彼氏彼女の事情  
 

目を閉じて、何を祈るのか。  

端正な横顔。  
しかしその実、何も考えていないに違いないだろうが。  
少し前には、彼女を自分のものにしたかったことがあるのが、まるで嘘のようだった。  
十波健史は息を一つつくと、彼女――佐倉椿にもたれかかった。  
無言で健史を見つめ、椿は目をとじた。  
二人は暫くまどろんだ。  

―――と、唇に熱を感じて、椿は目を開けた。目の前に健史の顔がある。  
椿はすぐに目を閉じた。  
くちゅ、くちゅ…と音がして、ベッドが軋んだ。  
「っふ…ぁ」  
どちらのものともつかない声が漏れる。  
健史は唇を離し、耳に息をはきかけた。  
一番感じる部位だ。  
「ひぁっ…」  
案の定、椿は身震いをした。  
健史は構わず、刺激を与え続ける。  
普段は男っぽくても、こういう時には彼女は女だった。  
ボタンを丁寧にはずし、水色のブラジャーの下から手をいれた。  
先端は既に固くなっており、健史は満足を覚えた。  

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