「くぅっ……ぅ……」
少年は断続的に痙攣を繰り返し、時折り呻きを零す。
その同年代の平均より明らかに大きな体に、半ばしがみ付く様な形で
抱きつき、少女はその喉元へ自らの牙を深々と突き立ていた。
辺りに漂う微かな血のにおいが薄れ始めた頃、漸く少女は少年から体を離した。
「はぁ…はぁ、あ……ぁっ、ふぅ……」
恍惚とした表情で、熱い吐息と抑えきれない喘ぎを漏らしながらも、
全身を駆け巡る強烈な余韻を何とか抑え付ける。
そして未だに残る興奮と、今更ながらに感じる羞恥心とで、顔を真っ赤にしながら、
少女は、目の前の少年に声をかける。
「雨水君、だ、大丈夫?」
「………ぁぁ」
果林の言葉に、雨水は絞り出すようにそう答えた。
「そ、そう?でも雨水君、何だか苦しそうだよ?」
そう言いながら、果林は雨水に駆け寄る。
「ねぇ、本当にだいじょ『っ来るな!!』…えっ?」
心配して近づこうとする果林を雨水が制止する。
「どうしたの雨水君?それに来るなって…」
「お、俺の事はいいから…先に早くかえ……くっ!」
「う、雨水君っ!?」
喋っている途中、急に態勢を崩した雨水に、果林は思わず駆け寄った。
「大丈夫、雨水君!?どうしたんだろ、今まで私が噛んでこんな風になった人なんて
いなかったのに『…ごめんっ』え?何?……っきゃあああっ!!?」