「やぁやぁ、皆様。からくりパラレルワールドにようこそお越し下さいました。  
此処では当サーカスの団員達が、皆様に普段とは違った演目をご披露しまする。  
因みに未成年は御覧になれませんぞ。それでは、愛憎渦まくこの演目、鷹揚のご見物を…」  
スルスルスル…  
 
 勝はシルベストリとの闘いに敗北した。  
エレオノールを護れなかった、と後悔する暇も無かった。  
逆上したシルベストリが、フェイスレスと勝のゲームのルールを破り、  
彼を一瞬で斬殺してしまったからである。  
 
 此処は「真夜中のサーカス」テント。落ち着きを取り戻したシルベストリが、  
フェイスレスに必死で弁解している。  
「こいつったら、造物主様の命令よりも、自分の都合を優先させたのよ。信じられるぅ?」  
コロンビーヌが茶化して周囲に言い触らす。第三者から見れば、シルベストリの行動は、  
彼が「変われた」と言う事になるのだろう。だが、フェイスレスにしてみれば、  
それは命令無視以外の何物でも無かった。  
「お前さぁ、もう良いから。存在すんな」  
普段と変わらぬふざけた物言いの中にも、怒りが含まれている。  
 
 彼がシルベストリに工具を宛がう…一瞬!シルベストリの体は、元の構成部品の集合に帰された。  
「おい、ちょっとそこ等辺の、これ掃除しといて」  
直ぐに下々の団員達が、数十秒前迄シルベストリを構成していたパーツを片付ける。  
彼の先程行った『分解』は、団員達に見せしめの効果も齎した様だ。  
「コロンビーヌ、取り敢えずさぁ、エレオノールを連れて来てくれない?適当にその辺の奴等連れてって良いから」  
 
 
 黒賀村、仲町サーカステント内。この村での興行は、それ以外の場所でのそれとは事情が違った。  
人形繰りが当然の様に行われるこの村に於いて、エレオノールのマリオネットの演目は、  
何時程の物珍しさを観客に与えられなかったのだ。仲町の指示で、公演二日目から、  
彼女はコントーションやアクロバットに専念する事となった。  
そんな公演の三日目、クライマックスのアクロバット中、事件は起きた。  
突如、観客席の一角から、観客のふりをしていた大量の自動人形とOが丸盆に飛び出して来た。  
観客席から悲鳴があがる。しかし、エレオノールは、そんな悲鳴も聞こえぬ程の悪寒を感じていた。  
 
 直太は彼女の横でオロオロしている。彼女は、直ぐに冷静さを取り戻す。「自動人形!?」  
そして、直後に気付いた。自分の傍にマリオネットが無い。「しろがね」化しているとは言え、  
女性の彼女には、丸腰で自動人形達と闘う術は無かった。  
素手で彼等と闘える鳴海にしても、今は生方法安と共に四国に居る。  
自動人形達が任務を遂行するのに、時間は懸らなかった。  
 
 
 再び「真夜中のサーカス」テント内。エレオノールは、丸盆中央の柱に張り付けにされていた。  
「やぁ、久しぶりだね、エレオノォォール…逢いたかったよ」  
「貴方は誰?私を放しなさい!」  
「おんやぁ〜?つれない事を言うねぇ。僕は君を良ぉく知っている…それこそ勝なんかよりもね。  
それに君も僕に何度か会っている筈だよ」  
ハッとして彼女は気付いた。そう言えば勝は、花火大会の日から帰って来ていなかった。  
ギイが何も言わずにサーカス修行に連れて行ったのだと、他の団員同様安心していた。  
「私は知らないと言っているだろう…貴様、お坊ちゃまに何かしたのか」  
 
 フェイスレスは邪悪に満ちた笑みで、サングラスを外し、顔を変えていく。  
その顔は、エレオノールの脳裏に鮮烈に焼き付けられたものだった。  
「しょ…正二様?」  
「そうさ。尤も、君の中の正二は、僕のイメージだろうけど、本物は別に居たよ。因みに勝はほら…」  
と、テントの隅を指差す。其処には、真っ二つに斬り裂かれた、小学生位の大きさの腐肉の塊が在った。  
「う、う…うわぁぁぁぁぁぁ〜!!!!」  
エレオノールの口から、とても彼女の物とは想像出来ない様な悲鳴…  
いや、咆哮と呼ぶ方が相応しい様な声が溢れた。  
彼女の自我が崩壊しそうになる。彼女は何故だか解らないが、判ってしまった。あれが「勝だった物」だと。  
 
 もう、呆然自失で物も言えない彼女に、更に追い討ちをかける。  
「そう言う事さ。そして、君はこの顔と共に、この言葉も覚えているだろう?  
『お前は微笑みさえ忘れた可哀想な人形だ…』」  
フェイスレスの口から、かつての彼女の行動理由となっていた言葉が紡がれる。  
「…と、言う事さ。因みに本物の正二は今頃、勝と同じ処に居るんじゃ無いかな。」  
父・正二がずっと隠しておきたかった事実の一部を、この憎むべき敵はペラペラと明かしていく。  
「あぁ、勝の事なら心配要らない。直ぐに代わりを作るからね。  
おい、其処のお前、アレ持って来てよ」  
と、Oが持って来たのは、勝と同じ形をした「容れ物」だった。  
 
「いやね、僕の部下がお茶目しちゃって、勝をぶっ殺しちゃったんだよ。  
僕としてもそれは不本意な事だ。で、作ったのさ」  
もうエレオノールには何が何だか解らない。  
「で、僕があの中に入るから、君には『しろがね』を辞めて貰おうかと思ってね」  
フェイスレスは、何やらガチャガチャと医療器具を準備する。  
「これで君の血液を全部入れ替えてね」  
 
 エレオノールから「生命の水」を含んだ体液と言う体液が何度にも分けて、残らず吸いだされ、  
代わりに彼の部下が連れて来た人間の体液が注ぎ込まれる。  
「便利だよねぇ、『しろがね』は。血液型が関係無いんだから」  
フェイスレスは、そんな事を呟きながら、勝の形をしたOに自らをダウンロードしていく。  
その後、エレオノールの体から抜き出した体液の蛋白質を分解、「生命の水」と分離する。  
分離された「生命の水」に微弱な電流を加え続ける。すると、その中に保たれていた記憶は失われ、  
純粋な「生命の水」となる。彼の愛した、人間・フランシーヌやエレオノールの記憶を取り除く事となるが、エレオノールは目の前に居るし、フランシーヌの記憶も90年の間に彼女の脳に刻み込まれた筈だ。  
「僕が君になっても仕方無いからねぇ」  
 
 既にエレオノールの瞳は銀色から黒へと変化していた。  
「黒かぁ…僕ぁてっきり青になるかと思ってたんだが。この分だと、生え変わって来る髪の毛も黒かな」  
彼は、彼女が正二の子だとは知らない。  
「まぁ、待っててよ。その内、僕が『生命の水』の成分を解析して、もう一度『しろがね』にしてあげるから」  
と、言いつつ勝のOに稀釈した「生命の水」を注ぎ込む。  
「永遠の愛」よりも、エレオノールを従わせる方が先決と言う訳だ。  
「「ほら、これで僕は2人になったのさ」」「僕の体の僕と」「勝の体の僕でね」  
 
 何も考えられなかったエレオノールも、漸く自我を取り戻しつつあった。  
どうやら、「考える」と言う事に於いては「しろがね」よりも、  
意識を支配されない普通の人間の方が向いているらしかった。  
 
「じゃ、勝の体の僕よ。楽しんでくれ給え。僕はモニターで見ている事にするよ」  
「クッ!放せ!放さないかっ!」  
エレオノールは必死に暴れる。彼女が暴れているのには、他にも理由が在った。  
「しろがね」から普通の人間に戻された彼女は、当然筋力も落ちる。  
彼女が体液を全て入れ替えられた際、当然ながら喉の渇きを覚えた彼女は、フェイスレスの出す水を飲んだ。  
それから数時間。今迄「しろがね」だった体に残された筋力と彼女特有の精神力とで、  
彼女は尿意を堪えて来たが、完全に並の女性の筋力に戻った彼女には、これ以上は堪えられなかった。  
「おのれぇ〜…」  
膝を忙しなく動かす。彼女も一人の女性である。勝の事は気に掛かったが、  
今はそれよりも何よりも放尿したい、失禁は避けたい。それで頭が一杯だった。  
 
「あれぇ、お姉ちゃん、どうしたの?さっきから落ち着きが無いね。  
『しろがね』はクールが売りでしょ?」  
そう言われると、脚の動きを止めざるを得ない。それは、彼女の「限界」を早める事となった。  
マリオネットの時の衣装と異なり、アクロバット用の衣装はエレオノールの美しい体のラインにピッタリ貼り付いている。  
その膀胱の部分だけが不自然に膨らんでいるのだから、彼女が尿意を我慢しているのは、誰の目にも明らかであった。  
それをフェイスレスは、敢えて知らぬふりをして彼女に訊いたのだ―恥辱を与える為に。  
尿意をどうする事も出来ず、とうとうエレオノールは恥を忍んで懇願した。  
「お願い、トイレに行かせて頂戴…」  
「あ、我慢してたんだね。どっちの方?」  
と、勝の姿をしたフェイスレスは、更なる恥辱を与える質問をする。  
「…何でも良いでしょう。早く行かせて」  
「う〜ん、だって逃げちゃうかも知れないでしょ?そしたら、僕が「僕」に怒られちゃうからさぁ。答えてくれなきゃ駄目だよ」  
「う…小さい方よ」もう恥も何よりも、トイレに行きたいエレオノールは、仕方無くそう言った。  
「あ、そうなんだ。じゃあ、行かせてあげる…但し、これから僕の事、愛して護ってね」  
「ふざけるな!そんな条件が飲める訳が無いだろう」  
「じゃあ、駄目だよ。我慢しててね」  
 
 もう尿意は限界だったが、こんな男に服従する位なら、失禁した方が良いと思った。  
我慢している事も知られてしまったので、今更隠しても無駄だ。彼女は再び膝を摺り合わせて我慢を続けた。  
…不意にその脚の動きが止まる。  
「あ…あ、み、見るな!見ないで!あっちを向いてて!」  
シュウウウウゥゥゥ…見る見る彼女のサーカス衣装の股間の部分が、濃い色に染まって行く。  
「あ〜ぁ、お姉ちゃん大人なのに、我慢出来ずにお漏らししちゃったんだ」  
だが、エレオノールは失禁した事で、尿意の苦痛から解放され、少し普段の彼女を取り戻していた。  
「だから何?この状況なら、仕方が無いでしょう?」  
 
「お洋服汚れちゃったから、着替えて体も洗わなきゃね」  
勝のOは、ナイフを取り出し、彼女の衣装を縦に裂いていく。  
男を魅了する部分の一つである豊満なバストが露わになる。  
裸を見られたくない。エレオノールはそう思った。以前の彼女なら、裸を見られる事に抵抗は無かったが、  
鳴海と逢って彼女は変わった。この体は、本物の勝と鳴海以外の男性に見られたくなかったのだ。  
「僕も本当は、こんな非道い事はしたくないんだよ。でも、君が言う事聞いてくれないから…」  
滅茶苦茶な事を言う。そして、エレオノールはこの勝の姿をした嫌な男に全裸を晒す事になった。  
「うわぁ…やっぱり綺麗だね。僕は医者だけど、こうして女の人の裸を見るのは初めてだよ。  
僕は君以外の女性に興味なんて無いんだから」  
そう言いつつも、彼の反応は極めて冷静だ。  
 
「おい、これ処分しといて」勝のOが指示を出す。  
すると、下働きの自動人形が、濡れタオルを使って、エレオノールの股間を拭き清めた。  
勝のOはと言うと、尿に塗れた彼女の下着を嗅ぎ、舐めている。  
「お姉ちゃんの物だったら、何でも全然汚いと思わないよ」  
狂ってる…エレオノールは吐き気を覚えた。  
「僕、お姉ちゃんが言う事聞いてくれる良い方法思い付いちゃった」  
と、自動人形達に指示し、彼女を柱から放し、大の字に縛る。  
「コロンビーヌ、おいで」  
 
「ばぁ〜!」  
突如、エレオノールの視界が舌を出した逆さの女性の顔で埋め尽くされる。  
「キャハハハ!びっくりした?びっくりした?」  
見ると、其処にはサハラのでの戦いで壊れる以前の姿のコロンビーヌがケラケラと哂っていた。  
「彼女は、最古の四人の紅一点で、虫使いのコロンビーヌ嬢だ。僕の手伝いをして貰う事になってね」  
「そ。宜しくねぇ☆」  
妖しく微笑んでみせるコロンビーヌ。彼女がこの姿に戻れたのには、理由が在った。それは…  
 
パチン!コロンビーヌが指を鳴らす。すると、彼女のターバンの中から、2体の小型虫型人形(ヒュジプーぺ)が飛び出し、彼女の耳朶へと飛んで行く。良く見ると、それ等の虫型人形には、唇、歯、舌、2本の指型の脚を備えており、その歯を唇でエレオノールの耳朶を甘噛みし始めた。  
「どう?人間の女性って、こうされると、『感じる』んでしょ?」  
エレオノールは、死んだ勝や自分の愛する鳴海の為にも、絶対にこの腹の立つ男の言いなりにはならない、と決心した。  
「別に。兎に影を踏まれた程にも感じないわね」  
 
「あら、そお?じゃ次」パチン!  
又も2体の虫型人形が飛び出し、彼女の耳に入り込み、その中を舐め回す。  
「こんな事、普通の人間じゃ出来ないからねぇ」  
勝Oは関心してみせる。エレオノールは不快感しか覚えなかった。この男が何をしたいのかはサッパリ理解出来ない。  
パチン!  
次の2体は彼女の鼻孔に侵入した。エレオノールの不快感は増すばかりだったが、  
此処で虫型人形のカメラのモニターを見ていた勝のOがとんでもない事を言い出した。  
 
「あれ、鼻の中に鼻糞が在るよ。取っちゃっても良い?」  
エレオノールは先程から、常に無表情を装っていたが、これには流石に頬を染めてしまう。  
「コロンビーヌ、頼むよ」  
コロンビーヌは虫型人形を操り、彼女の鼻から鼻糞と鼻毛を全て取り出させ、  
それを勝Oの元に届けさせた。  
「僕の愛の証明だよ。これで信じてね」  
と、勝Oはその塊を口に放り込む。  
「うん。美味しい」  
人造人間の彼に味覚が有るのかは判らないが、どちらにしても狂っている。  
エレオノールは、初めてこの男に恐怖を感じた。  
 
 虫型人形は再び彼女の鼻孔に戻り、其処を陵辱している。  
「ウフフ…次から本気よぉ」パチン!  
今度の2体は、うなじと背中。  
パチン!次の2体は両腋。  
パチン!更に太腿。  
パチン!臍と首筋。  
パチンパチンパチンパチン…更に20体の虫型人形が、彼女の両手、両足の指に纏わり付く。  
指迄固定されている彼女に、抵抗する術は無い。  
それ等は何体もの同胞を破壊してきた美しい指先をしゃぶり出す。  
…次第に彼女の感覚の中に、不快感とは別の物が芽生え始める。  
声を出すものか、声を出したら負けだ、と思い、必死で声を抑える。  
「フーッ…フーッ」  
声を出さない分、次第に息が荒くなる。  
 
「お姉ちゃんマゾなの?又我慢してるし。でも、これは我慢出来るかなぁ」  
パチン!次の2体は、エレオノールの左右の小陰唇に取り付き、その部分を寛げた。  
銀毛の中に、ピンクの花びらが開花する。彼女のそこは、美しくは在ったが、全てが完璧に作られている彼女の中で、その部分だけが崩れている様にも思えた。  
「ウッ!…クウゥ…」  
見られたくなかった。この部分だけは、鳴海以外に見られる訳にはいかなかったのに、  
無残にもこの男の前で開かれている。  
その屈辱は、今迄とは比べ物にならなかった。  
その忌々しい人形は、彼女の花びらを噛んだり、舐めたり、伸ばしたり、と好き放題だ。  
 
「ウフッ。次はもっと凄いのよぉ」  
パチン!何と、今度の2体は、サイズに大小が在り其々彼女の肛門と尿道口に向かって飛んで行った。  
「うぅ…あ!そ、そんな処」  
流石にエレオノールも慌てるが、動けないのではどうしようも無い。  
肛門の方は無理矢理抉じ開けられ、人形が半身を埋めつつその周辺を舐め回す。  
尿道口の方は、虫型人形の脚を捻じ込まれ、出し入れをされている。  
「ふぅ…ああっ!あっ!くぅ…」  
声が漏れそうになるが、必死で歯を食い縛るエレオノール。  
 
「良く我慢するよねぇ。ご褒美に、最後はオマケして一気に5体だよ。嬉しいでしょ?じゃ、コロンビーヌ」  
と勝O。パチン!  
今度の5体はサイズに大小こそ無かったが、それ迄の物より精巧に作られていた。  
2体は、エレオノールの両乳首に取り付く。その場所で乳輪を撫で回しつつ、乳首を唇に含んだ。  
残る3体の内、2体は、彼女のクリトリスに取り付き、1体がそれを保護する包皮を限界迄剥き上げた。  
「がっ!」今迄刺激に耐えていた彼女も思わず声をあげ、目を見開いてしまう。  
もう1体は、剥き上げられた先端をまるでフェラチオの様にしゃぶり始めた。  
剥き上げた包皮を戻らない様に保持している方も、包皮と本体の境目を舐めている。  
そして、最後の1体には、フェイスレスは入念なプログラムを組み込んでおいた。  
その1体は、処女膜を破らぬ様避け、膣内に侵入すると、その指で彼女のGスポットをマッサージし始めたのだ。  
 
「クゥウ…あっ!あ〜!ひあぁぁぁ〜!」  
堪らず大声をあげてしまう。その声は、今迄の落ち着いた低音では無く、  
何時もより遥かに高い「発情した女」の声に変わっていった。  
普段の彼女では絶対に出せない音域の声。  
その声を自分で聞いて驚いた彼女は、何とか正気を取り戻そうと躍起になる。  
しかし、機械が精密かつ完全に与えて来る適切な刺激には抗えない。  
「わぁ〜凄い凄い!乳首とクリちゃんってこんな風になるのね。私にはこんなの付いてないもんなぁ。」  
コロンビーヌは嫉妬とも呼べる感情を彼女に覚えた。  
「よ〜し、それじゃあ、サクランボの早食い競争ぉっ!」  
一本指を高く掲げ、お道化たポーズで虫型人形に指示を出す。  
その部分から全身に伝わる電流の様な物の量が、更に増す。  
彼女はその部分に意識を集中させ、何とか勃起を抑えようと試みたが、それは、彼女の感度を高める結果しか齎さなかった。  
彼女の背中にゾクゾクとした感覚が走り、全身は真っ赤に紅潮していった。  
「アッ!!アアアアアァァァァァァァッ!ヒィィィ!!」  
 
 もう良い…疲れた。エレオノールは快感に身を任せる事にした。  
初めての経験だが、もう其処迄絶頂が来ている事が判る。  
彼女の膣やクリトリスが痙攣し始めた。彼女のクリトリスが一際大きく膨らむ。  
これで楽になれる…と、全身を蠢いていた自動人形の動きが止まった。  
「!…?」  
何が起こったのか解らない彼女は、頭の中を整理しようとしていた。  
コロンビーヌが声を掛ける。  
「どうしたの?止めちゃ嫌だった?」  
「いいえ。止めて貰えるのなら、是非止めて貰いたかったわ」  
と虚勢を張ると、彼女は  
「ああん、エレオノールちゃん、可愛いわぁ」  
と、エレオノールの唇に下を差し込んだ。  
普段なら不快にしか思わない筈のこの刺激が快感に思える事にエレオノールは戸惑った。  
「汚らわしい!」  
「強気なトコも可愛いわねぇ。も〜抱き締めちゃいたい。でも、今は駄目。後でゆっくり…ね?じゃ、もう一回」  
再び虫型人形達が『作業』を始める。  
 
 ポタッ…ポタッ…何十回寸止めされただろう、何時間続けられたのだろう。エレオノールは記憶を辿れなかった。  
既に足元には小さな愛液の水溜りが出来ている。  
もう、どうなっても良いから、最後迄して欲しいと思った。そして、又絶頂が近付き、思わず叫ぶ。  
「お願い!止めないで!」  
「うん。いいよ」  
不思議と勝のOはアッサリと承諾した。  
「良かったわねぇ。造物主様はお優しい方なのよ」  
パン!コロンビーヌが手を叩くと、エレオノールの体に潜んでいる虫型人形達が一斉に動き始める。  
「アッ!何か来るッ!!イィアァァァァ!!!!」  
 
「ハァ…ハァ…」  
まだ息の荒い侭のエレオノールにコロンビーヌが声を掛ける。  
「どう?良かったでしょう?貴女のお願い、聞いてあげたんだから、造物主様を愛してあげなきゃね☆」  
「ハァ…だ、誰がこんな奴の良い様にするものか」  
一度気をやって、落ち着きを取り戻したエレオノールは、再び強さを取り戻していた。  
「あ〜ぁ、仕方無いなぁ。造物主様、良いでしょ?」  
「あぁ、本当に仕方無いよね。でも、我侭な君の願いは、徹底的に叶えてあげるよ」  
コロンビーヌはフルートを取り出し、『フルートと弦楽の為の「コロンビーヌ」』を奏でる。  
すると、そのフルートから銀の煙が噴出し、エレオノールの鼻孔と口に吸い込まれて行った。  
 
「何をした?」  
エレオノールには何が何だか解らないが、肺の中で熱を持った何かが蠢いている様な気がした。  
「ゾナハ病は知ってるよね?尤もこれは、ゾナハ病とは少し違う自動人形なんだけど」  
勝Oが解説を始める。エレオノールは身構えた。  
既に体内から全ての「生命の水」を抜き取られた彼女には、この未知の病から逃れる術は無い。  
「ほらほらぁ、そんな顔しないの。この煙は、貴女にとぉっても良い事してくれるんだもん♪」  
コロンビーヌが解説を引き継ぐ。  
「この小さな虫達はね、貴女の肺から血液中に溶け込んで、貴女の乳首とクリちゃんに移動するの。  
そしてね、その部分に大量に血を集めさせるのよぉ!どう、凄く気持ち良さそうでしょ〜?」  
 
 そう言われて、エレオノールは己の乳首に注目した。  
先程迄、小豆程度の大きさだったそれは、今は正にサクランボ大に膨らんでいた。  
恐らく、下の突起も同じ状況だろう。何だか、むず痒い様な感覚が在る。  
実際、先程最大迄勃起した状態でも、15mm足らずだったその女根は、今は倍近くに膨れていた。  
どちらの突起も破裂寸前の様に見える程膨らみ、陰核に至っては、ヒクヒクと蠢きさえしている。  
恐らく、包皮を押さえる役はもう不要だろう。  
「じゃ、内と外から同時に責めるわよ」  
コロンビーヌがフルートを続けて奏でる。  
「あぁっ!さ、さっきよりも…ヒッ!」  
ピシャッ、パシャッ…イったばかりなのに、全身の性感帯を刺激され、  
エレオノールは堪える間も無く潮を吹いた。  
「あらあら…でも、まだまだよぉ」  
潮を吹いても、絶頂を迎えても、刺激は止む事が無い………  
 
 ………「も、もう止めてぇ〜!苦しっ、苦しい!あぁッ!!いやぁぁ〜…」  
「じゃあ、僕の言う事を聞くかい?」  
その問い掛けの度、エレオノールは強い意志を取り戻す。  
「そんな訳…ヒギッ!無い…だろ…ウッ」  
失神しても更なる刺激で意識を引き戻され、又絶頂。  
自動人形達は、血さえ在れば動くのだから、止まる事は無く、正確に血管や神経の一本一本を把握し、刺激していく。  
「も…オッ!!駄目ッ!!駄目なの!止めてぇっ!!」  
完全に女言葉になり、己の限界を宣告する。疾うに強がりは消えていた。  
「じゃあ、僕の…」  
「うぅ…だ、誰が…」  
執拗に繰り返される問答。エレオノールの意志も何時迄も保つ物では無かった。  
 
 
 …翌朝。未だにエレオノールは快感の嵐の中に居た。既に涙や鼻水は勿論、  
潮も愛液も尿も出し尽くし、虫型人形に開かれたその部分はカラカラに乾いていた。  
膣やクリトリスも痙攣する事も出来ず、イけなくなり、体を真っ赤染めていた血の気も抵抗する気力も失せた。  
「ウッ!アハァッ!!げぇ…げえぇぇぇ…えっ、えっ…」  
とうとう、胃の方が痙攣し、胃液を搾り出す。  
勝Oとフェイスレスは、それを舐め取る。そろそろ彼女が限界だと察した。この侭続ければ死んでしまうかも知れない。  
「ねぇ、エレオノール?」フェイスレスが尋ねる。  
「我侭な君の更なる我侭、聞いてあげようか?」勝Oが尋ねる。  
「「その代わり、僕の言う事、聞いてくれるよねぇ?」」  
2人の口から、同時に言葉が紡がれる。  
「…解りました。これを…これを止めて下さい、フェイスレス司令」  
「「『貴方』と呼んでくれ」」  
「はい、貴方」  
 
 
スルスルスル…  
「皆様、長〜い演目のご見物、お疲れ様でした。如何がだったでしょうか?  
当サーカスの演目、本日これにて全て終了で御座居まする。  
又のお越しをお待ちしております。それでは、気を付けて御帰り下さいませ」  
 

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