加藤鳴海が仲町サーカスに加わってから、既に二箇月が経過していた。鳴海は、  
いまだエレオノールを憎悪を込めて「フランシーヌ」と呼び、団員の誰にも心を開かなかった。  
流石にこれには三牛諸美も見兼ねて、何度と無く彼を呼び出し、事情を訊いたが、  
鳴海は、エレオノール以外の人間にそれを話そうとはしなかった。  
既に仲町紀之や浩男、三牛直太などは、彼を敵視し、サーカスから追い出そうとすらしている。  
そんな事態を静観する者達もいた。仲町信夫と生方法安、そして、もう1人…。  
 
「ねぇ、しろがね。今夜一晩、あの新入り借りってって良いかい?」  
ヴィルマ・ソーン。他人の色恋沙汰に首を突っ込むのが大好きな、仲町サーカスのナイフ芸人だ。  
以前は、タランダ・リーゼロッテ・橘と才賀勝をくっ付けようと躍起になっていたが、  
今はその勝が居ない為、(頼まれてもいない)稼業は休業中だった。  
「借りるって…何をするつもりなの?」  
この女がこの手の発言をする時には、絶対何か在る。不審に思ったエレオノールは、そう訊ねた。  
「何…あの子に『男の悦び』って奴を教えてやろうと思ってね」  
「『男の喜び』?」  
エレオノールには、何が何だか理解出来ない。  
「そうさ。そうすりゃ、あの新入りもアンタに一発で惚れちまうだろうさ」  
そう言って、ヴィルマは新入り――の元へ去って行った。  
エレオノールは気付いていなかった。鳴海は通過点に過ぎず、  
彼女の最終目的が、エレオノールと鳴海との3Pだと言う事を…。  
 
「俺をこんな所に呼び出して、何をするっスか?俺はあの女から離れる訳にはいかねえんス。  
用が在るなら、さっさと済ませて下さい」  
飽く迄冷徹に問う鳴海。彼は、ヴィルマと二人、あるホテルの一室に居た。  
「しろがねなら、逃げやしないさ。そんな事より、つれない事言うんだねぇ。  
このヴィルマさんが、あんたの食べた事の無いフルーツを食わせてやろうってのにさ」  
「何言っ…ング!」  
彼の言葉は、ヴィルマの不意の口付けによって遮られた。  
鳴海の口内に、ビールと煙草の匂いに塗れた舌が入り込み、歯の一本一本、  
歯と歯茎の隙間迄を濃厚に舐め回す。  
鳴海にとっては初めての、ヴィルマにとっては慣れ切った、舌を絡めあう大人のキス。  
当然の様に、鳴海は石化していた。  
 
 石化が解けた鳴海は、腰が抜け、猛烈な勢いで、腕を使って後ずさった。  
「うわ!ちょっと何するんスか!?」  
彼の冷酷を装う仮面が剥がれる。  
壁に突き当たった鳴海は、何とか立ち上がって逃げ出そうとした。  
ドス!ドス!ドス!ドス!  
「逃げちゃダ〜メ☆」  
そんな彼の衣服を、ナイフが貫き、鳴海は昆虫標本宜しく、壁に張り付けられた。  
普段の彼なら、こんな失態は絶対に在り得ないだろう。今の彼はそれ程動揺していた。  
「アンタ、『女の味』を知らないだろう?教えたげるよ、ヴィルマ姐さんがね。  
あぁ、逆らおうとしてもダメよ。ナカマチに、『新入りに強姦されたから、辞めさせてくれ』  
って頼んじゃうからね。そしたらアンタ、もうしろがねの傍には居られないねぇ」  
そう言って妖しく微笑む。  
確かに、今迄己を鍛える事しか頭に無かった鳴海は、女性経験が0だった。  
それを見抜くこの女は何者だろうと思った…傍から見れば、一目瞭然なのだが。  
彼の頭にはもう、「女は怖い」と言う思いしか無かった。  
 
「動かないでね…」  
ヴィルマの手に握られたナイフの光が、暗闇に複雑な軌跡を描く。  
一瞬にして鳴海は裸にされていた。  
「義手、義足か…ま、アンタも普通じゃ無い生活送って来たのは判るし、深くは詮索しないさ。  
あらあら…萎えちゃって。怖いのかしら?フフ…これが何処迄膨らむか、楽しみね」  
彼女は、鳴海の右肩の肌と機械の境に口付けし、舐め始めた。  
右肩から頭へ、ゾクゾクとした感覚が上って来る。  
鳴海には理解出来なかったが、彼女は知っていた―この義手との境目は皮膚が薄く、敏感だと言う事を。  
続けて、右手に唾液をねっとりと付け、その手で、同時に左肩を撫でた。  
 
 男は女と違い、快感では声を漏らさない。だが、ヴィルマは、鳴海の股間を見、彼が感じている事を知っていた。  
「アタシばっかが奉仕するのもねー。新入り、こっちにおいで」  
彼女はベッドの上に横になり、上体を起こして服を脱ぎ始めた。  
赤紫の派手なブラジャー。鳴海の中には、その手の下着は淫乱な大人の女の着ける物だと言う固定観念が在り、  
強ちそれも間違っていなかったと思った。  
「俺には『加藤鳴海』って名前が在るんス。『新入り』は止めて下さい」  
平静を装い、渋々ベッドへ上がる。だが、彼の股間はそれに反し、こんな状況でも興奮を示していた。  
「今からアンタに、女の抱き方を教えたげるわ。フフ…触ってみたい?外して御覧よ」  
そう言って、ブラジャーに包まれた胸を突き出す。鳴海は、一見嫌そうにはしていたが、彼も男だ。  
内心、少しラッキーな気もしていた。  
 
 女性経験は無くとも、鳴海位の年齢ならば、学生時代に「ブラ外し」の悪戯は経験は在る。  
慣れた手付きで、アッサリとブラジャーを外し、そこからまろび出た乳房に見蕩れる。  
「意外と巧いじゃ無い。どう?結構胸に自信在るのよ。触ってみたいでしょう?シリコン無しの100%天然よ」  
そんな事を訊かずとも、鳴海の目を見れば判る事だ。彼は、その二つの膨らみから視線を外せなかった。  
彼女ご自慢の胸は、白人女性に多く見られる、釣鐘型で、白人故に乳首にも色素沈着は少なかった。  
何も答えない鳴海を見て、彼女は半ば呆れつつも声を掛ける。  
「もう…そこ迄感動する事無いじゃ無い。早く触ってよ。私もココ勃っちゃって大変なのよ」  
と、乳首を指して見せる。その乳首を乗せた柔らかな膨らみに、震える手が伸びる。  
「初めは優しくね…そう、周りから焦らす様に。女はこうやって焦らされると、堪らなくなるの…ハァ…ァ」  
ヴィルマの口から、妖艶な息が漏れ、暫し指導する立場を忘れて快楽に浸った。  
「そう…それで、感じて来たら、乳首を舐め…イイわ…巧いじゃ無いのさ。そうやって、舌で擦ると、本当に…Oh…  
次は、ベイビーみたいに吸ってみて」  
鳴海は指図されるのは好かなかったが、本能だろうか、自分でもそうしたいと思ってやっているのだ。  
何故、女は性交時には、普段は出せない様なトーンの声を出すのだろう。  
ピチャピチャと言う乳首を舐める音と彼女の上げる嬌声を聞くと、鳴海の怒張は更に膨らんだ。  
 
「ハァ…本当、気持良いわ。ご褒美よ」  
そう言って、鳴海の顔を離す。正直、これ以上続けられては、自分が気をやってしまいそうだった。  
自分が先にイってしまっては、主導権を奪われかねない。そう考えた彼女は、先に鳴海をイかせる事にしたのだ。  
「随分膨らむのね…これが入ると思うと…」  
思わず彼女の口元が緩む。彼女は、膨らんだ一物を握り、扱き始めた。傍に在った備え付けのローションで、  
それを包み込み、髪の毛を絡めながら、口に頬張る。  
「全部入りきらないねぇ…顎が外れそうだよ」  
そう感じた彼女は、作戦を変更し、舌で亀頭周辺、亀頭中心、根元から先端迄を順に舐める事にした。  
鳴海は、こんな事はAVの中の出来事だと思っていたのに、それを今、自分が体験している事が信じられなかった。  
やがて、彼の表情に変化が現れる。限界は近かった。  
 
 鳴海の男が一際膨らみ、脈動と共に溜め込んでいた性欲を吐き出す。  
「ウ…ング…何て量だい。若さだねえ」  
ヴィルマはそれを事も無げに飲み干し、未だ力を失わない鳴海自身を愛しそうに撫でた。  
「今のうちのサーカスの状況じゃ、性欲の処理も難しいだろうし、溜め込んでるのは解るけどさ。  
スペルマが髪に付いちまったよ。ナカナカ落ちないんだよねえ…ねえ、一緒に風呂に入んないかい?  
背中流してよ」  
「へ?…ふ、風呂?…あ…ウ…分かりました」  
一度絶頂に達し、普段の理性を取り戻した鳴海は、彼女の提案に驚く。そして、もう完全に逆らえなくなったと思った。  
 
「もたもたしなさんな!照れてんなら、心配無用だよ」  
言われて鳴海は仕方無く浴室へと足を踏み入れる。  
湯気に包まれて立つ女は、地獄に潜み、夜な夜な男を誑かす淫魔の様にも見えた。  
先刻から鳴海を魅了して止まなかった、豊満なバスト、成熟し、今が女盛りだと主張する腰の括れとヒップの膨らみ、燃えるかの如き、真紅の陰毛。それ等は、余りの美しさ故に、男の性を騙す為に作られた様にも思えた。  
女は、それを隠そうとする様子も無く、微笑みながら鳴海に見せ付ける。  
「…………」  
鳴海は言葉も無く、そんな彼女の頭の先から足の先迄を何度も見るしか無かった。  
「何ジロジロ見てんのさ?そんなに女の裸が珍しいのかい?後で飽きる位見せてやるから、アタシの髪洗って頂戴」  
「あ…はい。シャンプーは…と」  
「そうそう。女は髪も頭皮もデリケートだから、優しくね」  
鳴海は、彼女の髪を洗いながら、昔誰かの背中を流そうとして、女の裸を見てしまった事を思い出した。  
あれは誰だっただろうか。思い出せない。  
「ほらぁ、どうしたの?手が止まってるよ」  
鳴海は記憶を掘り返す作業を中断し、目の前の女性に集中した。  
 
 ヴィルマの洗髪を終え、鳴海は彼女の体を洗っていた。どうしても、彼女の裸体を目に焼き付ける事に専念してしまい、巧く洗えない。そして、鳴海の手が、乳房に近付いた。  
「あ、そこは特に皮膚が薄いから、そうっと洗わなきゃダメよ」  
先程自分が愛撫し、興奮してしまった場所。洗う手に力が入ってしまう。既に、下半身は力を取り戻していた。  
励起した乳首に引っ掛かる度、鳴海の手は止まってしまう。ヴィルマは、そんな彼を見て、未だ主導権が自分に在ると確信した。  
「あの…洗い終わったっス」  
背中、腹、胸、脚、腕と全身を洗い終わった鳴海が、そそくさと出て行こうとする。  
「あらアンタ、チキンなのかい?まだ洗ってない場所が在るだろう?」  
 
 チキンと言われては退く訳にはいかない。鳴海は無言で彼女に向き合った。  
「ほら、ココよ。コ〜コ!見た事無いんだったら、教えたげるから」  
彼女はバスタブに腰掛け、脚を開いて股間を指差す。  
「え…でも、洗い方が…」  
「だからぁ、教えるって言ってるでしょ?ほら、開いてみな」  
鳴海はおずおずと彼女の脚の間に座り込み、その場所に手を掛けた。その手は震えていた。  
「どう?これが『女』よ。花みたいでしょう?」  
周囲を紅の陰毛が多い、開かれた隙間からは、似た様な色の花びらが覗いている。その内側は、血の色が透けていた。  
鳴海にはそれが、虫けらの様にしか思っていない男を貪る食虫花に見えた。  
ヴィルマがその部分を説明し始める。  
「アンタが今掴んでる部分が、アウターラヴィア。バストなんかよりももっと柔らかいでしょう?ここを揉まれるのも、気持が良いのよ。  
で、その内側に在るのが、インナーラヴィア。今は膨らんでるけど、普段はもっと薄いわ。焦らすのには最適。この辺りは、その侭ボディソープ使うんじゃ無くて、薄めてからよ。それと…」  
次々と説明を続けていくヴィルマ。鳴海は完全に固まっており、医者でもあった白銀の記憶と必死で結び付けようとしていた。  
 
「ちょっと!ねえ、聞いてんのかい!?」  
「あ…?え、えぇ。何でしたっけ?」  
「ったく、折角ヴィルマさんが教えてやってるってのに、このボーヤは…。そこのビラビラしたの開いてみなって言ったのさ」  
鳴海は慌ててヴィルマの大陰唇から手を離し、小陰唇を開く。  
「じゃ…続きね。ここがクリトリス。女はここが気持イイのさ。洗う時は、こうして皮を剥いて、指でね…」  
と、ヴィルマは半ば顔を出し掛けている肉芽を包皮から剥き出す。  
「後でゆっくり愛撫して貰うわ。楽しみにしてるよ。で、最後になったけど、下に開いているのが、ヴァギナ。  
濡れてるでしょう?普段から湿ってはいるけど、女はヤりたくなると…こうなるのさ。アンタのペニスが入るのも、ここだよ」  
意図的に卑猥な言葉を選び、鳴海を挑発するヴィルマ。当の鳴海はと言うと…頭に血が上り過ぎて、失神していた。  
 
 鳴海が気が付くと、再びベッドの上だった。ヴィルマを殺し屋だとは知らない鳴海にとっては、  
彼女が自分をここ迄運んだ事は脅威だった。ふと違和感に気が付き、自分の体を見る。  
「な、何をした!?」  
彼の手足は無くなっていた。  
本来義手や義足の在るべき場所に、接合の為の機器しか残されていない事は、彼にとっては行動不能も同然だった。  
「あら…気が付いたのね。アンタ運ぶのに苦労したんだから、感謝して欲しいわ。探し物なら、浴室の前よ。  
重たかったから、外したのさ。言う事聞いてくれるなら、後で返してあげるわ。さ、イかせておくれ」  
徐々に本性を見せ始めたヴィルマは、横たわる外無い鳴海の眼前に、己の秘部を開いて見せた。  
鳴海の視界が、淫靡な色で塞がれる。  
「ここを慰めるのに、手足は要らないだろう?」  
 
 ピチャ…クチュ…  
男の舌が仕方無しにヴィルマの女を慰める。ヴィルマはと言うと、彼の顔の前に腰掛け、自らの手で秘部を開いていた。  
和式便器はこんな気分なのか?そんな事を考えながら、加藤鳴海は堪え切れぬ怒りと、屈辱と闘っていた。  
先刻迄は、半ば自分の意思だったが、今の彼の心には怒りしか無かった。  
幼少期、典型的な苛められっ子だった彼は、変わった筈だった。まだ見ぬ弟を護る為に。  
水子となり、結局出逢えなかった弟…「鳴海兄ちゃん」と呼んで欲しかった。その為に強くなったのに、  
この女はいとも簡単にそれを打ち砕き、再び元の弱かった加藤鳴海に戻そうとしているのだ。  
今出来る抵抗と言えば、この女の秘部に噛み付く事位だが、そんな事をすれば、何をされるか判った物では無い。  
先程からこのヴィルマ・ソーンと言う女を見ていて鳴海は、この女は単なる色狂いでは無さそうだ、と気付いていた。  
恐らく、自分の知らぬ闇の世界で生きてきたのだろう。身動きの出来ない今の自分が逆らえば、  
躊躇い無く殺されてしまうかも知れない。まだ、鳴海は死ぬ訳にはいかなかった。帰国した目的さえ果たせれば、自分の命に未練は無いが、取り敢えず今は、従う振りをしておこう―飽く迄も振りで、心から従う訳では無い。そう考えた。  
 
 鳴海の舌が、ヴィルマの膣に入り込む。  
「Oh…イイわよ。Ah…もっと…Hu…奥迄いれなさい」  
彼は舌に圧力と、微妙な酸味、生臭さを感じたが、不思議とその部分に懐かしさを覚えた。  
何か、怒りや性的興奮とは違った感情が芽生える。この悪魔の様な女にも、子どもを産む為の器官が備わっている事は、妙な気がした。その器官は、鳴海の舌をグイグイと締め付けて来る。彼は、これが女が快楽を得た時の反応なのだろうと判った。  
そして、抵抗出来ぬなら、徹底的に昇天させてやろうと思った。  
鳴海の舌が、陰部の上端へ移動する。  
先程朦朧とする意識の中で聞いた彼女の説明に依ると、その部分が最も敏感だと言っていたからだ。  
「Ahh!そ、そこは…そんなにしたら…ヒッ!Ahhhhh!!」  
舌で包皮を持ち上げた鳴海は、そんな彼女の言葉も無視し、一心不乱に舐め、押し潰し、甘噛みする。  
彼女の腰が逃げて行っても、上体を起こして舐め続けた。  
「Come!!Come!…Ohhh!!yeah!!Ahhhh!!!!」  
執拗な鳴海の責めに耐え切れず、遂にヴィルマは絶頂に達した。  
 
 「ちょっと強引だったけど、素敵だったわ。アンタ、アタシを勘違いしてるみたいだけど、  
そこ迄非道い女じゃ無いんだよ」  
自分にこれだけの事をしておいて、今更何を吐かす。鳴海は何も答えなかった。  
「素敵な思い出を作りましょう…あら、また萎えてるわ。怖いのかい?それとも怒ってるのかい?  
ま、直ぐに元通りにしてやるさ」  
そう言ってヴィルマは、萎み掛けた鳴海のペニスを自分の陰裂に挟み込み、それを扱き始めた。  
「チッ…勝手にしろ!俺は好きでこんな事やってんじゃ無え!!」  
「口では立派な事が言えるんだねえ?でも、コックの方はヤる気満々みたいだよ」  
その通りだった。柔らかく、温かで、滑りの良い陰唇に挟まれ、扱かれる快感は並大抵の物では無かったのだ。  
「さ、準備は出来たし、いよいよ本番だよ。あ、避妊してるから、ゴムの心配はしなくてイイわ」  
天井に向かって屹立する鳴海の男に、ヴィルマの女が近付いて来る。それがヴィルマの中に入った時、  
鳴海は言い知れぬ快感を覚えた。膣の中がこんなに熱いとは思いもしなかった。  
複雑な襞が絡み付いて来る、と言う事が比喩では無い事を実感した。それは、不定期に収縮し、鳴海自身を締め付けた。  
鳴海のそれは、更に膨らみを増し、膣の最深部迄入り込んでいるにも関わらず、三分の一は膣の外にはみ出していた。  
「動くわよ」  
「あ…今は動かれると…」  
そんな鳴海の言葉を無視して、ヴィルマは鳴海の上で踊る。先程の仕返しのつもりなのだろうか。  
鳴海の中に、これ以上は無いと思っていた先の快楽よりも、さらに大きな刺激が流れ込んで来る。  
苦痛には耐性の在る彼も、快感の前には為す術も無かった。  
 
「ウッ…」  
ヴィルマの中で、鳴海が痙攣したかの様な動きと共に、精液を吐き出す。ヴィルマの膣の収縮は、  
まるでそれを更に搾り取らろうと言わんばかりに連動していた。  
「情け無い…もうイっちまったのかい?女は複数回イけるし、アタシャまだ満足してないよ。  
夜はまだまだ長いんだ。楽しませておくれ」  
脱力した鳴海の陰茎を含んだ侭、ヴィルマは再び動き出した。  
「うぅ…もう勘弁してくれ…」  
鳴海の泣き言とヴィルマの矯正が止む事は無かった。  
 
 
「Good mornin'!しろがね」  
「お早う、ヴィルマ。昨夜は彼と何処へ行ってたの?貴女は良く抜け出すから兎も角、  
『新入りが消えた』って大騒ぎだったんだから」  
「言った通り、ちょっと男としての悦びを教えてたのさ。ね、ナルミ?」  
鳴海は目のしたに隈を作り、ヴィルマの影に隠れる様にして立っていた。  
「はい…姐さん」  
「でさぁ、今夜辺り、今度はナルミと一緒にアンタに女の悦びを教えたげようかと思うんだけど、今夜暇?」  
彼女の野望はまだまだ終わらない。  
 
 

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