「責任をとってください」
マキトは正直困っていた。
自分は、たまたま「お尻をみて」「責任を取れ」といわれて、
困ったから「メイド服を着せたり」「ちょっといぢわる」をしたあげく、
「また、お尻(だけじゃないけど)を見た」わけである。
「せやかて…俺だってわざとじゃ…。」マキトは必死に言い訳するも、
「わざとじゃないじゃないですっ!」と碧琉はひかなかった。
いままで大切にして、誰にも見せなかったもの。
本当に大切にしていたもの。
それを見られて、「はい、そうですか」といえるほど単純な話でもなかった。
しかもちょっとかっこよくて、料理がものすごく上手な人だから、
碧琉は正直、生まれて初めて一目ぼれしてしまったのだった。
料理ばかりの毎日を送っていた、碧琉にとって…。初めての恋でもあったのだ。
そして彼女は…一途…というか、見た目の性格と違い、思い込んだらひたすら突っ走る暴走娘であることを、自覚するのは先のことになるのだが。
(せめて、け…結婚…わ、は、はずかしいから…ゼッタイ彼氏になってもらわなきゃ!)
彼女の後ろからは、なにか途方もないオーラが出始めている...。
「わ、わかったからな…、ちょっとオチツコカ…。」とオーラを感じ、身の危険すら覚えたマキトは碧琉をなだめるのだった。
しかし、彼女の暴走…いや妄想はとまらない。
(でも、この人好きなヒトとか言いかけてたなぁ…そしたら…)
「わかりました」と碧琉は言った。
「それならば、今日のところはこれで終わりにして、明日また来て下さい。ここに。」
…。
「え?俺、明日エディブルファイトの準備が…」とマキトがいいかけると…。
「ぜったい来てくださいね?じゃないと…」マキトがおそるおそる顔を上げると、
そこには笑いながら、絶対零度のまなざしがあったのだった。