「わあ…フウさん、本当に腕の長さ調整してくれたんだ…  
 足もずいぶんすっきりしてるじゃない」  
 
手術を終えた鳴海は、フウに部屋を確保してもらっているロンドンのホテルに戻った。  
彼は自分の部屋に落ち着く前に、隣部屋のドアをノックした。  
自分を終始心配している兄弟子のミンシアに、やはり挨拶しようと思ったのだ。  
出迎えたミンシアは、黒髪に戻った弟弟子を目を丸くして見上げた。  
部屋に招きいれ、もう一度まじまじと鳴海を眺める。  
相変わらず表情の素直な"姐さん"に、鳴海が張り詰めていた表情を僅かに緩める。  
天井に頭をぶつけかねないとベッドに座らされて、ミンシアを見上げながら彼は息をついた。  
「ああ…人形の腕は残してもらった。動きも悪くねえし、  
 結構……これはこれでいいもんだな」  
手袋を嵌めた指を見下ろし、ゆっくりと動かす彼をミンシアがじっと見つめる。  
 
「足はどうなってるの?ローラースケートは?」  
「…ロー……いや、まァそうかもしれねえけどよってちょっ、姐さん!」  
ミンシアは傍に屈んで、さわさわと鳴海の太腿にあたる部分を撫で始める。  
「うわ、ホント、固いわ。血とかで濡れたらどうするのかしら」  
…言葉だけだと微セクハラ。  
と鳴海が引きつつどうしたものかとおたおたしていると、  
ミンシアは不意に彼の股間に手を伸ばして突如握った。  
「あ、こっちは生身だ」  
「@re2jらlk痛がrじg#Σ(゚д゚lll)!!!!!!な、なにすッ」  
鳴海は急激に壁の端まで最高速度で後退し掛け転倒し頭を打って上半身を必死で起こした。  
「ミンシア!!シャレにならねーぞいいいいいまの!!」  
「うっ、うるさいわねー!!何動揺してるのよ、ミンハイ」  
急激な反応に貰い照れをしたのか、ミンシアは顔を紅潮させ、声を荒げた。  
元気がなさそうだった弟弟子が、意外に元気なことにも困惑したらしかった。  
心配でたまらないといった最近の表情を思わずかなぐり捨て、意地悪そうに睨みつける。  
「ちょっと触っただけじゃない!」  
「そーいう問題じゃねぇー!」  
「なによ。……もしかして、あんた、童て…」  
「うぅううるせえ言うなあああぁっーー!」  
「……ご、ごめんねミンハイ。ま、まさかあんたがそこまでコドモだなんて思わなかったから」  
「コドモっていうな!哀れんだ目で見るなァ・゚・(ノД`)・゚・ !!」  
 
 

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