健太の掌の熱が伝わっただけで、かりんは身体の奥から暖かい波が生まれてくるのを感じる。  
 
――雨水君の手が。  
――触ってくれてるだけで。どうしよう。こんなに、キモチイイ。  
――あたしって、おかしいのかもしれない。  
 
 かりんは自分の頬に添えられた健太の掌に自分の掌を重ねた。  
――大きな手。強くて、でも優しい手。  
――噛み付いていい、って抱きしめてくれたときはすごく嬉しかった。  
――公園のベンチで仲直りしたときにはあたしの手を握ってくれて……どうにか  
なってしまいそうなくらい、すごくすごく嬉しかった。  
――でも、今こうやってあたしのことを見ながら触ってくれているのは、もっともっと  
ずっとずっと嬉しい。  
 
 
 かりんは真っ直ぐ座っていられない。  
 体の軸がぐらぐらと揺れそうなくらい、それくらい激しく興奮しながら健太のシャツの肩に  
もうかたほうの震える掌で必死にすがりつく。  
 そしてかりんは女の子座りのまま軽く顔を上げ、瞳を閉じた。  
 
 
 小さな掌が自分の手の甲に触れるのを感じる。  
――真紅の手って、ホント柔らかくて、小さいんだな…  
 健太は以前に手をつないだときのことを思い出していた。  
 
 飯塚……父親との件が一段落して、真紅と仲直りした日。  
 公園のベンチでつないだ手の柔らかさ。温かさ。  
 女の子と手をつないだのなんて、あのときが始めてだった。  
 そのとき女の子の手ってこんなに小さくて柔らかいんだ、と気づいた。  
 その手が今は自分の手の上を撫でている。  
 
――真紅の匂いだ…  
 爽やかで、それでいてどこか甘い香りのするその匂いは、健太の身体の芯を熱くさせてしまう。  
 
 鼻がぶつからないように顔を傾け、健太はかりんの顔に顔を寄せる。  
 かりんの瞳が再び閉じられる。  
 
 えも言われぬ粘膜の感触。  
 健太は唇でかりんの桜色の唇の柔らかさを再び感じた。  
 
 
――唇で触れ合うって、こんなにキモチイイんだ…  
 陶然とした心地で、かりんはそう感じている。  
 
 健太の唇がかりんの上唇を挟む。  
 舌先が唇をめくるように撫でてくる。  
 唇を吸われ。甘噛みされて。首筋に触られて。  
 
 そのたびに、かりんの内側にさざなみのような切なさが増えていく。  
 
 
 健太の顔に息がかからないように浅く静かに呼吸をしていたかりんだが、  
胸の中の興奮と健太の体温ですっかり昂ぶってしまっている。  
 こらえていた呼吸はすぐに荒くなり、熱い吐息が健太の顔を撫でる。  
 
 肋骨の中で、破裂しそうなほど強く暴れるかりんの心臓。  
 健太の匂いがかりんの鼻を突いた。  
 汗となにかが混ざり合った男の子っぽい匂い。  
 
 それを嗅ぐたびに、かりんの胸の中にはどうしようもない狂おしい渦が産まれてしまう。  
 
 ブラジャーがずらされたままのブラウスの中の乳首が擦れてしまう。  
 びくん、びくんと脈動する乳首はブラウスの裏を擦り、そのたびに甘い白い電流が  
かりんの背筋を伝う。  
 
――あたし…こ、こんなに…えっちになっちゃってる。  
――やっぱりあたしの身体っておかしいのかも…  
 
 
 二人は唇を啄ばみあうようにキスをしている。  
 台所の板の間に女の子座りしているかりんを抱きしめながら  
膝立ちの体勢の健太は何度も浅くキスを繰り返す。  
 
 薄暗い、安アパートの狭い台所。  
 生まれて始めてのキスの場所としては全然ロマンチックではないが、  
キスに夢中のかりんはそんなことすら思いつかない。  
 
 唇を押し付け、吸い付き、咥え込む。  
 かりんの甘い鼻声と健太の荒い鼻息が二人の顔の間に溢れだす。  
 
 健太の薄い唇が自分の唇に押し当てられる感触。  
 それだけでかりんの脳は熱く蕩けそうになってしまう。  
 
 
 ぷはっ、という吐息とともに二人の唇が離れる。  
 
「真紅…」  
 唇を離した健太はそれだけを口にすると、再びかりんを強く抱きしめた。  
 かりんのEカップの胸が健太の胸板に押し付けられ、柔らかく変形する。  
「真紅…」  
 そう耳元で囁かれる健太の声と、おっぱい越しに伝わってくる振動。  
 それだけで、かりんは全身から力が抜けてしまう。  
 かりんは健太の囁きに上気した頬を震わせる。  
 
――胸の中が一杯になって、う、雨水君だけに、なっちゃう  
 
 突然、両肩を掴まれるかりん。  
 健太はかりんの両肩をがっしりと握り、真正面からかりんの顔を見つめる。  
 
 見つめているうちに、健太の頬は赤く染まり、視線は泳ぎ始めた。  
 
「そ、その…ま、真紅……その……俺……」  
 三白眼の視線が宙をさまよう。  
 目の前のかりんとは目を合わさないようにして、真っ赤になった健太は  
焦りながら搾り出すようにその言葉を紡いでいく。  
 
「俺…その……ま、真紅のことが……」  
 そう言いながらふらふらとさ迷う健太の視線がちらり、とかりんの顔を見やる。  
 薄い赤を含んだ深い色の瞳をまん丸く見開きながらかりんは健太の瞳を  
食い入るように見つめてきている。  
 かりんは一瞬たりとも健太から目を離そうとしない。  
 まるで子犬みたいな、純真でまっすぐな視線。  
 
 その瞳を見ていると、健太の胸の奥にチリチリするような熱が生まれる。  
 熱は胸から体中に広がっていき、鼻の奥がツンとなり息が苦しくなる。  
 蕩けそうな瞳で見つめてくるかりんを見た瞬間から、健太は視線を離すことができなくなった。  
 磁力を持っているかのように健太の視線は吸血鬼の少女の瞳から離れない。  
 
 深い色の瞳に魅入られるような眩暈に近い感覚を覚えながら、健太は  
心のうちを始めて吐露した。  
 
「真紅が……す、好きだ」  
 
 不器用な少年の、愚直なまでにまっすぐな愛の告白。  
 かりんはその言葉を耳にした瞬間、身体の中で何かが爆発したのを感じた。  
 爆発した熱の波は身体の芯を真っ赤になるまで炙りたて、痺れるような快楽電流を  
全身に伝えさせた。  
 
――好きだ、って!  
――雨水君が、あたしのことを、好きだって!!!  
 
 涙で濡れた頬を健太の顔に擦り付けるようにしてかりんはこの目つきの悪い、  
でも優しくて不器用な少年に想いを伝えようとした。  
 
――人間でも吸血鬼でもないあたしのことを!  
――雨水君は、好きだって言ってくれた。  
――ずっと一人ぼっちだと思っていたのに。  
――あたしのことを、好きだって言ってくれた……  
 
嬉しくて、嬉しくておかしくなってしまいそう。  
 
 潤んだ瞳が健太に真っ直ぐに向けられている。  
 
「あ、あたしも……う、うすいく、雨水君のことが……す、す、スキ、好きななの」  
 真っ赤になってどもりながらもかりんはそう口にする。  
 
 健太は背筋が震える想いだった。  
 
 胸元にすがりついているかりんが、涙目で見上げながら衝撃の告白をしている。  
「あ、あた、あたし……うすい、くんのことが、だい、だいすき」  
 瞳からこんこんと湧き出てくる涙を瞳の縁に満々と湛えながら。  
 丸い頬に涙で線を描きながら。  
 かりんはそう真っ直ぐに健太に想いを伝える。 
 
 
 胸の中のかりんの顔を見つめている健太はとんでもないことに気づいて焦りだした。  
 
「ゴメン、真紅……その、スキだって言う前に、その…お、ぉっぱいを、  
さ、触ったり…しちまって…」  
 
 かりんには健太が本気ですまながっているのがわかる。  
 目つきが悪くて大柄で見た目が怖いけど、雨水健太という男の子はいつでも真面目で優しい。  
 かりんにはなりよりそれがよく判っている。  
 
「ううん。いいんだよ」  
 優しい瞳でかりんは健太を見つめながら言った。  
 
「雨水君が、あたしの身体に触りたいって言ってくれて……すごく嬉しかったんだよ?  
だって、雨水君…あたしのことを女の子だと思ってくれたんでしょ?」  
「当たり前じゃないか、真紅は女の子だろ」  
 当たり前、と言った健太の言葉がかりんの胸の中に響いた。  
 健太の言葉がズキ、ズキと胸の中を焦がしていく。  
 かりんの中にある欲求が生まれてくる。  
 
――確かめたい。  
――雨水君は好きだって言ってくれたけど、でも、どうしても、どうしても確かめてみたい。  
 
 かりんは意を決したように口を開いた。  
「う、雨水君……」  
「?」  
「あ、あたし……あたしは人間じゃなくって……吸血鬼で……  
それもちゃんとした吸血鬼でもなくって、ハンパモノの増血鬼で……  
でも、それでも………雨水君は…あたしのこと……好きだって……言ってくれる?」  
 
 複雑な感情が入り混じった声。最後はかすれるような小さい声で、かりんは健太に尋ねた。  
 
 健太は自分の胸の中から見上げてくるかりんの顔を見つめた。  
 恐れと、不安と、懇願とが混ざり合った表情。  
 よく見るとかりんはかすかに震えている。  
 一番信頼している、一番大好きな少年に拒絶されたらどうしよう、という不安。  
 
――真紅って、なんでもすぐに顔に出るんだよな…  
 健太はそう思いながら増血鬼の少女に囁いた。  
 
「俺は真紅のことが……好きだ」  
 照れながら、それでもはっきりと自分の意思を伝えようとする。  
「それは吸血鬼だからだとか、増血鬼だからだとか、そういうのは関係なくて……」  
 しかし、そもそも色恋に疎いどころか、まともに女の子を好きになったことがない健太である。  
言葉はもつれ始めてしまう。  
「……きっと、真紅が真紅だからで……人間じゃないとか、増血鬼とか、そういう…  
 ああ、もうなんかわかんねえ!  
 けど、俺は真紅が何者でも、好きだ。それじゃダメか?」  
 ヤケクソ気味に、それでも正直に気持ちを吐露する健太。  
 
 かりんはただでさえ丸い瞳をまん丸に見開かいたかとおもうと、  
ひぐぅ、と情けない声をあげて涙腺が壊れたかのようにどばどば涙を流しだす。  
 
「…そんな泣くなよ」  
 困惑気味の健太はかりんの頭をそっとかき抱いて胸元におしつける。  
 かりんの涙が健太のシャツの胸に染み込む。  
 染み込む先からどんどん沸いてくるかりんの涙。  
 
「だ、だって……だって、ずっと不安だったんだも」  
 
 健太の胸の中で泣きじゃくっているかりん。  
 その泣き声と、身体に感じるかりんの体温。髪から漂うシャンプーの匂い。  
 しだいに健太の胸の内になにか名状しがたいものがこみ上げてくる。  
 
 健太はその衝動を行動に移した。  
 
 かりんの視界が健太の顔で覆われる。  
 健太の掌がかりんの両頬を掴み、唇を再び押し付ける。  
 
 
 ふたたび感じる、健太の唇。  
 違うのは、より深く唇が繋がっていること。  
 
 健太の舌がかりんの唇を割って入り込んでくる。  
 健太にはキスの経験があるわけではない。  
 ただ目の前の少女が大切で、大好きで、溢れてくる想いをただ行動で表そうとしただけだ。  
 
 健太にとってかりんの柔らかな唇の内側は驚くほど熱かった。  
 女の子の唇がこんなに熱いとは健太には驚きだった。  
 
 ビックリして閉じようとする粘膜を健太の舌先がこじ開けていく。  
 
 かりんは歯茎に触れられる感覚にゾクゾクと背筋を震えさせる。  
 今まで誰も触れたことのない部分を健太の舌で触られてしまう。  
 
 そして健太の舌先はかりんの歯列の上をさまよい、犬歯の上で止まった。  
 
 健太の舌先はかりんの犬歯をなぞっている。  
 鋭い先端に触れるように。  
 側面を優しく撫でるみたいに。  
 何度も、何度も繰り返し、いとしむように。  
 健太の舌がかりんの犬歯を愛撫する。  
 
 
 かりんは健太の伝えたいことが判った。  
――雨水君、あたしに「気にするな」って言いたいんだ。  
――あたしが増血鬼でも好きだよって、そう言いたいんだ…  
 
 切ない、泣きたいきもちがかりんの体内からあふれ出す。  
 もうかりんは身体に力が入らない。ただ必死に健太の胴体に捕まろうと腕に力を込め、  
全身の骨の芯が痒くなってしまいそうな甘い熱い衝動に耐えている。  
 
 顎からも力が抜け、健太の舌先はかりんの歯列を割って口の中深くに入り込んでくる。  
 
――う、うすい、くんの、味、味がする…  
 
 健太の体臭を濃くしたような唾液の味がかりんの舌の上に広がる。  
 
――う…雨水君の、唾、飲んじゃってる……  
 
 触れられた歯茎から、ぞくぞくするような感覚が流れ出してくる。  
 口の内側を舐められるという、生まれて始めての感覚がかりんの理性を  
少しづつ蕩かしていく。  
 
 
 健太もまたかりんの唇の内側の感覚に酔いしれていた。  
 驚くほど熱い口中の温度。サラサラした唾液の味。  
 ねっとりと舌に吸い付くような粘膜の感触。  
 顔に掛かるかりんの鼻息と、それに含まれている甘い体臭。  
 
――真紅の身体って柔らかいんだな…  
――肌なんかすべすべだし、髪だってサラサラしてていい匂いがする…  
――触ってるだけで、こうして抱いてるだけで気持ちいい…  
 
 すべてが健太の身体の芯を熱くしびれさせていく。  
 
 かりんの舌が押し返してくる柔らかさ。  
 ざらりとしているが、その芯には滑らかな肉が感じられる。  
 歯の裏を触り、口の中の天井を撫でる。  
 
 しばらくして、吸盤がはがれるような音とともに二人の唇が離れた。  
 荒く呼吸をする二人。  
 
 健太は下半身が痛くなるくらい激しく勃起しているのを感じる。  
 柔らかな肌や、いい匂いのするかりんの体臭を感じるだけで  
健康な青少年である健太の男性は全力で自己主張をしてしまっている。  
 
 制服のズボンの中で痛いくらいに張り詰めている勃起がかりんの  
腰に押し付けられ、さらに固く熱くなる。  
 
「ま、真紅……」  
「なに?」  
「あ、あんまり…く、くっつかないでくれるか」  
 
 そう言われて、かりんはさっきから自分の腹に当たっている固いものの正体に気づいた。  
 
――こ、コレが…雨水君の……あ、アレ…なんだ…  
 耳まで真っ赤になりながら、かりんは胸の鼓動が激しくなるのを感じていた。  
 
――雨水君、あたしで…コーフン、してくれてるんだ…  
 
――なんでだろう。どうして、こんなに、嬉しいんだろう?  
 
 かりんは腕に力を込めると健太の下腹部に自分のお腹を押し当てるように  
さらに強く抱きついた。  
 
 かりんの小柄な身体が健太に押し付けられる。  
 ズボンの下の勃起はパンツとズボンとかりんのブラウス越しにかりんの肌の柔らかさを  
感じてしまう。  
 
「まっ、真紅っ!」  
 あわててかりんの両肩を掴んで引き離そうとする健太だが、思いのほか  
強く抱きついているかりんはなかなか引き離せない。  
 二人の身体の間、健太の腹筋の上あたりでかりんの乳房が柔らかく変形する。  
「だ、ダメだ」  
 ワイシャツごしに感じるかりんの胸の触覚と、体温と、汗。  
 健太はめまいがしそうなほど興奮が高まる。  
 
「雨水君…」  
「あのね、雨水君が……あたしでコーフンしてくれてるのって、あたし嬉しいんだよ」  
 健太の胸板に顔を埋めるようにしながらかりんは言った。  
「だって………雨水君が…あたしのことを女の子だって見てくれてる証拠なんだもん」  
 
 そしてかりんは上目遣いに健太の顔を見上げながら、優しく囁いた。  
「それって、すごく嬉しい……」  
 
 
 呆然とする健太。  
 
 
 ずっと、悪いことだと思っていた。  
 女の子の身体を見たり、触ってみたいと考えるのはとんでもない悪事だと思い込んでいた。  
 
 ところが、それは悪いことではない、それどころか嬉しい、と目の前の少女は言ってくれている。  
 最初にかりんを抱きしめたときからずっと感じていた罪の意識が消えていく。  
 それはまるで、永遠に続いていた鉛色の曇り空が一気に晴れ渡ったような感覚だった。  
 
 健太は頭の芯がズキズキしてきた。  
 腕の中のかりんがたまらなく可愛く、愛しく思えてくる。  
 
 
 そして健太の腕の中のヴァンパイアは真っ赤に頬を染めながら、最愛の少年にそっと呟いた。  
「あのね………う、う、雨水君が………………………し、したいのなら………………………………」  
 
 
「あのね………う、う、雨水君が………………………し、したいのなら………………………………」  
 ドクン。  
 ドクン。  
 
 二人とも自分の鼓動の音が聞けるくらいに張り詰めた沈黙の中で、かりんは  
濡れた唇を開いた。  
「………しても、いいよ」  
 吐息にも近い、かすかな声でかりんは健太にそう囁きかけた。  
 
 
 かりんは耳まで真っ赤に染めながら、潤んだ瞳で健太を見つめ、蕩けるような熱い視線を  
送ってくる。  
 健太の背中をゾクゾクと何かが這い上がってくる。  
 好きな少女が、自分を好きにしていい、と言っているのだ。  
 
 健太は自分が抑えられなくなるのを感じた。  
 生まれて始めて感じる、どうしようもない昂ぶり。  
 目の前の少女が大切で愛しい気持ちと、同時に滅茶苦茶にしてしまいたいという欲求。  
 健太はなぜだか恐ろしくなった。  
 その欲求が暴走してしまい、かりんを傷つけてしまうのではないかという思いが  
頭をよぎったからだ。  
――落ち着け、俺!  
 その衝動をすこしでも打ち消そうと健太はかりんを抱きしめ、その唇を再び奪った。  
 
 
 健太に「しても、いいよ」と言ってしまった後でまたかりんは激しく後悔した。  
――え、えっちなコだって、思われたんじゃないかな!?  
――自分からしてもイイなんて言うなんて、雨水君に呆れられたりしてるんじゃ……  
 
 でも止まれなかった。キスされて、大好きだって告白された。  
 それだけで身体の芯がぐにゃぐにゃになりそうなくらい、嬉しかった。  
 牙を舐められて、吸血鬼でも好きだって言ってもらえた。  
 全身が溶けたバターになってしまうんじゃないかと思えるくらい、それくらい嬉しかった。  
 そしてそんな雨水君があたしのことを感じて興奮してくれている。  
 雨水君のアレ…がズボンと服ごしにあたしの腰に押し付けられたとき、肌の内側から  
痒くなるような、切なくなるような疼きが溢れてきた。  
 
 かりんは男の子に身体を見られるのはあまり好きではなかった。  
 胸が大きくなってきてからは、かりんは男子にジロジロと好奇の視線を浴びせられることも  
多くなったが、その視線はいつもかりんを不安にさせた。  
 自分の正体を知られる恐れだけではなく、生理的に怖いのだ。  
 
――でも、雨水君なら、いい。  
――雨水君なら、見られても、触られても、全然怖くない。  
――ちがう。怖くない、んじゃなくて……嬉しい。  
 
 破裂してしまうのじゃないかと思えるくらい、かりんの顔面は真っ赤に染まり  
かっかと火照っている。  
 
 健太の腕がかりんの脇から背中に廻され、首筋に掌を当てられる。  
 くちゅ。  
 唇が柔らかく変形し、健太の舌がかりんの上唇の内側を這う。  
 歯列を舌先で撫でられ、鼻息を顔に浴びせられるだけでかりんの全身から力が抜けてしまう。  
 
 
 健太はどくん、どくんと下半身が脈打っているのがわかる。  
 さっきからずっと、キスをするたび、かりんの顔を見るたびに脳の裏側あたりから  
妖しい電流のような昂ぶりが生まれて全身に流れ出す。  
 自分でも、顔が真っ赤になってるのがわかるくらい高潮していくのを健太は感じる。  
 
 かりんの唇は柔らかく、いつまでもキスしていれそうなくらい優しかった。  
 温度の高いかりんの舌と粘膜が健太の舌を震えながら受け入れていく。  
 とろとろになって混ざった二人の唾液が口の中にあふれていく。。  
 健太はかりんの口の中に塗りこめるように舌を動かし  
 腕の中でくたりとさらに力が抜けていくかりん。  
 
 深いキスを繰り返していると、健太の中の衝動は収まるどころか  
さらに大きく育っていってしまう。  
 抱きしめているかりんの身体の細さとか、鼻から漏れる可愛らしい喘ぎ声とか、  
そういったものが健太の中の男性をどうしようもなく刺激してしまう。  
 
 掌に柔らかな感触がする。  
 無意識のうちにかりんのブラウスの胸に手をやっていたらしい。  
 
 
 甘やかな刺激がかりんの背筋をびく、と震わせる。  
 健太の手がかりんの胸元に伸びている。  
 ブラウス越しの控えめなタッチ。  
 汗で湿っている布地がかりんの敏感な乳肌を刺激する。  
 ホックが外されたままなので、健太の掌とかりんの肌を隔てるのはブラウスの布地一枚だけだ。  
 
 かりんの全身に、先ほどとは比べ物にならないくらい切なく狂おしい電流が  
広がっていく。ついさっきまで、直接触られていたときよりも  
 好きだと告白された今のほうがもっとずっとはるかにきもちいい。  
 
 布ごしの健太の指が乳肉に沈み込み、指先が肌をこすり、丸みを確かめるように  
掌が乳房全体を持ち上げる。  
 
――どうしよう。  
――あたし、おかしくなっちゃう  
 
 健太に抱きしめられながら床の間にぺたりと女の子座りをしているかりん。  
その板の間に押し付けられた下着の中ではじくじくと女の子の部分が熱く蕩け始めている。  
 
 
 だめだ。  
 健太は自分の意思の抑制が効かなくなってきているのに気づいた。  
 
 キスをして、この高ぶった気持ちを抑えようとしたのだが  
まったく抑えが効かない。  
 抑えるどころか、かえってむしろ息苦しいほどの興奮は高まるばかりだ。  
 胸の奥からこんこんと湧き出てくる熱さ。  
 かりんの肌に触れ、かりんの唇を欲しいままに貪ることでしかこの熱は消え去ろうとしない。  
 
 掌の中で柔らかく変形するかりんの乳房の柔らかさ。  
 さっきまで触っていたのと同じはずなのだが、今感じるのはもっと暖かくて  
握ったり揉んだりするだけで心が落ち着くような、安心するような柔らかさだ。  
 もみこむたびにかりんは喉の奥から声にならない声を漏らす。  
 真紅も興奮してるんだということがわかる。それは健太には嬉しいことだった。  
 
 乳房を柔らかく、指を埋め込むように持ち上げるとその乳肌の内側に  
どくん、どくんというかりんの脈拍を感じてしまう。  
 
 目を大きく見開いて、弾けてしまうんじゃないかと思うくらい真っ赤になっているかりん。  
 
「真紅?」  
「……な、なに雨水君?」  
「大丈夫か? 鼻血吹いたりしないか?」  
「うん。大丈夫。雨水君が幸せだから、血なんか増えてないから大丈夫だよ」  
 目じりに嬉し涙を溜めながら、かりんは泣き笑いで健太に答える。  
 
 まるで心臓を掴まれたみたいに、健太はその笑みに打ち抜かれてしまう。  
 
――ヤバイ。真紅のこと、見てるだけで…どうにかなりそうだ。  
――真紅が笑うと、胸が苦しくなる。  
 
 健太は再びかりんの唇をむさぼった。  
 唇の間にかりんの唇を挟む。  
 唾液を送り込み、唾液を吸い上げる。  
 おそるおそる伸ばしてくるかりんの舌を吸い、唇に挟み、しゃぶりあげる。  
 
 どうすればいいのかはわからないが、ただひたすらに動物としての勘と情動だけに  
突き動かされる健太。  
 かりんは骨の芯から蕩けるような恍惚に身を震わせながら、ただ顔を赤く染めて  
健太を熱く感じていることしかできない。  
 
 
 健太と自分の混ざり合った唾液に唇と頬を濡らしながら、高まる興奮にかりんは  
小さく震えながら健太の耳に囁いた。  
 
「う、……うすい、くん……」  
 
 耳たぶが震える。背筋を経験したことのないような熱くて醒めた昂ぶりが這い登ってくる。  
 ゾクゾクする。  
 鈍い健太にも、今のかりんの囁きが特別な意味を持っていることは判った。  
 
 
 健太は自分の膝の上にかりんを抱え上げ、こんもり膨らんだブラウスの胸元に手を伸ばし、  
ボタンを外し始めた。  
 薄皮がめくられるように、かりんのブラウスの胸元がはだけられ  
内側から窮屈そうに白い乳房がこぼれる。  
 
――み、見られる! 見られてる!  
 
 かりんは恥ずかしがるというよりも興奮で身体をピク、ピクと震わせている。  
 いつもはぶっきらぼうな表情の健太が、珍しく頬を赤らめて自分の胸元を見つめている。  
 その表情がかりんの胸をさらに熱くさせる。  
 
――雨水君が。  
――あたしのこと、見てくれてる…  
 
 その感覚はかりんの未熟な性感を熱く炙っていく。  
 皮膚が敏感になったみたいで、肌に感じる健太の息や空気の揺らぎですら  
快感に変わってしまう。  
 
 跨った健太のズボンの膝に染み出すくらい、かりんの女の子の部分はじっとりと  
熱くなってくる。  
 
――真紅の……おっぱいだ……  
 健太は興奮しつつも感動していた。  
 ブラウスの胸元から覗く白い肌。  
 むっちりと健康的に育ったそれは、内側からの圧力でブラウスの縁を乗り越えて  
恥ずかしそうにその大部分をあらわにしている。  
 思わず手が止まった健太は魅入られるようにそれを見つめる。  
 
 汗でしっとりと湿った肌。  
 透けるような白い皮膚の内側には淡い静脈の色が見えている。  
 量感のあるふくらみの頂点には薄い色をした乳首が恥らいつつも小さく自己主張している。  
 
 今までずっと「いやらしいこと」としてなるべく考えないようにしていた女性の身体。  
でも健太はそれから目を離せないでいた。  
 
――ドキドキする。  
――すごい、キレイだ  
 
 かりんの身体の震えにしたがって小さくふるふると震える乳房。  
 健太の視線がそれに矢のように突き刺さり、触りたいという欲求が健太の肉体を動かす。  
 
 
――う、雨水君、あんなに、見てる……  
 
 健太の視線は針のようにかりんの乳房に突き刺さる。  
 それは身体を内側から炙られているみたいで、かりんの胸の中が  
切ない気持ちで一杯になる。  
 
 健太の掌が乳房を下から包み込み、乳房全体を持ち上げられる。  
 小柄なのにボリューム溢れるかりんの乳房は健太の指を飲み込み、  
柔らかくくびれながら変形する。  
 
 そんなかりんの乳房に健太の顔が近づき  
 
 ちゅ  
 
 濡れた音とともに、信じられないような感触がかりんを襲う。  
――!  
 かりんは背筋を弓なりに反らせる。  
 過敏になった乳房、その中心部にひっそりと色づいている乳首を健太の唇が吸ったのだ。  
 
 息もできないくらいの電流がかりんの脳内に弾ける。  
 
 そしてふたたび  
――!!  
 二度。三度。  
 健太の唇はかりんの敏感な部分を舐め、ねぶり、しゃぶっていく。  
 
 かりんはもう真っ直ぐに座っていることすらできない。  
 そしてそのまま健太の膝の上から後ろに崩れるように倒れてしまう。  
 
 仰向けになったかりんに覆い被さる健太。  
 かりんの顔に健太はキスの雨を降らせる。  
 
 すこしばかりの不安と胸が張り裂けそうなほどの期待、興奮と歓喜に震えながらかりんは  
大好きな少年のキスを受け入れる。  
 
――あたし、雨水君にされちゃうんだ。……してもらえるんだ。  
 
 乱れたブラウスの中からこぼれた乳房を揉まれながらかりんはそれだけを考えた。  
 
 
「真紅…」  
 かりんのまくれあがったスカートの中で、下着に手をかけながら  
健太はかりんに囁くように言った。  
「……」  
 健太の意を察したかりんはこくりと頷く。  
 
――とうとう…ぜ、ぜんぶ…見られちゃう…  
 
 身体の奥の熱い塊がかりんの全身に震えるような快感をもたらしている。  
 女の子として、誰にも見せたくないところを見られてしまう。  
 全部、ゆだねてしまう。ゆだねてしまえるという喜び。  
 それが蕩けきったかりんの脳内をぐるぐると駆け巡り、うっすらと汗をしぶかせた全身を  
歓喜で震わせる。  
 
「…ん、んしょ…」  
 腰が抜けてしまったのか、かりんの下半身はなかなか言うことを聞かない。  
 それでも必死に腰を浮かせて健太がショーツを脱がそうとするのに手を貸す。  
 
「ふぅっ…」  
 感じたのは空気の冷たさ。  
 すっかり充血している女の子の部分に感じる頼りなさ。  
 そしてなにより、大好きな男の子に全部見られているという感覚がかりんの  
発情をさらに激しくさせてしまう。  
 
 
 ねっとりと蜜をしぶいた媚粘膜はつやつやとピンク色に光っている。  
 女の子のあそこなんて健太は見るのも初めてだ。  
 
――女の子ってこんなんなんだ…  
 
 健太は魅入られるようにその部分を見つめている。  
 かりんの薄い恥毛は愛液で濡れてぴたりと肌に張り付き、薄桃色の粘膜がすっかり  
丸見えになっている。  
 
 健太の男性はもうどうしようもないくらい立派になってしまっている。  
 かりんの女性器を目にした瞬間からさらに充血が激しくなり、今では自分の臍に  
つきそうなくらい反り返り、脈動している。  
 健太は自分の人生のなかで、今ほど自分のモノがこんなに固く激しく勃起した経験はない。  
 
――こ、この…真紅のなかに…いれたら……  
 健太はかりんの柔らかく光る粘膜の感触を考えただけで意識が飛びそうになる。  
 
 
――どうしよう。  
――心臓が、張り裂けちゃいそう…  
 
 心臓の脈動のたびにかりんの女の子からは熱い液が溢れてくる。  
 そこは「見られている」という感覚だけで熱く蕩けそうになっており、  
ズキズキと生まれてくる熱で、腰から下が痺れるくらいに熱くなっている。  
 
 恥ずかしがってる二人はそれでも互いの身体を弄りあいながら、キスを重ねる。  
 抱きしめ、胸を揉み、唇で触れ合う。  
 
 そして健太は腰をかりんの太股の間に導いた。  
 
――すっっっっっっげえ……  
 
 健太はゾクゾクする感覚に心奪われていた。  
 かりんの粘膜に触れた亀頭は泣きたいくらい気持ちイイ。  
 これで包まれたらどんなにいいんだろう?  
 健太の脳は期待と興奮で麻痺しそうになっている。  
 
――こ、ここでいいんだよな?  
 健太は自分のモノをなぞるようにかりんの粘膜に押し当てる。  
 
 
――とうとう、しちゃうんだ。してもらえるんだ…  
 かりんは全身を緊張と歓喜に震わせながら、その一瞬を待ち望んだ。  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
――……?うすいくん?  
 
 
 
 
 その瞬間、雨水健太はとんでもないことに気づいた。  
 
 
 
 
「あ…あの、真紅…ごめん。その、やっぱり……できない」  
 
 
 
――え?  
――なに?なんて?雨水君、な  
「ごめん」  
 
 
『ごめん』そう言った健太から伝わってくるのはまぎれもなく「不幸」の波動。  
 
 健太の言葉が、感覚が、一瞬でかりんの心臓を凍りつかせた。  
 胸の中に溢れていた熱い想いが一瞬で氷塊となったみたいだ。  
 
――やっぱり雨水君は――  
 
 かりんの心は暗転してしまう。  
 さっきまでばら色だった世界が、モノクロームに変わっていく。  
――人間じゃないから。あたしが人間じゃないから。  
 絶望と喪失感に襲われ、みるみる瞳の縁に涙を盛り上がらせるかりん。  
――乗り越えられると思ったのに。それでも好きだ、って言ってくれたのに!  
 
 
 この瞬間のかりんは自分の生まれを心の底から呪い、世界の全てに絶望していた。  
 心臓がすり潰されるような苦しみ。  
 内臓全てがなくなってしまったかのような虚脱感。  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 思い込みの激しいかりんの暗い絶望を打ち砕いたのは健太の言葉だった。  
「その…避妊具、持ってないから」  
 恥ずかしそうに照れながら、健太はそう言った。  
 
――!!?  
 
「その…つけないでしたら……子供、できちゃうかもしれないし」  
「できちゃっても…まだ、育てられないから……ゴメン」  
 
 雨水君と一つになりたい、とだけ思っていたかりんは頭を殴られたような衝撃をうけた。  
 
――うすいくん?  
 
 健太の苦渋の表情は「したくてたまらないのに必死に我慢している」という顔だ。  
 
 
――あ、そうか…そういえば保健体育で習ったっけ…  
「男の子とするな、とは言わないけどするときはコンドームをつけなさい」  
 保健の先生の言葉が頭のなかに蘇ってきた。  
 
 
 
 
「男の子はしたくなっちゃったら止まらないもんよ」  
「そうそう。コンドームつけて、って言ってもカレってばケダモノになっちゃっててねえ」  
みたいな噂話を聞いていた部分的に耳年増なかりんは健太の優しさに感動していた。  
 
 びく、びく、と脈動している健太の男性を見たかりんは「健太もしたくてしかたがなかった」  
ということに気づいた。  
 そのことが判ったかりんは胸の中をさらに熱く焦がす。  
 
――う、雨水君、優しい。こんな優しいいい人が、あたしのことを好きだって…  
――すごい、幸せ……幸せすぎて死にそう…  
 
 かりんの胸の鼓動はどうしようもなく高まっている。  
 呼吸をするたびに腰の奥のほうがキュンキュンと熱を持って震えてしまう。  
 
――どうしよう。  
――好き。大好き。どうしようもないくらい、雨水君のことが好き!  
 
 胸に感じる健太の肉体の筋肉と骨の固さ。  
 健太の呼気に含まれる体臭。  
 肌越しに感じる体温。  
 全てが愛しい。  
 どうしようもないくらい、かりんは全身で健太のことを誰よりも大切に想いはじめていた。  
 
――どうすれば、雨水君に…あたしの気持ちをわかってもらえるんだろう?  
 
 かりんは呆けた頭で必死に考える。  
 
「う、雨水君…」  
 
 意を決したようにかりんは健太を見上げながら言った。  
 熱に浮かされたような顔で、それでもこぼれそうな想いをきっぱりと口にする。  
 
「あ、あたしが……お、お口で…してあげるってのはどうかな?」  
 
 
 
 
 
「……え?」  
 鳩が豆鉄砲な健太。  
「……」  
 もじもじと恥ずかしそうに目を伏せ、時折ちらりと健太の顔を見やる果林。  
 
「……そ、…そんなこと、するんだ」  
 男女の間の睦事にはまったく疎い健太は何気なく口にする。  
 
 
 どこかボケている果林は健太に「そういう経験」があると誤解された、と勘違いして  
必死に  
「ちちちちち、違うの!! ま、前に…麻希が貸してくれた本に載ってたの!」  
と、両手をブンブン振り回して必死に否定する。  
 
「だ、だって…あたし、あたしね、こんなに雨水君のことが好きで……好きで好きで  
どうしようもなくて、とにかく、なにかしてあげたいんだも」  
 目に涙を溜めながら健太を見上げ、懇願してくる果林。  
 
 そんなことしてもらう必要はない、と健太は言おうとした。  
 
 しかし、上気した頬と上目遣いの果林の瞳を見るとその声はたちまち凍り付いてしまう。  
 健太はたちのぼってくる果林の甘い体臭を感じる。  
 どことなく甘いような、柔らかい匂い。胸の奥がざわざわしてしまう匂い。  
 それを嗅いでいると、健太の中の男の血が騒ぎだしてしまう。  
 
 両足を投げ出したように腰を下ろす健太の両足の間に果林はちょこんと正座をしながら、  
健太の顔を見上げて尋ねた。  
 
「だ、だめ………かな?」  
 
 健太の瞳に写るのは薄桜色をした果林の唇。  
 健太はさっきまでしていたキスの感触を思い出した。  
 
 暖かくて、とっても柔らかい……  
 それで自分の猛りきった部分を舐められたら、どんな感触がするんだろう…  
 想像しただけで腰の裏辺りがざわざわしてくる。  
 
 おずおずと健太の猛りきった股間に震える手を伸ばしてくる果林の姿を見ると、  
健太の男性器はびくっ、とさらに固さを増してしまう。  
 
 ぴた、と果林の掌が触れた。  
 しっとりとしていて、小さくて、指の細い手。  
 健太は以前手をつないだときの柔らかさを思い出していた。  
 公園のベンチで初めて女の子の手を握った。  
 そのとき感じたのはしっとりとして柔らかい肌。  
 ちょっと力を込めたら折れてしまいそうな、そんな細い指。  
 
――あ、あの手が……同じ手が……俺の……アレ、握ってる…  
 その興奮が健太の体温をさらに上げていく。  
 
 
 かりんは驚いていた。  
――お、男の子の……コレって……熱いんだ…熱くて…すごい、固い…  
 掌に感じる健太の熱と、どことなく生臭い匂い。男の子の匂い。  
 
 それに顔をゆっくりと近づけていく。  
 近づくにつれて強くなる、健太の粘膜から発せられる匂いが果林の胸の中を熱く熱く焦がす。  
 
 果林はただ嬉しかった。  
 健太が自分のことを女の子だと感じてくれてるから、こうなっているんだと思えるから。  
 
 ずっと、一人ぼっちだと思っていた。  
 太陽の光の中で、一人っきり。  
 ヴァンパイアだけど、血を吸えない。血が増えてしまう。ヴァンパイアじゃない。  
 人間の中にいるけど、人間じゃない。  
 ずっとずっと、寂しかった。  
 
 その悲しみを、その辛さを、孤独を、癒してくれたのが雨水健太という少年だったから。  
 だから果林はその健太が自分を女の子として扱ってくれるのが何よりも嬉しい。  
 
――雨水君……あたしのこと……女の子だって……思ってくれてるんだ……  
 
 そう思うだけで果林は胸の中ががいっぱいになる。  
 呼吸が出来なくなるくらい、切なくて、苦しくて、泣きそうになってしまう。  
 
 果林は息を止めて、健太の男性器にそっと口づけた。  
 
 
 亀頭の先端に薄い桜色をしたつややかな唇が近づいてくる。  
 そっと、鈴口に触れるようなキス。  
 
――!!!!  
 かりんの唇が触れただけで、健太は腰の裏辺りにざわめきが暴れだすのを感じた。  
 
――や、柔らかい……  
 
 健太は生まれて初めて、自分の手以外のもので触れられる感触に驚き、腰が勝手に  
跳ねるのを感じる。  
 
 浅いキス。  
 啄ばむようになんどもキスをされる。  
 果林の唇の皮膚が健太の敏感な部分に触れ、刺激する。  
 
 浅い何度かのキスのあとには深く口付られる。  
 唇が亀頭の粘膜に被さり、健太は尻の中心から熱い塊がこみ上げてくる感覚に襲われる。  
 
 果林の小さな唇。  
 果林の柔らかな粘膜。  
 果林の唾液が健太の男根に垂れていく。  
 
 そしてしっとりとした舌がおずおずと伸ばされ、健太の亀頭の雁首にぬめるように  
張り付いた。  
 
――ま、真紅っ!!!  
 

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