地震だ!!このアパートでは震度5強レベルの破壊的揺れを観測した!!  
か「きゃあっ」  
 四つんばいにもなれないかりんが、手当たり次第何かに捕まろうとして  
 藁をもつかんで離さない!しかしそれは雨水少年だ。  
雨「ちょっと、そこはマズイって。揺らすなよ真紅!」  
か「だって地震だよ揺れてるんだよ!」  
雨「いや、もう止まってるんだけど・・・」  
 体を揺らしてたのはかりんだった。そのお陰で雨水少年の体は既に胸の谷間で固まっていた。  
か(あれ、そういえば雨水君って学校や仕事ばっかで、私やお母さんのいないとこで独りになる  
  事ないわよね。もしかしたら女の子と付き合う余裕もないし、独りでOOO−する場所も…  
  もしかしてっ、これって不幸の原因!!ガーン!!!)  
 この状況なら雨水君のOOOOOも用意出来てるし、ストレスを感じさせなくしてあげられるかも!  
か「う・雨水君っご、ごめんねこんなにさせちゃってっ。そうよね、男の子だもんね。私、胸には  
  自信あるからちょっとガマンしててね!!」  
 かりんはお互いの服を外し、肌を密着させると固く抱きついて腰を、いや体中をくねらせた。  
 
-------------------------------------------------  
「・・・真紅、その・・・胸」  
「へ?」  
「…む、胸が・・・当たってるんだけど」  
制服の上からでもわかるくらい大きな果林の胸は健太の体に押し当てられ、柔らかく変形している。  
 
「ひっひゃあぁぁぁぁッ!!!」///  
 顔面を真っ赤にしながら飛びのく果林。  
「ごごごご、ゴメン!雨水君」  
「い、いや、別に…謝らなくても」  
「へ?」  
「あ、いや、その、別に謝ってもらわなくてもいいってば。  
 地震だったんだし。このアパートすげえ揺れるし。  
 
 
 
 ・・・や、柔らかかった・・・し」  
 
 
「・・・・・・・・雨水君、・・・そ、その・・・イヤじゃなかった?」  
 さっきとは違った理由で頬を染めながら果林は健太に尋ねる。  
 
「・・・その・・・真紅って…ちっこくて…いい匂いがして…柔らかくて…  
 なんつーかその・・・・・・イイと思った」  
------------------------------------------------------------------------------------  
 
「そ、そっか…イイんだ…よかった…そっかぁ…」  
 
顔を真っ赤にしながら俯き、ブツブツと呟きだす果林。  
健太の回答を受け、恋する乙女特有の想像力(妄想力)を働かせているようだ。  
 
「お、お〜い、真紅?」  
 
意見を求められて答えたのに、まるで聞いていないかのようなその様子に  
ちょっと怯みながら、問いかけてみる。  
 
「雨水君!」  
「は、はい?」  
「よ、よければ触ってみる!?これでも大きさには自信あるし形も悪くないと思うし  
柔らかいからきっと気持ち良いと思うんだよね!?」  
「さわって…?……はぁっ!?」  
 
------------------------------------  
「あ、あのね、雨水君」  
意を決したかのような果林の声。  
 
「それって、不幸じゃないってコトだよね?」  
「へ?」  
「わ、私の…身体が触ってても、雨水君は不幸じゃないよね?」  
「あ、ああ・・・不幸じゃないって。  
 
 
・・・むしろ幸せっていうか…」  
 それを聞いて思わず笑みを浮かべる果林。  
 雨水君が幸せだったら・・・一緒に居ても血が増えたりしない。雨水君と一緒にいられる。  
 
「まっ、真紅?」  
 果林は健太に抱きついた。  
 健太の背中に腕を回し、豊かな胸を押し付けるようにして。  
「雨水君、しばらく…こうしてていい?」  
---------------------------------------  
!?  
いきなり抱きつかれて俺の思考は混乱した。  
 
(おおおおい!これってどういう…)  
 
今まで生活がいっぱいいっぱいで異性と接することなんてなかったけど  
真紅の体は柔らかくて、いい匂いがして、最っ高に気持ちいい。それだけは生々しい感触で理解した。  
顔は見えないけど、たぶん真っ赤なんだろう。拒絶する気は自然とおきなかった。  
 
「…ぃ、ぃいけど……」  
 
一生懸命搾り出した声は緊張からか上ずった。喉がカラカラに乾いている。  
吸血鬼の気持ちが少しわかったかも…なんて。  
 
(…やっぱり増血しないみたい。雨水君、幸せ感じてくれてる)  
 
ふいに抱きしめられる力が強くなる。  
…ドキドキドキ…  
頭がボーっとして、もう、自分の鼓動なのか、真紅の鼓動なのかわからなかった。  
 
顔を上げない真紅。今までの真紅を見てればわかる。精一杯の勇気を出してるんだろう。  
秘密を黙ってる約束もあるけど、正直ここまでしてくれる真紅に小さな疑問も感じた。  
 
好意なのか厚意なのかわからない曖昧なこの状況だけれど、あの恥ずかしがりの真紅がここまでしてくれている。  
俺もそれに答えなくちゃという気持ちがだんだんと強くなってきた。  
 
…そして俺は…  
------------------------------------  
果林は健太の肩に頭を預け、顔をがっくりと俯かせ、まるで自分に噛み付き  
初めて供血した時のように首筋に顔を埋めている。  
畳に尻餅をつき上体を半ば起している状態の健太に、しだれかかるような体勢で  
全体重を預け体をピッタリと密着、胸板に感じる「このへん」と「このへん」の  
例えようも無く柔らかくて心地よい感触は……真紅の胸だ。  
 
ほのかな体温と小柄ながら出る所はしっかり出てる圧倒的な質感、ふわっと  
したとしたいい香りが健太の鼻腔をくすぐり、まるで早鐘のように鳴り響くの鼓動  
の音が間近で感じられた。  
…思えば母以外の女性とこれほど密着したのは真紅が初めてだ。奥手の真紅にとって  
おそらくなけなしの勇気を振りしぼっての行為だろう。体は緊張と羞恥心で小刻みに  
震え、顔は耳まで真っ赤だ。自分の為にここまでしてくれるこの娘に、止め処もな  
い愛しさと欲望が湧き上がってくる。  
 
「…なぁ……俺も真紅を…抱きしめていいか?」  
 
!!?  
 
ドックンッ!!と真紅から一際大きな鼓動が聞こえ、小さな体がビクッ!と  
硬直するのが感じられた。  
 
「……………雨水君が…良ければ…」  
今にも消え入りそうなか細い声で確かにそう答えた。  
 
そして俺は無言で真紅の両肩と腰にそっと腕を回し、思いっきり抱きしめた。  
その肩は薄くて小さくびっくりするぐらい華奢で、腰は強く力を入れると折れ  
てしまいそうな位に細かった。  
------------------------------------------------  
「あっ…」  
「ゴ、ゴメン、強かったか!?」  
「だ、大丈夫!はぅ…(抱きしめられて気持ち良いなんて言えないよ〜!!)」  
 
ちょっと痛いくらいの、強い抱擁。  
でも逆に、それがより熱を感じられて心地良い。  
聞こえるのは二人の吐息と、速く強い鼓動だけ。  
 
(…雨水君も、ドキドキしてるんだ)  
(うわ…ちっこくてやっこくてあったかくて………可愛い、な…)  
 
* * * * *  
 
「「…((ど、どうしよう…))」」  
 
そのまま数分の時が過ぎてしまう。  
お互い異性と付き合った経験なんてない。  
手探りのような状態で、今までもすれ違いを繰り返してきた。  
ここからどうすればいいのか?  
終着点はわかるが、ソコにたどり着くまでの経由地がわからない。  
そんな感じだ。  
 
(…あ、あぅぅ…で、でもやっぱりそんなこと言えないよ〜っ!!)  
 
訂正。真紅の方はわかっているみたいだ。  
意外と耳年増なのかも知れない。  
 
---  
 
「な、なぁ…真紅…」  
「な、何っ、雨水君…!?」  
 
抱き合ったままでの会話で伝わってくる、真紅の胸の  
微かなビブラートすら電流のように感じる。  
それが俺の中で耐えられないくらいの欲望に変わっていく。  
 
「その…胸、触ってみちゃダメか…?」  
「え?む…、…えええぇっ!?」  
 
驚きの余り離れようとした真紅の体を、オレは慌てて抱きしめ直した。  
 
「わ、悪い!言ってみただけだから…  
 …だから、もう少しこのままでいてくれないか…?」  
「う…うん…」  
 
真紅が男女の間の行為に関する知識を、多少なりとも持っていると踏んで  
言ってみたけど、もしかしたら違うんだろうか?  
 
いや、それどころかもしかしたら…  
もしかしたら、今ので嫌われたんじゃないのか…?俺…。  
 
そうだよな…自分の欲望を真紅に押し付けようなんて間違ってる。  
こんな人間…嫌われて当然だよな…。  
 
 
-------  
 
 
び、び、びっくりしたあぁ〜〜…。  
だって…だって雨水君があたしの胸を触るなんて…  
恥ずかし過ぎるよ〜!  
 
このままでいてって言ってくれた雨水君の肩に、  
ほっとしてもう一度頬を乗せる。  
 
でもその直後だった。  
 
 
―――ドックン!  
 
 
突然全身の脈が跳ねた。  
 
どうして!?  
 
どうして、雨水君から『不幸』が伝わってくるの!?  
さっきまであんなに……  
 
…わ、私が断ったから…?む…ねを触るのを…。  
 
「…真紅…?」  
 
あわわ…、雨水君も私の動揺に気づいちゃったみたい…!  
増血してることが分かったら雨水君、離れようとするに  
決まってる…!  
 
やだっ…まだ、離れたく…ないよ…。  
 
「う、すい…っくん…、さわって…っ」  
「え?」  
「ぁ…あたしの…むね…触って…っ」  
 
-------  
 
「で、でも…なんで急に…あっ!」  
 
上気した肌、切れ切れの言葉。  
もし俺が、何も知らないただの真紅のクラスメイトだったら  
今すぐ真紅を押し倒していたかもしれない。  
でも俺は真紅のこの表情が、どういう事なのかよく知っている。  
 
「すまんっ!俺が余計な事考えたから…」  
 
密着した体を急いで引き剥がそうとした俺に、真紅は更に  
強く抱きついてきた。それはもうしがみつくといったレベルだ。  
 
「ちがっ…違うのっ!そうじゃなくてっ」  
「違うって、血が増えて苦しいんだろ?!早く離れ…」  
「そうじゃなくて!…増血はそうなんだけど…っ、  
 あーもうなんて言ったらいーのーっ?  
 …あたしが言いたいのはそうじゃなくて…っ…ぃ、嫌じゃ、ないの…」  
「は?増血が?」  
「じゃなくって…その…雨水君が、触りたい、って言った…ことっ」  
 
自分の鼓動がどきん、と打つのが感じられた。  
つまり…触っていいって事なのか…?  
でも、それは…  
 
「俺が不幸だと困るからか…?だから無理に俺に合わせようと…」  
「そんなんじゃないっ!!」  
 
耳元で突然叫ばれて、俺は度胆を抜かれた。  
 
真紅自身も自分で出した大声が信じられないように、震える声で続ける。  
きっとその目には、今にも溢れんばかりに涙がたまっているんだろう。  
 
「雨水君言ってくれたよね…?ぁた、あたしが正気を失って、  
 雨水君を噛もうとした時…びっくりしただけで嫌じゃなかったって…  
 それより逃げられる方が嫌だって……。  
 あたしも、同じ気持ちだよ…?だから…だから…っ」  
「真紅…」  
 
胸の中が、じんと熱くなる。  
勝手に卑屈になって、真紅にここまで言わせてしまった自分が恥ずかしかった。  
 
「ごめん…っていうか、どっちかって言うとありがとう、真紅」  
「雨水君…?」  
「…触っていいか?」  
「!……う、うん」  
 
背中に回されていた雨水君の右の手のひらが、あたしの肩に  
やってきて、そこからゆっくりと下へ下がっていく。  
 
――信じられない…雨水君とこんな事しちゃうなんて…。  
 
あたしの手よりふた回りくらい大きな手が、あたしの胸の丸みに  
合わせてカーブを描いていく。  
 
――そりゃ、雨水君以外となんてもっと考えられないけど、でも  
雨水君が相手だからってこの恥ずかしさが消えてくれるワケでもなく…  
 
「ひゃ…っ」  
 
雨水君の手が、あたしの左の乳房をむにっと変形させた瞬間、  
変な声が喉の奥から飛び出してきた。  
 
「痛いのか?真紅」  
「う、ううん…ちょっと、…くすぐったいだけ…」  
 
ウソ…。ホントは全然そんなんじゃない。  
さっき一瞬増血したせいなのか、全身がひどく敏感になっていて…  
制服ごしに伝わってくる雨水君の熱さがすごく…気持ちいいよ…。  
 
雨水君は感触を確かめるみたいに何度か軽く握ったあと、  
右手全体で胸を包み込むように押したり、揉んだりしてきた。  
と同時に左手も、あたしの右の胸に添えられる。  
 
「あ…はぁっ…ん…」  
 
背筋を何かが駆け上がる。  
冷たいような、熱いようなその何かが、雨水君の手の動きに  
合わせて、上へ下へ行き来する。  
 
「ふ、ぅ…っ、あっ…んんっ…」  
 
-------  
 
「…触っていいか?」  
「!……う、うん」  
 震えながらもそう答える声に導かれるように、俺は制服越しでもハッキリわかる  
真紅の大きな胸の膨らみに指を這わせた。  
 
――す、すっげー柔らかい……  
 
 俺は手指から伝わってくる感触に感動していた。  
 なんて言っていいのかわからないような、とにかく柔らかい感じ。  
 力を入れると指が沈み込んで、離そうとすると手に吸い付くような弾力で  
押し返してくる。  
 
――女の子の胸って、こんなに柔らかいんだ……  
 
 押す。こねる。  
 夢中になって真紅の胸を触り、揉み、変形させる。  
 そのたびに真紅の胸は、俺の手指に言葉にできないようないい感触を伝えてくる。  
 右手だけでなく、左手でも触る。  
 
「ん、くふっ」  
 俺は真紅の漏らしている声に気づいた。  
 耳まで真っ赤になった真紅の顔を見ると、眉が苦しげに寄せられ、潤んだ瞳は伏目がちに  
なにかを堪えている。  
 声を漏らすまいと必死に閉じられた唇が白くなっている。  
 
――しまった。  
 慌てて手を離す。  
「ご、ごめん。つい、夢中になっちまって、力入っちまった」  
 
 最低だ。真紅がどんな気持ちで許してくれたのか、判ってたのに。  
 自分がキモチイイからって、真紅のこと考えずに……  
 俺が遠慮すると思って、真紅は痛いのを堪えてくれてたのに……  
 
 しかし、真紅から帰ってきたのは意外な答えだった。  
「ち、違うの! そうじゃなくって、…痛いんじゃないの」  
「え?」  
 
「う、すいくんの、手で…触られると、ドキドキしてきて、  
 胸が切なくて、苦しくなって……  
 
「だ、だんだん…頭の中が…ぽやーっとしてきて…」  
 
「え、えっちなコだって…思わないでね…こ、こんな気持ちになったの…  
 初めて…なんだもん」  
 
 ちらり、と上目遣いで俺の顔を見ながら、そう言う真紅の顔は真っ赤で。  
 それを目にした瞬間、俺の胸の中で心臓が大きく跳ねた。  
 
--------------  
 雨水君に身体を触られてると心臓がドキドキする。  
 柔らかく…おっぱい…を握られると、胸の芯から妖しい熱みたいなものが  
生まれてきて…全身がかぁっと熱くなるみたいにその熱が広がっていく。  
 
 雨水君が緊張しながら、でも夢中になって私の胸を触ってくれている。  
 嬉しい。  
 ぐっ、と掴むように揉んだかと思うと、やさしくおっぱい全体を動かすかのように  
こねてくる。荒い鼻息と、汗のにおいがしてきてなんだかすごく切なくなる。  
 雨水君の掌は、制服のワンピースとブラウスとブラジャー越しでも  
十分にわかるくらい熱くて、大きかった。  
 
 その掌で揉まれているうちに、いつのまにかすっかり固くなっていた乳首が  
下着と擦れてなんだかヘンな気分になってきてしまう。  
 どうしよう。  
 声が…漏れちゃいそう。  
 ぎゅ、っと雨水君が握ってくるたび出そうになる吐息をそのたびに殺して、  
雨水君に気づかれないように鼻から浅く呼吸をする。  
 
 でも、雨水君の掌があたしのおっぱいの柔らかさを確かめるみたいに「ぐっ」と  
ひときわ深く埋まりこんだ瞬間、ブラジャーの縁が固くなった乳首をざらりと擦って、  
桃色の電流があたしの全身に走った。  
 
「ん、くふっ」  
 
 思わずこぼれた声に、雨水君は気づいてしまって。  
 
「ご、ごめん。つい、夢中になっちまって、力入っちまった」  
 
 慌てた雨水君の声が聞こえた。そして不幸な感情が一気に流れ込んでくる。  
 血が増えちゃう。  
 でも、血が増えることよりも、雨水君がすまなそうな顔をしていることのほうが  
今のあたしにはもっと辛かった。  
 だからその誤解をすぐ解かなきゃ、と思って必死に説明した。  
「ち、違うの! そうじゃなくって、…痛いんじゃないの」  
「え?」  
 雨水君の戸惑っている顔。  
 
「う、すいくんの、手で…触られると、ドキドキしてきて、  
 胸が切なくて、苦しくなって……」  
「だ、だんだん…頭の中が…ぽやーっとしてきて…」  
 言っているだけで、顔から火がでそう。  
 あたしはすごくえっちなことを言っている。  
 どくん、どくん、と心臓の鼓動にあわせて耳まで震えるくらい、  
あたしの顔は完全に真っ赤になっていた。  
 
「え、えっちなコだって…思わないでね…こ、こんな気持ちになったの…  
 初めて…なんだもん」  
 嫌われたくない一心でそう言うと、雨水君の不幸な気持ちはなくなったみたい。  
 ものすごく恥ずかしいけど、ちょっとだけ勇気をだしてちらっと雨水君の顔色を見てみる。  
 
 良かった。  
 真っ赤になってあせってるみたいだけど、呆れたり、悲しんだりはしてないみたい。  
 おどおどしてて、でもなんか安心したような、そんな雨水君の顔をみてると  
胸の奥がキューッと締め上げられるような切ない気持ちになって…どうしよう。  
 
 でも次の瞬間、雨水君はビックリするようなことを言ってきた。  
 
 
「ま、真紅…その…じかに、触っていいか?」  
 
 
「う、雨水君?な、ナニをいってるの!?」  
 
 そう言われた瞬間、健太は自分で「しまった」と思った。  
 いくらなんでも、直接揉ませてくれ、だなんていい過ぎだ。  
「……………」  
 案の定真紅は顔を真っ赤にして固まった表情でいる。  
 
「や、やっぱメイワクだったか?」  
 慌てて取り繕おうと言葉を捜す。  
 なんと言って謝ろう。真紅は恥ずかしいのを我慢して触らせてくれたのに。  
健太がそう迷っていると真紅が口を開いた。  
 
「あ、あのねメイワクじゃないけどヤッパリ心の準備とか必要だけど――」  
 
――――え?  
 
「――私の胸なんかでいいなら触っても大丈夫だよ」  
 
――……えええええ?  
 
「ほら私が雨水君に近づいても造血の兆候が見られないのが、その証拠だよ?」  
 
 一瞬、自分が真紅にとんでもない事を言ったのではないかと慄いていた健太は  
その言葉に心から安心した。  
 
――いいのか?!  
――いいんだよな!? 今、真紅はいいって……  
 
 再びそのふくらみに触っていいものか悪いものか、逡巡する健太の掌。  
 かりんの掌がそんな健太の手を掴み、自らの胸に導いた。  
 ふっくらとした感触とともに着地する感触に、健太はぞくぞくするほどの  
快感を覚えていた。  
 
「う、雨水君だったら……う、雨水君だから……いいよ」  
 うつむいたままの真紅が上目遣いで健太を見ながら、そうつぶやく。  
 鼻血を噴射する寸前くらいにまで顔を真っ赤に染めながら。  
 
――ど、どうしよう??  
――触って…いいんだよな。生で、直に……  
 
 こんもりと盛り上がった真紅のブラウスの胸元。  
 真紅の手に導かれて再び触れたそのふくらみは、掌が蕩けそうなほど  
柔らかい。今度はそれに直接触れてもいい、と真紅は許してくれている。  
脳が沸騰しそうなほど興奮しながら、健太はそっとブラウスのボタンに  
指を伸ばした。  
 ひとつ。  
 ふたつ。  
 みっつ。  
 真紅の小柄な身体には不釣合いな大きな二つの膨らみ。  
 その小山の間にあるボタンを震える指でそっと外すと、その内側から  
はじけるように白い肌が覗いた。  
 
 ふっくらとしてて、つやつやで、柔らかそうで。  
 色白な真紅の肌だが、ブラウスの内側、胸の谷間にあたるそこは  
健太の目に眩しいくらいの白さで輝いて見えた。  
 そんな乳肌が覗くと同時に、汗と柑橘類の香りを混ぜたような  
甘くて生っぽい匂いがたちのぼってくる。  
――こ、これって…真紅の、匂いだよな……  
 
「ま…真紅…」  
 かすれる声で健太は囁いた。  
「………」  
 真紅は恥ずかしさのあまり、もう何も言えず無言のままこくりと  
うなずくことしかできない。  
 
 健太の左掌が、真紅のブラウスの中に入り込み、そっとブラジャー越しに  
大きな乳房を包み込んだ。  
 
――すっげえ、すべすべだ…  
 
 真紅のおっぱいの肌触りはすごかった。掌に吸い付くような感触。  
 もっちりとして、それでいてしっかりと指を押し返してくる弾力。  
 頭の中が真っ白になってしまうほどの感動が健太を襲う。  
 
――す、すっげえ…すげえ…  
 
 言語感覚が麻痺してしまうほどの感激。  
 あったかくて、柔らかい。  
 しっとりとして、すべすべな。  
 吸い込まれそうな柔らかさだが、それでいて手指を押し戻すような弾力。  
 
(…どっ…どうしよう……)  
この期に及んで健太は真剣にうろたえていた。  
 
白いブラジャーに包まれた双丘は健太の手に余る程大きかった。同年代の男子なら  
普通に購読するエロ本や、猥談の類をした事の無い健太の目から見ても十分に巨乳  
の部類に思えた。  
むっちりとしていて柔らかく、それでいて指を押し返すような弾力。  
力を込めると歪な形へと様々に変化し、ブラジャー越しでさえもとろけそうな感触  
を健太の掌に与え続けた。  
 
確かに、真紅の胸を揉むのは気持ちいい。最高と過言してもよいくらいだ。  
しかし…  
 
(これ……どうやって外すんだろう……)  
 
・・・・・・・・・・・・ブラジャーの外し方が分からなかった。  
 
さっきから胸を揉む振りをして、それとなくホック周辺をまさぐっているのだが  
さっぱり分からない。母の着替えをそれとなく覗いてしまった時の事なぞ思い浮  
かべて見るが、全然参考にならない。  
(どうする…どうするんだ健太?)  
しだいに焦りだし、激しく自問自答を繰り返す。  
 
「…?…雨水…君??」  
乳房を揉みしだく手が止まったのに気付き、果林が薄っすらと上気した顔を怪訝そ  
うに見上げた。  
(うわっ!…怪しまれているよ!!)  
果林のブラジャーはフロントホックブラであるが、健太の記憶にある母のブラは背  
中にホックのあるカップブラであった。おまけに果林のブラは微細な刺繍に紛れて  
ホックの位置が非常に分かりずらい。こんな事態になるのなら、菊池の奴にエロ本で  
も貰ってちゃんと"予習"しとくべきだったと後悔するがもう遅い。  
「どうしたの…雨水君?」  
一人悶々と焦燥の念に駆られる健太を気付かうように、果林が問いかけてきた。  
 
健太にも面子というものがあるのだ。このままでは格好がつかない。自分から真紅を  
誘っといてこの体たらくでは…  
 
(ええい!まよよ!!)  
 
健太は背後から回した手で、ブラのホックを思いっきり無茶苦茶に弄くった。  
プチンッ!という音がして奇跡的にブラが外れた。  
きつく中に収められていた乳房が、カップから開放された勢いでぶるんと揺れ  
ながら飛び出した。それは、たっぷりの量感と吸い付くような質感、眩しい  
位真っ白な白磁のきらめきと艶やかさを湛えていた。その突端は薄い桜色で、  
巨大な双丘に不釣合いな程、小さくちょこんと恥ずかしげに鎮座していた。  
 
 健太は真紅の窮屈なブラジャーのカップを上に押し上げると、  
零れ落ちたたわわな肉果を掌全体で受け止めた。  
 
 汗で滑る健太の掌の指紋が真紅の身体に電流を流し始めた。  
 指先が、関節が、掌が。  
 真紅の巨乳に埋まりこみ、むきたてのゆで卵みたいなつややかな乳肌を  
擦りたてるたびに真紅の身体には切なくなるような喜びの電流が流れ始めた。  
 
「んふっ…」  
 いつしか真紅はこらえきれずに吐息を漏らしはじめた。  
 
 健太は乳を搾りたてるように乳肉に指を埋め込む。  
「…ぁっ」  
 
 指先で乳肌を掃くように乳首を四本の指で触れてみる。  
「んくっ…」  
 
 生まれて初めて経験している女性の乳の触感にすっかり酔っていた健太は  
その吐息を聞くとはなしに聞いていた。  
 健太はふとその甘い声を発している真紅の顔を見つめた。  
 
 すっかり上気しきった真っ赤な顔。  
 蕩けて潤んだ瞳。  
 ふっくらとした赤い唇。ものすごく、つやつやしてて、キレイで、柔らかそうだ……  
 
 
 
「ま、真紅……キ、キ、キスしちゃダメか?」  
 
 
 
――ちょ、直接、触られる!  
 あたしのおっぱいを、雨水君が、揉んでくれている。  
 
――雨水君、あたしの身体を触ってくれてる  
――こんなに、夢中になって。  
――あたしは人間じゃないのに。  
 
 どうしよう。  
 こんなに、こんなに、キモチイイ……  
 雨水君の手。長い指。大きくて固い掌。  
 あたしの乳首が固く尖ってきて、雨水君の掌に押し付けられる。  
 雨水君の指がおっぱいに埋まりこむと、そこから温かい波みたいなものが  
 全身に広がってくる。  
 自分で触ってみたときには感じたことがない、暖かい波動。  
 
 体の芯をじわじわと溶かしてしまうような。  
 触れ合ったおっぱいと掌の境界がなくなってしまうような。  
 そんな、暖かくて熱い感触が胸から広がってくる。  
 
 あたしを見つめてきている雨水君の顔、ちょっとだけ怖いけど…雨水君なら、いい。  
 ううん。…雨水君じゃないとイヤだ。  
 
「キスしちゃ、ダメか?」  
 震える声で。  
 雨水君がそう言ってくる。  
 
 それをきいたあたしの目からは思わず涙がこぼれてくる。  
 雨水君、あたしのこと、受け入れてくれるんだ…  
 そう考えるだけで、瞼が壊れちゃったかのように涙がこんこんとあふれ出してきてしまう。  
 
 
「キスしちゃ、ダメか?」  
 
 健太は言った瞬間、自分の言葉に驚いた。  
 
――え?俺今なんて言った?  
――こんなこと言って、いいのか?  
 
 健太の心の中に「こんなことして本当にいいのか?」という疑念が突然湧き出してきた。  
 
――あやまち?  
――もしかして…コレが「あやまち」ってヤツなのか?  
 
 幼少の頃から繰り返し言われ続けてきた禁忌。  
 祖母がことあるごとに  
「あの子があやまちさえ犯さなければ」  
「一時のあやまちのせいで」  
と幼心に悪いことだ、いけないことだと植えつけられていた行い。  
 
――ひょっとして言っちゃいけないことだったのか?  
 
 健太が不安に駆られながらかりんの顔をじっと見ていると、  
紅茶の色の瞳の淵には涙がみるみる盛り上がり、それは縁から  
こぼれて頬に線を作る。  
 
――泣いてる!  
 
ヤバイ。ダメだ。  
真紅は俺のことを信頼してくれていたのに。  
俺がイヤらしいことを言ったから!  
俺が…  
俺が…  
 
罪悪感に襲われて健太は真紅の体から飛びのくようにして離れた。  
 
そのまま頭を畳にこすり付ける。  
 
 
「ゴメンッ!」  
 
 
え……?  
 
かりんは戸惑っていた。  
 
胸に感じていた暖かさが突然なくなってしまった。  
肩を掴んでいた左手も、おっぱいをこねるように触ってくれていた右手も、  
雨水君の吐く息の匂いも、覆い被さっていた体の熱も。  
 
 
 
雨水君は床に頭をこすり付けるようにしてなにやら謝っている。  
そして伝わってくるのはまぎれもない「不幸」の感情。  
 
 
――あたしが…人間じゃないから?  
――受け入れてくれるんじゃ……なかったんだ…  
――そうだよ。  
――そうだよね。  
――あたしは人間じゃなくて……、  
――吸血鬼……半端な吸血鬼で…  
――そんな生き物が…  
――雨水君のことを好きになったりしちゃ……ダメだよね…迷惑だよね…  
 
 
かりんの全身を包んでいた熱が急激に醒めていってしまう。  
さっきまでとは正反対の意味の涙がかりんの視界を歪めていく。  
 
――どうしよう。  
――もう、雨水君の側に居られない。  
――居れないよ……  
 
 震える足で立ち上がるかりん。  
 ショックと悲しみで顔は青ざめている。  
 
 どうしようもなく不器用で鈍い健太はかりんが何故泣いているのか、  
何に対して絶望しているのか、かりんにとって健太はどういう存在だったのか、  
まったくわかっていなかった。  
 
 かりんはアパートの戸口へと向かう。  
 ぽろぽろ涙をこぼしながら。 
 
 
 
 もしこのままかりんが帰っていたら。  
 明日からも一見、昨日までと同じ関係の二人。  
 でも肝心なところで二人の間には深い溝ができてしまっていただろう。  
 修復不可能な断絶を抱えたまま、おそらくはなにもないままの関係、  
そのままで高校卒業の日を迎え――  
 
 
 
 しかし幸か不幸か、かりんはどうしようもなくドジだった。  
 
 靴を突っかけてドアを開けようとしたとたん  
 
「――ふぎゃっ!!」  
 
 ごん、という音とともにかりんは顔から扉に突っ込んだ。  
 
「あいたた…」  
 
「大丈夫か!?」  
 駆け寄る健太。  
 顔を押さえうずくまるかりんの顔を覗き込む。  
 
 健太に覗き込まれた瞬間、かりんの胸いっぱいに熱い波が打ち寄せた。  
 その奔流は「健太に拒否された」と思って感じた悲しみすらも簡単に流し去ってしまう。  
 
――どうしよう。  
――たとえなんとも思われてなくっても、雨水君のことが、やっぱり好き!  
 
 
 
 真っ赤になったままのかりんの顔を覗き込んだ瞬間、健太の中で何かがはじけた。  
――可愛い  
――小さい  
――守りたい  
――泣かせたくない  
 さまざまな種類の感情が健太の心のなかで爆発した。  
 
 
 
 健太の頭の中で理性は灼熱にあぶられた水滴みたいに瞬時に蒸発し、  
視界は増血鬼の少女で埋め尽くされる。  
 
「んぎゅっ」  
 健太は反射的にかりんを抱きすくめていた。  
 柔らかな体。細い腰。小柄なかりんの身体には軽く腕が廻ってしまう。  
 かりんの背中に腕を回しながら、健太はかりんの耳元で囁く。  
 
「ゴメン。真紅、ゴメン…」  
 
 健太はもはや自分が何に謝っているのかもわからない。  
 ただ、この少女を離したくない、その一心だけで幼少の頃から  
強く植えつけられた禁忌を押し殺して抱擁を続ける。  
――真紅って柔らかい。  
――いい匂いがする。  
――ずっと、抱いていたい……  
 
 
 
――雨水君だ…雨水君が…雨水君でいっぱい…  
 骨の芯から溢れてくる甘い切なさがかりんの全身を満たしていく。  
 触れ合った肌が熱い。  
 息を吸うたびに健太の体の匂いがかりんの鼻腔をくすぐる。  
 酔いそうなくらい、好きな男の子の匂い。  
 
「…すい…くん」  
 かりんのかすれた声が健太の耳をくすぐる。  
 押し付けあった胸が響く振動ですら心地よい。  
 
「ま…あか」  
 かりんの声を聞いた健太は安堵した。  
 嫌われて泣かれたわけではないのかもしれない。  
 
 健太は両腕に込めた力でかりんの身体を締め上げてくる。  
 かりんの肋骨が歪む。  
 痛い。  
 痛いけど、痛くない。  
 
 
「うすい・・・くん」  
 なんて言えばいいんだろう?  
 かりんは悩んでいた。  
 なんて言えば?  
 かりんのただでさえ足りない脳細胞は今や熱でショートしかけている。  
 いい考えなんて浮かぶはずがない。  
 
――あ!  
 
 かりんは以前に麻希が貸してくれた少女マンガの一シーンを思い出した。  
 かりんは瞳を閉じて、唇を突き出すように顔を上げる。  
 
 
 
――こ、これって。  
――これって、アレだよな  
 
 鈍い健太もさすがに気づいた。  
 
――キス、してくれって…こと…だよな…  
 
 瞳を閉じて顔を上向きに健太に向けているかりん。  
 健太の顔がゆっくりとそれに近づいていく。  
 二人とも心臓は早鐘のようにどきどきと脈動し、顔だけじゃなくて  
首筋や全身の肌にいたるまでばら色に紅潮させていた。  
 
 健太の視界の中がかりんの顔で一杯になる。  
 
 
――あ。  
――真紅って、スゲー…可愛い…  
 
 健太はかりんと散々一緒にいても気づかなかったことが、  
なぜか今になってようやく理解できるようになった。  
 つややかに膨らんだ頬。  
 ドアにぶつけて赤くなっている、高くはないけどカタチのいい鼻。  
 パッチリした目と、それを覆うきれいな瞼。長い睫毛。  
 
 それらすべてがバランスよくまとまっている。  
 
――真紅って、かわいいんだな……  
――それにいい匂いがする。  
 
 かりんの吐く息の匂いが健太の鼻腔をくすぐる。  
 かりんの女の子っぽい、それでいて不快でない甘い体臭が健太の動悸を激しくさせていく。  
 
――唇、つやつやしてる…  
――柔らかそうだな……  
 
 健太はかりんの唇から目を離せない。  
 どれほど柔らかいんだろうかとか、どんな味がするのだろうかとか  
健太の脳裏には疑問が渦巻きつつもゆっくりと唇を近づけていく。  
 
 ふに  
 
唇に柔らかい感触がした。  
濡れた皮膚の感触と、熱と、匂い。  
 
――柔らかい!  
――これが真紅の唇なのか!?  
 
 
 二人の全神経は唇に集中している。  
 柔らかく変形した唇。  
 お互いの唾液の味覚。  
 互いの体温。  
 呼気の匂い。  
 触れ合った皮膚の肌理。  
 
 そっと触れさせて、ゆっくりと離す。  
 また唇と唇を合わせる。唇の変形を確かめ合い、お互いの存在を確認しあう。  
 
「…う…すい、くん…」  
 
 唇をついばみ合いながらかりんはこらえきれずに誰よりも大切な少年の  
名を呼ぶ。  
 その声に興奮したのか、健太はより深く強く自分の唇をかりんに押し付けた。  
 
 
――雨水君が…キス、してくれてる。  
――う、雨水君の…唇…!!  
――熱い。  
――熱い。  
――溶けちゃいそう。  
――嬉しくて、体中の骨が蕩けちゃう。  
――触れ合った唇の熱でおかしくなりそう…  
 
 かりんは身体を興奮と快楽に震えさせながら、健太の唇を受け入れることしかできない。  
 脳が溶けそうなほど興奮しているせいか、身体がうまく操れない。  
 健太の背中に回したかりんの手は力なくシャツの上を滑る。  
 
 もはやかりんは健太に掴まることすらできずにいた。  
 覆い被さるようにかりんを抱きしめている健太の腕の中で、捕まった小鳥のように  
なすすべもなく震えながら少年にすべての身を任せている。  
 
 
 健太の薄い唇がかりんの桜色の唇に押し付けられる。それは柔らかくたわむと、健太に  
たまらない感触を伝えながら優しく受け止めてくる。  
 
 健太は頭の芯が痺れたようにぼんやりとしか考えられない。  
 目の前にいるのは真っ赤に紅潮した頬を涙で濡らしながら唇を突き出してきている  
吸血鬼の少女。  
 かりんはばら色に頬を染めながら、瞳を閉じて陶然とした表情でキスに応えている。  
 
 健太はかりんの上唇を唇で挟み込む。  
 柔らかい粘膜が優しく変形する感触が唇に伝わってくる。健太はそれだけで体の底から  
熱い波が湧き上がるのを感じる。。  
 舌先で口づけたままの唇をなぞる。  
 かりんの唇の感触を味わいながら角度を変えながら押し当て、吸い付き、くわえ込む。  
 すべての感覚が健太の中でどうしようもない熱に変わっていく。  
 
「……んぅ…」  
 口づけたままのかりんの鼻声が健太をさらに熱くする。  
「…む…んんんぅっ……」  
 
「…ん……むー!」   
 
 健太は唇を離した。  
 その瞬間、かりんはハァハァと荒く深呼吸をする。  
 今まで息をこらえていたのか、真っ赤に染まったかりんが必死に息を荒くしている姿は  
とても滑稽で、健太は思わず吹き出しそうになった。  
 
「…真紅……」  
「…ハァ…ハァ…」  
「息、できなかったのか?」  
「…ハァ……ハァ…う、うん…」  
 
――鼻で息をすればいいじゃないか。  
――真紅って同時に二つのことを考えられないんだな…  
――やっぱり真紅は真紅だ。ドジで、どっか抜けてて、そんなところがたまらなく……可愛い。  
 
「あ! …は、鼻で…息すればいいんだよね」  
「ああ。そうだ」  
 
 そうかー、などと一人で合点しながら、恥ずかしそうにえへへと笑いかけてくるかりん。  
 健太はそれを見て、胸の中が暖かくなるのを感じた。  
 
「あ、あの…た…た、試して……みていい?」  
 かりんはそう上目遣いで恥ずかしそうに尋ねてくる。  
 健太が一瞬答えに窮したのは、その表情があまりにも可愛すぎたからだった。  
 心臓が胸の中で暴れまわる。  
 潤んだ深い色の瞳も、髪の中から覗く真っ赤になった耳も、きれいな白い歯と  
ふっくらとした唇も、それらすべてが健太の胸を切なく締め上げてくる。  
 
「キ、キス…しながら、い、息……試して…いい?」  
 再びそう口にしながら、自分の言葉に照れまくるかりん。  
 
 その表情に見惚れていた健太は  
「あ、…ああ」  
と答えるのだけで精一杯だった。  
 
 かりんの頬の丸みに掌を当てる健太。  
 すべすべのほっぺたからは「とくん、とくん」というかりんの脈が伝わってくる。  

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