夏休みも近付き、黒賀村も夏真っ盛り。特に、周囲を山に囲まれたこの村は、連日太陽に焼かれるフライパンの如き猛暑が続いていた。
最近はギイによる人形繰りの特訓も、彼の
「シェイクスピア曰く、『楽しみながら学ぶべき』だ、少年。こんな暑い中では、僕の繊細な肉体はバランスを崩してしまう」
と言う、かなり身勝手な言い分で中止されていた。そんな訳で勝は――顔無しの次の刺客が来る迄の間ではあったが――普通の小学生としての生活を得ていた。
夜中にふと目を覚ます勝。寝る前に暑さに任せて大量の麦茶を飲んだ所為か尿意を覚え、階下のトイレへ向かおうと、ノソノソと布団から這い出る。
ジャー…
「ふぅ…すっかり目が覚めちゃった…ん?」
用を足し終え、部屋へ戻ろうとする勝。彼がれんげの部屋の前を通り掛った時、田舎特有の蛙達の合唱に混じって、奇妙な物音と声が聞こえて来た――
くちゅちゅ…ぴちゃ…ちゅ
「ん…ふ…ああ…ン…はぁっ…」
何か湿った物を圧迫する様な音と、押し殺してはいるが、普段のれんげよりも遥かに高い声。勝にはその声が何を意味するのか判断し兼ねたが、
何故かその声を聞くと、胸がドキドキと高鳴ってしまい、ついつい考えを口に出して呟いてしまう。
「れ、れんげさん、病気なのかな?どうしよう…でも、勝手に入ったりしたら、怒るだろうなぁ」
[れんげの部屋を⇒覗く ]
[ ⇒覗かない]
[ ⇒覗く ]
勝は彼女の部屋の襖をそっと開け、極僅かな隙間から部屋の中を覗く――飾り気の無い花柄のパンツしか纏っていないあられもない姿で、
布団の上でしなやかな両脚を大きく開いているれんげ。左手は発展途上の乳房を押し潰し、指先でその先端の乳首を摘み、優しく捻っている。
右手は、勝には正体不明の液体でぐしょぐしょに濡れそぼった下着のクロッチの部分を、人差し指と中指で奥に押し込んでいる。
彼女の充分過ぎる程の妖艶さを湛えている瞳は、焦点が定まっておらず、普段よりも更に妖しさを増し、それを見ている勝の心を奪った。
「あ…あれは確か…」
勝は必死で正二の血に溶けた、記憶と知識を探る。出て来た結論は……
[自慰…自分で性器を触り、快感を得る事]
「あっ!あーーっ!!イ、いっちゃうっ!!」
そんな事を考えている内に、当のれんげの上げる嬌声のオクターブと声量が上がり、彼女は体を大きく震わせ、急に静かになった。
既に勝の心臓は口から飛び出さんばかりに跳ね、息遣いも荒くなっていた。
彼女のやっている行為の意味を理解出来ても、まだその目的を実感出来ない勝は、驚きの余り、その場から動けずにいた。
「こーら、れんげ姉さんの恥ずかしい姿をこっそり覗いてる悪い子はだ〜れだ?」
ギクッ!!
その声に勝は驚き、襖の隙間から彼女の方を見ると、布団の上で妖しく微笑みながらこちらを見ているれんげが居た。
勝は迷っていた。ここで大人しく出ていけば、彼女は許してくれるだろうか。だが、もしかすると、覗いているのが自分だとは判っていないかも知れない。
[⇒逃げる ]
[⇒逃げずに謝る]
「勝ちーん、判ってんだからね。大人しく出といで」
選択肢は無駄だったらしい。渋々襖を開け、れんげの前に姿を見せる勝。
「あの…御免なさい。本当に覗く積もりは……」
「ほーい。覗いてんのバレバレだったよ。素直に謝りゃ、れんげ姉さんは怒んないって。少しお話しよっか。こっちにおいで」
優しげな笑みで、手招きをするれんげ。幸い、彼女は怒っていない風だった。
その事に少し安心し、ガチガチに固まりつつも部屋に入る勝。
「し、失礼します…あのーれんげさん…その…服を着た方が…」
れんげは勝の言葉を聞く様子も無く、傍らに置いてあった缶ビールを開け、一気に煽った。
「わっ!ちょ、れんげさん、駄目だよ!それ、おじさんのビールでしょ!?」
勝はそれに驚き、慌てて止めようとするが、彼女は彼の顔の前に掌を突き付けてそれを制した。
「堅い事言わないの。今の子どもは発育が良いから大丈夫」
ジト目で勝を睨み上げるれんげ。勝は彼女のこの目が苦手だった。彼女に睨まれると、逆らえなくなってしまう自分を感じるのだ。
ふと、彼女の周囲を見ると、缶ビールの山、山、山……。どうやら彼女はその大半を飲み干し、少し酔っている様だった。
「期末テストの結果位で怒られちゃ、堪んないよねえ。勝ちんは賢くて良いねぇ」
「そ、そんな事無いよ。それよりも…れんげさん、服を…」
勝は相も変わらず、れんげが素っ裸な事に拘る。彼は先程から、れんげの動きに合わせて微かに揺れ動く乳房が気になって仕方無かった。
「あっれ〜、勝ちんのそこ、おっきくなってない?」
勝の股間を指差し、ケラケラと笑うれんげ。見れば、勝の股間は自身でも気付かぬ内に、驚く程膨らんでいた。
「さては、あたしが自分で慰めてるの覗いて興奮したなぁ?」
「ち、違うよ!!これは……その…」
「ダ〜メ!言い訳したって無駄よ。ちゃんと判ってるんだから。しかし、小六でも勃つのねぇ」
そう言って、勝の手足を押さえ付け、楽しそうにその股間を弄り回すれんげ。
「ちょ、れんげさん!止めてよ」
れんげは、勝が女性相手には抵抗出来ないのを良い事に、彼の言葉を無視して遊び続ける。
そうしている内に、彼女の目付きが先程の妖艶さを取り戻して行く。
「ねぇ、勝ち〜ん…あたしが“イイコト”教えたげよっか?」
「え?“イイコト”って?」
どうせ碌でも無い事だと想像し、答えあぐねている勝。
彼女はその返答を聞かない内に、3分の1程缶に残っていたビールを一気に口に含み、勝の唇に重ねた。
「わっ!ング…」
勝の口内にれんげの体温で温まったビールが口移しで注がれて行く。驚いた勝は、それを一気に飲み下してしまった。
「れんげしゃーん。ぼ、ぼきゅ、何らかおかひい……あははは!」
ビール一口で真っ赤になってしまい、半ば理性を手放してしまう勝。そして、それを見てほくそ笑むれんげ。
彼の反応は、彼女の思惑通りだった。彼女は、勝が良い具合に出来上がった頃合を見計らって、声を掛ける。
「良い気持でしょ〜?勝ちん、“女”がどんな物か知りたくない?」
「知りたい!知りたい!知りたいぞー!!」
勝は既に壊れ、れんげの両の乳房に手を掛け、掌に伝わる感触を楽しむ。理性を失った彼は、完全に『雄』と化していた。
「あん!もう、勝ちん、Hなんだぁ。そんなにがっついちゃ、女の子は嫌がっちゃうゾ」
れんげは、勝の過剰な反応に驚きつつも、乳房に張り付く彼の両手を引き剥がし、じっと彼の目を見た。
これならイケる。そう確信した彼女は、勝を自分の前に座らせた。
「勝ちん、おっぱい好きぃ?」
「うんうんっ!大好きら〜!」
勝は御機嫌に、首を千切れんばかりに縦に振る。
「じゃ、女の子の胸の触り方、教えたげるよ」
れんげはそっと彼の手を取り、己の胸へと運んだ。勝の手が、れんげの柔らかな膨らみに触れる。
「こうして、優しく押し潰しながら、指の付け根で乳首を…あんっ!そ、そう…ン…」
意外にも巧みな勝の手付きに、れんげは堪らず声を上げ、目的を見失いそうになる。
更に、アルコールに依って目覚めた雄の本能で、れんげの乳首にしゃぶり付く勝。
「あっ!あっ!ダメ!!イイッ!!」
だが、ここで快楽に身を任せては、彼に『女の味』を覚えさせられないし、先程の自慰行為も在って、体力的にも少々辛い。
れんげは湧き上がる衝動を押さえ、先程から勝のパジャマのズボンを押し上げている肉棒に手を宛がった。
「ん…ま、勝ちん、ここ苦しそうだよ。脱いだ方が良いよ〜」
「ほ、ほういえば、何らかズボンが邪魔な気がすわせdrftgyふじこlp」
いそいそとズボンとパンツを脱ぎ出し、下半身を恥じらいも無く曝け出す勝。
彼女は勝の気が逸れている内に、荒くなった息を沈め、反撃に備えた。
れんげは堂々と晒されている勝の下半身を見て吹き出した。
「プッ!やだ、勝ちんのおちんちん、ちっさい!しかも、皮被ってるじゃん」
腕を腰に当て、仁王立ちしている勝の股間を指差し、腹を抱えて笑う。
まあ、れんげが見て来た様な大学生のそれと、小学生の勝とでは、差が在って当然なのだが。
アルコールでまともな思考が出来ない勝でも、自分が馬鹿にされている事位は理解出来た。
「何だよ、れんげさ〜ん。文句在るの〜?」
真っ赤な顔を更に赤らめて、膨れっ面で御機嫌斜めな様子だ。
「まぁまぁ、怒んない、怒んない。布団に寝てごらん。
あたしがあんたを一皮剥いて、大人にしたげるからさ……くひひっ」
一方のれんげは、楽しくて仕方の無い様子。実の処、彼女も少し酔いが回り始めていた。
「勝ちーん、自分でこんな風におちんちん触った事在るう?」
今、れんげの布団の上には勝が横たわり、れんげは彼の股間に取り付いて、天井を向いている彼の分身を扱き立てていた。
「おしっこする処なんて、触んないよう…あー…れも、何らか良い気持ひ」
呂律の回らない舌で返答する勝。その目は快楽の所為か、既に焦点が合っていなかった。
体の方はフラフラでも、彼の股間だけは元気が有り余っている様で、れんげからの刺激に敏感な反応を見せ、
包皮に包まれた先端からは我慢汁を漏らしていた。タイミングを見計らって、れんげは手の動きを止める、
「あー何で止めるんだよう」
「言ったでしょ、勝ちんを大人にするって」
「何するのさぁ?」
「こうするの……よ!」
勝に抵抗する隙すら与えず、れんげは勝のペニスの包皮を一気に剥き下ろした。
「ひやっ!!!!何す…もごもごdrftgyふじこlp」
顔無しの刺客との闘いで、多種多様な痛みを経験して来た勝だが、今自分の股間を襲っている痛みはそのどれにも分類出来なかった。
そんな未知の痛みに悲鳴を上げ、大声を出そうとするも、れんげの開いている手にその口を塞がれてしまう。
「大きな声出さない……誰か起きたら困るでしょ」
「だって……」
「男ならピーピー泣かないの!おちんちん剥けてないと、大人になれないゾ」
そんな事は無いのだが、勝がそれを反論しようとする前に、れんげは彼の剥き出たばかりの敏感な亀頭を突付いた。
「ひゃっ!……な、何したの?」
勝には何が起こったのか理解出来ない。勝の今迄の人生で、彼はこれ程大きな刺激を感じた事は無かった。
「気持良いでしょ?ほら、剥いて良かったじゃん。これをこうすると……」
既にれんげの瞳はこれからの淫靡な展開の予感に蕩け、唯一纏っているパンツは愛液の湿りで、その用を為していなかった。
勝のまだ可愛らしい亀頭を見て、堪えられなくなった彼女は、その小さな刀を口に含む。
れんげの口内に、恥垢の酸えた味が広がるが、今の彼女にはそれすら性感を昂ぶらせる材料にしかならなかった。
「う…あぁ、ぼ、ぼきゅ何か変らよぉ!」
勝にしてみれば、初めて外気に触れた敏感な亀頭を口に咥えられては堪らない。
れんげは全く舌を動かしていないのだが、勝の分身はビクビクと痙攣し、射精の兆候を見せる。
「あ!何かおしっこ出る!れんげさん、どいてどいて!」
それが一際大きくなり、脈動したのを確認すると、れんげは口を離し、先の自慰で使ったティッシュを先端に押し当てた。
ティッシュに包まれた中で体験する、初めての射精。れんげはその勢いを促す様に、彼の陰茎を片手で扱いてやった。
長い長い射精が終わる。自分で処理する手段を知らない為、夢精寸前迄溜め込んでいたのだろう。
れんげはその量に驚いていたが、それよりも更に、当人の方が驚いていた。
「あれぇ?おしっこじゃないぞぉ…何なんだろ?」
「射精よ。学校で習ったでしょ?まぁ、勝ちんも大人になったって事で……ほい、飲も飲も!」
勝の呂律が戻りつつ在る事に気付いたれんげは、勝にビールを薦めた。
「あれえ?やっぱぼきゅ、まだダメみたいだあ〜」
ビール一缶で勝は顔の紅潮を取り戻してしまい、傍らのれんげの肩に寄り掛かる。
こうして見ると、まだまだほんの子どもなのに、この少年は必死になって自分の幸せを探してくれたのだ。
そう思うと、れんげは彼にほんの少しの罪悪感と愛しさを覚えた。そっと、その髪を撫でてみる。
「なぁに、れんげしゃん?」
彼女を見詰める瞳――その目は、酔いの為に普段の輝きは失っているが、生来の優しさは失っていない。
その目に魅入られたれんげは、酔いも手伝ってか、耳の先迄真っ赤になってしまった。
「んーん、何でも無い。それより勝ちん、ここがどうなってるか知りたい?」
性格故、自分の思いを素直に伝えられず、彼の小さいが逞しい手を取って、自分の股間にやる。
掌に伝わる、ふわふわとした、それでいてグチョグチョと湿った様な不思議な感触に勝は興味を覚えた。
「うん!れんげさん、僕のばっかり見て狡いもん…dbjぐ’qjf&kr@w」
「そだね。へっへー…ちょい恥ずかしいけど、見せたげるね」
照れ隠しにペロリと舌を出し、れんげは躊躇い無く愛液で重たくなったパンツを脱ぎ捨てた。
「やっ!あぁっ!もう止めて!」
「あれ?この!この!」
包皮に比して小さく、先細った形をしているれんげの陰核亀頭は、勝が指を離すとすぐに包皮の中に潜り込んでしまう。
酔っ払っている勝にはそれが気に喰わないらしく、何度もれんげの包皮を剥き上げた。
クリトリスの上を往復する包皮が、れんげに耐え難い刺激を与える。
アルコールによる理不尽な怒りを解消するのは構わないが、それを自分――しかも急所に向けられては堪った物ではない。
れんげは必死に抵抗し、勝を押し退けようとするも、勝の鍛え抜かれた筋力に押さえ込まれ、それすらも叶わなかった。
「いひぃー!!もうダメ!ダメ!!ひっ!ひぃぃぃぃ!!」
望まない絶頂によって大きく体を震わせ、机の上に上半身を倒れこませる。それでも尚、勝は彼女のクリトリスを剥き続ける。
れんげがぐったりと横たわった侭、ふと目を横に向けると、そこには一本の缶ビール。
この侭では狂い死ぬかもしれない。彼女にはその缶ビールが、地獄に垂れ下がった一本の蜘蛛の糸に見えた。
「勝ちん、御免!」
「んが!……ングング…」
最後の力を振り絞り、それを勝の口に押し込む。強制的に一気飲みをさせられ、とうとう勝はその場に倒れ込んだ。
れんげは勝を背負い、彼の部屋迄運んでやる。小さく、軽そうに見えた彼の体が、こうして背負ってみると、意外にも筋肉で固められ、
重たい事に気が付いた。それを感じて、れんげは少し残念な気持になってしまう。
「ホントは勝ちんの初物、頂きたかったんだけどねぇ……」
寝かせた布団の上で、すやすやと寝息を立てている勝に呟く。
「ま、それは次の機会にでも……」
彼女はそう言って、勝にキスをし、その唇を首筋へと移動させると、すぐに彼の部屋を後にした。
チュチュン…チュン!
差し込んで来る朝日が眩しくて、勝は目を開けた。
「ん…夢か。物凄くHな夢を見ちゃったよ。何だかあんまり寝た気がしないや」
大きな欠伸を一つして、階段を駆け下りる。
「お早う勝!」
元気な声に振り向くと、そこにはにこやかな笑顔を湛えた百合が立っていた。
勝は夢の事などすっかり忘れ、彼女に微笑みかけた。
「百合さん、お早う!」
百合は勝の声と共に発せられた匂いに驚く。
「うわ…何か酒臭いわよ。弱い癖に、隠れてお酒飲んだりしたんじゃないでしょうね?」
「え?え?そんな事しないよ!」
彼女の言葉に勝は、夢と現実の境を見失いかけてしまう。
「それに……その首の痣、何?」
「え!?」
勝が驚いて洗面台の鏡を覗くと、その首筋にはしっかりとキスマークが刻まれていた。
そして、背後に立つ気配に気付いて、鏡を介して後ろを覗き込むと、ニヤニヤと薄ら笑いを浮かべたれんげの姿が在った。