『宮沢さんへ。放課後、体育館裏の用具室前で待ってます』
有馬と付き合い始めて、いわゆる『告白』とやらは、めっきりなくなっていた。
それほど私たちの仲は、学校中で公認となっていた。
それであって、久しぶりのこのような手紙に興味をそそられた。
で、放課後、こんな誰もいないところで待っている。
肝心の有馬は今、インターハイの強化練習で長野に行っている。だから、少しだけ開放的な気分になっていたのかもしれない。
ここへ来る途中、浅ピンこと、浅葉秀明に、一緒に帰ろうと呼び止められたが、笑顔一つで振り切ってきた。
「にしても、遅いなぁ・・・」
待つこと20分。差出人のない手紙をもう一度読み返してみる。
「場所はあってるし・・・」
いたずらかな・・・と、帰ろうとしたとき、目の前に影がさした。
『来た・・・』
顔を上げながら、寄りかかっていた用具室の扉から背を離した。
見たことのない男子生徒が起っていた。
「来てくれたんだ。嬉しいな。」
「手紙の人?」
「うん。俺・・・ずっと宮沢さんのこと好きだったんだ・・・」
「ありがとう・・・でも私・・・」
「ああ。分かってるよ。だから・・・」
「えっ?」
その男子はいきなり抱きついてきた。
交わそうとして、後ろにあるはずの扉に手をかけようとしたが、しまっていたはずの扉があいていて、それは叶わなかった。
そのまま用具室に倒れこむ。
「いっ・・・・たぁ・・・」
顔を上げると、扉が閉まろうとしていた。逆光でよく見えなかったがさっきの男子生徒のほかにもう1人男がいた。
扉を開けたのは、この男だろう。用具室の中にいて、タイミングよくあけたと考えられる。
「な・・・何するのよ!」
「有馬みたいに願いは叶わないから・・・だからこうして・・・」
といって、完全に扉を閉められた用具室の中で男がのしかかってきた。
もう一人の男が手を押さえてくる。
「いやっ・・・やめて!離して!」
宮沢の抵抗に、男は口の端を上げて笑みを作る。
「可愛いなぁ・・・近くで見るとますます・・・」
宮沢の背に悪寒が走った。おもいっきり身の危険を感じる。
「大きい声上げても、どうせ、テスト週間だし、誰も来ないよ。」
制服の裾から手を入れられ、胸をブラ越しにもまれる。
「やっ・・・やめ・・・っっつぅ・・・・」
状況は絶望的。うかつだった。開放的な気分になりすぎていた。
しかし、今更、悔やんでもしょうがない。
男の手が、いつのまにか太ももにかけられていた。そのまま付け根の方にあがってくる。
「ひっ・・・やめ・・・やめて・・・お願いだから・・・」
「くすっ・・・まだこんなこといってる。大丈夫だよ。痛くしないから。それに、いつも有馬にやられてるんだろ?」
「違う!!」
「まぁいいや。処女だったら尚更いいし。」
そういいながら下着越しに触ってくる。
「宮沢さん濡れてるよ。ここ。興奮してたんだね。」
「違う・・・」
「ふふっ・・・分かってるくせに。」
そういって下着に手を入れてきた。
「やめて!誰か助けて!!」
「おい!宮沢?大丈夫か?ここあけろ!!」
「あ・・・浅ピン?」
「どうしたんだよ?どうでもいいから空けろ!」
「ちっ・・・」
男子生徒たちは、私の口を押さえつけた。
「んっ・・・んん・・・!!!」
「おい?どうした?あけろ!!」
じれったくなったのか、扉に体当たりし始めた。
しばらくの後、元々立て付けの悪かった扉は外れて、中に光が差し込んできた。
「宮沢!!」
扉が外れた瞬間、体の上の男と手を押さえていた男は、浅ピンを押しのけ、逃げていった。
「大丈夫か?忘れ物とりに教室行ったら、窓からお前が見えたから・・・」
そういいながら私の側で膝をついた。
知らないうちに涙が出ていたようだ。
「怖かった・・・」
ひと言つぶやくと、浅ピンがそっと抱きしめてくれた。
「一緒に帰ろう・・・?」
「お邪魔しま〜す・・・」
一人暮らしの浅ピンの部屋は以外に綺麗だった。
ここに来るまで浅ピンはさっきあったことには触れず、
いつもどおり、馬鹿話で笑わしてくれた。
それでいて、私を癒してくれる雰囲気だった。
いつもの分かれ道で「寄ってく?」と、聞かれたのがきっかけで浅ピンのうちに転がり込んだ。
普段は有馬に悪いので断わるのだが、今日は、今の精神状態で家に帰る勇気がなかった。
「あ、座布団とかないから、ベッドに座ってて。」
浅ピンはカバンを放り投げて、キッチンへとむかった。
「えっと〜・・・宮沢〜?ココアでよかった?」
「あ・・・うん。ありがとう。」
温かそうな湯気を立てるココアを手渡され、冷えた心が温まった。
浅ピンは、自分用に牛乳を入れて私の隣に座った。
「でさ、少しは落ち着いた?」
「うん・・・」
浅ピンはぽりぽりとこめかみあたりを掻きながら、ぽんぽんと私の頭を叩いた。
「これから、誰か分からない奴の所に行く時は、有馬とか・・・いなかったら、俺とかにでも言っていけよ?」
「うん。浅ピン。・・・ありがとう」
そういうと、てれたように浅ピンは笑って私の頭をなでてくれた。
有馬がいないうちに、宮沢に何かあったら殺されかけないからな〜。」
「あはは☆でも浅ピン何も悪くないじゃん。」
「そうでなくても友達じゃん。宮沢に何かあると俺だって許せないよ。今日だって・・・すげー心配だった。」
「えっ?」
「だから、心配だったの。ドア開けるときさ、もう生きた心地しなかったんだぞ?
・・・怖かったよ。有馬関係ナシに、宮沢に何かあったらって考えただけで・・・。」
少し顔を赤らめて浅ピンは牛乳を飲み干した。
「俺だって・・・」
そこまで口にしてはっと我にかえったような顔をして、
「わりぃ・・・なんでもない。」
ととってつけたように言い、キッチンへ行った。
「今日、この後どうする?飯食ってく?どうせ、一人だし、2人分作るのも一緒だし。」
「えっ?浅ピンが作ってくれるの?何?凄い興味あるかも。」
「俺、意外と上手いよ?・・・あ〜宮沢疑ってるし。いいよ。作るから。後からビックリするなよ?有馬にだって誉められたんだから。ここでまってろ!」
ちょっと膨れた顔をして、キッチンへ行く浅ピンを私は笑いながら見送った。
(ここから浅ピンの視点です)
「宮ざー・・・・・・。って、寝てるし・・・。」
パスタのソースはミートソースでいいかを聞こうと思い振り向くとベッドで縮こまっている宮沢が見えた。
色々あったからなぁ・・・などと考えながら、そっと布団をかける。
『無防備すぎだよ・・・こんなに可愛く寝られちゃうと・・・』
苦笑しながらこめかみを掻く。早くも、一人で帰らせられなくて家に入れてしまったことを後悔する。
『俺だって・・・宮沢が有馬の彼女じゃなかったら、付き合いたかった・・・一緒にいるうちにますます惹かれるし・・・
よりによって有馬の彼女だからなぁ・・・』
暫く宮沢の寝顔を見ていたくて、ベッドのはしに腰掛ける。彼女の髪をそっとかきあげる。
小さな口が規則正しい寝息を刻んでいた。
『キス・・・して〜・・・しても・・・バレね〜よな・・・』
俺は有馬から信頼されてる。自分の欲求を果たしてしまうと、裏切ることになるのは分かってるし、有馬との友情を失いたくなかった。
分かっていても、自分の欲求をとめることは出来なかった。
「チュッ・・・」
その時、『んっ・・・』という声とともに閉じられていた目が開いた。
宮沢の目が俺と合う。状況の飲み込めないといった表情をし、次にキョトンとした顔になった。
慌てて唇を離す。
「や・・・やぁ〜おはよう☆お姫様☆よく眠れたかい?」
と、いつも見たく軽く交わそうと試みるも、失敗は目に見えていた。
「えっと〜・・・浅ピン・・・」
「・・・・・・ごめん・・・可愛かったからつい・・・」
もう言い逃れは出来なかった。
そう思った瞬間理性が飛んだ。
宮沢をベッドに押し付け、片手で宮沢の両手首を押さえ込み、空いた手で、制服を脱がしていく。
「浅ピン!?ちょっと!何?浅・・・」
騒ぎ始めた宮沢の口を再度キスで封じる。
「ん!!ん〜!!!!」
手を胸にあて、揉みながら唇も下へ這わせる。
「やっん・・・っうぅ・・・浅ピン!!浅ピン・・・」
悲しげな宮沢の声に我に返る。体の下には雨もあられもない格好の宮沢がいた。目には涙を浮かべていた。
「ご・・・ごめん・・・あんなことがあった後なのに・・・これじゃ・・・あいつらと一緒じゃねーか・・・
傷つけたくなかったのに・・・俺・・・どうかしてて・・・。」
じっと下から見つめる視線に耐え切れず、とうとう本音を言った。
「俺・・・宮沢のこと・・・好きだから・・・」
はっ、と彼女の目がみ開かれる。
「一緒にいるうちにだんだん惹かれていって・・・有馬が・・・いるって…分かってるのに・・・
どうしても押さえられなくて・・・」
いってるうちにだんだん赤くなってくる。身体を宮沢から離しながら自分の馬鹿さ加減にうんざりしてくる。
『なんて、告白してるんだ・・・嫌われるよなぁ・・・有馬の前にまず彼女に嫌われること考えていなかった・・・
俺宮沢のこと好きなのに・・・何かすげー恥ずかしい・・・』
頭を押さえていると宮沢が思わぬ行動をとってきた。ベルトを外し、ズボンのフォックを外し始める。
「み・宮沢!?」
「だって、浅ピンのここ、辛そうなんだもん。」
いいながら、宮沢は手を止めない。
「だ!だからって、こんなことしなくていいよ!」
「・・・浅ピンなら・・・いいよ。」
「えっ?」
「浅ピンならいいって。怖くない。告白・・・嬉しかったよ。」
今度は俺の方がパニックを起こす番だった。
「み・・・宮沢?えっと・・・俺・・・もう、自制きかないから・・・このままだと酷いことしちまうから・・・これ以上・・・」
「だから・・・あさぴんならいいっていってるでしょ・・・初めてなんだから・・・」
と、下を向きながらつぶやき、指先で俺の物を撫で上げた。
ただでさえ限界に近かった欲求が爆発した。
宮沢を押し倒すと、ブラのなかに手を入れ、胸をもみしだく。
「っぅぅ・・・あさぴん・・・ああっ!!」
宮沢が顔を赤らめ身をよじる様をみて、片手を下にはわし、パンツごしに撫でる。
「ひぅぅ・・・っ!」
パンツ越しから分かるくらい宮沢のそこは濡れていた。パンツを下ろし、指を出し入れする。
「あぅ・・・はぁぁ・・・あさぴん・・・気持ちいい・・・うぅぅ・・・」
「宮沢・・・俺のも・・・気持ちよくして・・・」
自分の物を出し宮沢の口元に持っていき、そのまま69の体位にする。
宮沢のクリを中心に舐めていく。最初、控えめに先のほうを舐めていた宮沢も、口に含み自分に与えられる刺激に反応しながら俺の物を締め付けていく。
「うぅ・・・ん・・・んんんん・・・はぅぅ・・・んん・・・っ。」
宮沢のそこも舐めるたびいっそう濡れていった。
「あさぴん・・・私・・・もう・・・ぅぅ・・・っ・・・駄目かも・・・」
「俺もだよ・・・そろそろ・・・いれるね・・・」
自分の物を宮沢の口からはなし、足を開かせ入り口にあてがい、一気にいれた。
「あぁぁ!!・・・くぅぅ・・・・っぅぅ・・・」
途中抵抗があったが突き入れた。たらだの下で、宮沢が苦しそうに耐えていた。
「宮沢・・・ごめん・・・でも・・・凄く・・・気持ちいい・・・」
処女特有の締め付けに、長くもちそうもなかった。
ゆっくり動き始める。
「んん・・・あさ・・・ぴん・・・はぅぅ・・っぅぅ・・・」
最初、かなり濡れていたお陰で、なれてきたようだ。赤い顔をしながら腰を動かし始めた。
「うぅぅ・・・宮沢・・・いいよ。凄く・・・いい・・・俺も・・・いきそう・・・」
限界を感じ俺は、宮沢の腰を持ち上げ、打ちつけ始めた。
「はぁはぁ・・・・あさぴん・・・いい・・・いく・・・いっちゃう・・・はぅぅ・・・んん・・・あぁぁ・・・あぁぁ!!!」
今までの一番の締め付けに耐えられなくなり、とうとう宮沢の中に精液を出し尽くした。
「宮沢・・・ごめんな・・・。なんていっていいか・・・」
隣でぐったりする宮沢に声を下げた。
「私がさそったようなものだし・・・それに、あさぴんならよかった・・・でも・・・今日だけね・・・私には有馬がいる・・・」
「じゃ・・・なんで・・・?」
『俺となんか寝たんだ?』という言葉を押し込んだ。
「あさぴんのこと好きだからよ。」
と、綺麗な笑顔を向けてくれた。
「でも、有馬にはまだ負けてるけどね。それでも、あさぴんになら・・・って気があって・・・」
ゆっくり立ち上がると、着替えをはじめた。
「おかしいよね・・・有馬も好きなのに、あさぴんも好きって・・・好きだから抱かれるたいのは普通だけど・・・でも・・・」
着替えを終えた宮沢は振り返って苦笑いすると、
「ごめん。良く分からないや。今日は帰るね。色々ありがとう。後悔しないであさぴんは何も悪くないから。じゃっ!」
スカートを翻し扉からでて行く宮沢をボーっと見送った。
好きな人を抱けた興奮があるが、同時に何かを失った感覚にとらわれる。
後悔はないが、ただ寂しかった。
これから学校で宮沢や有馬と普段どおり接せられるか不安だったが、ふっとため息をつきながら着替えをはじめた。
(とりあえず完)