「神谷さんは誰にも渡しません。」  
その言葉が何度も何度も頭の中をめぐる。  
今ぬくもりが伝わってくるこの人がようやく口にしてくれた気持ち。  
大胆にも自分から抱きついてしまったこの状況でどきどきと伝わってくる。  
鼓動が自分の物なのか沖田先生の物なのか分からないほど密着しているんだ。  
「ー神谷さん・・・そろそろ大丈夫そうですよ。」  
「・・・えっ?」  
両腕を沖田先生がつかみ二人の体を離す。  
そしてまだとまらない私の涙をぬぐいとる。  
優しい目が私を見ている・・・とても優しく微笑んで・・・  
突然視界の沖田先生がぶれる。  
唇に柔らかい感触と暖かさが伝わる。  
えっ私いま沖田先生と・・・口付けを?  
 
混乱が収まる間もなく沖田総司は動き出した。  
ただ唇をつけるだけの口付けから今度はセイの唇を優しくかむように  
包み舌でなぞっていく。  
はじめての心地よさにセイは思考をとめる。  
「ふぅ。」  
しばらくして二人の唇が離れた時には幸せのため息がでてしまう。  
こんな幸せな日があっていいんだろうか。  
セイはまだぽーっとしてながら思っていた。  
「神谷さん・・・まだ満足しないでくださいよ。」  
「えっ?」  
すねるような表情で覗き込まれたセイの胸はきゅんと高鳴った。  
またセイの両腕をつかみセイが座っていた足をひきぬく。  
そうして再び口付けをしながらそっとセイの体を倒す。  
「お、おきたせんせ、い?」  
動揺のあまりうまく声がでない。  
 
今度は分かる・・・これは私の鼓動だ。  
こんなにどきどきしているのを沖田先生に知られたくない。  
セイは両方の手で鼓動をとめようとするかのように胸をおさえる。  
「だめですよ、この手をよけてくれなければ私が触れない  
 じゃないですか。」  
「さ、さわ・・・!」  
触るって、触るってむ、むねを?  
心の問いに答えるように総司の手が手の下の胸に触れる。  
「・・・神谷さん、胸が硬いですよ。いつの間にか本当の  
 男になったんですか?」  
「さ、さらしと鎖の胴衣をつけてるんですよ!!」  
セイはいつもの調子で総司に突っ込みをいれる。  
総司はにやっと笑ってセイの袴の紐を解き始める。  
「あぁ〜そうでしたね。いつぞやもさらしで見ることが  
 できなかったんですよね。」  
 
総司の一連の言葉と行動にセイはどうしていいのか分からなく  
なりだまりこんでしまう。  
すでに袴から着物が引き出され緩んだ胸元からは白い肌がのぞいている。  
「胴衣を取るので一回起きてください。」  
そういいながらすでにセイの体を引き起こしている。  
「お、おきたせんせいぃ〜?」  
あまりの展開についていけない気持ちを総司にぶつけてみる。  
「そんな声を出してもだめですよ?」  
優しい鬼は軽く口付けて胴衣を脱がせる。  
そうしてまたセイの体を草むらに倒しながら耳の後ろへと口を移動させる。  
「ぁ」  
吐息にまじりセイの小さなこえがもれた。  
や、やだこんな声がでるなんて。  
すでにまっかだったかおがいっそう朱にそまるのが自分でも分かる。  
両方の手で顔を覆う。  
「だめですよ。顔も声も全部私に見せてください。」  
総司は耳元でそっとつぶやき大きな手でセイの両手を地面におしつける。  
 
そうしておいて耳への愛撫を再開する。  
くすぐったいような快感にセイは小さく体を震わせ声をもらす。  
「んんっ。」  
総司の優しい唇の愛撫は耳から首筋へ下がっていく。  
「あっだめ・・・。」  
尖らせた舌で首をなめられたセイは小さくこえをあげた。  
「ふっ・・ん・・・ん。」  
すでに声を我慢することが出来なくなったセイは徐々に声を大きくしていく。  
まるで私の声じゃないみたいだ・・・これは連れて行かれた遊里で聞こえてた  
声にそっくりじゃないか。  
そんなことを思い出し恥ずかしさに拍車がかかるが、それに反して声は  
で続ける。  
声だけではない、体が反応し小さく頻繁に震える。  
 
総司はセイの反応にのせられるように胸へと手を伸ばす。  
「はぁっ」  
すでに硬くなっていた乳首にさらしがこすれて刺激を与えた。  
セイの首筋を口で愛撫しつつさらしの上から指で円を描くように刺激を与える。  
「あっあぁ」  
セイは襲うかのようになだれ込む感覚におぼれまいとするかのように総司の体に  
抱きついた。  
「神谷さん、ここ堅くなってますよ。」  
「せん、せぇい。んぅ、いじわる。」  
「こんなに優しくしてるのに。」  
総司はすねるような表情でそういってさらしをゆるませる。  
「あっはずかしい・・・です。」  
「きれいですよ?」  
 
そういって今度はあえて敏感な部分を避けるかのように愛撫をはじめる。  
白い柔肌の上を総司の指と舌が通っていく。  
「んん・・ん。」  
セイがさっきまでとは違う快感に酔いかけた時、総司は唐突に胸の先を  
口にふくんだ。  
「あっ・・・あっ。」  
柔らかくざらざらとした総司の舌が優しくセイを刺激する。  
知らないうちに総司へ回したセイの手に力がこもっていく。  
総司の手がセイのおなかをすべり袴の中へ入ってもセイは気づかない。  
「はぅ・・・」  
総司の指がそこに触れた瞬間、セイはひときわ大きい嬌声をあげた。  
「ここ濡れてますね。」  
したり顔で微笑む総司にセイはなす術がなかった。  
総司がすぐに指の腹でゆっくりとこすりはじめたからだ。  
くちゅ、くちゅ・・・  
ゆっくりと同じリズムで上下する指にセイは不規則な声をあげる。  
 
「あぁ、ん、ん。」  
声を上げながらいつしかセイは腰をくねらせ刺激をうけいれていた。  
「気持ちいいですか?次はここなんてどうでしょう。」  
総司はあえて今まで触れずにいた突起を指で弄った。  
「ひゃうっ。」  
今までの快感とは違いするどい感覚がはしった。  
セイの反応を再び楽しむかのように突起を指で刺激し続ける。  
総司の指紋のでこぼこが分かるのではないかというくらい敏感なそこを  
責められ続けセイはとめどない快感におぼれた。  
「あぁ・・ん、だ、めぇ〜っ、せんせぇっ。」  
「降参ですか?それなら・・・」  
総司は自分の袴を緩めとうに堅くなっているものをだした。  
 
総司はそれをセイの入り口にあてがった  
くちゅ  
十分に濡れたそこはゆっくりと総司を飲み込んでいく。  
「少しづつ入れますからね。」  
総司はそういって小刻みに動かし始めた。  
往復が回数を重ねるたびにより深くセイへと突き刺さる。  
「あっい、いたぁい。」  
セイが瞳に涙を浮かべつぶやいた。  
総司は一番奥まで入れると動くのをやめた。  
「わかりますか?入ってるのが。」  
セイのなかで総司のそれが脈打ってるのがわかった。  
沖田先生のが入ってる・・・。  
「ほら・・・。」  
総司はセイの中で数回それを動かした。  
「あっあぁ。」  
それにあわせてセイが声をあげた。  
「神谷さんのここ、もう馴染んだんですね。」  
そういうと再び腰を動かし始める。  
それは段々と大きくなり激しくセイの中をかきまわす。  
 
「あぁ・・・ふぁっ」  
セイの吐息と一緒にくちゅくちゅと湿った音だけが辺りに流れる。  
総司に奥まで突き上げられ恐いほどの快感がおそってくる。  
「せんせ、ぃ〜、んん、はぅ・・・。」  
総司の背中に回ったセイの手に力がこもっていく。  
だめおかしくなりそう。  
セイがそう思った時だった  
「か、みやさん。すみません。もうだめそうです。」  
「ふぇ、ん・・・ん。」  
総司の言葉の意味を理解する前に総司が動きを早める。  
セイにも今まで以上に快感が高まった。  
「っく。」  
総司の歯がきしむ音がした。  
そのすぐ後に総司はセイのうえに倒れこんだ。  
 
「ふぁあっ。」  
沖田先生のがびくびくしてる・・・。  
セイの中で総司はびくんびくんとさせながら白濁したものを出し切った。  
二人はしばらくそのまま横たわっていた。  
草の冷たさで自分の体がほてっていることに気づく。  
沖田先生と・・・したんだ。  
自分の上にいる人への愛しさと幸福感で胸がいっぱいになった。  
「神谷さん、急いで衣服を身につけなさい。」  
総司は突如として立ち上がり自分の身なりをすばやく整え始めた。  
「屯所に帰りますよ。」  
まだ身支度の終わっていないセイを待つでもなく総司は先に歩き始める。  
セイは総司の変わり身に驚きながらも慌てて後を追う。  
やっと追いつき総司の無表情な顔を見る。  
沖田先生が怒っている・・・なんで。  
 
「先生、どうしたんですか?」  
「どうもしませんよ。」  
総司はセイの方を見向きもしないで答える。  
沖田先生怒ってる・・・  
「沖田先生、あのもし私が何かしたなら言ってください。私あの、ああいう事の  
 知識がないので、もし変なことをしたのなら。」  
「神谷さん、もう屯所も近いんですよ。大きな声でそんなことを言って女子だって  
 事をばらして歩くつもりですか。」  
総司は相変わらず抑揚のない声で答える。  
・・・っ確かに私は軽率なことをしてしまったかもしれないけど、こんな態度とること  
ないじゃないか。  
「沖田先生のばかぁ〜。」  
セイは大声で叫びながら総司の横から駆け出した。  
しばらくしてセイはいつもの木の上で泣いていた。  
「沖田先生なんか、沖田先生なんか・・・。」  
 
 
至福の時を過ごした後だけに時折見せる厳しさに腹が立った。  
「沖田先生なんか鬼副長たちとずっといちゃいちゃしてればいいんだぁ〜!」  
鼻をかんだ懐紙を目の前の木の枝に思い切り投げつける。  
「それも魅力的なんですけどね・・・」  
「お、おきた、せんせい!」  
突然木の上に現われた総司にセイはおどろいて木の枝から落ちそうになってしまう。  
「うわぁ〜。」  
総司は慌ててセイに手を伸ばし木の上に引き戻す。  
「まったく落ち着きのない方ですね。神谷さんは。」  
「沖田先生に言われたくありません。」  
セイはふくれっつらでそっぽを向いた。  
「・・・・すみません。今回は私が悪いんですよね。」  
「えっどういうことですか沖田先生。」  
総司の突然の謝罪に怒りも忘れてセイは問い詰めた。  
 
「・・・あまりにも早く果ててしまったんで自分が情けなかったんですよ。」  
「えっ?」  
果てて・・・って・・・  
「な〜んだそんなことだったんですか。」  
意味を理解した瞬間セイはあっけらかんといった。  
「そんなことって、男として情けないじゃないですか!」  
「っぷ。」  
セイは思わず噴出してしまった。  
なんだ、そんなことだったんだ。沖田先生はそんなことで・・・かわいい〜。  
セイは赤くなっている総司の顔をみて笑い続けた。  
いきなり総司がセイの手を引っ張った。  
そして耳元で  
「神谷さんのあそこがまだきつかったせいですよ。次はそうはいきませんからね。」  
とささやいた。  
 
「おき、おきたせんせ・・・っ。」  
今度はセイが赤くなる番だった。  
そんなセイを見て総司はそっと口付けをした。  
「さ、帰りましょうか。」  
「はい!」  
セイは元気よく答えた。  
「あっ木の下の鼻水だらけの懐紙、ちゃんと掃除してくださいよ。」  
「・・・・はい。」  
 
〜終わり〜  
 

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