「それじゃあ、僕行くよ。鳴海兄ちゃん、しろがね、元気でね」  
「ああ、お前も頑張れよ、勝」  
「お坊ちゃま、お体に気をつけて。これからしろがねはお坊ちゃまのお世話をする事が  
出来なくなるんですから・・・」  
「大丈夫だってば、しろがね。僕だっていつまでも子供じゃないんだからさあ。  
今年から中学生になるんだから。だから心配しないで」  
勝は鳴海とエレオノールに満面の笑顔を作って見せてから、別れの辛さを振り払おうとするかのように、  
くるりと踵をかえした。  
そして後はもう振り返ることもなく、フウ・インダストリー所有の自家用ジェット機のタラップを駆け上がって行った。  
力強い足取りに頼もしさと寂しさを感じつつ、2人はその姿を見送った。  
 
その1週間前。  
世界を襲った災厄から約半年、フウ・インダストリーを先頭とした復興作業は着々と進められ、  
自動人形達の暴挙が人々に残した傷も、時間と共に少しずつ薄らいで、社会は元の秩序を取り戻しつつあった。  
その間、仲町サーカス一行はイギリスのフウの屋敷に滞在していた。  
その理由のひとつは鳴海の左手の手術をする為、もうひとつはゾナハ病患者だった子供達の面倒を見る為だった。  
子供達は引き取り先が決まるまでの間、フウが所有する施設に預けられていた。  
身内のいる子供達はそれぞれの家庭に戻って行ったが、身寄りを失った子供達は里親を見つけるか、  
養護施設に入るしかない。  
そんな子供達全員の行く先が決まるまで、彼らはずっと側に付いててやり、最後のひとりが去った後、  
ようやく日本に帰る事にしたのだった。  
 
 
「やっと日本に帰れるんだなぁ」  
仲町サーカスの一行は、慌しく帰国準備を進める。  
彼らには今回の件の労いとして、フウからトラックやテントなどサーカス道具一式が  
贈られる事になっていた。  
「また無事にサーカスがやれるようになるとはなぁ。これでヴィルマもいりゃあよ・・・」  
「仲町よ、そいつは言わねぇでくれよ」  
大人達は浮かれながらも、どこかしんみりした様子だが、子供達は元気そのものだ。  
「俺は日本に帰ったら、親父に頼んで仲町サーカスに入らせてもらうんだからな」  
「これで春になったら、みんな同じ中学校に行けるねー」  
「・・・私はひとりだけで高校でス。つまらないでス」  
「あ、あのさ、リーゼさん。日本に帰ったら真っ先に動物園行こ、動物園。ねっ」  
エレオノールはその様子を微笑ましく見守っていたが、自分も荷物を整理する為に  
割り当てられている部屋に戻った。  
「ナルミ、何かお手伝いする事はない?」  
エレオノールと鳴海には、一緒の部屋が与えられている。  
半年のうちに2人は皆の祝福を受けて、ささやかながらも式を挙げ、夫婦としての生活を始めていたのだった。  
鳴海はソファに座って、今日届いたばかりの手紙を読んでいた。  
「それは確か、アメリカのゾナハ病施設であなたと仲良しだった、ベスという女の子からのものね」  
「ああ、退院して今は元気でやってるらしい。お前も読むか?」  
以前と違い、鳴海は快くエレオノールに手紙を見せた。  
エレオノールは鳴海の隣に腰掛けて、手紙に目を通す。  
その中身は新しく始まった生活への期待と、鳴海に会いたいという望みが綴られていた。  
 
「とても幸せそう。いつか会いに行けるといいわね」  
「うん。そうだな・・・」  
鳴海は安堵したような表情を作ってはいるが、それが不自然なものである事に  
エレオノールは気付いた。  
「どうしたの? 様子がおかしいわ、ナルミ」  
「い、いや、別に。な、何でもないぜ」  
鳴海は慌てて取り繕おうとする。  
「嘘。何か悩んでるみたい。私達、隠し事はしないって約束したでしょう。  
これからはどんな時でも話し合おうって」  
それは2人で決めたルールだった。  
相手に良かれと思って作った秘密が逆に相手を傷つけ、不幸な事態を招いてしまう事がある。  
そうした周囲の人間達の独り善がりな思惑に翻弄され、彼らは運命を狂わされてきた。  
せめて自分達は同じ過ちを犯さないよう、何かあっても隠さず話し合おう、  
秘密を持たないようにしようと決めたのだった。  
「私に話して楽になる事なら、何でも話して」  
「そうだったな・・・。わりぃ。ひとりでつい、色々考え込んじまってよ」  
観念したように鳴海は口を開いた。  
「お前の事を考えると言えなかった。・・・俺は仲町サーカスを出て、旅に出たいって事を」  
流石に予想もしなかった答えに、エレオノールは思わず息を詰めた。  
「出て行く? どうして・・・。皆といるのが嫌なの?」  
「違う。そんなんじゃないんだ」  
慎重に言葉を選びながら、鳴海はぽつりぽつりと話し始めた・  
 
「俺は前から・・・、お前や勝と出会うよりも前、青臭いガキの頃からずっと、  
自分に問い掛けてきた。俺に一体、何が出来るのか。俺は何がしたいのか」  
生きる目的が見つからず、自分という人間に価値を見出せず、荒れていた15、6の頃。  
「人形破壊者」となり、ルシールやギイと旅をした日々。  
使命という言葉で己をがんじがらめにしていた時期。  
そうした時間の中で、何を思い何を得たのかを鳴海はエレオノールに語った。  
「色んな事を見てきて、多くの人と出会って・・・、そうしてやっと、やりたい事が見つかった。  
俺は世界中を回って、ひとりでも多くの子供達を笑わせてやりたいんだって」  
「・・・でも、それは仲町サーカスにいたって出来る事だわ」  
「ああ、そうかもしれねぇ。サーカスを見に来てくれる、客席一杯のお客さんを楽しませるのも、  
確かにやり甲斐のある仕事だと思うさ。  
けどなぁ、俺はそれよりも病気で外に出られない子供達、貧しくてサーカスなんか見に来る事の出来ない人達、  
そんな人達の所に俺の方から行ってやりたいんだ」  
エレオノールはローエンシュタイン公国で、ゾナハ病の子供達と過ごした一時期の事を思い浮かべた。  
自分の歌に喜んで耳を傾けていた子供達の笑顔。  
辛い日々を送る子供達にとってほんのひと時の慰めでも、どれほど希望を与えられるものなのか。  
それを思えば、今の生活を捨てても旅に出たいという、鳴海の気持ちが痛いほど理解出来た。  
そして自分の心の赴くままに生きてきた男が、愛する女を守るというその重みで自分を抑えている事にも、  
改めて気付かされた。  
 
「まあでも、やっぱ無理だよなぁ。もう俺はひとりじゃない。いつまでも自分の好き勝手な事してるわけにはいかねえもんな。  
しろがね、心配すんな。もう出て行くなんて言わねえからよ」  
「いいえ、行きましょう、ナルミ。2人で一緒に、あなたの望むところへ」  
今は血の通った鳴海の左の手に、エレオノールは自分の手を重ねた。  
「2人で世界中を回りましょう。病気の子や親のいない子。皆にサーカスを見せてあげるの。  
私達ならどんな遠い所にも行く事ができるわ。」  
「お、おい、しろがね・・・」  
「私達でほんの一時でも辛い事を忘れさせてあげる事が出来たら、笑わせてあげる事が出来たなら、なんて素敵なのかしら」  
「お前はいいのか? 勝や皆と別れて昔みたいにまた、行く当ても無い流れ暮らしになるんだぞ」  
「昔とは違うわ。これからはひとりじゃない。ずっとあなたと一緒だもの」  
そう言う彼女の瞳には、一点の迷いも無い。  
「それに分かっていた事なの。仲町サーカスの人達が私達を家族のように思ってくれていても、  
いずれは別れなければならないって。  
不死人の私達の存在は、いつか皆の負担になるわ」  
今後、仲町サーカスの運営が軌道に乗れば、徐々に団員も増えていくだろう。  
元からいる者達と違い、新しく入ってくる人間が、彼らを受け入れてくれるとは限らない。  
いつまでも年を取らない2人に不審を感じ、恐れの目を向けるかもしれない。  
今の仲間達は庇ってくれるだろうが、それがサーカス内での人間関係をこじれさせる事に  
なるかもしれないのだ。  
「そこまでは俺も考えてなかった。『しろがね』になって日の浅い俺はまだ経験はしてないが、お前は・・・  
しろがねの皆はそうやってずっと人目を避けて生きてきたんだよな」  
 
「それにお坊ちゃまの事なら大丈夫。私なんかもう必要ないほど逞しくなられたわ。  
少し寂しいけれど、私の役目はもう終わり」  
「そうだなぁ・・・。泣き虫だったあいつが、今じゃ俺よりよっぽどしっかり者だぜ」  
「ええそう、あなたの方がずっと手が掛かるもの。私が付いててあげなければ心配だわ」  
「お、お前なぁ・・・。随分と言うようになったじゃねーか」  
鳴海は不貞腐れるが、すぐに相好を崩し、エレオノールもくすくすと声を上げて笑った。  
 
仲町サーカス一行を乗せたジェット機は日本を目指して飛び立ち、空の彼方に消えていった。  
それを見送った2人は、足元に置かれたそれぞれの荷物を手に取った。  
わずかな日用品だけを詰め込んだ鞄と、マリオネットの入ったトランクを。  
「さあて、俺達も出発するか」  
「ナルミ、これから何処へ行くの?」  
「そうだな、一番初めはアメリカへ。ベスに会いに行ってやろう。そしてそれから先は・・・  
行ってから決めるさ。慌てなくったって俺達には時間はたっぷりあるんだからな」  
「そうね。先は長いんだもの。何処にだって行く事が出来るわ」  
2人は互いの顔を見交わし、微笑み合った。  
鳴海は左手を差し出し、その手をエレオノールはしっかりと握り締める。  
かつて彼女の母親は、孤独な放浪の末に愛する男性と巡り会った。  
そして今、娘のエレオノールも同じように、運命を共有するたったひとりの男性と巡り会い、  
共に旅を始めようとしている。  
永劫に続く2人だけの時間。  
彼らはその第一歩を踏み出した。  
 
 
 
コーヒーの入った紙コップを両手に持ちながら、俺は深くため息をついた。  
(やれやれ、また釣れてやがる・・・)  
俺の視線の先、広場の噴水の縁に腰掛けているのは、大道芸用のちょっと色っぽい衣装の上にカーディガンを羽織った、俺の女房のエレオノール。  
その横では若い2人の男がまとわり付いて、何やら熱心に話しかけている。  
まったく、ちょっと目を離すとこれだ。  
男達は俺の女房の困り切った様子にもお構い無しに、しつこく食い下がっている。  
どうせ歯の浮くような、気障な台詞を並べてやがるんだろう。  
ラテン男の手の早さときたら、まったくもって油断がならねえ。  
俺の姿に気付いたエレオノールは、ほっとした表情で男達に言った。  
「ああ、ほら、連れが戻って来ましたから・・・」  
男達は挑戦的な目をこちらを向けたが、2メートル近い俺のガタイに顔を引きつらせた。  
「俺の女に何か用か?」  
「い、いや、あの・・・、セニョリータ、それじゃ俺達はこれで・・・」  
すっかりびびった男達は、すごすごと退散して行った。  
ふん、生憎だが、こいつはセニョーラ(既婚女性)なんだよ。  
「もう、断わっても聞いてくれないんだもの。しつこくって困ったわ」  
「ほら、コーヒー」「ありがとう、ナルミ」  
俺の差し出した紙コップを、エレオノールはにっこり笑って受け取った。  
 
4月の終わり頃、スペインはアンダルシア地方の都市、セビージャ。  
俺、加藤鳴海とエレオノールが、この時期ここを訪れたのは、有名な春祭り(フェリア)が開催されるからだ。  
国内はもとより、海外からも大勢の観光客が詰めかけ、町中に人が溢れかえっている。  
芸人にとって、こうした祭りは稼ぎ時だ。  
俺達は世界中の施設を回り、恵まれない子供達に芸を見せているが、それは基本的に無償のボランティアだった。  
その為、旅の路銀は、一般人相手の大道芸で稼いでいる。  
しろがねの活動資金用の口座は、そのままだから好きなように使えと、フウに言われている。  
だが俺としては、出来るだけ借りは作りたくないし、自分達の食い扶持くらい、自分で稼ぐのが筋だと思っている。  
それに2人分の生活費ぐらい、大道芸で十分賄うことが出来た。  
 
俺はコーヒーを啜りながら、エレオノールの横顔を眺めた。  
自分で自分の女房を褒めるのも何だが、つくづく綺麗な女だと思う。  
こいつと旅を始めてから3年になるが、さっきみたいな一幕は日常茶飯事だった。  
俺と出会った時は愛想の欠片も無い女だったが、あれこれ色々あって、今では泣いたり笑ったり、色んな表情を見せてくる。  
そんなくるくる変わる自分の表情に、どれほどの魅力があるのかなんて、困った事に当の本人には  
まるっきり自覚がないんだ。  
とろける様な笑顔を、老若男女分け隔てなく、大盤振る舞い大サービスするもんだから  
勘違いした野郎どもが、鼻の下のばして近寄って来やがる。  
こいつが無防備に笑顔を振りまく度に、俺はハラハラし通しだった。  
そんな可愛い顔、俺以外の奴に見せるんじゃねえと、ついつい怒鳴りそうになっちまう。  
「どうかして? 私の顔に何か付いてる?」  
あれこれ考えてたところに突然、くるっとした愛らしい大きな瞳で、じっと見つめられたもんだから、  
俺の心臓はどきんと跳ね上がった。  
「え? あ? ・・・な、な、何でもねえよ」  
バクつく胸を押さえながら、俺は慌てて視線を逸らした。  
正直に言っちまうと、自分でもどうにもならねえぐらい、俺はこいつに惚れている。  
倦怠期が訪れるどころか、長い時間一緒にいればいるほど、気持ちはどんどん強くなる一方だ。  
もちろん、そんな照れ臭い事、死んだって口には出来ねえけどな。  
あ〜あ、こいつが笑えるようにしてやりたいと、思ったのは確かに俺自身だが、今となちゃ後悔しそうだ。  
 
休憩の後、もう一仕事したが、昼飯の時間になって人通りが少なくなったんで、俺達も引き上げる事にした。  
いつもより早仕舞いだが、祭り初日の今日はどうせ、人は会場に流れて行っちまうだろうし  
せっかく来たんだから祭り見物もしたい。  
広場から宿に向かう通りにある、こじんまりした食堂に入ると、店の主人のアントニオさんと奥さんが  
人懐っこい笑顔で迎えてくれた。  
「おお、ナルミ、エレオノール、いらっしゃい。今日の稼ぎはどうだったね?」  
「まあまあってところだよ」  
この町に来て以来、仕事の後はここで飯を食っていくんで、この夫婦とはもうすっかり顔馴染みだ。  
いつもと違い、今日は店の奥の方で、慌しく動き回ってる人の気配がしていた。  
この家の子供や孫が、祭りに出掛ける仕度でバタバタしてるらしい。  
「お前さん達、今日はこれからどうするんだい?」  
食べ終わった皿を下げに来たアントニオさんが、俺達に訊いた。  
「えーと、祭りの会場に行って一回りしてこようと思ってるんだけど」  
「他に約束がないんだったら、うちの家族と一緒に行かないかね? わしらも今日は店を閉めて出掛けるんだ。  
わしの友達の借りているカセタに連れて行ってやろう」  
「えっ、いいんっすか?」  
カセタというのは会場の一画に並べられた、大小様々なテントの仮設小屋で、祭りの期間中  
その中で地元の人達は飲んで食べて、歌って踊って楽しむんだそうだ。  
それぞれ個人や会社が借りてるもので、入場券をもらってる関係者以外、立ち入り禁止。  
観光ツアーのオプションとかで事前に話が通ってなけりゃ、俺達みたいなフラッとやって来た余所者は  
まず入れてはもらえない。  
 
「さあさあ、そうと決まったら、あなたもおめかししなくっちゃね」  
そう言って、奥さんがエレオノールの手を引いた。  
「いえ、私はこのままでかまいませんけど・・・」  
「だめだめ。お祭りの日にはね、若い娘はうんとお洒落をしなくっちゃ。マリア、マリーア!」  
既に身支度を整えた娘さんが、奥の部屋からひょいと顔を出した。  
「なぁに、マードレ?」  
「この娘にドレスを貸しておやり。アクセサリーと靴もね。ほら、いらっしゃい」  
奥の部屋へ強引に押し込まれてから30分後、エレオノールはラフなTシャツ姿から一転、大変身して出て来た。  
地元の女の子達が着てるのと同じ、スカートには何層ものヒラヒラ、肩にもたっぷりとフリルが付いた明るい黄色のドレスを着て  
頭には花の形をした髪飾り、耳には大きなイヤリングがぶら下がっている。  
あんまり可愛いんで、絵本の挿絵から抜け出てきたお姫様みたいだ。  
綺麗に化粧した顔で、はにかみながら見上げる仕草が何とも愛らしく、つい見蕩れてしまった俺の代わりに  
アントニオさんやここんちの息子が、大げさな身振り素振りで口々に褒めそやした。  
「おお、本当になんて美しいんだ、エレオノール。まるで千の花が咲いたようだよ」  
「君の前では月も星も霞んでしまうよ。もし僕が独身だったら、絶対にほってはおかないね」  
まったくもう、この国の男ときたらどうしてこう臆面も無く、その手の台詞がスラスラ出てくるんだろう。  
俺はといえば間抜けにもぽかんと口を開けて、馬鹿みたいに突っ立ってる事しか出来ないのに。  
もしギイの奴がいたら、「ああ、何たる無粋! 恋人に気の利いた言葉ひとつかけられぬとは。唐変木のイノシシマンめ」  
とでもぬかすだろう。  
日本男児が人前で女房の自慢なんてできるか。ほっといてくれ。  
 
会場へは、屋根も幌も無い馬車に乗って出掛けた。  
これもフェリアの名物のひとつで、華やかに装った女達を乗せた馬車に、観光客の視線が集まる。  
見知らぬ人にも気さくに挨拶する子供や女達に倣って、エレオノールも軽く手を振った。  
「まるでサーカスのパレードみたいね」  
会場の入り口の門をくぐると、大きな広場の中は大勢の人で賑わっていた。  
所狭しと露店が立ち並び、あっちこっちでセビジャーナスという、この地発祥のダンスを踊っている。  
場内には臨時の遊園地が作られていて、大観覧車やメリーゴーランド、バイキングなど、様々な乗り物があって  
更に向こうの方には、サーカスのでかいテントも張ってあった。  
子供にとっては夢の国に来たようなもので、孫達は早く遊びたがってうずうずしていたが、  
一家が真っ先に向かったのはカセタ地区だった。  
そこにはなんと大小1000件以上ものカセタが並んでいて、下手すると迷子になりそうだ。  
連れられて入った中は、真ん中が場所を広く開けてあって、その両側にはテーブルが並べられ、奥の方がステージみたいになっていた。  
けっこう大きな農場の経営者だそうな、ここの借り主のロシオという爺さんは、飛び入りの俺達を喜んで歓迎してくれた。  
「ようこそ、ナルミ、エレオノール。こんな素敵なお客様なら大歓迎さ」  
そう言って俺とは握手、エレオノールにはちゃっかりハグをした。  
おいおい、じーさん!  
すでに一杯やっていた先客達も、こちらには興味心身で、すぐに打ち解けて俺達にも酒を勧めてきた。  
そして俺達の事を色々聴きたがって、質問の雨を浴びせてくる。  
それにしてもスペイン人ってのは、本当にお喋り好きなんだ。  
俺達はすっかり閉口して、おチビさん達が遊園地で遊びたいとせがむのを幸い、付き添いを口実に逃げ出した。  
皆気さくで良い人ばかりなんだが、俺にはやっぱり酒の席より子供の相手の方が性に合っている。  
 
 
すっかり仲良しになったアントニオさんの2人の孫、ラウラとアンヘルの幼い姉弟を連れて、  
俺達は会場中を飛び回った。  
遊園地の乗り物に乗り、サーカスを見物し、ツバのある黒い帽子を被った伊達男が乗る馬に触らせてもらったり  
気が付いたら、いつの間にか陽が西に傾きかけていた。  
祭りはまだこれからが本番らしく、灯りがぽつぽつ点り始めた祭り会場は、昼間よりも更に賑わい盛り上がっている。  
「さぁて、そろそろ戻るとするか。みんな腹へったろ?」  
「ねえねえナルミ、御飯食べたら、あたしと一緒に踊ってね」  
子供なりに精一杯しなを作って、ラウラが俺の腕に絡みついた。  
「え〜? 踊るって、セビジャーナスをか? 無理無理。俺は踊れねえぞ」  
これに限らずダンス一般、俺は苦手なんだ。  
「平気よぉ。あたしが教えてあげるから」。  
「僕も教えてあげるー。ねーねー、ナルミ、エレオノール、踊ろうよー」  
ちっこいアンヘルも、一緒になってわーわー騒ぐ。  
「まいったなぁ・・・」  
弱って頭をかいてると、エレオノールが苦笑しながら肩をすくめた。  
「ふふ、仕方ないわね、ナルミ。こうなったら観念して踊りましょう?」  
「おいおい、勘弁してくれよぉ〜」  
「エリ様とはワルツ踊ったくせに、私と踊るのは嫌だって言うの?」  
うっ、いつの間にその話を? まったく女ってのは油断出来ねえ。  
「わ、分かったよ。やりゃあいいんだろ? やればよ」  
3人がかりで引きずられ、俺は強引に踊りの輪の中に入らされてしまった。  
「ほらほら、せっかくのお祭りなんだから、楽しまなくっちゃ」  
それにしても今日のこいつは、やたらとテンションが高い。  
一体、どうしたってんだ?  
 
セビジャーナスってのは、多少フラメンコのテイストはあるが、フォークダンスのようなものだ。  
2人で組むんだが、ペアになるのは男女に限らず、手を握ったり抱き合ったりとかもしない。  
向かい合ってステップを踏み、ターンしながら位置を入れ替わったりする。  
振りは1番から4番まであるんだが、これが思った以上に難しい。  
「よく見ててね。こうやって、はい、ウーノ、ドース、トレース・・・」  
「こ、こうか? えーっと、あれ?」  
子供達は一生懸命教えてくれるが、どうしても手足がチグハグに動いてしまって、これじゃまるで盆踊りだ。  
「いいぞ兄ちゃん、頑張れよ」  
小さな子供に指図されて、大の男があたふたしてるのが面白いのか、見物人が笑いながら声を掛けてくる。  
対してエレオノールはというと、流石に器用なもんで、見よう見まねですぐに振りを覚えてしまい  
しなやかな腕の動きもスカートのすそを払う足捌きも、十分様になっていた。  
ドレスを翻して優美に舞うエレオノールは、この場にいる他の誰よりも綺麗だ。  
それが俺の贔屓目なんかじゃないのは、いつの間にか俺達の周りに出来た人だかりが証明していた。  
「オーレェ!」「グワピッシマ!(美人の最上級の意)」  
男達は口々に、エレオノールに称賛を送る。  
1曲終わるとエレオノールは観客に向かってにっこり笑い、ドレスのすそを摘んで優雅にレヴェランス(お辞儀)をした。  
歓声につい応えてしまうのは、芸人の性というものだが、これはやり過ぎだ。  
案の定、男達は舞い上がってしまい、是非、次のお相手を・・・と、何人かが名乗りを上げてきた。  
俺はちょっと、いやかなり腹が立ってきた。  
まったくもう、こいつときたら、どうしてこんなに無防備なんだ。  
「もう行くぞ。子供達を連れて帰らないと、親が心配する」  
俺は子供達の手を引いて、スタスタと歩き出した。  
 
「ねえ、何を怒ってるの?」  
唐突に態度を変えた俺に、訳が分からないという顔で、エレオノールが問い掛けてきた。  
「別にー? 怒ってなんかねぇよ」  
「嘘ばっかり。そんな不貞腐れた顔してるくせに」  
「俺は元からこういう顔なんだよ」  
「もう!」  
人目もはばからず、喧々とやり合う俺達を見ていたラウラが、突然クスクスと笑い出した。  
「あのねぇ、ナルミったらね、ヤキモチ焼いてるんだよー」  
「なっ・・・」  
いきなり図星を指されて、俺は思わず声を詰まらせた。  
「エレオノールが男の人と仲良くしてたから怒っちゃったの。あたしのパパもね、ママが他の男の人とお話してると・・・」  
「わー! こらこらこらー!」  
慌てて、そのこまっしゃくれた口を塞いだが、もう遅かった。  
「ヤキモチ?」  
エレオノールは、きょとんとした顔で俺を見た。  
どんぐりの様に丸い、キラキラした目で見詰められて、俺は焦った。  
「な、何だよ。だ、大体なー、お前があんな連中に言い寄られて、まんざらでもねえ顔してるから悪いんだろ?  
いくらお祭りだからって、はしゃぎ過ぎだってぇの。寄って来る奴、誰にでもいい顔しやがってよ。  
どうせなあ、俺はセンスなんて無いし、気の利いた台詞のひとつも言ってやんねえよ。  
だからって、あんな気障ったらしい奴らの口説き文句なんかで、浮かれてるんじゃねえ」  
自分でも馬鹿な事を言ってると、十分に分かっちゃいるが止まらない。  
言ってて、自分がどんどん情け無くなってきた。  
ああ、俺って奴は、こんなに器の小さい奴だったのか。  
つまらない嫉妬した上、逆切れして女に八つ当たりなんて最低だ。  
こいつもきっと呆れてるに違いない。  
 
だがエレオノールは、俺のくだらない嫉妬に怒るどころか、逆に笑い出した。  
「もう、あなたったら誤解してるわ。私が今日ずっと機嫌が良かったのは、あなたの所為なのに」  
「へっ?」  
「ドレスを着た時にね、あなたったら真っ赤になってしまって、じっと私を見詰めるんだもの。  
お陰で心臓が止まりそうなぐらい、ドキドキしたわ」  
その時の事を思い出したのか、エレオノールの頬が薔薇色に染まる。  
「うんうん、ナルミったらもう、ボーっとなっちゃってたもんねー」  
「なってた、なってた」  
子供達が囃し立てる。  
うっ・・・、俺ってそんな、見ただけでわかるぐらい、ボケっとしてたのか?  
「あなたって何でも顔に出るんだもの。何考えてるかぐらい、すぐ分かるの。  
そのお陰で今日は一日中、幸せな気分だったから、誰と顔を合わせてもにやけてしまって困ったわ。  
だから男の人に話しかけられてても、全然耳に入ってないの」  
エレオノールは悪戯っぽく、ペロッと舌を出した。  
くそぉ、その顔は反則だ。  
可愛すぎて、思わず抱きしめたくなっちまうじゃねーか。  
「それにね、どんな美辞麗句よりも、あなたの飾り気の無い表情の方が、ずっと私の心を動かすの。  
だからずっと、私を見ててちょうだい」  
そう言って、エレオノールは俺の腕に両手を絡ませ、ギュッと体を押し付けてきた。  
俺は顔がカーッと赤くなるのを感じながら、さぞかし今、しまりの無いツラしてるんだろうなと思った。  
まったくもう、こいつの前ではどうしてこう、だらしなくなっちまうんだろう。  
何時までたっても、こいつには敵わねえ。  
「ねー、お腹すいたよぉー。早く帰ろうよー」  
子供達が急かさなけりゃ、この場でほんとに抱き締めてちまったかもしれない。  
 
 
夜が更けて、これからが祭りの本番だ。  
どのカセタも人でごった返し、音楽が溢れ、熱狂的な雰囲気に包まれていた。  
俺達も、覚えたばかりのセビジャーナスを披露させられ、食い切れないほどの料理や酒を勧められた。  
深夜になっても宴会は終わりそうにもなく、流石に参った俺達は、日付が変わる前に退散する事にした。  
宿へと向かう道すがら、俺は人目もはばからず、歩きながらエレオノールの肩を抱き寄せ、そっと口づけた。  
後になって思い返すと顔から火が出そうだったが、全ては祭りの熱気と、どこまでも開放的なアンダルシアの空気の所為って事にしておこう。  
それに見られたところで、誰も眉をひそめたりなんかしない。  
恋と情熱のこの国では、街角で熱い抱擁を交わす恋人達の姿なんて、珍しくもなんともないんだから。  
 
部屋に入ると、俺はすぐさまエレオノールを抱きしめて、熱く唇を重ね合わせた。  
俺は飲まなかったが、こいつは何杯かシェリー酒を飲んでたんで、口の中に甘い香りが広がる。  
服を脱ぐのももどかしく、俺はそのままベッドに倒れ込もうとしたが、押し止められた。  
「待って、ドレスがしわになってしまうわ。明日の朝、返しに行かなくちゃいけないのに」  
「ちぇっ」  
エレオノールは俺を押し退けると、備え付けのドレッサーの前に立って、髪飾りやイヤリングを外し始める。  
その様子を見ている内に、ふっと悪戯心が湧いてきた。  
足音を忍ばせて、背後にそーっと歩み寄り、背中のファスナーに手を掛ける。  
それを一気に引き下ろすと、滑らかな白い肌が剥き出しになった。  
「あんっ!」  
更にドレスの肩の部分をつかんで、ウエストの辺りまでずり下ろしてやる。  
「もう、駄目だって言ってるでしょう。服を脱ぐまで待ってったら」  
「だから脱ぐの手伝ってやってるんだろ?」  
そう言って俺は、ブラジャーを上にずらし、はちきれそうな乳房を両手で鷲づかみにした。  
 
俺の手にも余るほどのそれは、手のひらにずっしりとした重みを伝えてくる。  
しっかりと張り詰めてるのに、握った感じはすごく柔らかくて、まるでつき立ての餅みたいだ。  
「ナルミったら、もう。止めないと怒るわよ」  
そう言ってエレオノールは、後ろから覆い被さってる俺の体を払い除けようとした。  
もちろん本気で嫌がってなんかないってのは、重々承知だ。  
ブラジャーを剥ぎ取り、かまわず乳房を揉みしだいてやると、徐々に甘い吐息を漏らし始める。  
「ん・・・、あっ、あん!」  
指先が、ちょこんと乗っかった綺麗な色の乳首に触れる度、細い体がビクンビクンと揺れ動く。  
「どうする? 止めてもいいのか?」  
「もう・・・、意地悪。・・・あっ」  
エレオノールはすっかり力の抜けた体を俺に預け、仰のかせた首を左右に振りながら喘いだ。  
もっと感じさせてやる為に、硬く尖り始めた先端を指で摘んで、くりくりと弄ってやる。  
「やっ・・・、いやぁ・・・ん・・・」  
こうされると、見かけによらず感じやすいこいつの体は、とろとろに蕩けちまう。  
普段の慎みは何処へやら、あられもない声を上げて乱れる様は、たまらない色っぽさだ。  
昼間のお上品な姿しか知らない奴らは、エレオノールのこの艶めかしい表情は想像もつかないだろうな。  
それを独り占めしているという喜びが、俺を更に興奮させる。  
俺は理性が吹っ飛びそうになるのを必死で堪えながら、こいつを燃え立たせるのに専念した。  
いつものコースで、片手で乳房を愛撫しながら、もう片方の手を下に伸ばす。  
だが、たっぷりとした布地が邪魔をして、立ったままではすそを捲り上げる事が出来なかった。  
確かに、ドレスを着たままってのは不味かったなぁ。  
俺はエレオノールの上半身を前に倒し、ベッドに手をつかせ、馬跳びみたいに尻を後ろに突き出させた。  
「ほら、しっかり支えてるんだぞ」  
 
エレオノールは素直に従い、震える足に力を入れて、腰を高く掲げた。  
俺はそのドレスを、ウエストのところまで捲り上げた。  
「ん・・・」  
すんなりと伸びた脚と、形の良い尻が夜気に晒され、エレオノールは小さく羞恥の声を漏らした。  
更に俺は、ストッキングをするすると脚から抜き取り、ショーツを下ろした。  
今、エレオノールが身に着けている物は、ウエストの部分にまつわり付いてるドレスだけだ。  
まったくの裸よりも、それがかえって欲情をそそる。  
俺は片手でエレオノールの腰を押さえて、脚の間に指を滑り込ませた。  
「あっ! や・・・」  
エレオノールは、ほんの一瞬身動ぎしたが、それ以上は何の抵抗しなかった。  
俺は柔らかい肉の襞の中に人差し指と中指を入れ、ゆっくりと掻き回してやる。  
指の動きに合わせて、クチュクチュと湿った音が、静かな部屋の中に響く。  
そこはもう十分に潤っていて、俺を受け入れるばかりになっていた。  
「あ・・・、ああ・・・、ナルミ、早く・・・」  
指だけでの攻めに焦れて、エレオノールはもどかしげに、鼻にかかった甘えた声で急かした。  
俺の方も、これ以上はもう限界だ。  
「ああ、いくぜ」  
俺は服は着たままで、ズボンのチャックだけを下ろした。  
そしてエレオノールの腰に両手を添えて、ゆっくりと進入を開始した。  
「う・・・、くう・・・」  
エレオノールは、歓喜ともすすり泣きともつかない声を上げる。  
中は熱く、すっかり蕩け切っていて、柔らかな肉壁がねっとりと絡み付き、俺を優しく包み込む。  
ギュッと締め付けては、また緩やかに開き、奥へ奥へと導いて行く。  
その感触だけで、気を緩めるといっちまいそうになるぐらい、こいつの中は本当に良いんだ。  
 
リードしているのは俺のはずなのに、実際はこいつに翻弄され、巧みに誘われているようで  
余裕ぶって見せてはいるが、いつも俺は冷静さを装うので精一杯なんだ。  
我を忘れて溺れそうになる自分を抑え、俺はゆっくりと抜き差しを始めた。  
「ああっ、ナルミ、いい・・・、はぁ・・・ん」  
俺が動くのに合わせて、エレオノールは銀色の髪を振り乱しながら、甘い嬌声を上げる。  
安宿の、広いとは言えない部屋の中に、エレオノールの喘ぐ声と、ギシギシとベッドの揺れる音が鳴り響いた。  
絶頂が近いのか、エレオノールは激しく俺のものを締め付けてくる。  
その余りの快感に暴発しそうになるのを堪えて、俺は最後の詰めとばかりに、激しく突き上げた。  
「はぁ・・・、ああっ、ああぁ─────!」  
ついにはエレオノールは感極まった声を上げ、全身を振るわせ、体を弓形に反らして、いった。  
両腕から力が抜け、支えを失った上半身はシーツの上に沈み込んだ。  
俺も更にピッチを速めて、こいつの中に解き放った。  
 
それから後は、エレオノールをベッドの上に抱き上げて、服を全部脱がしてやり、俺も全裸になって絡み合った。  
互いの肌をまさぐり、一晩中、睦み合い、気付いた時には、もうすっかり夜が明けていた。  
結局、俺達は一睡もしないまま、抱き合っていたんだった。  
いくら一晩二晩の徹夜ぐらい平気なしろがねとはいえ、我ながら呆れるぜ。  
「ん・・・、もうこんな時間。ナルミ、出掛ける用意しなくっちゃ・・・」  
シーツの上に気だるげに身を横たわらせたまま、エレオノールが言った。  
「そうだな、お前、先にシャワー浴びて来いよ」  
「ひとりだけで?」  
エレオノールは意味有り気な目で、俺にチラッと視線を送る。  
その意味するところを悟って、俺はこいつの期待通りの答えを返してやった。  
「じゃあ、一緒に使うか」  
まったくもって、俺って奴はタフなんだな。  
 
案の定、シャワー室の中でも事に及んでしまい、ようやく身支度を整えて、街中まで出て来たのは  
正午間近になってからだった。  
最初にアントニオさんの店に立ち寄ったのは、ドレスを返す目的もあるが、商売道具を預けっぱなしにしてあったからだ。  
昨夜は勢いであんな事になっちまったが、幸いにもドレスは汚れていなかった。  
「ブエノス・ディアス。昨夜は楽しんだかい?」  
昨日は俺達よりずっと遅くまで騒いでいたはずの疲れも見せず、つやつやとした表情で、夫婦は出迎えてくれた。  
「ええ、十分に。ドレスを貸して下さってありがとうございました」  
エレオノールが丁寧に畳んだドレスを差し出したが、奥さんは大袈裟な身振りで言った。  
「おやまあ、まだ返さなくっていいのに。フェリアはまだ5日間もあるんだよ」  
「え?」  
「もちろん、今日も一緒に行くんだろう? うちは皆、そのつもりでいたんだからね。さあ、これからすぐお昼を食べて  
出掛ける用意をしなくっちゃ」  
俺達は思わず呆気に取られてしまった。  
あのカセタでの大騒ぎが、まだこれから5日間も続くのか?  
本当にこの国の人達ときたら、不死人しろがねをも圧倒するほどに、老いも若きもタフで、パワフルで、エネルギッシュなんだった。  
「どうする、ナルミ?」  
「こりゃあ、付き合わないわけにはいかないんだろうな」  
俺達は顔を見合わせ、こっそりと苦笑いし合った。  
 
底抜けに陽気でお祭り好きな、愛すべき南の国の住人達にサルー(乾杯)!  
 
                    
END  
 

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