中央に置かれているワイングラスを満たす真紅の液体。  
 
とっさに首筋に手を当てる・・・・ソコには何処にも噛まれた形跡は無かった。  
 
『ククク・・・・心配せずとも眠り姫の血を頂くほど無粋ではない。巫女が眼を覚ますまで待っていただけだ・・・・』  
 
男が席を立ち近づいてくる。  
 
「くっ・・・・」  
 
慌てて立ち上がり、とっさに炎雷覇を構えようとするが・・・・反応が無い?  
 
「そ、そんなっ!?」  
『無駄だよ。ココでは君は炎の力もあの忌まわしき神剣を呼び出すことも出来ない』  
 
驚愕に固まる私のすぐ耳元で囁かれる声。  
 
「!!」  
 
一瞬で振り向き気を込めた肘を鳩尾に叩き込み、同時に回し蹴りを延髄に叩き込んだ。  
 
『ふふふ、活きの良い娘だ』  
 
まるで硬いゴムの塊を殴っているかのような反動・・・・  
 
「くっ・・・・」  
 
後ずさる私の前で再びマントが広がる・・・・飛び退こうとするがあっさりと包み込まれ、その胸に掻き抱かれる。  
 
「くっ、は、離しなさい・・・・」  
 
密着されながらも掌を叩き込み、膝で金的を蹴り上げる・・・・まるで効かない。  
 
『ふははは、とんだじゃじゃ馬だ・・・・』  
 
万力の様な力で身体が締め上げられる。  
 
「あっ・・・・くうっ・・・・」  
 
首筋に当たる吐息・・・・ペロリと男の舌がソコを舐めあげる。  
ゾワリと奔るおぞましさ。  
 
「や、止め・・・・」  
『でわ、姫巫女の血を頂こう』  
 
そして、その牙がもがく私の喉元に突き立てられた。  
 
「あっ!!」  
 
身体が跳ねる。  
牙が私の中に潜り込むおぞましい感触、プツッとなにかが噛み切られる感触と共に牙が頚動脈に沈む。  
 
「うっ・・・・くっ・・・・や、やめ・・・・」  
 
動脈が破られたというのに、出血量は意外なほどに少ないのか、静かに湧き出る鮮血を男は嬉しそうに喉を鳴らして飲んでいた。  
 
身体の力が血と共に吸い出されていく。  
男が喉を鳴らすごとに全身の力が抜けていく・・・・ただの脱力感ではなく、私の力の源泉、霊力の類まで啜られている感触。  
 
「はぁっ・・・・・あぁ・・・・・」  
 
しかも牙を突き立てられている場所からじわじわと不思議な痺れが湧き上がり、全身に広がっていく・・・・  
 
チュルルルル・・・・  
 
「あん・・・・くうっ・・・・だ・・・・め・・・・」  
 
おぞましい魔に血を啜られていると言うのに徐々に身体を支配し始める快美感に血を失っていく事も手伝い、頭がぼうっとなっていく。  
 
『はぁ・・・・・なんと言う甘露・・・・』  
 
男はようやく私の喉から口を離し恍惚とした表情でおぞましい言葉を吐き出す。  
 
「はうっ!」  
 
ペロリと喉の牙の後を舐められ、走った電流に全身が震える。  
 
「このっ・・・・よくも・・・・」  
『ほう・・・・さすがにただ一度の吸血では心は支配できぬか・・・・』  
 
おぞましい吸血行為を体験させられ、全身を襲う虚脱感に抵抗も出来ず、吸血鬼に抱きすくめられたまま、ただただ憎い男を睨みつける。  
 
『ふふふ、その血の味そして中に内包される凄まじい力・・・まったく素晴らしいぞ神凪の姫巫女』  
「あんたなんかに褒められても嬉しくなんか無い!」  
『ふふふ、その気の強さも気に入った・・・・ますますお前が欲しくなったぞ・・・・』  
 
マントに包まれ、男の胸の中で抵抗も出来ないが絶対にこの男はわたしが殺す・・・・  
 
『しかし心は無理でもしかし身体の方はどうかな?』  
「・・・・え?」  
 
吸血鬼の赤い魔眼が輝きを放つ。  
 
ズクン・・・・  
 
「あっ!」  
 
鼓動が跳ねた。  
 
「な、なに・・・・?何を・・・した・・・の?」  
『時期に判る』  
 
鼓動がどんどん早くなり、全身が火が灯ったかのように熱い。  
呼気が荒くなり、さらに全身に力が入らず男の腕に縋りつく、熱い吐息が漏れる。  
男の手が私の背骨の上をなぞる様に這い、撫でる。  
ゾクゾクと感じたことの無い震えが走る・・・・  
 
「はぁ・・・・はぁ・・・・い、いったい・・・・ああっ・・・・」  
 
たどり着いたお尻を撫でられた。  
 
「あうっ・・・・!」  
 
走る電流に全身が震える。  
 
『ふふふ、敏感な事だ・・・・』  
「ま、まさか・・・・あんた・・・・はぁ・・・・」  
 
お尻がゆっくりと学生服のスカートの上から撫でられる。  
乱暴ではない優しいタッチその度にゾクゾクと背筋を駆け上がる快美感・・・・  
 
「こ、このっ! ひ、卑怯者・・・・あっ、あ、あぁ・・・・」  
 
甘い声が抑えられない、熱い吐息が収まらない。  
お尻が優しく撫でられ、揉まれ、空いた手が私の頭を胸に押し付け、髪を撫でる。  
 
『お前を手に入れるためならば卑怯者の汚名もあえて受けよう・・・・さぁ感じるが良い』  
「あ・・・・はぁ・・・・や、やめ・・・・ううんっ・・・・」  
 
徐々に高まっていく身体を必死に抑え様と歯を食い縛り、男の衣服をきつく握り締める。  
撫でられるお尻、湧き上がる快楽・・・  
 
『フフフ、我慢強いな・・・・・』  
 
男が力の入らない私の身体を横抱き・・・・お姫様抱っこにするとベッドまで運ぶ。  
 
「ま、まさか・・・・」  
『何を驚く・・・・今宵はお前と私の結婚式・・・・お前を我が花嫁にする前に少し味見をせねばな』  
 
渾身の力を込めて暴れるが弛緩した身体に力が入らない。  
男がベットに腰掛け自分の足の間に私を座らせる。  
 
「は、離せっ・・・・」  
 
ふらつく足で逃れようとするが背後から抱きすくめられ、両足が男の足に絡め取られた。  
再び喉につきたてられる牙  
 
「あうっ!・・・・くぅ・・・・」  
 
チュルチュルチュル  
 
啜られる血、抜けていく体力と霊力、失われる抵抗力、萎える気力、その度に走る甘い電流・・・・  
 
「あっ、ああっ・・・・・だ、だめぇ・・・・はあっ・・・・」  
 
切ない吐息が止められない。  
男の手が制服の上から胸を優しく揉みしだき始める。  
 
「き、気安くさ、触るな・・・・へ、変態・・・・うっ・・・・」  
 
男の手を押さえるが力が入らない、動きを止められない。  
やわやわと揉まれ、撫でられ、決して乱暴にしないその愛撫に怪しい術で高められた身体はあっという間に反応を返し始めた。  
 
おぞましいはずなのに、汚らわしい妖魔に嬲られていると言うのに・・・・湧き上がる快美感を否定できない。  
 
「やめ・・・・なさ・・・・い・・・・あっ、ああっ」  
『肉の悦びに素直になればいい、お前の身体を理性のくびきから解放してやればいい』  
 
喉元から口を離し、耳元で囁く男・・・・熱い吐息が耳をくすぐる。  
 
「だ、誰が・・・・ううんっ、そ、そこだめぇ・・・・」  
 
耳が甘噛みされ、耳穴に吐息が吹き込まれる。  
 
「ほほう、神凪の姫巫女は耳が弱いのか・・・・可愛い奴だ」  
 
体温を感じさせない舌がチロチロと耳たぶを奥に向かってゆっくりとなぞる。  
細く尖った舌が耳の穴の中をゆっくりと入り込み・・・・くすぐりながら出入りする。  
 
走る甘い電流、迸る快美感、耳が・・・・耳が・・・・こんなに・・・・あ、あぁ・・・・  
 
「はぁ、はぁ・・・・」  
 
男の手が制服のリボンをほどき、ブレザーを下げ、Yシャツのボタンが外され、胸元が開かれる。  
露になる肌・・・・純白のお気に入りのブラに包まれた胸が男の視線に曝された。  
 
『美しい胸だが・・・・これは邪魔だな』  
 
爪がブラのフロントホックに掛けられ、パチン・・・・外される。  
弾ける様にブラを押しのけ私の旨がその下から顔を覗かせ、羞恥に染まった顔を背けた。  
両脇に垂れ下がるブラをそのままに、男の手は再び私の胸に重ねられた。  
 
高鳴る鼓動、震える足・・・・い、いや・・・・違うの・・・・わ、私期待してなんか・・・  
 
「ああうっ!!」  
 
頭が仰け反る。  
衣服の上からの刺激とは段違いの責めに身体が震える。  
肌の上を這う手が、胸の膨らみ上をやんわりと揉む指が、胸の尖りをくすぐる手掌が・・・・あぁ  
 
「はぁ・・・・あっ、ああ・・・・はあっ・・・・」  
 
男に絡み取られた足をいつの間にかモジモジと擦り合わしている。  
切ない・・・・切ないよ・・・・はぁ・・・・  
 
『ふふふ、どうした? 炎の姫巫女よ?』  
 
こ、こいつ・・・・わかっている癖に・・・・で、でも・・・  
 
「ああっ!」  
 
そっとスカートの上から男の指がソコを押さえられた。  
迸る快美感が背筋を駆けぬけ、脳を直撃する。  
男の胸の中で大きく身を仰け反らせた。  
 
『うん? どうした・・・・?』  
 
ニヤニヤと笑う顔、赤い魔眼が私を覗きこむ。  
 
「な、なんでも・・・・あうんっ」  
 
再びスカートの上から押される、反論の言葉が甘い嬌声に変えられてしまう。  
 
「ひ、卑怯・・・・はあっ・・・・だ、だめ・・・・ううん・・・・や、やめてぇ・・・・あ、あああっ!」  
 
侮蔑の言葉も拒絶の言葉もソコを優しく押されるだけで喘ぎ声に変えられる。  
背筋を駆け抜ける甘美な電流、足の間から湧き上がる壮絶な快美感、全身を支配する快楽に抗えない。  
 
ドサリ・・・・男が腕を離し、ベットに仰向けに倒れこむ  
 
紺のブレザーは半分以上脱がされ、Yシャツは肌蹴られ、ブラは脇の横に垂れ下がっている。  
隠すものの無い胸は汗に濡れ、荒い息に上下し、光を反射して煌く。  
男が覆いかぶさってきた・・・・  
 
「んっ・・・・!」  
 
胸を吸われた。  
胸に走る甘く切ない電流に声が上がる。  
 
チュッパチュッパ・・・・  
 
響く唾音・・・・甘噛みされ、全身が震える。  
 
『さて・・・・』  
 
男の声と共に不意に胸の頂に走る痺れが鋭い痛みに変わる・・・・身体が跳ねた。  
 
「な、なにを!?」  
 
敏感な部分に突き立てられた牙に身体が痛みに爆ぜた・・・・ま、まさか?  
 
チュルルル  
 
「うああああっ!!」  
 
桜色の尖りから走る壮絶な吸引感・・・・  
 
「だ、だめぇーーーーーー!!」  
 
痛みが甘い疼きに変わり、疼きが壮絶な快楽に変わるのに10秒とかからなかった。  
男の髪を掴み必死に引き離そうとする・・・・が、迸る快楽・・・・堪らず男の髪を縋るように握る。  
 
「こ、こんなの・・・・こんなの・・・・・ああああーーーーーっ!!」  
 
男の口に、胸を押し付けるかのように身体が反り返り、頭を引き離すはずの両手は、まるで愛しい我が子を掻き抱くかのように頭を抱きしめてしまう。  
 
チュルルルチュルルル・・・・  
 
「す、吸われる・・・・胸、胸が吸われ・・・・ちゃう・・・・はあぁっ!!」  
 
まるで母乳を吸われているかのような錯覚・・・・に脳が痺れる。  
女性の象徴、愛する我が子を産み、育てて行く大事な場所、授乳という神聖な行為が穢され、堕とされていくかの様な錯覚に陥った。  
 
鮮烈な快美の火花が眼瞼の上で何度も弾け、胸が喘ぎに波打ち、切ない疼きに腰が揺れる。  
 
「だ、だめっ・・・・だめ・・・・・はあっ」  
 
胸を走る壮絶な快楽・・・・放置される下半身が疼き、両足を閉じ合わせてもじもじと擦り合わせるが、そんなものではこの切ないまでの焦燥感が収まるわけも無くむしろ高まってさえ行った。  
 
「あっ・・・・」  
 
牙が抜かれ離れた・・・・不意に消えうせる吸悦。  
声が漏れる・・・・まるで別れを惜しむかのように切なげに牙を見つめる・・・・  
 
『なんだ?・・・・もっと吸って欲しかったのか?』  
 
くくく  
男の嘲笑が響く。  
血の様に赤い眼が私の心の奥底の欲望を見透かすかのように目を覗き込む。  
 
「くっ・・・・」  
 
羞恥に頬を染め、視線を逸らす。  
 
(わ、わたし・・・・何を・・・・・)  
 
どんなに誤魔化しても私がこの男の責めに屈服し、はしたなく悶え、喘ぎ、最後は、あんなまるで自ら求めるかのような真似をして・・・・  
 
もっと、吸って欲しい・・・・  
 
あの時心の中に響いた浅ましい声に魂の底から震えた。  
 
『ふふふ、ならばご要望に沿ってあげようかな?』  
「はぁ・・・・はぁ・・・・え?」  
 
そして・・・・  
 
反対の胸も同様に吸われ、私は歓喜の叫びをあげた。  
 
 
 
 
無限とも思える時間が過ぎ・・・・ようやく解放された・・・・男の頭が離れ、ソレを掻き抱いていた手が力なくすり抜けベットの上に落ちる。  
 
「はぁ・・・・はぁ・・・・・はぁ・・・・・」  
 
涙で霞む眼がベットの天蓋をぼんやりと眺める。  
頭は快楽で痺れ何も考えられない、全身は弛緩し、四肢は力なくベットの上に投げ出されていた。  
乱れる息に上下する胸の頂は男の唾液に濡れ光り、桜色の尖りは男の牙の跡を残したまま硬くなり、ツンと天を向いている。  
 
『どうだ?人外の快楽の味は?』  
 
血のように赤い眼が私の眼を見据える。  
 
「・・・・悔しい・・・・」  
 
顔を背ける・・・・目の端から涙が零れ落ち純白のベットのシーツを濡らした。  
 
『ふふふ、神凪の炎の御子もこうなれば可愛いものだな・・・・』  
 
男の指がスカートのホックに掛かり外される。  
緩んだスカートを脱がさずにそのまま両手がスカートの中に潜り込み・・・・下着がゆっくりと脱がされ降ろされていく・・・・足を必死で閉じて抵抗するが、簡単に膝が割られた  
 
既に私の下着は右足のソックスの上に丸められたまま引っかかっていた。  
 
力の入らない膝を割り、男の顔がスカートの中を覗き込む・・・・くっ・・・・  
何をされているか・・・・ソレを解っているのに止める事も今の私には出来ない。  
 
そのままスカートの中に顔を突っ込み、あそこに鼻を押し当てた。  
慌てて両手で頭を押しのけようとする。  
 
「な、なにを・・・・」  
『良い香りだ。甘く濡れた女(メス)の香り・・・・』  
「い、いや・・・・言うな・・・・」  
 
羞恥に顔が赤らむ。  
見なくても解る・・・・右足に丸まる下着の冷たく濡れた感触・・・・  
快楽に屈した、私の中の女が男を求めた・・・・証  
 
ペロリ・・・  
「あっ!!」  
 
あそこを舐められる感触に腰が跳ねる  
 
「そ、そんなところ・・・・」  
『甘いぞ・・・・とてもな』  
「い、いやっ・・・・」  
 
顔を背け、目を閉じる。  
 
ぺちゃぺちゃと響く唾音・・・・そして、それ以外の淫らな水音が暗闇の中、鼓膜を揺さぶり、脳を痺れさせる。  
 
股間から湧き上がる快楽はすぐさま怒涛の様に全身を駆け巡り支配する。  
 
「うっ・・・・くっ・・・・はぁ・・・・」  
 
閉じられた眼瞼と睫が震える。  
必死に快楽を否定しようと首を左右に振り、赤みを帯びた栗色の長髪が乱れて純白のシーツの上に広がる。  
 
「・・・・っ、・・・・くぅっ・・・・んっ!」  
 
男の屈辱の言葉を懸命に跳ね返した心も、快楽に毒された身体の暴走に抗えない。  
ベットのシーツが両足の爪先に伸ばされて行き、高まる声を必死に抑えようと片手で口を覆う。  
逆の手は必死に男の頭を押しのけようと足掻いた。  
 
だ、だめ・・・・こ、声がお、抑えられない・・・・  
 
「あっ・・・・あっ・・・・・はあ・・・・」  
 
人差し指を噛んで必死に声をかみ殺し、時折漏れそうになる甘い吐息と切ない喘ぎ声を呑み込もうとして失敗する。  
 
「あっ・・・はっ、だ、だめ・・・・も、もう・・・だめえぇー」  
 
尖った舌が溝を舐めとり、くすぐり、綻んだソコに突き立てる、淫らな蜜を舐めとり啜る。  
 
『美味い、美味いぞぉ・・・・』  
「あっ、あっ、あっ・・・・ああ・・・・はぁ・・・・も、もう・・・・わ、私・・・・私・・・・っ」  
 
快楽に絡め取られた身体、快楽に染め抜かれた意識、快楽に屈していく心。  
 
「あっ!」  
 
敏感な一点を舌で弾かれ、跳ね上がる腰・・・・  
 
「あ、ああっ!!」  
 
包皮を剥かれて上がる嬌声・・・・  
剥き出しになったソレを舌でノックされ意識がどんどん真っ白になっていく・・・・・  
 
そして・・・・尖った犬歯の先がそこを突付いた瞬間、特大のスパークが全てを覆い尽くした。  
 
「あっ、ああああああああああああああああああああーーーーーーーーーーっっっ!!!!!」  
 
ついに私は迸る絶頂感にすべてを委ねた。  
 
 
 
 
 
 
『・・・・イッタか』  
 
ぐったりとベットの上に横たわる私を見下ろし、男が哂う。  
 
『どうだったかな?』  
 
男の問いかけ。  
乱れたベットのシーツの上に力なく投げ出されていた四肢・・・・悔しさにシーツを握り締め・・・・皺を作る。  
天蓋を呆然と眺めていた私は男の視線から逃れるように顔を背ける。  
 
『ふふふ、もうお前の身体はほぼ私の眷属に近くなっている・・・・』  
 
紡がれる言葉、驚きとおぞましさに眼を見開く。  
 
『並の人間ならとっくに夜の一員となっていると言うのに・・・・たいしたものだ。神凪の姫君・・・・』  
「はぁ・・・・はぁ・・・・だ、黙りな・・・・さい・・・っ」  
 
必死に睨もうとするが快楽に潤んだ瞳がただ切なげに男を見つめただけだった。  
 
『さて、では・・・・そろそろ君の純潔を奪わせてもらおう』  
 
素早く衣服を脱ぐと、力の入らない私の身体を抱き上げ、ベットの中央に向かい合う様に座る。  
ゆっくりと、必死に暴れる私の腰が男のそそり立つおぞましいモノの上に降ろされていく。  
 
「い、いやっ・・・・いやぁ・・・・」  
 
純潔を失う恐怖、しかも・・・・こんなおぞましい妖魔によって・・・・  
 
「あっ!」  
 
フワリとスカートが揺れ、ゆっくりと落ちる。  
熱く、硬いモノが。いやらしく濡れた私のあそこに押し当てられた・・・・  
 
「あっ・・・・・くっ・・・・・」  
 
怪しげな術と男の責めですっかり準備の整ったソコが男を容易くその入り口に導く。  
 
「ぐっ・・・・っ・・・・痛っ・・・・」  
 
グッ・・・・  
初めに感じたのは熱さと太さと硬さだった。  
 
・・・・痛い痛い痛い痛い・・・・・・  
 
私の顔が苦悶に歪むのを男が間近で眺めている。  
 
「くく、いつ見ても美しい乙女が俺の手で女になる瞬間の顔は・・・・いい」  
 
私の屈辱と苦痛に歪む表情が男の情欲を掻きたてている・・・・悦ばせている・・・・くっ  
ズブリ・・・・  
 
「あっ!!」  
 
押し入ってくる・・・・私の身体を・・・・・  
熱い鉄の棒に串刺しにされるかのような・・・・灼熱感と激痛  
 
「あうっ、くぅっ・・・・・たっ・・・・・!!や、やめ・・・・」  
 
ソレは乱暴に押し入り、突き破り、私の中に道を付けながらゆっくりと私という女を征服して行く・・・・。  
 
ピッ・・・・  
そして、何かが裂かれる様な感じとともに・・・・私はは純潔を失った事を知った。  
 
「ああああああああっっ〜〜〜〜〜〜・・・・・っっ!!!」  
 
あまりの痛みに絶叫した。  
ギッチリと私の中を完全に征服した男の象徴が・・・・身体を中から灼熱と激痛で焦がし打ちのめす。  
 
(こ、こんな奴に・・・・私・・・・・)  
 
犯された・・・・魔を調伏し、妖を滅し、邪を祓うべき・・・・次代の神凪の長である私が・・・・こんな、汚らわしい魔に・・・・身体を奪われ、純潔を穢された。  
 
絶望が私の中を支配し染め上げていく・・・・  
 
男は動きを止め、私を犯した歓喜に緩んだだらしない顔で、深く充足の吐息をはきだす。  
でも、私にはそんな事を気にする余裕はほとんど無かった・・・・  
 
「はっ、はっ、はっ・・・・・はぁ・・・・」  
 
苦しさと痛みで呼吸を整える事しか出来ない。  
激痛をこらえようと男の身体に無意識にしがみ付く私の耳元に囁いてくる。  
 
『どうかな?女になった気分は?』  
 
シーツを濡らす私の破瓜の証を男が見ている・・・・  
怒りが屈辱に萎える心を奮い立たせ男を睨みつけた。  
 
「はぁっ、はっ・・・・さ、最低よっ・・・・」  
 
スッ・・・  
男の指が動き、結合部を濡らす血を掬い取り、わざと私に見えるように口に運ぶ。  
 
「フム・・・・さすがは神凪の姫の破瓜の血・・・・格別だな」  
「げ、外道!!・・・あ、あうっ!!」  
 
男が腰を動かす・・・・身体を引き裂かれるような激痛に絶叫する。  
 
『時期によくなる・・・・』  
「あっ、がっ、い、痛ッ・・・ぐっ、う、動くなぁ・・・・あぐっ・・・・」  
 
男が動くたびに走る身を引き裂くような激痛が心を挫いていく・・・・。  
 
『そろそろいいか・・・・』  
 
苦痛に呻く私を眺めていた男の真紅の双眸が怪しい輝きを放った。  
 
ドクン・・・・  
 
鼓動が跳ね上がる。  
 
「な・・・・にっ!?」  
 
アレだけ全身を貫いていた激痛が嘘のように和らいで行き、変わりに熱いものが全身を満たし・・・・てっ  
 
「な、何・・・・したの?」  
 
激痛を堪えようと整えたばかりの息が乱れる、肌が紅潮する。  
知っている・・・・さっき散々私を弄んだコノ感覚の正体は・・・・  
 
『痛みを消し、変わりに快楽にすげ替える術だ。花嫁をただ苛めるのも心が痛む・・・・』  
 
男がわざとらしく笑う。  
 
「ご、ご親切な事ね・・・・な、なら最初からしておきなさい・・・・よ・・・・く、くぅっ・・・・!」  
 
な、なにが花嫁よ・・・・はぁっ、だ、だめ・・・・  
 
『そうも思ったがな。そんな事をしては破瓜の痛みに悶えるお前の可愛い顔が見れぬ』  
「げ、下衆野郎・・・・あっ・・・・・ああっ!!」  
 
言葉を遮って動き出す男・・・・瞬く間に襲い掛かる膨大なさっきの感覚が・・・・か、快楽が・・・・  
 
「ふふふ、お前の憎まれ口も可愛いものだが、そろそろ快楽によがり狂う可愛い声を存分に聞かせてもらおうか?」  
 
男が笑い動きを激しくしていく・・・・否定の言葉が・・・・拒絶の言葉が・・・・紡げない。  
 
「あ、あ、あっ、ああああ・・・・っ!」  
 
喘ぎ声が止められない、快楽に悶える顔を隠せない・・・・憎い男に聞かれているのに、見られているのに・・・・  
動くたびに壮絶な快楽の稲妻が背筋を駆けぬけ、脳を直撃し揺さぶる。  
 
『そうだ、その声だ』  
「う、うるさいっ・・・・・あっ、あああぁぁっ」  
 
男が私を抱きすくめ、喉に牙がつきたてられた。  
散々に私を乱れ、悶えさせた吸血ショーが再び幕を開ける・・・・  
 
「あっ、ああああっ!!」  
 
髪を振り乱して悶え、何かに縋るように男の肩に顔を埋める。  
 
何度目か判らない・・・・・それはもう私に快楽しかもたらさない。  
男の喉が鳴り、啜られていく血、奪われていく力と霊力、溶かされ吸い出されていく理性と拒絶の心・・・・  
 
「あっ、あっ・・・・はあああーーーーっ!!」  
 
吸血鬼に血を奪われるおぞましさが、人で無くなる恐怖が、魔に屈服させられる屈辱感が・・・薄れ・・・消えて行く。  
 
両胸・・・血が吸われた箇所が切なげに疼く・・・・ち、ちがう・・・・  
そこが、また吸って欲しいと浅ましくねだってる・・・・だ、だめだ・・・・あ、ああ・・・・そ、そんなの  
 
「わ、わたし・・・・わたし・・・・・も、もう・・・・っっ」  
 
膨大な吸悦が全身を駆け抜け、理性を溶かし、意識を支配する。  
心が折れる、溶ける、消えて行く・・・・  
背中に爪を立てて足掻く、男の背に赤い筋を残したそれが私の必死の儚い抵抗・・・・  
 
『処女の時の血も絶品だったが、女になったお前の血も、最高だぞ・・・・フハハハハハ』  
「だ、だまれぇ・・・・あっ、ああっ!!」  
 
自分を犯した男に血を吸われ、その味を鑑賞される・・・・あまりの屈辱に涙が漏れる。  
動きが激しさを増す・・・・腰が下から突き上げられ浮き上がる、重力にしたがって腰が落ち子宮の奥が小突かれて、中が抉られる歓喜の声が溢れた。  
 
「くっ、あっ・・・・ああっ!」  
 
怪しげな術によって狂わされた身体、穢された身体、妖魔に女にされてしまった自分・・・・  
下半身から吹き上がる感覚に脳が溶かされていく・・・・  
 
「あっ、あっ、ああああっ!!」  
 
チュルルルル・・・・・  
 
「あーーーーーーっ!!」  
 
血が吸われ、身体を穢され、心まで堕とされていく・・・・・  
体の中の何かが変わって行く・・・・変えられてしまう・・・・  
 
チュルルルルチュルルルル・・・・・  
 
「あっ、あああっ、はぁっ・・・・だ、だめ・・・・わ、わたし・・・・あっ!!」  
 
部屋の壁に掲げられた鏡に自分の顔が映った。  
快楽に耽る浅ましい顔、そして自分の漆黒の瞳が真紅に明滅しているのがわかる・・・・  
 
男の背中に回した手の爪が鋭く伸びて行く。  
 
髪は激しく宙を舞い踊り、はだけられたブレザーとYシャツから覗く肌を覆う汗が灯りを反射する。  
男との接合部を隠すスカートは、激しい動きにはためき、その中から淫らな水音を止むことなく響かせた。  
 
「だ、だめっ・・・・ゆ、許して・・・・あっ、あっ、も、もう・・・・許してぇ〜っ!」  
 
チュルルルルチュルルルルチュルルルル・・・・・  
 
「あーーーーーーっ!!」  
 
誇りも尊厳もかなぐり捨てた哀願の叫びに前にも増して激しい吸血と突き上げが応える。  
 
『さあ、行くぞ我が花嫁!!』  
 
男が吼えた。  
 
「あっ!!」  
 
私の中で解き放たれる妖魔の精・・・・  
最奥に叩きつけられ、腰と身体と意識と魂が跳ね飛んだ。  
 
ドクン・・・・  
そして、人としての最後の鼓動が私の中で静かに止んだ。  
 
真紅に輝く眼を見開き、2本の犬歯の生える口を開き私は絶叫した。  
 
「あ、あっ、ああっ、ああああああああああっっっっ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」  
 
迸る歓喜の絶叫。  
全身が快楽に痙攣し、子宮の奥に叩きつけられる熱い魔の精の奔流に腰が何度も跳ねる。  
 
自分を犯し、人としての生を奪い、身も心も魔に堕とした男の胸に縋りつきむせび泣いた。  
 
『さあ・・・・誓いの口づけを』  
「・・・・はぁ・・・・はぁ・・・・はぁ・・・・はい・・・・ご主人様・・・・」  
 
憎んでも憎み足りなかったはずの男の囁きに顔を上げる、潤む視界を覆う男の首に愛しげに腕を回す。  
重なる唇・・・・人として交わす事のなかった初めての口づけを自分から男に捧げる・・・・2対の犬歯がこつんとぶつかった。  
 
「・・・・う・・・・んっ・・・・」  
 
口の中に流し込まれる唾液が口内に溢れ・・・・コクッ・・・・喉が鳴り飲み下す。  
私は、ただ男の求めるままに唇を捧げ・・・・眼瞼をゆっくりと閉じる・・・・  
 
私の唇の端から飲み干せなかった唾液がゆっくりと零れ落ちた。  
 
退魔の使命も、神凪の事も、光の世界の事ももう何もかもどうでも良かった・・・・私はもう戻れない、戻らない。  
 
この日、後に全世界を震撼させる最強の吸血姫が誕生した。  
 

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