「それじゃ、沖田先生お願いします。直ぐ済ませますので。」  
「いいんですよ。ゆっくり入ってらっしゃい。」  
 
毎晩人目を避けて行水をしているものの、沖田から「臭うんですよ」と言われて以来(鴨暗殺時、セイを遠ざけるための口実だったのだが)  
セイは5日に一度はこうして見張りを立ててもらって湯を使っている。  
 
糠袋で体を擦ると、一皮剥けたようにセイの白い肌がいっそう輝く。  
全身を磨き終わると、ちゃぷん、と風呂桶につかった。  
(ふぅ〜やっぱり気持ちいいなあ。明里さんの所みたいにゆっくりはできないけど)  
 
外で見張りに立っていた総司は、セイの気配となまめかしい水音に耳を澄ませていた。  
どうしてだか鼓動が早くなる。  
脳裏にセイの白い腕、首筋が浮かんでは消える。  
腕組をしてブルブルと頭を振っても、妄想が離れない。  
 
「神谷さん―――」  
不意の呼びかけにビクリ、と身をすくませるセイ。  
(誰か来た?)  
「神谷さん?」  
「ハッ・・ハイッ。」  
「背中流しましょうか?」  
「ええええええっ?!」  
 
ザバーッと湯船から立ち上がり、あわてて出ようとすると総司が入ってきた。  
「きゃあっ!せっ先生っ!」  
手拭で前身を隠すセイ。  
お互い真っ赤になって見つめ合う。  
総司はセイの裸体に目を移すと、クルリと踵を反した。  
「・・・・あはははっ。じ、冗談ですよ!私は外で待っていますから、ゆっくりどうぞ!」  
 
 
終わり  
 

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